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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ブーム装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20230202BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A01M7/00 J
B05B17/00 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019054966
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020150897
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】清塚 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】小久保 直樹
(72)【発明者】
【氏名】渋江 利夫
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-157775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0256433(US,A1)
【文献】特開2012-065638(JP,A)
【文献】特開2011-078411(JP,A)
【文献】特表2006-522590(JP,A)
【文献】特開平11-319659(JP,A)
【文献】特開2001-112397(JP,A)
【文献】特開2008-017765(JP,A)
【文献】特公平04-021448(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0048612(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0266365(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
B05B 17/00 - 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車両(2)に搭載されるブーム(110,120,130)と、
前記ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って互いに離間して配置された複数のノズル(111a,121a,131a)と、
前記ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って配置され、前記ノズル(111a,121a,131a)から噴射される薬液を視認し易くするための光を照射する光照射装置(150)と、を備え、
前記ブーム(110,120,130)は、長さ方向が水平方向に沿うように制御可能であり、
前記ブーム(110,120,130)の長さ方向が水平方向に沿った状態において、複数の前記ノズル(111a,121a,131a)は噴射口(111b,121b,131b)が下側を向くように設けられており、
前記光照射装置(150)は、
前記ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って延在し前記ブーム(110,120,130)の下面に固定されたベース(151)と、前記ベース(151)上に配置され前記ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って互いに離間して配置される複数の光源(153)とを含み、
前記ブーム(110,120,130)の下部において下方を照射することにより、複数の前記ノズル(111a,121a,131a)から噴射される薬液を照射するように配置されている、ブーム装置(100)。
【請求項2】
前記ブーム(110,120,130)は、前記車両(2)に接続される第1ブーム(110)と前記第1ブーム(110)に沿ってスライド移動する第2ブーム(120)とを含み、
前記光照射装置(150)は、前記第1ブーム(110)及び前記第2ブーム(120)のそれぞれに設けられ、
前記第2ブーム(120)に配置された前記光照射装置(150)は、配線(6,24)によって前記車両(2)に搭載された電源(5)と電気的に接続されており、
前記配線(6,24)は、前記第2ブーム(120)が伸長した状態において、前記電源(5)から前記第2ブーム(120)に配置された前記光照射装置(150)までの距離に対応した長さを有している、請求項に記載のブーム装置(100)。
【請求項3】
前記ブーム(110,120,130)は、前記車両(2)に接続される第1ブーム(110)と、前記第1ブーム(110)に沿ってスライド移動する第2ブーム(120)と、前記第2ブーム(120)に沿ってスライド移動する第3ブーム(130)と、を含み、
前記光照射装置(150)は、前記第1ブーム(110)に配置される第1光照射装置(150A)と、前記第2ブーム(120)に配置される第2光照射装置(150B)と、前記第3ブーム(130)に配置される第3光照射装置(150C)と、を含み、
前記第1光照射装置(150A)は、前記車両(2)に搭載された電源(5)と第1の配線(6)によって電気的に接続されており、
前記第2光照射装置(150B)は、前記第1の配線(6)に電気的に接続された第2の配線(24)に電気的に接続されており、
前記第3光照射装置(150C)は、前記第2の配線(24)に電気的に接続された第3の配線(34)に電気的に接続されている、請求項1又は2に記載のブーム装置(100)。
【請求項4】
前記ブーム(110,120,130)は前記車両(2)に接続される第1ブーム(110)と前記第1ブーム(110)に沿ってスライド移動する第2ブーム(120)とを含み、
前記光照射装置(150)は、前記第1ブーム(110)及び前記第2ブーム(120)のそれぞれに設けられ、
前記第2ブーム(120)に配置された前記光照射装置(150)は、前記第2ブーム(120)に搭載された電源に電気的に接続されている、請求項1~のいずれか一項に記載のブーム装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防除作業に用いられるブームスプレーヤに搭載されるブーム装置が知られている。例えば、特許文献1に記載されたブーム装置は、元側ブーム部材と先側ブーム部材とを有している。先側ブーム部材の先端部の上部には、先側ブームの先端部付近を照らす照明燈が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-112397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたブーム装置では、照明燈が先側ブームの先端部に取り付けられているため、周囲が暗い状況において照明燈が点燈されたとしても、ブームスプレーヤによって噴霧される薬液を視認し易くすることが困難であった。
【0005】
本発明の一形態は、周囲が暗い状況において噴霧される薬液を視認し易くすることができるブーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るブーム装置(100)は、走行可能な車両(2)に搭載されるブーム(110,120,130)と、ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って互いに離間して配置された複数のノズル(111a,121a,131a)と、ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って配置される光照射装置(150)と、を備え、光照射装置(150)は、複数のノズル(111a,121a,131a)から噴射される薬液を照射するように配置されている。
【0007】
上記ブーム装置(100)では、車両(2)に搭載されたブーム(110,120,130)に配置された複数のノズル(111a,121a,131a)から薬液が噴射される。この場合、薬液の噴射領域は、ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って形成され得る。光照射装置(150)は、噴射される薬液を照射するようにブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って配置されるので、薬液の噴射領域をブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って照射することができる。したがって、周囲が暗い状況において噴霧される薬液を視認し易くすることができる。
【0008】
また、ブーム(110,120,130)は、長さ方向が水平方向に沿うように制御可能であり、ブーム(110,120,130)の長さ方向が水平方向に沿った状態において、複数のノズル(111a,121a,131a)は噴射口(111b,121b,131b)が下側を向くように設けられており、光照射装置(150)はブーム(110,120,130)の下部において下方を照射するように配置されてもよい。この構成では、ノズル(111a,121a,131a)から下方に向けて噴射される薬液を光照射装置(150)によって上側から照射することができる。
【0009】
また、光照射装置(150)は、ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って互いに離間して配置される複数の光源(153)を含んでいてもよい。ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って複数の光源(153)が配置されることにより、ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って、光照射を効率よく行うことができる。
【0010】
また、光照射装置(150)は、ブーム(110,120,130)の長さ方向に沿って延在するベース(151)を含み、複数の光源(153)はベース(151)上に配置されていてもよい。ベース(151)上に光源(153)が配置された光照射装置(150)を用いることにより、ブーム(110,120,130)に対して光照射装置(150)を容易に配置することができる。
【0011】
また、ブーム(110,120,130)は、車両(2)に接続される第1ブーム(110)と第1ブーム(110)に沿ってスライド移動する第2ブーム(120)とを含み、光照射装置(150)は、第1ブーム(110)及び第2ブーム(120)のそれぞれに設けられ、第2ブーム(120)に配置された光照射装置(150)は、配線(6,24)によって車両(2)に搭載された電源(5)と電気的に接続されており、配線(6,24)は、第2ブーム(120)が伸長した状態において、電源(5)から第2ブーム(120)に配置された光照射装置(150)までの距離に対応した長さを有していてよい。この構成では、第2ブーム(120)に配置される光照射装置(150)に専用の電源を設ける必要がなく、電気系統が煩雑になることが抑制される。また、ブーム(110,120,130)が伸長した状態、及び、ブーム(110,120,130)が収縮した状態のいずれにおいても第2ブーム(120)に配置される光照射装置(150)に電力を供給することができる。
【0012】
また、ブーム(110,120,130)は、車両(2)に接続される第1ブーム(110)と、第1ブーム(110)に沿ってスライド移動する第2ブーム(120)と、第2ブーム(120)に沿ってスライド移動する第3ブーム(130)と、を含み、光照射装置(150)は、第1ブーム(110)に配置される第1光照射装置(150A)と、第2ブーム(120)に配置される第2光照射装置(150B)と、第3ブーム(130)に配置される第3光照射装置(150C)と、を含み、第1光照射装置(150A)は、第1の配線(6)によって車両(2)に搭載された電源(5)と電気的に接続されており、第2光照射装置(150B)は、第1の配線(6)に電気的に接続された第2の配線(24)に電気的に接続されており、第3光照射装置(150C)は、第2の配線(24)に電気的に接続された第3の配線(34)に電気的に接続されていてもよい。この構成では、第1の配線(6)が第1光照射装置(150A)、第2光照射装置(150B)及び第3光照射装置(150C)で利用され、第2の配線(24)が第2光照射装置(150B)及び第3光照射装置(150C)で利用されるため、各光照射装置150に対する配線が煩雑になることが抑制される。
【0013】
また、ブーム(110,120,130)は車両(2)に接続される第1ブーム(110)と第1ブーム(110)に沿ってスライド移動する第2ブーム(120)とを含み、光照射装置(150)は、第1ブーム(110)及び第2ブーム(120)のそれぞれに設けられ、第2ブーム(120)に配置された光照射装置(150)は、第2ブーム(120)に搭載された電源に電気的に接続されていてもよい。この構成では、第2ブーム(120)のスライド移動の状態に関わらず、第2ブーム(120)に配置された光照射装置(150)と電源との互いの位置関係に変化がない。そのため、第2ブーム(120)に配置された光照射装置(150)と電源とを互いに接続する配線がシンプルに構成され得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面に係るブーム装置によれば、周囲が暗い状況において噴霧される薬液を視認し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一例に係るブームスプレーヤの斜視図のである。
図2】一例に係るスライドブームの側面図である。
図3】第1ブームの断面図である。
図4】第2ブームの断面図である。
図5】第3ブームの断面図である。
図6】光照射装置を模式的に示す平面図である。
図7】光照射装置に係る電気系統を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0017】
図1は、ブーム装置が搭載されたブームスプレーヤを後方から見た状態を示す斜視図である。図2は、ブーム装置の側面図である。図2では、多段式のブーム装置が伸長した状態が示されている。図3は、ブーム装置を構成する第1ブームの断面図である。図4は、ブーム装置を構成する第2ブームの断面図である。図5は、ブーム装置を構成する第3ブームの断面図である。図3図4及び図5では、それぞれのブームを先端側から基端側に向かって見ている。
【0018】
ブームスプレーヤ1は、車輪を備えた走行可能な車両2と、車両2に取り付けられたブーム装置100とを有する。ブームスプレーヤ1は、圃場において車両2を走行させながら、車両2に搭載された液体タンク10に貯留された薬液等の液体を散布する。図示例では、自走式の車両2を有するブームスプレーヤ1を示しているが、車両は、トラクタ等の自走機体に牽引されることによって、走行してもよい。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、特に断らない限り、ブームスプレーヤ1を基準とする。
【0019】
ブーム装置100は、車両2の後部において左右の一端又は両端に取り付けられている。なお、図1では、車両前方に向かって右側に配置されたブーム装置100のみを示している。本実施形態では、ブーム装置100は、車両2に接続される基端ブームと基端ブームに接続される先端ブームとを含む多段式のスライドブーム(伸縮ブーム)である。図示例のブーム装置100は、第1ブーム110と、第1ブーム110に沿ってスライド移動する第2ブーム120と、第2ブーム120に沿ってスライド移動する第3ブーム130と、を含んでいる。また、図示例では、車両2の後部にセンターブーム3が取り付けられている。センターブーム3には複数のノズル(図示省略)が長さ方向に互いに離間して配置されている。センターブーム3のノズルには、配管を介して液体タンク10から薬液が送られるようになっている。
【0020】
第1ブーム110は、一方向に延びる長尺部材である。第1ブーム110の基端は、第1ブーム110が水平方向及び上下方向のそれぞれに対して揺動可能となるように、車両2のフレームに取り付けられている。薬液が散布される場合、例えばブーム装置100の長さ方向が水平方向に沿うように、第1ブーム110の揺動が制御される。
【0021】
図3に示すように、第1ブーム110は、筒状の送液管111を有する。送液管111は、第1ブーム110の長さ方向に沿って配置されるように、固定部材によって第1ブーム110の下部に固定されている。送液管111には、複数のノズル111aが長さ方向に沿って互いに離間して配置されている。送液管111は、例えば接続ホースを介して液体タンク10に接続されている。ノズル111aは、第1ブーム110の長さ方向が水平方向に沿った状態において、噴射口111bが下向きになるように配置されている。すなわち、薬液は、ノズル111aの噴射口111bから下側に向かって噴射される。なお、図示例では、第1ブーム110の先端から基端に向かって見たときに、ノズル111aの位置が送液管111に対して右側にオフセットされている。
【0022】
第2ブーム120は、一方向に延びる長尺部材である。第2ブーム120は、筒状の送液管121を有する。送液管121は、第2ブーム120の長さ方向に沿って配置されるように、固定部材によって第2ブーム120の下部に固定されている。送液管121には、複数のノズル121aが長さ方向に沿って互いに離間して配置されている。ノズル121aは、第2ブーム120の長さ方向が水平方向に沿った状態において、噴射口121bが下向きになるように配置されている。すなわち、薬液は、ノズル121aの噴射口121bから下側に向かって噴射される。なお、図示例では、第2ブーム120の先端から基端に向かって見たときに、ノズル121aの位置が送液管121に対して右側にオフセットされている。
【0023】
第2ブーム120は、第1ブーム110の外側において第1ブーム110に支持されており、第1ブーム110の長さ方向に沿ってスライド移動する。例えば、本実施形態では、第1ブーム110は、左右の一方の側面において長さ方向に沿って外方に張り出した上壁部113及び下壁部114を有している。上壁部113と下壁部114とは上下方向において互いに離間している。上壁部113の内側面及び下壁部114の内側面には、それぞれ第1ブーム110の長さ方向に延びた溝113a,114aが形成されている。一方、第2ブーム120の上面123及び下面124には、それぞれ第2ブーム120の長さ方向に延びるように溝123a,124aが形成されている。一例として、第2ブーム120の基端側に上下方向に互いに離間して設けられた一対のスライドローラ(図示省略)が第1ブーム110の溝113a,114aに係合するとともに、第1ブーム110の先端側に上下方向に違いに離間して設けられた一対のスライドローラ(図示省略)が第2ブーム120の溝123a,124aに係合する。これらの溝113a,114a,123a,124a及びスライドローラにより、第2ブーム120が第1ブーム110に対してその長さ方向に沿ってスライド可能とされている。
【0024】
第3ブーム130は、一方向に延びる長尺部材である。第3ブーム130は、筒状の送液管131を有する。送液管131は、第3ブーム130の長さ方向に沿って配置されるように、固定部材によって第3ブーム130の下部に固定されている。送液管131には、複数のノズル131aが長さ方向に沿って互いに離間して配置されている。ノズル131aは、第3ブーム130の長さ方向が水平方向に沿った状態において、噴射口131bが下向きになるように配置されている。すなわち、薬液は、ノズル131aの噴射口131bから下側に向かって噴射される。なお、図示例では、第3ブーム130の先端から基端に向かって見たときに、ノズル131aの位置が送液管131に対して左側にオフセットされている。
【0025】
第3ブーム130は、第2ブーム120の外側において第2ブーム120に支持されており、第2ブーム120の長さ方向に沿ってスライド移動する。例えば、本実施形態では、第2ブーム120は、左右の一方の側面において長さ方向に沿って外方に張り出した上壁部125及び下壁部126を有している。上壁部125と下壁部126とは上下方向において互いに離間している。上壁部125の内側面及び下壁部126の内側面には、それぞれ第2ブーム120の長さ方向に延びた溝125a,126aが形成されている。一方、第3ブーム130の上面133及び下面134には、それぞれ第3ブーム130の長さ方向に延びるように溝133a,134aが形成されている。一例として、第3ブーム130の基端側に上下方向に互いに離間して設けられた一対のスライドローラ(図示省略)が第2ブーム120の溝125a,126aに係合するとともに、第2ブーム120の先端側に上下方向に互いに離間して設けられた一対のスライドローラ(図示省略)が第3ブーム130の溝133a,134aに係合する。これらの溝125a,126a,133a,134a及びスライドローラにより、第3ブーム130が第2ブーム120に対してその長さ方向に沿ってスライド可能とされている。
【0026】
図1に示すように、第1ブーム110の基端には、上方へ延びる支柱117A、及び、傾斜して上方に延びる支柱117Bが固定されている。第1ブームの先端には、上方へ延びる支柱117Cが固定されている。支柱117Cの途中には、支柱117Bと同じ側の側方に水平に突出する支持具117Dが形成されている。第2ブーム120の基端には、上下方向に延びる支柱127Aが固定されている。第2ブーム120の先端には、上方へ延びる支柱127Bが固定されている。
【0027】
支柱117Aの上端部と支柱117Cの上端部との間、支柱117Bの上端部と支持具117Dの先端部との間、及び、支柱127Aと支柱127Bとの間には、それぞれワイヤ18,28,38が張架されている(図1及び図2)。すなわち、ワイヤ18,28は、第1ブームに沿って配置されており、ワイヤ38は第2ブームに沿って配置されている。ワイヤ18,28,38は互いに平行とされ、基端側にはそれぞれコイルホース19,29,39が伸縮自在に吊設されている。
【0028】
コイルホース19の一端は、支柱117Aに設けられた配管を介して液体タンク10に接続されている。コイルホース19の他端は、可撓性を有する連結ホース17に接続されている。連結ホース17は、第2ブーム120の外側部において、第2ブーム120の長さ方向に沿って固定された送液管121に接続されている。これらの構成により、散布すべき農薬等がコイルホース19、連結ホース17を経て第2ブーム120の送液管121に供給される。
【0029】
連結ホース17が送液管121に接続されているため、第2ブーム120が第1ブーム110に対してスライドした場合に、コイルホース19が連結ホース17に引っ張られてワイヤ18に沿って伸び、逆に第2ブーム120が戻るときは縮む。
【0030】
コイルホース29の一端は、支柱117Bに設けられた配管を介して液体タンクに接続されている。コイルホース29の他端は、第2ブーム120の基端に固定された配管27を介してコイルホース39の一端に接続されている。コイルホース39の他端は、可撓性を有する連結ホース37に接続されている。連結ホース37は、第3ブーム130の外側部において、第3ブーム130の長さ方向に沿って固定されている送液管131に接続されている。これらの構成により、散布すべき農薬等がコイルホース29、配管27,コイルホース39,連結ホース37を経て第3ブーム130の送液管131に供給される。
【0031】
配管27が第2ブーム120の支柱127Aに固定されているため、第2ブーム120が第1ブームに対してスライドした場合に、コイルホース29が配管27に引っ張られてワイヤ28に沿って伸び、逆に第2ブーム120が戻るときは縮む。
【0032】
また、連結ホース37が第3ブーム130の基端において送液管131に接続されているため、第3ブーム130が第2ブーム120に対してスライドした場合に、コイルホース39が連結ホース37に引っ張られてワイヤ38に沿って伸び、逆に第3ブーム130が戻るときは縮む。そして、送液管121,131には、軸線方向に沿って複数のノズル121a,131aが設けられており、このノズル121a,131aから散布すべき農薬等が噴霧されるようになっている。
【0033】
また、本実施形態では、ブーム装置100は、各ブームの長さ方向に沿って配置される光照射装置150を備えている。光照射装置150は、複数のノズル111a,121a,131aの噴射範囲に光を照射するように配置されている。すなわち、光照射装置150は、複数のノズル111a,121a,131aから噴射される薬液を照射するように配置されている。
【0034】
図6は、光照射装置を模式的に示す平面図である。図6に示すように、光照射装置150は、いわゆるLEDテープであり、一方向を長さ方向として、当該長さ方向に沿って延在するベース151と、ベース151上において長さ方向に沿って配置される複数のLEDチップ(LED光源)153と、を含んでいる。例えば、複数のLEDチップ153は、長さ方向に互いに等間隔に離間して配置されている。一例として、LEDチップ153同士の間隔は、各送液管111,121,131におけるノズル同士の間隔よりも小さくなっている。また、それぞれのLEDチップ153同士は、ベース151に形成された配線(回路)によって互いに並列となるように電気的に接続されていてよい。ベース151の一端には、ベース151に形成された配線を介して、それぞれのLEDチップ153に電気的に接続されたワイヤーハーネス155が取り付けられている。LEDチップ153を点灯させる場合、ワイヤーハーネス155を介して各LEDチップ153に電力が供給される。また、ベース151においてLEDチップ153が配置される上面151aとは逆側の裏面151bには、光照射装置150を設置(固定)するための、例えば粘着層が形成されていてもよい。また、ベース151上に配置されたLEDチップ153は、透光性を有する樹脂によって被覆されていてもよい。
【0035】
本実施形態では、ブーム装置100は、第1ブーム110に配置される光照射装置150(第1光照射装置150A)と、第2ブーム120に配置される光照射装置150(第2光照射装置150B)と、第3ブーム130に配置される光照射装置150(第3光照射装置150C)と、を有している。
【0036】
図3に示すように、第1光照射装置150Aは、ベース151の長さ方向が第1ブーム110の長さ方向に沿うように配置されている。すなわち、ベース151上に形成された複数のLEDチップ153は、第1ブーム110の長さ方向に互いに離間して配置される。図示例では、第1光照射装置150Aは、第1ブーム110の下部に配置されている。例えば、第1光照射装置150Aは、第1ブーム110の下面のうち、送液管111が配置されている位置よりも第2ブーム120に近い位置において、送液管111に沿って配置されている。ベース151の裏面151bが第1ブーム110の下面に接着(固定)されているため、LEDチップ153は第1ブーム110の下方を照射する。一例として、第1光照射装置150Aは、送液管111の最も基端側に接続されたノズル111aの位置から送液管111の最も先端側に接続されたノズル111aの位置まで延在している。
【0037】
図4に示すように、第2光照射装置150Bは、ベース151の長さ方向が第2ブーム120の長さ方向に沿うように配置されている。すなわち、ベース151上に形成された複数のLEDチップ153は、第2ブーム120の長さ方向に互いに離間して配置される。図示例では、第2光照射装置150Bは、第2ブーム120の下部に配置されている。例えば、第2光照射装置150Bは、第2ブーム120の下面のうち、送液管121が配置されている位置よりも第3ブーム130に近い位置において、送液管121に沿って配置されている。ベース151の裏面151bが第2ブーム120の下面に接着(固定)されているため、LEDチップ153は第2ブーム120の下方を照射する。一例として、第2光照射装置150Bは、送液管121の最も基端側に接続されたノズル121aの位置から送液管121の最も先端側に接続されたノズル121aの位置まで延在している。
【0038】
図5に示すように、第3光照射装置150Cは、ベース151の長さ方向が第3ブーム130の長さ方向に沿うように配置されている。すなわち、ベース151上に形成された複数のLEDチップ153は、第3ブーム130の長さ方向に互いに離間して配置される。図示例では、第3光照射装置150Cは、第3ブーム130の下部に配置されている。例えば、第3光照射装置150Cは、第3ブーム130の下面のうち、送液管131が配置されている位置よりも第2ブーム120から遠い位置において、送液管131に沿って配置されている。ベース151の裏面151bが第3ブーム130の下面に接着(固定)されているので、LEDチップ153は第3ブーム130の下方を照射する。一例として、第3光照射装置150Cは、送液管131の最も基端側に接続されたノズル131aの位置から送液管131の最も先端側に接続されたノズル131aの位置まで延在している。
【0039】
図7は、光照射装置に係る電気系統を示す模式図である。本実施形態では、光照射装置150は、いずれも車両2に搭載された電源5と電気的に接続されている。図7に示すように、電源5には、ワイヤーハーネス(第1の配線)6の一端が電気的に接続されている。ワイヤーハーネス6の中間には、ワイヤーハーネス6の通電を制御するスイッチ7が接続されている。なお、図7では、車両2が省略されているが、電源5及びスイッチ7は、車両2に搭載されていてよい。ワイヤーハーネス6の他端には、伸縮可能なカールコード(第2の配線)24の一端が電気的に接続されるとともに、第1光照射装置150Aのワイヤーハーネス155が電気的に接続されている。また、カールコード24の他端には、伸縮可能なカールコード(第3の配線)34の一端が電気的に接続されるとともに、第2光照射装置150Bのワイヤーハーネス155が電気的に接続されている。さらに、カールコード34の他端には、第3光照射装置150Cのワイヤーハーネス155が電気的に接続されている。
【0040】
一例として、本実施形態では、カールコード24は、コイルホース29と同様にワイヤ28に沿って配置されている。例えば、カールコード24は、ワイヤ28に摺動自在に支持された複数の連結具21に支持されている(図2参照)。また、カールコード34は、コイルホース39と同様にワイヤ38に沿って配置されている。例えば、カールコード34は、ワイヤ38に摺動自在に支持された複数の連結具31に支持されている(図2参照)。カールコード24は、ブーム装置100が伸長した状態において、電源5から第2ブーム120に配置された第2光照射装置150Bまでの距離に対応した長さを有している。本実施形態では、カールコード24は、少なくとも第1ブーム110よりも大きい長さを有している。また、カールコード34は、少なくとも第2ブーム120よりも大きい長さを有している。
【0041】
例えば、使用者がスイッチ7を操作すると、電源5から供給される電力によって第1光照射装置150A、第2光照射装置150B及び第3光照射装置150Cが点灯する。なお、スイッチ7の操作によって、第1光照射装置150A、第2光照射装置150B及び第3光照射装置150Cのうちのいずれか一つ又は二つのみに電力が供給されてもよい。
【0042】
以上説明したブーム装置100では、車両2に搭載された第1ブーム110、第2ブーム120及び第3ブーム130に配置された複数のノズル111a,121a,131aから薬液が噴射される。この場合、薬液の噴射領域は、各ブームの長さ方向に沿って形成され得る。光照射装置150は、薬液が噴射される領域を照射するように各ブームの長さ方向に沿って延在するので、薬液の噴射領域をブームの長さ方向の全域にわたって照射することができる。したがって、周囲が暗い状況において噴霧される薬液を視認し易くすることができる。
【0043】
また、ブーム装置100の長さ方向が水平方向に沿った状態において、複数のノズル111a,121a,131aは噴射口111b、121b、131bが下側を向くように設けられている。そして、光照射装置150は第1ブーム110、第2ブーム120及び第3ブーム130のそれぞれ下部において下方を照射するように配置されている。この構成では、光照射装置150は、噴射口111b、121b、131bから下方に向けて噴射される薬液を上側から照射する。この場合、光照射装置150に薬液が付着しにくいため、光照射装置150における照度の低下を抑制できる。
【0044】
また、光照射装置150は、各ブームの長さ方向に沿って延在するベース151と、ベース151上において各ブームの長さ方向に互いに離間して配置される複数のLEDチップ153と、を含んでいる。ベース151上にLEDチップ153が配置された光照射装置150を用いることにより、各ブームの長さ方向に沿って光照射装置150を容易に配置することができる。また、各ブームの長さ方向に沿って複数のLEDチップ153が配置されることになるので、ブームの長さ方向に沿って効率よく照射を行うことができる。
【0045】
また、ワイヤーハーネス6及びカールコード24によって構成される配線は、ブーム装置100が伸長した状態において、電源5から第2ブーム120に配置された第2光照射装置150Bまでの距離に対応した長さを有している。この構成では、第2ブーム120に配置される第2光照射装置150Bに専用の電源を設ける必要がない。また、ブーム装置100が伸長した状態、及び、ブーム装置100が収縮した状態のいずれにおいても第2光照射装置150Bに電力を供給することができる。なお、本実施形態では、ワイヤーハーネス6、カールコード24及びカールコード34によって構成される配線は、ブーム装置100が伸長した状態において、電源5から第3ブーム130に配置された第3光照射装置150Cまでの距離に対応した長さを有している。この構成では、第3ブーム130に配置される第3光照射装置150Cに専用の電源を設ける必要がない。また、ブーム装置100が伸長した状態、及び、ブーム装置100が収縮した状態のいずれにおいても第3光照射装置150Cに電力を供給することができる。
【0046】
また、第1光照射装置150Aは、車両2に搭載された電源5とワイヤーハーネス6によって電気的に接続されており、第2光照射装置150Bは、ワイヤーハーネス6に電気的に接続されたカールコード24に電気的に接続されており、第3光照射装置150Cは、カールコード24に電気的に接続されたカールコード34に電気的に接続されている。この構成では、各光照射装置に対する配線が部分的に共通化されるため、配線が煩雑になることが抑制される。
【0047】
以上、一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られない。
【0048】
例えば、上記実施形態では、第1光照射装置150A,第2光照射装置150B及び第3光照射装置150Cに対して車両2に搭載された電源5から電力が供給される例を示したが、電源の構成はこれに限定されない。第2ブーム120及び第3ブーム130にはそれぞれ電源(図示省略)が搭載されており、第2光照射装置150Bは第2ブーム120に搭載された電源から電力を供給され、第3光照射装置150Cは第3ブーム130に搭載された電源から電力を供給されてもよい。この構成では、各ブームのスライド移動の状態に関わらず、各ブームに配置された光照射装置と電源との互いの位置関係に変化がない。そのため、ブーム装置の伸縮動作に対応した伸縮する配線を設ける必要がなく、配線がシンプルに構成され得る。なお、第1光照射装置150Aは、第1ブーム110に搭載された電源から電力を供給されてもよいし、車両2に搭載された電源から電力を供給されてもよい。
【0049】
また、ブームの長さ方向に沿って配置される光照射装置の例として、いわゆるLEDテープを示したが、光照射装置の形態はこれに限定されない。例えば、光照射装置は、複数のLEDチップがケーブルによって互いに接続された形態であってもよい。また、光照射装置は、白熱電球、蛍光灯等によって構成される光源を含む形態であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
2…車両、100…ブーム装置、110…第1ブーム、111a…ノズル、120…第2ブーム、121a…ノズル、130…第3ブーム。131a…ノズル、150…光照射装置、151…ベース、153…LEDチップ(光源)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7