IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越ポリマー株式会社の特許一覧

特許7220129感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ
<>
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図1
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図2
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図3
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図4
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図5
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図6
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図7
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図8
  • 特許-感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20230202BHJP
   H01H 13/00 20060101ALI20230202BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H01H36/00 L
H01H13/00 B
H01H36/00 J
H01H13/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019121012
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021007083
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087317(JP,A)
【文献】特開2018-112854(JP,A)
【文献】特開2010-217967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
H01H 36/00 - 36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、感圧タッチセンサと、発光素子と、を備え、
前記感圧タッチセンサは前記操作パネルと前記フレーム部材で挟持され、
前記感圧タッチセンサは、基材シートと、第1の電極と、第2の電極と、弾性層と、を備え、
前記第1の電極は、透明電極であり、前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向し、前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記弾性層が設けられ、
押圧力により前記弾性層が厚さ方向に圧縮変形し、前記第1の電極と前記第2の電極の距離が近づくことによる静電容量の変化から押圧を検知し、
前記操作パネルは、少なくとも平面視で前記第1の電極と重なる部分に光透過部を備え、
前記弾性層は、一対のシート部と、それら一対のシート部に挟持された複数の柱部とを備え、
前記発光素子が前記弾性層の横に配置され、前記発光素子から発せられた光が前記弾性層の側面から前記弾性層内における前記複数の柱部に向けて進入する、感圧タッチセンサモジュール。
【請求項2】
前記第1の電極及び前記第2の電極が前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記基材シートの少なくとも一部が前記第1の電極と前記第2の電極の間で折り返されて、前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向し、
前記操作面の面方向において、前記弾性層の前記第1の電極と前記第2の電極の間の折り線部と反対側に前記発光素子が配置されている、請求項1に記載の感圧タッチセンサモジュール。
【請求項3】
前記弾性層がゴム状弾性体である、請求項1又は2に記載の感圧タッチセンサモジュール。
【請求項4】
前記操作面の面方向において、前記複数の柱部が、前記発光素子に近い側よりも前記発光素子から遠い側の方が密となるように配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の感圧タッチセンサモジュール。
【請求項5】
前記弾性層が光拡散物質を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の感圧タッチセンサモジュール。
【請求項6】
基材シートと、第1の電極と、第2の電極と、弾性層と、発光素子と、を備え、
前記第1の電極は、透明電極であり、前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向し、前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記弾性層が設けられ、
前記弾性層は、一対のシート部と、それら一対のシート部に挟持された複数の柱部とを備え、
押圧力により前記弾性層が厚さ方向に圧縮変形し、前記第1の電極と前記第2の電極の距離が近づくことによる静電容量の変化から押圧を検知し、
前記基材シートの前記弾性層が配置される面上における、前記弾性層の横に前記発光素子が配置され、前記発光素子から発せられた光が前記弾性層の側面から前記弾性層内における前記複数の柱部に向けて進入する、感圧タッチセンサ。
【請求項7】
操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、請求項6に記載の感圧タッチセンサと、を備え、
前記感圧タッチセンサが前記操作パネルと前記フレーム部材で挟持されている、感圧タッチセンサモジュール。
【請求項8】
操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、感圧タッチセンサと、発光素子と、を備え、
前記感圧タッチセンサは前記操作パネルと前記フレーム部材で挟持され、
前記感圧タッチセンサは、基材シートと、第1の電極と、第2の電極と、弾性層と、を備え、
前記第1の電極は、透明電極であり、前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向し、前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記弾性層が設けられ、
押圧力により前記弾性層が厚さ方向に圧縮変形し、前記第1の電極と前記第2の電極の距離が近づくことによる静電容量の変化から押圧を検知し、
前記操作パネルは、少なくとも平面視で前記第1の電極と重なる部分に光透過部を備え、
前記発光素子が前記弾性層の横に配置され、前記発光素子から発せられた光が前記弾性層の側面から前記弾性層内に進入する、感圧タッチセンサモジュールであって、
前記第1の電極及び前記第2の電極が前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記基材シートの少なくとも一部が前記第1の電極と前記第2の電極の間で折り返されて、前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向し、
前記操作面の面方向において、前記弾性層の前記第1の電極と前記第2の電極の間の折り線部と反対側に前記発光素子が配置されている、感圧タッチセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の電子機器等の様々な分野において、操作面の操作を検知するセンサモジュールとして、感圧検知可能な静電容量式の感圧タッチセンサを備えるモジュールが提案されている。例えば、特許文献1には、基材シートの一方の面に第1の電極と第2の電極が設けられ、基材シートを半分に折り返して第1の電極と第2の電極とを対向させ、さらに第1の電極と第2の電極の間に弾性シートが設けられた感圧タッチセンサが開示されている。
【0003】
このようなフレキシブルな基材シートで作製された感圧タッチセンサは、例えば操作パネルの裏面に貼り付けられる。操作面を押圧したときには、弾性シートが圧縮変形して第1の電極と第2の電極が接近し、第2の電極の静電容量が変化する。この静電容量の変化を検知することで、操作面の押圧が認識される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-217967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチセンサモジュールとしては、一部又は全体に光透過領域を形成した操作パネルの裏面にタッチセンサを設け、タッチセンサにおける操作パネルと反対側の基板に発光素子を実装し、タッチセンサの裏側からパネル表側に光を透過して文字照光するものがある。
【0006】
しかし、感圧タッチセンサモジュールにおいて、第1の電極、弾性シート及び第2の電極からなる感圧検知部の裏側に発光素子を設け、操作パネルの押圧部を照光すると、繰り返し押圧部を押圧した際に発光素子にダメージが生じ、文字照光に不具合が生じる。
【0007】
本発明は、発光素子からの光を透過して操作パネルの押圧部を長期的に安定して照光できる感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、感圧タッチセンサと、発光素子と、を備え、
前記感圧タッチセンサは前記操作パネルと前記フレーム部材で挟持され、
前記感圧タッチセンサは、基材シートと、第1の電極と、第2の電極と、弾性層と、を備え、
前記第1の電極は、透明電極であり、前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向し、前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記弾性層が設けられ、
押圧力により前記弾性層が厚さ方向に圧縮変形し、前記第1の電極と前記第2の電極の距離が近づくことによる静電容量の変化から押圧を検知し、
前記操作パネルは、少なくとも平面視で前記第1の電極と重なる部分に光透過部を備え、
前記発光素子が前記弾性層の横に配置され、前記発光素子から発せられた光が前記弾性層の側面から前記弾性層内に進入する、感圧タッチセンサモジュール。
[2]前記第1の電極及び前記第2の電極が前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記基材シートの少なくとも一部が前記第1の電極と前記第2の電極の間で折り返されて、前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向し、
前記操作面の面方向において、前記弾性層の前記第1の電極と前記第2の電極の間の折り線部と反対側に前記発光素子が配置されている、[1]に記載の感圧タッチセンサモジュール。
[3]前記弾性層が、一対のシート部と、それら一対のシート部に挟持された複数の柱部とを備えるゴム状弾性体である、[1]又は[2]に記載の感圧タッチセンサモジュール。
[4]前記操作面の面方向において、前記複数の柱部が、前記発光素子に近い側よりも前記発光素子から遠い側の方が密となるように配置されている、[3]に記載の感圧タッチセンサモジュール。
[5]前記弾性層が光拡散物質を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の感圧タッチセンサモジュール。
[6]基材シートと、第1の電極と、第2の電極と、弾性層と、発光素子と、を備え、
前記第1の電極は、透明電極であり、前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向し、前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記弾性層が設けられ、
押圧力により前記弾性層が厚さ方向に圧縮変形し、前記第1の電極と前記第2の電極の距離が近づくことによる静電容量の変化から押圧を検知し、
前記基材シートの前記弾性層が配置される面上における、前記弾性層の横に前記発光素子が配置され、前記発光素子から発せられた光が前記弾性層の側面から前記弾性層内に進入する、感圧タッチセンサ。
[7]操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、[6]に記載の感圧タッチセンサと、を備え、
前記感圧タッチセンサが前記操作パネルと前記フレーム部材で挟持されている、感圧タッチセンサモジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発光素子からの光を透過して操作パネルの押圧部を長期的に安定して照光できる感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の感圧タッチセンサの一例を示した断面図である。
図2】弾性層の一例を示した平面図である。
図3図2の弾性層のA-A断面図である。
図4】本発明の感圧タッチセンサモジュールの一例を示した断面図である。
図5】本発明の感圧タッチセンサモジュールの他の例を示した断面図である。
図6】本発明の感圧タッチセンサの他の例を示した断面図である。
図7】本発明の感圧タッチセンサの他の例を示した断面図である。
図8】弾性層の他の例を示した断面図である。
図9】本発明の感圧タッチセンサの他の例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[感圧タッチセンサ]
本発明の感圧タッチセンサは、押圧を検知する静電容量式の感圧タッチセンサである。例えば、本発明の感圧タッチセンサを操作パネルの背面に取り付けることで、操作パネルの操作面の押圧を検知することができる。以下、本発明の感圧タッチセンサの一例を示して説明する。
なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0012】
本実施形態の感圧タッチセンサ1は、図1に示すように、第1基材シート10と、保護層12と、第1の電極14と、第2の電極16と、第2基材シート18と、弾性層30と、発光素子50と、を備えている。
第1基材シート10の第1の面10aには第1の電極14が設けられ、それらを覆うように保護層12が積層されている。第1基材シート10の第2の面10bは、操作パネル側に向けられる面である。
【0013】
第1の電極14と第2の電極16は、それらの間に弾性層30を配置した状態で、互いの面が対向するように設けられている。第2の電極16の弾性層30が配置される側と反対側には第2基材シート18が設けられている。
第1基材シート10の厚さ方向から見たときに第1の電極14と第2の電極16は重なっている。第1の電極14と第2の電極16の間に弾性層30が配置されることで感圧検知部20が形成されている。
【0014】
感圧タッチセンサ1においては、保護層12の第1基材シート10と反対側における、弾性層30の横に発光素子50が配置されている。このように、第1基材シート10の弾性層30が配置される第1の面10a上における、弾性層30の横に発光素子50が配置されている。これにより、発光素子50から発せられた光が弾性層30の側面から弾性層30内に進入するようになっている。
【0015】
発光素子50から発せられ、弾性層30の側面から弾性層30内に進入した光の一部は、厚さ方向に拡散され、第1の電極14を通って操作パネルへと向かう。これにより、操作パネルにおける感圧検知部20が配置される部分を照光することができる。また、発光素子50が弾性層30の横に配置されていることで、操作パネルにおける感圧検知部20が配置されている押圧部を押圧しても、その力が発光素子50に影響しない。そのため、操作パネルの押圧部を繰り返し押圧しても発光素子50がダメージを受けにくく、長期的に安定して押圧部を照光することができる。
【0016】
感圧タッチセンサ1のように、第1基材シート10の弾性層30が配置される第1の面10a上における弾性層30の横に発光素子50を配置する態様では、操作パネルの押圧部を押圧したときに、弾性層30と発光素子50の厚さ方向の動きが同調する。そのため、発光素子50から発せられた光がより安定して弾性層30に進入する点で有利である。
【0017】
第1基材シート10の平面視形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。第1基材シート10の寸法も特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
基材シートとしては、透明な樹脂製の絶縁フィルムを使用できる。ここで、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。また、「絶縁」とは、電気抵抗値が1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上であることを意味する。
【0018】
第1基材シート10及び第2基材シート18を形成する材料としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース等が挙げられる。
基材シートを形成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0019】
第1基材シート10及び第2基材シート18の厚さは、10~250μmが好ましく、25~188μmがより好ましい。基材シートの厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度及び剛性を確保しやすい。基材シートの厚さが前記範囲の上限値以下であれば、感圧タッチセンサを容易に薄型化できる。
【0020】
保護層12は、感圧タッチセンサ1における第1基材シート10の第1の面10a側に積層されている。
保護層12の形状及び寸法は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
保護層12としては、特に限定されず、例えば、基材シートで挙げたものと同じ透明な樹脂製の絶縁フィルムを例示できる。
【0021】
保護層12の厚さは、10~250μmが好ましく、10~188μmがより好ましい。保護層12の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度及び剛性を確保しやすい。保護層12の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、感圧タッチセンサを容易に薄型化できる。
【0022】
第1の電極14及び第2の電極16は、それぞれ配線によって図示しない接続端子部と接続されており、さらに接続端子部を介して静電容量検知部と電気的に接続される。このように、第1の電極14及び第2の電極16は静電容量検知部と電気的に接続できるようになっている。
【0023】
第1の電極14及び第2の電極16の平面視形状は、適宜設定でき、例えば、矩形が挙げられる。
第1の電極14及び第2の電極16の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。第1の電極14及び第2の電極16が大きいほど、押圧力の検知感度が向上する。
【0024】
第2の電極16の大きさは、操作面に近い側の第1の電極14よりも小さくしてもよい。これにより、厚さ方向から見たときに、第2の電極16が操作面に近い側の第1の電極14からはみ出しにくくなるため、誤検知を抑制しやすくなる。
【0025】
第1の電極14は、接地されてもよい。これにより、感圧タッチセンサ1の感圧検知部20に指が接近しても、接地した第1の電極14がシールドとなって静電容量が変化することを抑制できる。これにより、第1の電極14及び第2の電極16の静電容量の変化から、操作面に触れようとする指が感圧検知部20に近づくことによる影響を排除し、押圧力の影響による変化に限定できるため、押圧の誤検知をさらに抑制できる。
【0026】
第1の電極14及び第2の電極16は、公知の態様の感圧電極を採用でき、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
第1の電極14及び第2の電極16の態様としては、自己容量方式の場合、第1の電極14及び第2の電極16がそれぞれ独立に静電容量の変化を検知する検知電極である態様、いずれか一方の電極が検知電極であり、他方の電極がGND電極(接地されたベタ電極)である態様が挙げられる。また、相互容量方式の場合、第1の電極14及び第2の電極16をいずれもベタ電極とし、それらのいずれか一方をTx電極、他方をRx電極にする態様、いずれか一方をGND電極とし、他方をTx電極とRx電極とが櫛歯状に配置された櫛歯電極にする態様が挙げられる。
【0027】
第1の電極14及び第2の電極16の態様としては、第1の電極14及び第2の電極16がそれぞれ独立に静電容量の変化を検知する検知電極である自己容量方式が好ましい。この態様は、第1の電極14と第2の電極16からのそれぞれの信号に基づいて、導体の接触又は近接と押圧とを区別して検知することが容易である。
【0028】
第1の電極14は、透明電極である。透明電極とは、JIS K7361に従って測定した光線透過率が50%以上である電極を意味する。第1の電極14としては、例えば透明導電膜を使用できる。
透明導電膜としては、例えば、導電性高分子(インジウムドープ酸化錫(ITO)等)を含む膜、導電性ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等)を含む膜又はメッシュ、金属粒子(銀粒子、銅粒子、金粒子等)又は導電性金属酸化物粒子(ITO粒子等)を含む膜、カーボン(カーボンブラック、グラファイト等)を含む膜、金属蒸着膜、金属メッシュ等が挙げられる。
【0029】
第2の電極16の材料としては、特に限定されず、感圧電極として通常用いられる電極を使用できる。例えば、銅、銀等の金属が挙げられる。用途によっては、電極材料として、ITO、導電性高分子(ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等)、導電性ナノワイヤー、銀ペースト、カーボン等を使用してもよい。
ここで、「導電」とは、電気抵抗値が1MΩ未満であることを意味する。
【0030】
第1の電極14の平均厚さは、0.01~25μmが好ましく、0.1~15μmがより好ましい。
第2の電極16の厚さは、材料に応じて適宜設定すればよい。導電性高分子を含む電極の平均厚さは、0.1~5.0μmが好ましく、0.1~2.0μmがより好ましい。
導電性ナノワイヤーを含む電極の平均厚さは、20~1000nmが好ましく、50~300nmがより好ましい。
金属粒子、ITO等の導電性金属酸化物粒子、又はカーボンを含む電極の平均厚さは、0.01~25μmが好ましく、0.1~15μmがより好ましい。
金属蒸着膜からなる電極の平均厚さは、0.01~1.0μmが好ましく、0.05~0.3μmがより好ましい。
銀ペースト又はカーボンペーストからなる電極の平均厚さは、1~25μmが好ましい。
電極の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、ピンホールによる断線を抑制しやすい。電極の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、薄型化が容易になる。
【0031】
電極の厚さを測定する方法としては、厚さのレンジによって異なる。例えば、μmオーダーの膜厚の場合には、マイクロメーター、デジマティックインジケーターやレーザー変位計測によって厚さを測定できる。また、μmオーダーよりも薄い膜厚の場合には、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察や蛍光X線分析装置によって厚さを測定できる。
平均厚さは、電極において平面視の中心付近で測定した厚さの平均値である。
【0032】
第1基材シート10の面方向における第1の電極14及び第2の電極16の配置は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。第1の電極14及び第2の電極16の数も、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
【0033】
第1の電極14及び第2の電極16に接続する配線の材料は、例えば、第1の電極14及び第2の電極16の材料と同じものを例示でき、銀ペーストが好ましい。配線の平均厚さの好ましい範囲は、第1の電極14及び第2の電極16の平均厚さの好ましい範囲と同様である。
【0034】
弾性層30は、弾性体を含む層であり、押圧によって圧縮変形する。感圧タッチセンサ1が厚さ方向に押圧されたときには、弾性層30が厚さ方向に圧縮変形し、第1の電極14と第2の電極16との距離が近づくことで静電容量が変化する。この静電容量の変化を検知することで操作面の押圧が認識される。
【0035】
この例の弾性層30は、図2及び図3に示すように、一対の第1シート部30a及び第2シート部30bと、それら第1シート部30aと第2シート部30bに挟持された複数の柱部30cとを備えるゴム状弾性体である。第1シート部30a、第2シート部30b及び複数の柱部30cは一体化されている。弾性層30は、各々の柱部30cの周囲の部分に空間部30dを有している。
第1シート部30aと第2シート部30bの間における柱部30c以外の空間部30dには、スポンジ等の弾性部材を配置してもよい。
【0036】
第1シート部30a、第2シート部30b及び複数の柱部30cを形成する材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。弾性層30のうち、弾性体からなる必要があるのは、圧縮変形する柱部30cのみである。第1シート部30a及び第2シート部30bは、弾性材料によって形成されていてもよく、非弾性の硬質材料によって形成されていてもよい。硬質材料としては、例えば、エラストマー以外の樹脂、ガラス、金属、セラミックス、木材等が挙げられる。
【0037】
弾性層30の弾性体を形成する弾性材料としては、押圧による厚さ方向の圧縮変形の程度が適当であり、押し心地が良好であるものを使用することが好ましい。弾性材料としては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等の熱硬化性エラストマー;ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー;或いはそれらの複合物等が挙げられる。これらの中でも、光を通しやすい点、繰り返しの押圧に対する寸法変化が小さい、即ち圧縮永久歪が小さい点から、シリコーンゴムが好ましい。前記弾性材料は、内部に気泡を含む発泡材料でもよく、実質的な気泡を含まない非発泡材料でもよい。
【0038】
弾性層30の弾性体を形成する弾性材料には、光拡散物質が含有されていることが好ましい。つまり、弾性層30は、発光素子50からの光を厚さ方向に導くライトガイド層を兼ねる層であってもよい。これにより、後述の発光素子50から発せられ、弾性層30の側面側から弾性層30内に進入した光が拡散され、第1の電極14を通って操作パネル側へと導かれやすくなる。
【0039】
光拡散物質としては、例えば、酸化チタン、シリカ、シリカにコーティングを施したもの、シリカをポーラスにしたもの、シリカを中空にしたもの、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、ガラス、樹脂ビーズ(アクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)を例示できる。弾性材料に含有される光拡散物質は、1種であってもよく、2種以上であってもよく、公知の方法で配合できる。
【0040】
弾性層30を形成する弾性体の厚み(高さ)を1cmとしてJIS K 6253に従って測定した際のタイプAデュロメータ硬さは、85以下が好ましい。前記タイプAデュロメータ硬さが85以下であれば、押圧された際に容易に弾性変形する。ただし、過度に軟らかいと、弾性変形後の回復が遅くなるため、前記タイプAデュロメータ硬さは10以上が好ましい。
【0041】
第1シート部30aの厚さは、5~100μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。第1シート部30aの厚さが前記範囲の下限値以上であれば、柱部30cとの接合強度を強くできる。第1シート部30aの厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面を押圧していない状態における第1の電極14と第2の電極16との距離を近づけやすく、押圧の検知精度をより高くすることができる。
第2シート部30bの厚さの好ましい範囲は、第1シート部30aの厚さの好ましい範囲と同じである。第1シート部30aの厚さと第2シート部30bの厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0042】
柱部30cの形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、円錐台状、角柱状等の柱状が挙げられる。なかでも、耐久性に優れる点から、円柱状、円錐台状が好ましい。複数の柱部30cの形状は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0043】
単一の柱部30cの高さ方向に垂直な方向の断面積は、特に限定されず、例えば、0.005~4mmが挙げられ、0.02~0.8mmが好ましい。前記柱部30cの断面積が前記範囲の下限値以上であれば、押圧力が加わった際に高さ方向に圧縮変形することが容易になり、柱部30cが圧縮せずに屈曲することを防止しやすい。柱部30cの断面積が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
ここで、柱部の断面積は、柱部の1/2の高さの位置で高さ方向に直交する断面の面積を意味する。柱部の断面積は、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0044】
弾性層30が有する全ての柱部30cの合計の断面積は、弾性材料の物性と、設定する押し心地に応じて適宜設定できる。第1シート部30a又は第2シート部30bの面積を100%としたとき、前記合計の断面積は、0.1~30%が好ましく、0.5~20%がより好ましく、1~20%がさらに好ましい。前記合計の断面積が前記範囲内であれば、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
具体的には、例えば、前記合計の断面積を1~100mmとすることができる。
【0045】
柱部30cの高さは、1~3000μmが好ましく、50~2000μmがより好ましく、200~1000μmがさらに好ましく、300~1000μmが特に好ましい。柱部30cの高さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面を押圧していない状態における第1の電極14と第2の電極16との距離を近づけやすく、押圧力の検知精度をより高くできる。また、操作面を押圧した際に操作面がへこむ感覚が抑制されやすく、通常のタッチパネルのように硬い面に触れているのと同じ感覚で操作しやすくなる。
ここで、柱部30cの高さには、第1シート部30aの厚さ及び第2シート部30bの厚さは含まれない。柱部30cの高さは、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0046】
柱部30cは、第1シート部30aの厚さ及び第2シート部30bと接続され、弾性層30の厚さを支える部材である。弾性層30の厚さが部位によらず同じであれば、複数の柱部30cの高さは実質的に同じである。
【0047】
この例の複数の柱部30cの平面視での配置パターンは、矩形状の第1シート部30a及び第2シート部30bの平面方向において、縦方向と横方向に5×5の25本の柱部30cが間隔をあけて整列したパターンである。なお、複数の柱部30cの配置パターンは、このパターンには限定されず、例えば、複数の柱部30cが千鳥状に配列したパターンであってもよい。
【0048】
弾性層30が有する柱部30cの個数は、複数でもよく、1個でもよい。例えば、第1シート部30aの厚さ及び第2シート部30bの平面方向の中央領域に1個の平面視矩形の柱部30cが設けられた態様であってもよい。この態様の場合、柱部30cを形成する弾性体は、内部に気泡を含む発泡体であることが好ましい。
【0049】
弾性層30が有する柱部30cの個数は、1~1000個が好ましく、3~100個がより好ましく、4~50個がさらに好ましい。前記個数が前記範囲の下限値以上であれば、操作面を指で押す程度の適度な押圧力で弾性層30を圧縮変形させることができる。前記個数が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧の検出精度を向上させることができる。
【0050】
隣り合う柱部30c同士のピッチは、0.1~5mmが好ましく、0.5~3mmがより好ましい。前記ピッチが前記範囲の下限値以上であれば、操作面を指で押す程度の適度な押圧力で弾性層30を圧縮変形させることができる。前記ピッチが前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧の検出精度を向上させることができる。
【0051】
この例の弾性層30は、図1に示すように、第1基材フィルム32と第2基材フィルム34に挟持された状態で、第1の電極14と第2の電極16の間に配置され、接着層36,38を介して保護層12及び第2の電極16と接着されている。第1の電極14と第2の電極16の間に配置する前においては、接着層36,38の表面に剥離紙40,42が積層されている。
【0052】
接着層36,38は、それぞれ第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34の保護層12や第2の電極16との密着面の一部のみに設けられていてもよく、密着面の全面に設けられていてもよい。弾性層30に対する押圧力を面方向に均一化することが容易な点から、前記密着面の全体に接着層36,38が設けられていることが好ましい。
【0053】
接着層36,38の材料としては、それぞれ独立に、例えば、公知の硬化型接着剤(接着前は液状の接着剤)、又は粘着剤(接着前はゲル状の感圧性接着剤)が挙げられる。また、各接着層は、基材層の両面に接着剤又は粘着剤が配置された基材型接着層であってもよい。基材型接着層としては、例えば公知の両面テープが挙げられる。
前記接着剤、粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。前記硬化型接着剤は、硬化時に揮発する溶剤を含む溶剤型であってもよく、ホットメルト型であってもよい。
【0054】
接着層36,38の厚みとしては、それぞれ独立に、例えば1~75μmが挙げられる。前記硬化型接着剤を用いた接着層36,38の厚みは、1~20μmが好ましい。前記粘着剤を用いた接着層36,38の厚みは、10~75μmが好ましい。
【0055】
第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34を形成する材料としては、絶縁性の樹脂材料を使用でき、それぞれ独立に、例えば、PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ウレタン等が挙げられる。第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34を形成する樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0056】
第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34の厚さは、それぞれ独立に、例えば、10~200μmが挙げられる。前述の樹脂材料を用いる場合、その厚みは、10~200μmが好ましく、25~150μmがより好ましく、25~100μmがさらに好ましい。厚さが前記範囲の下限値以上であれば、弾性層30に対する押圧力を面方向に均一化することが容易である。厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面に対する入力の検知精度を高めることができる。
【0057】
第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34は、それぞれ弾性層30の第1シート部30aの外表面と第2シート部30bの外表面にそれぞれ接着されている。これらは不図示の接着層によって接着されていてもよく、公知の表面処理又は加熱処理によって直に接着されていてもよい。
第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34の接着面には、接着力を向上させる目的で、物理的又は化学的な公知の表面処理が施されていてもよい。
【0058】
第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34は、操作面に加えられた押圧力が弾性層30に均一に伝達されるようにするために、弾性層30に対する平滑な表面を有する。仮に、第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34が存在しないと、第1の電極14や第2の電極16が設けられた部分の凹凸が弾性層30に対する押圧を不均一にすることがある。本実施形態では第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34が備えられているため、第1の電極14や第2の電極16が設けられた部分の凹凸が弾性層30に対する押圧を不均一にする影響を低減できる。また、第1の電極14や第2の電極16が局所的に弾性層30の柱部30cからの応力を受けて損傷することが抑制される。
【0059】
発光素子50としては、特に限定されず、例えば、発光ダイオード(LED)、有機ELを例示できる。発光素子50としては、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0060】
発光素子50の数は、特に限定されず、適宜設定できる。1つの弾性層30に対して1つの発光素子50を配置してもよく、1つの弾性層30に対して2つ以上の発光素子50を配置してもよい。
【0061】
感圧タッチセンサ1は、例えば、第1基材シート10の第2の面10b側に接着層を設けることで、当該接着層を介して操作パネルに貼り付けることができる。この場合、感圧タッチセンサ1における接着層を設ける部分は、感圧タッチセンサ1を操作パネルに安定して貼り付けることができる範囲で適宜設定できる。
感圧タッチセンサ1を操作パネルに貼り付けるための接着層を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、接着層36,38で挙げた、接着剤、粘着剤と同じものを例示できる。なかでも、固定領域を容易に制御できる点から、両面テープが好ましい。
【0062】
第1基材シート10の第2の面10b側に接着層を設ける場合、操作パネルに貼り付ける前の状態においては接着層の上に剥離紙を貼り合わせる。
剥離紙としては、特に限定されず、公知の剥離紙を使用できる。
【0063】
感圧タッチセンサ1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。
第1の電極14及び第2の電極16は、例えば、第1基材シート10や第2基材シート18に対して印刷等により電極材料でパターンを形成することで製造できる。また、基材の一方の面又は両面に電極を形成し、それを接着剤や両面テープ等によって第1基材シート10や第2基材シート18に接合してもよい。電極を形成する方法としては、例えば、導電性ペーストを印刷した後に加熱して硬化させる方法、金属粒子を含むインクを印刷する方法、金属箔又は金属蒸着膜を形成してパターニングする方法等が挙げられる。
【0064】
第1の電極14を形成した後、第1基材シート10の第1の面10a側に、接着剤等で保護層12を貼り合わせて積層する。また、第1基材シート10の第2の面10b側に両面テープを貼り付けるなどして接着層を形成し、剥離紙を貼り付ける。
【0065】
弾性層30は、例えば、以下の方法で製造できる。具体的には、第2基材フィルム34の片面にスクリーン印刷等により第2シート部30bを形成する。第2シート部30bの表面と各柱部30cの第2シート部30bに接する面に紫外線を照射し、それらを重ね合せて加圧して、第2シート部30bと各柱部30cとを接合する。また、第1基材フィルム32の片面にスクリーン印刷等により第1シート部30aを形成する。第1シート部30aの表面と各柱部30cの第1シート部30aに接する面に紫外線を照射し、それらを重ね合せて加圧して、第1シート部30aと各柱部30cとを接合する。これにより第1基材フィルム32及び第2基材フィルム34に挟持された弾性層30を形成できる。
【0066】
接着層38を介して弾性層30に第2の電極16及び第2基材シート18を貼り付け、それらを保護層12における第1の電極14が設けられた部分に接着層36を介して貼り付ける。発光素子50は、例えば、低温はんだや導電接着剤によって、保護層12の第1基材シート10の反対側の面における弾性層30の横に実装できる。これにより、感圧タッチセンサ1が得られる。
【0067】
[感圧タッチセンサモジュール]
本発明の感圧タッチセンサモジュールは、操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、感圧タッチセンサとを備え、感圧タッチセンサが操作パネルとフレーム部材で挟持された装置である。以下、本発明の感圧タッチセンサモジュールの一例として、感圧タッチセンサ1を備える感圧タッチセンサモジュール100(以下、「モジュール100」とも記す。)について、図4に基づいて説明する。
【0068】
モジュール100は、操作面112を有する矩形の操作パネル110と、凸状の押圧部材122を有するフレーム部材120と、感圧タッチセンサ1とを備えている。感圧タッチセンサ1は、剥離紙を剥離した状態で、接着層を介して操作パネル110の背面に貼り付けられている。
【0069】
感圧タッチセンサ1を操作パネル110に貼り付ける方法は、特に限定されず、例えば、ダイアフラム方式、ローラー方式等が挙げられる。なかでも、感圧タッチセンサ1の接着層と操作パネル110との間に気泡が混入することを抑制しやすく、感圧タッチセンサ1をより綺麗に貼り付けることができる点から、ダイアフラム方式が好ましい。
【0070】
感圧タッチセンサ1における第1の電極14、弾性層30及び第2の電極16が重なっている感圧検知部20は、操作パネル110とフレーム部材120の押圧部材122とによって圧接固定されている。この例では、操作パネル110とフレーム部材120とはバネ130によって接続されている。操作パネル110における感圧タッチセンサ1と反対側の表面が操作面112となっている。
【0071】
操作パネル110としては、例えば、指で押圧した際に、パネルを通して指で押圧した位置から離れた位置にある弾性層を圧縮できる剛性を備えたものが使用できる。ただし、押圧する位置と弾性層のある位置が近い場合は、操作パネル110として、レザー、ラバー等の剛性の低いパネルを使用してもよい。
【0072】
操作パネル110は、少なくとも平面視で第1の電極14を含む感圧検知部20と重なる部分に光透過部114を備えている。光透過部114は、操作パネル110における感圧検知部20と重なる部分だけに設けられていてもよく、操作パネル110の全体に設けられていてもよい。
操作パネル110としては、例えば、感圧タッチセンサ1の表面を覆うカバー層と、前記カバー層の表面に形成された加飾層を備えるものが挙げられる。例えば、カバー層における感圧検知部20と重なる部分に加飾層を部分的に設けないことで、操作パネル110に光透過部114を設けることができる。
【0073】
カバー層の材料としては、例えば、ガラス、樹脂が挙げられる。
樹脂としては、例えば、PC、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン(PS)、PVC、PET、PBT、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
カバー層の厚さは、0.05mm~10mmが好ましく、2mm~5mmがより好ましい。カバー層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度が得られやすい。カバー層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、モジュール100が過度に厚くなることを抑制しやすい。
【0075】
加飾層は、装飾、文字、図形、記号、絵柄、これらの組み合わせ、あるいはこれらと色彩との組み合わせによる任意の装飾が施された層である。加飾層は、例えば、カバー層に印刷を施すことにより形成できる。
なお、操作パネル110は、加飾層を有しないものであってもよい。
【0076】
本発明では、このようにフレーム部材が凸状の押圧部材を有し、感圧タッチセンサの弾性層が位置する部分が操作パネルとフレーム部材の押圧部材で挟持されていることが好ましい。これにより、指で押圧した程度でも弾性層30が圧縮変形しやすくなり、タッチ操作の検出精度がより高くなる。
【0077】
フレーム部材を形成する材料としては、例えば、樹脂、ガラス、無機物等が挙げられる。
フレーム部材を形成する樹脂としては、例えば、カバー層を形成する樹脂として挙げた樹脂と同じものが挙げられる。フレーム部材を形成する樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0078】
本発明においては、フレーム部材120の感圧タッチセンサ1側の表面に静電容量検知部(IC)を設け、フレーム部材120を制御基板としてもよい。さらに、制御基板がコネクターを介して感圧タッチセンサ1の接続端子部と接続されていてもよい。
【0079】
モジュール100においては、感圧タッチセンサ1における弾性層30の横に発光素子50が配置されている。そのため、発光素子50から発せられた光が側面から弾性層30内に進入し、厚さ方向に導かれて光透過部114から透過する。これにより、操作面112における押圧部の文字照光等が可能となる。また、発光素子50が弾性層30の横に配置されていることで、操作面112を繰り返し押圧しても発光素子50がダメージを受けにくく、長期的に安定した照光が可能である。また、薄くて構成がシンプルな照光機能付きの感圧タッチセンサモジュールとすることができる。さらに、弾性層とは別に導光部材を実装する必要がないため、感圧検知のための弾性層の変位を阻害せず、照光機能を付加した感圧タッチセンサの配置自由度が向上し、利用範囲が広がる。
【0080】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明の感圧タッチセンサモジュールは、発光素子が弾性層の横に配置され、発光素子から発せられた光が弾性層の側面から弾性層内に進入するものであればよく、感圧タッチセンサに発光素子が実装されている態様には限定されない。具体的には、例えば、図5に示すように、フレーム部材120の感圧タッチセンサ1A側の表面に、弾性層30の横に位置するように発光素子50を設けた感圧タッチセンサモジュール100Aであってもよい。この態様では、フレーム部材120に凸状の設置部124を設け、設置部124上に発光素子50を設けて、弾性層30と発光素子50の厚さ方向の位置が揃うようにすることが好ましい。感圧タッチセンサ1Aは、発光素子50が備えられていない以外は感圧タッチセンサ1と同じ態様である。
【0081】
本発明の感圧タッチセンサは、図6に例示した感圧タッチセンサ1Bであってもよい。
感圧タッチセンサ1Bでは、第1の電極14及び第2の電極16が第1基材シート10の第1の面10aに設けられ、第1基材シート10の一部が第1の電極14と第2の電極16の間で折り返されて、第1の電極14と第2の電極16の互いの面が対向している。感圧タッチセンサ1Bは、第1基材シート10の一部を第1の電極14と第2の電極16の間で折り返して第1の電極14と第2の電極16を対向させる以外は、感圧タッチセンサ1と同様の態様である。
感圧タッチセンサ1Bを操作パネルに取り付けたときの操作面の面方向において、弾性層30の第1の電極14と第2の電極16の間の折り線部15と反対側に発光素子50が配置されている。
【0082】
感圧タッチセンサ1Bのような態様の場合、折り返し部22の保護層12側の面における弾性層30よりも折り線部15側の部分に光反射面を形成してもよい。これにより、弾性層30の折り線部15側に通り抜けた光を再び弾性層30に進入させることができ、より効率的な照光が可能となる。また、弾性層30の折り線部15側に通り抜けた光を光反射面で反射させることで、光漏れを防ぐことができる。
光反射面を形成する方法としては、例えば、高隠蔽性かつ白色度の高い顔料である二酸化チタン、アルミニウム等の粉末を分散させた白色層を塗装等によって形成する方法、アルミニウム、クロム、銀等の金属からなる金属薄膜層をメッキ又は蒸着等によって形成する方法を例示できる。
【0083】
感圧タッチセンサ1,1Bは、弾性層30と発光素子50とが空気層を介して配置されている態様であるが、導光部材(ライトガイド)で弾性層30と発光素子50の間が連結封止されている態様であってもよい。このような態様は、発光効率が向上するため、複数の弾性層に対して1つの発光素子を配置する場合や、複数の弾性層に対して複数の発光素子を配置する場合に特に有効である。
【0084】
図7に示すように、操作面の面方向において、複数の柱部30cが、発光素子50に近い側よりも発光素子50から遠い側の方が密となるように配置されている弾性層30Aを備える感圧タッチセンサ1Cであってもよい。弾性層30Aのような弾性層を用いることで、側面から弾性層に進入した光を厚さ方向に導いて操作パネルの光透過部を透過させる効率がさらに向上する。
【0085】
弾性層が複数の柱部を備える場合、柱形状は限定されない。例えば、図8(A)に示すように、操作パネル側が広くなる逆円錐形状の柱部30eを備える弾性層30Bであってもよい。図8(B)に示すように、操作パネル側が狭くなる円錐形状の柱部30fを備える弾性層30Cであってもよい。
【0086】
図8(C)に示すように、柱部30cと柱部30cの間に、柱部30cよりも小さく、押圧力による圧縮変形を妨げない円錐状等の突起部30gを備える弾性層30Dであってもよい。図8(D)に示すように、発光素子50から遠い側に、発光素子50から遠い側から近い側に向かうにつれて低くなるように傾斜した反射面31を有する反射部30hを備える弾性層30Eであってもよい。
【0087】
感圧タッチセンサは、弾性層の裏面側(操作パネルと反対側)に光拡散層や光反射層が設けられた態様や、弾性層の表面側(操作パネル側)に光拡散層が設けられた態様としてもよい。これにより、弾性層の柱部の配置パターンを均一にして感圧機能を高める場合、弾性層を中実な弾性体とする場合、弾性層を独立気泡又は連通気泡タイプの発泡体とする場合等であっても、操作パネル側に効率良く光を導いて所望の部位を高輝度で照光しやすくなる。例えば、図9に示すように、弾性層30の裏面側の第2基材フィルム34の表面に光拡散層60が設けられていてもよい。
【0088】
光拡散層は、例えば、光拡散物質と樹脂バインダーを含むインクを印刷することによって形成できる。光反射層は、例えば、金属、金属酸化物、及びそれらの混合物や、さらに樹脂バインダーを混合した樹脂組成物を塗布することによって形成できる。
樹脂バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エマルジョンアクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。樹脂バインダーとしては、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0089】
感圧タッチセンサは、感圧検知のための第1の電極及び第2の電極に加えて、導体が接触又は近接することによる電極の静電容量の変化から、電極への導体の接触又は近接を検知する第3の電極をさらに備えてもよい。このような態様は、タッチセンサと感圧センサがどちらも同じ静電容量検出方式のため、同じICで同様に処理できるため合理的である。
【0090】
第3の電極の形状は、特に限定されず、例えば、矩形状が挙げられる。第3の電極の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。
【0091】
第3の電極は、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
相互容量方式の第3の電極の態様としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等のベタ電極や、櫛歯電極または、基材の一方の面に帯状の送信電極が形成され、他方の面に送信電極と直交する方向に延びる複数の帯状の受信電極が形成された田形電極パターン、ダイヤモンドパターン等が挙げられる。
自己容量方式の第3の電極の態様としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等のベタ電極や、ダイヤモンドパターン等が挙げられる。
【0092】
第3の電極の材質としては、第1の電極14及び第2の電極16と同様のものが挙げられ、透明導電膜が好ましい。
第3の電極の好ましい平均厚さは、第1の電極14及び第2の電極16の好ましい平均厚さと同じである。
第3の電極の数は、特に限定されない。第3の電極の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
【0093】
第2の電極は透明電極である必要はない。また、感圧タッチセンサが第2の電極を備えず、フレーム部材120の押圧部材122上に第2の電極が設けられていてもよい。
感圧タッチセンサにおいては、弾性層の周りに、発光素子が配置されている側のみが開放されている遮光部を設けてもよい。これにより、弾性層に進入した光が操作パネルの光透過部を透過する効率がさらに向上する。
【符号の説明】
【0094】
1,1A~1C…感圧タッチセンサ、10…第1基材シート、12…保護層、14…第1の電極、16…第2の電極、18…第2基材シート、20…感圧検知部、30,30A~30E…弾性層、50…発光素子、100…感圧タッチセンサモジュール、110…操作パネル、112…操作面、114…光透過部、120…フレーム部材、122…押圧部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9