IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クロネス アーゲーの特許一覧

特許7220152プラスチックプリフォームの事前検査を行うプラスチックプリフォームの滅菌装置および方法
<>
  • 特許-プラスチックプリフォームの事前検査を行うプラスチックプリフォームの滅菌装置および方法 図1
  • 特許-プラスチックプリフォームの事前検査を行うプラスチックプリフォームの滅菌装置および方法 図2a
  • 特許-プラスチックプリフォームの事前検査を行うプラスチックプリフォームの滅菌装置および方法 図2b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】プラスチックプリフォームの事前検査を行うプラスチックプリフォームの滅菌装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/08 20060101AFI20230202BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20230202BHJP
   B65B 55/06 20060101ALI20230202BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B65B55/08 B
B65B55/04 C
B65B55/04 K
B65B55/06 Z
A61L2/08 108
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019541112
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2018052256
(87)【国際公開番号】W WO2018138374
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】102017101745.3
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェーンベルガー、ヴォルフガング
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098726(WO,A1)
【文献】特開2014-094782(JP,A)
【文献】特開2012-126436(JP,A)
【文献】特開2007-126171(JP,A)
【文献】特開2011-093567(JP,A)
【文献】特開2008-150091(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012103023(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/08
B65B 55/04
B65B 55/06
A61L 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(10)とりわけプラスチックプリフォーム(10)を処理するための装置(1)であって、
前記容器(10)を加熱するのに適していてかつこのために規定されている加熱装置(2)であって、前記加熱装置(2)は、前記容器(10)を所定の搬送路に沿って搬送する搬送装置(22)を有し、かつ前記容器(10)を加熱する少なくとも1つの加熱部材(26)を有する、加熱装置(2)を備え、
前記容器(10)の搬送方向中で前記加熱装置(2)よりも後置されている処理装置(6)であって、前記処理装置(6)は、前記容器(10)を所定の搬送路に沿って搬送する第2搬送装置(62)を有し、かつ前記容器(10)の開口を通って少なくとも部分的に前記容器(10)中に挿入可能である少なくとも1つの処理部材(64)を有し、前記処理装置(6)は、とりわけ前記容器の内壁を少なくとも部分的に滅菌するのに適していてかつこのために規定されている滅菌装置である、処理装置(6)を備えた装置において、
前記装置(1)は、前記容器(10)の搬送方向中で、前記処理装置(6)より前に配置された検出装置(4)を有し、前記検出装置は、前記容器(10)の幾何学的な特性についての少なくとも1つの特徴パラメータを決定するのに適していてかつこのために規定されており、
前記特徴パラメータは、前記容器(10)の長さ、前記容器(10)の直径、前記容器(10)の口部の直径、前記容器(10)の壁厚の断面の楕円率、前記容器(10)の対称性、および前記容器(10)の湾曲を含むパラメータ群から選択されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記処理装置(6)は、処理部材として、前記容器(10)中に挿入可能なビームフィンガー(66)を有し、前記ビームフィンガーは出口窓を有し、前記出口窓を通って、荷電担体およびとりわけ電子が、前記ビームフィンガー(66)から出ることができることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記装置(1)は、前記処理装置(6)を制御する制御装置(54)を有し、前記制御装置(54)が、前記処理装置(6)を、前記検出装置(4)により計測された値のうちの少なくとも1つに基づいて制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置(1)は、前記加熱装置(2)と前記処理装置(6)との間に配置されている排除装置(42)を有し、前記排除装置は、少なくとも個々の容器(10)を排除するのに適していてかつこのために規定されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記検出装置(4)は、前記容器に放射線を当てる放射装置と、前記容器(10)により影響を受けた放射線を受信する受信装置とを有することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記検出装置(4)は、前記容器において、干渉法計測、赤外光を用いた計測、共焦点計測、空間分解能撮像、テレセントリック計測、壁厚計測およびこれらの組み合わせを含む計測の群から選択された計測を実施するのに適していてかつこのために規定されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
容器(10)およびとりわけプラスチックプリフォーム(10)を処理する方法であって、
前記容器(10)を加熱装置(2)で加熱し、
この加熱の間に、前記容器を少なくとも一時的に第1搬送装置(22)を用いて搬送し、
続いて、前記容器を、前記容器(10)の搬送方向で前記加熱装置(2)よりも後置されている処理装置(6)で処理し、
前記処理装置が、第2搬送装置(62)を有し、前記第2搬送装置が、前記容器(4)を所定の搬送路に沿って搬送し、かつ、前記処理装置が、前記容器(10)の開口を通って少なくとも部分的に前記容器(10)中に挿入されている少なくとも1つの処理部材(66)を有し、前記処理装置(6)は、前記容器(10)の少なくとも1つの壁部を滅菌する方法において、
前記容器(10)の搬送方向中、前記処理装置(6)より前に配置された検出装置(4)を用いて、前記容器の物理的とりわけ幾何学的な特性についての少なくとも1つの特徴パラメータを決定し、
前記特徴パラメータは、前記容器(10)の長さ、前記容器(10)の直径、前記容器(10)の口部の直径、前記容器(10)の壁厚の断面の楕円率、前記容器(10)の対称性、および前記容器(10)の湾曲を含むパラメータ群から選択されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記処理装置(6)は、前記容器の少なくとも1つの壁部を滅菌するために、前記壁部に電荷担体を当てることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器とりわけプラスチックプリフォームの処理およびとりわけ滅菌する装置および方法に関する。飲料製造産業の分野で、プラスチックプリフォームを加熱し、続いて変形装置例えばブロー成形機中で吹き込みを行い、プラスチック容器にすることは長らく公知である。この際、応用分野によっては、これらのプラスチックプリフォームないしプラスチック容器を滅菌することが必要である。
【背景技術】
【0002】
プラスチックプリフォームを滅菌するためには、様々な手法が公知である。したがって、従来技術からは、滅菌のために、プラスチック容器に流体の滅菌媒体、例えば過酢酸または過酸化水素を当てることが長らく公知である。最近では、容器の壁部に、放射線例えば電子線または紫外線を当てる方法も公知になっている。
【0003】
とりわけ最近では、滅菌の目的で、電子ビームフィンガーをプラスチック容器中に浸し、これを滅菌することが公知になっている。この内側処理においては、線条細工の各電子ビームフィンガーが、プラスチックプリフォームのほぼドーム状部にまで浸されている。ここで欠陥のあるまたは全く誤まったサイズのプラスチックプリフォームが、対応する機械またはモジュールを通って動くと、上述のビームフィンガーが損傷する危険がある。この電子ビームフィンガーは非常に高価であるので、故障時には、経済的損失が非常に大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、上述の滅菌装置、およびプラスチック容器を処理するこれ以外の装置についても(とりわけ、プラスチックプリフォーム中に挿入されている部材について)、保護を強化した装置および方法を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によれば独立特許請求項の対象物により達成されている。有利である実施形態およびさらなる構成は、従属請求項の対象物である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
容器およびとりわけプラスチックプリフォームを処理するための本発明による装置は、容器を加熱するのに適していてかつこのために規定されている加熱装置を有する。この際、この加熱装置は、容器を所定の搬送路に沿って搬送する搬送装置を有し、かつ容器を加熱する少なくとも1つの加熱部材を有する。
【0007】
さらに、この装置は、容器の搬送方向中で加熱装置よりも後置されている処理装置を有し、この処理装置は、容器を所定の搬送路に沿って搬送する第2搬送装置を有し、かつ容器の開口を通って少なくとも部分的に容器中に挿入可能である少なくとも1つの処理部材を有する。
【0008】
本発明によれば、装置は、容器の搬送装置中(搬送方向中)で、処理装置より前に配置された検出装置を有し、この検出装置は、容器の幾何学的なおよび/または物理的な特性について少なくとも1つの特徴パラメータを決定するのに適していてかつこのために規定されている。
【0009】
上で述べたように、この容器は、とりわけプラスチック容器であり、とりわけいわゆるプラスチックプリフォームであり、これは、さらなる作業工程において、好適にはプラスチックボトルに広げられ、とりわけブロー成形されている。
【0010】
この際、有利な場合、物理的とりわけ幾何学的なパラメータの記録は衝突回避のために、すなわち後続の処理部材がプラスチックプリフォームと衝突するのを避けるために役立つ。
【0011】
したがって、例えば、ビームフィンガーがプラスチックプリフォーム中の規定の深さまで挿入されていることが可能である。特定のプラスチックプリフォームが、目標の長さよりも短い、ないしより小さい長さを有すると確定されている場合には、この特別なプラスチックプリフォームは排除でき、または処理部材(ないし、好適にはプラスチックプリフォーム)の移動を、これに応じて合わせることができる。好適には、棒形状の処理部材をプラスチックプリフォーム中に浸すために、このプラスチックプリフォームはその縦方向に動かされる。
【0012】
好適には、上述の検出装置は、各プラスチックプリフォーム(および、とりわけその物理的およびとりわけ幾何学的な特性)について特徴的な値を出力する。したがって、例えば検出装置は、プラスチックプリフォーム搬送路の側方に配置可能であり、したがって、例えばプラスチックプリフォームの側方での検査を行いうる。
【0013】
有利な場合には、変形装置とりわけいわゆるブロー成形機が、処理装置より後置されている。
【0014】
さらなる有利な実施形態では、装置は、さらなる搬送装置を有し、これが、プラスチックプリフォームを、加熱装置から処理装置へと進める。
【0015】
さらなる有利な実施形態では、第2搬送装置、すなわち処理装置の搬送装置は、回転可能な担体を有する。この担体には、好適には複数の処理部材が配置されていて、これらが、プラスチックプリフォーム中に挿入可能である。好適にはこれらの処理部材が、以下により詳細に説明するように、いわゆるビームフィンガーとして形成されていて、このビームフィンガーが、プラスチックプリフォーム中に浸されていることができ、このプリフォームが、内側から放射線を当てられる。
【0016】
好適には、この装置は移動装置を有し、この移動装置が、処理部材をプラスチックプリフォーム中に浸す。したがって、例えばリフト装置を設けることができ、このリフト装置がプラスチックプリフォームを持ち上げ(そして、とりわけ、これを縦方向で移動させ)、そしてこのようにして処理部材をプラスチックプリフォーム中に浸すことができる。
【0017】
好適には、この駆動装置はいわゆるガイドカムであり、これが、曲線ローラと協働し、これにより、プラスチックプリフォームおよび/または処理部材の各移動が達成されている。
【0018】
しかし、処理部材をプラスチックプリフォーム中へ挿入させるためのこれ以外の種類の駆動部も考えられ、これは、例えば電気駆動部、とりわけ位置調整を行うリニアモータ、空気圧式駆動部、油圧式駆動部などである。
【0019】
さらなる有利な実施形態では、検出装置は、加熱装置の領域中に配置されていて、とりわけプラスチックプリフォームの搬送路の側方の領域中で配置されている。
【0020】
有利な場合には、第1搬送装置は、周回する搬送手段(これは、とりわけ周回する搬送チェーンであるが、必ずしもこれに限らない)を有し、これは、複数の保持装置を備えている。これらの保持装置は、例えば保持クリップでありえ、これらの保持クリップは、プラスチックプリフォームを、その加熱の間保持する。しかし、これ以外に、好適にはこの保持装置は、いわゆるマンドレルでもありえ、これが、プラスチックプリフォームの口部中に挿入可能であり、これらのプラスチックプリフォームを内側から保持する。さらなる有利な実施形態では、この搬送装置は回転装置を有し、この回転装置が、プラスチックプリフォームを、その加熱の間、それ自身の軸の周りで回転させる。
【0021】
有利であるのは、第1搬送装置が、プラスチックプリフォームを個々に搬送する場合である。
【0022】
さらなる有利な実施形態では、加熱装置は赤外線加熱炉である。有利な場合、検査ないし上述の特徴パラメータの検出は、プラスチックプリフォームの加熱の間に行われる。有利な場合、この検査は、搬送路の半分を超えた搬送路の部分中で行われる。したがって、プラスチックプリフォームは、例えば楕円形の長く伸びた搬送路に沿って進められることができる。さらに、可能でかつ好適であるのは、プラスチックプリフォームが搬送チェーンまたは搬送帯を用いて進められる場合で、この際、この搬送チェーンは2つの方向転換ローラの周りでガイドされている。この方向転換ローラの1つの領域では、検出装置が配置可能である。これ以外に、複数の検出装置を設けることができ、これにより、とりわけプラスチックプリフォームの複数の特性を規定することができる。特に好適には、検出装置ないし検査装置は、可能な限り滅菌装置の近辺に、すなわち移行ユニット34中ではあるが、しかし偏向ユニット42より前にある。
【0023】
さらなる有利な実施形態では、処理装置は滅菌装置であり、これは、容器の内壁を少なくとも部分的に滅菌するのに適していてかつこのために規定されている。上で述べたように、滅菌装置とは、とりわけ電子線滅菌装置である。この際、上で述べたように、ビームフィンガーを容器中に挿入し、この容器に電子を当てる。
【0024】
さらなる有利な実施形態では、処理装置は、容器中に挿入可能なビームフィンガーを有し、これが、出口窓を有し、この出口窓を通って、荷電担体およびとりわけ電子が、処理装置からとりわけ処理部材から出ることができる。この際、好ましくは、このビームフィンガーは、プラスチックプリフォームの周囲壁部の内壁を滅菌するのに適していてかつこのために規定されている。好適には、電子が、電子雲の様式でビームフィンガーの出口窓から出て、このようにして、好ましくはプラスチックプリフォームの上述の周囲壁部に当たる。好適には、この際、このビームフィンガーは、プラスチックプリフォーム中への挿入過程の間でも放射線を放出するのに適していてかつこのために規定されている。
【0025】
さらなる好適な実施形態では、この装置は遮蔽装置を有し、この遮蔽装置は、放射線とりわけ電子線および/またはX線が装置から漏れ出るのを防ぐのに適していてかつこのために規定されている。この際、処理装置全体を、放射線を遮蔽する筐体中に収納することが可能である。
【0026】
さらなる有利な実施形態では、装置はクリーンルームを有し、このクリーンルームが、少なくともプラスチックプリフォームが処理装置を通って搬送されている間に、このプラスチックプリフォームを取り囲む。このクリーンルームは、この際、好適には少なくとも1つの壁部を用いて、周囲からの遮蔽を行っている。これにより、すでに滅菌条件下でプラスチックプリフォームの滅菌を行うことが可能になる。好適には、後置されている変形装置もこの種のクリーンルームを有し、これが、変形時に、プラスチックプリフォームの少なくとも搬送路を取り囲む。
【0027】
この際有利であるのは、この出口窓が処理部材ないしビームフィンガーの端部側に配置されている場合である。さらに、好適には、処理装置が、電子を加速する加速装置を有する。さらに、処理部材は、その内側に、真空にすることができる領域を有することができ、その領域の内側で電子が出口窓に達する。さらなる有利な実施形態では、出口窓はチタンから製造されている。
【0028】
さらなる有利な実施形態では、この装置は、出口窓を冷却する冷却装置を有する。とりわけこの際、この冷却装置は、出口窓に流体の媒体とりわけ冷気を当てる当て装置を有する。
【0029】
さらなる有利な実施形態では、特徴パラメータは、容器の長さ、容器の直径、容器の口部の直径、容器の断面の(存在する場合)楕円率、容器の壁厚、容器の内断面、容器の汚れ、容器のクラックの存在、容器の射出点の品質、容器の対称性、容器のその保持装置に対する位置付けおよび容器の湾曲などを含むパラメータ群から選択されている。
【0030】
これ以外に、上述のパラメータのいくつかも決定できる。とりわけ決定されるべきパラメータは、後続の処理装置中で、プラスチックプリフォームに対する処理部材の位置とりわけ相対的な位置に関して特徴的であるパラメータである。
【0031】
とりわけ、この際、これらの特徴パラメータを確定することは、後続の滅菌モジュールを損傷から保護するとの目標に役立つ。したがって、例えば加熱装置中で、容器観察側壁を設置することができる。この側壁は、上で述べたように、様々なエラー、例えば、材料中の汚れ、混濁もしくは空気混入およびクラック、差し込みエラー(誤まった差し込み高さまたは斜め方向の差し込み)、斜めに製造されたプラスチックプリフォーム(いわゆるバナナ様プラスチックプリフォーム)、またはプラスチックプリフォームの長さ(これは、例えば種類を交換する場合に重要である)も検出することができる。
【0032】
例えば、検出された値に反応して再プログラミングが行われる場合には、後続の処理部材ないしビームフィンガーを、短すぎるプラスチックプリフォームが設備中に持ち込まれるとの問題から保護することができる。この問題は、種類が交換される際に、比較的しばしば生じる。
【0033】
プラスチックプリフォームの内径が小さすぎる場合に、各処理部材ないしビームフィンガーが損傷を受けるとの危険が生じる。これ以外に、プラスチックプリフォームの種類の交換の枠内でも危険が生じうるが、これは、口部は同じであるが、本体が先細りする、ないし内径が先細りする場合に生じうる。
【0034】
この種の危険を予め防ぐためにも、さらに、検出装置が、特徴パラメータとりわけプラスチックプリフォームの側壁の特徴パラメータを記録することも提案する。
【0035】
したがって、例えば透明なまたは部分的に透明なプラスチックプリフォームを、その壁部に陰影をかけてその内径を割り出すないしこれを検査することが可能である。内径が下回る場合、すなわち、プラスチックプリフォームの内径とビームフィンガーとの間に間隙がもはやない場合、このプラスチックプリフォームは、欠陥のあるまたは誤まって配置された物であると結論付ける。このプリフォームは例えば処理装置より前に、プラスチックプリフォーム流から除去できる。
【0036】
このようにして、全体として処理部材を損傷しないよう保護することができる。機械の安全性を高めることもできる。これ以外に休止期間をなくすないし少なくすることもできる。
【0037】
これ以外に従来すでに公知である検査システムを適用することも可能である。
【0038】
さらなる有利な実施形態では、装置は、処理装置を制御する制御装置を有し、この制御装置が、好ましくは処理装置を、検出装置により計測された値のうちの少なくとも1つに基づいても制御する。このようにして、例えばなんらかの形で欠陥のあるプラスチックプリフォームの出現ないし検出時に、このプラスチックプリフォームを排除することができる。後続の処理部材の対応する持ち上げ移動を合わせることもできる。これ以外に機械の停止をトリガーすることもできる。
【0039】
さらなる有利な実施形態では、装置は、加熱装置と処理装置との間に配置されている排除装置を有し、この排除装置は、少なくともいくつかの容器を容器の搬送から排除するのに適していてかつこのために規定されている。
【0040】
さらなる有利な実施形態では、検出装置は、容器に放射線を当てる放射装置を有する。これ以外に容器により影響を受けた放射線を受信する受信装置が設けられている。このようにして、例えば、容器を反射光線法または透過光線方法を用いて計測することが可能である。有利であるのは、検出装置がプラスチックプリフォームを非接触で計測する場合である。
【0041】
最も広い意味合いでは、したがって、検出装置は光学検出装置でありうる。したがって、例えば検出装置が画像撮影装置を有し、これが、検出されているべき容器の画像を撮影することが可能である。この際、この画像撮影装置は、例えばプラスチックプリフォームを透過する放射線を検出することができる。しかし、これ以外に反射光計測を行うことも可能である。
【0042】
さらなる有利な実施形態では、検出装置は、容器において、干渉法計測、赤外光を用いた計測、共焦点計測、空間分解能撮像を行う計測、テレセントリック計測、壁厚計測およびこれらの計測バリエーションの組み合わせを含む計測群から選択された計測を実施するのに適していてかつこのために規定されている。
【0043】
干渉法計測では、とりわけ容器の壁厚を決定することができる。したがって、光を光源から、容器の透明の壁部に実質的に垂直に向けることが可能である。この際、この光線は、連続スペクトルを有することができる。この光線の一部は、壁部の外側表面で反射され、一部は内側壁部表面で反射される。干渉法センサーを用いて、第1反射光線と第2反射光線との重畳により生じる干渉を、計測することができる。この干渉は、結果としてすなわち、周波数の関数として光の強度の周期的な変化を導き出す。この変動は、この際、容器の壁部の厚さに比例する周期を有しうる。
【0044】
さらなる可能な方法では、中空体ないしプラスチックプリフォームの射出点の芯立て試験も行われうる。この目的のために、例えばプラスチックプリフォームは、下方から照射可能であり、とりわけ容器の縦方向で、容器の上方で、画像撮影装置、例えばカメラが配置されていることができ、このカメラが、対応する画像を撮影する。
【0045】
これ以外に、テレセントリック計測を行うこともできる。この際、光源と、とりわけ光源の光を集束させる光屈折部材とを設けることができる。これ以外に、カメラが設けられていて、これが、透明体およびとりわけ容器の画像を撮影する。この際、とりわけ観察されるべき透明な容器を透視する。光源と検出装置例えばカメラとの間の光路中には、レンチキュラーを採用することができる。このようにして例えばレンズラスタ画像、すなわち、非常に小さい光学レンズを用いて撮影可能な画像を撮影することができる。
【0046】
この種のレンチキュラーを使用することにより、確かに、点状の光源はわずかにより広くなるが、光路は散乱せず、その強く方向付けられた特徴を維持する。このようにして、以前と同様に「ハードライト」を計測用に、とりわけ壁厚計測用に用いることができる。これにより、均一に照射されている物体領域を得ることも可能であり、この場合、コントラストは実質的に検査されているべき物体による影付けにより生じ、さらに、テレセントリック光路の利点を維持することも可能である。これ以外に、第1レンチキュラー以外に、第2レンチキュラー、とりわけ、第1レンチキュラーシステムに対して垂直であるようなシリンダーレンズシステムである第2レンチキュラーを用いることもできる。
【0047】
さらなる好適な実施形態では、共焦点計測を行うことも可能である。したがって、例えば色収差が補正されていない対物レンズを使用して計測を行うことも可能である。この際、容器の壁厚を、反射信号の周波数の差異を評価することにより導き出すことが可能である。この際、第1周波数の放射線が容器の外側表面から反射し、第2周波数の放射線が、容器の内側表面から反射されうる。各周波数の差は、異なって規定された壁厚に割り当てられうる。
【0048】
この方法では、したがって、容器の壁厚は、反射信号の周波数の差異を評価することにより導き出されている。この際、この種の容器の壁厚の計測は、複数の異なる高さレベルで行われ、したがって、プラスチック容器、およびとりわけプラスチックプリフォームの壁厚が変化するか否かを確定することも可能である。
【0049】
これ以外に、とりわけ壁厚を赤外計測ないし熱計測を用いて計測することも可能である。この計測では、まず赤外光をプラスチックプリフォーム上に照射し、続いて容器を通過する赤外光の割合を検出する。この割合は、対応する電気信号に変換することができる。マイクロプロセッサは、この電気信号を記憶された情報と比較し、このようにして容器の壁厚のサイズを出力する。
【0050】
さらなる好適な方法では、上で述べたように、後続のモジュール、とりわけ処理装置、妥当な場合には後ろに接続されたブロー成形装置も制御するために、上述のデータを用いる。したがって、好適には導き出されたパラメータないし検出された値は、制御のために転送されている。例えばマンドレル上に配置されたプラスチックプリフォームが非円形状であること、または、例えば狭窄部分ないし断面変形などの輪郭などのさらなる座標を転送することも可能である。どの深さまでこの種の変化が生じるのかを確定することもできる。
【0051】
さらなる特に好適な方法では、どのプリフォームの幾何学形状がどの搬送マンドレルに関連付けられるかが確定されている。換言すれば、好適には、特定のエラーは、特定のプラスチックプリフォームにのみ割り当てられるのではなく、これらのプラスチックプリフォームを保持する保持装置にも割り当てられる。これにより、一方では、1つの同じ加熱マンドレルにおいて繰り返し生じるエラーが確定され、他方では下流にある検査ユニットとの相関ができうる。これにより、完成した容器を出発材料(加熱プリフォーム)と比較する帰還の可能性が得られうる。したがって、動作時には、いずれの出発材料が、まさに正確に製造された容器に至るのかを確定するための洗練された解決方法が得られる。
【0052】
さらなる有利な実施形態では、この装置は、さらなる検出装置と、とりわけ検査ユニットとを有するが、これは、有利である場合、プラスチックプリフォームの搬送方向で、処理装置の後ろに配置されている。この種のさらなる検出装置は、例えば、プラスチックプリフォームをプラスチック容器に変形させる変形装置の出口に設けられていることができる。
【0053】
特に有利であるのは、したがって、エラーが炉(加熱マンドレル)中で生じるのか、またはブローキャビティ中で生じるのかを区別する可能性を提供することができる点である。
【0054】
さらに、例えば、プラスチックプリフォームの長さを、例えば、超音波検知器などの計測装置、または口部直径を決定するための計測装置を用いて決定することも可能であろう。最も単純な場合では、例えば処理装置中にバネで付勢されたフィンガーがあり、これが、プラスチックプリフォームが短すぎる場合には、設備をオフするスイッチを備えていることができる。同様に、指示書に合わないプラスチックプリフォームを、光バリアまたはロッカースイッチを備えたスイッチを介して確定することもできる。
【0055】
さらなる検出すべきかもしれないデータは、例えば、支持リングまでのプラスチックプリフォームの高さ、支持リングより下方の高さ、円錐端部の壁厚、プラスチックプリフォームのドーム状部の領域中の壁厚、首部の始め部分の断面、ドーム状部分の外側断面、内側断面などの幾何学的な特性でもありえる。これ以外にプラスチックプリフォームの口部のデータも計測することができ、これらは、例えば、支持リングの断面、口部におけるノッチの深さ、口部の高さ、口部の内側断面、口部のノッチ高さ、支持リング高さ、支持リング迫台の高さなどである。
【0056】
本発明は、さらに、容器およびとりわけプラスチックプリフォームを処理する方法に向けられている。この方法では、容器を加熱装置で加熱し、この加熱の間に、容器を少なくとも一時的に第1搬送装置を用いて搬送し、続いて、この容器を、容器の搬送方向で加熱装置よりも後置されている処理装置で処理し、この処理装置が、第2搬送装置を有し、この第2搬送装置が、容器を所定の搬送路に沿って搬送し、かつ、容器の開口を通って少なくとも部分的に容器中に挿入されている少なくとも1つの処理部材を有し、好適にはこの処理装置は、容器の少なくとも1つの壁部を滅菌する。
【0057】
本発明によれば、容器の搬送方向中、処理装置より前に配置された検出装置を用いて、容器の物理的とりわけ幾何学的な特性についての少なくとも1つの特徴パラメータを決定する。
【0058】
好適な方法によれば、処理装置は、容器の少なくとも1つの壁部を滅菌するために、この壁部とりわけ容器の内側壁部に電荷担体を当てる。
【0059】
さらなる利点および実施形態は、添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明による容器の処理装置の概略図である。
図2a】プラスチックプリフォームの2つの図である。
図2b】プラスチックプリフォームの2つの図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、容器を処理するための本発明による装置1の概略図である。この装置は、供給装置32(例えば、星型供給部)を有し、これは、プラスチックプリフォーム10を、全体に対して符号2を付けた加熱装置に供給する。この際、この加熱装置2は、搬送装置22を有し、これに対して、プラスチックプリフォームを保持するための複数の保持装置24が配置されている。この保持装置は、この際、上で述べたように保持用マンドレルとして実施可能で、これらが容器の口部中に挿入可能である。
【0062】
ここで、この搬送装置22は、この場合には楕円形で周回する搬送チェーンを有する。この搬送チェーンは、この際(不図示の)2つの方向転換ホイールの周りに設けられている。右の方向転換ホイールの領域では、検出装置4が設けられていて、これは、プラスチックプリフォーム10の幾何学的な特性を決定するのに適していてかつこのために規定されている。
【0063】
参照符号26は、加熱装置ないし加熱部材に関連していて、これは、プラスチックプリフォームの加熱に適していてかつこのために規定されている(わかりやすくするために、2つの加熱部材のみを図示しているが、好適には多数のこの種の加熱部材がプラスチックプリフォームの搬送路に沿って設けられている)。加熱装置2により加熱されたプラスチックプリフォームは、続いて排出装置34(これは、さらなる星型搬送部である)を介して、処理装置6へと移送されている。この処理装置6は、上で述べたようにプラスチックプリフォームを滅菌するために役立つ。
【0064】
欠陥があるとして分類されたプラスチックプリフォームは、偏向装置42を用いて、プラスチックプリフォームの搬送流から排除されうる。
【0065】
処理装置6も、回転可能な担体62を有し、その外周には複数の処理装置64が配置されている。この処理装置は、この際それぞれ処理部材66を有し、これらが、プリフォームの口部を通ってこの内部中に挿入可能である。
【0066】
上で述べたように、これらの処理部材は、放射線放射体であって、プラスチックプリフォームの内部で、その内壁に電子を当てる。
【0067】
参照符号38は、さらなる搬送装置の符号であり、この搬送装置により、すでに滅菌されたプラスチックプリフォームが滅菌装置6から排出される。
【0068】
参照符号8は、変形装置の符号であり、これは、加熱され滅菌されたプラスチックプリフォームをプラスチックボトルに変形する。この際、この変形装置は複数の変形ステーションを有しえ、これらも、回転可能な担体82に配置されていて、かつしたがって、この担体によりこれも同様に円形の搬送路に沿って搬送されうる。参照符号39は、さらなる搬送装置の符号であり、これはとりわけさらなる星型搬送部であるがこれに限られず、形成された容器を変形装置から排出する。
【0069】
参照符号84は、さらなる検出装置の符号であり、これは、とりわけ製造されたプラスチック容器の特性値を検出するのに適していてかつこのために規定されている。この際、このさらなる検出装置により測定されるデータも同様に、先行するアセンブリを制御するために用いることが可能だろう。このさらなる検出装置は、例えば、変形装置8の出口に配置可能である。しかし、このさらなる検出装置84は、後続のアセンブリ、例えば、後続の搬送装置に配置されていることも考えられうるであろう。
【0070】
参照符号50は、設備全体の制御に役立つ中央制御装置の符号である。この中央制御装置50は、例えば検出装置4から、個々のプラスチックプリフォームにとって特徴的であるデータないし座標を得る。この際、これらのデータは、各個々のプラスチックプリフォームについて規定されている。
【0071】
さらに、この制御装置は、制御ユニット56を介してブロー成形機8を制御し、制御ユニット52を介して加熱装置2を制御し、制御ユニット54を介して処理装置6を制御する。このようにして、例えば、特定の欠陥のあるプラスチックプリフォームが確認された場合、このプリフォームを方向転換するか、または処理装置6において、棒状体66(これは、上述の処理部材である)のプラスチックプリフォームの内側中への移動が修正されうる。
【0072】
図2aおよび2bは、プラスチックプリフォームの2つの図を示す。幾何学的な関連で複数のパラメータを計測可能で、例えば、ねじ山の領域中での口部直径Di1、口部の下方の口部直径Di2、底面ドーム状部の領域中での口部直径Di3、支持リングの下方の口部直径Di4、または口部縁部の直径Dなどが計測可能である。これ以外に、壁厚、例えば周囲壁部の壁厚W、または底部領域の壁厚Wも計測可能である。これ以外に、底面ドーム状部の高さHも計測可能であり、または、プラスチックプリフォームが例えば棒状の部材を収容するまでの、ないし棒状の部材がプラスチックプリフォーム10中に沈み込む点までの高さHも計測可能である。
【0073】
本出願人は、本出願書面中で開示された全ての特徴を、個々にまたは組み合わせとして従来技術に対して新規である限り、発明に本質的であるとして請求することを留保する。さらに、個々の図中で、それ自体有利でありえる特徴も説明したことも指摘する。当業者は、ある図中に記載された特定の特徴が、この図のさらなる特徴を引き継ぐことなく有利でありえることを直接認識する。さらに、当業者は、利点は、複数の個々のまたは異なる図中に示された特徴の組み合わせからも明らかであることを認識する。
【符号の説明】
【0074】
1 装置
2 加熱装置
4 検出装置
6 滅菌装置
8 変形装置、ブロー成形機
10 プラスチックプリフォーム
22 搬送装置
24 保持装置
26 加熱装置ないし加熱部材
32 供給装置
34 排出装置
38、39 搬送装置
42 偏向装置
50 中央制御装置
52 加熱装置2用の制御ユニット
54 処理装置6用の制御ユニット
56 ブロー成形機8用の制御ユニット
62 回転可能な担体
64 処理装置
66 処理部材
82 回転可能な担体
84 さらなる検出装置
DI1 口部領域中の口部直径
DI2 口部下方の口部直径
DI3 底面ドーム状部の領域中の口部直径
DI4 支持リング下方の口部直径
HE プラスチックプリフォームが棒状の部材を収容までの高さ
HK 底面ドーム状部の高さ
WB 底部領域中の壁厚
WU 周囲壁部の壁厚
図1
図2a
図2b