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特許7220175フッ素含有界面活性剤を含む膜形成組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】フッ素含有界面活性剤を含む膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/38 20060101AFI20230202BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20230202BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20230202BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G03F7/38 501
G03F7/11 501
G03F7/11 503
G03F7/26 511
H01L21/30 563
H01L21/30 577
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020096896
(22)【出願日】2020-06-03
(62)【分割の表示】P 2015562782の分割
【原出願日】2015-01-30
(65)【公開番号】P2020160457
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-06-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2014024323
(32)【優先日】2014-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅嵜 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 涼
(72)【発明者】
【氏名】志垣 修平
(72)【発明者】
【氏名】水落 龍太
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】清水 康司
【審判官】井口 猶二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-242555(JP,A)
【文献】特開2010-107957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004-7/06,7/075-7/115,7/16-7/18
H01L21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、末端にパーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、又はパーフルオロペンチルを有する(メタ)アクリレート類をモノマー単位として有する(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤を含む膜形成組成物を塗布し塗布膜を形成し、基板を回転させながら基板エッジ部における前記塗布膜を溶剤により除去し、その後焼成により膜を形成することを特徴とする、リソグラフィー工程に使用する膜の形成方法。
【請求項2】
上記ポリマー及びオリゴマーが、末端にパーフルオロブチルを有する(メタ)アクリレート類をモノマー単位として有する(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーである、請求項1に記載の膜の形成方法。
【請求項3】
上記ポリマー及びオリゴマーが、末端にパーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、又はパーフルオロペンチル基を有し、更にアルキレン基を含んでいてもよい(メタ)アクリレート類をモノマー単位として有する(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーである、請求項1又は請求項2に記載の膜の形成方法。
【請求項4】
上記界面活性剤の含有量が膜形成組成物の全固形分の0.0001乃至1.5質量%である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の膜の形成方法。
【請求項5】
膜形成組成物が更に塗膜樹脂を含むものである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の膜の形成方法。
【請求項6】
塗膜樹脂がノボラック樹脂、縮合エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテル系樹脂、又はケイ素含有樹脂である請求項5に記載の膜の形成方法。
【請求項7】
膜が、レジスト下層膜又はレジスト上層膜である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に
記載の膜の形成方法。
【請求項8】
半導体基板上に請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の膜の形成方法により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光、EUV、又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体基板上に請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の膜の形成方法により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光、EUV、又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板上に有機下層膜を形成する工程、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の膜の形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜の上にレジスト用組成物を塗布しレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を光、EUV、又は電子線で露光する工程、露光後にレジスト膜を現像しレジストパターンを得る工程、該レジストパターンによりレジスト下層膜をエッチングする工程、パターン化されたレジスト下層膜により有機下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された有機下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体基板上にレジスト膜を形成する工程、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の膜の形成方法によりレジスト上層膜を形成する工程、該レジスト上層膜とレジスト膜で被覆された半導体基板を光、EUV、又は電子線で露光する工程、露光後に現像し該レジスト上層膜とレジスト膜を除去する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィー工程に使用する膜形成組成物と、それを用いた半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積度化の進展に伴い、リソグラフィープロセスにおいて使用される活性光線もKrFエキシマレーザー光(波長248nm)や、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、EUV(極端紫外線、波長13.5nm)へと、短波長化や、電子線露光技術が使用される傾向にある。リソグラフィー工程に使用される膜形成組成物により形成される被膜(塗布膜)もそれら露光に適する材料が用いられる様になっている。
それら被膜は、例えば特許文献1に記載されているように、次のような工程を経て形成されている。すなわち、膜形成組成物を半導体基板上に回転塗布し塗布膜を形成し、次いで、半導体基板の外周に膨出した塗布膜の不要な部分を除去するために、有機溶剤を用いて基板エッジ部分の洗浄(エッジリンス)が行なわれる。続いて、当該塗布膜のベーキングが行なわれて被膜が形成される。その後、膜上にフォトレジスト膜が形成され、露光、現像といった工程を経て基板上にパターンが形成される。
【0003】
ところで、上記エッジリンスの際、洗浄用の有機溶剤によって塗布膜が収縮するため、塗布膜の周辺に縁だまりを生成し、この縁だまりを原因として半導体基板上に不要な残渣を生じるということが知られていた。すなわち、エッジリンスの有機溶剤により基板エッジ部分の不要な塗布膜部分は溶解除去されるが、その内側の塗布膜の一部が表面張力のために収縮して塗布膜の縁部に盛り上がりが生じ、縁だまりが発生する。塗布後の膜形成組成物は溶剤が蒸発して流動性が低くなっていることから、この縁だまりは解消されずにそのまま残ってしまう。縁だまりを有した状態で塗布膜のベーキングを行なうと、その縁だまりが被膜にも反映され、縁だまりを有した被膜を生ずることとなる。ここで生じた被膜の縁だまりは、その高さが基板中心部における被膜の膜厚の10倍以上にもなることがある。そして、この被膜の縁だまりを原因として、半導体基板上に、エッチング工程によっても除去されない不要な残渣を生ずるということが問題となっていた。
このような問題を解消するために、縁だまりを除去する方法に関する検討が行なわれている。例えば特許文献2では縁だまりの除去のために、含フッ素界面活性剤成分を含有する組成物を使用する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-217184
【文献】特開2004-031569
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、界面活性剤は膜形成組成物中での含有量が少なければ少ないほど好ましい。なぜなら、それら添加成分は被膜の加熱工程で不要な昇華物成分になりやすく、基板に欠陥を形成する原因にもなる。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、その課題とするところは、半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて使用される被膜の形成方法を提供することである。特に、エッチング工程によっても除去されない不要な残渣を生ずる原因となる、被膜の周辺部に生ずる縁だまりの低減された被膜及びその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は第1観点として、炭素数3乃至5のパーフルオロアルキル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤を含むことを特徴とする、リソグラフィー工程に使用する膜形成組成物、
第2観点として、パーフルオロアルキル部分構造の炭素数が4である第1観点に記載の膜形成組成物、
第3観点として、上記パーフルオロアルキル部分構造が更にアルキル部分構造を含んでいても良い第1観点又は第2観点に記載の膜形成組成物、
第4観点として、上記ポリマー及びオリゴマーが(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーである第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第5観点として、上記界面活性剤の含有量が膜形成組成物の全固形分の0.0001乃至1.5質量%である第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第6観点として、膜形成組成物が更に塗膜樹脂を含むものである第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第7観点として、塗膜樹脂がノボラック樹脂、縮合エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテル系樹脂、又はケイ素含有樹脂である第6観点に記載の膜形成組成物、
第8観点として、膜が、レジスト下層膜又はレジスト上層膜である第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第9観点として、半導体基板上に第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光、EUV、又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第10観点として、半導体基板上に第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光、EUV、又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第11観点として、半導体基板上に有機下層膜を形成する工程、その上に第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物を塗布し焼成しレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜の上にレジスト用組成物を塗布しレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を光、EUV、又は電子線で露光する工程、露光後にレジスト膜を現像しレジストパターンを得る工程、該レジストパターンによりレジスト下層膜をエッチングする工程、パターン化されたレジスト下層膜により有機下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された有機下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、及び
第12観点として、半導体基板上にレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜上に第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物を塗布し焼成してレジスト上層膜を形成する工程、該レジスト上層膜とレジスト膜で被覆された半導体基板を光、EUV、又は電子線で露光する工程、露光後に現像し該レジスト上層膜とレジスト膜を除去する工程を含む半導体装置の製造方法である。
また、本発明は、第1観点乃至第8観点に記載の膜形成組成物を用いた膜の形成方法、即ち基板上に、炭素数3乃至5のパーフルオロアルキル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤を含む膜形成組成物を塗布し塗布膜を形成し、基板エッジ部の前記塗布膜を溶剤により除去し、焼成により膜を形成することを特徴とする、リソグラフィー工程に使用する膜の形成方法に関する。
また、本発明は、上記膜の形成方法を用いた半導体装置の製造方法、すなわち、半導体基板上に上記膜の形成方法により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する
工程、光、EUV、又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、並びに半導体基板上に上記膜の形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光、EUV、又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、被膜の周辺部に生ずる縁だまりの低減された被膜の形成方法を提供することができる。本発明では、含フッ素界面活性剤成分を含有する被膜形成組成物を半導体基板上に塗布し被膜(塗布膜)を形成し、基板エッジ部の前記塗布膜を溶剤により除去し、その後、当該被膜(塗布膜)を有する基板を加熱(焼成)することにより被膜を形成することができる。
本発明では従来方法により添加していた同様の界面活性剤より膜形成組成物中の界面活性剤の含有量が少なくても、同一の上記作用効果を奏する。従って、被膜中の界面活性剤の含有量を減少させることができるため、被膜の加熱過程で昇華物として飛散する物質の量が少なくなると考えられ、昇華物がドラフトチャンバー内に付着して、それらが落下する等の原因に由来する基板の欠陥を減少することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は炭素数3乃至5のパーフルオロアルキル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤を含むことを特徴とする、リソグラフィー工程に使用する膜形成組成物である。
【0009】
上記ポリマー及びオリゴマーは重量平均分子量が300乃至100000程度の化合物を含んでいて良い。
ここでポリマー及びオリゴマーの境界は明確ではないが、組成物への溶解性の観点からオリゴマー成分が有効に作用すると考えられる。
【0010】
上記パーフルオロアルキル部分構造の炭素数は4であることが好ましい。
上記パーフルオロアルキル部分構造は、更にアルキル部分構造を含んでいても良く、末端にパーフルオロアルキル基を含んでいて、このパーフルオロアルキル基部分がアルキレン基(アルキル部分構造)を介してポリマー及びオリゴマーと結合し、化合物が全体としてフルオロアルキル基を含有する形態を形成していても良い。
【0011】
すなわち上記界面活性剤は含フッ素界面活性剤であり、この界面活性成分は炭素数3乃至5のパーフルオロアルキル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーである。
炭素数3乃至5のパーフルオロアルキル部分構造とは、炭素数3としてパーフルオロプロピル部分構造、炭素数4としてパーフルオロブチル部分構造、炭素数5としてパーフルオロペンチル部分構造が挙げられるが、炭素数が4であるパーフルオロブチル部分構造を有することが好ましい。
これらのパーフルオロアルキル部分構造は末端に存在することが好ましい。
【0012】
上記界面活性剤を構成するポリマー及びオリゴマーは(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーが好ましい。これらのポリマー及びオリゴマーは側鎖にフッ素原子を有するモノマー単位の単独重合によって構成されるポリマー及びオリゴマー、又は側鎖にフッ素原子を有するモノマー単位と側鎖にヒドロキシ基、カルボキシル基などの親水性部位を有
するモノマー単位との共重合によって構成されるポリマー及びオリゴマーを挙げることもできる。
【0013】
側鎖にフッ素原子を有するモノマー単位としては、パーフルオロプロピル部分構造を有するものとして、ヘプタフルオロプロピルアクリレート、ヘプタフルオロプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロペンチルアクリレート、ヘプタフルオロペンチルメタクリレート類、パーフルオロブチル部分構造を有するものとして、ノナフルオロブチルアクリレート、ノナフルオロブチルメタクリレート、ノナフルオロヘキシルアクリレート、ノナフルオロヘキシルメタクリレート類、パーフルオロペンチル部分構造を有するものとして、ウンデカフルオロペンチルアクリレート、ウンデカフルオロペンチルメタクリレート、ウンデカフルオロヘプチルアクリレート、ウンデカフルオロヘプチルメタクリレート類が挙げられる。
【0014】
側鎖に親水性部位を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸類、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシペンチルメタクリレートなどのエステル部分にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2-ヒドロキシエチルビニルエーテルなどのヒドロキシ基を有するビニルエーテル類、ビニルアルコール類、ビニルフェノール類等の付加重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。この中で、側鎖にフッ素原子を有するモノマー単位と側鎖にヒドロキシ基を有するモノマー単位の付加重合によって得られる含フッ素(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーが好ましい。
【0015】
これらの例として、DIC株式会社製の商品名メガファックR-40、R-40LM等の市販の含フッ素界面活性剤を挙げることができる。
これらの含フッ素界面活性剤成分は1種類を用いることもできるが、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。含フッ素界面活性剤の含有量としては膜形成組成物の全固形分質量に基づき0.0001乃至1.5質量%であり、又は0.0005乃至1.0質量%であることが好ましい。
【0016】
本発明に用いられる膜形成組成物のその他の成分としては特に制限はなく、これまでリソグラフィープロセスにおいて慣用されているものの中から任意に選択して使用することができる。
【0017】
膜形成組成物は界面活性剤と塗膜樹脂と溶剤を含むことができる。また必要に応じて、架橋剤、酸、酸発生剤、吸光性化合物等を含むことができる。上記塗膜樹脂は膜形成を主に行うことが可能な樹脂であり、例えばノボラック樹脂、縮合エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテル系樹脂、又はケイ素含有樹脂等が挙げられる。
この組成物の固形分は0.1乃至70質量%、または0.1乃至60質量%である。ここで固形分は膜形成組成物から溶剤を除いた成分の含有割合である。
固形分中に上記の塗膜樹脂は1乃至99.9質量%、または50乃至99.9質量%、または50乃至95質量%、または50乃至90質量%の割合で含有することができる。塗膜樹脂は重量平均分子量が600乃至1000000、又は600乃至200000である。
【0018】
ノボラック樹脂としては、芳香族化合物とアルデヒド又はケトンとの反応によって得られる。芳香族化合物としてはフェノール、クレゾール、ナフトール等のフェノール性ヒドロキシ基含有化合物、カルバゾール、フロログリシノール、フェニルナフチルアミン、フェノチアジン、フェニルインドール、多核フェノール、ピロール、及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0019】
アルデヒドとしてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ウンデカンアルデヒド、7-メトキシ-3、7-ジメチルオクチルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、3-メチル-2-ブチルアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド等の飽和脂肪族アルデヒド類、アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和脂肪族アルデヒド類、フルフラール、ピリジンアルデヒド、チオフェンアルデヒド等のヘテロ環式アルデヒド類、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒド、フェナントリルアルデヒド、サリチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロピオンアルデヒド、トリルアルデヒド、(N,N-ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、アセトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類等が挙げられる。
【0020】
ケトン類としてはジアリールケトン類であり、例えばジフェニルケトン、フェニルナフチルケトン、ジナフチルケトン、フェニルトリルケトン、ジトリルケトン、9-フルオレノン等が挙げられる。
芳香族化合物とアルデヒド又はケトンとを縮合して得られるノボラック樹脂は、芳香族化合物のフェニル基1当量に対して、アルデヒド類又はケトン類を0.1乃至10当量の割合で用いることができる。
【0021】
上記縮合反応で用いられる酸触媒としては、例えば硫酸、リン酸、過塩素酸等の鉱酸類、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物等の有機スルホン酸類、蟻酸、シュウ酸等のカルボン酸類が使用される。酸触媒の使用量は、使用する酸類の種類によって種々選択される。例えば、芳香族化合物100質量部に対して、0.001乃至10000質量部、好ましくは、0.01乃至1000質量部、より好ましくは0.1乃至100質量部である。
【0022】
上記の縮合反応は無溶剤でも行われるが、通常溶剤を用いて行われる。溶剤としては反応を阻害しないものであれば全て使用することができる。例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類が挙げられる。また、使用する酸触媒が例えば蟻酸のような液状のものであるならば溶剤としての役割を兼ねさせることもできる。
縮合時の反応温度は通常40℃乃至200℃である。反応時間は反応温度によって種々選択されるが、通常30分乃至50時間程度である。
【0023】
縮合エポキシ系樹脂としては、エポキシ基と、カルボキシル基、ヒドロキシ基又は活性水素含有基との縮合反応によって得られる樹脂である。一方のモノマーにエポキシ基を有し、他方のモノマーにカルボキシル基、ヒドロキシ基、又は活性水素含有基を有し、縮合反応によって重合することができる。
これらモノマーは例えばピリミジントリオン構造、イミダゾリジンジオン構造、またはトリアジントリオン構造を含む含窒素モノマー、芳香族モノマー、脂肪族モノマー等が挙げられる。
【0024】
エポキシ基を有するモノマーとしては、1,3-ジグリシジルヒダントイン等のジグリシジルヒダントイン化合物、1,3-ジグリシジル-5,5-ジエチルバルビツール酸等のジグリシジルバルビツール酸化合物、モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸等のジグリシジルイソシアヌル酸化合物、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル化合物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステルや1,3-プロパンジカルボン酸ジグリシジルエス
テル等の脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエステル化合物、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-イソシアヌレート等が挙げられる。
【0025】
カルボキシル基含有モノマーとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、2,5-ジエチルテレフタル酸、2,3,5,6-テトラクロロテレフタル酸、2,3,5,6-テトラブロモテレフタル酸、2-ニトロテレフタル酸、2,3,5,6-テトラフルオロテレフタル酸、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸、2,6-ジメチルテレフタル酸、2,5-ジクロロテレフタル酸、2,3-ジクロロイソフタル酸、3-ニトロイソフタル酸、2-ブロモイソフタル酸、2-ヒドロキシイソフタル酸、3-ヒドロキシイソフタル酸、2-メトキシイソフタル酸、5-フェニルイソフタル酸、3-ニトロフタル酸、3,4,5,6-テトラクロロフタル酸、4,5-ジクロロフタル酸、4-ヒドロキシフタル酸、4-ニトロフタル酸、4-メチルフタル酸、3,4,5,6-テトラフルオロフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、アントラセン-9,10-ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0026】
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、エチレングリコール、4-ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
活性水素含有基モノマーとしては、ヒダントイン化合物、バルビツール酸化合物、モノアリルイソシアヌル酸、イソシアヌール酸等が挙げられる。
【0027】
上記縮合反応は、ベンゼン、トルエン、キシレン、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びN-メチルピロリドン等の有機溶剤に溶解させた溶液状態で行なうことが好ましい。そして、この反応においては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、及びテトラエチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩を触媒として用いることも可能である。本反応の反応温度、反応時間は使用する化合物、濃度等に依存するものであるが、反応時間0.1乃至100時間、反応温度20℃乃至200℃の範囲から適宜選択される。触媒を用いる場合、使用する化合物の全質量に対して0.001乃至30質量%の範囲で用いることができる。
【0028】
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステルや、ビニル化合物を含む重合体が挙げられる。
【0029】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート等のラクトン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類等、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0030】
ビニル化合物としてはアルキルビニルエーテル、ビニルアリールエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、ヒドロキシスチレン、アルコキシスチレン等のスチレン類が挙げられる。
上記ビニル化合物の重合は、ランダム共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体のいずれであってもよい。本発明の反射防止膜を形成する樹脂は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの方法により合成することができる。その形態は溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合など種々の方法が可能である。
【0031】
ポリエーテル系樹脂としては、主鎖にエーテル結合を含む鎖状樹脂が好ましい。それらエーテル結合は脂肪族環状炭化水素環をエーテル結合でつなげたポリエーテル樹脂が好ま
しく用いることができる。これらのポリエーテル樹脂は脂肪族環状炭化水素環にエポキシ基を付けた構造の樹脂であり、例えば、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(ダイセル化学工業(株)製、商品名EHPE3150)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物と3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業(株)製、商品名EHPE3150CE)が挙げられる。
ポリエーテル樹脂としてはまた、上記のエポキシ基を有するポリエーテル樹脂のエポキシ基に、縮合環式芳香族カルボン酸又は単環式芳香族カルボン酸を反応させて用いることができる。縮合環式芳香族カルボン酸及び単環式芳香族カルボン酸は、ベンゼンやその縮合環からなる環を有するカルボン酸が好ましい。縮合環式芳香族カルボン酸は例えばベンゼン環が縮合した多環構造を有するカルボン酸であり、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸が挙げられるが、特に9-アントラセンカルボン酸が好ましい。単環式芳香族カルボン酸は安息香酸が好ましく用いられる。
さらに縮合環式芳香族カルボン酸と単環式芳香族カルボン酸とを混合して用いることもでき、モル比で3:7乃至7:3の割合、好ましくはモル比で4:6乃至6:4の割合で用いることができる。
【0032】
ケイ素含有樹脂としては、加水分解性シランを加水分解して得られる縮合物が挙げられる。これはポリシロキサンであり、オルガノポリシロキサンも含まれる。加水分解性シランは、4つの加水分解性基を有する加水分解性シラン、3つの加水分解性基を有する加水分解性シラン、2つの加水分解性基を有する加水分解性シラン、及び1つの加水分解性基を有する加水分解性シランからなる群より選択される少なくとも1種の加水分解性シランを加水分解することにより得られる。加水分解は、有機溶剤中で触媒(例えば、酸触媒、又は塩基性触媒)を添加して行われ、その後、加熱により縮合が行われ加水分解縮合物(ポリシロキサン、オルガノポリシロキサン)が得られる。
【0033】
本発明の膜形成組成物は架橋剤成分を含むことができる。その架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、またはそれらのポリマー系等が挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素等の化合物である。また、これらの化合物の縮合体も使用することができる。
【0034】
また、上記架橋剤としては耐熱性の高い架橋剤を用いることができる。耐熱性の高い架橋剤としては分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物も好ましく用いることができる。
【0035】
架橋剤の添加量は、使用する塗布溶剤、使用する下地基板、要求される溶液粘度、要求される膜形状などにより変動するが、全固形分に対して0.001乃至80質量%、好ましくは0.01乃至50質量%、さらに好ましくは0.05乃至40質量%で用いることができる。これら架橋剤は自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、本発明の上記のポリマー中に架橋性置換基が存在する場合は、それらの架橋性置換基と架橋反応を起こすことができる。
【0036】
本発明では上記架橋反応を促進するための触媒としてとして、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸性化合物又は/及び2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイ
ントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステル等の熱酸発生剤を配合する事が出来る。配合量は全固形分に対して、0.0001乃至20質量%、好ましくは0.0005乃至10質量%、好ましくは0.01乃至3質量%とすることができる。
【0037】
本発明では、リソグラフィー工程で被覆されるフォトレジストとの酸性度を一致させる為に、光酸発生剤を添加する事が出来る。好ましい光酸発生剤としては、例えば、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類、ベンゾイントシレート、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系光酸発生剤類等が挙げられる。上記光酸発生剤は全固形分に対して、0.2乃至10質量%、好ましくは0.4乃至5質量%である。
【0038】
本発明の膜形成組成物には、上記以外に必要に応じて更なる吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤などを添加することができる。
【0039】
更なる吸光剤としては例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.DisperseYellow1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.DisperseOrange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.DisperseRed1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.DisperseViolet43;C.I.DisperseBlue96;C.I.FluorescentBrighteningAgent112,135及び163;C.I.SolventOrange2及び45;C.I.SolventRed1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.PigmentGreen10;C.I.PigmentBrown2等を好適に用いることができる。上記吸光剤は通常、膜形成組成物の全固形分に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下の割合で配合される。
【0040】
レオロジー調整剤は、主に膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーキング工程において、レジスト下層膜の膜厚均一性の向上やホール内部へのレジスト下層膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、リソグラフィー用膜形成組成物の全固形分に対して通常30質量%未満の割合で配合される。
【0041】
接着補助剤は、主に基板あるいはレジストと膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてレジストが剥離しないようにするための目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘ
キサメチルジシラザン、N,N’-ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1-ジメチルウレア、1,3-ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、リソグラフィー用膜形成組成物の全固形分に対して通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
【0042】
本発明で、上記の塗膜樹脂、界面活性剤、架橋剤、架橋触媒等を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシー2ーメチルプロピオン酸エチル、エトシキ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。
【0043】
さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノン等がレベリング性の向上に対して好ましい。
【0044】
本発明に用いられるレジストとはフォトレジストや電子線レジストやEUVレジストである。
【0045】
本発明におけるリソグラフィー用膜形成組成物と共に使用されるフォトレジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、骨格にSi原子を有するフォトレジスト等があり、例えば、ロームアンドハーツ社製、商品名APEX-Eが挙げられる。
【0046】
また本発明におけるリソグラフィー用膜形成組成物と共に使用される電子線レジストとしては、例えば主鎖にSi-Si結合を含み末端に芳香族環を含んだ樹脂と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物、又はヒドロキシ基がN-カルボキシアミンを含む有機基で置換されたポリ(p-ヒドロキシスチレン)と電子線の照射により酸を発
生する酸発生剤から成る組成物等が挙げられる。後者の電子線レジスト組成物では、電子線照射によって酸発生剤から生じた酸がポリマー側鎖のN-カルボキシアミノキシ基と反応し、ポリマー側鎖がヒドロキシ基に分解しアルカリ可溶性を示しアルカリ現像液に溶解し、レジストパターンを形成するものである。この電子線の照射により酸を発生する酸発生剤は1,1-ビス[p-クロロフェニル]-2,2,2-トリクロロエタン、1,1-ビス[p-メトキシフェニル]-2,2,2-トリクロロエタン、1,1-ビス[p-クロロフェニル]-2,2-ジクロロエタン、2-クロロ-6-(トリクロロメチル)ピリジン等のハロゲン化有機化合物、トリフェニルスルフォニウム塩、ジフェニルヨウドニウム塩等のオニウム塩、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート等のスルホン酸エステルが挙げられる。
【0047】
また、本発明におけるリソグラフィー用膜形成組成物と共に使用されるEUVレジストとしてはアクリル系レジストを用いることができる。
【0048】
本発明のリソグラフィー用膜形成組成物を使用して形成した膜を有するレジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジーn-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。
【0049】
また、現像液としては有機溶剤を用いることができる。例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチ
ル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度5乃至50℃、時間10乃至600秒から適宜選択される。
【0050】
本発明のリソグラフィー用膜形成組成物はリソグラフィー工程に使用する膜として、レジスト下層膜又はレジスト上層膜に用いることができる。従って、本発明の膜形成組成物はレジスト下層膜形成組成物である場合と、レジスト上層膜形成組成物である場合を含む。
【0051】
まず、本発明がレジスト下層膜形成組成物である場合について説明する。
レジストパターン形成法について説明すると、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板、ITO基板などの透明基板)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のレジスト下層膜形成組成物を塗布後、ベークして硬化させ塗布型下層膜を作成する。ここで、レジスト下層膜の膜厚としては0.01乃至3.0μmが好ましい。また塗布後ベーキングする条件としては80乃至350℃で0.5乃至120分間である。その後該レジスト下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料をレジスト下層膜上に成膜した後、レジストを塗布し、所定のマスクを通して光又は電子線の照射を行い、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを得ることができる。必要に応じて光又は電子線の照射後加熱(PEB:PostExposureBake)を行うこともできる。そして、レジストが前記工程により現像除去された部分のレジスト下層膜をドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
上記フォトレジストでの露光光は、近紫外線、遠紫外線、又は極端紫外線(例えば、EUV、波長13.5nm)等の化学線であり、例えば248nm(KrFレーザー光)、193nm(ArFレーザー光)、13.5nm(EUV光)等の波長の光が用いられる。光照射には、光酸発生剤から酸を発生させることができる方法であれば、特に制限なく使用することができ、露光量1乃至2000mJ/cm、または10乃至1500mJ/cm、または50乃至1000mJ/cmによる。
また電子線レジストの電子線照射は、例えば電子線照射装置を用い照射することができる。
【0052】
従って本発明は、半導体基板上に膜形成組成物(下層膜形成組成物)により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光、EUV、又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法が含まれる。
今後、レジストパターンの微細化が進行すると、解像度の問題やレジストパターンが現像後に倒れるという問題が生じ、レジストの薄膜化が望まれてくる。そのため、基板加工に充分なレジストパターン膜厚を得ることが難しく、レジストパターンだけではなく、レジストと加工する半導体基板との間に作成されるレジスト下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。このようなプロセス用のレジスト下層膜として従来の高エッチレート性レジスト下層膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜、レジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0053】
一方、微細なレジストパターンを得るために、レジスト下層膜ドライエッチング時にレ
ジストパターンとレジスト下層膜をレジスト現像時のパターン幅より細くするプロセスも使用され始めている。このようなプロセス用のレジスト下層膜として従来の高エッチレート性反射防止膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つレジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0054】
本発明では基板上に本発明によるレジスト下層膜を成膜した後、レジスト下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料をレジスト下層膜上に成膜した後、レジストを塗布することができる。これによりレジストのパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐ為にレジストを薄く被覆した場合でも、適切なエッチングガスを選択することにより基板の加工が可能になる。
【0055】
即ち本発明はまた、半導体基板上に膜形成組成物(下層膜形成組成物)により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光、EUV、又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法が含まれる。
【0056】
さらに本発明は、半導体基板上に有機下層膜を形成する工程、その上に本発明の膜形成組成物(ケイ素含有樹脂のレジスト下層膜形成組成物)を塗布し焼成しレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜の上にレジスト用組成物を塗布しレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を光、EUV、又は電子線で露光する工程、露光後にレジスト膜を現像しレジストパターンを得る工程、該レジストパターンによりレジスト下層膜をエッチングする工程、パターン化されたレジスト下層膜により有機下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された有機下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法が含まれる。
【0057】
本発明はまた半導体基板上に本発明のレジスト下層膜形成組成物により該レジスト下層膜を形成する工程、その上にケイ素成分等を含有する塗膜材料によるハードマスク又は蒸着によるハードマスク(例えば、窒化酸化ケイ素)を形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをハロゲン系ガスでエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該レジスト下層膜を酸素系ガス又は水素系ガスでエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜によりハロゲン系ガスで半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0058】
次に本発明がレジスト上層膜形成組成物である場合について説明する。
半導体基板上にレジスト膜(EUVレジスト膜)を形成する工程、該レジスト膜上に本発明の膜形成組成物(レジスト上層膜形成組成物)を塗布し焼成してレジスト上層膜を形成する工程、該レジスト上層膜とレジスト膜で被覆された半導体基板を光、EUV、又は電子線で露光する工程、露光後に現像し該レジスト上層膜とレジスト膜を除去する工程、を含む半導体装置の製造方法とすることができる。
EUVレジストを用いる場合は、露光はEUV(波長13.5nm)により行われる。
【実施例
【0059】
[塗布樹脂の製造例]
<合成例1>
エポキシクレゾールノボラック樹脂(旭チバ(株)製、商品名ECN1299)15.0g、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)10.2g、及び水酸
化テトラメチルアンモニウム(東京化成工業(株)製)0.08gをプロピレングリコールモノメチルエーテル60.0gに溶解させた後、130℃で6時間反応させた。その後、60℃まで溶液温度を下げて、マロノニトリル(東京化成工業(株)製)5.5gを添加し、60℃で2時間反応させて樹脂を含む溶液を得た。
得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は3300であった。なお、得られた樹脂は、式(1)で示される構造を繰り返しの単位構造とする樹脂(塗膜樹脂1と呼ぶ)であると考えられる。
【化1】
【0060】
<合成例2>
モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製)100g、5,5-ジエチルバルビツール酸66.4g、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド4.1gをプロピレングリコールモノメチルエーテル682gに溶解させた後、130℃で24時間反応させポリマーを含む溶液を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は6800であった。なお、得られた樹脂は、式(2)で示される構造を繰り返しの単位構造とする樹脂(塗膜樹脂2と呼ぶ)であると考えられる。
【化2】
【0061】
<合成例3>
p-t-ブトキシスチレン(東ソ(株)製、製品名PTBS)15.0g、メチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)19.9g、及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製)2.1gをプロピレングリコールモノメチルエーテル86.3gに溶解させ、窒素雰囲気下、80℃に加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテル61.6g中へ滴下した。滴下終了後、80℃を保ちながら18時間反応させた。その後、この反応混合液をジエチルエーテル-ヘキサン中に滴下することで樹脂を析出させた。得られた樹脂のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は12000であった。
得られた樹脂20.0gをアセトン100gに溶解した。窒素雰囲気下、加熱還流しな
がら1N-塩酸1.0gを滴下した。滴下終了後、加熱還流を保ちながら18時間反応させた。その後、この反応混合液を水中に滴下することで樹脂を析出させた。なお、得られた樹脂(塗膜樹脂3と呼ぶ)は、13C-NMRより式(3)で示される構造を繰り返しの単位構造とする樹脂であると考えられる。
得られた樹脂は樹脂全体中に占めるp-t-ブトキシスチレンに由来する単位構造が30モル%、メチルメタクリレートに由来する単位構造が70モル%であった。
【化3】
【0062】
<実施例1>
合成例1で得られた塗膜樹脂1の溶液3.20gに、ヘキサメトキシメチルメラミン(商品名サイメル303、三井サイテック(株)社製)0.45g、p-トルエンスルホン酸0.02g、パーフルオロブチル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤(商品名メガファックR-40、大日本インキ(株)社製)0.01g、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.00g、及び乳酸エチル3.80gを加えて溶液とした。その後、孔径0.10umのポリスチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05umのポリスチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して膜形成組成物(レジスト下層膜形成組成物)を調製した。
【0063】
<実施例2>
合成例2で得られた塗膜樹脂2の溶液4.20gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(三井サイテック(株)製、商品名パウダーリンク1174)0.15g、ピリジニウム-p-トルエンスルホネート0.01g、パーフルオロブチル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤(商品名メガファックR-40、大日本インキ(株)社製)0.002g、プロピレングリコールモノメチルエーテル31.20g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gを加え溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して膜形成組成物(レジスト下層膜形成組成物)の溶液を調製した。
【0064】
<実施例3>
合成例3で得られた塗膜樹脂3の2.00gに、ヘキサメトキシメチルメラミン(商品名サイメル303、三井サイテック(株)社製)0.60g、p-トルエンスルホン酸0.002g、パーフルオロブチル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤(商品名メガファックR-40、大日本インキ(株)社製)0.01g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.8g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート16.50gを加え溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して膜形成組成物(レジスト上層膜形成組成物)の溶液を調製した。
【0065】
<比較例1>
合成例1で得られた塗膜樹脂1の溶液3.20gに、ヘキサメトキシメチルメラミン(商品名サイメル303、三井サイテック(株)社製)0.45g、p-トルエンスルホン酸0.02g、パーフルオロオクチル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤(商品名メガファックR-30、大日本インキ(株)社製)0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.00g、及び乳酸エチル3.80gを加えて溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10umのポリスチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05umのポリスチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して膜形成組成物(レジスト下層膜形成組成物)を調製した。
【0066】
<比較例2>
合成例2で得られた塗膜樹脂2の溶液4.20gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(三井サイテック(株)製、商品名パウダーリンク1174)0.15g、ピリジニウム-p-トルエンスルホネート0.01g、パーフルオロオクチル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤(商品名メガファックR-30、大日本インキ(株)社製)0.004g、プロピレングリコールモノメチルエーテル31.20g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gを加え溶液とした。その後、該溶液を10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して膜形成組成物(レジスト下層膜形成組成物)の溶液を調製した。
【0067】
<比較例3>
合成例3で得られた塗膜樹脂3の2.00gに、ヘキサメトキシメチルメラミン(商品名サイメル303、三井サイテック(株)社製)0.60g、p-トルエンスルホン酸0.002g、パーフルオロオクチル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤(商品名メガファックR-30、大日本インキ(株)社製)0.01g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.8g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート16.50gを加え溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して膜形成組成物(レジスト上層膜形成組成物)の溶液を調製した。
【0068】
[有機反射防止膜の形成及び縁だまりの高さの測定]
実施例1乃至3及び比較例1乃至3で調製した膜形成組成物をスピナーにより8インチ-シリコンウェハ上に塗布した。塗布工程は、表1の条件にて行うことにより被膜を形成した。
続いて、基板エッジ部分の洗浄(エッジリンス)を行った。すなわち、前記の被膜を有する基板を回転数1200rpmで回転させながら、洗浄用有機溶剤(エッジリンス液、バックリンス液)を6秒間吐出し被膜の不要部分を除去し、次いで、回転数1500rpmで10秒間基板を回転させることによって洗浄用有機溶剤の振り切りを行った。なお、洗浄用有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=7/3重量比の混合溶液を用いた。
次に、これら被膜を有する基板を表1の条件にて加熱焼成を行うことによって被膜(レジスト下層膜、レジスト上層膜)を形成した。そして、これら被膜周辺部の縁だまりの高さを接針型膜厚測定装置DEKTAK6M(VEEO METROLOGY GROUP社製)を用いて測定した。なお、その測定は、基板上の4点((a)、(b)、(c)、(d))にて行い、その平均値をもって測定値とした。
【0069】
【表1】
【0070】
表2において、塗膜樹脂は合成例1乃至合成例3で得られた塗膜樹脂1乃至3を用いた。界面活性成分の欄で、界面活性剤に含まれるポリマー及びオリゴマーのパーフルオロアルキル部分構造が、パーフルオロブチル部分構造(大日本インキ(株)社製、商品名メガファックR-40の添加による)である場合はC4を、パーフルオロオクチル部分構造(大日本インキ(株)社製、商品名メガファックR-30の添加による)である場合はC8を記した。
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示すように、実施例1乃至3は比較例1乃至3に比べて、同一組成で対比して同程度の効果(縁だまりの高さ)を得るために界面活性剤の添加量が1/2以下であることがわかった。
即ち、炭素数4のパーフルオロアルキル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤を用いることにより、炭素数8のパーフルオロアルキル部分構造を有するポリマー及びオリゴマーを含む界面活性剤を用いた場合に比べて、同程度の効果を得るために添加量を1/2以下にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の膜形成組成物を用いることにより、加熱工程で昇華物の原因となる界面活性剤の含有量を半分以下に低減することができる。従って、本発明の組成物を用いることにより、半導体装置製造プロセスにおいて欠陥を大幅に低減することができる。