(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】波形金属屋根材の取付構造
(51)【国際特許分類】
E04D 3/00 20060101AFI20230202BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
E04D3/00 N
E04G23/02 H
(21)【出願番号】P 2019088436
(22)【出願日】2019-05-08
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000129079
【氏名又は名称】株式会社カナメ
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 真哉
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-091890(JP,A)
【文献】特開2001-140411(JP,A)
【文献】特開2003-129614(JP,A)
【文献】実開平6-8557(JP,U)
【文献】特許第6923948(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/00
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形スレート屋根上に波形金属屋根材が取り付けられた構造であって
、前記波形金属屋根材は、山部の頂部が平面状に形成されており、固定具は
、波形スレート屋根を固定しているフックボルトに取り付けられ
、補助固定具は
、表面側が上方に凸となる湾曲に形成された波形金属屋根材取付部を有する上面と
、上面の両端から外側下方にのびる支持脚を有しており
、波形スレート屋根の山部上に前記補助固定具の上面が配置され
、波形スレート屋根の谷部に前記補助固定具の支持脚下端が載置されており
、補助固定具が傾いていない状態であっても、補助固定具が傾いた状態であっても、補助固定具の湾曲に形成された上面の一部と波形金属屋根材が当接され、固定具上および補助固定具上に波形金属屋根材が止着具で固定されてい
る波形金属屋根材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、屋根改修等において、波形スレート屋根に孔をあけることなく波形金属屋根材を取り付けることができ、様々な寸法の波形金属屋根材を取り付けることができる取付構造を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
【0003】
図10は、特開2010-65506号公報にて公開されているスレート葺屋根における新設屋根材取付方法及び取付け作業器に関する技術である。この技術は、既設スレート葺屋根1における母屋材位置に当たる凸面部上に基板部と吊枠板5部から成る台金具を配置し、この台金具の基板の長手方向中央部に弯形部6を形成するとともにこの弯形部の一端部中央に開口部につづく長孔を設け、前記既設屋根の母屋材に下端部を掛止めるフックボルト20の上端部を前記台金具の長孔に螺着し、左右対称に成るレール材の前後両端部を各脚台上に設置し、一方の脚台の支板と立板との間に先端に係止部を有する固定具を設け、他方の脚台のレール材端部上に設けた支台の上端部間に作業杆の基端部を枢着し、この作業杆の適所に設けたガイド板の当接板を前記固定具との間に配置した前記台金具に抑止し、台金具の固定状態下において新設の屋根板26の適所に螺子25を内側の吊枠板の凸状上面部に取付けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10に示した先行技術では、既設屋根上のフックボルトの位置で、新設屋根が固定される必要がある。そのため、既設屋根の取付寸法に応じた新設屋根を用意する必要があった。たとえば、屋根の桁行方向で隣り合うフックボルト同士の間隔と、新設屋根の寸法が合わない場合、フックボルトのない山部においては既設屋根に穿孔する必要があった。また、屋根の桁行方向において、既設屋根上のフックボルト同士の離隔距離が大きい場合、新設屋根の沈みこみが発生する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、波形スレート屋根上に波形金属屋根材が取り付けられた構造である。固定具は、波形スレート屋根を固定しているフックボルトに取り付けられる。補助固定具は、上面と、上面の両端から外側下方にのびる支持脚を有する。この補助固定具は、波形スレート屋根の山部上に上面が配置され、波形スレート屋根の谷部に支持脚下端が載置されている。そして、固定具上および補助固定具上に波形金属屋根材が止着具で固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本願は、波形金属屋根材が波形スレート屋根上のフックボルトの位置で固定具に固定されるのに加え、フックボルトのない位置でも補助固定具に固定される。そのため、たとえば、屋根の桁行方向で隣り合うフックボルト同士の間隔と、波形金属屋根材の寸法が合わない場合であっても、フックボルトのない山部においては補助固定具を載置して用いるだけでよく、波形スレート屋根に穿孔する必要がない。また、屋根の桁行方向において、波形スレート屋根上のフックボルト同士の離隔距離が大きい場合でも、波形金属屋根材が補助固定具で支持されるので、沈みこみが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の波形金属屋根材の取付構造における固定具の実施例を示す説明図である。
【
図2】本願の波形金属屋根材の取付構造における固定具の実施例を示す説明図である。
【
図3】本願の波形金属屋根材の取付構造における上部材(固定具)の実施例を示す説明図である。
【
図4】本願の波形金属屋根材の取付構造における下部材(固定具)の実施例を示す説明図である。
【
図5】本願の波形金属屋根材の取付構造における補助固定具の実施例を示す説明図である。
【
図6】本願の波形金属屋根材の取付構造における補助固定具の実施例を示す説明図である。
【
図7】本願の波形金属屋根材の取付構造の実施例を示す説明図である。
【
図8】本願の波形金属屋根材の取付構造の実施例を示す説明図である。
【
図9】本願の波形金属屋根材の取付構造の実施例を示す説明図である。
【実施例】
【0009】
本願の波形金属屋根材の取付構造について、
図1から
図9までにより説明する。
図1は、本願の波形金属屋根材の取付構造における固定具の実施例を示す斜視図である。
図2は、本願の波形金属屋根材の取付構造における固定具の実施例を示す正面図である。
図3は、本願の波形金属屋根材の取付構造における上部材(固定具)の実施例を示す斜視図である。
図4は、本願の波形金属屋根材の取付構造における下部材(固定具)の実施例を示す斜視図である。
図5は、本願の波形金属屋根材の取付構造における補助固定具の実施例を示す斜視図である。
図6は、本願の波形金属屋根材の取付構造における補助固定具の実施例を示す正面図である。
図7から
図9までは、本願の波形金属屋根材の取付構造の実施例を示す説明図(正面図)である。
【0010】
本実施例の波形スレート屋根Sは、山部S1および谷部S2が形成されている屋根材が、フックボルトFを用いて屋根下地に固定されている。このフックボルトFは、波形スレート屋根Sの山部S1より表面側に突出されている。このフックボルトFは、波形スレート屋根Sのすべての山部S1から突出されているわけではない。したがって、フックボルトFが突出されていない山部S1もある。
【0011】
本実施例の波形金属屋根材Nは、山部N1および谷部N2が形成されている屋根材で、山部N1の表面側から止着具Bを打ち込んで、屋根に固定される。本実施例の波形金属屋根材Nの山部N1および谷部N2の形成ピッチは、波形スレート屋根Sの山部S1および谷部S2の形成ピッチと同じであることが望ましい。
【0012】
本実施例の固定具Kには、山部N1と谷部N2が形成された波形金属屋根材Nが取り付けられる。本実施例の固定具Kは、波形スレート屋根S上のフックボルトFに複数のものが固定され、その上に波形金属屋根材Nがかぶせられ、波形金属屋根材Nの表面側から固定具Kにビスなどの止着具Bが打ち込まれて固定される。
【0013】
本実施例の固定具Kは、上方に凸となる湾曲に形成された上面に複数条の溝線K111が形成された波形金属屋根材取付部K11を有する。上面の湾曲頂部は、本実施例の固定具Kが波形スレート屋根SのフックボルトFに取り付けられたときに、屋根の流れ方向と略平行となるように形成されている。また、複数条の溝線K111も、本実施例の固定具Kが波形スレート屋根S上のフックボルトFに取り付けられたときに、屋根の流れ方向と略平行になる方向に形成されている。
【0014】
波形スレート屋根S上においてフックボルトFが垂直でない場合、本実施例の固定具Kも傾いた状態で取り付けられる。しかし、本実施例の固定具Kは、上方に凸となる湾曲に形成された上面になっている。そこが波形金属屋根材N裏面に対して当接される構造になっているので、波形金属屋根材Nに金具痕が出てしまうことがない。なお、上方に凸となる湾曲は、波形スレート屋根Sの山部S1の半径に本実施例の固定具Kの高さ寸法を加算した半径で形成されているのが望ましい。
【0015】
また、波形金属屋根材Nの表面側から固定具Kにビスなどの止着具Bが打ち込まれる際、止着具Bの先端が溝線K111に引っかかる構造になっており、固定具K上を滑って刺しにくくなることがない。なお、溝線K111の条数、溝線K111・K111同士の間隔は問わないが、止着具Bが打ち込まれる際、その先端が当たりうる範囲にわたって、波形金属屋根材取付部K11上を滑らない程度の間隔で溝線K111が形成されていることが望ましい。
【0016】
本実施例の固定具Kは、上部材K1と下部材K2で構成されている。そのため、上部材K1、下部材K2のどちらかを変えるだけで、波形金属屋根材Nの取付高さを調整できる。そのため、上部材K1と下部材K2、どちらかを取付高さを問わない共通部材とすることができる。さらに、上部材K1と下部材K2、どちらで取付高さを調整してもよいので、設計の自由度が高い。
【0017】
本実施例の上部材K1は、上方に凸となる湾曲に形成された上面に複数条の溝線K111が形成された波形金属屋根材取付部K11が形成されている。また、本実施例の上部材K1は、波形金属屋根材取付部K11の一対の両端縁から下方にのびる脚部K12・K12と、脚部K12・K12の下端にスライド部K13・K13を有している。この一対の両端縁は、溝線K111と平行な直線状になっている側の端縁である。波形金属屋根材取付部K11の一対の両端縁は、本実施例の波形金属屋根材取付部K11が波形スレート屋根S上のフックボルトFに取り付けられたときに、屋根の妻側に対面する向きに配置される。
【0018】
本実施例において、脚部K12・K12は、波形金属屋根材取付部K11の一対の両端縁から下方、すなわち、波形金属屋根材取付部K11の一対の両端縁から波形スレート屋根S側に向けて形成されている。この脚部K12の高さ寸法によって、すなわち、本実施例の上部材K1によって、波形金属屋根材Nの取付高さを調整できる。
【0019】
本実施例の上部材K1は、脚部K12・K12の下端にスライド部K13・K13を有している。本実施例の上部材K1は、脚部K12・K12の下端に内側当接部、外側当接部が形成されており、下部材K2の被スライド部K23を外側から抱持するような形状になっている。そのため、スライド部K13と被スライド部K23を係合させると、上部材が取り付けられる上下位置及び桁行位置が固定され、屋根の流れ方向のみにスライドされる構造になる。また、本実施例は、下部材K2の被スライド部K23を外側から抱持するような形状になっているので、外側にするどい端縁が突出することがなく、波形金属屋根材Nの裏面を傷つけにくい構造になっている。
【0020】
なお、本実施例のスライド部K13及び被スライド部K23の形状及び構造は一例であり、スライド部K13と被スライド部K23が係合されたときに、上部材K1が取り付けられる上下位置及び桁行方向における位置が固定され、屋根の流れ方向のみにスライドされる構造であればよい。
【0021】
本実施例の下部材K2は、フックボルト固定部K211を有する底面K21を有する。波形スレート屋根Sの山部S1の形状にあわせて、本実施例において、底面K21は上方に凸となる湾曲に形成されている。
【0022】
また、本実施例の下部材K2が波形スレート屋根S上のフックボルトFに取り付けられる際、水下側になる端部から底辺略中央部にかけて、切り込みによってフックボルト固定部K211が形成されている。このフックボルト固定部K211は、波形スレート屋根S上のフックボルトFに係合され、下部材K2を波形スレート屋根S上のフックボルトFに固定するために用いられる。そのため、波形スレート屋根Sに孔をあけることなく、波形金属屋根材Nを取り付けることができる。
【0023】
本実施例において、下部材K2の水上側端部は、上方に折り曲げられ、打撃受部K24が形成されている。下部材K2は、フックボルト固定部K211が波形スレート屋根S上のフックボルトFに係合され、打撃受部K24がハンマー等によって打擲されることによって、波形スレート屋根S上のフックボルトFに固定される。
【0024】
本実施例の下部材K2は、底面K21の一対の両端縁から上方にのびる支承部K22が形成されている。底面K21の一対の両端縁は、本実施例の波形金属屋根材取付部K11が波形スレート屋根S上のフックボルトFに取り付けられたときに、屋根の妻側に対面する向きに配置される。本実施例において、支承部K22は、底面K21の一対の端縁から上方、すなわち、底面K21の一対の両端縁から波形金属屋根材N側に向けて形成されている。この支承部K22の高さ寸法によって、すなわち、本実施例の下部材K2によって、波形金属屋根材Nの取付高さを調整できる。
【0025】
本実施例の下部材K2は、支承部K22の上端に被スライド部K23を有する。本実施例において、被スライド部K23は、支承部K22の上端が外側に折り曲げられるとともに、折り曲げられた部分に切り欠きが形成され、外側及び内側双方に端縁が突出している構造になっている。本実施例では、被スライド部K23の外側端縁及び内側端縁が、スライド部K13の外側当接部及び内側当接部に強く当接される構造になっている。その構造によって、スライド部K13と被スライド部K23を一旦係合されると抜けにくい状態に、上部材K1と下部材K2が一体化される。この一体化に当たっては、鋲子などの追加部材も必要なく、コストを低く抑えることができる。
【0026】
本実施例の下部材K2は、被スライド部K23の一端に止め部K231が形成されている。この止め部K231に、スライド部K13の水下側端縁が当接する位置が、上部材K1と下部材K2の適正な組合せ位置となる。また、スライド部K13と被スライド部K23の係合がゆるい場合でも、この止め部K231によって、上部材K1が下部材K2の水下側に滑落するのを防ぐことができる。
【0027】
本実施例の補助固定具Hは、上面H1と、上面H1の両端から外側下方にのびる支持脚H12を有する。本実施例の補助固定具Hの上面H1には、複数条の溝線H111が形成された波形金属屋根材取付部H11が形成されている。この複数条の溝線H111は、本実施例の補助固定具Hが波形スレート屋根S上に設置されたときに、屋根の流れ方向と略平行になる方向に形成されている。
【0028】
波形金属屋根材Nの山部N1および谷部N2の形成ピッチと、波形スレート屋根Sの山部N1および谷部N2の形成ピッチとが同じである場合、本実施例の補助固定具Hは、波形金属屋根材N・N同士の重なり部が波形スレート屋根SのフックボルトFのない山部S1上に当たる場合に設置される。もし、波形スレート屋根Sと波形金属屋根材Nの桁行寸法も同じであれば、波形金属屋根材N・N同士の重なり部は、必ず波形スレート屋根SのフックボルトFのある山部S1上に当たる。しかし、波形スレート屋根Sと波形金属屋根材Nの桁行寸法が異なる場合、波形金属屋根材N・N同士の重なり部は、必ずしも波形スレート屋根SのフックボルトFのある山部S1上に当たるとは限らない。したがって、本実施例の補助固定具Hは、隣り合う波形金属屋根材N・N同士の重なり部を固定するために用いられる。
【0029】
本実施例の補助固定具Hは、波形金属屋根材Nの表面側から補助固定具Hの上面H11にビスなどの止着具Bが打ち込まれる際、止着具Bの先端が溝線H111に引っかかる構造になっており、補助固定具H上を滑って刺しにくくなることがない。なお、溝線H111の条数、溝線H111・H111同士の間隔は問わないが、止着具Bが打ち込まれる際、その先端が当たりうる範囲にわたって、波形金属屋根材取付部H11上を滑らない程度の間隔で溝線H111が形成されていることが望ましい。
【0030】
本実施例の補助固定具Hの上面H1は、上方に凸となる湾曲に形成されていることが望ましい。たとえば、支持脚H12の一方が波形スレート屋根S・S同士の重なり部上に配置され、補助固定具Hが傾いた状態で設置される場合がある。その場合、本実施例の補助固定具Hの場合は、上面H1が上方に凸となる湾曲に形成されているので、そこが波形金属屋根材N裏面に対して当接される構造になっている。そのため、波形金属屋根材Nに金具痕が出てしまうことがない。なお、上方に凸となる湾曲は、波形スレート屋根Sの山部S1の半径に本実施例の補助固定具Hの高さ寸法を加算した半径で形成されているのが望ましい。
【0031】
本実施例の補助固定具Hは、波形スレート屋根Sの山部S1上に上面H1が配置され、波形スレート屋根Sの谷部S2に支持脚H12・H12下端が載置される。このとき、波形スレート屋根Sの山部S1と、補助固定具Hの間に空間が形成されている。この空間により、波形金属屋根材Nを固定する止着具Bが、波形スレート屋根Sに届かない構造になっている。
【0032】
本実施例の支持脚H12下端は、下方に凸状の湾曲面となっている。このような形状になっていることによって、波形スレート屋根Sを傷つけにくくなるうえ、支持脚H12下端が波形スレート屋根Sの谷部S2にフィットし、本実施例の補助固定具Hが安定した状態に載置された状態になる。また、支持脚H12の一方が波形スレート屋根S・S同士の重なり部上に配置され、補助固定具Hが傾いた状態で設置される場合でも同様に、支持脚H12下端が波形スレート屋根Sの谷部S2にフィットし、本実施例の補助固定具Hが安定した状態に載置された状態になる。さらに、本実施例の支持脚H12下端表面に数条の溝線が形成されていてもよい。数条の溝線が形成されていることによって、波形スレート屋根S上において滑りにくくなる。
【0033】
本実施例の補助固定具Hには、山部N1と谷部N2が形成された波形金属屋根材Nが取り付けられる。波形スレート屋根S上のフックボルトFに固定された固定具Kに加え、本実施例の補助固定具Hが、波形スレート屋根Sの山部S1上に上面H1が配置され、波形スレート屋根Sの谷部S2に支持脚H12・H12下端が載置される。そして、これらの固定具Kおよび補助固定具H上に、波形金属屋根材Nがかぶせられ、波形金属屋根材Nの表面側からビスなどの止着具Bが、固定具Kおよび補助固定具Hに打ち込まれて固定される。
【0034】
このとき、1枚の波形金属屋根材Nが、固定具Kによって、2山以上で固定されている場合、補助固定具Hは必ずしも波形スレート屋根Sに固定されていなくともよい。それは、1枚の波形金属屋根材Nが2山以上で固定されていることで通常の取付構造と同等な設計強度が確保されており、隣り合う波形金属屋根材N・Nの端部同士が固定具K上又は補助固定具H上で止着具Bによって結合されているので、風等でめくれ上がる恐れもないからである。
【0035】
このように、補助固定具Hが波形スレート屋根Sに固定されない構造にすることで、波形スレート屋根Sに孔をあけることなく、波形金属屋根材Nを取り付けることができる。
【0036】
次に、本願の波形金属屋根材の取付構造について説明する。本実施例の固定具Kが、波形スレート屋根S上のフックボルトFに固定される。さらに、本実施例の補助固定具Hが、波形スレート屋根Sの山部S1上に上面H1が配置され、波形スレート屋根Sの谷部S2に支持脚H12下端が載置される。本実施例の固定具Kおよび補助固定具Hの湾曲に形成された上面H1に、波形金属屋根材Nの山部N1が取り付けられている。このとき、波形金属屋根材Nが当接している部分は、本実施例の固定具Kの湾曲に形成された上面、および補助固定具Hの湾曲に形成された上面H1の中央部とは限らない。本実施例の固定具Kの湾曲に形成された上面および補助固定具Hの湾曲に形成された上面H1の一部と、波形金属屋根材Nが当接していればよい。すなわち、当接されている位置は、本実施例の固定具Kの上面および補助固定具Hの上面H1であれば、任意である。
【0037】
本願の波形金属屋根材の取付構造は、複数の固定具Kが波形スレート屋根S上のフックボルトFに固定される。そして、複数の補助固定具Hが波形スレート屋根Sの山部S1上に上面H1が配置され、波形スレート屋根Sの谷部S2に支持脚H12下端が載置される。それらの上に波形金属屋根材Nがかぶせられ、波形金属屋根材Nの表面側から固定具Kおよび補助固定具Hに向けてビスなどの止着具Bが打ち込まれて固定される。このとき、波形スレート屋根Sには、止着具Bが届かない構造になっているので、孔があけられることがない。
【符号の説明】
【0038】
K 固定具
K1 上部材
K11 波形金属屋根材取付部
K111 溝線
K12 脚部
K13 スライド部
K2 下部材
K21 底面
K211 フックボルト固定部
K22 支承部
K23 被スライド部
K231 止め部
K24 打撃受部
H 補助固定具
H1 上面
H11 波形金属屋根材取付部
H111 溝線
H12 支持脚
S 波形スレート屋根
S1 山部
S2 谷部
F フックボルト
N 波形金属屋根材
N1 山部
N2 谷部
B 止着具