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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 16/04 20060101AFI20230202BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B65H16/04
B41J15/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019059193
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020158253
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 健
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-261769(JP,A)
【文献】特開2000-191188(JP,A)
【文献】特開2011-056726(JP,A)
【文献】特開2005-154148(JP,A)
【文献】特開2013-016545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/00-15/24
B65H 16/00-16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の印字媒体が巻回される支持部材の内周の長手方向の所定位置に通信タグが設けられるロール体を保持する媒体保持部を備え、
前記媒体保持部は、
前記ロール体と一体に回転せずに前記支持部材の内周に当接して前記ロール体を回転自在に保持する媒体保持軸と、
前記媒体保持軸の軸方向において前記通信タグに臨む位置に設けられ、前記支持部材との間に作用する力が前記媒体保持軸よりも小さい押圧力低減部と、を有する、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記押圧力低減部は、前記媒体保持軸よりも小径に形成される小径部である、
プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタであって、
前記小径部は、前記通信タグの少なくとも半導体素子に臨む位置に設けられる、
プリンタ。
【請求項4】
請求項2に記載のプリンタであって、
前記押圧力低減部は、
前記小径部と、
前記小径部の外周に位置し、前記通信タグの少なくとも半導体素子に臨む位置を避けた位置に設けられる突出部と、を有する、
プリンタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプリンタであって、
前記突出部は、前記半導体素子を挟んで一対設けられている、
プリンタ。
【請求項6】
請求項2又は3に記載のプリンタであって、
前記小径部は、前記媒体保持軸よりもやわらかい材質で形成される、
プリンタ。
【請求項7】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記押圧力低減部は、前記媒体保持軸と同径で、前記媒体保持軸よりもやわらかい材質で形成される軟質部である、
プリンタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記押圧力低減部は、前記媒体保持軸に対して回転自在に設けられる、
プリンタ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記ロール体の一方の側面をガイドする壁部を更に備え、
前記壁部は、前記通信タグと通信するためのアンテナを有する、
プリンタ。
【請求項10】
請求項9に記載のプリンタであって、
前記押圧力低減部は、前記媒体保持部の前記壁部に臨む端部に設けられる、
プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロール状の印字媒体を支持するロール支持体を備えるプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-186174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、プリンタにセットされたロール状の印字媒体(ロール体)に通信タグを設け、ロール体をプリンタにセットするだけで通信タグに書き込まれたロール体の情報を取得できるようにすることを提案している。
【0005】
しかしながら、ロール体の内周に通信タグが設けられる場合には、ロール体の回転に伴い、ロール体がセットされる媒体供給部の上部に通信タグが位置したときに、ロール体の重量によって通信タグに大きな力が作用するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ロール体の内周に設けられる通信タグに大きな力が作用するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、プリンタは、帯状の印字媒体が巻回される支持部材の内周の長手方向の所定位置に通信タグが設けられるロール体を保持する媒体保持部を備え、前記媒体保持部は、前記ロール体と一体に回転せずに前記支持部材の内周に当接して前記ロール体を回転自在に保持する媒体保持軸と、前記媒体保持軸の軸方向において前記通信タグに臨む位置に設けられ、前記支持部材との間に作用する力が前記媒体保持軸よりも小さい押圧力低減部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
この態様では、媒体保持部は、支持部材との間に作用する力が媒体保持軸よりも小さい押圧力低減部を有する。押圧力低減部は、媒体保持軸の軸方向において通信タグに臨む位置に設けられるので、ロール体が回転して通信タグが媒体保持部の上部側に対向する位置に位置しても、ロール体の重量による力が通信タグに作用することが抑制される。したがって、支持部材の内周に設けられる通信タグに大きな力が作用するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図2図2は、プリンタにおける媒体供給部の正面図である。
図3図3は、媒体供給部の斜視図である。
図4図4は、媒体供給部の媒体保持部をプリンタの側面から見た状態を説明する概略図である。
図5図5は、媒体供給部の分解斜視図である。
図6図6は、媒体供給部に第1ロール体をセットした状態を示す斜視図である。
図7図7は、媒体供給部に第2ロール体をセットした状態を示す斜視図である。
図8図8は、第1の変形例に係る媒体供給部の側面図である。
図9図9は、第2の変形例に係る媒体供給部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1から図9を参照して、本発明の実施形態に係るプリンタ100について説明する。
【0011】
まず、図1を参照して、プリンタ100の全体構成について説明する。図1は、プリンタ100の概略構成図である。
【0012】
図1に示すように、プリンタ100は、印字機構1と、リボン供給軸2と、リボン巻取軸3と、媒体供給部4と、カッター5と、コントローラ(コンピュータ)7と、媒体位置検出センサ9と、を備える。プリンタ100は、印字用インクが塗布されたインクリボンRのインクを転写して印字媒体Mに印字を行う熱転写方式のプリンタである。なお、プリンタ100は、例えば、感熱発色方式、インクジェット方式等としてもよい。
【0013】
印字機構1は、ヘッドユニット11と、プラテンローラ12と、プラテン駆動モータ14と、を備える。印字機構1は、印字媒体Mへの印字と、印字媒体M及びインクリボンRの搬送と、を行う機構である。
【0014】
ヘッドユニット11は、サーマルヘッド16の複数の発熱体(図示せず)を下面から露出させた状態で、サーマルヘッド16を保持する。プラテンローラ12は、サーマルヘッド16に対向配置され、印字媒体Mに印字を行う印字部15をサーマルヘッド16とともに構成する。
【0015】
ヘッドユニット11は、支持軸13によりプリンタ100の筐体に対して図1の矢印の方向に揺動可能に支持される。ヘッドユニット11は、図1に二点鎖線で示すヘッドオープン位置と、図1に実線で示すヘッドクローズ位置と、に移動させることができる。サーマルヘッド16は、ヘッドオープン位置では、プラテンローラ12から離間し、ヘッドクローズ位置では、プラテンローラ12に当接する。ヘッドユニット11がヘッドクローズ位置にあることは、ヘッド位置検出センサ(図示せず)によって検出される。
【0016】
プラテン駆動モータ14は、ベルト14aやギヤ(図示せず)等を介してプラテンローラ12を駆動する。また、プラテン駆動モータ14は、ギヤ(図示せず)等を介してリボン巻取軸3を駆動する。
【0017】
リボン供給軸2は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持する。リボン供給軸2から印字部15に供給されたインクリボンRは、サーマルヘッド16とプラテンローラ12との間に挟持される。
【0018】
媒体供給部4は、印字部15に供給される帯状の印字媒体Mを円筒状の支持部材としての紙管61に巻回してなるロール体Tを保持する。媒体供給部4については、図2から図9を参照しながら、後で詳細に説明する。印字媒体Mは、ガイド軸10よって印字部15へと案内される。印字媒体Mは、サーマルヘッド16とプラテンローラ12との間に、インクリボンRとともに挟持される。
【0019】
ロール体Tは、円筒状の紙管61と、紙管61に巻回されたロール状の印字媒体Mと、紙管61の内側(内周)に設けられる近距離無線通信用の通信タグ63と、を有する。プリンタ100では、後述するように、紙管61の内径及び印字媒体Mの幅が互いに異なる第1ロール体T1と第2ロール体T2とが、用途によってロール体Tとして使い分けて用いられる。
【0020】
通信タグ63は、紙管61の内周面に取り付けられる。なお、図1では、理解を容易にするために、通信タグ63の厚みを実際よりも厚く表現している。通信タグ63は、印字媒体Mに関する情報が書き込まれた半導体素子としてのICチップ63aと、ICチップ63aと接続されるアンテナとしてのループアンテナ63bと、を備える。ループアンテナ63bは、四角形状に形成され、その一辺がロール体Tの軸線方向と直交する面に沿うように配置される。
【0021】
印字媒体Mとしては、例えば、帯状紙や、帯状の台紙に複数のラベルを所定の間隔で連続して仮着したラベル連続体、表面に剥離剤を設け、帯状の台紙を有さない帯状のラベル等がある。
【0022】
印字媒体Mがサーマルヘッド16とプラテンローラ12との間に挟持された状態でサーマルヘッド16の発熱体への通電が行われると、発熱体の熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。
【0023】
プラテン駆動モータ14によってプラテンローラ12が正方向(反時計回り)に回転すると、印字媒体Mが搬送方向下流側へと搬送されて印字媒体Mが排出口8からプリンタ100の外部に排出される。排出口8の近傍にはカッター5が設けられ、連続状に形成された印字媒体Mを単枚に切断することができる。
【0024】
使用済のインクリボンRは、プラテン駆動モータ14によって駆動されてリボン巻取軸3が回転すると、その外周に巻き取られる。なお、ヘッドユニット11がヘッドオープン位置になっている場合は、リボン巻取軸3を回転させることで、インクリボンRのみをフィードすることができる。
【0025】
媒体位置検出センサ9は、例えば、反射型光電センサであって、印字媒体Mに所定ピッチであらかじめ印刷されているアイマーク(図示せず)を検出することで、連続して印字発行するときに、印字部15に対する印字媒体Mの相対的位置を検出する。
【0026】
コントローラ7は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等で構成される。コントローラ7は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。コントローラ7には、入出力インターフェースを介して、図示しない外部のコンピュータ等からの印字指示データ、媒体位置検出センサ9の検出信号、及びヘッド位置検出センサの検出信号等が入力される。
【0027】
コントローラ7は、記憶装置に格納されている各種制御プログラムをマイクロプロセッサによって実行し、サーマルヘッド16の発熱体への通電、プラテン駆動モータ14への通電、及びアンテナ72への通電等を制御する。
【0028】
コントローラ7は、印字を行う際は、これから印字する印字媒体Mの位置を印字開始位置に位置合わせした状態で、印字処理を実行する。印字開始位置は、印字媒体Mのアイマークの位置を基準にして設定される。
【0029】
また、コントローラ7は、通信タグ63に書き込まれている情報を読み取るタグリーダとしての機能を有する。コントローラ7は、アンテナ72を用いて通信タグ63との通信を行う。
【0030】
通信タグ63には、印字媒体Mに関する情報として、例えば、印字媒体Mの生産日、生産ロット、材質、幅(サイズ)、受注番号、基材コード、1巻のラベル巻き数、ロット番号、ロットの総巻数、列ナンバー等が書き込まれている。コントローラ7は、通信タグ63から取得した情報に基づいて、プリンタ100の印字設定等を自動的に変更可能である。これにより、印字制御の最適化、消費期限管理、自動発注、運用ミス防止、不具合調整等が図られる。
【0031】
次に、図2から図7を参照して、媒体供給部4について説明する。
【0032】
図2は、媒体供給部4の正面図である。図3は、媒体供給部4の斜視図である。図4は、媒体保持部42をプリンタ100の側面から見た状態を説明する概略図である。図5は、媒体供給部4の分解斜視図である。図6は、媒体供給部4に第1ロール体T1をセットした状態を示す斜視図である。図7は、媒体供給部4に第2ロール体T2をセットした状態を示す斜視図である。
【0033】
図2に示すように、媒体供給部4は、水平方向に延在してロール体Tを保持する媒体保持部42と、鉛直方向に延在して媒体保持部42を支持する壁部41と、を備える。なお、図3から図7では、壁部41を省略して示している。
【0034】
壁部41は、媒体保持部42によって保持されたロール体Tの一方の側面をガイドする。壁部41における媒体保持軸43とは反対側(裏側)には、媒体保持軸43の軸線方向(媒体保持軸43に保持されたロール体Tの軸線方向)と直交する面に沿うようにアンテナ72(第1ループアンテナ72A,第2ループアンテナ72B)が設けられる(図3参照)。
【0035】
媒体保持部42は、その基端が壁部41と連結するように壁部41に固定されている。これに限らず、媒体保持部42は、例えば壁部41と一体に成形されてもよい。壁部41は、プリンタ100の筐体として一体形成されていてもよい。
【0036】
図3に示すように、媒体保持部42は、媒体保持軸43と、押圧力低減部としての小径部44と、規制部45と、を備える。
【0037】
媒体保持軸43は、ロール体Tの内周に当接してロール体Tを回転自在に保持する。ロール体Tは、媒体保持軸43に対して、ロール体Tの巻回方向及びその逆方向に回転可能である。媒体保持軸43は、アルミニウム等の金属材料によって形成される。媒体保持軸43は、ロール体Tの内周に当接する一対の肩部43aを有する。また、肩部43aを設けず、媒体保持軸43の上部がロール体Tの内周面に当接するようにしてもよい。
【0038】
図4に示すように、媒体保持軸43は、ロール体T(第1ロール体T1,第2ロール体T2)に一対の肩部43aのみで当接する。これにより、ロール体Tの内周の二点のみが当接するので、ロール体Tが回転する際の摺動抵抗を小さくできる。なお、図4には、第1ロール体T1と第2ロール体T2との紙管61の内周のみを示している。
【0039】
図5に示すように、媒体保持軸43には、キャップ46と、端部部材47と、が設けられている。
【0040】
キャップ46は、媒体保持軸43における壁部41から遠い側の端部(自由端部)に設けられる。キャップ46は、媒体保持軸43と同じ外周形状に形成される。キャップ46は、媒体保持軸43から規制部45が脱落しないように、自由端部を閉塞する。
【0041】
端部部材47は、媒体保持軸43における壁部41に近い側の端部(固定端部)に設けられる。端部部材47は、壁部41に支持される。端部部材47は、媒体保持軸43の肩部43aと連続して形成される肩部47cを有する。端部部材47は、媒体保持軸43に複数のボルト47aによって締結される。端部部材47は、小径部44の内周に挿入される軸部47bを有する。
【0042】
小径部44は、媒体保持部42における壁部41に臨む端部に設けられる。小径部44は、媒体保持軸43よりも小径に形成される。「小径」とは、媒体保持軸43の肩部43aの延長線上の面が肩部43aよりも凹状になる外径を意味する。なお、全周が小径に形成される小径部44に代えて、媒体保持軸43の肩部43aの延長線上にだけ、肩部43aよりも凹状に形成される凹部を押圧力低減部として設けてもよい。
【0043】
小径部44は、ロール体Tの内周側との間に隙間を形成することによりロール体Tと小径部44の間で作用する力がロール体Tと媒体保持軸43との間で作用する力よりも小さくなるように設けられる。小径部44は、媒体保持軸43に対してロール体Tの巻回方向及びその逆方向に回転自在に設けられる。
【0044】
図2に示すように、小径部44は、媒体保持部42における軸方向基端に設けられ、ロール体Tを媒体保持部42に装填した際に通信タグ63が小径部44に臨む。特に、小径部44は、通信タグ63の少なくともICチップ63aに臨む位置を考慮して設けられ、軸方向基端に限られない。ロール体Tに対する通信タグ63の位置は変更可能であり、通信タグ63の位置に合わせて小径部44の位置も任意に変更可能である。
【0045】
図6に示すように、媒体保持部42に小径部44の長さよりも長い幅の第1ロール体T1が保持される場合、第1ロール体T1の内周は媒体保持軸43によって保持される。よって、媒体保持軸43よりも小径に形成される小径部44には、通信タグ63は当接しない。
【0046】
このように、小径部44は、媒体保持軸43の軸方向において通信タグ63に臨む位置に設けられ、通信タグ63が小径部44から離間した状態でロール体Tは媒体保持軸43によって保持されるので、ロール体Tが回転して通信タグ63が媒体保持部42の上部側に対向する位置に位置しても、ロール体Tの重量による力が通信タグ63に作用することはない。したがって、紙管61の内周に設けられる通信タグ63に大きな力が作用するのを防止することができる。
【0047】
図5に示すように、小径部44は、回転部材48と、外周部材49と、を有する。
【0048】
回転部材48は、軸部47bの外周に、軸部47bと同軸に設けられるリング状の部材である。回転部材48は、軸部47bに対してロール体Tの巻回方向及びその逆方向に回転自在に設けられる。回転部材48は、軸部47bとの間の摺動抵抗が小さい材質で形成される。ここでは、回転部材48は、樹脂材料によって形成される。
【0049】
外周部材49は、回転部材48の外周に、回転部材48と同軸に設けられるリング状の部材である。外周部材49は、媒体保持軸43よりもやわらかい材質で形成される。ここで、「やわらかい」とは、弾性率が小さいことを意味する。外周部材49は、ゴム、スポンジ、発泡樹脂等の低弾性材料によって形成される。
【0050】
図7に示すように、媒体保持部42に小径部44の長さ以下の幅の第2ロール体T2が保持される場合、第2ロール体T2の内周は小径部44の外周部材49によって保持される。このとき、外周部材49は、媒体保持軸43よりもやわらかい材質で形成されるので、第2ロール体T2が回転して通信タグ63が外周部材49に当接したときには、変形して力を吸収する。よって、第2ロール体T2と媒体保持部42との間に作用する力が通信タグ63に作用することが抑制される。したがって、この場合にもまた、第2ロール体T2の内周に設けられる通信タグ63に大きな力が作用するのを防止することができる。
【0051】
また、小径部44は、媒体保持軸43に対して回転自在に設けられるので、第2ロール体T2が回転する際には、第2ロール体T2の回転にあわせて同じ方向に回転する。よって、小径部44に対して通信タグ63が擦れることはない。したがって、通信タグ63に対して小径部44の接線方向の力が作用することはないので、通信タグ63に大きな力が作用するのを更に防止することができる。
【0052】
図2に示すように、規制部45は、媒体保持軸43の自由端部から軸方向に挿入される。規制部45は、媒体保持軸43から上方に延伸して設けられる。規制部45は、ロール体Tの側面と当接することによって、ロール体Tが媒体保持軸43から脱落することを防止する。即ち、規制部45が媒体保持軸43によって保持されたロール体Tの他方(壁部41と当接する一方側とは反対側)の側面をガイドすることによって、ロール体Tは、壁部41と規制部45との間に位置する。
【0053】
規制部45は、使用するロール体Tの幅に合わせて位置を移動させることができる。規制部45は、媒体保持軸43の自由端部まで移動させると、媒体保持軸43の軸線方向に沿ってキャップ46の外方に向けて媒体保持軸43と規制部45が略一直線上に位置するような姿勢とすることができるようになっている。これにより、ロール体Tの内周よりも内側に規制部45を配置することができるので媒体保持部42に対して容易に着脱することができる。
【0054】
図6及び図7に示すように、本実施形態のプリンタ100は、ロール体Tとして、内径が異なる第1ロール体T1及び第2ロール体T2を用いることができる。第1ロール体T1の内径は、第2ロール体T2の内径よりも小さく、これらのロール体Tは用途によって使い分けられる。ロール体Tの内径は、印字媒体Mをロール状に巻回する支持部材としての紙管61の内径によって定められる。
【0055】
内径の異なるロール体Tに対応して、アンテナ72は、第1ロール体T1に取り付けられた通信タグ63と通信するための第1ループアンテナ72Aと、第2ロール体T2に取り付けられた通信タグ63と通信するための第2ループアンテナ72Bと、で構成される。
【0056】
第1ループアンテナ72Aは、媒体保持軸43の軸線方向からみて媒体保持軸43を取り囲む円環状に形成されており、第1ロール体T1と略同一の内径を有する。第2ループアンテナ72Bは、媒体保持軸43の軸線方向からみて媒体保持軸43を取り囲む円環状に形成されており、第2ロール体T2と略同一の内径を有する。
【0057】
第1ロール体T1が軸線周りに回転したときの通信タグ63の運動軌跡は、第1ループアンテナ72Aの形状と略一致する。第2ロール体T2が軸線周りに回転したときの通信タグ63の運動軌跡は、第2ループアンテナ72Bの形状と略一致する。
【0058】
よって、第1ロール体T1をプリンタ100にセットした状態で、通信タグ63が紙管61の内周面においてどの方向にあっても、通信タグ63と第1ループアンテナ72Aのアンテナ線との距離が一定となる。同様に、第2ロール体T2をプリンタ100にセットした状態で、通信タグ63が紙管61の内周面においてどの位置にあっても、通信タグ63と第2ループアンテナ72Bのアンテナ線との距離が一定となる。
【0059】
なお、小径部44は、媒体保持部42の壁部41に臨む端部(固定端部)に設けられる。即ち、通信タグ63もまた、媒体保持部42の壁部41に臨む端部に配置される。つまり、通信タグ63は、ロール体Tの紙管61の内周面における軸方向の一端部側に設けられ、ロール体Tを媒体保持軸43に装填することにより通信タグ63が外周部材49に対向する位置に配置される。そのため、アンテナ72の出力が小さくても、通信タグ63と通信することができる。よって、例えば印字媒体Mに他の通信タグが設けられる場合にも、アンテナ72は、当該他の通信タグと通信することなく、通信タグ63のみと通信を行うことができる。
【0060】
次に、図8及び図9を参照して、第1及び第2の変形例について説明する。
【0061】
(第1の変形例)
図8は、第1の変形例に係る媒体供給部4の側面図である。
【0062】
図8に示すように、媒体保持部42は、媒体保持軸43と、押圧力低減部としての軟質部144と、を有する。
【0063】
軟質部144は、媒体保持部42における壁部41に臨む端部に設けられる。軟質部144は、媒体保持軸43と同径に形成される。「同径」とは、媒体保持軸43の肩部43aの延長線上の面が肩部43aと一致する外径を意味する。軟質部144は、媒体保持軸43よりもやわらかい材質で形成される。軟質部144は、ゴム、スポンジ、発泡樹脂等の低弾性材料によって形成される。
【0064】
軟質部144は、ロール体Tとの間に作用する力が媒体保持軸43よりも小さくなるように設けられる。軟質部144は、媒体保持軸43に対してロール体Tの巻回方向及びその逆方向に回転自在に設けられる。
【0065】
軟質部144は、媒体保持部42における通信タグ63に臨む位置に設けられる。特に、軟質部144は、通信タグ63の少なくともICチップ63aに臨む位置に設けられる。
【0066】
図6に示すように、軟質部144の軸方向の長さよりも長い第1ロール体T1が媒体保持部42に保持される場合、第1ロール体T1の内周は媒体保持軸43及び軟質部144によって保持される。このとき、軟質部144には通信タグ63が当接する。
【0067】
このとき、軟質部144は、媒体保持軸43よりもやわらかい材質で形成されるので、ロール体Tが回転して通信タグ63が軟質部144に当接したときには、軟質部144が変形して力を吸収する。よって、ロール体Tの重量によって通信タグ63に加わる圧力が軽減される。したがって、紙管61の内周に設けられる通信タグ63に大きな力が作用するのを防止することができる。
【0068】
また、軟質部144は、媒体保持軸43に対して回転自在に設けられるので、ロール体Tが回転する際には、ロール体Tの回転にあわせて同じ方向に回転する。よって、軟質部144に対して通信タグ63が擦れることはない。したがって、通信タグ63に対して軟質部144の接線方向の力が作用することはないので、通信タグ63に大きな力が作用するのを更に防止することができる。
【0069】
(第2の変形例)
図9は、第2の変形例に係る媒体供給部4の側面図である。
【0070】
図9に示すように、媒体保持部42は、媒体保持軸43と、押圧力低減部を有する。
【0071】
押圧力低減部は、小径部244と、一対の突出部244aと、を有する。小径部244は、媒体保持部42における壁部41に臨む端部に設けられる。小径部44は、媒体保持軸43よりも小径に形成される。
【0072】
一対の突出部244aは、小径部244の軸回りの外周に渡って軸方向に間隔をあけて一対設けられている。一対の突出部244aは、通信タグ63の少なくともICチップ63aの幅よりも広い間隔で配置され、ロール体Tを媒体保持軸43又は押圧力低減部に保持した際にICチップ63aが一対の突出部244aの間で小径部244に対向する位置に配置される。
【0073】
小径部244及び突出部224aは、ロール体Tの重量によってICチップ63aに加わる圧力が媒体保持軸43に加わるロール体Tへの圧力よりも小さくなるように設けられる。小径部244は、媒体保持軸43に対してロール体Tの巻回方向及びその逆方向に回転自在に設けられる。
【0074】
突出部244aは、突出部244aの外周までの直径が媒体保持軸43と略同径となるようなリング状に形成されている。突出部244aは、ICチップ63aを挟むように一対設けられるが、ICチップ63aに当接しない位置に少なくとも一つ設けられればよい。
【0075】
小径部244は、媒体保持部42における通信タグ63に臨む位置に設けられる。特に、小径部244は、少なくとも通信タグ63のICチップ63aに臨む位置に設けられる。
【0076】
図6に示すように、媒体保持部42に小径部44の軸方向の長さよりも長い第1ロール体T1が保持される場合、第1ロール体T1の内周は媒体保持軸43と一対の突出部244aとによって保持される。よって、媒体保持軸43よりも小径に形成される小径部244には、通信タグ63の少なくともICチップ63aは当接しない。
【0077】
このように、小径部244は、媒体保持軸43の軸方向において通信タグ63に臨む位置に設けられるので、ロール体Tが回転して通信タグ63が媒体保持部42の上部側に対向する位置に位置しても、ロール体Tの重量による力が通信タグ63に作用することはない。したがって、紙管61の内周に設けられる通信タグ63に大きな力が作用するのを防止することができる。
【0078】
また、突出部244aは、通信タグ63のICチップ63aに臨む位置を避けて挟んだ位置に設けられるので、特に、ICチップ63aとループアンテナ63bとの接合部に大きな力が作用するのを防止することができる。
【0079】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0080】
プリンタ100は、帯状の印字媒体Mが巻回される紙管61の内周の長手方向の所定位置に通信タグ63が設けられるロール体Tを保持する媒体保持部42を備える。媒体保持部42は、紙管61の内周に当接してロール体Tを回転自在に保持する媒体保持軸43と、通信タグ63に臨む位置に設けられ、紙管61との間に作用する力が媒体保持軸43よりも小さい小径部44と、を有する。
【0081】
この態様では、媒体保持部42は、紙管61との間に作用する力が媒体保持軸43よりも小さい小径部44を有する。小径部44は、通信タグ63に臨む位置に設けられるので、ロール体Tが回転して通信タグ63が媒体保持部42の上部側に対向する位置に位置しても、ロール体Tの重量による力が通信タグ63に作用することが抑制される。したがって、紙管61の内周に設けられる通信タグ63に大きな力が作用するのを防止することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0083】
上記実施形態では、通信タグ63は、ロール体T(T1,T2)の紙管61の内側に取り付けられている。しかしながら、例えば、ロール体T(T1,T2)が紙管61を備えない場合は、ロール状の印字媒体Mの内側(内周面)に通信タグ63を直接取り付けてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、アンテナ72は、第1ループアンテナ72Aと第2ループアンテナ72Bとを有するが、アンテナ72を構成するループアンテナの数は3つ以上であってもよい。
【0085】
また、プリンタ100は、内径が異なる3種類以上のロール体Tを使用可能であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、コントローラ7が通信タグ63と通信するタグリーダとしての機能を備えているが、コントローラ7と通信可能なタグリーダを、コントローラ7とは別に設けてもよい。
【0087】
また、ループアンテナ63bの形状は、四角形状以外の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
100 プリンタ
1 印字機構
2 リボン供給軸
3 リボン巻取軸
4 媒体供給部
5 カッター
7 コントローラ
8 排出口
9 媒体位置検出センサ
10 ガイド軸
11 ヘッドユニット
12 プラテンローラ
13 支持軸
14 プラテン駆動モータ
14a ベルト
15 印字部
16 サーマルヘッド
41 壁部
42 媒体保持部
43 媒体保持軸
43a 肩部
44 小径部(押圧力低減部)
45 規制部
46 キャップ
47 端部部材
47a ボルト
47b 軸部
47c 肩部
48 回転部材
49 外周部材
61 紙管(支持部材)
63 通信タグ
63a ICチップ(半導体素子)
63b ループアンテナ
72 アンテナ
72A 第1ループアンテナ
72B 第2ループアンテナ
144 軟質部(押圧力低減部)
244 小径部(押圧力低減部)
244a 突出部
M 印字媒体
R インクリボン
T ロール体
T1 第1ロール体
T2 第2ロール体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9