(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】吹付材用繊維質骨材、吹付材用原料粉末、及び吹付材
(51)【国際特許分類】
C04B 35/80 20060101AFI20230202BHJP
C04B 14/30 20060101ALI20230202BHJP
C04B 35/66 20060101ALI20230202BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20230202BHJP
F27D 1/16 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C04B35/80
C04B14/30
C04B35/66
F27D1/00 N
F27D1/16 A
(21)【出願番号】P 2018220854
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391029484
【氏名又は名称】日本特殊炉材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】岡室 俊佑
(72)【発明者】
【氏名】竹並 潤哉
(72)【発明者】
【氏名】杉本 裕介
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭47-043028(JP,A)
【文献】特開昭57-145081(JP,A)
【文献】特開昭56-140054(JP,A)
【文献】特開平06-087666(JP,A)
【文献】特開昭53-055315(JP,A)
【文献】特開2013-119502(JP,A)
【文献】特開昭62-046972(JP,A)
【文献】特開昭57-145083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00
C04B 14/00
F27D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック繊維と
バインダーとを含有して構成される粒状の骨材であり、
圧縮性指数が55%以下であり、安息角が58°以下であり、
骨材の粒径が7.0mm未満である吹付材用繊維質骨材。
【請求項2】
JIS R 1628のタップかさ密度の方法に基づいて測定した吹付材用繊維質骨材のかさ密度は、1.0g/cm
3以下である請求項1に記載の吹付材用繊維質骨材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吹付材用繊維質骨材と、バインダーとを含有する吹付材用原料粉末。
【請求項4】
請求項3の吹付材用原料粉末と、液分とを含有する吹付材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹付材用繊維質骨材、それを含有する吹付材用原料粉末、及びその吹付材用原料粉末を含有する吹付材に関する。
【背景技術】
【0002】
塊状のセラミックファイバーをキャスタブル耐火物に添加することが知られている。例えば、特許文献1には、アルミノシリケート質の繊維を20~60mm径の角状の塊にしたものと、ムライト骨材と、ムライトの超微粉末とを混合して、ボード状に成形して構成した築炉用の炉壁材が開示されている。
【0003】
特許文献2には、シリカ‐アルミナ質の繊維を1~5cm3の塊状にしたものと、ウレタン変性トリメチルプロパン樹脂とを含有する複合材料が記載されている。塊状の繊維の表面は、カルボキシメチルセルロースと、アルミナ微粉末と、コロイダルアルミナとで被覆されている。
【0004】
特許文献3には、粒径が10~50mmのセラミックファイバーと、アルミナと、ρアルミナと、シリカフラワーと、気泡剤と、分散剤と、有機増粘剤とで構成されるキャスタブル耐火物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭53-43713号公報
【文献】特開昭53-55315号公報
【文献】特開平6‐87666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1ないし3の材料は、いずれも型枠に材料を流し込んで、所望の形状を有する成形物を製造するためのものである。いずれの材料も、配合されるセラミックファイバーの粒径が大きく、吹付材として使用するには適当でない。
【0007】
セラミックファイバーの塊は、表面にセラミック製の繊維が露出しており、流動性が悪い。このため、吹付機のホッパ又は吹付管の内部においてセラミックファイバーの塊が絡み合って、流動性が著しく損なわれる可能性がある。
【0008】
本発明は、吹付機を用いて、吹き付けによって施工するのに適した繊維質の骨材と、それを含有する吹付材用原料粉末と、その吹付材用原料粉末を含有する吹付材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
セラミック繊維で構成される粒状の骨材であり、圧縮性指数が55%以下であり、安息角が58°以下であり、骨材の粒径が7.0mm未満である吹付材用繊維質骨材により、上記の課題を解決する。また、この吹付材用繊維質骨材と、バインダーとを含有する吹付材用原料粉末によって、上記の課題を解決する。また、その吹付材用原料粉末と、液分とを含有する吹付材によって上記の課題を解決する。上記の吹付材用繊維質骨材の嵩比重は、1.0g/cm3以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吹付機を用いて、吹き付けによって施工するのに適した繊維質の骨材と、それを含有する吹付材用原料粉末と、その吹付材用原料粉末を含有する吹付材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】粉体の供給装置を備える粉体の貯留部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。
【0013】
本発明の吹付材用繊維質骨材(以下、単に繊維質骨材と呼ぶ。)は、セラミック繊維で構成される粒状の骨材であり、圧縮性指数が55%以下であり、安息角が58°以下であり、骨材の粒径が7.0mm未満である。
【0014】
上記のような繊維質骨材の製造方法は特に限定されない。例えば、上記のような繊維質骨材は、セラミック繊維が絡み合って構成されているセラミック繊維の集合体を原料として製造することができる。そのような、セラミック繊維の集合体は、例えば、セラミック繊維の塊として市販されている。上記のようなセラミック繊維を、解砕装置で解砕する。解砕されたセラミック繊維にバインダーを適用して、コンクリートミキサーなどの造粒機で、バインダーを含んだセラミック繊維を転がしながら造粒する。造粒物を乾燥し、篩をかけて、分粒することによって、上記のような繊維質骨材を得ることができる。
【0015】
解砕したセラミック繊維を造粒する際には、適宜のバインダーを使用することができる。バインダーとしては、有機系バインダー又は無機系バインダーを使用することができる。有機系バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、又はポリビニルアルコールなどを利用することができる。無機系バインダーとしては、モンモリロナイト、又はゼオライトなどを利用することができる。
【0016】
圧縮性指数は、以下の[式1]により求めたものである。
[式1]
【0017】
安息角は、繊維質骨材を積み上げたときに、崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度のことであり、株式会社セイシン企業のタップ密度測定器タップデンサー(KYT‐5000k)によって測定したものである。
【0018】
繊維質骨材の粒径は、7.0mm未満である。粒径は、粒度分布の範囲であり、目開き7.0mmのメッシュの篩下の意味である。粒度分布の範囲をこのようにすることにより、繊維質骨材を壁、天井、又は床などの被施工物に吹き付けた際に、繊維質骨材が被施工体に定着せずに跳ね返るリバウンドロスと呼ばれる現象を抑制して、歩留まりと吹付作業の効率を向上させることができる。繊維質骨材の下限値は、特に限定されず、例えば、0.4mm以上とすることができる。
【0019】
繊維質骨材の嵩比重は、1.0g/cm3以下であることが好ましく、0.75g/cm3以下であることがより好ましい。嵩比重の範囲をこのようにすることによって、吹付材を吹き付けることにより構成される施工物に断熱性を持たせると共に、吹付材を壁や天井などの吹付材が定着しにくい部分に吹き付けた際に、吹付材が剥がれ落ちたり崩落したりしにくくすることができる。嵩比重の下限値は、特に限定されないが、0.3g/cm3以上であることが好ましい。嵩比重は、JIS R 1628 7.1のタップかさ密度の方法に基づいて測定する。
【0020】
セラミック繊維は、繊維質骨材の用途に応じて、選択すればよい。セラミック繊維は、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、及びシリカ繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を使用することが好ましい。繊維は、結晶質及び非晶質のうちいずれであってもよい。繊維長は、特に限定されないが、例えば、短繊維を使用することが可能であり、例えば、0.1~80mmのものを使用することができる。
【0021】
上記の圧縮性指数は、30%以下であることがより好ましく、20%未満であることがさらに好ましい。圧縮性指数の下限値については、特に限定されないが、例えば、5%以上であることが好ましい。上記の安息角については、52%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。安息角の下限値については、特に限定されないが、例えば、20%以上であることが好ましい。
【0022】
上記の繊維質骨材は、例えば、繊維質骨材と、バインダーと、液分とを含有するように混合して、被施工体に対して吹き付けることにより、吹付材として使用することができる。また、上記の繊維質骨材は、バインダーと混合して、プレミックスタイプの吹付材用原料粉末として流通させることができる。このプレミックスタイプの吹付材用原料粉末は、水などの液分と混合することによって、使用することができる。被施工体としては、例えば、窯炉の天井、壁、又は床などが挙げられる。窯炉としては、例えば、電気炉、ガス炉などの加熱炉などが挙げられる。吹付材は、被施工体に対して吹き付けることによって、損傷した部分を補修するのに使用してもよいし、新規に壁等の内張りを構築するのに使用してもよい。
【0023】
吹付材に配合するバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、デンプン、アラビアゴム、フェノール樹脂、酢酸ビニル、ゼオライト、及びモンモリロナイトからなる群より選ばれる少なくとも一種以上のバインダーが挙げられる。バインダーは粉末であることが好ましい。バインダーとしては、吹付材を被施工体に対して吹き付けた際に定着するものであればよく、無機系バインダー又は有機系バインダーを使用することができる。バインダーの含量は、繊維質骨材とバインダーとの合計質量に占めるバインダーの質量が、1~40質量%とすることが好ましく、より好ましくは、1~20質量%となるようにすることが好ましい。
【0024】
吹付材に配合する液分としては、例えば水、又は吹付材に含有させる副成分を含有する水などが挙げられる。副成分としては、アルミナ粉末、シリカ粉末などの耐火物の粉末が挙げられる。シリカ粉末に替えてコロイダルシリカを使用することも可能である。液分の含量は、繊維質骨材とバインダーと液分との合計質量に占める液分の質量が、30~70質量%となるようにすることが好ましい。
【0025】
吹付材は、例えば、
図1に示したような、吹付機5を利用して、被施工体に効率的に吹き付けることができる。
図1の吹付機5は、粉体の貯留部51と、加圧気体の供給部52と、粉体の貯留部51と加圧気体の供給部52とを接続する接続部53と、接続部の下流に接続されるフレキシブルホース54と、フレキシブルホース54の下流に接続され剛性を有する中空管55と、給液部56とを備える。
【0026】
加圧気体の供給部52は、空気などの加圧気体を接続部53などに供給して、中空管55の先端に設けられたノズルから吐出させる。加圧気体の供給部52としては、例えば、気体を圧入したボンベ、又はエアコンプレッサーなどが挙げられる。
【0027】
粉体の貯留部51は、繊維質骨材と、バインダーと含有する吹付材用原料粉末511を貯留しておくためのものである。粉体の貯留部51としては、例えば、タンク又はホッパなどが挙げられる。
【0028】
接続部53は、加圧気体の供給部52と、粉体の貯留部51とを接続し、その内部にて加圧気体と粉体とが混合される。接続部としては、例えば、エゼクタが挙げられる。エゼクタは、加圧気体の供給部52から供給される気体を駆動源として、粉体の貯留部51に貯留された粉体を吸引して、フレキシブルホース54に供給する。
【0029】
中空管55は、金属などの合成を有する素材で構成される中空な管であり、吹付機5を使用する際に、作業者が把持して操作竿として利用する。内部には、フレキシブルホース54から供給された圧縮気体と粉体とが搬送される。中空管55を操作して、中空管55の先端のノズルの向きを変更する際などには、フレキシブルホース54が弾性変形することにより、操作を円滑に行うことができるようになっている。
【0030】
給液部56は、中空管55の中を加圧気体によって搬送される粉体に対して液分を供給する。
図1の例では、給液部56は、中空間55に対して接続される配管と、供給される液量を変更するためのバルブとから構成されている。供給する液分としては、例えば、水、又は副成分を含有する水などの液体が挙げられる。
【0031】
中空管55の先端に設けたノズルからは、給液部56から供給される液分と、粉体の貯留部51から供給された吹付材用原料粉末511との混合物21が吐出される。
【0032】
粉体の貯留部51と接続部53との間には、
図3に示したように、粉体の供給装置を設けてもよい。
図3の粉体の供給装置6は、
図4に示したように、水平方向に回転するフィードホイール61と、フィードホイール61の下部に配置される当板62と、フィードホイール61及び当板62を収納して、粉体の貯留部51と接続部53とを接続する筒状体63とを有する。フィードホイール61は、円錐台状であり、円錐台の底側の外周部には、複数の貫通孔611が設けられている。また、当板62にも貫通孔621が設けられている。フィードホイール61が回転することによって、フィードホイール61の複数の貫通孔611が当板62の貫通孔621と順次に連通し、貯留部51に貯留された粉体が接続部53に供給される。
【0033】
図2に示したように、粉体の貯留部51と接続部53との間には、粉体の供給装置を設けない構成としてもよい。
【0034】
上記の繊維質骨材は、粉体の供給部に詰まりにくく、ブリッジやラットホールなどを形成しにくい。このため、粉体の供給時において粉体供給に問題が生じやすい小型の吹付機においても好適に使用することができる。小型の吹付機とは、例えば、ノズルから圧縮気体が吐出される流量が、1.5~2.5m3/分のものが挙げられる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を挙げて、より具体的に説明する。
【0036】
[実施例1]
以下の方法によって、吹付材用の繊維質骨材を製造した。まず、繊維長0.1~30mmの結晶質アルミナ短繊維の集合体から構成される原綿を適当な大きさに切断して、これを解砕装置に投入して、セラミック繊維を破砕した。解砕装置は、右回転するローラーと、左回転するローラーとを備えており、それらの両ローラーの間に原綿を投入する構成となっている。使用した解砕装置には、目開きが5.0mmのメッシュが配されており、5.0mm未満の繊維が排出されるようになっている。
【0037】
解砕装置から排出されたセラミック繊維500gをコンクリートミキサーに投入し、回転を開始させる際に7.0質量%ポリビニルアルコール溶液20gを、セラミック繊維に対して噴霧した。回転開始から30分経過後に回転を停止し、球状の繊維質骨材を取り出して、110℃で24時間にわたって乾燥させた。セラミック繊維は、コンクリートミキサーの内壁に沿って回転する過程で球状に造粒される。乾燥させた球状の繊維質骨材を篩にかけて、粒度分布の範囲が0.425mm以上、かつ4.0mm未満の繊維質骨材を得た。
【0038】
[実施例2]
解砕装置から排出されたセラミック繊維を目開き250μmの篩にかけて、篩上をコンクリートミキサーに投入した点、及びコンクリートミキサーに投入するバインダーを、1.4質量%ポリビニルアルコール溶液100gに変更した点以外は、実施例1と同様にして、粒度分布の範囲が0.425mm以上、かつ4.0mm未満の繊維質骨材を製造した。
【0039】
[実施例3]
コンクリートミキサーに投入するバインダーを、0.35質量%ポリビニルアルコール溶液100gに変更した点以外は、実施例1と同様にして、粒度分布の範囲が0.425mm以上、かつ4.0mm未満の繊維質骨材を製造した。
【0040】
[実施例4]
セラミック繊維を解砕装置に投入する前に、250gの水をセラミック繊維に噴霧した点、コンクリートミキサーに投入するバインダーを、カルボキシメチルセルロース粉末25gに変更した点以外は、実施例1と同様にして、粒度分布の範囲が0.425mm以上、かつ4.0mm未満の繊維質骨材を製造した。
【0041】
[比較例1]
実施例1で使用した結晶質アルミナ短繊維の集合体(直径3~4cmの塊)を、比較のために、吹付材用の骨材として、そのまま利用した。結晶質アルミナ短繊維の集合体は、造粒していないため、不定形であり、篩にかけるには適していないものであった。
【0042】
[比較例2]
実施例1において、解砕装置から排出された目開き5.0mmの篩下のセラミック繊維を、比較のために、吹付材用の骨材として、そのまま利用した。
【0043】
[安息角の測定]
上記のようにして得た各実施例及び各比較例の骨材について、株式会社セイシン企業のタップ密度測定機タップデンサー(KYT-5000k)を使用して、安息角を求めた。安息角の測定条件は、以下の通りである。結果を以下の表1に示す。測定は、測定台の回りに粉体が溢れるまで漏斗から粉体を落下させて、その際に形成された山の斜辺の角度を測定した。
・粉体を落下させる高さ:漏斗の下端から台までが125mm
・測定台の直径:80mm
【0044】
[圧縮性指数の測定]
上記のようにして得た各実施例及び各比較例の骨材について、株式会社セイシン企業のタップ密度測定機タップデンサー(KYT-5000k)を使用して、JIS R 1628 7.1の方法に基づいて、タップかさ密度と、初期かさ密度を求めて、上記の[式1]の式により、圧縮性指数(%)を求めた。結果を以下の表1に示す。
【0045】
[嵩比重の測定]
JIS R 1628 7.1のタップかさ密度の方法に基づいて、各実施例の骨材について、嵩比重を測定した。各実施例の骨材の比重は、いずれも0.75g/cm3以下であった。
【0046】
[吹付試験]
粉体の供給装置を接続部と粉体の貯留部との間に備えた吹付機と、粉体の供給装置を備えていない吹付機とを、それぞれ使用して、各実施例及び各比較例の骨材について、吹付試験を行った。なお、両者ともに、小型の吹付機を使用した。表1においては、前者をフィーダー有と表記し、後者をフィーダーなしと表記する。
【0047】
吹付試験では、粉体の貯留部に、各実施例及び各比較例の骨材と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースの粉末とを含有する吹付材用原料粉末を投入した。バインダーと繊維質骨材の合計質量に占めるバインダーの割合が10質量%となるようにした。また、水の配合量はバインダーと繊維質骨材と水との合計質量に占める水の割合が45~55質量%となるようにした。
【0048】
吹付試験では、吹付機のノズルから、骨材とバインダーと水との混合物が被施工体に対して正常に吹き付けられるかどうかを評価した。結果を以下の表1に示す。表1において、〇を付したものは、正常に吹付を行うことができたものを示し、△を付したものは、貯留部に粉体のラットホールが形成されて、途中から粉体の供給が正常に行われなくなったものを示し、×を付したものは貯留部にバインダーと粉末との混合物が詰まって吹き付けることができなかったものを示す。
【0049】
【0050】
表1に示したように、圧縮性指数が55%以下であり、安息角が58°以下である実施例1ないし4の繊維質骨材では、フィーダーを備える吹付機であれば、粉体の貯留部に詰まることなく、繊維質骨材及びバインダーが中空管内に供給され、水と混合されてノズルから、良好に吐出されることがわかった。
【0051】
また、圧縮性指数が30%以下であり、安息角が52%以下である実施例4では、フィーダーを備えていない吹付機においても、良好に吹付を行うことができることが分かった。
【0052】
[他の材料]
繊維質骨材を造粒する際に使用するバインダー、又はセラミック繊維を変更して、所定の安息角と圧縮性指数とを備える繊維質骨材が製造することができるか確かめた。
【0053】
以下の表2のように、繊維質骨材を造粒する際に使用するバインダーの種類とその適用方法を変更した点以外は、実施例1と同様にして、表2に示す各実施例の繊維質骨材を製造した。表2の各実施例の繊維質骨材の嵩比重は、いずれも0.75g/cm3以下であり、粒径は0.4~7.0mmの範囲内であった。表2に上記と同様の方法により求めた、各実施例の繊維質骨材の圧縮性指数と安息角とをまとめた。なお、ブリティッシュガムの適用に際しては、繊維質骨材の重量を100重量部としたときにブリティッシュガムが20重量部となるようにして、粉体のブリティッシュガムを繊維質骨材に対して適用した。酢酸ビニル、ゼオライト、又はモンモリロナイトの場合も同様に、それぞれ25重量部の粉体、20重量部の粉体、又は20重量部の粉体を繊維質骨材に適用した。粉体を適用するに際しては、繊維質骨材をあらかじめ湿らせておいた。
【0054】
【0055】
以下の表3のように、繊維質骨材の原料となるセラミック繊維を変更した点以外は、実施例1と同様にして、表3に示す各実施例の繊維質骨材を製造した。表2の各実施例の繊維質骨材の嵩比重は、いずれも0.75g/cm3以下であり、粒径は0.4~7.0mmの範囲内であった。表2に上記と同様の方法により求めた、各実施例の繊維質骨材の圧縮性指数と安息角とをまとめた。なお、非晶質シリカ繊維の繊維長は0.1~60mmである。
【0056】
【0057】
表2及び表3のようにしても、所定の圧縮性指数、安息角、及び粒径を備える繊維質骨材が得られることがわかる。
【符号の説明】
【0058】
5 吹付機
51 貯留部
52 加圧気体の供給部
53 接続部
54 フレキシブルホース
55 中空管
56 給液部