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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019033055
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020137416
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴 武
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-29063(JP,A)
【文献】登録実用新案第3080060(JP,U)
【文献】登録実用新案第3108175(JP,U)
【文献】米国特許第04696257(US,A)
【文献】国際公開第2011/057379(WO,A1)
【文献】特開2014-226106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
A01K 23/00
A47B 67/04
A47B 77/00 - 77/18
A47B 83/00 - 88/22
A47B 88/00 - 88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口する前方開口部を有する本体容器と、該本体容器を上層部分と下層部分とに区画し且つ通液可能な仕切り部と、該下層部分にて該本体容器の底部上面上に収容され、該前方開口部を介して出し入れ可能なトレーとを備えるペット用トイレであって、
前記トレーの収容時に前記本体容器の底部上面と対向する、該トレーの底部下面に、該本体容器の底部上面に向かって突出する突起が設けられており、
前記突起を通って該トレーの引き出し方向に延びる仮想直線上に、前記底部下面からの突出高さが一定ではない突出高さ非一定領域が、該底部下面の該引き出し方向の前側部から中央部を介して後側部にわたって延在し、
前記突出高さ非一定領域は、前記前側部に、前記中央部よりも前記底部下面からの突出高さが高い部分を有し、
前記突出高さ非一定領域において、前記前側部における前記底部下面からの最高突出高さをH1、前記後側部における前記底部下面からの最高突出高さをH2、前記中央部における前記底部下面からの最低突出高さをH3とし、
前記本体容器の前記底部上面における、前記トレーの収容時及び引き出し時の双方において平面視で前記突出高さ非一定領域と重なる部分の前記前方開口部側の端部の、該本体容器の設置面からの最高突出高さをH4とし、
前記本体容器の前記底部上面における、前記トレーの収容時及び引き出し時の双方において平面視で前記突出高さ非一定領域と重なる部分の前記前方開口部側の端部以外の部分の、該本体容器の設置面からの最高突出高さをH5とした場合、
{(H1-H3)+(H2-H3)}/(H4×2-H5)=0.5以上5以下であり、
前記突出高さ非一定領域は、前記後側部に、前記中央部よりも前記底部下面からの突出高さが高い部分を有する、ペット用トイレ。
【請求項2】
前方に開口する前方開口部を有する本体容器と、該本体容器を上層部分と下層部分とに区画し且つ通液可能な仕切り部と、該下層部分にて該本体容器の底部上面上に収容され、該前方開口部を介して出し入れ可能なトレーとを備えるペット用トイレであって、
前記トレーの収容時に前記本体容器の底部上面と対向する、該トレーの底部下面に、該本体容器の底部上面に向かって突出する突起が設けられており、
前記突起を通って該トレーの引き出し方向に延びる仮想直線上に、前記底部下面からの突出高さが一定ではない突出高さ非一定領域が、該底部下面の該引き出し方向の前側部から中央部を介して後側部にわたって延在し、
前記突出高さ非一定領域は、前記前側部に、前記中央部よりも前記底部下面からの突出高さが高い部分を有し、
前記突出高さ非一定領域において、前記前側部における前記底部下面からの最高突出高さをH1、前記後側部における前記底部下面からの最高突出高さをH2、前記中央部における前記底部下面からの最低突出高さをH3とし、
前記本体容器の前記底部上面における、前記トレーの収容時及び引き出し時の双方において平面視で前記突出高さ非一定領域と重なる部分の前記前方開口部側の端部の、該本体容器の設置面からの最高突出高さをH4とし、
前記本体容器の前記底部上面における、前記トレーの収容時及び引き出し時の双方において平面視で前記突出高さ非一定領域と重なる部分の前記前方開口部側の端部以外の部分の、該本体容器の設置面からの最高突出高さをH5とした場合、
{(H1-H3)+(H2-H3)}/(H4×2-H5)=0.5以上5以下であり、
前記トレーは、前記引き出し方向の中央を基準として対称形状である、ペット用トイレ。
【請求項3】
前方に開口する前方開口部を有する本体容器と、該本体容器を上層部分と下層部分とに区画し且つ通液可能な仕切り部と、該下層部分にて該本体容器の底部上面上に収容され、該前方開口部を介して出し入れ可能なトレーとを備えるペット用トイレであって、
前記トレーの収容時に前記本体容器の底部上面と対向する、該トレーの底部下面に、該本体容器の底部上面に向かって突出する突起が設けられており、
前記突起を通って該トレーの引き出し方向に延びる仮想直線上に、前記底部下面からの突出高さが一定ではない突出高さ非一定領域が、該底部下面の該引き出し方向の前側部から中央部を介して後側部にわたって延在し、
前記突出高さ非一定領域は、前記前側部に、前記中央部よりも前記底部下面からの突出高さが高い部分を有し、
前記突出高さ非一定領域において、前記前側部における前記底部下面からの最高突出高さをH1、前記後側部における前記底部下面からの最高突出高さをH2、前記中央部における前記底部下面からの最低突出高さをH3とし、
前記本体容器の前記底部上面における、前記トレーの収容時及び引き出し時の双方において平面視で前記突出高さ非一定領域と重なる部分の前記前方開口部側の端部の、該本体容器の設置面からの最高突出高さをH4とし、
前記本体容器の前記底部上面における、前記トレーの収容時及び引き出し時の双方において平面視で前記突出高さ非一定領域と重なる部分の前記前方開口部側の端部以外の部分の、該本体容器の設置面からの最高突出高さをH5とした場合、
{(H1-H3)+(H2-H3)}/(H4×2-H5)=0.5以上5以下であり、
前記突出高さ非一定領域は、前記トレーの前記引き出し方向の前後端それぞれから該トレーの同方向の全長の2/5に相当する距離離間した位置までに、該突出高さ非一定領域において前記底部下面からの突出高さが最も高い部分を有する、ペット用トイレ。
【請求項4】
前記突起が前記引き出し方向に延在している、請求項1~3の何れか1項に記載のペット用トイレ。
【請求項5】
前記トレーの底部下面に前記突出高さ非一定領域が複数存在する、請求項1~の何れか1項に記載のペット用トイレ。
【請求項6】
前記突出高さ非一定領域は、前記引き出し方向の一方側から他方側に向かって前記底部下面からの突出高さが漸次増加又は減少する部分を有する、請求項1~の何れか1項に記載のペット用トイレ。
【請求項7】
前記本体容器の前記底部上面における、前記トレーの収容時及び引き出し時の双方において平面視で前記突出高さ非一定領域と重ならない部分に、凸部が設けられている請求項1~の何れか1項に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫や犬等のペットの排泄物を処理するためのペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用トイレは、主に屋内でペットの排泄物を処理するために使用される。ペット用トイレは、典型的には、前方に開口する前方開口部を有する本体容器と、該本体容器を上層部分と下層部分とに区画する簀の子状の通液部と、該下層部分にて該本体容器の底部上面上に収容され、該前方開口部を介して出し入れ可能なトレーとを備える(例えば特許文献1~3)。トレーは、ペットが排泄した尿等の排泄物を受ける役割を担うもので、トレー内に排泄物吸収能を有する吸収体が配置される場合もある。特許文献2及び3には、トレーの底部下面(トレーの収容時に本体容器の底部上面と対向する面)に突起を設けることが記載されている(特許文献2の[0038]、特許文献3の[0022])。
【0003】
特許文献4に記載のペット用トイレでは、ペットの排泄物を吸収する吸収体の配置部として、特許文献1~3に記載の如きトレー形状(底壁部と該底壁部から上方に向かって立設する周壁部とを有する形状)の部材ではなく、平板上の支持体と該支持体を下方から支持する脚部とを有する台状の部材を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-29063号公報
【文献】特開2016-158569号公報
【文献】特開2014-226106号公報
【文献】特開平10-229768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に記載の如き、本体容器に出し入れ可能に収容されるトレーを備えた従来のペット用トイレにおいては、本体容器からトレーを引き出す際に、本来はトレー底面が水平を維持したまま引き出されるはずが、トレーの引き出し方向の前側が下がり後側が持ち上がるように傾いてしまい、その持ち上がったトレーの後側が本体容器の通液部などに接触し、トレーに尿等の排泄物が付着するという問題がある。以下、この引き出し時のトレーへの排泄物の付着の問題について、図8を参照して説明する。
【0006】
図8には、従来のペット用トイレの一実施形態の一部が示されている。図8に示すペット用トイレ70は、前方開口部81を有する本体容器80と、本体容器80の底部上面82上に収容され、前方開口部81を介して出し入れ可能なトレー90とを備えている。図8(a)に示す如きトレー90の収容時に本体容器80の底部上面82と対向する、トレー90の底部下面91には、本体容器80の底部上面82に向かって突出する突起92が設けられている。突起92はトレー90の出し入れ方向Xに延びるレール状をなし、図示していないが、トレー90の底部下面91には、複数のレール状の突起92が出し入れ方向Xと直交する方向に間欠配置されている(図4の突起40と同様の配置)。突起92の底部下面91からの突出高さ92Hは、トレー90の引き出し方向X1の前後端部を除き、突起92の引き出し方向X1の全長にわたって一定である。このように、トレー90の底部下面91にレール状の突起92を設けることで、突起92を設けない場合に比して、底部下面91と本体容器80の底部上面82との接触面積が低下するので、トレー90の出し入れがスムーズになる。
【0007】
図8(a)に示す如き、トレー90が本体容器80の底部上面82上に収容された状態から、前方開口部81を介してトレー90を矢印で示す方向に引き出していくと、トレー90の引き出し方向X1の中央部が前方開口部81の開口端810を通過する頃に、図8(b)に示すように、トレー90の引き出し方向X1の前側部が自重により下方に移動して本体容器80の設置面100に接触するとともに、トレー90の引き出し方向X1の後側部が上方に移動し、トレー90はあたかも開口端810を支点とするシーソーの如き動きを見せる。なお、図示の形態では、本体容器80の底部上面82は開口端810位置において周辺よりも上方に突出しているが、仮に、開口端810が上方に突出しておらず、底部上面82全体が平坦であった場合でも、設置面100と底部上面82との間の段差により、トレー90はシーソーの如き動きを見せる場合がある。そして、トレー90が図8(b)に示す如くに引き出し方向の前側に傾くと、上方に移動したトレー90の後側の上端部が、尿等の排泄物が通過する通液部(図示せず)と接触してしまい、それによって、該通液部に付着していた排泄物がトレー90に転移するおそれがある。
【0008】
特許文献1の[0063]には、このような引き出し時のトレーへの排泄物の付着の問題に対応するため、通液部の周辺に、トレーに向かって突出する板部材を設け、トレーが引き出し途中でシーソーのように動いてその後側が持ち上がったときに、そのトレーの後側が通液部と接触せずに、該板部材と接触するようにしたことが記載されている。しかし、この対応方法では、トレーの後側が板部材と接触した際の衝撃で、通液部に付着していた尿等の排泄物が落下してトレーに付着するおそれがあり、トレーへの排泄物の付着防止が十分とは言えない。
【0009】
本発明は、トレーを引き出す際にトレーに排泄物が付着し難いペット用トイレを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前方に開口する前方開口部を有する本体容器と、該本体容器を上層部分と下層部分とに区画し且つ通液可能な仕切り部と、該下層部分にて該本体容器の底部上面上に収容され、該前方開口部を介して出し入れ可能なトレーとを備えるペット用トイレであって、前記トレーの収容時に前記本体容器の底部上面と対向する、該トレーの底部下面に、該本体容器の底部上面に向かって突出する突起が設けられており、前記突起を通って該トレーの引き出し方向に延びる仮想直線上に、前記底部下面からの突出高さが一定ではない突出高さ非一定領域が、該底部下面の該引き出し方向の前側部から中央部を介して後側部にわたって延在し、前記突出高さ非一定領域は、前記前側部に、前記中央部よりも前記底部下面からの突出高さが高い部分を有する、ペット用トイレである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トレーを引き出す際にトレーに排泄物が付着し難いペット用トイレが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(a)は、本発明のペット用トイレの一実施形態の斜視図、図1(b)は、図1(a)に示すペット用トイレの分解斜視図である。
図2図2は、図1(a)のI-I線断面(トレーの底部下面に突起が存在する部位でのトレーの出し入れ方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、トレーの全体が本体容器の底部上面上に収容された状態を示す図である。
図3図3は、トレーの一部が本体容器から引き出された状態を示す断面図(図2相当図)である。
図4図4は、図1に示すペット用トイレを構成するトレーの底部下面側の斜視図である。
図5図5(a)~図5(d)は、それぞれ、本発明のペット用トイレの各部の寸法とトレーのシーソー状態との関係の説明図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、それぞれ、本発明に係るトレーの他の実施形態の出し入れ方向に沿う断面を模式的に示す断面図である。
図7図7は、本発明に係る本体容器の他の実施形態の底部上面側の平面図である。
図8図8は従来のペット用トイレの下層部分の、トレーの出し入れ方向に沿う断面を模式的に示す図であり、図8(a)はトレーの全体が本体容器の底部上面上に収容された状態、図8(b)はトレーの一部が本体容器から引き出された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0014】
図1図3には、本発明のペット用トイレの一実施形態であるペット用トイレ1が示されている。ペット用トイレ1は、前方に開口する前方開口部20を有する本体容器2と、本体容器2を上層部分2Uと下層部分2Lとに区画し且つ通液可能な仕切り部3と、下層部分2Lにて本体容器2の底部上面21上に収容され、前方開口部20を介して出し入れ可能なトレー4とを備えている。
【0015】
図中、符号Xで示す方向は、トレー4の出し入れ方向、符号X1で示す方向は、トレー4の引き出し方向、符号Yで示す方向は、出し入れ方向Xと直交する方向である。引き出し方向X1は、互いに真逆の二方向からなる出し入れ方向Xのうちの一方向と同方向である。本実施形態では図1図3に示すように、本体容器2、仕切り部3及びトレー4は、それぞれ、平面視(上面視)において一方向に長い形状、より具体的には略長方形形状をなし、その長手方向が、トレー4の出し入れ方向X(引き出し方向X1)と一致し、幅方向が、出し入れ方向X(引き出し方向X1)と直交する方向Yと一致している。
【0016】
本実施形態では図2に示すように、本体容器2は上部が開口しており、本体容器2における上層部分2Uに、尿などの液体を通液可能な仕切り部3を有している。本体容器2は、その内周面に、内方に向かって突出する突起又は段部からなる支持部(図示せず)を備えており、仕切り部3を本体容器2の上方から嵌め込むことによって、仕切り部3が本体容器2の上部にて該支持部によって支持され、脱着自在に固定できるようになっている。
【0017】
本実施形態の仕切り部3は、全体として容器の形状、より具体的にはトレー4と同様の、上部開口を有するトレー型容器の形状をなしている。すなわち、本実施形態の仕切り部3は、図1図3に示すように、底壁部32と、底壁部32の周縁から立ち上がる側壁部33とを有し、底壁部32の上方に上部開口を有する。側壁部33は仕切り部3の内側面及び外側面を形成している。側壁部33は、鉛直方向Zに立ち上がっていてもよく、鉛直方向Zから所定の傾きをもって立ち上がっていてもよい。
【0018】
仕切り部3の底壁部32は、簀の子状の通液部30を含んで構成されている。本実施形態では図1に示すように、底壁部32の略全体が通液部30から構成されている。通液部30は、長手方向Xに延び且つ互いに間隔をおいて平行に配された複数本の第1線材と、幅方向Yに延び且つ互いに間隔をおいて平行に配された複数本の第2線材とが、互いに交差した状態で一体化されている。これら各線材の間は、上層部分2Uと下層部分2Lとを連通する貫通孔31となっている。通常、ペットは通液部30の上に乗って排泄し、その排泄物、例えば尿等の液状排泄物は、貫通孔31を通過して上層部分2Uから下層部分2Lへ移行する。
【0019】
トレー4は、仕切り部3を通過した尿等の排泄物を収容可能な容器である。トレー4は、本体容器2の下層部分2Lに出し入れ可能に収容される。したがって、下層部分2Lに収容された状態のトレー4を本体容器2の前方開口部20を介して外部に引き出すこともできるし、本体容器2の外部に引き出された状態のトレー4を前方開口部20を介して下層部分2Uに挿入することもできる。前方開口部20の正面視における形状及び寸法は、トレー4の幅方向Yに沿う断面形状及び寸法と略同じであり、トレー4の全体が下層部分2Lに収容された状態では、図1(a)に示すように、前方開口部20の略全体がトレー4によって閉塞する。
【0020】
本実施形態では図1図3に示すように、トレー4は、その底部下面41を形成する平坦な底壁部42と、底壁部42の周縁から立ち上がる側壁部43とを有しており、側壁部43はトレー4の内側面及び外側面を形成している。側壁部43は、鉛直方向Zに立ち上がっていてもよく、鉛直方向Zから所定の傾きをもって立ち上がっていてもよい。トレー4の引き出し方向X1の前後端それぞれには把手部44が連設されており、トレー4の本体容器2からの引き出し操作や本体容器2への挿入操作などを行う際には、把手部44を手指で摘まむことができるようになされている。
【0021】
本実施形態では、トレー4は出し入れ方向X(引き出し方向X1)すなわち長手方向Xの中央を基準として対称形状である。つまりトレー4は、その長手方向Xの前後を入れ替えて本体容器2に収容可能になされている。より具体的には、トレー4は、トレー4を長手方向Xに二等分して幅方向Yに延びる対称軸(図示せず)について線対称であり、且つトレー4を幅方向Yに二等分して長手方向Xに延びる対称軸(図示せず)について線対称である。トレー4がこのような対称形状を有していることにより、本体容器2の外部に引き出された状態のトレー4を、前方開口部20を介して本体容器2に挿入する場合に、トレー4の前後を気にすることなく挿入することができ、取り扱いの利便性を高めることができる。また、トレー4に尿等の排泄物を吸収可能な吸収体を設置した場合に、ペットがトイレ1内で排泄する位置が一定であると、吸収体の一部だけに排泄物が偏って吸収される場合があり、そうすると、吸収体に未使用の部分が多く残っているにもかかわらず、排泄物が集中する部分の吸収性能低下により吸収体全体を取り換える必要が生じ、不経済である。これに対し、本実施形態のようにトレー4が前後対称に構成されていると、例えば、トレー4に吸収体を設置してから一定期間経過後あるいはペットが排泄した後などに、トレー4の前後を入れ替えて本体容器2に収容しなおせば、吸収体の別の部分にも排泄物を吸収させることができ、効率的に吸収体を使用することができる。
【0022】
トレー4は、図2に示す如き本体容器2の底部上面21上に収容された状態において、その鉛直方向Zの上端が仕切り部3に接触しないようになされており、仕切り部3の最下端部である通液部30(底壁部32)とトレー4の上端(側壁部43及び把手部44の上端)との間に隙間(空間)G(図2及び図3参照)が形成されている。隙間Gが小さすぎると、トレー4を引き出す際に、通液部30に付着した尿等の排泄物(例えば尿の液滴)がトレー4の上端に付着するおそれがある。一方、隙間Gが大きすぎると、通液部30を通過した排泄物がトレー4内に落下せずに本体容器2の内面などに付着するおそれがある。これらの不都合を防止する観点から、隙間Gは、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、そして、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。
【0023】
図4には、トレー4の底部下面41(底壁部42の下面)が示されている。底部下面41は、トレー4の引き出し方向X1の前側から順に、前側部41F、中央部41M及び後側部41Rに区分される。中央部41Mは、トレー4の底部下面41における、トレー4の出し入れ方向Xの中央を中心として同方向Xの前後に延在する部分であり、前側部41F及び後側部41Rは、トレー4の底部下面41における中央部41Mを挟んで出し入れ方向Xの両側に位置する部分である。中央部41Mの出し入れ方向Xの長さは通常、トレー4の同方向の全長の10~20%である。前側部41F及び後側部41Rの同方向Xの長さは互いに同じである。
【0024】
トレー4の底部下面41は、図2に示す如きトレー4の収容時に本体容器2の底部上面21と対向する面であるところ、この底部下面41には、底部上面21に向かって突出する突起40が設けられている。図4に示すように、突起40はトレー4の底部下面41に部分的に設けられており、底部下面41には突起40の非配置部が存在する。トレー4は、本体容器2内での収容時及び引き出し時の双方において、通常、突起40の先端にて本体容器2の底部上面21と接触し、底部下面41における突起40の非配置部は、底部上面21に対して非接触である。このように、トレー4の底部下面41に突起40が部分的に設けられていることで、底部下面41に突起40が全く設けられていない場合に比して、底部下面41と底部上面21との接触面積が低下するので、トレー4を出し入れする際の摩擦抵抗が減少し、トレー4の出し入れがスムーズになる。
【0025】
本実施形態の突起40は、図2図4に示すように、出し入れ方向X(引き出し方向X1)すなわちトレー4の長手方向Xに延在している。より具体的には、本実施形態の突起40は、トレー4の底部下面41の長手方向Xの一端の近傍から他端の近傍にわたって、長手方向Xに沿って直線状に延びており、レール状をなしている。突起40がこのような引き出し方向X1に延びるレール状をなしていると、トレー4の出し入れが一層スムーズになる。
【0026】
また本実施形態では、図4に示すように、トレー4の底部下面41に突起40が複数、具体的には4個設けられている。複数の突起40は、トレー4の幅方向Yに所定間隔を置いて間欠配置されている。複数の突起40は互いに同形状同寸法である。本発明においては、突起40の数及び配置は特に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設定可能である。典型的には図4に示す如くに、複数の突起40、好ましくは引き出し方向X1にレール状に延在する複数の突起40が、底部下面41の引き出し方向X1と直交する方向(幅方向Y)の中央を基準として対称に配置される。
【0027】
トレー4においては、図4に示すように、突起40を通ってトレー4の引き出し方向X1に延びる仮想直線VL上に、トレー4の底部下面41からの突出高さが一定ではない突出高さ非一定領域45が、底部下面41の引き出し方向X1の前側部41Fから中央部41Mを介して後側部41Rにわたって延在している。突出高さ非一定領域45は、底部下面41における突起40の配置部(平面視で突起40と重なる部分)と、底部下面41における突起40の出し入れ方向Xの仮想延長領域(突起40を出し入れ方向Xの一方側及び他方側に仮想的に延長した場合のその延長領域)とからなり、底部下面41の出し入れ方向Xの全長にわたって同方向に延在している。ここでいう、「突出高さ」とは、底部下面41における突起40の非配置部(典型的には、突起40の周辺部)を基準面とした突出高さを意味する。突起40の非配置部の「突出高さ」はゼロである。また、前記の「突出高さが一定」には、当該領域の全域において突出高さが一定値を採る形態のみならず、当該領域の一部と他の一部とで突出高さに多少の誤差があるものの実質的に突出高さが同じとみなせる形態も包含される。例えば、トレー4の底部下面41からの突出高さを、底部下面41の出し入れ方向Xの一端から他端にわたって出し入れ方向Xに沿って測定した場合に、その測定値における最高突出高さと最低突出高さとの差が0.5mm以内であれば、当該領域は突出高さが一定であるとみなされ、突出高さ非一定領域45ではないということになる。
【0028】
本実施形態では、図4に示すように、トレー4の底部下面41に突出高さ非一定領域45が複数、具体的には4個存在する。複数の突出高さ非一定領域45は、トレー4の幅方向Yに所定間隔を置いて間欠配置されている。なお、幅方向Yに隣り合う2つの突出高さ非一定領域45どうしの間は、突起40の非配置部であって、引き出し方向X1の全長にわたって底部下面41からの突出高さがゼロで一定であるから、突出高さ非一定領域45ではない。
【0029】
ペット用トイレ1の主たる特徴の1つとして、図2図4に示すように、トレー4の底部下面41の突出高さ非一定領域45が、前側部41Fに、中央部41Mよりも底部下面41からの突出高さが高い部分を有する点が挙げられる。本実施形態では、突出高さ非一定領域45に含まれる突起40が引き出し方向X1(出し入れ方向X)に延びるレール状をなし、且つ底部下面41からの突出高さが相対的に低い低突出部40aと該突出高さが相対的に高い高突出部40bとを含んで構成されているところ、前側部41Fに高突出部40bが位置し、中央部41Mに低突出部40aが位置している。なお、図示の形態では、中央部41Mにおける底部下面41からの突出高さが一定であるが、本発明にはこれが一定でない場合が含まれるところ、その場合は、中央部41Mにおける底部下面41からの突出高さが最も低い部分を、他の部分(前側部41F、後側部41R)との突出高さの比較対象とする。
【0030】
前述したように、従来のペット用トイレでは、引き出し途中のトレーがその引き出し方向の中央部を支点としてシーソーの如き動きを示し、図8(b)に示す如くに前側に傾き後側が持ち上がった状態となる結果、主にその持ち上がったトレーの後側に尿等の排泄物が付着するという問題がある。これに対し、ペット用トイレ1では、前記の特徴的な構成の採用により、トレー4がシーソー状態となったときにシーソーの支点に位置する中央部41Mの、底部下面41からの突出高さが相対的に低くなされているとともに、トレー4がシーソー状態となったときに本体容器2の外部にて本体容器2の設置面と接触する部分に位置する前側部41Fの、底部下面41からの突出高さが相対的に高くなされているため、本体容器2からトレー4を引き出す途中でトレー4がシーソー状態となって前側に傾いても、その傾き程度は比較的小さく、持ち上がったトレー4の後側の上端(本実施形態では側壁部43及び把手部44の上端)は通液部30に接触せず、したがって、トレー4を引き出す際にトレー4に排泄物が付着する不都合が防止される。
【0031】
特許文献1に記載のペット用トイレでは、前述したとおり、トレーがシーソー状態となってその後側が持ち上がった場合に、その持ち上がったトレーの後側が通液部以外の他の部材(板部材)と接触するようになされているため、トレーの後側が通液部と直接接触しなくても、トレーの後側と他の部材との接触の衝撃で通液部に付着していた排泄物が落下してトレーに付着することが懸念される。これに対し、ペット用トイレ1では、引き出し操作中にトレー4の上端がその上方に位置する他の構成部材と全く接触しないことが可能であり、斯かる懸念が払拭されている。
【0032】
本実施形態では、図2図4に示すように、トレー4の底部下面41の突出高さ非一定領域45は、前側部41Fのみならず、後側部41Rにも、中央部41Mよりも底部下面41からの突出高さが高い部分を有する。前述したとおり、本実施形態では、トレー4は引き出し方向X1の中央を基準として対称形状であるので、前側部41Fと後側部41Rとで、底部下面41からの突出高さ、最高突出高さを有する部分の位置などは同じである。このように、突出高さ非一定領域45が、前側部41F及び後側部41Rの双方に、中央部41Mよりも底部下面41からの突出高さが高い部分を有することで、トレー4が引き出す途中でシーソー状態となったときのシーソーのバランスがとりやすくなり、上下動の幅が低減するため、前述した作用効果がより一層確実に奏され得る。
【0033】
前述した作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、「突出高さ非一定領域45における、前側部41Fの突出高さが高い部分と後側部41Rの突出高さが高い部分とに挟まれた部分」(以下、「中央低突出部」ともいう。)の引き出し方向Xに沿う長さL1(図2参照)は、トレー4の同方向の全長に対して、好ましくは10~95%、より好ましくは20~95%である。前記中央低突出部は、トレー4の底部下面41の中央部41Mの引き出し方向Xの全長と比較して、同等の場合、短い場合、長い場合の何れもあり得るが、同等及び長い場合がより好ましい。なお、前記の「前側部41Fの突出高さが高い部分」及び「後側部41Rの突出高さが高い部分」それぞれの同方向Xの長さは、通常は互いに同じである。
【0034】
本実施形態では、突出高さ非一定領域45は、図2図4に示すように、引き出し方向X1(出し入れ方向X)の一方側から他方側に向かって底部下面41からの突出高さが漸次増加又は減少する部分を有する。具体的には、突出高さ非一定領域45に位置する突起40は前述したとおり、低突出部40aと高突出部40bとを含み、これらが一体となって1個のレール状の突起40を構成しているところ、高突出部40bは図2に示すように、底部下面41から離れるに従って径が漸次減少するテーパー形状をなし、高突出部40bの出し入れ方向Xの両端部は傾斜しているので、該両端部では、出し入れ方向Xの一方側から他方側に向かって底部下面41からの突出高さが漸次増加又は減少している。斯かる構成により、突出高さ非一定領域45における底部下面41からの突出高さの、引き出し方向X1での変化が比較的滑らかなものとなるため、トレー4をスムーズに引き出しやすく、トレー4の引き出し時におけるトレー4及びその周辺部に対する物理的な衝撃が低減される。また、通液部30に尿などの排泄物が付着していると、トレー引き出し時の物理的な衝撃によってその排泄物が落下してトレー4に付着するという不都合が生じ得るが、前記の工夫によってトレー4の引き出しがスムーズになることで、斯かる不都合の発生を防止できるという効果も奏される。
【0035】
トレー4が引き出し途中でシーソー状態となったときの上下動の幅を最小限に抑えて、トレー4を引き出す際のトレー4への排泄物の付着を一層効果的に防止する観点から、ペット用トイレ1の各部の寸法について以下の関係が成立することが好ましい。
図5(a)を参照して、突出高さ非一定領域45において、前側部41Fにおける底部下面41からの最高突出高さをH1、後側部41Rにおける底部下面41からの最高突出高さをH2、中央部41Mにおける底部下面41からの最低突出高さをH3とする。
また、本体容器2の底部上面21における、トレー4の収容時及び引き出し時の双方において平面視で突出高さ非一定領域45と重なる部分の前方開口部20側の端部の、本体容器2の設置面からの最高突出高さをH4とする。ここでいう、「底部上面21における前方開口部20側の端部」は、底部上面21における前方開口部20側の一端から、引き出し方向X1の後側に10mm離間した位置までの領域を意味する。また、前記「トレー4の収容時及び引き出し時の双方において平面視で突出高さ非一定領域45と重なる部分」は、トレー4の収容時及び引き出し時の双方においてトレー4の底部下面41の後側部41Rが通過する部分である。
また、本体容器2の底部上面21における、トレー4の収容時及び引き出し時の双方において平面視で突出高さ非一定領域45と重なる部分の前記「底部上面21における前方開口部20側の端部」以外の部分の、本体容器2の設置面100からの最高突出高さをH5とする。
以上の各部の寸法を下記式(1)に代入して算出される数値が1又は1に近いことが好ましく、具体的には該数値は、好ましくは0.5以上5以下、より好ましくは0.75以上2.5以下である。
{(H1-H3)+(H2-H3)}/(H4×2-H5) … 式(1)
【0036】
図5(b)~図5(d)には、前記式(1)によって算出される数値に応じたトレー4のシーソー状態が模式的に示されている。
前記式(1)によって算出される数値が前記の好ましい範囲にある場合には、トレー4が引き出し途中でシーソー状態となって前側に傾いても、図5(b)に示すように、トレー4の引き出し方向X1の後側の上端が通液部30と接触する事態が回避され、トレー4に排泄物が付着する不都合が防止される。なお、図5中の点線は、通液部30(仕切り部3の底壁部32)の下面の位置を示す。
これに対し、前記式(1)によって算出される数値が小さすぎる、具体的には例えば前記の好ましい範囲の下限値未満であると、シーソー状態のトレー4の傾き程度(上下動の幅)が大きくなり、図5(c)に示すように、トレー4の引き出し方向X1の後側の上端が通液部30と接触し、これによりトレー4に尿等の排泄物が付着し得る。このため、図5(b)のトレー4と比べれば、通液部30をより上方に設置するなどの調整が必要となり、その分ペット用トイレ1の大型化などを招くおそれがある。
また、前記式(1)によって算出される数値が大きすぎる、具体的には例えば前記の好ましい範囲の上限値を超えていると、トレー4はシーソーの如き動きは見せないが、その代わりに、図5(d)に示すように、トレー4の底部下面41からの突出高さが高すぎるために、底部下面41全体が常時、本体容器2の底部上面21や本体容器2の設置面から上方に離れた位置に存在することになり、トレー4の取り扱い性の低下、ペット用トイレ1の大型化などを招くおそれがある。
尤も、図5(c)及び図5(d)に示す状態であっても、突出高さ非一定領域45が前記のように構成されている、すなわち、「引き出し方向の中央部は相対的に突出高さが低く、その前後は相対的に突出高さが高い構成」が採用されていることで、図8に示す如き、斯かる構成が採用されていない従来のペット用トイレと比較して、トレーを引き出す際にトレーに排泄物が付着し難くなり、有用性が格段に向上する。
【0037】
また、前述した作用効果がより一層確実に奏させるようにする観点から、前記式(1)によって算出される値が前記の好ましい範囲にあることに加えて更に、前記式(1)で用いるペット用トイレの各部の寸法はなるべく小さいことが好ましい。具体的には以下のように設定することが好ましい。
前側部41Fにおける底部下面41からの最高突出高さH1は、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
後側部41Rにおける底部下面41からの最高突出高さH2は、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
最高突出高さH1と最高突出高さH2とは、典型的には同じであるが、異なっていてもよい。
中央部41Mにおける底部下面41からの最低突出高さH3は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.15mm以上、そして、好ましくは3mm以下、より好ましくは1mm以下である。
本体容器2の底部上面21における、トレー4の収容時及び引き出し時の双方において平面視で突出高さ非一定領域45と重なる部分(トレー4の底部下面41の後側部41Rが通過する部分)の前方開口部20側の端部の、本体容器2の設置面からの最高突出高さH4は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
本体容器2の底部上面21における、トレー4の収容時及び引き出し時の双方において平面視で突出高さ非一定領域45と重なる部分(トレー4の底部下面41の後側部41Rが通過する部分)の前記「底部上面21における前方開口部20側の端部」以外の部分の、本体容器2の設置面100からの最高突出高さH5は、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
【0038】
図6(a)には、本発明に係るトレーの他の実施形態であるトレー4Aが示されている。前述したトレー4では、突起40が前側部41Fから後側部41Rにわたって引き出し方向X1に延在するレール状をなしていたが、トレー4Aでは、棒状の突起40が前側部41Fのみに設けられ、中央部41M及び後側部41Rには突起40は設けられていない。つまりトレー4Aは、引き出し方向X1の中央を基準とした対称形状ではない。トレー4Aの突出高さ非一定領域45は、前側部41Fに、中央部41Mよりも底部下面41からの突出高さが高い部分を有するものの、後側部41Rには該部分を有さない。また、トレー4Aの突出高さ非一定領域45は、引き出し方向X1の一方側から他方側に向かって底部下面41からの突出高さが漸次増加又は減少する部分を有さない。トレー4Aにおいて、棒状の突起40の数や配置は特に制限されず、例えば、前側部41Fにおいてトレー4の幅方向Yに所定間隔を置いて複数間欠配置してもよい。
【0039】
図6(b)には、本発明に係るトレーの更に他の実施形態であるトレー4Bが示されている。トレー4Bでは、突出高さ非一定領域45が、引き出し方向X1の前後端それぞれからトレー4の同方向の全長の2/5に相当する距離離間した位置までに、該領域45において底部下面41からの突出高さが最も高い部分を有している。より具体的には、トレー4Bでは、レール状の突起40が底部下面41の引き出し方向X1の全長にわたって延在し、且つ突起40において底部下面41からの突出高さが最も高い部分である高突出部40bが、底部下面41の引き出し方向X1の前後端それぞれに近接配置されている。斯かる構成により、トレー4Bが図5(b)に示す如きシーソー状態となった場合に、その傾き程度が比較的小さいものとなり、トレー4Bを引き出す際にトレー4Bに排泄物が付着するおそれが一層低減され得る。
【0040】
図7には、本発明に係る本体容器の他の実施形態である本体容器2Aが示されている。本体容器2Aにおいては、底部上面21における、トレー4の収容時及び引き出し時の双方において平面視で突出高さ非一定領域45(突起40)と重ならない部分に、凸部22が設けられている。図7に示す形態の凸部22は、幅方向Yに隣り合う2個の突出高さ非一定領域45の間において、その2個の領域45それぞれの近傍に配されている。また、図7に示す形態の凸部22は、平面視において一方向に長い形状具体的には略長方形形状を有し、凸部22の長手方向は出し入れ方向X(トレー4の長手方向)に一致している。つまり、凸部22は引き出し方向X1に延在している。凸部22の底部上面21からの突出高さは、図2に示す如きトレー4の収容状態において、凸部22の頂部がトレー4の底部下面41(突起40の非配置部)と接触しない範囲に設定されている。凸部22は、トレー4を出し入れする際の突起40の移動をガイドする役割を担うものであり、凸部22が存在することで、トレー4の出し入れ時にトレー4が幅方向Yに動くことが防止され、トレー4の出し入れ操作が一層スムーズになる。
【0041】
ペット用トイレ1の各構成部材の材質は、耐食性を有するものであれば特に制限はない。軽量で取り扱い易く、成形性が良い等の点から、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の汎用の合成樹脂で一体成形されたものが好ましい。また、ペット用トイレ1の各構成部材は、その表面に撥水加工や抗菌加工が施されたものを用いることが更に好ましい。
【0042】
本発明のペット用トイレは、猫、犬、ウサギ、ハムスター等のペットの尿の回収に好適に用いることができる。
【0043】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、トレー4の強度向上等の観点から、トレー4に、突起40とは別に、突起40(突出高さ非一定領域45)に関わる前述した作用効果に影響を及ぼさない範囲で、凸部(リブ)を設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ペット用トイレ
2,2A 本体容器
2U 上層部分
2L 下層部分
20 前方開口部
21 底部上面
22 凸部
3 仕切り部
30 通液部
31 貫通孔
32 底壁部
33 側壁部
4,4A,4B トレー
40 突起
40a 低突出部
40b 高突出部
41 底部下面
41F 底部下面の引き出し方向の前側部
41M 底部下面の引き出し方向の中央部
41R 底部下面の引き出し方向の後側部
42 底壁部
43 側壁部
44 把手部
45 突出高さ非一定領域
X トレーの出し入れ方向(トレーの長手方向)
X1 トレーの引き出し方向
Y トレーの出し入れ方向と直交する方向(トレーの幅方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8