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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】容器検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20230202BHJP
   B65G 47/86 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G01N21/90 A
B65G47/86 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019053223
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020153845
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222222
【氏名又は名称】東洋ガラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100213388
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 康司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】原田 崇
(72)【発明者】
【氏名】上野 浩明
(72)【発明者】
【氏名】田波 靖利
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋一
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-206025(JP,A)
【文献】特開2003-322235(JP,A)
【文献】特開2000-118700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0343483(US,A1)
【文献】特開平07-187380(JP,A)
【文献】特開2011-037616(JP,A)
【文献】特開2015-229141(JP,A)
【文献】特開2017-109827(JP,A)
【文献】特開2007-176660(JP,A)
【文献】国際公開第2005/031328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-B65G 47/96
G01N 21/00-G01N 21/958
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を収容する収容部を周縁に複数備える間欠回転するスターホイールと、
前記収容部が停止する位置に配置され、かつ、容器に対して検査を行う検査部と、
前記収容部が停止する位置に配置する排出部と、
前記排出部で前記収容部内に前記容器を保持する保持機構と、
前記排出部から前記容器を排出方向へ押し出す押出機構と、
前記スターホイールを回転可能に支持し、かつ、前記保持機構及び前記押出機構を前記排出部における所定位置に支持する機台と、
を備え、
前記検査部は、前記容器に対して光を出射する発光部と、前記発光部の光が照射された前記容器を撮像する撮像部と、を備え、
前記保持機構は、前記スターホイールの回転によって前記排出部に搬送される前記容器の側面に接触可能なアームと、前記アームを回転させて前記保持機構を閉状態と開状態とに切り替える電動モーターと、を備え、
前記閉状態は、前記側面に前記アームが接触して、前記排出方向への前記容器の移動を前記アームが制限し、
前記開状態は、前記アームが回転して前記側面との接触を解除することを特徴とする、容器検査装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記保持機構は、前記容器の全幅より広い第1間隔で立設する2本の回転軸と、前記回転軸のそれぞれに固定される前記アームと、前記回転軸を回転駆動する電動モーターと、を備え、
前記アームは、前記回転軸に固定された固定端と、前記固定端と反対側の自由端と、を有し、
一方の前記回転軸に固定された前記アームの前記自由端と、他方の前記回転軸に固定された前記アームの前記自由端とは、それぞれの前記固定端から互いに近づくように延在することを特徴とする、容器検査装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記回転軸のそれぞれに上下に第2間隔をあけて2本の前記アームが配置され、
2本の前記アームは、前記容器の全高の1/2より高い位置にある第1アームと、前記全高の1/2より低い位置にある第2アームとからなり、
前記押出機構は、前記第1アームの高さと前記第2アームの高さとの間で前記容器を前記排出方向へ押すことを特徴とする、容器検査装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記アームは、前記電動モーターの回転軸に固定された固定端と、前記固定端と反対側の自由端と、を有し、
前記回転軸を中心に前記アームを上方へ揺動することにより、前記自由端が前記排出部から離れる方向へ移動しながら上方へ移動して、前記保持機構が前記閉状態から前記開状態となることを特徴とする、容器検査装置。
【請求項5】
請求項2~請求項4のいずれか一項において、
前記自由端は、前記固定端より前記排出部に停止した前記収容部側にあることを特徴とする、容器検査装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の前記容器検査装置において、
前記押出機構は、前記排出部の前記容器に接触する押出板を有し、
前記押出板は、前記排出方向に常時付勢され、
前記保持機構が前記閉状態で前記排出部に搬送された前記容器に接触して前記押出板が後退し、前記保持機構が前記開状態となることにより、前記排出方向に前記押出板が前進して前記容器を前記収容部から押し出すことを特徴とする、容器検査装置。
【請求項7】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の前記容器検査装置において、
前記スターホイールは、同一の回転中心を有し、かつ、上下に間隔をあけて配置する第1スターホイールと第2スターホイールとを含み、
前記第1スターホイールには、前記回転中心を含む上下に貫通する第1貫通孔が形成され、
前記第2スターホイールには、前記回転中心を含む上下に貫通する第2貫通孔が形成され、
前記押出機構は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を貫通して前記機台の上に立設する支持部と、前記支持部に支持されて前記排出部に停止する前記容器に対して進退移動する押出板と、を備えることを特徴とする、容器検査装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の前記容器検査装置において、
記撮像部は、前記機台から離間して配置されるフレームに固定されることを特徴とする、容器検査装置。
【請求項9】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の前記容器検査装置において、
前記容器検査装置は、
昇降部をさらに含み、
前記昇降部は、前記スターホイールによって搬送される前記容器の高さに合わせた検査位置と、前記検査位置よりも上方のメンテナンス位置とに前記発光部及び前記撮像部を昇降可能であることを特徴とする、容器検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を間欠回転搬送する容器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器検査装置として、特許文献1に開示される間欠回転するスターホイールを用いて複数の検査部に容器を搬送する装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2009/025038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような容器検査装置においては、処理能力の向上による効率化が求められている。特に、排出部でスターホイールから搬出用のコンベヤ上へ容器を移し替える必要があるため、排出部におけるスターホイールの停止時間の短縮が課題であった。
【0005】
また、スターホイールを高速で間欠回転することによる機台の振動が検査部における撮像に影響を与えることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0007】
[1]本発明に係る容器検査装置の一態様は、
容器を収容する収容部を周縁に複数備える間欠回転するスターホイールと、
前記収容部が停止する位置に配置され、かつ、容器に対して検査を行う検査部と、
前記収容部が停止する位置に配置する排出部と、
前記排出部で前記収容部内に前記容器を保持する保持機構と、
前記排出部から前記容器を排出方向へ押し出す押出機構と、
前記スターホイールを回転可能に支持し、かつ、前記保持機構及び前記押出機構を前記排出部における所定位置に支持する機台と、
を備え、
前記検査部は、前記容器に対して光を出射する発光部と、前記発光部の光が照射された前記容器を撮像する撮像部と、を備え、
前記保持機構は、前記スターホイールの回転によって前記排出部に搬送される前記容器の側面に接触可能なアームと、前記アームを回転させて前記保持機構を閉状態と開状態とに切り替える電動モーターと、を備え、
前記閉状態は、前記側面に前記アームが接触して、前記排出方向への前記容器の移動を前記アームが制限し、
前記開状態は、前記アームが回転して前記側面との接触を解除することを特徴とする。
【0008】
上記容器検査装置によれば、電動モーターによりアームの開閉を高速化できる。また、上記容器検査装置によれば、保持機構及び押出機構が機台の所定位置に支持されるので、容器検査装置を高速化しても同機構の揺れを抑えて安定的に容器を排出できる。
【0009】
[2]前記容器検査装置の一態様において、
前記保持機構は、前記容器の全幅より広い第1間隔で立設する2本の回転軸と、前記回転軸のそれぞれに固定される前記アームと、前記回転軸を回転駆動する電動モーターと、を備え、
前記アームは、前記回転軸に固定された固定端と、前記固定端と反対側の自由端と、を有し、
一方の前記回転軸に固定された前記アームの前記自由端と、他方の前記回転軸に固定された前記アームの前記自由端とは、それぞれの前記固定端から互いに近づくように延在することができる。
【0010】
上記容器検査装置によれば、2本の回転軸のそれぞれに固定されたアームが観音開きのように開閉することで、排出部からコンベヤ上へ搬送される容器の移動を速やかに行うことができる。その結果、上記容器検査装置によれば、排出部におけるスターホイールの停止時間を短縮することができる。また、アームが排出方向に開くので容器の移動を阻害することがなく、揺れやすい容器形状であっても高速排出時の容器の自立安定性を向上できる。
【0011】
[3]前記容器検査装置の一態様において、
前記回転軸のそれぞれに上下に第2間隔をあけて2本の前記アームが配置され、
2本の前記アームは、前記容器の全高の1/2より高い位置にある第1アームと、前記全高の1/2より低い位置にある第2アームとからなり、
前記押出機構は、前記第1アームの高さと前記第2アームの高さとの間で前記容器を前記排出方向へ押すことができる。
【0012】
上記容器検査装置によれば、上下に配置された2本のアームで容器の側面の上下の2か所を支持できるので、揺れやすい容器形状であってもスターホイールから排出方向にあるコンベヤ上への高速排出時に容器の自立安定性を向上できる。また、上記容器検査装置によれば、容器の全高の上半分の位置にある第1アームと同下半分の位置にある第2アームにより、容器の自立安定性を確保しつつ、押出機構が第1アームと第2アームとの間で容器を押すことで容器を確実にコンベヤ上へ移動させることができる。
【0013】
[4]前記容器検査装置の一態様において、
前記アームは、前記電動モーターの回転軸に固定された固定端と、前記固定端と反対側の自由端と、を有し、
前記回転軸を中心に前記アームを上方へ揺動することにより、前記自由端が前記排出部から離れる方向へ移動しながら上方へ移動して、前記保持機構が前記閉状態から前記開状態となることができる。
【0014】
上記容器検査装置によれば、構成が簡単でありながらアームの開閉を高速化できる。また、自由端を、単に上方へ移動させるのではなく、排出部から離れる方向へ移動しながら行うことで、容器を上方へ持ち上げる力を抑えることができ、容器の自立安定性を向上できる。
【0015】
[5]前記容器検査装置の一態様において、
前記自由端は、前記固定端より前記排出部に停止した前記収容部側にあることができる。
【0016】
上記容器検査装置によれば、アームの自由端が収容部に近い位置にあることで収容部内にある容器をより確実に保持することができる。
【0017】
[6]前記容器検査装置の一態様において、
前記押出機構は、前記排出部の前記容器に接触する押出板を有し、
前記押出板は、前記排出方向に常時付勢され、
前記保持機構が前記閉状態で前記排出部に搬送された前記容器に接触して前記押出板が
後退し、前記保持機構が前記開状態となることにより、前記排出方向に前記押出板が前進して前記容器を前記収容部から押し出すことができる。
【0018】
上記容器検査装置によれば、押出板が容器を排出方向に常時付勢することにより、容器を迅速に排出することができる。
【0019】
[7]前記容器検査装置の一態様において、
前記スターホイールは、同一の回転中心を有し、かつ、上下に間隔をあけて配置する第1スターホイールと第2スターホイールとを含み、
前記第1スターホイールには、前記回転中心を含む上下に貫通する第1貫通孔が形成され、
前記第2スターホイールには、前記回転中心を含む上下に貫通する第2貫通孔が形成され、
前記押出機構は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を貫通して前記機台の上に立設する支持部と、前記支持部に支持されて前記排出部に停止する前記容器に対して進退移動する押出板と、を備えることができる。
【0020】
上記容器検査装置によれば、2つのスターホイールを用いることで容器を安定して搬送することができると共に、押出機構の押出板が支持部に支持されることで押出板の進退移動が安定し、容器の自立安定性を向上できる。
【0021】
[8]前記容器検査装置の一態様において、
記撮像部は、前記機台から離間して配置されるフレームに固定されることができる。
【0022】
上記容器検査装置によれば、スターホイールの回転等により振動が発生する機台からフレームが離間しているので、撮像部で精度の高い画像を撮像できる。
【0023】
[9]前記容器検査装置の一態様において、
前記容器検査装置は、昇降部をさらに含み、
前記昇降部は、前記スターホイールによって搬送される前記容器の高さに合わせた検査位置と、前記検査位置よりも上方のメンテナンス位置とに前記発光部及び前記撮像部を昇降可能であることができる。
【0024】
上記容器検査装置によれば、メンテナンス作業のたびに従来のように発光部と撮像部を取り外さなくてよいので、メンテナンス後に発光部と撮像部を再び所定の位置に戻すための作業時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る容器検査装置の一態様によれば、排出部におけるスターホイールの停止時間を短縮することができる。本発明に係る容器検査装置の一態様によれば、振動が発生する機台からフレームが離間しているため撮像部で精度の高い画像を撮像できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態に係る容器検査装置の平面図である。
図2】本実施形態に係る容器検査装置の第1排出部の正面図である。
図3】本実施形態に係る容器検査装置の平面図の部分拡大図である。
図4】変形例に係る容器検査装置の平面図の部分拡大図である。
図5】変形例に係る容器検査装置の側面図である。
図6】変形例に係る容器検査装置の第1排出部の背面図である。
図7】本実施形態に係る撮像部が検査位置にある容器検査装置の正面図である。
図8】本実施形態に係る撮像部がメンテナンス位置にある容器検査装置の正面図である。
図9】昇降部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0030】
本実施形態に係る容器検査装置は、容器を収容する収容部を周縁に複数備える間欠回転するスターホイールと、前記収容部が停止する位置に配置する排出部と、前記排出部で前記収容部内に前記容器を保持する保持機構と、前記排出部から前記容器を排出方向へ押し出す押出機構と、前記スターホイールを回転可能に支持し、かつ、前記保持機構及び前記押出機構を所定位置に支持する機台と、を備え、前記保持機構は、前記スターホイールの回転によって前記排出部に搬送される前記容器の側面に接触可能なアームと、前記アームを回転させて前記保持機構を閉状態と開状態とに切り替える電動モーターと、を備え、前記閉状態は、前記側面に前記アームが接触して、前記排出方向への前記容器の移動を前記アームが制限し、前記開状態は、前記アームが回転して前記側面との接触を解除することを特徴とする。
【0031】
本実施形態に係る容器検査装置は、容器を収容する収容部を周縁に複数備える間欠回転するスターホイールと、前記スターホイールを回転可能に支持する機台と、前記機台から離間して配置されるフレームと、前記フレームから垂下され、かつ、前記容器に対して光を出射する発光部と、前記フレームから垂下され、かつ、前記発光部の光が照射された前記容器を撮像する撮像部と、前記発光部及び前記撮像部を前記容器に対して昇降する昇降部と、を備えることを特徴とする。
【0032】
1.容器検査装置の全体構成
図1図3を用いて容器検査装置1の全体構成について説明する。図1は本実施形態に係る容器検査装置1の平面図であり、図2は本実施形態に係る容器検査装置1の第1排出部30の正面図であり、図3は本実施形態に係る容器検査装置1の平面図の部分拡大図である。図3では第1押出機構60及び第2押出機構62を説明するため第1スターホイール10を省略して示している。
【0033】
図1図3に示すように、容器検査装置1は、容器3を収容する収容部16を周縁14に複数備える第1スターホイール10と、収容部16が停止する位置に配置する検査部20、第1排出部30及び第2排出部32と、を備える。第2排出部32は、第1排出部30に隣接するが、他の停止位置を間に挟んでもよい。容器検査装置1には、第1排出部30に臨んで配置する第1コンベヤ40と、第2排出部32に臨んで配置する第2コンベヤ42と、が備えられる。第2コンベヤ42の代わりにシューターなどの容器3の自立を要求しない機構を備える場合には第2排出部32に第2保持機構52を備えなくてもよい。
【0034】
また、図3に示すように、容器検査装置1は、第1スターホイール10の下に、第1スターホイール10と同一の回転中心5を有し、かつ、第1スターホイール10と上下に間隔をあけて配置する第2スターホイール12を備える。2つのスターホイールを用いることで容器3を上下で保持することができるため、安定して搬送することができる。
【0035】
第1排出部30は、検査部20における検査で良品と判定された容器3を第1コンベヤ40へ排出し、第2排出部32は、検査部20における検査で不良品と判定された容器3を第2コンベヤ42へ排出する。容器検査装置1によれば、良品の容器3と不良品の容器3との自立安定性をそれぞれ向上できる。第1排出部30から排出された容器3は、周縁14の外側の第1コンベヤ40上に自立する。第2排出部32から排出された容器3は、周縁14の外側の第2コンベヤ42上に自立する。
【0036】
容器3は、たとえばガラスびんである。容器3は、第1コンベヤ40及び第2コンベヤ42上での自立安定性に比較的劣る首部から底部に向けて胴径が細くなる逆テーパーびんや、首部から底部に向けて胴径が大きくなるテーパーびんであって容器3の重心が高い位置にあるびんでもよい。特にガラスびんは、他の材質の容器3に比べて重いものが多く、容器3のデザインによる上下の重量バランスの偏りが出やすいため、第1保持機構50及び第2保持機構52による自立安定性の向上が望まれる。
【0037】
容器検査装置1は、制御装置7を備える。制御装置7は、各種演算及び制御を行う装置であり、装置構成として、演算及び制御を行うCPU、メモリ(RAM,ROM)及び外部記憶装置を含み、さらにモニタ、キーボード、マウス及びインターフェースを含むことができる。制御装置7は、機能構成として、少なくとも制御部70、記憶部72、演算部74を含む。演算部74は、記憶部72から取り出したプログラム、データ等や検査部20から取り込んだデータ等を用いて予め設定された演算を行う。演算部74は、演算結果に基づいて容器検査装置1に供給される全ての容器3に対して良品または不良品の判定を行う。制御部70は、良品と判定された容器3を第1排出部30から第1コンベヤ40へ排出する指示を出力し、不良品と判定された容器3を第2排出部32から第2コンベヤ42へ排出する指示を出力する。
【0038】
また、容器検査装置1は、第1排出部30で収容部16内に容器3を保持する第1保持機構50と、第2排出部32で収容部16内に容器3を保持する第2保持機構52と、第1排出部30から容器3を排出方向である第1方向D1へ押し出す第1押出機構60と、第2排出部32から容器3を排出方向である第2方向D2へ押し出す第2押出機構62と、を備える。
【0039】
容器検査装置1は、機台2を備える。機台2は、第1スターホイール10及び第2スターホイール12を回転可能に支持し、かつ、第1保持機構50、第2保持機構52、第1押出機構60及び第2押出機構62を所定位置に支持する。第1保持機構50、第2保持機構52、第1押出機構60及び第2押出機構62が機台2の所定位置に支持されるので、容器検査装置1を高速化しても同機構の揺れを抑えて安定的に容器3を排出できる。機台2は、第1スターホイール10と第2スターホイール12とを支持する部分と、第1保持機構50及び第1押出機構60を支持する部分と、第2保持機構52及び第2押出機構62を支持する部分とを分離して有してもよいし、これらを連結して一体化したものであってもよい。
【0040】
第1スターホイール10及び第2スターホイール12は、水平面内を間欠回転して収容部16に収容された容器3を検査部20から第1排出部30へ搬送する。第1スターホイール10及び第2スターホイール12の回転中心5は、機台2から鉛直方向に沿って延びる。本実施形態では、周縁14に8か所の収容部16を有し、収容部16のそれぞれに容器3を保持しつつ8か所の停止位置へ搬送する。収容部16の数と停止位置の数は8か所に限るものではなく、容器検査装置1の処理能力に応じて適宜設定することができる。第2排出部32は第1排出部30で第1コンベヤ40上に排出されなかった容器3を排出するため、図1及び図3では第2排出部32の収容部16には容器3を収容していない。収容部16は、円板状の第1スターホイール10及び第2スターホイール12の周縁14から回転中心5に向かって湾曲する切り欠きである。第1スターホイール10の各収容部16は、容器3の首部の回転を支えながら容器3の浮き上がりを抑える一対の支持リング17が備えられる。
【0041】
収容部16の停止位置には、容器3を容器検査装置1へ供給する供給部18と、容器3を検査する第1検査部22、第2検査部24、第3検査部26を含む検査部20と、第1排出部30と、第2排出部32とが設けられる。供給部18には容器3を供給部18に停止する収容部16に順次送るスクリューコンベヤを備えていてもよい。検査部20の各停止位置に停止した容器3は、容器3の中心軸の周りに自転しながら各種検査が実行される。
【0042】
第1コンベヤ40は、第1排出部30で収容部16から第1押出機構60によって押し出された容器3を自立した状態で第1排出部30から離れる第1方向D1へ搬送する。第1方向D1は、容器3の排出方向である。第2コンベヤ42は、第2排出部32で収容部16から第2押出機構62によって押し出された容器3を自立した状態で第2排出部32から離れる第2方向D2へ搬送する。第2方向D2は、容器3の排出方向である。第1コンベヤ40及び第2コンベヤ42は、無端状のベルトを間欠または連続で循環駆動するベルトコンベヤーであることができ、本実施形態では連続で循環駆動する。第1コンベヤ40及び第2コンベヤ42は、その上面に容器3を自立した状態で搬送する。第1コンベヤ40は第1排出部30にある収容部16の直下から周縁14の外まで延び、第2コンベヤ42は第2排出部32にある収容部16の直下から周縁14の外まで延びる。
【0043】
容器3が第1排出部30に搬送されることで第1コンベヤ40上に容器3が配置し、また容器3が第2排出部32に搬送されることで第2コンベヤ42上に容器3が配置する。本実施形態では第1排出部30に停止する容器3の下まで第1コンベヤ40は延在するが、第1コンベヤ40を第1排出部30に臨んで配置することで押し出された容器3を自立した状態で受け渡されればよく、例えば、第1コンベヤ40が周縁14の外側から第1方向D1に延びてもよい。第2コンベヤ42も同様に例えば周縁14の外側から第2方向D2に延びてもよい。
【0044】
第1コンベヤ40及び第2コンベヤ42は、容器3を自立したまま移動させるため、第
1押出機構60及び第2押出機構62によって容器3が押されることで揺れて自立安定性を欠くことがある。第1コンベヤ40上または第2コンベヤ42上で容器3が転倒すると、容器検査装置1を緊急停止することになるため、容器検査装置1の単位時間当たりの処理能力が著しく低下する。よって、第1排出部30(第2排出部32)から第1コンベヤ40(第2コンベヤ42)への容器3の移動の安定化は重要である。
【0045】
2.保持機構
図2及び図3を用いて保持機構について説明する。本実施形態に係る容器検査装置1には、保持機構として第1保持機構50及び第2保持機構52を備えるが、基本的な構成は両機構とも同じであるため、主に第1保持機構50について説明する。
【0046】
図2に示すように、第1保持機構50は、第1スターホイール10及び第2スターホイール12の回転によって第1排出部30に搬送される容器3の側面に接触可能な少なくとも1本のアームと、アームを回転させて第1保持機構50を閉状態と開状態とに切り替える電動モーター57と、を備える。「閉状態」は、容器3の側面にアームが接触して、第1方向D1への容器3の移動をアームが制限する。開状態は、アームが回転して容器3の側面との接触を解除する。本実施形態の第1保持機構50では上下及び左右に合計4本のアームを備える例について説明する。
【0047】
図2に示すように、第1保持機構50は、第1コンベヤ40を挟んで容器3の全幅Wより広い第1間隔W1で立設する2本の回転軸である第1回転軸53及び第2回転軸54と、第1回転軸53及び第2回転軸54のそれぞれに上下に第2間隔W2をあけて配置される2本のアームである第1アーム55及び第2アーム56と、第1回転軸53及び第2回転軸54を回転駆動する電動モーター57と、を備える。電動モーター57により第1アーム55及び第2アーム56の開閉を高速化できる。上下に配置された第1アーム55と第2アーム56で容器3の側面の上下の2か所を保持できるので、揺れやすい容器形状であっても第1スターホイール10及び第2スターホイール12から第1コンベヤ40上への移動時に容器3の自立安定性を向上できる。本実施形態ではアームを上下に2本配置したが、これに限らず、各回転軸に1本のアームとしてもよい。また、第1回転軸53及び第2回転軸54のそれぞれに固定された第1アーム55及び第2アーム56が観音開きのように開閉することで、第1排出部30から第1コンベヤ40上へ搬送される容器3の移動を速やかに行うことができる。その結果、上記容器検査装置1によれば、第1排出部30におけるスターホイールの停止時間を短縮することができる。また、第1アーム55及び第2アーム56が第1方向D1に開くので容器3の移動を阻害することがなく、揺れやすい容器形状であっても高速排出時の容器3の自立安定性を向上できる。
【0048】
第1方向D1は、容器3が第1押出機構60で収容部16から押し出される方向であり、第1コンベヤ40の搬送方向と同じである。第1回転軸53及び第2回転軸54は、第1コンベヤ40を挟んで立設する。第1回転軸53及び第2回転軸54は、下端がそれぞれ電動モーター57に接続し、鉛直方向の上方に延びて容器3の首部の高さ付近でその上端が回転可能に支持される。
【0049】
電動モーター57は、第1回転軸53及び第2回転軸54のそれぞれに設けられているが、1つの電動モーター57の出力を第1回転軸53及び第2回転軸54の回転に分けて用いてもよい。電動モーター57は、第1回転軸53及び第2回転軸54を軸周りに90度の角度で往復回転することができる。電動モーター57は、サーボモーターであることができる。サーボモーターを採用することで第1回転軸53及び第2回転軸54を高速で回転することができる。
【0050】
電動モーター57は、第1回転軸53及び第2回転軸54を回転して、第1アーム55
及び第2アーム56を閉状態と開状態とに切り替え可能である。閉状態は、第1排出部30にある容器3の側面に第1アーム55及び第2アーム56それぞれの接触部554が接触して容器3の第1方向D1への移動を制限する。開状態は、第1アーム55及び第2アーム56が第1コンベヤ40側へ回動して第1排出部30から第1方向D1への容器3の移動を許容する。第1アーム55及び第2アーム56は、第1回転軸53と第2回転軸54とを中心に旋回することで図2の正面視で観音開きに開閉する。
【0051】
第1アーム55及び第2アーム56は、それぞれ第1回転軸53または第2回転軸54に固定される固定端550と、固定端550とは反対側の自由端552と、自由端552に隣接する図3に示す接触部554と、を有する。一方の第1回転軸53に固定された第1アーム55及び第2アーム56の自由端552と、他方の第2回転軸54に固定された第1アーム55及び第2アーム56の自由端552とは、閉状態でそれぞれが固定された第1回転軸53及び第2回転軸54(固定端550)から互いに近づくように延在する。第1アーム55及び第2アーム56は、それぞれ合成樹脂製の屈曲した板状体である。第1アーム55及び第2アーム56の材質としては、加工しやすい合成樹脂製が望ましいが、容器3の側面を傷つけない材質であれば合成樹脂に限るものではない。なお、容器検査装置1において容器3の表面に接触する部材には第1アーム55等と同様に傷をつけない材質が望ましく、また、それ以外の部材には機械に用いられる金属等の材質を用いることができる。
【0052】
第1アーム55は、第1排出部30に停止した容器3の全高Hの1/2より高い位置である第1高さH1にある。第2アームは、容器3の全高Hの1/2より低い位置である第2高さH2にある。また、第1押出機構60は、第1アーム55の第1高さH1と第2アーム56の第2高さH2との間の高さで容器3を第1コンベヤ40側へ押すことができる。容器3の全高Hの上半分の位置にある第1アーム55と同下半分の位置にある第2アーム56により、容器3の自立安定性を確保しつつ、第1押出機構60が第1アーム55と第2アーム56との間で容器3を押すことで容器3を確実に周縁14より外の第1コンベヤ40上へ移動させることができる。第1押出機構60の押出板65の高さは、容器3の重心の高さに設定されることが容器3の自立安定性を高めるために好ましい。また、各回転軸に1本のアームを設ける場合には、第1押出機構60は当該アームと略同じ高さで容器3を押すことが望ましい。
【0053】
第1アーム55及び第2アーム56の自由端552は、閉状態で固定端550より第1排出部30に停止した収容部16側にある。言い換えれば、自由端552は、閉状態で第1回転軸53及び第2回転軸54を結ぶ仮想直線より第1排出部30に停止した収容部16側にある。自由端552が収容部16に近い位置にあることで閉状態において収容部16内に容器3をより確実に保持することができる。したがって、閉状態で固定端550は自由端552よりも収容部16から離れた位置にある。固定端550が収容部16から離れた位置にあることで、第1スターホイール10の回転によって搬送される容器3と固定端550とが接触しない。
【0054】
第1間隔W1は、容器3の全幅Wに合わせて第1間隔調整機構58により調整することができる。第1間隔調整機構58は、ハンドル580と、2組のボールねじ機構582とを備える。ボールねじ機構582は、ねじ軸を共通とし、ハンドル580を回してねじ軸を回転することでナットに固定された2つの電動モーター57が互いに近接移動または離間移動する。したがって、第1間隔調整機構58によれば、電動モーター57に固定された第1回転軸53及び第2回転軸54の第1間隔W1を変更することができる。
【0055】
第2間隔W2は、容器3の全高Hや容器3の上下の重量配分に合わせて変更することができる。第1回転軸53及び第2回転軸54には鉛直方向に延びる長孔59が形成される
。長孔59には固定端550が取付ボルトで固定される。固定端550の取付ボルトを緩めて、取付ボルトを長孔59に沿って移動させることで、第1アーム55及び第2アーム56を長孔59に沿って移動することができる。例えば、容器3の全高Hが高くなれば第1アーム55及び第2アーム56を上方へ移動し、容器3の全高Hが低くなれば第1アーム55及び第2アーム56を下方へ移動する。
【0056】
また、図1及び図3に示す第2排出部32における第2保持機構52は、第1保持機構50と基本的に同じ構成であり、閉状態と開状態とに切り替わる。開状態においては、第2排出部32にある容器3に対して第2押出機構62を作用させることにより、容器3を第2方向D2に押して第2コンベヤ42上へ移動する。第2保持機構52の第1回転軸53、第2回転軸54、第1アーム55、第2アーム56、及び電動モーター57は、第1保持機構50の各部材と同じ構成及び機能を有するため、重複する説明は省略する。
【0057】
3.押出機構
図1図3を用いて押出機構について説明する。本実施形態に係る容器検査装置1には、押出機構として第1押出機構60及び第2押出機構62を備えるが、基本的な構成は同じであるため、主に第1押出機構60について説明する。
【0058】
図1図3に示すように、第1押出機構60は、機台2上に立設する支持部64と、支持部64に支持される押出板65と、を備える。押出板65は、第1排出部30に停止する容器3に対して進退移動する。第2押出機構62は、支持部64に支持される押出板65を備える。押出板65は、第2排出部32に停止する容器3に対して進退移動する。押出板65が支持部64に支持されることで押出板65の進退移動が安定し、容器3の自立安定性を向上できる。
【0059】
第1押出機構60の押出板65は、第1排出部30の容器3に接触する。第1押出機構60の押出板65は、第1方向D1に常時付勢される。第1押出機構60は、第1保持機構50が閉状態で第1排出部30に搬送された容器3に接触して押出板65が後退し、第1保持機構50が開状態となることにより、第1方向D1に押出板65が前進して容器3を収容部16から押し出す。押出板65が容器3を排出方向(第1方向D1及び第2方向D2)に常時付勢することにより、容器3を迅速に排出することができる。
【0060】
図1に示すように、第1スターホイール10には、回転中心5を含む上下に貫通する第1貫通孔11が形成される。図3に示すように、第2スターホイール12には、回転中心5を含む上下に貫通する第2貫通孔13が形成される。支持部64は、第1貫通孔11と第2貫通孔13を貫通して機台2上に立設する円柱状のロッドである。支持部64の下端は機台2に固定される。第1スターホイール10及び第2スターホイール12は、支持部64の周囲を回転し、支持部64は回転しない。
【0061】
支持部64には水平方向に延びる取付板69aが固定される。取付板69aは支持部64に沿って鉛直方向に移動可能であり、取付板69aの高さを変更することで押出板65の高さを調整する。取付板69aには2枚のスライド板69bが固定される。スライド板69bは、ノブ69cを回して固定ボルトを緩めることでスライド板69bに設けられる長孔に沿って取付板69aの上を前後に移動可能である。スライド板69bを前後に移動することで、収容部16に押出板65をどの程度突出した位置にするかを調整できる。押出板65は、スライド板69bの先端部から収容部16(容器3)側に交差して延びる2本の押出アーム68a、68bを介して収容部16に突出するように配置される。
【0062】
押出板65は、収容部16内に突出する方向に常時付勢される。押出アーム68a及び押出アーム68bは、スライド板69bに付勢部材66a及び付勢部材66bを介して取
り付けられる。付勢部材66aは押出アーム68aをスライド板69bに対して図3における右回転する方向に付勢し、付勢部材66bは押出アーム68bをスライド板69bに対して図3における左回転する方向に付勢する。したがって、押出アーム68aと押出アーム68bの先端は互いに近づく方向に常時付勢される。押出アーム68aの先端は押出板65に回転自在に固定される。押出板65には長孔65aが開口し、長孔65aは押出アーム68bの先端に設けられたカムフォロア67を受け入れ、カムフォロア67は長孔65aに沿って移動可能である。
【0063】
収容部16に容器3が収容されていない状態では、図3の第2排出部32で示すように、押出アーム68aの先端にカムフォロア67が近づくように移動して、押出板65の先端が収容部16内に押し出される。
【0064】
押出板65は、押出板65に対して第2スターホイール12によって容器3が搬送されてくる側に面取り部65bを有する。面取り部65bは、搬送されてきた容器3の胴部に接触して押出板65をスライド板69b側に押し戻す機能を有する。押し戻された押出板65は、付勢部材66a,66bによって容器3を第1方向D1に押し出すように常時付勢する。また、容器3は第1方向D1に向かって常時駆動している第1コンベヤ40上にあり、容器3の底部が第1コンベヤ40に摺接している。
【0065】
図3における第1排出部30では第1保持機構50の第1アーム55(及び第2アーム56)が閉状態にあり、第1アーム55の接触部554が容器3に接触して、押出板65の押出力に抗して容器3を収容部16内に保持する。
【0066】
第1アーム55が図3に破線で示す位置に移動して開状態になると、容器3は、押出板65によって第1方向D1に押し出され、かつ、第1コンベヤ40に乗って第1方向D1に移動する。第1アーム55の下に配置された図2に示す第2アーム56も第1アーム55と同様に動作するため、容器3の自立状態をより安定的に維持したまま容器3が第1コンベヤ40に乗って移動できる。
【0067】
4.変形例
変形例に係る容器検査装置1aについて説明する。図4は変形例に係る容器検査装置1aの平面図の部分拡大図であり、図5は変形例に係る容器検査装置1aの側面図であり、図6は変形例に係る容器検査装置1aの第1排出部30の背面図である。ここでは、上記実施形態に係る容器検査装置1と同一の構成については同一の符号を用い、重複する説明を省略する。また、第2排出部32は、第1排出部30と同様の構成であるため、ここでは第1排出部30についてのみ説明する。図6は第1方向D1に沿って収容部側から容器3を見ているため、第1押出機構600等を省略して示す。
【0068】
4.1.保持機構
図4図6に示すように、変形例に係る容器検査装置1aは、第1排出部30に臨んで機台2に支持される第1保持機構500を有する。
【0069】
第1保持機構500は、1本のアーム560と、アーム560を揺動する電動モーター570と、を備える。電動モーター570は、例えばサーボモーターである。電動モーター570は、機台2に固定される。
【0070】
アーム560は、電動モーター570の回転軸530に固定された固定端561と、固定端561と反対側の自由端562と、を有する。固定端561と自由端562との間には、第1排出部30に停止する容器3の側面に接触する接触部564を有する。自由端562は、閉状態で固定端561より第1排出部30に停止した収容部16側にある。
【0071】
電動モーター570の回転軸530は、図4の平面視で第1方向D1と平行であり、図5の側面視で第1排出部30に向かって上方に傾いている。上方への傾きは、例えば水平面に対して10度~20度程度である。電動モーター570を駆動すると、回転軸530が回転し、固定端561を中心に自由端562が弧を描くように移動して、アーム560が揺動する。図6に示すように、閉状態でアーム560は水平であり、開状態でアーム560は背面視で垂直であるので、揺動角は90度である。揺動角は、閉状態で容器3を確実に保持可能であり、かつ、開状態で排出される容器3と干渉しない範囲で変更可能である。
【0072】
図4図6において破線の矢印でアーム560の開動作を示す。電動モーター570を駆動して、回転軸530を中心にアーム560を上方へ揺動することにより、自由端562が第1排出部30から離れる方向へ移動しながら上方へ移動する。これにより、第1保持機構500が閉状態から開状態となる。第1保持機構500は、構成が簡単でありながらアーム560の開閉を高速化できる。また、このように少なくとも回転軸530を上方へ傾けることにより、自由端562を、単に上方へ移動させるのではなく、第1排出部30から離れる方向へ移動しながら開動作することで、容器3に対し上方へ持ち上げる力を低減することができ、容器3の自立安定性を向上できる。
【0073】
4.2.押出機構
図4及び図5に示すように、第1押出機構600は、支持部64に水平に固定された取付板690と、長孔691に沿って取付板690上を前後に移動可能なスライド板692と、スライド板692から収容部16(容器3)側に延びる押出板650と、を備える。
【0074】
スライド板692は、第1方向D1に直交する方向に延びるレール693と、第1方向D1に沿って延びるガイド694と、を備える。レール693は、凹溝に形成される。ガイド694は、スライド板692の上面から突出し、第1方向D1に沿って延びる板状である。
【0075】
押出板650は、第1方向D1に沿って延びる板状であり、先端に接触板651と、後端に摺動溝653と、上面に付勢部材660と、を備える。
【0076】
接触板651は、容器に接触しても傷がつかない材質、例えば合成樹脂製であり、容器3の搬入側に面取り部652を有する。
【0077】
摺動溝653は、押出板650の後端に開口する切り欠き溝であり、第1方向D1に沿って延びて形成される。摺動溝653内にガイド694が挿入され、ガイド694の側面に摺動溝653が摺接することで第1方向D1に沿って押出板650が進退移動する。押出板650は、スライド板692の上面と、ガイド694の上に固定された押さえ板695との間に挟持される。よって、押出板650は、上下をスライド板692と押さえ板695によって案内され、第1方向D1に直交する方向をガイド694によって案内されて進退移動可能である。
【0078】
付勢部材660は、スライド板692に対して図3における左回転する方向に付勢された押出アーム680と、押出アーム680の先端に取り付けられたカムフォロア670と、を備える。カムフォロア670は、レール693に沿って第1方向D1に直交する方向に転がり移動可能である。したがって、付勢部材660は、押出アーム680をカムフォロア670が図4の上方へ向かって移動するように常時付勢し、その結果、付勢部材660が固定された押出板650をスライド板692に対して第1方向D1に押し出すように常時付勢する。
【0079】
収容部16に容器3が収容されていない状態では、押出板650の接触板651が収容部16内まで押し出される。第1スターホイール10及び第2スターホイール12が回転して、第1排出部30に容器3が搬入されると、容器3の側面に面取り部652が最初に接触する。容器3が第1排出部30に近づくにつれて、容器3が面取り部652を摺動しながら押出板650を後退させる。このとき、カムフォロア670はレール693内を転動し、摺動溝653はガイド694に案内されて図4に示す状態となる。
【0080】
電動モーター570を駆動して第1保持機構500が閉状態から開状態へ移ると、付勢部材660は押出アーム680を左回転させてカムフォロア670がレール693内を図4の上方へ転動する。これにより、押出板650は、ガイド694に沿って第1方向D1に押し出され、接触板651が容器3の側面を押すことで第1コンベヤ40上へ容器3を迅速に排出する。
【0081】
5.昇降部
図1及び図7図9を用いて昇降部100について説明する。図7は本実施形態に係る撮像部28が検査位置にある容器検査装置1の正面図であり、図8は本実施形態に係る撮像部28がメンテナンス位置にある容器検査装置1の正面図であり、図9は昇降部100の平面図である。図7及び図8では第1スターホイール10及び第2スターホイール12等の機台2の上にある機構を省略して示す。
【0082】
図1に示すように、検査部20は、第1スターホイール10の周縁14に沿って配置される。フレーム110は、機台2の周囲を囲むように配置される。フレーム110は、角型鋼管を溶接して枠体に形成される。フレーム110は、機台2から離間して配置される。
【0083】
図7に示すように、フレーム110は、機台2と同じ設置面上に設置され、容器3が搬送される高さより高い位置まで上方に延びる。フレーム110の上端には昇降部100が設けられる。
【0084】
検査部20は、フレーム110から垂下され、かつ、容器3に対して光を出射する発光部27と、フレーム110から垂下され、かつ、発光部27の光が照射された容器3を撮像する撮像部28と、を含む。撮像部28は、容器3を挟んで発光部27と対向して配置される。撮像部28が容器3からの反射光で撮像する場合には発光部27側に撮像部28が設けられてもよい。
【0085】
発光部27及び撮像部28は、フレーム110に固定される。発光部27は、フレーム110から垂下され、かつ、容器3に対して光を出射する。撮像部28は、フレーム110から垂下され、かつ、発光部27の光が照射された容器3を撮像する。
【0086】
このように、第1スターホイール10及び第2スターホイール12の回転等により振動が発生する機台2からフレーム110が離間しているので、撮像部28の振動が抑制され、撮像部28で精度の高い画像を撮像できる。
【0087】
図7図9に示すように、容器検査装置1は、容器3の搬送路の上方に昇降部100を有する。昇降部100は、発光部27及び撮像部28を容器3に対して昇降する。昇降部100は、フレーム110の上に、昇降モーター120と、ボールねじ機構124と、昇降モーター120の駆動力をボールねじ機構124に伝達するベルト121及びギヤボックス122と、ボールねじ機構124のねじ軸125と平行にフレーム110から垂下された3本のガイド126と、を備える。昇降モーター120は、電動モーターである。
【0088】
昇降部100は、第1スターホイール10及び第2スターホイール12によって搬送される容器3の高さに合わせた図7に示す検査位置と、検査位置よりも上方の図8に示すメンテナンス位置とに発光部27及び撮像部28を昇降可能である。発光部27及び撮像部28は一体化されており、昇降モーター120の駆動によりねじ軸125を回転させると発光部27及び撮像部28はガイド126に案内されて昇降する。図7に示す検査位置に発光部27及び撮像部28がある状態でメンテナンスを行うと、第1スターホイール10及び第2スターホイール12や支持部64に固定された第1押出機構60及び第2押出機構62のメンテナンス作業がやりにくい。これに対して、図8に示すメンテナンス位置に発光部27及び撮像部28があると、装置内部の作業性が格段に向上する。
【0089】
従来であれば、メンテナンス作業のたびに発光部27と撮像部28を容器検査装置1から取り外すことも多かったが、メンテナンス位置に発光部27及び撮像部28を上昇させてしまえばこれらを取り外さなくて済む。そのため、メンテナンス後に発光部27と撮像部28を再び検査位置に戻すための作業時間を短縮できる。また、昇降部100により発光部27等を上昇させることで、容器検査装置1内に、作業者がアクセスしやすくなり、かつ、作業者が部品等を出し入れしやすくなる。このようにメンテナンスに要する時間を短縮することにより、生産ラインを停止する時間も短縮できるため、結果的に容器3の生産性を向上できる。メンテナンスとしては、例えば第1押出機構60等の各動作部の調整の他、容器3のデザインが変更された際の型替え作業等がある。型替え作業は、容器3のハンドリングに関わる部品の交換作業になるため、特に作業に時間を要する。型替え作業では、昇降部100により発光部27等を上昇させた状態で、例えば、支持部64を機台2から取り外した後、第1スターホイール10及び第2スターホイール12をまとめて取り外し、変更後の容器3のデザインに合わせた新たな第1スターホイール10及び第2スターホイール12のセットを取り付ける。この取り付け後、再び昇降部100により発光部27等を検査位置に戻せば型替え作業が完了する。なお、昇降部100を採用することにより、従来の昇降部100が無かった装置に比べて、型替え作業に要する時間が半分以下に短縮できることも発明者等の実験により確認された。
【0090】
昇降部100は、昇降用ハンドル130をさらに備えてもよい。昇降用ハンドル130は、フレーム110から垂下され、容器3の上方に配置される。昇降用ハンドル130は、ベルト121にプーリーを介して連結される。昇降用ハンドル130を回すことで、ベルト121及びギヤボックス122を介してボールねじ機構124を駆動して発光部27及び撮像部28を昇降できる。昇降用ハンドル130を有することで、昇降モーター120が故障した場合や昇降モーター120に電力が供給されていない場合でも、発光部27及び撮像部28を昇降できる。
【0091】
昇降部100は、ボールねじ機構124に限らず、ボールねじ機構124の代わりに発光部27及び撮像部28を昇降させる公知の直動機構を採用してもよい。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能であり、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。ここで、「同一の構成」とは、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0093】
1,1a…容器検査装置、2…機台、3…容器、5…回転中心、7…制御装置、10…
第1スターホイール、11…第1貫通孔、12…第2スターホイール、13…第2貫通孔、14…周縁、16…収容部、17…支持リング、18…供給部、20…検査部、22…第1検査部、24…第2検査部、26…第3検査部、27…発光部、28…撮像部、30…第1排出部、32…第2排出部、40…第1コンベヤ、42…第2コンベヤ、50,500…第1保持機構、52…第2保持機構、53…第1回転軸、530…回転軸、54…第2回転軸、55…第1アーム、550…固定端、552…自由端、554…接触部、56…第2アーム、560…アーム、561…固定端、562…自由端、564…接触部、57,570…電動モーター、58…第1間隔調整機構、580…ハンドル、582…ボールねじ機構、59…長孔、60,600…第1押出機構、62…第2押出機構、64…支持部、65,650…押出板、65a…長孔、65b…面取り部、651…接触板、652…面取り部、653…摺動溝、66a,66b,660…付勢部材、67,670…カムフォロア、68a,68b,680…押出アーム、69a…取付板、69b…スライド板、69c…ノブ、690…取付板、691…長孔、692…スライド板、693…レール、694…ガイド、695…押さえ板、70…制御部、72…記憶部、74…演算部、100…昇降部、110…フレーム、120…昇降モーター、121…ベルト、122…ギヤボックス、124…ボールねじ機構、125…ねじ軸、126…ガイド、130…昇降用ハンドル、D1…第1方向、D2…第2方向、H…全高、H1…第1高さ、H2…第2高さ、W…全幅、W1…第1間隔、W2…第2間隔
図1
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図3
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図5
図6
図7
図8
図9