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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】聴音装置及びスピーカ付眼部装着具
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20230202BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230202BHJP
   H04R 25/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R1/02 103Z
H04R1/00 318Z
H04R25/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020140633
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036427
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】516040866
【氏名又は名称】BoCo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】謝 端明
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0204617(US,A1)
【文献】国際公開第2007/069784(WO,A1)
【文献】特開2007-124355(JP,A)
【文献】特開2007-72015(JP,A)
【文献】特開2009-69219(JP,A)
【文献】特開2006-157318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/10,25/00-25/02
G02C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡又はゴーグルに対して着脱可能な聴音装置であって、
スピーカ部と、
前記スピーカ部と電気的に接続される本体部と、
を具備し、
前記本体部は、眼鏡又はゴーグルに着脱可能に取り付けることが可能である取付部と、音響信号を受信可能な無線アンテナ部とを有し、
前記スピーカ部は、骨伝導スピーカを有し、
前記取付部は柔軟な材質であり、その内部に、眼鏡又はゴーグルの一部を差し込むためのスリットが形成されていることを特徴とする聴音装置。
【請求項2】
前記本体部は、眼鏡のフレームの耳掛け部に着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の聴音装置。
【請求項3】
前記本体部は、ゴーグルの一部に着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の聴音装置。
【請求項4】
前記本体部に対して、前記スピーカ部が着脱可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の聴音装置。
【請求項5】
前記スピーカ部は、前記本体部に対して向き及び位置を調整可能な可動部を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の聴音装置。
【請求項6】
前記スピーカ部は、耳介に対して取り付け可能な固定部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の聴音装置。
【請求項7】
スピーカ付き眼部装着具であって、
眼部装着具に取り付けられる一対の本体部と、
少なくとも一方の前記本体部と電気的に接続されるスピーカ部と、
を具備し、
前記本体部は、前記眼部装着具に設けられた第1のコネクタに着脱可能に取り付けることが可能である取付部と、バッテリーと、音響信号を受信可能な無線アンテナ部を有し、
前記スピーカ部は、骨伝導スピーカを有し、前記眼部装着具に設けられた第2のコネクタを用いて前記眼部装着具に対して着脱可能に取り付けることが可能であり、
一対の前記本体部同士は、互いに有線で接続されず、無線により制御されることを特徴とするスピーカ付眼部装着具。
【請求項8】
前記眼部装着具に対して前記本体部が着脱可能であることを特徴とする請求項記載のスピーカ付眼部装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡又はゴーグルに取り付けることが可能な聴音装置と、聴音装置が取り付けられたスピーカ付き眼部装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、音楽や会話を聴く手段として、ヘッドホンやイヤホンなどのような装置(以下、聴音装置という。)が広く使用されてきている。このような聴音装置としては、空気伝導を利用したものと骨伝導を利用したものとがある。空気伝導を利用したものは、電気信号として入力された音源を空気の振動に変換して鼓膜に伝えて振動させ、鼓膜の振動が耳の奥の中耳を通って、脳に音の情報が伝達され認識される仕組みを利用している。
【0003】
一方、骨伝導を利用した聴音装置は、電気信号として入力された音響信号を機械的な振動に変換し、その振動を適切な位置から骨に与えて骨に振動を伝え、その振動により伝わる骨伝導音で音を認識させるものである。この骨伝導を利用した聴音装置は、ヘッドホンやイヤホンのように耳孔に挿入して使用する必要がなく、耳には周囲の音が遮蔽されることなく入ってくるので、装着していても安全である。また、鼓膜の振動を利用しないことから、難聴の人でも音を認識することができ、補聴器等への利用も進められている。
【0004】
このような骨伝導を利用した聴音装置は、振動部を適切な位置に当接させることで聴音が可能となる。適切な位置としては、例えば、こめかみや乳様突起と呼ばれる部位が挙げられる。この際、振動部を対象部位に確実に当接させるために、通常、骨伝導を利用した聴音装置は、頭部や耳等に固定するための固定部を有する。
【0005】
一方、聴音装置を固定する固定部として、眼鏡のフレームを利用する方法が提案されている。聴音装置を、フレームの耳掛け部(いわゆるテンプルやモダンといわれる部位)に固定することで、眼鏡をかけた状態で、聴音装置を対象部位に当接することが可能である(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6617217号公報
【文献】実用新案登録第3221988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の骨伝導スピーカ付きの眼鏡は、常に骨伝導スピーカ部が眼鏡に固定されているため、骨伝導スピーカを使用しないときには、眼鏡の重量増や装着性の悪化の要因となる。特に、こめかみ部分に骨伝導スピーカを当接しようとすると、骨伝導スピーカを耳掛け部先端(モダン)よりも前方の位置(テンプル)に固定する必要があるが、当該部位は、使用者にとって重量を感じやすく、違和感を覚えやすい部位となるため、必ずしも使用感が良好ではなかった。
【0008】
また、骨伝導スピーカ等の故障時等において、修理を行う際には、眼鏡自体を修理に出す必要があり、買い替え時にも、眼鏡全体を購入する必要があり、使用者の負担が大きい。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、より使用者にとって利用しやすい聴音装置及びスピーカ付眼部装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、眼鏡又はゴーグルに対して着脱可能な聴音装置であって、スピーカ部と、前記スピーカ部と電気的に接続される本体部と、を具備し、前記本体部は、眼鏡又はゴーグルに着脱可能に取り付けることが可能である取付部と、音響信号を受信可能な無線アンテナ部とを有し、前記スピーカ部は、骨伝導スピーカを有し、前記取付部は柔軟な材質であり、その内部に、眼鏡又はゴーグルの一部を差し込むためのスリットが形成されていることを特徴とする聴音装置である。
【0011】
前記本体部は、眼鏡のフレームの耳掛け部に着脱可能であってもよく、又は、前記本体部は、ゴーグルに着脱可能であってもよい。
【0012】
前記本体部に対して、前記スピーカ部が着脱可能であってもよい。
【0013】
前記スピーカ部は、前記本体部に対して向き及び位置を調整可能な可動部を有してもよい。
【0014】
前記スピーカ部は、耳介に対して取り付け可能な固定部を有してもよい。
【0015】
第1の発明によれば、聴音装置が、眼鏡又はゴーグル(眼鏡の場合には例えばフレームのモダン近傍)に取り付けることが可能な取付部を有するため、既存の眼鏡等に対して聴音装置を着脱可能に取り付けることができる。このため、非使用時には取り外すことができる。また、故障時等においても、聴音装置のみを取り外して修理・交換を行うことができ、眼鏡等を交換する必要もない。
【0016】
また、骨伝導スピーカは、効率よく音を聞くことができる部位が、人によって異なり、必ずしも、眼鏡等に固定された位置が、使用者にとって聴音に適切な部位とは限られない。例えば、個人差によって、こめかみ部分に振動を伝えると聞き取りやすい人もいれば、耳介の前面から耳介の軟骨に振動を伝えると聞き取りやすい人や、耳介の後側からだと聞き取りやすい人もいる。
【0017】
これに対し、本体部に対してスピーカ部を着脱可能とすることで、いろいろなタイプのスピーカ部を変更して使用することもできる。また、本体部を眼鏡等に固定したまま、スピーカ部のみを取り外すこともできるため、使用時における取付作業性が良好である。
【0018】
また、本体部に対してスピーカ部の向き及び位置を調整可能な可動部を設けることで、使用者に応じて、適切な位置に骨伝導スピーカを当接させることができる。
【0019】
また、スピーカ部に、耳介に対して取り付け可能な、例えばクリップなどの固定部を設け、スピーカ部を有線によって本体部と接続することで、使用者の耳介にクリップ等でスピーカ部を取り付けることができる。この際、本体部が眼鏡のフレーム側に固定されているため、スピーカ部を小型化することができ、耳介への取り付けも容易である。
【0020】
第2の発明は、スピーカ付き眼部装着具であって、眼部装着具に取り付けられる一対の本体部と、少なくとも一方の前記本体部と電気的に接続されるスピーカ部と、を具備し、前記本体部は、前記眼部装着具に設けられた第1のコネクタに着脱可能に取り付けることが可能である取付部と、バッテリーと、音響信号を受信可能な無線アンテナ部を有し、前記スピーカ部は、骨伝導スピーカを有し、前記眼部装着具に設けられた第2のコネクタを用いて前記眼部装着具に対して着脱可能に取り付けることが可能であり、一対の前記本体部同士は、互いに有線で接続されず、無線により制御されることを特徴とするスピーカ付眼部装着具である。前記眼部装着具に対して前記取付部を含む前記本体部の全体が着脱可能であってもよい。
【0021】
第2の発明によれば、本体部同士が無線で制御されるため、小型軽量なスピーカ付眼部装着具を得ることができる。また、本体部に対してスピーカ部を着脱可能とすることで、いろいろなタイプのスピーカ部を変更して使用することができる。また、眼部装着具から本体部を取り外すことができれば、充電が容易である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、より使用者にとって利用しやすい聴音装置及びスピーカ付眼部装着具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】スピーカ付眼鏡1の斜視図。
図2】(a)、(b)は、耳掛け部5近傍の拡大図であって、スピーカ部9の着脱方法を示す図。
図3】(a)は、本体部7のコネクタ部13a側から見た図、(b)は、スピーカ部9のコネクタ部13b側から見た図。
図4】スピーカ付眼鏡1の構成を示すブロック図。
図5】スピーカ付眼鏡1の使用状態を示す図。
図6】スピーカ付眼鏡1の他の使用状態を示す図。
図7】(a)はスピーカ付眼鏡1の他の実施形態を示す図、(b)は、本体部7の斜視図。
図8】本体部7を取り外した状態の使用状態を示す図。
図9】スピーカ部9aを取り付けた状態を示す図。
図10】スピーカ部9aの使用状態を示す図。
図11】スピーカ部9bの使用状態を示す図。
図12】聴音装置40を示す図であり、(a)、(b)は、聴音装置40を眼鏡のフレーム3へ取り付ける工程を示す図。
図13図12(b)のA-A線断面図。
図14】(a)~(c)は、取付部41の形態を示す断面図。
図15】スピーカ付ゴーグル1aを取り付けた状態を示す図。
図16】スピーカ付眼鏡1の他の使用状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るスピーカ付眼鏡の斜視図である。スピーカ付眼鏡1は、フレーム3と、本体部7と、スピーカ部9とを有する。
【0025】
なお、本発明において、「眼鏡」なる用語には、度の入ったレンズを有するものも、度の入っていないものも含まれ、偏光や遮光などを目的としたサングラス等も含まれるものとする。すなわち、いわゆる眼鏡と同様の形態を有するものはその機能によらず含まれるものとする。
【0026】
また、本発明において、フレーム3は、レンズを保持するリム、耳に掛けるための部位であるテンプルと、その先端のモダン等を含む。また、本発明における耳掛け部5は、いわゆるモダンとテンプルとを含み、実際に使用者の耳掛けられる部位(先端)から、レンズ等を保持するリムまでの範囲を指す。なお、以下の説明では、本体部7が、モダン近傍に(又はモダンに代えて)配置される例について説明する。
【0027】
フレーム3のそれぞれの耳掛け部5には、本体部7が取り付けられる。すなわち、一対の本体部7が、一対の耳掛け部5にそれぞれ取り付けられる。本体部7同士は、互いに有線で接続されず独立して耳掛け部5の先端部近傍に配置される。本体部7の機能については後述する。
【0028】
また、それぞれの本体部7には、スピーカ部9が電気的に接続される。すなわち、一対のスピーカ部9が、耳掛け部5に配置される。スピーカ部9は、骨伝導スピーカである。
【0029】
図2(a)、図2(b)は、本体部7及びスピーカ部9近傍の拡大図である。本実施形態では、本体部7とスピーカ部9とは、コネクタ部13a、13bによって電気的に接続されており、スピーカ部9は、本体部7に対して着脱可能である。
【0030】
図3(a)は、本体部7の接続部側から見た図であり、図3(b)は、スピーカ部9の接続部側から見た図である。本体部7には、断面略T字形の溝15が形成され、スピーカ部9には、溝15に対応したスライドガイド17が形成される。スライドガイド17を溝15にスライド挿入することで、本体部7へスピーカ部9を取り付けることができる。この際、両者の対向部には、コネクタ部13a、13bのそれぞれの端子が配置されるため、本体部7とスピーカ部9とが電気的に接続可能である。すなわち、本体部7からスピーカ部9へ、スピーカ部9の駆動電力の供給と音楽や音声などの音響信号の送信を行うことができる。
【0031】
なお、本体部7とスピーカ部9との固定方法は図示した例には限られず、本体部7に対してスピーカ部9を着脱可能に取り付けることができれば、その構造は特に限定されない。
【0032】
ここで、スピーカ部9には、可動部11が配置される。可動部11は、例えば針金状に自由に屈曲することが可能である。このため、本体部7にスピーカ部9を取り付けた状態において、スピーカ部9は、可動部11によって、本体部7に対して向き及び位置を調整することが可能である。なお、可動部11は、針金状でなくてもよく、方向や位置を調整可能な連結部や回転機構等によって構成してもよい。可動部11は、例えば、金属芯材を樹脂やシリコーンで被覆したものも適用可能であり、樹脂で成形することもできる。すなわち、可動部11は、湾曲することで、ある程度の自由度で向きや位置を調整可能であり、その位置及び向きを保持することができれば、その構造は特に限定されない。但し、スピーカ部9の位置や向きを調整した後は、その状態をある程度の剛性で保持できる保持構造を有していることが望ましい。このようにすることで、スピーカ部9を対象部位に押し付けた状態を安定して保持することができる。
【0033】
次に、スピーカ付眼鏡1の構成について詳細に説明する。図4は、スピーカ付眼鏡1の構成を示すブロック図である。本体部7は、制御基板19、バッテリー21、無線アンテナ部23及びコネクタ部13a等を有する。バッテリー21は各部の駆動用の電源であり、図示を省略した端子(電極)又は、非接触充電用の受電部によって充電可能である。
【0034】
無線アンテナ部23は、他の端末等からの音響電気信号を無線で受信する受信部であり、例えばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行うことができる。制御基板19は、図示をしない操作部等によってスピーカ付眼鏡1の操作可能であり、無線アンテナ部23で受信した音響電気信号の処理等を行うことができる。
【0035】
本体部7のコネクタ部13aとスピーカ部9のコネクタ部13bとを接続することで、制御基板19によって骨伝導スピーカ25へ音響電気信号を伝送することができる。なお、前述したように、コネクタ部13bと骨伝導スピーカ25との間には可動部11が配置され、可動部11内に配線が配置される。骨伝導スピーカ25は、電気信号として入力された音響信号を機械的な振動に変換して振動を出力する部位である。
【0036】
なお、音響電気信号を振動に変換するとは、外部から入力された音響電気信号を機械振動に変換することであり、例えば、音響電気信号によってダイヤフラム等を振動させることで、音響電気信号を骨に伝達する機械振動に変換する。なお、本発明においては、骨伝導スピーカ25における振動方式は、特に限定されるものではなく、音響電気信号を機械振動に変換できればよく、圧電式、電磁式、超磁歪など、従来から用いられている方法を採用することができる。
【0037】
前述したように、一対の本体部7同士は、有線で接続されず、無線アンテナ部23を通じて、本体部7同士が制御される。この場合には、他の端末等とそれぞれの本体部7同士が無線により接続されることで、他の端末等を介して、左右の本体部7を制御することができる。例えば、音量や動作ONを、一対の本体部7同士を有線で接続することなくリンクさせて制御することができる。このように、本体部7同士を無線で制御することで、フレーム3(特にリム部)に電気配線を配置する必要がなくなるため、フレーム3の小型軽量化及びコストダウンを達成することができる。また、一方の本体部7を停止して、他方の本体部7(スピーカ部9)のみを使用することもできる。
【0038】
次に、スピーカ付眼鏡1について説明する。図5は、スピーカ付眼鏡1の使用状態を示す図である。使用者27は、通常の眼鏡と同様にスピーカ付眼鏡1を使用することで、スピーカ部9が耳介の前方のこめかみ部分の近傍に位置し、利用者に当接する。この際、可動部11によって、スピーカ部9の位置や向きを自由に調整することができるため、確実にスピーカ部9を使用者27に押し当てることができる。したがって、骨伝導スピーカ25の振動を、骨伝導スピーカ25が当接する使用者27の骨に伝達することができ、使用者27は音楽等を聴音することができる。
【0039】
なお、スピーカ付眼鏡1において、本体部等の配置は、図6に示すように、耳介の後方に位置してもよい。この場合には、スピーカ部9が耳介の後方に位置し、利用者に当接する。この場合でも、スピーカ部9の位置や向きを自由に調整することができるため、確実にスピーカ部9を使用者27に押し当てることができる。
【0040】
以上、本実施の形態によれば、スピーカ部9が着脱可能であるため、スピーカ部の故障時などにおいて、眼鏡自体の修理や交換を行う必要がない。また、スピーカ部9を使用しないときには、スピーカ付眼鏡1からスピーカ部9を取り外すことができるため、スピーカ付眼鏡1の重量を減らし、使用者が違和感なく眼鏡として使用することができる。
【0041】
なお、バッテリー21を充電するために、バッテリー21を本体部7から取り外すことを可能としてもよく、又は、本体部7の一部に充電用の端子を設けて、端子にケーブルや充電器を端子に接続(又は、非接触充電用の受電部に近接)して充電を行ってもよい。また、端子は、本体部7から離れた位置に配置し、フレーム3内部の電線で接続してもよい。この場合、一対の耳掛け部5を折り畳んだ際に、耳掛け部5の交差部近傍にそれぞれの端子を配置することで、端子同士の距離を短くすることもできる。また、スピーカ付眼鏡1のケース等に給電用の端子を配置し、ケース等に収容した際に充電を行うようにしてもよい。
【0042】
また、図7(a)に示すように、フレーム3(耳掛け部5)に対して、スピーカ部9のみではなく、本体部7を着脱可能としてもよい。図7(b)は、本体部7を取り外した状態を示す図である。この場合には、本体部7には、スピーカ部9側へ音響信号の送信を行うコネクタ部13cと、充電用のコネクタ部13dが配置される。コネクタ部13dは、図示を省略した充電器やクレイドルに配置された端子と接続可能である。このため、眼鏡から本体部7のみを取り外して充電が可能である。なお、本体部7を取り外して充電を行う方法は、必ずしもコネクタ部13dを用いなくてもよく、非接触による充電であってもよい。
【0043】
図8は、本体部7等を外した状態のスピーカ付眼鏡1の使用状態を示す図である。このように、スピーカ部9や本体部7を取り外した状態でも、眼鏡として使用することが可能である。この場合には、フレーム3(耳掛け部5)には、本体部7との接続部と、スピーカ部9との接続部を有するコネクタ部のみが固定されていればよい。
【0044】
このように、本体部7に充電用のコネクタ部13dを配置し、スピーカ付眼鏡1から本体部7のみを取り外すことができれば、充電が容易である。また、充電中であってもスピーカ付眼鏡1を、通常の眼鏡として利用することができる。このように、スピーカ付眼鏡1は、本体部7を固定した状態で、スピーカ部9のみが脱着可能であってもよく、スピーカ付眼鏡1に対して、スピーカ部9と本体部7の両者を着脱可能としてもよい。
【0045】
次に、第2の実施形態について説明する。図9は、第2の実施形態に係るスピーカ部9aを示す図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能を奏する構成については、図1図8と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0046】
スピーカ部9aは、スピーカ部9と略同様の構成であるが、コネクタ部13bと可動部11によって連結されるのではなく、ケーブル29によって連結される。すなわち、スピーカ部9aは、ケーブル29によって位置や向きを自由に変えることができるが、位置や向きを保持することができない。
【0047】
一方、スピーカ部9aには、耳介に対して取り付け可能な固定部31が設けられる。図示した例では、固定部31はクリップ状であり、固定部31とスピーカ部9aによって、耳介を挟み込むことができる。このようなスピーカ部9aは、例えば特許第6263791号公報記載の構成を適用可能である。
【0048】
図10は、スピーカ部9aを用いたスピーカ付眼鏡1の使用状態を示す図である。この場合には、フレーム3に固定されたスピーカ部を使用者27に押し付けるのではなく、固定部31によって使用者27の耳介に固定するため、フレーム3に反力が加わることがない。
【0049】
また、さらに異なるスピーカ部を用いることもできる。図11は、スピーカ部9bを用いたスピーカ付眼鏡1の使用状態を示す図である。スピーカ部9bは、外耳孔に当てて骨伝導によって音を伝えるものである。このように、使用者27によっては、骨伝導スピーカの当接位置が、こめかみ部近傍よりも耳介内面の方が適する場合がある。このような場合には、スピーカ部9に代えて、スピーカ部9a、9bを用いることで、使用者に合わせて適切な位置に骨伝導スピーカを当接することができる。
【0050】
このように、スピーカ付眼鏡1は、スピーカ部を自由に交換できるため、様々なタイプのスピーカ部を使い分けることができる。なお、固定部31を有するスピーカ部としては、クリップ以外にも、フックや弾性部材等で耳介に固定する方法でもよい。また、固定部31を用いるスピーカ部9aとしては、耳介の内面ではなく、耳介の後方に骨伝導スピーカを当接するようにしてもよい。
【0051】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、スピーカ部9aは固定部31を有し、スピーカ部9bは耳孔に装着可能であるため、フレーム3によってスピーカ部を所定の位置に保持する必要がなく、使用者にとって違和感を軽減することができる。また、非使用時には取り外すことができるため、邪魔になることがない。
【0052】
なお、この場合でも、スピーカ部9a、9bを図6に示したように、耳介の後方に配置してもよい。例えば、耳介の後方側にクリップ等でスピーカ部9aを固定してもよい。また、第1の実施形態と同様に、本体部7に充電用のコネクタ部等を設けておくことで、本体部7のみを取り外して充電を行うことが可能である。
【0053】
次に、第3の実施形態について説明する。図12(a)、図12(b)は、第3の実施形態に係る聴音装置40の使用方法を示す図である。聴音装置40は、本体部7とスピーカ部9は一体で構成され電気的に接続される、さらに取付部41が設けられる。取付部41は、例えばゴムやシリコーン樹脂など、柔軟な材質で構成される。
【0054】
図13は、図12(b)のA-A線断面図である。取付部41は、内部に空間を有し、フレーム3の耳掛け部5の先端部(モダン)を挿入可能である。すなわち、耳掛け部5の先端に取付部41を被せることで、聴音装置40を眼鏡のフレーム3に着脱可能に取り付けることができる。なお、取付部41としては、耳掛け部5に対して着脱可能であれば、クランプやねじなどその形態は限定されない。
【0055】
図14(a)は、取付部41の断面を示す図である。取付部41の内部の空間は、例えば、スリット42によって形成される。図14(b)、図14(c)に示すように、スリット42の長さが十分であれば、異なるサイズのフレーム3(耳掛け部5)のサイズにも適用可能である。
【0056】
本体部7は、例えば取付部41の外周部に固定される。なお、本体部7と取付部41とを一体で構成してもよく、本体部7を取付部41の内部に配置してもよい。
【0057】
取付部41は、耳掛け部5の形態が多少変化しても取り付け可能である。このため、すでに使用している一般的な眼鏡に取り付けて、スピーカ付眼鏡として使用することができる。この場合でも、眼鏡に対してスピーカ部9を本体部7ごと脱着可能であるため、使用しないときには取り外すこともでき、交換も容易である。
【0058】
なお、本実施形態でも、本体部7とスピーカ部9とをさらに脱着可能としてもよい。すなわち、本体部7を取付部41によってフレーム3の耳掛け部5に脱着可能であるとともに、第1の実施形態と同様に、スピーカ部9を本体部7に対して脱着可能としてもよい。また、スピーカ部9に変えてスピーカ部9aを用いてもよい。
【0059】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本体部7を眼部装着具に対して脱着可能とすることで、使用者の現在使っている眼鏡をスピーカ付き眼鏡とすることができる。この場合でも、スピーカ部9は眼鏡に対して脱着可能であるため、使用しないときや、必要な場合には取り外すことができる。また、第1の実施形態と同様に、本体部7に充電用のコネクタ部等を設けておくことで、本体部7を取り外して充電を行うことが可能である。
【0060】
次に、第4の実施形態について説明する。図15は、第4の実施形態に係るスピーカ付ゴーグル1aの使用状態を示す図である。スピーカ付ゴーグル1aは、スピーカ付眼鏡1と略同様であるが、眼鏡タイプに代えてゴーグルタイプである点で異なる。なお、図示した例では、スピーカ部9を用いた例を示すが、前述した他のスピーカ部9a、9bも適用可能である。
【0061】
ここで、本発明において、「ゴーグル」は、例えば、作業用、スポーツ用、花粉対策用など、その用途は問わない。また、「ゴーグル」には、ゴーグル形状で眼部に装着可能なものはすべて含み、例えば、AR(Augmented Reality)やVR(Virtual Reality)用の装置など、眼部の全体を覆うような形態の物を全て含むものとする。また、このような眼部(及びその周辺)に装着する眼鏡及びゴーグル等を総称して、眼部装着具とする。
【0062】
スピーカ付ゴーグル1aは、ゴーグル本体43と、バンド45とを有する。前述したように、ゴーグル本体43は、前方の視認性を得るための透明部材又は半透明部材で形成されてもよく、VR装置などのように、ディスプレイで構成されてもよい。本実施形態では、本体部7は、ゴーグル本体43を頭部に固定するためのバンド45に取り付けられる例を示すが、ゴーグル本体43に取り付けてもよい。本体部7にクリップ等の取付部を設けることで、本体部7をゴーグルに対して脱着することができる。すなわち、本体部7とスピーカ部9からなる聴音装置を取付部によって、ゴーグルに脱着することができる。
【0063】
また、本体部7をゴーグル本体43又はバンド45に固定した状態で、本体部7に対して、スピーカ部9を脱着可能としてもよい。また、ゴーグル本体43がVR装置などの電子機器である場合には、本体部7をゴーグル本体43に内蔵させ、スピーカ部9をゴーグル本体43に対して脱着可能としてもよい。
【0064】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、本発明は、眼鏡に限られず、ゴーグルなどの眼部周辺を覆うように装着可能な眼部装着具に対して適用可能である。
【0065】
次に、第5の実施形態について説明する。図16は、第5の実施形態に係るスピーカ付眼鏡1の使用状態を示す図である。なお、図示した例では、スピーカ部9を用いた例を示すが、前述した他のスピーカ部9a、9bも適用可能である。また、スピーカ付ゴーグル1aも同様に使用可能である。
【0066】
本実施形態では、一方の本体部にはスピーカ部9を接続し、他方の本体部にはマイク47が接続される。マイク47は、例えばアームによって口元近傍に配置される。なお、アームは自由に湾曲するため、マイク47の位置調整が容易である。
【0067】
前述したように、スピーカ部9は、本体部7に対して脱着可能であるため、通常時は、両方の本体部7にスピーカ部9を取り付けておき、ヘッドセットとして使用する際には、一方のスピーカ部9を取り外し、アーム式のマイク47を取り付けて使用することもできる。
【0068】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
例えば、各実施形態で示したそれぞれの構成は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1………スピーカ付眼鏡
3………フレーム
5………耳掛け部
7………本体部
9、9a………スピーカ部
11………可動部
13a、13b、13c、13d………コネクタ部
15………溝
17………スライドガイド
19………制御基板
21………バッテリー
23………無線アンテナ部
25………骨伝導スピーカ
27………使用者
29………ケーブル
31………固定部
40………聴音装置
41………取付部
42………スリット
43………ゴーグル本体
45………バンド
図1
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