(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】包装材、包装方法及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 73/00 20060101AFI20230202BHJP
B65D 25/36 20060101ALI20230202BHJP
B65B 53/02 20060101ALI20230202BHJP
B65B 53/00 20060101ALI20230202BHJP
B65B 61/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B65D73/00 L
B65D25/36
B65B53/02 D
B65B53/00 F
B65B61/02
(21)【出願番号】P 2019009156
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴之
(72)【発明者】
【氏名】盛屋 美和
(72)【発明者】
【氏名】古澤 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 知美
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-275020(JP,A)
【文献】特開2016-074480(JP,A)
【文献】特開2014-198595(JP,A)
【文献】特開2014-199365(JP,A)
【文献】特開2015-003767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 25/36
B65B 53/00-55/24
B65B 61/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口を蓋体で閉塞する容器における前記容器本体と前記蓋体との結合部分を包装する包装材であって、
熱収縮前の状態では帯状である熱収縮性フィルムと、
前記
帯状の前記熱収縮性フィルム
よりも幅の広い帯状の感熱記録体とを備え、
前記熱収縮性フィルムの長手方向の両端に、前記感熱記録体の長手方向の両端の各一部がそれぞれ接合されており、
前記熱収縮性フィルムは、熱収縮して前記結合部分の周方向の一部を包装するものであり、
前記感熱記録体は、前記熱収縮フィルムの熱収縮に伴って前記結合部分の周方向の残部を包装する、
ことを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記感熱記録体は、前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域が、前記容器本体の外周面を覆うように垂下されている、
請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記感熱記録体は、前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域が、前記蓋体より上方に向かって立ち上がっている、
請求項
1に記載の包装材。
【請求項4】
前記感熱記録体は、感熱フィルムである、
請求項
1~3のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項5】
前記感熱フィルムが透明である、
請求項
4に記載の包装材。
【請求項6】
容器本体の開口を蓋体で閉塞する容器における前記容器本体と前記蓋体との結合部分を包装する方法であって、
帯状の熱収縮性フィルムと該熱収縮性フィルムよりも幅の広い帯状の感熱記録体とを予め準備し、
前記熱収縮性フィルムによって、前記結合部分の周方向の一部を囲むと共に、前記感熱記録体によって、前記結合部分の周方向の残部を囲むように前記熱収縮性フィルムの長手方向の両端と前記感熱記録体の長手方向の両端の各一部とをそれぞれ接合し、加熱して前記熱収縮性フィルムを熱収縮させる、
ことを特徴とする包装方法。
【請求項7】
前記熱収縮性フィルムの長手方向の一端と前記感熱記録体の長手方向の一端の一部とを接合する工程と、
前記熱収縮性フィルムの前記一端と前記感熱記録体の前記一端の一部とが接合された前記熱収縮性フィルム及び前記感熱記録体によって、前記結合部分の全周を囲むと共に、前記感熱記録体の前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域によって、前記容器本体の外周面を覆う工程と、
前記結合部分の全周を囲んだ前記熱収縮性フィルムの他端と前記感熱記録体の他端の一部とを接合する工程と、
前記熱収縮性フィルムの他端と前記感熱記録体の前記他端の一部とが接合されて、前記熱収縮性フィルムと前記感熱記録体とによって前記結合部分の全周が囲まれた前記容器を、熱収縮トンネルで加熱して、前記熱収縮性フィルムを熱収縮させる工程とを含む、
請求項6記載の包装方法。
【請求項8】
前記結合部分の全周を囲むと共に、前記容器本体の外周面を覆う前記工程に先立って、前記感熱記録体の前記幅の広い領域に印字する工程を含む、
請求項7に記載の包装方法。
【請求項9】
容器本体の開口を蓋体で閉塞する容器における前記容器本体と前記蓋体との結合部分が包装材によって包装されている包装体であって、
熱収縮前の状態では帯状である熱収縮性フィルムと、前記帯状の前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い帯状の感熱記録体とを備え、
前記熱収縮性フィルムの長手方向の両端と前記感熱記録体の長手方向の両端の各一部とがそれぞれ接合されており、
熱収縮した前記熱収縮性フィルムによって、前記結合部分の周方向の一部が包装されると共に、前記熱収縮性フィルムの熱収縮に伴って、前記感熱記録体によって、前記結合部分の周方向の残部が包装されている、
ことを特徴とする包装体。
【請求項10】
前記感熱記録体は、前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域が、前記容器本体の外周面を覆うように垂下されている、
請求項9に記載の包装体。
【請求項11】
前記感熱記録体は、前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域が、前記蓋体より上方に向かって立ち上がっている、
請求項9に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁当、惣菜、麺類その他食品等を収容した容器を包装するのに好適な包装材、それを用いた包装方法、及び、包装された包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売される弁当、惣菜、麺類その他各種の食品は、一般に、プラスチック製の容器に入れて透明な蓋をその上に被せて包装される。
【0003】
かかる包装として、蓋と容器との結合部分を熱収縮性フィルムで包装する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような食品は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の各店舗とは別のセンターの食品工場で製造されて、各店舗に配送されるようになっている。
【0006】
通常、上記のような蓋と容器との結合部分を熱収縮性フィルムで包装する場合には、その結合部分の包装材の面積が小さいため容器に収容する内容物の情報を印字することが容易ではなく、仮に包装材に印字が可能であったとしてもその後の熱収縮工程により包装材が熱収縮するため、印字された情報が確認し辛くなるという問題点がある。そのため、容器に収容する食品の品名、内容量、製造年月日、賞味期限等の食品に関する情報を表示したラベルを別途作成して、これを個々の包装した容器の表面に貼付するようにしている。
【0007】
このように食品情報を、別途ラベルに印字し、このラベルを、容器又は蓋に貼付するのは、作業工数が増えると共に、ラベルが必要となる。
【0008】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、情報等を印刷したラベルを必要とすることなく、印字された情報を確認し易い包装材、包装方法及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0010】
(1)本発明に係る包装材は、容器本体の開口を蓋体で閉塞する容器における前記容器本体と前記蓋体との結合部分を包装する包装材であって、
熱収縮前の状態では帯状である熱収縮性フィルムと、前記帯状の前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い帯状の感熱記録体とを備え、前記熱収縮性フィルムの長手方向の両端に、前記感熱記録体の長手方向の両端の各一部がそれぞれ接合されており、前記熱収縮性フィルムは、熱収縮して前記結合部分の周方向の一部を包装するものであり、前記感熱記録体は、前記熱収縮フィルムの熱収縮に伴って前記結合部分の周方向の残部を包装する。
【0011】
本発明の包装材によると、熱収縮性フィルムと感熱記録体とを接合して、熱収縮性フィルムを加熱して熱収縮させることによって、熱収縮性フィルムとこの熱収縮性フィルムの熱収縮に伴う感熱記録体とが、容器本体と蓋体との結合部分を締付けるようにして密閉し、前記結合部分を包装することができる。
【0012】
また、感熱記録体は熱収縮しないため、感熱記録体に印字された情報がひずむのを抑制することができ、感熱記録体に印字された情報を確認し易くすることができる。
【0013】
これによって、容器本体と蓋体との結合部分の全周を熱収縮フィルムで包装する従来例に比べて、包装材に印字された情報を認識し易くすることができる一方、ラベルに食品情報等を印字して容器に貼付する必要がない。
【0014】
本発明によると、熱収縮性フィルムの長手方向の両端に、感熱記録体の長手方向の両端の各一部がそれぞれ接合されており、熱収縮性フィルム及び感熱記録体によって容器本体と蓋体との結合部分を、その全周に亘って包装することができる。
【0015】
本発明によると、感熱記録体の幅の広い領域に、例えば、容器に収容されている内容物についての情報や各種の情報を見易く印字することができる。
【0016】
(2)本発明の一つの実施態様では、前記感熱記録体は、前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域が、前記容器本体の外周面を覆うように垂下されている。
【0017】
この実施態様によると、感熱記録体の容器本体の外周面を覆うように垂下された領域に、食品情報等の各種の情報を印字できるので、印字された各種情報が視認し易いものとなる。
【0018】
(3)本発明の他の実施態様では、前記感熱記録体は、前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域が、前記蓋体より上方に向かって立ち上がっている。
【0019】
この実施態様によると、感熱記録体の幅の広い領域が、蓋体から上方に向かって立ち上がっているので、この広い領域に、広告等を印刷しておくことによって、消費者の目を引き、販売促進を図ることができる。
【0020】
(4)本発明の他の実施態様では、前記感熱記録体は、感熱フィルムである。
【0021】
この実施態様によると、感熱フィルムに各種の情報を感熱印字することができる。
【0022】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記感熱フィルムが透明である。
【0023】
この実施態様によると、容器本体に印刷されているデザイン等を、透明な感熱フィルムを介して視認することができる。
【0024】
(6)本発明に係る包装方法は、容器本体の開口を蓋体で閉塞する容器における前記容器本体と前記蓋体との結合部分を包装する方法であって、
帯状の熱収縮性フィルムと該熱収縮性フィルムよりも幅の広い帯状の感熱記録体とを予め準備し、前記熱収縮性フィルムによって、前記結合部分の周方向の一部を囲むと共に、前記感熱記録体によって、前記結合部分の周方向の残部を囲むように前記熱収縮性フィルムの長手方向の両端と前記感熱記録体の長手方向の両端の各一部とをそれぞれ接合し、加熱して前記熱収縮性フィルムを熱収縮させるものである。
【0025】
本発明の包装方法によると、熱収縮性フィルムと感熱記録体とによって、容器本体と蓋体との結合部分の全周を囲むように、前記熱収縮性フィルムの長手方向の両端と前記感熱記録体の長手方向の両端の各一部とをそれぞれ接合し、加熱して熱収縮性フィルムを熱収縮させることによって、熱収縮性フィルムとこの熱収縮性フィルムの熱収縮に伴う感熱記録体とが、前記結合部分を締付けるようにして密閉し、結合部分の全周を包装することができる。
【0026】
また、感熱記録体は熱収縮しないため、感熱記録体に印字された情報がひずむのを抑制することができ、感熱記録体に印字された情報を確認し易くすることができる。
【0028】
本発明によると、感熱記録体の幅の広い領域に、例えば、容器に収容されている内容物のついての情報や各種の情報を見易く印字することができる。
【0029】
(7)本発明の一つの実施態様では、前記熱収縮性フィルムの長手方向の一端と前記感熱記録体の長手方向の一端の一部とを接合する工程と、前記熱収縮性フィルムの前記一端と前記感熱記録体の前記一端の一部とが接合された前記熱収縮性フィルム及び前記感熱記録体によって、前記結合部分の全周を囲むと共に、前記感熱記録体の前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域によって、前記容器本体の外周面を覆う工程と、前記結合部分の全周を囲んだ前記熱収縮性フィルムの他端と前記感熱記録体の他端の一部とを接合する工程と、前記熱収縮性フィルムの他端と前記感熱記録体の前記他端の一部とが接合されて、前記熱収縮性フィルムと前記感熱記録体とによって前記結合部分の全周が囲まれた前記容器を、熱収縮トンネルで加熱して、前記熱収縮性フィルムを熱収縮させる工程とを含んでいる。
【0030】
この実施態様によると、熱収縮性フィルムの一端と感熱記録体の一端の一部とを接合すると共に、熱収縮性フィルムの他端と感熱記録体の他端の一部とを接合し、熱収縮性フィルム及び感熱記録体によって、容器本体と蓋体との結合部分の全周を囲むと共に、感熱記録体の幅の広い領域によって、容器本体の外周面を覆うようにして、熱収縮性フィルム及び感熱記録体の他端同士を接合し、熱収縮トンネルで加熱して、熱収縮性フィルムを熱収縮させることによって、熱収縮性フィルム及び感熱記録体で結合部分の全周を密閉して包装することができる。
【0031】
(8)本発明の他の実施態様では、前記結合部分の全周を囲むと共に、前記容器本体の外周面を覆う前記工程に先立って、前記感熱記録体の前記幅の広い領域に印字する工程を含んでいる。
【0032】
この実施態様によると、感熱記録体の幅の広い領域に、食品情報の各種情報を印字した後、この感熱記録体及び熱収縮性フィルムによって、容器の前記結合部分の全周を囲むと共に、食品情報等が印字された幅の広い領域によって、容器本体の外周面を覆う工程に移行する。
【0033】
(9)本発明に係る包装体は、容器本体の開口を蓋体で閉塞する容器における前記容器本体と前記蓋体との結合部分が包装材によって包装されている包装体であって、
熱収縮前の状態では帯状である熱収縮性フィルムと、前記帯状の前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い帯状の感熱記録体とを備え、前記熱収縮性フィルムの長手方向の両端と前記感熱記録体の長手方向の両端の各一部とがそれぞれ接合されており、熱収縮した前記熱収縮性フィルムによって、前記結合部分の周方向の一部が包装されると共に、前記熱収縮性フィルムの熱収縮に伴って、前記感熱記録体によって、前記結合部分の周方向の残部が包装されている。
【0034】
本発明によると、熱収縮性フィルムの長手方向の両端と感熱記録体の長手方向の両端の各一部とがそれぞれ接合されて、熱収縮フィルムを加熱して熱収縮させることによって、熱収縮性フィルムとこの熱収縮性フィルムの熱収縮に伴う感熱記録体とが、容器本体と蓋体との結合部分を締付けるようにして密閉し、前記結合部分の全周を包装することができる。
【0035】
また、感熱記録体は熱収縮しないため、感熱記録体に印字された情報がひずむのを抑制することができ、感熱記録体に印字された情報を確認し易くすることができる。
【0036】
これによって、容器本体と蓋体との結合部分の全周を熱収縮フィルムで包装する従来例に比べて、包装材に印字された情報を認識し易くすることができる一方、ラベルに食品情報等を印字して容器に貼付する必要がない。
【0038】
本発明によると、感熱記録体の幅の広い領域に、例えば、容器に収容されている内容物のついての情報や各種の情報を見易く印字することができる。
【0039】
(10)本発明の他の実施態様では、前記感熱記録体は、前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域が、前記容器本体の外周面を覆うように垂下されている。
【0040】
この実施態様によると、感熱記録体の容器本体の外周面を覆うように垂下された領域に、食品情報等の各種の情報を印字できるので、印字された各種情報が視認し易いものとなる。
【0041】
(11)本発明の更に他の実施態様では、前記感熱記録体は、前記熱収縮性フィルムよりも幅の広い領域が、前記蓋体より上方に向かって立ち上がっている。
【0042】
この実施態様によると、感熱記録体の幅の広い領域が、蓋体から上方に向かって立ち上がっているので、この広い領域に、広告等を印刷しておくことによって、消費者の目を引き、販売促進を図ることができる。
【発明の効果】
【0043】
このように本発明によれば、熱収縮性フィルムと感熱記録体とを接合して、熱収縮性フィルムを加熱して熱収縮させることによって、容器本体と蓋体との結合部分を密閉して包装することができる。
【0044】
また、感熱記録体は熱収縮しないため、感熱記録体に印字された情報がひずむのを抑制することができ、感熱記録体に印字された情報を確認し易くすることができる。
【0045】
これによって、容器本体と蓋体との結合部分の全周を熱収縮フィルムで包装する従来例に比べて、包装材に印字された情報を認識し易くすることができる一方、ラベルに食品情報等を印字して容器に貼付する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態の包装体の斜視図である。
【
図2】
図2は
図1の熱収縮性フィルムを熱収縮させる前における包装体の概略側面図である。
【
図4】
図4は容器の結合部分を、熱収縮性フィルム及び感熱フィルムによって包装する手順を説明するための概略平面図である。
【
図5】
図5は容器の結合部分を、熱収縮性フィルム及び感熱フィルムによって包装する手順を説明するための概略平面図である。
【
図6】
図6は容器の結合部分を、熱収縮性フィルム及び感熱フィルムによって包装する手順を説明するための概略平面図である。
【
図7】
図7は容器の結合部分を、熱収縮性フィルム及び感熱フィルムによって包装する手順を説明するための概略平面図である。
【
図8】
図8は容器の結合部分を、熱収縮性フィルム及び感熱フィルムによって包装する手順を説明するための概略平面図である。
【
図9】
図9は本発明の他の実施形態の包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装体の概略斜視図である。
【0049】
この実施形態の包装体1は、容器2と、該容器2を包装する包装材3とを備えている。容器2は、例えば、弁当や総菜等の食品が収容されてスーパーやコンビニエンスストア等で販売されるものである。この実施形態の容器2は、平面視円形の容器本体4と、該容器本体4に着脱自在に嵌合されて容器本体4の開口を閉塞する蓋体5からなる。この容器本体4及び蓋5は、樹脂材料からなる。
【0050】
包装材3は、帯状の熱収縮性フィルム6と、この熱収縮性フィルム6の幅以上の幅、この実施形態では、熱収縮性フィルム6よりも幅が広い帯状の非熱収縮性フィルムである感熱フィルム7とを、長手方向の一端同士及び他端同士を接合して、熱収縮性フィルム6を熱収縮させて、容器本体4と蓋体5との結合部分を、その全周に亘って包装したものである。
【0051】
この実施形態では、熱収縮性フィルム6は、容器本体4と蓋体5との結合部分の全周の一部である半周に亘る領域を包装し、感熱記録体としての感熱フィルム7は、前記結合部分の全周の残部である半周に亘る領域を包装している。
【0052】
図2は、熱収縮性フィルム6を熱収縮させる前において、包装材3を、容器2に巻き掛けた状態を示す概略側面図である。
【0053】
包装材3は、帯状の熱収縮性フィルム6と、この熱収縮性フィルム6に比べて幅広の感熱フィルム7の上部とを接合して、容器2の上部の、容器本体4と蓋体5との結合部分8の全周を囲むように筒状に形成される。この結合部分8は、容器2の外周における容器本体4と蓋体5との境界部分である。
【0054】
感熱フィルム7は、その上部が熱収縮性フィルム6に接合されて、前記結合部分8を囲む一方、熱収縮性フィルム6に比べて幅の広い領域が、容器本体4の半周に亘る外周面を覆うように、上部から下方へ垂下している。
【0055】
この
図2の状態において、熱収縮性フィルム6を加熱して熱収縮させることによって、熱収縮性フィルム6が、容器2の結合部分8を密閉して包装すると共に、熱収縮性フィルム6の熱収縮に伴って、感熱フィルム7も容器2の内方側へ引っ張られて容器2の結合部分8を密閉して包装し、
図1に示される包装体1となる。この包装体1では、熱収縮性フィルム6及び感熱フィルム7の上端は、蓋体5の上面まで延びている。
【0056】
感熱フィルム7の幅の広い領域には、容器2に収容されている食品情報、例えば、品名、原材料、消費期限、製造年月日、及び、バーコード等が印字されている。この食品情報の印字は、スーパーやコンビニエンスストア等の各店舗とは別のセンターの食品工場で行なわれ、各店舗へ配送される。
【0057】
このように包装材3は、容器本体4と蓋体5との結合部分8を、その全周に亘って密閉して包装する帯封としての機能を有すると共に、食品情報等を表示する表示部としての機能を有している。
【0058】
熱収縮性フィルム6は、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PV)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の延伸フィルムからなり、この実施形態では、例えば、透明な一軸延伸のポリスチレンからなる。
【0059】
感熱フィルム7は、後述のようにフィルム状の基材上に、感熱記録層が形成されており、この感熱フィルム7は、熱収縮性フィルム6の収縮温度、例えば、100℃前後では収縮しない材質である。
【0060】
この感熱フィルム7は、透明性に優れたフィルムであり、以下、この透明性に優れる感熱フィルム7の構成について説明する。
【0061】
この実施形態の感熱フィルム7は、
図3に示すように、フィルム状の基材9上に、加熱によって発色する感熱記録層10、中間層11、及び、トップコート層12が積層された構造となっている。
【0062】
基材9としては、透明の合成樹脂フィルム、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどを用いることができる。かかるフィルムの厚さは特に限定されないが、例えば、10μm~100μm程度が塗工性及び透明性に優れ、好ましい。
【0063】
感熱記録層10を形成する材料としては、加熱により発色する発色剤、顕色剤、充填剤、結着剤、及び滑剤などを含む。
【0064】
感熱記録層10の透明性を向上させるために、各材料は、粒子径の細かいものを使用するのが好ましい。このように粒子径の細かい材料とすることによって、粒子による光の乱反射を抑制することができる。
【0065】
具体的には、発色剤であるロイコ染料としては、例えば、2-アニリン-3メチル-6-(N-メチル-P-トルイジノ)フルオランなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.1~1.0μmであるのが好ましい。ここで、粒子径とは、マイクロトラックレーザー解析・散乱式粒度分析機による測定50%平均粒子径をいう。
【0066】
以下、「粒子径」とは、このマイクロトラックレーザー解析・散乱式粒度分析機による測定50%平均粒子径をいう。
【0067】
上記の顕色剤としては、例えば、3,3'-ジアリル-4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホンなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.1~1.0μmであるのが好ましい。
【0068】
上記の充填剤としては、例えば、カオリン、炭酸カルシウムなどを挙げることができ、それらの粒子径は、1.0μm以下であるのが好ましい。
【0069】
上記の結着剤としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体などを挙げることができる。
【0070】
上記の滑剤としては、ポリエチレン、ステアリン酸亜鉛、パラフィンなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.5μm以下であるのが好ましい。
【0071】
透明性を向上させるためには、パラフィンを含有させるのが特に有効であり、このパラフィンは、感熱記録層10の発色温度未満、好ましくは80℃未満、より好ましくは、50℃未満の低融点のパラフィンであるのが好ましい。
【0072】
この低融点のパラフィンの粒子径は、上記のように0.5μm以下であるのが好ましい。このパラフィンの含有量は、乾燥重量で、例えば、0.1~1.0g/m2であるのが好ましい。
【0073】
このように低融点のパラフィンを含有させることによって、感熱記録層形成用の塗液を、基材9上に塗布し、乾燥する際に、パラフィンが溶融し、感熱記録層10を構成する粒子の表面の凹凸等の隙間に入り込んで、隙間を埋めることになり、これによって、粒子表面の光の乱反射を抑制して透明性を向上させることができる。
【0074】
水や油に対するバリアー性を有する中間層11は、主に、樹脂によって形成されている。
【0075】
この中間層11の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂のエマルション、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂等の水溶性樹脂、SBR樹脂などが挙げられる。
【0076】
透明性を向上させるためには、前記樹脂は、水溶性部分を有する樹脂、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)樹脂、あるいは、疎水性のコア粒子を、水溶性のシェルポリマーでコーティングしたコア-シェル構造の樹脂、例えば、コア-シェル型アクリル樹脂などが好ましい。
【0077】
水溶性のポリビニルアルコール(PVA)やコア-シェル型のアクリル樹脂は、成膜性が良好であり、感熱記録層10上に、中間層形成用の塗液を塗布して乾燥する際に、水溶性部分を有する樹脂が、感熱記録層10へ染み込んで平滑な中間層11が形成されるので、感熱記録層10での光の乱反射が抑制されて透明性が向上する。
【0078】
コア-シェル型の樹脂は、従来公知であり、例えば、コア-シェル型アクリル樹脂として、バリアスター(三井化学社製)の名称で市販されているものなどを挙げることができる。
【0079】
トップコート層12は、サーマルヘッドに対する感熱フィルム7のマッチング性を向上させて、感熱記録層10の発色が順調に行われるようにするものであり、このトップコート層12は、結着剤中に充填剤、滑剤、架橋剤などを添加したものが用いられる。
【0080】
結着剤である樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、などが挙げられる。
【0081】
滑剤としては、例えば、ポリエチレン、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。
【0082】
架橋剤としては、例えば、炭酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0083】
充填剤としては、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)などが挙げられる。
【0084】
これら充填剤の粒子径は、1.0μm以下であるのが好ましい。
【0085】
透明性を向上させるためには、充填剤として、粒子径の小さいコロイダルシリカが好ましい。
【0086】
以上のような材料によって形成される感熱記録層10、中間層11、及び、トップコート層12の厚み、すなわち、基材9を除いた感熱フィルム7の厚みは、特に限定されないが、1.0μm以上の厚みにおいて、当該感熱フィルム7の不透明度が、10%以下である。この不透明度は、紙の不透明度の測定規格であるJISP8149に基づくものである。
【0087】
次に、この包装材3による包装方法に係る各実施形態を説明する。
【0088】
(第1実施形態)
包装材3による包装方法に係る第1実施形態では、所定の長さに切断した熱収縮フィルム6及び感熱フィルム7を、熱や接着剤によって、長手方向の一端同士及び他端同士をそれぞれ接合して環状の包装材3を予め形成する。この環状の包装材3を、上記
図2に示されるように、容器2の上部の、容器本体4と蓋体5との結合部分8の全周を囲むように嵌め、その後、シュリンクトンネルを通過させて、熱収縮性フィルム6を加熱して熱収縮させる。この熱収縮性フィルム6の熱収縮に伴って、熱収縮性フィルム6及び感熱フィルム7が、容器2の結合部分8を締付けるようにして密閉して包装し、上記
図1に示される包装体1を得る。
【0089】
(第2実施形態)
次に、包装方法に係る第2実施形態を、
図4~
図8に示される概略平面図に基づいて説明する。
【0090】
この第2実施形態の包装方法は、機械に容器2を通すことにより熱収縮性フィルム6と感熱フィルム7とが容器2に巻き掛けられて溶着・切断されることによって包装材3が容器2に装着されるものである。
【0091】
先ず、
図4に示すように、長尺の熱収縮性フィルム6がロール状に巻回された熱収縮性フィルムロール13と、長尺の感熱フィルム7がロール状に巻回された感熱フィルムロール14とを、予め準備する。
【0092】
感熱フィルムロール14から繰り出された感熱フィルム7には、感熱式の印刷装置15によって、上記の食品情報が印字される。食品情報が印字された感熱フィルム7の長手方向の一端と、熱収縮性フィルムロール13から繰り出された熱収縮性フィルム6の長手方向の一端とが、熱溶着によって接合されている。
【0093】
容器2は、搬送コンベヤ16によって矢符Aで示される方向へ搬送され、容器2が、ガイドローラ17,17間を通過する際に、
図5に示されるように、両フィルムロール13,14から両フィルム6,7が繰り出され、容器2の結合部分8を囲むように巻掛けられる。
【0094】
容器2が、
図6に示されるように、搬送コンベヤ16によって、ガイドローラ17,17間、及び、その下流の一対の溶着・切断装置18,18を通過した後、搬送コンベヤ16が一旦停止される。
【0095】
この状態で、容器2を、図示しない押圧部材によって押圧固定し、一対の溶着・切断装置18,18を互いに接近させ、
図7に示されるように、両フィルム6,7を挟持して、その長手方向の他端同士を溶着及び切断して、容器2に各フィルム6,7がそれぞれ半周ずつ全周に亘って、容器2の結合部分8を囲むように巻掛けられて、上記
図2の状態となる。
【0096】
その後、
図8に示すように、一対の溶着・切断装置18,18を互いに離間させ、搬送コンベヤ16を再び駆動して、容器2を、矢符A方向へ搬送して、熱収縮トンネルであるシュリンクトンネル19を通過させ、熱収縮性フィルム6を加熱して熱収縮させる。この熱収縮性フィルム6の熱収縮に伴って、熱収縮性フィルム6及び感熱フィルム7が、容器2の結合部分8を締付けるようにして密閉して包装し、上記
図1に示される包装体1を得る。
【0097】
このように本実施形態の包装体1は、容器本体4と蓋体5との結合部分8を密閉して包装することができる
また、熱収縮しない感熱フィルム7は、結合部分8を包装するだけではなく、容器本体4の外周面を覆うように垂下された幅広の領域に、食品情報が印字されるので、印字された食品情報が加熱によってひずむのを抑制することができ、感熱フィルム7に印字された情報が確認し易いものとなる。
【0098】
これによって、容器本体と蓋体との結合部分の全周を熱収縮フィルムで包装する従来例に比べて、包装材に印字された情報を認識し易くすることができる一方、食品情報を、別途ラベルに印字し、このラベルを、包装した容器の表面に貼付するといった作業が不要となる。
【0099】
食品情報が印字された感熱フィルム7の幅広の領域は、容器本体4の外周面を覆うように垂下しているので、透明な蓋体5を介して容器本体4の内部の食品を視認する妨げになることはない。
【0100】
更に、この実施形態では、感熱フィルム7の幅広の領域には、バーコード20を印字しており、容器本体4の外周面のバーコード20に対応する領域は、例えば、白色系の無地となっているので、バーコードリーダによって、バーコード20の情報を読取ることができる。このように感熱フィルム7にバーコード20を印字すればよく、従来のように、容器本体にバーコードを印字する必要がない。
【0101】
(その他の実施形態)
感熱フィルム7への印字は食品情報に限らず、例えば、販売を促進するための広告メッセージ等を印字してもよく、ロゴマーク等を印字してもよい、
容器2の形状は、平面視円形に限らず、矩形、多角形、あるいは、楕円形等の任意の形状のものに適用することができる。
【0102】
熱収縮性フィルム6と感熱フィルム7との長手方向の長さは、上記のように同じである必要はなく、熱収縮性フィルム6を感熱フィルム7に比べて長くしてもよく、あるいは、感熱フィルム7を熱収縮性6に比べて長くしてもよい。
【0103】
包装材3の形状は、上記実施形態に限らず、例えば、
図9に示すように、感熱フィルム7の熱収縮性フィルム6に比べて幅の広い領域を、下方へ垂下するのではなく、上方の蓋体5側へ向かって立ち上げるようにしてもよい。
【0104】
図9の例では、感熱フィルム7の幅の広い領域には、
図1と同様に、品名、原材料、消費期限等を印字しているが、このように上方に立ち上げた幅の広い領域は、目立って、消費者の目を引き易いので、この幅の広い領域に、商品の関する広告等を印字しておくことによって、販売促進を図ることができる。
【0105】
上記実施形態では、感熱記録体として、基材がフィルムである感熱フィルムに適用して説明したが、基材としては、フィルムに限らず、紙、不織布、金属箔、または、これらを組み合わせた複合シートなども適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 包装体
2 容器
3 包装材
4 容器本体
5 蓋体
6 熱収縮性フィルム
7 感熱フィルム
8 結合部分
15 印刷装置
16 搬送コンベヤ
18 溶着・切断装置
19 シュリンクトンネル