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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】パーティション
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
E04B2/74 561L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018203240
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2020070570
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 延忠
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-262748(JP,A)
【文献】実開平06-010587(JP,U)
【文献】米国特許第02162523(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
A47G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床上に置かれるベース体と、
前記ベース体が区画する収容領域に折り畳み状態で収容可能であり、かつ前記収容領域から引き出されて展開可能であり、さらに複数のキャスターによって床上を移動可能な可動パネルと、を備え、
前記ベース体は、床面に沿うように配置される脚体を備え、
前記脚体は、第一方向に延びる基部と、少なくとも前記基部の前記第一方向の一端部から前記第一方向と交差する第二方向に延びる脚杆と、を備え、
前記可動パネルは、相互に折り畳み可能に連結される複数の単位パネルを備え、
前記第一方向において、前記脚杆よりも前記基部側の領域を、前記可動パネルを折り畳み状態で収容可能な前記収容領域とし、前記脚杆よりも前記基部と反対側の領域を、前記可動パネルが展開可能な展開領域とし、
前記可動パネルの展開状態において、前記ベース体側を基端側とし、前記ベース体と反対側を先端側としたとき、
前記複数の単位パネルの内、最も基端側に位置する第一パネルの基端部は、前記ベース体のパネル支持部に、上下方向に沿う基端回動軸線を中心に回動可能に支持され、前記第一パネルの先端部には、前記第一パネルの先端側に隣接する第二パネルの基端部が、上下方向に沿う回動軸線を中心に回動可能に連結され、
前記第一パネルにはキャスターが配置されず、前記第二パネルにおける先端部を避けた位置キャスターが配置されている、パーティション。
【請求項2】
前記第二パネルに一つのキャスターを設けている、請求項1に記載のパーティション。
【請求項3】
前記ベース体は、前記第一方向の端部であり前記脚杆を備える端部に、前記可動パネルの基端部を支持するパネル支持部を備えている、請求項1又は2に記載のパーティション。
【請求項4】
前記可動パネルの折り畳み状態において、前記複数の単位パネルは、蛇腹状に折り畳まれて前記第二方向で積層され、
前記可動パネルを構成する前記複数の単位パネルの数は奇数枚であり、
前記複数の単位パネルの内、最も基端側に位置する前記第一パネルは、前記第一方向で前記パネル支持部から前記基部側へ延び、最も先端側に位置する先端パネルは、前記第一方向で前記脚杆側から前記基部側へ延びている、請求項3に記載のパーティション。
【請求項5】
前記脚体は、前記第一方向に延びる前記基部としての接続杆と、前記接続杆の前記第一方向の両端部から前記第二方向に延びる一対の前記脚杆と、を備え、前記可動パネルは、前記第一方向で一対設けられている、請求項1から4の何れか一項に記載のパーティション。
【請求項6】
前記接続杆の上方に、前記第一方向で前記接続杆の長さと同等の幅を有し、かつ前記可動パネルと同等の高さを有して上下方向に起立する背面パネルを備えている、請求項5に記載のパーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示されるように、折り畳み状態と展開状態との間で位置を変化させることが可能な可動パネルと、可動パネルの下端部に設けられたキャスターと、を備えたパーティションが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2013-525638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、可動パネルを支持するベース体は、床面に沿うように配置される脚体を備えている。脚体は、ベース体の周囲に広がるように脚杆を延ばし、ベース体ひいてはパーティションを安定させている。
脚杆は、脚杆延伸方向に可動パネルを引き出す構成であれば、可動パネルのキャスターが脚杆に干渉することはほとんど発生しない。しかし、可動パネルを両開きにする等、可動パネルを大きく展開する場合には、脚杆を越えて可動パネルを延ばす(脚杆延伸方向とパネル引き出し方向とが交差する)ことがある。また、可動パネルの大型化に伴い、可動パネルの展開状態の先端部のみならず、展開状態の基端側にもキャスターを配置することが望ましい。また、キャスターを増設すると、脚杆にキャスターが干渉しやすくなるため、キャスターの干渉を避けてパーティションをスムーズに開閉可能とする構成が望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、可動パネルの先端部から基端部にかけて複数のキャスターを配置しながら、可動パネルの展開方向と脚杆の延伸方向とが交差する場合にも、可動パネルをスムーズに開閉可能なパーティションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様に係るパーティションは、床上に置かれるベース体と、前記ベース体が区画する収容領域に折り畳み状態で収容可能であり、かつ前記収容領域から引き出されて展開可能であり、さらに複数のキャスターによって床上を移動可能な可動パネルと、を備え、前記ベース体は、床面に沿うように配置される脚体を備え、前記脚体は、第一方向に延びる基部と、少なくとも前記基部の前記第一方向の一端部から前記第一方向と交差する第二方向に延びる脚杆と、を備え、前記可動パネルは、相互に折り畳み可能に連結される複数の単位パネルを備え、前記脚杆よりも前記基部側の領域を、前記可動パネルを折り畳み状態で収容可能な前記収容領域とし、前記脚杆よりも前記基部と反対側の領域を、前記可動パネルが展開可能な展開領域とし、前記可動パネルの展開状態において、前記ベース体側を基端側とし、前記ベース体と反対側を先端側としたとき、前記複数の単位パネルの内、最も基端側に位置する第一パネルの基端部は、前記ベース体のパネル支持部に、上下方向に沿う基端回動軸線を中心に回動可能に支持され、前記第一パネルの先端部には、前記第一パネルの先端側に隣接する第二パネルの基端部が、上下方向に沿う回動軸線を中心に回動可能に連結され、前記第一パネルにおける前記基端回動軸線から前記脚杆の延出先端部までの距離よりも離間した位置、および前記第二パネルにおける先端部を避けた位置、の少なくとも一方にキャスターが配置されている。
【0007】
上記態様によれば、第一パネルにキャスターを設ける場合、基端回動軸線からキャスターまでの距離が、基端回動軸線から脚杆の延出先端までの距離よりも大となるように、可動パネルにキャスターを配置するので、第一パネルが基端回動軸線を中心に回動した際に、キャスターが脚杆に干渉しない配置となる。第二パネルにキャスターを設ける場合、第二パネルの先端部は、可動パネルの展開操作時(開操作時)および折り畳み操作時(閉操作時)の何れにも、脚杆の延出先端部に接近することから、第二パネルの先端部を避けてキャスターを配置することで、可動パネルの展開時および折り畳み時の何れにも、キャスターが脚杆に干渉しない配置となる。
このように、可動パネルを開閉する際にキャスターと脚杆との干渉を避けることが可能となるので、可動パネルの先端部から基端部にかけて複数のキャスターを配置しながら、可動パネルの展開方向と脚杆とが交差する場合にも、可動パネルをスムーズに開閉可能なパーティションを提供することができる。
【0008】
上記態様において、前記第一パネルおよび前記第二パネルの何れか一方に一つのキャスターを設けてもよい。
【0009】
この場合、脚杆に近く当たりやすい第1パネル及び第2パネルのキャスター数を減らし、可動パネルの開閉時にキャスターが脚杆に当たり難くなる。一方、可動パネルにおけるベース体側の第一パネル及び第二パネルのどちらかにキャスターを設けることで、可動パネルの操作部から遠いベース体側の動作が安定する。また、ベース体のパネル支持部に可動パネルから入力される荷重が小さくなり、ベース体の損耗を小さくすることが出来る。
【0010】
上記態様において、前記ベース体は、前記第一方向の端部であり前記脚杆を備える端部に、前記可動パネルの基端部を支持するパネル支持部を備えてもよい。
【0011】
この場合、パネル支持部が展開領域と収容領域との間に配置されるので、パーティションの使用時には可動パネルを脚杆よりもベース体の外側に大きく展開し、パーティションの非使用時には可動パネルを第一方向で脚杆よりもベース体の内側にコンパクトに収容することができる。
【0012】
上記態様において、前記可動パネルの折り畳み状態において、前記複数の単位パネルは、蛇腹状に折り畳まれて前記第二方向で積層され、前記可動パネルを構成する前記複数の単位パネルの数は奇数枚であり、前記複数の単位パネルの内、最も基端側に位置する前記第一パネルは、前記第一方向で前記パネル支持部から前記基部側へ延び、最も先端側に位置する先端パネルは、前記第一方向で前記脚杆側から前記基部側へ延びてもよい。
【0013】
この場合、可動パネルを構成する奇数枚の単位パネルは、蛇腹状に折り畳まれた際、第一パネルおよび先端パネルの何れも、脚杆側から基部側へ延びる配置となる。この可動パネルを展開すると、第一パネルから先端パネルまでの全ての単位パネルが、ベース体の脚杆よりも外側に広がる展開領域へ延びる配置が可能であり、可動パネルが大きく展開可能となる。可動パネルを大きく展開した状態で安定させるためには、可動パネルの先端部にキャスターを設けることが望ましい。このとき、複数の単位パネルの数が奇数枚であれば、可動パネルの先端部のキャスターは、可動パネルの折り畳み状態において、先端パネルにおける脚体から離れた先端部に配置される。このため、可動パネルを展開する際に先端部のキャスターが脚杆に干渉し難くなる。
【0014】
上記態様において、前記脚体は、前記第一方向に延びる前記基部としての接続杆と、前記接続杆の前記第一方向の両端部から前記第二方向に延びる一対の前記脚杆と、を備え、前記可動パネルは、前記第一方向で一対設けられてもよい。
【0015】
この場合、2本の脚杆を備える脚体の第一方向両側から、一対の可動パネルをそれぞれ展開することが可能であり、かつ2本の脚杆の間に各可動パネルを折り畳んで収容可能となるため、パーティションの使用時には各可動パネルを大きく展開し、パーティションの非使用時には各可動パネルをコンパクトに収容することができる。
【0016】
上記態様において、前記接続杆の上方に、前記第一方向で前記接続杆の長さと同等の幅を有し、かつ前記可動パネルと同等の高さを有して上下方向に起立する背面パネルを備えてもよい。
【0017】
この場合、各可動パネルを展開した際、2つの展開された可動パネルの間に、これらと同等高さの背面パネルが配置されるため、全体として第一方向に長い距離で仕切り(目隠し)を設けることが可能となり、利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、可動パネルの先端部から基端部にかけて複数のキャスターを配置しながら、可動パネルの展開方向と脚杆の延伸方向とが交差する場合にも、可動パネルをスムーズに開閉可能なパーティションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係るパーティションを含む什器システムの斜視図である。
図2】上記パーティションの可動パネルを展開した状態の上面図である。
図3】上記パーティションの可動パネルを展開した状態の正面図である。
図4】上記パーティションの可動パネルを折り畳んだ状態の上面図である。
図5】上記パーティションの可動パネルを折り畳んだ状態の正面図である。
図6】上記パーティションの可動パネルを折り畳んだ状態の斜視図である。
図7】上記パーティションの一方の可動パネルを展開し他方の可動パネルを折り畳んだ状態の上面図である。
図8】上記パーティションの可動パネルを折り畳み状態から展開する際の第一の作用を示す上面図である。
図9】上記パーティションの可動パネルを折り畳み状態から展開する際の第二の作用を示す上面図である。
図10】上記パーティションの可動パネルを折り畳み状態から展開する際の第三の作用を示す上面図である。
図11】上記パーティションの可動パネルを折り畳み状態から展開する際の第四の作用を示す上面図である。
図12】上記パーティションの可動パネルを展開状態から折り畳む際の第一の作用を示す上面図である。
図13】上記パーティションの可動パネルを展開状態から折り畳む際の第二の作用を示す上面図である。
図14】実施形態の第一の変形例を示す図7に相当する上面図である。
図15】実施形態の第二の変形例を示す図7に相当する上面図である。
図16】実施形態の第三の変形例で可動パネルを折り畳んだ状態を示す上面図である。
図17】実施形態の第三の変形例で可動パネルを展開した状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態のパーティション1について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のパーティション1を含んで半個室を形成する什器システムSの斜視図である。図1では、什器システムSの一例として、病室のベッドBの周囲をパーティション1および一対のサイドパーティション1sで囲んだ例を示している。
【0021】
什器システムSにおいて、ベッドBの左右側方の離間位置には、それぞれサイドパーティション1sが配置されている。
サイドパーティション1sは、床上に置かれるベース体5sと、ベース体5sの内側に区画される収容領域に折り畳み状態で収容可能であり、かつ前記収容領域から引き出されて展開可能であり、さらに複数のキャスター55sによって床上を移動可能な可動パネル30sと、を備えている。
【0022】
ベース体5sは、水平な床面Fに沿うように配置される脚体10sを備えている。脚体10sは、ベース幅方向(第一方向、図中矢印Xsで示す)に延びる基部(接続杆)11sと、基部11sのベース幅方向Xsの両端部からベース幅方向Xsと交差(直交)するベース奥行方向(第二方向、図中矢印Ysで示す)に延びる一対の脚杆12sと、を備えている。各脚杆12sの延出方向両端部には、それぞれ脚用キャスター13sが設けられている。一対の脚杆12sは、ベース体5sにおけるベース幅方向Xsの両端部に設けられるといえる。
【0023】
基部11sの長さ方向中央部の上方には、上下方向に沿う支柱20sが起立している。支柱20sの上下端部には、可動パネル30sの基端部の上下端部を支持する上下パネル支持部22sがそれぞれ設けられている。
【0024】
ベース体5sは、ベース幅方向XsをベッドBの左右方向に向けて配置されている。基部11sよりもベース奥行方向一側(ベッドBの足側)で左右脚杆12s間に位置する領域は、折り畳み状態の可動パネル30sを収容する収容領域とされている。収容領域よりもベース奥行方向一側(基部11sと反対側)に位置する領域は、ベース奥行方向(脚杆延伸方向)に可動パネル30sを引き出すように展開させる展開領域とされている。以下、可動パネル30sの展開状態において、ベース奥行方向Yのベース体5s側を可動パネル30sおよび各単位パネル40sの基端側、ベース奥行方向Yのベース体5sと反対側を可動パネル30sおよび各単位パネル40sの先端側とする。
【0025】
可動パネル30sは、上下方向に起立する複数の単位パネル40sを備えている。複数の単位パネル40sは、上下方向から見て蛇腹状に屈伸動可能に連結されている。複数の単位パネル40sの内の隣接するパネル同士は、実質的に、上下方向に沿う回動軸線を中心に相対回動可能に連結されている。各単位パネル40sは、正面視(パネル平面視)で上下方向に長い長方形状をなしている。各単位パネル40sは、互いに同一部品とされている。各単位パネル40sは、互いに同一の上下方向高さに配置されている。以下、各単位パネル40sの正面視長方形状の短辺に沿う方向をパネル幅方向という。複数の単位パネル40sは、可動パネル30sの基端側から先端側へ順次並び、各単位パネル40sがパネル幅方向で互いに隣接して配置されている。
【0026】
可動パネル30sは、折り畳み状態と展開状態との間で態様を変化可能である。
可動パネル30sの折り畳み状態において、複数の単位パネル40sは、蛇腹状に折り畳まれてベース奥行方向Ysで積層された状態となる。このとき、各単位パネル40sは、パネル幅方向をベース幅方向Xsに向けている。
可動パネル30sの展開状態において、複数の単位パネル40sは、ベース奥行方向Ysに並ぶように大きく展開される。このとき、各単位パネル40sは、上下方向から見て鈍角状に屈曲して緩やかに蛇行しながら並び、全体的に概ねベース奥行方向Ysに延びている。
【0027】
複数の単位パネル40sの内、最も基端側に位置する第一パネルは、基端部の上下端部がベース体5sの上下パネル支持部22sに、上下方向に沿う基端回動軸を介して回動可能に支持されている。第一パネルの先端部には、第二パネルの基端部が、上下方向から見て屈伸動可能に連結されている(実質的に、上下方向に沿う回動軸線を中心に回動可能に連結されている。)。以下同様に、第三~第七パネルが上下方向から見て屈伸動可能に連結されている。
【0028】
複数の単位パネル40sの内、最も先端側に位置する第七パネル(先端パネル)の先端部には、可動パネル30sの折り畳み操作時(閉操作時)および展開操作時(開操作時)に使用者が把持する操作部としての取っ手49sが設けられている。取っ手49sは、可動パネル30sの開閉動作を阻害しない位置であれば、先端パネルの先端部に限らず、基端部であったり基端部および先端部の間の中間部(中央部に限らない)に設けてもよい。なお、支柱20sにも使用者が把持する取っ手21sが設けられている。
【0029】
什器システムSにおいて、ベッドBの足側の離間位置には、本実施形態のパーティション1が配置されている。
図2図7を併せて参照し、パーティション1は、床上に置かれるベース体5と、ベース体5の内側に区画される収容領域に折り畳み状態で収容可能であり、かつ前記収容領域から引き出されて展開可能であり、さらに複数のキャスター55A~55Cによって床上を移動可能な一対の可動パネル30A,30Bと、を備えている。以下、ベッドB側から見て右側の可動パネル30Aを第一可動パネル30A、左側の可動パネル30Bを第二可動パネル30Bという。
【0030】
ベース体5は、水平な床面Fに沿うように配置される脚体10を備えている。脚体10は、ベース幅方向(第一方向、図中矢印Xで示す)に延びる基部11(以下、接続杆11ということがある。)と、基部11のベース幅方向Xの両端部からベース幅方向Xと交差(直交)するベース奥行方向(第二方向、図中矢印Yで示す)に延びる一対の脚杆12と、を備えている。各脚杆12の延出方向両端部には、それぞれ脚用キャスター13が設けられている。一対の脚杆12は、ベース体5におけるベース幅方向Xの両端部に設けられるといえる。
【0031】
接続杆11の長さ方向両端部の上方には、それぞれ上下方向に沿う支柱20が起立している。一方の支柱20の上下端部には、第一可動パネル30Aの基端部の上下端部を支持する上下パネル支持部22がそれぞれ設けられている。他方の支柱20の上下端部には、第二可動パネル30Bの基端部の上下端部を支持する上下パネル支持部22がそれぞれ設けられている。
【0032】
ベース体5は、ベース幅方向XをベッドBの左右方向に向けて配置されている。接続杆11よりもベース奥行方向他側(ベッドBの頭側)で左右脚杆12間に位置する領域は、折り畳み状態の第一可動パネル30Aおよび第二可動パネル30Bを収容する収容領域とされている。収容領域は、ベース幅方向Xに並ぶ第一収容領域および第二収容領域を形成している。
【0033】
第一収容領域と同側の脚杆12よりもベース幅方向外側(基部11と反対側)に位置する領域は、脚杆12よりもパネル幅方向外側に第一可動パネル30Aを引き出すように展開させる第一展開領域とされている。第二収容領域と同側の脚杆12よりもベース幅方向外側(基部11と反対側)に位置する領域は、脚杆12よりもパネル幅方向外側に第二可動パネル30Bを引き出すように展開させる第二展開領域とされている。
【0034】
以下、各可動パネル30A,30Bの展開状態において、ベース幅方向のベース体5側を各可動パネル30A,30Bおよび各単位パネル40A~40Eの基端側とし、ベース幅方向のベース体5と反対側を各可動パネル30A,30Bおよび各単位パネル40A~40Eの先端側とする。
【0035】
各可動パネル30A,30Bは、上下方向に起立する複数の単位パネル40A~40Eを備えている。複数の単位パネル40A~40Eの内の隣接するパネル同士は、実質的に、上下方向に沿う回動軸線C2~C7を中心に相対回動可能に連結されている。複数の単位パネル40A~40Eは、上下方向から見て蛇腹状に屈伸動可能に連結されている。各単位パネル40A~40Eは、正面視(パネル平面視)で上下方向に長い長方形状をなしている。各単位パネル40A~40Eは、互いに同一部品とされている。各単位パネル40A~40Eは、互いに同一の上下方向高さに配置されている。以下、各単位パネル40A~40Eの正面視長方形状の短辺に沿う方向をパネル幅方向という。複数の単位パネル40A~40Eは、各可動パネル30A,30Bの基端側から先端側へ順次並び、各単位パネルがパネル幅方向で互いに隣接して配置されている。
【0036】
各可動パネル30A,30Bは、折り畳み状態と展開状態との間で態様を変化可能である。
各可動パネル30A,30Bの折り畳み状態において、複数の単位パネル40A~40Eは、蛇腹状に折り畳まれてベース奥行方向Yで積層された状態となる。このとき、各単位パネル40A~40Eは、パネル幅方向をベース幅方向Xに向けている。
各可動パネル30A,30Bの展開状態において、複数の単位パネル40A~40Eは、ベース幅方向Xに並ぶように大きく展開される。このとき、各単位パネル40A~40Eは、上下方向から見て鈍角状に屈曲して緩やかに蛇行しながら並び、全体的に概ねベース幅方向Xに延びている。
【0037】
複数の単位パネル40A~40Eの内、最も基端側に位置する第一パネル40Aは、基端部の上下端部がベース体5の上下パネル支持部22に、上下方向に沿う基端回動軸を介して回動可能に支持されている。第一パネル40Aの先端部には、第二パネル40Bの基端部が、上下方向から見て屈伸動可能に連結されている(実質的に、上下方向に沿う回動軸線C2を中心に回動可能に連結されている。)。以下同様に、第三~第五パネル40C~40Eが上下方向から見て屈伸動可能に連結されている。複数の単位パネル40A~40Eの内、最も先端側に位置する第五パネル40Eを先端パネル40Eということがある。
【0038】
先端パネル40Eの先端部には、各可動パネル30A,30Bの折り畳み操作時(閉操作時)および展開操作時(開操作時)に使用者が把持する操作部としての取っ手49が設けられている。取っ手49は、各可動パネル30A,30Bの開閉動作を阻害しない位置であれば、先端パネル40Eの先端部に限らず、基端部であったり基端部および先端部の間の中間部(中央部に限らない)に設けてもよい。なお、各支柱20にも使用者が把持する取っ手21が設けられている。
【0039】
図2図7を参照し、一対の支柱20の間には、正面視で上下方向に長い長方形状の背面パネル50が取り付けられている。背面パネル50の上下方向寸法は、各可動パネル30A,30Bと同等の上下方向寸法とされている。背面パネル50のパネル幅方向寸法は、各単位パネル40A~40Eのパネル幅寸法の二倍を超える程度とされている。背面パネル50の正面視長方形状の両長辺部は、一対の支柱20にそれぞれ支持、固定されている。以下、背面パネル50の厚さ方向一側(収容領域側、図ではベッドB側)のパネル面を表面、厚さ方向他側のパネル面を裏面とする。ベース体5における背面パネル50の裏面側には、種々のオプション部品OPが取り付け可能とされている。
【0040】
各可動パネル30A,30Bの展開状態において、厚さ方向一側(背面パネル50の表面と同側)のパネル面を表面、厚さ方向他側(背面パネル50の裏面と同側)のパネル面を裏面とする。各可動パネル30A,30Bの折り畳み状態において、第一パネル40Aおよび第二パネル40Bは裏面同士を対向させ、第二パネル40Bおよび第三パネル40Cは表面同士を対向させ、第三パネル40Cおよび第四パネル40Dは裏面同士を対向させ、第四パネル40Dおよび第五パネル40Eは表面同士を対向させる。蛇腹状に折り畳まれた各可動パネル30A,30Bは、第一パネル40Aの表面を背面パネル50の表面に対向させるように基端回動軸回りに回動し、背面パネル50の表面側の収容領域に収容される。図中符号C1は基端回動軸の中心軸線(基端回動軸線)を示す。
【0041】
パネル幅方向で隣接する一対の単位パネルは、各可動パネル30A,30Bの折り畳み状態において、パネル面同士を対向させるように屈曲する。このとき、対向するパネル面同士のなす角度は0°となる。前記一対の単位パネルは、各可動パネル30A,30Bの展開状態において、前記対向するパネル面同士のなす角を広げるように伸長する。このとき、対向していたパネル面同士のなす角度は最大180°となる。
【0042】
前記一対の単位パネル間の関節部分は、連結する一対の単位パネルを、最大180°開くまで回動させ、180°を越える回動は規制する。前記関節部分は、例えば折り畳み時に対向するパネル面に沿うように配置されたヒンジ(いわゆる弾性ヒンジを含む)である。
【0043】
図3を参照し、各キャスター55A~55Cは、上下方向に延びるシャフト56と、シャフト56の下端部に設けられた車輪57と、を有している。各キャスター55A~55Cのシャフト56は、第二パネル40B、第四パネル40Dおよび第五パネル40Eの下端部に支持されている。各キャスター55A~55Cは、シャフト56の軸回りに旋回可能である。車輪57の回転軸は、シャフト56の軸方向視(上下方向視)でシャフト56の中心軸線に対してオフセットしている。各キャスター55A~55Cは、脚体10が床面Fに沿って移動しようとすると、シャフト56に対して車輪57の接地点を脚体10の移動方向と反対側に位置させるように、シャフト56回りに回転する。脚用キャスター13は、床面Fに対する車輪57の回転を規制するロック機構を有している。
【0044】
図7を参照し、各単位パネル40A~40Eの下端部には、パネル幅方向の両端部およびこれら両端部の間(中間部)の二か所に、それぞれキャスター取付部61が設けられている。これら複数のキャスター取付部61は、例えばパネル幅方向で等間隔に並んで配置されている。各単位パネル40A~40Eにおける各キャスター55A~55Cを取り付ける「端部」とは、パネル幅方向で並ぶ複数のキャスター取付部61の内、両端部に位置するキャスター取付部61により規定される。例えば、前記「端部」は、取り付けたキャスター55Aがシャフト56回りに旋回した際に、キャスター55Aの旋回軌跡内に各単位パネル40A~40Eのパネル幅方向の末端が入る範囲である。各単位パネル40A~40Eの上下端部におけるパネル幅方向の両端部には、第一パネル40Aとして使用されるときに用いられる被軸支部62が設けられている。上下の被軸支部62は、第一パネル40Aとして使用されるときに、上下のパネル支持部22にそれぞれ基端回動軸を介して回動可能に支持される。
【0045】
各可動パネル30A,30Bを両開きにして大きく展開するパーティション1において、各可動パネル30A,30Bの展開状態の基端側にもキャスター55Aを配置するために、図の例では、先端パネル40Eの先端部のキャスター55Cのみならず、第二および第四パネル40B,40Dにもキャスター55A,55Bを設けている。これらのキャスター55A~55Cは、図4図7に示すように、各可動パネル30A,30Bの折り畳み状態において、互いにパネル幅方向の位置をずらすように配置されている。
【0046】
各キャスター55A~55Cは、シャフト56回りに回転したときにも他のキャスター55Aに干渉しないように、相互に離間して配置されている。これにより、キャスター55A~55C同士が干渉して各可動パネル30A,30Bの折り畳みを阻害することを抑止している。第二パネル40Bに設けるキャスター55Aは、第二パネル40Bの中間部における基端側のキャスター取付部61に取り付けられている。第四パネル40Dに設けるキャスター55Bは、第四パネル40Dの中間部における先端側のキャスター取付部61に取り付けられている。
【0047】
次に、図8図11を参照し、各可動パネル30A,30Bを折り畳み状態から展開する際の各可動パネル30A,30Bの動きについて説明する。以下、一方の可動パネル30Aの展開について説明するが、他方の可動パネル30Bの展開も同様とする。
【0048】
まず、図8に示すように、使用者が取っ手49を把持し、可動パネル30Aの先端パネル40Eを回動(展開)させる。このとき、先端パネル40Eの先端部をベース幅方向外側(展開方向)に移動させるように、先端パネル40Eをその基端部を中心に回動させる。先端パネル40Eにおけるベース幅方向Xで脚杆12と反対側に位置する先端部に設けたキャスター55Cは、先端パネル40Eがベース幅方向Xで脚杆12側に位置する基端部を中心に回動した際、脚杆12を大きく迂回して移動する。このため、先端パネル40Eのキャスター55Cが脚杆12に干渉することはない。なお、本実施形態では、各単位パネル40A~40Eにおけるパネル幅方向の寸法は、脚杆12における基部11からの延出長さよりも大である。
【0049】
先端パネル40E(第五パネル40E)を最大展開角度(180°)近くまで回動させると(図9参照)、続いて第四パネル40Dが、ベース幅方向Xで脚杆12と反対側に位置する基端部を中心に回動する。このとき、第四パネル40Dの先端部は展開方向に引かれているので、第四パネル40Dが回動しようとすると、第三パネル40Cの先端部が展開方向に引かれ、もって第三パネル40Cも回動を開始する。
その後、第三パネル40Cの展開角度が増加すると(図10参照)、続いて第二パネル40Bが、ベース幅方向Xで脚杆12と反対側に位置する基端部を中心に回動し、併せて第一パネル40Aも回動を開始する。
【0050】
第三パネル40Cの展開角度が増加したとき、第三パネル40Cの基端部および第二パネル40Bの先端部が脚杆12の延出先端部に接近する。さらに第三パネル40Cを展開方向に開くと、第三パネル40Cの基端部および第二パネル40Bの先端部が脚杆12の延出先端部の上方を通過する(図11参照)。このとき、第三パネル40Cにはキャスター55Aを設けておらず、かつ第二パネル40Bに設けたキャスター55Aは第二パネル40Bの先端部を避けた配置とされているので、キャスター55Aが脚杆12に干渉することはない。そして、可動パネル30Aの基端側に位置する第一パネル40Aおよび第二パネル40Bにおいて、第二パネル40Bにのみ一つのキャスター55Aを設けているので、可動パネル30Aにおける操作部から遠い基端側でのキャスター55Aの脚杆12への干渉を抑え、可動パネル30Aの展開作業を容易かつスムーズにする。
【0051】
次に、図12図13を参照し、各可動パネル30A,30Bを展開状態から折り畳む際の各可動パネル30A,30Bの動きについて説明する。以下、一方の可動パネル30Aの折り畳みについて説明するが、他方の可動パネル30Bの折り畳みも同様とする。
【0052】
まず、図12に示すように、使用者が取っ手49を把持して可動パネル30Aを先端パネル40E側から順に蛇腹状に折り畳む。このとき、第二パネル40B、第四パネル40Dおよび第五パネル40Eに設けたキャスター55A~55Cは、可動パネル30Aの折り畳み状態において互いにパネル幅方向の位置をずらして干渉を避けているので、各キャスター55A~55Cが可動パネル30Aの折り畳みを阻害することはない。
【0053】
先端パネル40E(第五パネル40E)から第二パネル40Bまで折り畳んだ後、第一パネル40Aを回動させつつ全ての単位パネル40A~40Eを収容領域に移動させる際、第三パネル40Cの基端部および第二パネル40Bの先端部が脚杆12の延出先端部の上方を通過する(図13参照)。このとき、第三パネル40Cにはキャスター55Aを設けておらず、かつ第二パネル40Bに設けたキャスター55Aは第二パネル40Bの先端部を避けた配置とされているので、キャスター55Aが脚杆12に干渉することはない。そして、可動パネル30Aの基端側に位置する第一パネル40Aおよび第二パネル40Bにおいて、第二パネル40Bにのみ一つのキャスター55Aを設けているので、部品点数の増加を抑えつつ、可動パネル30Aの折り畳み作業を容易かつスムーズにする。
【0054】
なお、可動パネル30Aの基端側に位置する第一パネル40Aおよび第二パネル40Bにおいて、第一パネル40Aにキャスター55Aを設けてもよい。この場合、基端回動軸線C1からキャスター55Aまでの距離(シャフト56回りの回転領域を含む)が、基端回動軸線C1から脚杆12の延出先端部の外縁までの距離よりも大となるように、キャスター55Aを配置する。この配置は、第一パネル40Aにおけるパネル幅方向の寸法が、脚杆12における基部11からの延出長さよりも大であるときに可能である。一方、例えば第一パネル40Aの基端部を支持するパネル支持部22が、脚杆12の延出方向基端側ではなく先端側に配置される場合、第一パネル40Aにおけるパネル幅方向の寸法が、脚杆12における基部11からの延出長さよりも小であることも有り得る。そして、第一パネル40Aにキャスター55Aを設ける場合、上記キャスター55Aの配置により、キャスター55Aの脚杆12への干渉が抑えられ、かつ各可動パネル30A,30Bの展開作業および折り畳み作業が容易かつスムーズになる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のパーティション1は、床上に置かれるベース体5と、ベース体5が区画する収容領域に折り畳み状態で収容可能であり、かつ前記収容領域から引き出されて展開可能であり、さらに複数のキャスター55A~55Cによって床上を移動可能な一対の可動パネル30A,30Bと、を備えている。
ベース体5は、床面Fに沿うように配置される脚体10を備えている。
脚体10は、ベース幅方向Xに延びる基部11と、少なくとも基部11のベース幅方向Xの一端部からベース幅方向Xと交差するベース奥行方向Yに延びる脚杆12と、を備えている。
各可動パネル30A,30Bは、相互に折り畳み可能に連結される複数の単位パネル40A~40Eを備えている。
脚杆12よりも基部11側の領域を、各可動パネル30A,30Bを折り畳み状態で収容可能な収容領域とし、脚杆12よりも基部11と反対側の領域を、各可動パネル30A,30Bが展開可能な展開領域とする。
各可動パネル30A,30Bの展開状態において、ベース体5側を基端側とし、ベース体5と反対側を先端側としたとき、各可動パネル30A,30Bの複数の単位パネル40A~40Eの内、最も基端側に位置する第一パネル40Aの基端部は、ベース体5のパネル支持部22に、上下方向に沿う基端回動軸線C1を中心に回動可能に支持され、第一パネル40Aの先端部には、第一パネル40Aの先端側に隣接する第二パネル40Bの基端部が、上下方向に沿う回動軸線C2を中心に回動可能に連結されている。
そして、第一パネル40Aにおける基端回動軸線C1から脚杆12の延出先端部までの距離よりも離間した位置、および第二パネル40Bにおける先端部を避けた位置、の少なくとも一方にキャスター55Aが配置されている。
【0056】
この構成によれば、第一パネル40Aにキャスター55Aを設ける場合、基端回動軸線C1からキャスター55Aまでの距離が、基端回動軸線C1から脚杆12の延出先端部までの距離よりも大となるように、各可動パネル30A,30Bにキャスター55Aを配置するので、第一パネル40Aが基端回動軸線C1を中心に回動した際に、キャスター55Aが脚杆12に干渉しない配置となる。第二パネル40Bにキャスター55Aを設ける場合、第二パネル40Bの先端部は、各可動パネル30A,30Bの展開操作時(開操作時)および折り畳み操作時(閉操作時)の何れにも、脚杆12の延出先端部に接近することから、第二パネル40Bの先端部を避けてキャスター55Aを配置することで、各可動パネル30A,30Bの展開操作時および折り畳み操作時の何れにも、キャスター55Aが脚杆12に干渉しない配置となる。
このように、各可動パネル30A,30Bを開閉する際にキャスター55Aと脚杆12との干渉を避けることが可能となるので、各可動パネル30A,30Bの先端部から基端部にかけて複数のキャスター55A~55Cを配置しながら、各可動パネル30A,30Bの展開方向と脚杆12の延伸方向とが交差する場合にも、各可動パネル30A,30Bをスムーズに開閉可能なパーティション1を提供することができる。
【0057】
また、第一パネル40Aおよび第二パネル40Bの何れか一方に一つのキャスター55Aを設けている。
この場合、脚杆12に近く当たりやすい第一パネル40A及び第二パネル40Bのキャスター数を減らし、各可動パネル30A~30Bの開閉時にキャスター55Aが脚杆12に当たり難くなる。一方、各可動パネル30A,30Bにおけるベース体5側の第一パネル40A及び第二パネル40Bのどちらかにキャスター55Aを設けることで、各可動パネル30A,30Bの操作部(取っ手49)から遠いベース体5側の動作が安定する。また、ベース体5のパネル支持部22に各可動パネル30A,30Bから入力される荷重が小さくなり、ベース体5の損耗を小さくすることが出来る。
【0058】
また、ベース体5は、ベース幅方向Xにおける脚杆12を備える端部に、各可動パネル30A,30Bの基端部を支持するパネル支持部22を備えている。
この場合、パーティション1の使用時には各可動パネル30A,30Bをベース幅方向で脚杆12よりもベース体5の外側に大きく展開し、パーティション1の非使用時には一対の各可動パネル30A,30Bをベース幅方向で脚杆12よりもベース体5の内側にコンパクトに収容することができる。各可動パネル30A,30Bを大きく展開するには、ベース体5のパネル支持部22は、展開領域の近くにあることが望ましい。一方、各可動パネル30A,30Bをコンパクトに収容するには、ベース体5のパネル支持部22は、収容領域の近くにあることが望ましい。これらを両立させるには、パネル支持部22は、展開領域と収容領域との間にあることが望ましい。
【0059】
また、各可動パネル30A,30Bの折り畳み状態において、複数の単位パネル40A~40Eは、蛇腹状に折り畳まれてベース奥行方向Yで積層され、各可動パネル30A,30Bを構成する複数の単位パネル40A~40Eの数は奇数枚であり、各可動パネル30A,30Bの複数の単位パネル40A~40Eの内、最も基端側に位置する第一パネル40Aは、ベース幅方向Xでパネル支持部22から基部11側へ延び、最も先端側に位置する先端パネル40Eは、ベース幅方向Xで脚杆12側から基部11側へ延びている。
【0060】
この場合、各可動パネル30A,30Bを構成する奇数枚の単位パネル40A~40Eは、蛇腹状に折り畳まれた際、第一パネル40Aおよび先端パネル40Eの何れも、脚杆12側から基部11側へ延びる配置となる。この各可動パネル30A,30Bを展開すると、第一パネル40Aから先端パネル40Eまでの全ての単位パネル40A~40Eが、ベース体5の脚杆12よりも外側に広がる展開領域へ延びる配置が可能であり、各可動パネル30A,30Bが大きく展開可能となる。各可動パネル30A,30Bを大きく展開した状態で安定させるためには、各可動パネル30A,30Bの先端部にキャスター55Cを設けることが望ましい。このとき、複数の単位パネル40A~40Eの数が奇数枚であれば、各可動パネル30A,30Bの先端部のキャスター55Cは、各可動パネル30A,30Bの折り畳み状態において、先端パネル40Eにおける脚杆12から離れた先端部に配置される。このため、各可動パネル30A,30Bを展開する際に先端部のキャスター55Cが脚杆12に干渉し難くなる。
【0061】
また、脚体10は、ベース幅方向Xに延びる基部11としての接続杆11と、接続杆11のベース幅方向Xの両端部からベース奥行方向Yに延びる一対の脚杆12と、を備え、可動パネル30A,30Bは、ベース幅方向Xで一対設けられている。
この場合、2本の脚杆12を備える脚体10のベース幅方向両側から、一対の可動パネル30A,30Bをそれぞれ展開することが可能であり、かつ2本の脚杆12の間に各可動パネル30A,30Bを折り畳んで収容可能となるため、パーティション1の使用時には各可動パネル30A,30Bを大きく展開し、パーティション1の非使用時には各可動パネル30A,30Bをコンパクトに収容することができる。
【0062】
また、接続杆11の上方に、ベース幅方向Xで接続杆11の長さと同等の幅を有するとともに、各可動パネル30A,30Bと同等の高さを有して上下方向に起立する背面パネル50を備えている。
この場合、各可動パネル30A,30Bを展開した際、2つの展開された各可動パネル30A,30Bの間に、これらと同等高さの背面パネル50が配置されるため、全体としてベース幅方向Xに長い距離で仕切り(目隠し)を設けることが可能となり、利便性を向上させることができる。
【0063】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、実施形態では、ベース体5のベース幅方向両側に一対の可動パネル30A,30Bを設けているが、ベース幅方向一側のみに可動パネルを設けてもよい。この場合、ベース体5のベース幅方向Xの幅を折り畳み状態の可動パネルのベース幅方向Xの幅と同等に設けてもよい。
脚体10は、接続杆11(基部11)の両端にそれぞれ脚杆12を設けているが、基部11の一端のみに脚杆12を設けてもよい。また、基部11と脚杆12とを一体形成してもよい。脚杆12の延び方向が基部11の延び方向と直交する構成に限らず、脚杆12の延び方向が基部11の延び方向と直角以外の角度で交差する構成でもよい。この場合、脚杆12の延び方向に沿う基準線で収容領域と展開領域とを区画してもよいが、ベース幅方向Xにおいて、脚杆12の延出先端部等の任意個所の位置を境に、収容領域と展開領域とを区画してもよい。この区画の仕方は、脚杆12および基部11が直線状でない場合にも有効である。
【0064】
実施形態では、可動パネルを構成する単位パネルとして5枚の単位パネルを備えているが、可動パネルを構成する単位パネルの数は適宜変更可能である。例えば、図14に示すように、3枚の単位パネル40A~40Cを備えた可動パネル30A’,30B’を備えるパーティション1’としたり、図15に示すように、7枚の単位パネル40A~40Gを備えた可動パネル30A”,30B”を備えるパーティション1”としてもよい。図14では、第二パネル40Bおよび第三パネル40Cにそれぞれキャスター55Bが取り付けられ、図15では、第一パネル40A、第三パネル40C、第四パネル40D、第六パネル40Fおよび第七パネル40Gにそれぞれキャスター55A~55Eが取り付けられている。図15中符号C6,C7は第六パネル40Fおよび第七パネル40Gの各基端部における回動軸線を示す。
【0065】
複数の単位パネル40A~40Eは、一方のパネル面に沿うように配置されたヒンジで連結される構成に限らない。各単位パネル40A~40E間の関節部分は、例えば二つの回動軸を有して可動域を広げたいわゆる二重関節でもよい。また、図16図17に示すパーティション101の可動パネル130ように、各単位パネル40A’~40E’のパネル幅方向の一端部をパネル厚さ方向で起立させる等して、折り畳み時に複数の単位パネル40A’~40E’を積層可能としてもよい。
【0066】
可動パネル30A,30Bを構成する単位パネルの数は、奇数枚に限らず偶数枚でもよい。この場合、可動パネル30A,30Bの折り畳み状態において、第一パネル40Aの先端側と先端パネル40Eの先端側とが互いに逆向きになってもよい。
可動パネルの基端側のキャスターは、展開時および折り畳み時に脚杆12および他キャスターと干渉しない配置であれば、キャスター数を増減させてもよい。ただし、部品点数削減のため、複数の単位パネルの内、キャスターを無くした単位パネルを適宜設定するとよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1,1’,1”,101 パーティション
5 ベース体
10 脚体
11 基部、接続杆
12 脚杆
22 パネル支持部
40A 第一パネル(単位パネル)
40B 第二パネル(単位パネル)
40C 第三パネル(単位パネル、先端パネル)
40D 第四パネル(単位パネル)
40E 第五パネル(単位パネル、先端パネル)
40F 第六パネル(単位パネル)
40G 第七パネル(単位パネル、先端パネル)
50 背面パネル
55A~55G キャスター
C1 基端回動軸線
C2~C7 回動軸線
X ベース幅方向(第一方向)
Y ベース奥行方向(第二方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17