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<図1>
  • -アマニチンの新規な合成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】アマニチンの新規な合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20230202BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20230202BHJP
   C07K 7/64 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20230202BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230202BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230202BHJP
   A61K 47/51 20170101ALI20230202BHJP
【FI】
C07D487/04 137
C07D487/04 CSP
C07K7/06
C07K7/64
A61K38/08
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P11/00
A61P13/08
A61P13/12
A61P15/00
A61P17/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K47/65
A61K47/51
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020506728
(86)(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018071265
(87)【国際公開番号】W WO2019030171
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】17185181.9
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505348522
【氏名又は名称】ハイデルベルク ファルマ リサーチ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー ジーモン スザンネ
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー クリシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘヒラー トルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】クルケ ミヒャエル
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/046658(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0220687(US,A1)
【文献】国際公開第2016/059622(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 201/00-521/00
A61K 31/33- 33/44
A61P 1/00- 43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示される、2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドールのアミノ置換誘導体。
【化26】
式中、
R1は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アリール、および置換ヘテロアリールから選択され;
1、P2は、独立して、水素および保護基から選択され;
R2は、H、アルキル、アリール、置換アルキルおよび置換アリールから選択され;
R3は、OH、OR1、および1~7個のアミノ酸残基からなるポリペプチド鎖から選択される。
【請求項2】
R1が、CF3である、請求項1に記載の、2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドールのアミノ置換誘導体。
【請求項3】
保護基が存在する場合、該保護基が、Boc、PhCH2OCO-、CH2=CHCH2O-CO-、およびトリチルから、独立して選択される、請求項1または2に記載の、2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドールのアミノ置換誘導体。
【請求項4】
6’-アミノ-置換されたトリプトファン部分を含むアマニチン誘導体の、8個のアミノ酸残基を含む、直鎖状前駆体の合成のための方法であって、
前記前駆体のペプチド合成において、請求項1~3のいずれか一項に記載の、2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドールのアミノ置換誘導体を使用するステップを含む方法。
【請求項5】
6’-アミノ置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体の合成方法であって、
(i)システイン残基と、請求項4に記載された直鎖状前駆体のトリプトファン部分との間の結合の形成を引き起こすか、または可能にし、そして
(ii)請求項4に記載の直鎖状前駆体のN末端を、前記前駆体のC末端と反応させることにより、前記アマニチン誘導体の生成を引き起こすかまたは可能にするステップを含む。
【請求項6】
システイン部分の硫黄原子を酸化して、スルホキシドまたはスルホンを形成することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
スルホキシドを形成するために、システイン部分の硫黄原子の酸化を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(i)S-デスオキシ-6’-アミノ-アマニン、6’-アミノ-アマニン、
(ii)S-デスオキシ-6’-アミノーアマニンアミド、6’-アミノ-アマニンアミド、
から選択される、6’-アミノ置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体。
【請求項9】
(a)請求項8の6’-アミノ-置換されたトリプトファン部分を含むアマニチン誘導体
(b)標的結合部分;および、
(c)所望により、前記アマニチン誘導体と前記標的結合部分を連結するリンカー;
を含む複合体。
【請求項10】
請求項8に記載のアマニチン誘導体または請求項9に記載の複合体を含む医薬組成物。
【請求項11】
患者における癌の治療に使用するための、請求項8に記載のアマニチン誘導体または請求項9に記載の複合体。
【請求項12】
癌が、乳癌、膵臓癌、胆管癌、結腸直腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、悪性黒色腫、白血病、および悪性リンパ腫から選択される、請求項11に記載のアマニチン誘導体または複合体。
【請求項13】
患者における癌の治療に使用するための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
癌が、乳癌、膵臓癌、胆管癌、結腸直腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、悪性黒色腫、白血病、および悪性リンパ腫から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
(a)請求項8に記載のアマニチン誘導体;および
(b)前記アマニチン誘導体を標的結合部分に結合するための反応性基Yを有するリンカー部分;を含む、構築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、中央のトリプトファン部分の6’位に結合したアミノ基を有するアマニチン誘導体を合成するための新規方法に関する。
本発明はさらに、中央のトリプトファン部分の6’位に結合するアミノ基を有する、新規なアマニチン誘導体、そのようなアマニチン誘導体の新規な複合体、およびそのような複合体を含む医薬組成物に関する。
【0002】
発明の背景
アマトキシンは、Amanita phalloidesのキノコに見られる8個のアミノ酸で構成される環状ペプチドである(図1を参照)。
アマトキシンは、哺乳類細胞のDNA依存性RNAポリメラーゼIIを特異的に阻害し、それにより影響を受ける細胞の転写およびタンパク質生合成も阻害する。
細胞での転写の阻害は、成長と増殖の停止を引き起こす。
共有結合はしないが、アマニチンとRNAポリメラーゼIIの複合体は非常に強固である(KD=3nM)。
酵素からのアマニチンの解離は非常に遅いプロセスであるため、影響を受けた細胞の回復はほとんどない。
転写の阻害が長すぎると、細胞はプログラムされた細胞死(アポトーシス)を起こす。
【0003】
腫瘍治療のための細胞毒性部分としてのアマトキシンの使用は、1981年に、ジアゾ化を介して、Trp(アミノ酸4;図1を参照)のインドールリングに結合したリンカーを使用して、抗Thy 1.2抗体をα-アマニチンに結合することによって、既に検討されていた(Davis&Preston、Science 213(1981)1385-1388)。
Davis & Prestonは、結合位置を、7’位と特定していた。
Morris & Ventonは、7’位での置換が、細胞傷害活性を維持する誘導体を齎すことも実証した(Morris & Venton、Int.J.Peptide ProteinRes.21(1983)419-430)。
【0004】
特許出願EP 1 859 811 A1(2007年11月28日公開)は、β-アマニチンのアマトキシンアミノ酸1のγC-原子が、アルブミンまたはモノクローナル抗体HEA125、OKT3、またはPA-1に直接、すなわちリンカー構造なしで結合した、複合体を記載した。
さらに、乳癌細胞(MCF-7)、バーキットリンパ腫細胞(Raji)およびTリンパ腫細胞(Jurkat)の増殖に対するこれらの複合体の阻害効果を示した。
アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、尿素、チオ尿素、炭化水素部分などの要素を含むリンカーを含む、リンカーの使用が提案されたが、そのような構築物は実際には示されておらず、結合部位などの詳細は、アマトキシンでは、提供されなかった。
【0005】
特許出願WO 2010/115629およびWO 2010/115630(両方とも、2010年10月14日公開)は、ヒト化抗体huHEA125などの抗EpCAM抗体などの抗体が、
(i)アマトキシンアミノ酸1のγC-原子
(ii)アマトキシンアミノ酸4の6’C-原子、または
(iii)アマトキシンアミノ酸3のδC-原子
を介してアマトキシンに結合している複合体を記載しており、それぞれの場合、当該抗体は、アマトキシンと、直接またはリンカーを介して抗体と結合する。
提案されたリンカーは、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、尿素、チオ尿素、炭化水素部分等の要素を含む。
さらに、乳がん細胞(細胞株MCF-7)、膵臓がん(細胞株Capan-1)、結腸癌(細胞株Colo205)、および胆管癌(細胞株OZ)の増殖に対するこれらの複合体の阻害効果が示された。
【0006】
特許出願WO 2012/119787は、そのようなアマトキシンと、その標的である哺乳類細胞のDNA依存性RNAポリメラーゼIIとの相互作用を妨げることなく、トリプトファンアミノ酸4の追加の付着部位、すなわち、1’-N位で、リンカーを介して、標的結合部分をアマトキシンに結合できることを記載している。
【0007】
特許出願WO 2014/009025は、出発物質の1つとして、γ,δ-ジヒドロキシイソロイシンの新規シントンを使用したアマニチン誘導体の全合成を記載している。
さらに、特許出願PCT/EP2016/078984[WO 2017/089607として公開]は、容易に入手可能な(2S、3R、4S)-L-4-ヒドロキシイソロイシンを、出発材料の1つとして使用したγ-および(-アマニチンの誘導体の全合成について記述している。
しかしながら、これらの方法、および、これまで追求してきた、他のすべての完全な、または部分的な合成アプローチは、Savige-Fontanaに記載の方法を用いて、アマトキシンのコアに、中央のトリプトファン部分を組み込むものである。
この方法では、シス-2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a、8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール(「Hpi」)が、直鎖アマニチン前駆体構造に組み込まれる。
酸触媒Hpi-システインカップリング反応では、中心のトリプトファン部分を有するアマニチン環系が形成される。
【0008】
ただし、Hpiは、Hpiのインドール部分のフェニル環に結合した官能基部分を持たない。
したがって、Savige-Fontanaによる方法から得られるアマニチン生成物は、さらなる置換基のない中心トリプトファン部分を含む。
天然に存在する(-、β-、γ-、およびε-アマニチンは、しかしながら、中心の6’-ヒドロキシ-トリプトファン部分を含み、その6’-ヒドロキシ基は、アマニチンの官能化のための官能基として、たとえば、直接またはリンカーを介して、標的部分に結合することによって、成功裏に使用されてきた(たとえば、WO 2010/115629、WO 2010/115630、およびWO 2012/041504を参照)。
したがって、合成アマニチンの場合、上記のように、
(i)アマトキシンアミノ酸1のγC-原子を介して、または
(ii)アマトキシンアミノ酸3のδC-原子を介して、あるいは、
WO2012/119787に記載されているように、トリプトファン部分の窒素原子を介して官能化を行う必要があった。
【0009】
Hpiは、トリプトファンを、過酢酸または光化学で、一重項酸素と反応させることによって得ることができる。
しかし、Hpiのインドール部分のフェニル環に結合した置換基を有する誘導体は、これまでに記載されていない。
【0010】
アマトキシンへの完全合成経路の使用は、治療用途に必要な大量のアマトキシンの供給のオプションを提供し、そして、ビルディングブロックとして適切な出発材料を使用することにより、さまざまな新規アマトキシンバリアントの構築物を提供することができる。
過去に追行したアプローチは、これらのアマニチンにおいて、コアのトリプトファン部分に結合している6’-ヒドロキシ部分が、組み込まれないので、α-、β-、γ-、および/またはε-アマニチンの天然構造は、まだ得られなかったという事実によって制限されていた。
したがって、合成アマニチンを官能化するためのオプションはこれまでかなり制限されてきた。
さらに、フェノール性ヒドロキシ基の反応性は、いずれにせよ最適ではないため、アミノ基などの代替官能基は、特に興味深い。
なぜなら、官能化に利用可能なオプションの範囲を拡大することが非常に望ましいからである。なぜなら、立体障害や反応性のような因子は、合成アマニチンおよびその複合体の反応性、生物活性および/または安定性に強い影響を与える可能性があるからである。

しかし、非常に有毒のアマニチンを含む複合体の安定性および有効性は、ヒトへの投与のための治療分子として想定される使用のために最も重要である。
これまで、トリプトファン部分へのアミノ官能基の導入は、完全なアマトキシン部分の修飾、たとえば、ジアゾ化(Falck-Pedersenら、Int.J.Peptide Protein Res.21,1983、431-439)またはニトロ化(WO 2017/046658)によってのみ達成されてきた。
しかしながら、WO 2017/046658の場合、ニトロ化反応は、中央のトリプトファン部分の5’位でニトロ化されたアマトキシン誘導体を齎した。
したがって、6’位にアミノ基を導入することを可能にするアプローチは、これまで記載されていない。
【0011】
発明の目的
従って、特に、トリプトファン部分の6’位で、中央のトリプトファン部分のフェニル環に結合したアミノ基を有するアマトキシンを合成する、コスト効率的かつ堅牢な方法の大きな必要性が依然として存在する。
特に、確立されたSavige-Fontana反応において使用でき、そして、そのようなアミノ基の取り込みを引き起こすことができるようにセットアップされた出発物質を特定する、強い必要性がある。
【0012】
発明の概要
本発明は、アマニチン誘導体の合成において、アミノ基の導入を可能にする、Hpiの変異体を合成できるという予想外の観察に基づいている。
【0013】
したがって、本発明は、一の態様において、式Iの、2-カルボキシ‐3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a、8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドールのアミノ置換誘導体に関する。
【化1】
式中、
R1は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アリール、および置換ヘテロアリールから選択され;特に、R1はCF3であり;
1、P2は、それぞれ、水素または保護基、特に、Boc、PhCH2OCO-、CH2=CHCH2O-CO-、およびトリチルから独立して選択される保護基であり、
R2は、H、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリールから選択され;
R3は、OH、OR1、および1~7個のアミノ酸残基からなるポリペプチド鎖から選択される。
【0014】
第2の態様において、本発明は、6’-アミノ置換トリプトファン部分を含む、アマニチン誘導体の8個のアミノ酸残基を含む直鎖状前駆体の合成方法に関し、前記前駆体のペプチド合成における本発明の2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドールのアミノ置換誘導体使用を使用するステップを含む。
【0015】
第3の態様では、本発明は、6’-アミノ置換トリプトファン部分を含む、アマニチン誘導体の合成方法に関し、以下のステップを含む。
(i)システイン残基と本発明の直鎖状前駆体のトリプトファン部分との間の結合の形成を引き起こすまたは可能にする;そして、
(ii)本発明の直鎖状前駆体のN‐末端を、前記前駆体のC‐末端と反応させることにより、前記アマニチン誘導体の形成を引き起こすかまたは可能にする。
【0016】
第4の局面において、本発明は、
(i)S-デスオキシ-6’-アミノ-アマニン、6’-アミノアマニン、
(ii)S-デスオキシ-6’-アミノ-アマニンアミド、6’-アミノアマニンアミド、
(iii)(i)に記載のアマニチンの誘導体
から選択され、6’-アミノ-置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体に関し、ここで、アミノ酸1の遊離カルボン酸部分を、カルボン酸エステル、-C(=O)OR4または、部分-C(=O)NH-OR4へ変換される。
【0017】
第5の態様において、本発明は、
(a)本発明の6’-アミノ置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体;
(b)標的結合部分、および;
(c)所望により、前記アマニチン誘導体と前記標的結合部分を連結するリンカー;
を含む複合体に関する。
【0018】
第6の態様では、本発明は、本発明のアマニチンまたは本発明の複合体を含む医薬組成物に関する。
【0019】
第7の態様において、本発明は、本発明のアマニチン誘導体、本発明の複合体、または患者における癌(特に、前記の癌は、乳癌、膵臓癌、胆管癌、結腸直腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、悪性黒色腫、白血病、および悪性リンパ腫からなる群から選択される。)の治療において使用するための本発明の医薬組成物に関する。
【0020】
第8の態様では、本発明は、
(a)本発明のアマニチン誘導体;および
(b)前記アマニチン誘導体を標的結合部分に連結するための反応性基Yを担持するリンカー部分、を含む構築物に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】は、さまざまなアマトキシンの構造式を示す。 太字の数字(1~8)は、アマトキシンを形成する8つのアミノ酸の標準的ナンバリングを示す。 アミノ酸1、3、および4の原子の標準的な名称も表示されている(それぞれ、ギリシャ文字α~γ、ギリシャ文字α~δ、および1’~7’の数字)。
【0022】
図2】は、アミノ置換Hpi誘導体HDP 30.2416の合成スキームを示す。
【0023】
図3】は、6’-アミノ-アマニンアミド(HDP 30.2528)の合成スキームを示す。
【0024】
図4】は、HEK293細胞(EC50=3.0x10-6M)およびHEK293 OATP1B3細胞(EC50=3.0×10-8M)における、6’-アミノ-アマニンアミド(HDP 30.2528)の細胞毒性を示す。
【0025】
図5】は、前記構築物を標的連結部位にリンクするための反応基Yの例として、6’-ヒドロキシ基および末端マレイミド基に結合した切断可能なリンカーを有する、6’-アミノ-アマニンアミド(HDP 30.2528)に基づく構築物、および対応する6’-ヒドロキシ誘導体(HDP 30.1699)を示す。
【0026】
図6A図6は、A)SKBR-3細胞(HER-2/neu+++)とJIMT-1細胞(HER-2/neu+)におけるHER-2/neu、B)LnCap細胞(PSMA+++)および22rv1細胞(PSMA++)におけるPSMA、およびC)Raji細胞(CD19+++)およびNalm-6細胞(CD19++)におけるCD19;を標的とする、HDP 30.1699のADC細胞毒性を、HDP 30.2560と比較して示す。
図6B図6は、A)SKBR-3細胞(HER-2/neu+++)とJIMT-1細胞(HER-2/neu+)におけるHER-2/neu、B)LnCap細胞(PSMA+++)および22rv1細胞(PSMA++)におけるPSMA、およびC)Raji細胞(CD19+++)およびNalm-6細胞(CD19++)におけるCD19;を標的とする、HDP 30.1699のADC細胞毒性を、HDP 30.2560と比較して示す。
図6C図6は、A)SKBR-3細胞(HER-2/neu+++)とJIMT-1細胞(HER-2/neu+)におけるHER-2/neu、B)LnCap細胞(PSMA+++)および22rv1細胞(PSMA++)におけるPSMA、およびC)Raji細胞(CD19+++)およびNalm-6細胞(CD19++)におけるCD19;を標的とする、HDP 30.1699のADC細胞毒性を、HDP 30.2560と比較して示す。
【0027】
図7】は、SKBR-3細胞(HER-2/neu+++)およびJIMT-1細胞(HER-2/neu+)における、HER-2/neuを標的とする、T-D265C-30.2540の細胞毒性を、T-D265C-30.1699と比較して示す。
【0028】
発明の詳細な説明
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載の、特定の方法論、プロトコル、および試薬に限定されず、これらは異なる場合があることを理解されたい。
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0029】
特に、本明細書で使用する用語は、「バイオテクノロジー用語の多言語用語集:(IUPAC勧告)」、Leuenberger、HGW、Nagel、B.、Kolbl、H.eds.(1995)、Helvetica Chimica Acta、スイス、バーゼル、CH-4010)に記載されているように定義される。
【0030】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、単語「含む(comprise)」および、たとえば、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形は、文脈がそうでない場合を必要としない限り、述べられた整数、組成物または工程あるいは、整数または工程の群の包含を意味すると理解されるであろう。
一方、任意の追加の、整数、組成物または工程あるいは、整数、組成物または工程の群も、追加の、整数、組成物または工程あるいは、整数、組成物または工程の群が存在しない実施態様を含めて、所望により、存在していてもよい。
そのような後者の実施形態では、「含む」という用語は、「からなる」と隣接して使用される。
【0031】
いくつかのドキュメントがこの明細書のテキスト中で引用される。
ここで引用された各文書(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、説明書、GenBankアクセッション番号シーケンス・サブミッションなどを含む)は、上記または下記にかかわらず、それぞれの特許法において、可能な範囲でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書のいかなるものも、本発明が、先行発明のおかげでそのような開示に先行する権利を与えられないことの承認として解釈されるべきではない。
【0032】
本発明についてさらに説明する。
以下の節で、本発明の異なる側面をより詳細に定義する。
そのように定義された各局面は、明確に反対に示されない限り、他の任意の局面と組み合わすことができる。
特に、好ましいまたは有利であると示されている特徴は、好ましいまたは有利であると示されている他の特徴と組み合わせることができる。
【0033】
本発明は、アマニチン誘導体の合成中にアミノ基の導入を可能にする、Hpiの変異体を合成できるという予想外の観察に基づいている。
【0034】
したがって、本発明は、一の態様において、式Iの、2-カルボキシ‐3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドールのアミノ置換誘導体に関する。
【化2】
式中、
R1は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アリール、および置換ヘテロアリールから選択され;特に、R1はCF3であり、
1、P2は、それぞれ、水素または保護基であり;
R2は、H、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリールから選択され;
R3は、OH、OR1、および1~7個のアミノ酸残基からなるポリペプチド鎖から選択される。
【0035】
本発明の文脈において、「保護基」という用語は、式Iに係る化合物を、合成および/または更なる官能化をするために使用される他の反応物との反応から、窒素原子をブロックするために、中央のヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール部分の1位または8位の窒素原子に結合している基を意味する。
当業者は、当技術分野で利用可能であり、窒素原子を保護する必要がある場合には、対応する窒素原子に結合することができ、N-保護はもはや必要でないときには除去することができる、異なる保護基に非常に詳しい。
特定の実施形態では、N-保護は、N-アシル化試薬を使用する。
したがって、そのような実施形態では、P1および/またはP2はアシル基である。
特定の他の実施形態では、N-保護は、N-アルキル化試薬を使用する。
したがって、そのような実施形態では、P1および/またはP2はアルキル基である。
【0036】
特定の実施形態では、保護基P1またはP2は存在する場合、Boc、PhCH2OCO-、CH2=CHCH2O-CO-、およびトリチルから独立して選択される。
特定の実施形態では、2位に結合した官能基に関して、位置3aのヒドロキシ基と位置8aの水素原子はシス配置である。
【0037】
別の特定の実施形態では、2位に結合した官能基に関して、位置3aのヒドロキシ基と位置8aの水素原子がトランス配置である。
特定の実施形態では、本発明によるアミノ置換誘導体は、シスーおよびトランスー配置を有する化合物の混合物である。
【0038】
第2の態様において、本発明は、6’-アミノ-置換されたトリプトファン部分を含む、アマニチン誘導体の8個のアミノ酸残基を含む、直鎖状前駆体の合成のための方法に関し、前記前駆体のペプチド合成における本発明の2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドールのアミノ置換誘導体を使用する工程を含む。
【0039】
第3の態様では、本発明は、6’-アミノ置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体の合成方法に関し、以下のステップを含む。
(i)システイン残基と本発明の直鎖状前駆体のトリプトファン部分との間の結合の形成を引き起こすまたは可能にする;そして
(ii)本発明の直鎖状前駆体のN-末端を、前記前駆体のC-末端と反応させることにより、前記アマニチン誘導体の形成を引き起こすまたは可能にする。
【0040】
さらなる態様では、本発明は、実施例に示すように合成された、個々のアマニチン前駆体、特に、化合物HDP 30.2516、HDP 30.2528、および[0137]に従って合成された、固相ベースの中間体に関係する。
【0041】
特定の実施形態では、本発明の方法は、システイン部分の硫黄原子を酸化して、スルホキシドまたはスルホン、特にスルホキシドを形成することをさらに含む。
【0042】
第4の態様では、本発明は、6’-アミノ置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体に関し、
(i)S-デスオキシ-6’-アミノ-アマニン、6’-アミノ-アマニン、
(ii)S-デスオキシ-6’-アミノ-アマニンアミド、6’-アミノ-アマニンアミド、
(iii)(i)に記載のアマニチン誘導体の誘導体;
から選択され、ここで、アミノ酸1の遊離カルボン酸部分は、カルボン酸エステルC-(=O)OR4または-C(=O)NH-OR4部分に変換される。
【0043】
特定の実施形態において、本発明のアマニチン誘導体は、S-デスオキシ-6’-アミノ-アマニン、6’-アミノ-アマニン、S-デスオキシ-6’-アミノ-アマニンアミド、および6’-アミノ-アマニンアミドから選択される。
【0044】
第5の局面において、本発明は、以下を含む、複合体に関する。
(a)本発明の6’-アミノ-置換されたトリプトファン部分を含む、アマニチン誘導体;
(b)標的結合部分;および
(c)所望により、前記アマニチン誘導体と前記標的結合部分を連結するリンカー。
【0045】
第6の態様では、本発明は、本発明のアマニチンまたは本発明の複合体を含む医薬組成物に関する。
【0046】
第7の態様において、本発明は、本発明のアマニチン誘導体、本発明の複合体、または患者における癌(特に、前記の癌は、乳癌、膵臓癌、胆管癌、結腸直腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、悪性黒色腫、白血病、および悪性リンパ腫からなる群から選択される。)の治療において使用するための本発明の医薬組成物に関する。
【0047】
第8の態様では、本発明は、
(a)本発明のアマニチン誘導体;および
(b)前記アマニチン誘導体を標的結合部分に連結するための反応性基Yを担持するリンカー部分、
を含む構築物に関連する。
【0048】
本発明の文脈において、用語「アマニチン」は、アマトキシン(amatoxins)の特定の群を指す。
本発明の文脈において、用語「アマトキシン」は、アマニタ属から単離された、8個のアミノ酸から構成されるすべての環状ペプチドを含み、Wieland,T.およびFaulstich H.(Wieland T,Faulstich H.,CRC Crit Rev Biochem.5(1978)185-260)に記載されている。
本発明の文脈において、用語「アマニチン」は、以下に基いた、二環式構造を指す。
1位のアスパラギン酸またはアスパラギン残基、
2位のプロリン残基、特に、ヒドロキシプロリン残基、
3位のイソロイシン、ヒドロキシイソロイシンまたはジヒドロキシイソロイシン、
4位のトリプトファンまたはヒドロキシトリプトファン残基、
5位および7位のグリシン残基、
6位のイソロイシン残基、および
8位のシステイン残基、特に、酸化されてスルホキシドまたはスルホン誘導体になったシステイン誘導体(アマニチンの番号付けと代表例については、図1を参照してください)。
さらに、そのすべての化学誘導体を含み、
さらにそのすべての半合成類似体;
さらに、天然化合物(環状、8個のアミノ酸)のマスター構造によるビルディングブロックから構築されたそのすべての合成類似体、
さらに、ヒドロキシル化アミノ酸の代わりに、非ヒドロキシル化アミノ酸を含むすべての合成または半合成類似体、
さらに、哺乳類のRNAポリメラーゼIIを阻害することによる、任意のそのような誘導体または類似体が機能的に活性である各場合の、すべての合成または半合成類縁体。
本発明の文脈において、4位のトリプトファン残基は、6’-アミノ置換誘導体で置換される。
【0049】
したがって、本発明の文脈において、「アマニチン誘導体の8個のアミノ酸残基」という用語は、二環式アマニチンポリペプチド構造を形成する特定のアミノ酸を指す。
【0050】
機能的には、アマトキシンは、哺乳類RNAポリメラーゼIIを阻害するペプチドまたはデプシペプチドとして定義される。
好ましいアマトキシンは、上に定義した、リンカー分子または標的結合部分と反応できる官能基(たとえば、カルボキサミドまたはヒドロキサム酸などのカルボン酸基またはカルボン酸誘導体、アミノ基、ヒドロキシ基、チオールまたはチオール捕捉基)を有するものである。
本発明の複合体に特に適しているアマトキシンは、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマヌリン、またはアマヌリン酸のジデオキシ変異体、あるいは、アマニン、アマニンアミド、γ-アマニン、またはγ-アマニンアミドのモノデオキシ変異体(図1に示す)、ならびにその塩、化学誘導体、半合成類似体、および合成類似体である。
【0051】
特定の実施形態において、アミノ置換誘導体、アミノ置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体および/または本発明の複合体は、90%を超える、特に95%を超える、より好ましくは98%を超える、または、99%を超える純度を有する。
【0052】
本発明の文脈において、「純度」という用語は、たとえば、存在する複合体の総量を指す。
たとえば、90%を超える純度は、本発明の複合体を、90%を超えて含む組成物1ミリグラムを意味し、すなわち、900マイクログラムを超えるそのような複合体を含むことを意味する。
残りの部分、すなわち不純物には、未反応の出発物質と他の反応物、溶媒、切断生成物および/または副産物が含まれる可能性がある。
【0053】
特定の実施形態では、アミノ置換誘導体、アミノ置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体、および/または本発明の複合体を含む組成物は、そのようなアミノ置換誘導体、アミノ置換トリプトファン部分を含むアマニチン誘導体、および/または複合体の、100ミリグラム超、特に500ミリグラム超、および更に特に、1グラム超を含む。
したがって、たとえば、従来技術の複合体の複雑な調製物におそらく存在する可能性がある本発明の複合体の微量は、明示的に除外される。
【0054】
本明細書で使用される「標的結合部分」という用語は、標的分子または標的エピトープに特異的に結合することができる任意の分子または分子の一部を指す。
本出願の文脈における好ましい標的結合部分は、
(i)抗体またはその抗原結合断片;
(ii)抗体様タンパク質;および
(iii)核酸アプタマー、である。
本発明における使用に適した「標的結合部位」は、典型的に、分子量40、000Da(40kDa)以上を有する。
【0055】
本明細書で使用されるように、もし、それが、100マイクロモル以下、特に、50マイクロモル以下、特に、30マイクロモル以下、特に、20マイクロモル以下、特に、10マイクロモル以下、特に、5マイクロモル以下、より特に、1マイクロモル以下、より特に、900ナノモル以下、より特に、800ナノモル以下、より特に、700ナノモル以下、より特に、600ナノモル以下、より特に、500ナノモル以下、より特に、400ナノモル以下、より特に、300ナノモル以下、より特に、200ナノモル以下、さらにより特には、100ナノモル以下、さらにより特に、90ナノモル以下、さらにより特に、80ナノモル以下、さらにより特に、70ナノモル以下、さらにより特に、60ナノモル以下、さらにより特に、50ナノモル以下、さらにより特に、40ナノモル以下、さらに特に、30ナノモル以下、さらに特に、20ナノモル以下、および、さらにより特に、10ナノモル以下、の前記第二の化合物に対する解離定数KDを有する場合、第一の化合物(たとえば、抗体)は、第二の化合物(たとえば、標的タンパク質のような抗原)に、「特異的に結合する」と考えられる。
【0056】
本出願の文脈において、用語「標的分子」および「標的エピトープ」は、それぞれ、標的結合部分により特異的に結合される、抗原および抗原のエピトープをそれぞれ指す。
特に、標的分子は、腫瘍関連抗原、特に、1つまたは複数の腫瘍細胞タイプの表面に、非腫瘍細胞の表面と比較して、増加した濃度および/または異なる立体配置で存在する抗原またはエピトープである、
特に、前記抗原またはエピトープは、1つまたは複数の腫瘍細胞タイプの表面に存在するが、非腫瘍細胞の表面には存在しない。
特定の実施形態では、標的結合部分は、PSMA、CD19、CD269、シアリルルイサ(sialyl Lewisa)、HER-2/neuおよび上皮細胞接着分子(EpCAM)から選択される抗原のエピトープに特異的に結合する。
他の実施形態において、前記抗原またはエピトープは、自己免疫疾患に関与する細胞において優先的に発現される。
特定のそのような実施形態では、標的結合部分は、IL-6受容体(IL-6R)のエピトープに特異的に結合する。
【0057】
本明細書で使用される、「抗体またはその抗原結合フラグメント」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。
したがって、「その抗原結合断片」という用語は、少なくとも機能的な抗原結合ドメインを含む抗体の断片を指す。
また、含まれるのは、標的タンパク質、たとえば、PSMA、CD19、CD269、sialyl Lewisa、HER-2/neuおよびEpCAMから選択される標的タンパク質に、特異的に結合する、たとえば、ファージディスプレイを含む技術を介して選択される、免疫グロブリン様タンパク質である。
本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであり得る。
本発明での使用に適した「抗体およびその抗原結合断片」には、ポリクローナル、モノクローナル、一価、二重特異性、ヘテロ複合体、多重特異性、ヒト、ヒト化(特に、CDR移植)、脱免疫、または、キメラ抗体、単鎖抗体(たとえば、scFv)、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されたフラグメント、ダイアボディまたはテトラボディ(Holliger P.ら、Proc Natl Acad Sci USA.90(1993)6444-8)、ナノボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(たとえば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントを含むが、これらに限定されない。
【0058】
いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、一本鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(dsFv)、および、VLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントを含むが、これらに限定されない。
単鎖抗体を含む抗原結合抗体断片は、可変ドメインを単独で、または以下の全体または一部と組み合わせて含んでもよい:ヒンジ領域、CL、CH1、CH2、およびCH3ドメイン。
また、ヒンジ領域、CL、CH1、CH2、およびCH3ドメインと可変ドメインの任意の組み合わせを含む抗原結合断片も本発明に含まれる。
【0059】
本発明で使用可能な抗体は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源のものであり得る。
特に、抗体は、ヒト、げっ歯類(たとえば、マウス、ラット、モルモット、またはウサギ)、ニワトリ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウシ、ウマ、ロバ、ネコ、またはイヌの起源からです。
抗体が、ヒトまたはマウス起源であることが特に好ましい。
本明細書で使用される、「ヒト抗体」には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、そして、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または、1つ以上のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニックであって、そして、内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離される抗体が含まれる(たとえば、Kucherlapati & Jakobovitsによる米国特許第5,939,598号に記載されている。)。
【0060】
「抗体様タンパク質」という用語は、標的分子に特異的に結合するように(たとえば、ループの突然変異誘発によって)操作されたタンパク質を指す。
典型的には、そのような抗体様タンパク質は、両端でタンパク質足場に結合した、少なくとも1つの可変ペプチドループを含む。
この二重構造上の制約により、抗体様タンパク質の結合親和性が抗体のそれに匹敵するレベルまで大幅に増加する。
可変ペプチドループの長さは、通常、10~20個のアミノ酸から成る。
足場タンパク質は、良好な溶解特性を有する任意のタンパク質であり得る。
特に、足場タンパク質は小さな球状タンパク質である。
抗体様タンパク質には、アフィボディ、アンチカリン、および設計されたアンキリンリピートタンパク質が含まれるが、これらに限定されない(レビューについては、Binzら、Nat Biotechnol.2005、1257-68を参照)。
抗体様タンパク質は、変異体の大きなライブラリーに由来し、たとえば、大きなファージディスプレイライブラリーからパニングされ(panned)、通常の抗体と同様に単離される。
また、抗体様結合タンパク質は、球状タンパク質の表面に露出した残基のコンビナトリアル変異誘発によって得ることができる。
【0061】
「核酸アプタマー」という用語は、in vitro選択またはSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの体系的進化)を繰り返して、標的分子に結合するように操作された核酸分子を指す(レビューについては、BrodyおよびGold、J Biotechnol.74(2000)5-13を参照)。
核酸アプタマーは、DNAまたはRNA分子であり得る。
アプタマーは、修飾、たとえば、2’-フッ素置換ピリミジンなどの修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
【0062】
本発明の文脈における、「リンカー」は、それぞれがリンカーの一端に結合している2つの成分を接続している構造を指す。
リンカーが結合の場合、アマトキシンの抗体への直接結合により、アマトキシンがRNAポリメラーゼIIと相互作用する能力が低下する可能性がある。
特定の実施形態では、リンカーは、2つの成分間の距離を増加させ、本事例では、抗体とアマトキシンとの間など、これらの成分間の立体干渉を軽減する。
特定の実施形態では、リンカーは、その主鎖において、1~30個の原子の連続鎖(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30原子)を有する。
つまり、リンカーの長さは、アマトキシン部分と抗体の間の原子または結合の数によって測られる最も短い結合として定義される。
ここで、リンカー主鎖の一方の側はアマトキシンと反応し、他方の側は抗体と反応するか、または反応した。
本発明の文脈において、リンカーは、特に、所望により置換された、C1-20-アルキレン、C1-20-ヘテロアルキレン、C2-20-アルケニレン、C2-20-ヘテロアルケニレン、C2-20-アルキニレン、C2-20-ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリレン、ヘテロアリレン、アラルキレン、またはヘテロアラルキレン基である。
リンカーは、カルボキサミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、尿素、チオ尿素、炭化水素部分などの1つまたは複数の構造要素を含んでもよい。
リンカーは、これらの構造要素の2つ以上の組み合わせを含むこともできる。
これらの構造要素のそれぞれは、リンカー内に1回以上、たとえば、2回、3回、4回、5回、または6回存在してもよい。
いくつかの実施形態では、リンカーはジスルフィド結合を含んでもよい。
リンカーは、アマトキシンおよび抗体に対して、単一のステップで、またはその後の2つ以上のステップで結合する必要があることが理解されている。
そのために、リンカーは、特に近位端と遠位端に2つの基を持つ。これは、
(i)リンクされる成分の1つに存在する基、特にアマトキシンまたは標的結合ペプチドの活性化された基に共有結合を形成できるか、または
(ii)アマトキシン上の基と共有結合を形成するために活性化されるか、または活性化できる。
したがって、そのようなカップリング反応の結果である化学基、たとえば、エステル、エーテル、ウレタン、ペプチド結合などがリンカーの遠位端および近位端にあることが好ましい。
【0063】
特定の実施形態では、リンカーLは、C、O、NおよびSから独立して選択される、1~20原子、特に、2~18原子、より特に、5~16原子、さらにより特に、6~15原子の直鎖である。
特定の実施形態では、直鎖中の原子の少なくとも60%がC原子である。
特定の実施形態では、直鎖中の原子は単結合により連結されている。
【0064】
特定の実施形態において。リンカーLは、N、O、およびSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む、アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリレン、ヘテロアリレン、アラルキレン、またはヘテロアラルキレン基であり、ここで、前記リンカーは、所望により置換される。
【0065】
「アルキレン」という用語は、1~10個の炭素原子を有する基を含む、1~20個の炭素原子を有する二価の直鎖飽和炭化水素基を指す。
特定の実施形態において、アルキレン基は、低級アルキレン基であってもよい。
「低級アルキレン」という用語は、1~6個の炭素原子、特定の実施形態では、1~5個または1~4個の炭素原子を有するアルキレン基を指す。
アルキレン基の例には、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2-CH2-)、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、およびn-ヘキシレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
「アルケニレン」という用語は、炭素-炭素結合の少なくとも1つが二重結合であり、他の結合が単結合またはさらなる二重結合であり得る、2~20個の炭素原子を有する二価の直鎖基を指す。
本明細書における「アルキニレン」という用語は、炭素-炭素結合の少なくとも1つが三重結合であり、他の結合が、単結合、二重結合、またはさらなる三重結合であってもよい、2~20個の炭素原子を有する基を指す。
アルケニレン基の例には、エテニレン(-CH=CH-)、1-プロペニレン、2-プロペニレン、1-ブテニレン、2-ブテニレン、3-ブテニレンなどが含まれる。
アルキニレン基の例には、エチニレン、1-プロピニレン、2-プロピニレンなどが含まれる。
【0067】
本明細書で使用する、「シクロアルキレン」は、任意の安定な単環式または多環式系の一部である二価の環を指すことを意図し、そのような環は、3~12個の炭素原子を有するが、ヘテロ原子を含まず、そして、そのような環は完全に飽和している。
そして、「シクロアルケニレン」という用語は、任意の安定な単環式または多環式系の一部である二価の環を指すことを意図し、そのような環は3~12個の炭素原子を有するが、ヘテロ原子を含まず、そして、そのような環は少なくとも部分的に不飽和である(ただし、任意のアリレン環を除く)。
シクロアルキレンの例には、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、およびシクロヘプチレンが含まれるが、これらに限定されない。
シクロアルケニレンの例には、シクロペンテニレンおよびシクロヘキセニレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
本明細書で使用される、「ヘテロシクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルケニレン」という用語は、任意の安定な単環式または多環式環系の一部である二価の環を指す意図であり、そのような環は、3~約12個の原子を有し、そして、そのような環は、炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子、特に、N、OおよびSからなる群から独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなり、ヘテロシクロアルキレンは完全に飽和した環を指し、そして、ヘテロシクロアルケニレンは、少なくとも部分的に不飽和の環を指す(ただし、任意のアリレンまたはヘテロアリレン環を除く)。
【0069】
「アリレン」という用語は、任意の安定な単環式または多環式系の一部である二価の環または環系を意味することを意図しており、そのような環または環系は、3~20個の炭素原子を有するが、ヘテロ原子を含まず、その環または環系は、フェニレンを含む、「4n+2」π電子則で定義される芳香族部分からなる。
【0070】
本明細書で使用される、「ヘテロアリレン」という用語は、任意の安定な単環式または多環式系の一部である二価の環または環系を指し、そのような環または環系は3~20個の原子を有し、その環または環系は、「4n+2」π電子則によって定義される芳香族部分からなり、炭素原子と1つ以上の窒素、硫黄、および/または酸素ヘテロ原子を含む。
【0071】
本発明の文脈において、「置換された」という用語は、リンカーの骨格に存在する、1つまたは複数の水素が、示された群から選択された基で置換されていることを意図している。ただし、示された原子の通常の原子価または、置換されるグループの適切な原子の原子価を超えず、置換により安定な化合物が生成される。
「所望により置換された」という用語は、リンカーが非置換であるか、本明細書で定義されるように、1つ以上の置換基で、本明細書で定義されるように置換されることを意味するものとする。
置換基が、ケト(またはオキソ、すなわち=O)基、チオまたはイミノ基などである場合、リンカー骨格原子上の2つの水素が置き換えられる。
例示的な置換基には、たとえば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アロイル、ヘテロアロイル、カルボキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、ハロゲン、(チオ)エステル、シアノ、ホスホリル、アミノ、イミノ、(チオ)アミド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アシルチオ、スルホニル、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、アジド、ペルフルオロアルキル(トリフルオロメチルなど)を含むハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホノアミノ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキシアミド、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(所望により、たとえばアルキル、アリール、またはヘテロアリールにより一置換または二置換)、イミノ、カルボキサミド、カルバモイル(所望により、アルキル、アリール、またはヘテロアリールによりモノまたはジ置換)、アミジノ、アミノスルホニル、アシルアミノ、アロイルアミノ、(チオ)ウレイド、(アリールチオ)ウレイド、アルキル(チオ)ウレイド、シクロアルキル(チオ)ウレイド、アリールオキシ、アラルコキシ、または-O(CH2n-OH、-O(CH2n-NH2、-O(CH2nCOOH、-(CH2nCOOH、-C(O)O(CH2nR、-(CH2nN(H)C(O)OR、または-N(R)S(O)2R(ここで、nは1-4、そして、Rは、独立して、水素、-アルキル、-アルケニル、-アルキニル、-シクロアルキル、-シクロアルケニル、-(C‐リンクヘテロシクロアルキル)、-(C‐リンクヘテロシクロアルケニル)、-アリール、および-ヘテロアリールを含み、複数の置換度が許可される。
適切な場合、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルなどの置換基、または-OH、-NHRなどの官能基をそれ自体が置換されることは、当業者には理解されよう。
適切な場合には、置換部分自体も、同様に置換されることも当業者には理解されよう。
【0072】
特定の実施形態では、リンカーLは、以下の部分の1つから選択される部分を含む:ジスルフィド(-S-S-)、エーテル(-O-)、チオエーテル(-S-)、アミン(-NH-)、エステル(-OC(=O)-または‐C(=O)-O-)、カルボキサミド(-NH-C(=O)-または-C(=O)-NH-)、ウレタン(-NH-C(=O)-O-または-OC(=O)-NH-)、および尿素部分(-NH-C(=O)-NH-)。
【0073】
本発明の特定の実施形態では、リンカーLは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、ヘテロシクロアルキレン、アリレン、ヘテロアリレン、アラルキレン、およびヘテロアラルキレン基のリストから選択される、m個の群を含む。
式中、各基は、所望により、独立して置換されていてもよく、リンカーはさらに、以下の部分の1つから独立して選択される、n個の部分を含む:ジスルフィド(-S-S-)、エーテル(-O-)、チオエーテル(-S-)、アミン(-NH-)、エステル(-OC(=O)-または-C(=O)-O-)、カルボキサミド(-NH-C(=O)-または-C(=O)-NH-)、ウレタン(-NH-C(=O)-O-または-OC(=O)-NH-)、および尿素部分(-NH-C(=O)-NH-)、ここで、m=n+1である。
特定の実施形態では、mは2であり、nは1であり、または、mは3であり、nは2である。
特定の実施形態において、リンカーは、2または3個の非置換アルキレン基、および、それぞれ、1または2個の非置換アルキレン基を結合する、ジスルフィド、エーテル、チオエーテル、アミン、エステル、カルボキサミド、ウレタンまたは尿素部分を含む。
【0074】
特定の実施形態では、リンカーLはヘテロアリレン基を含まない。
【0075】
特定の実施形態では、直鎖中のC原子は独立して、所望により置換されたメチレン基(-CH2-)の一部である。
特定のこのような実施形態では、任意の置換基は、ハロゲンおよびC1-6-アルキル、特にメチルから独立して選択される。
【0076】
特定の実施形態では、リンカーLは安定したリンカーである。
【0077】
本発明の文脈において、「安定なリンカー」という用語は、
(i)酵素の存在下で、および
(ii)細胞内還元環境で、
安定しているリンカーを指す。
【0078】
特定の実施形態では、安定したリンカーは、
(i)酵素切断可能な基本構造、および/または
(ii)ジスルフィド基を含まない。
特定のそのような実施形態では、リンカーは、最長12原子、特に、2~10原子、より特に、4~9原子、そして、最も特に、6~8原子の長さを有する。
【0079】
特定の他の実施形態では、リンカーは切断可能なリンカーである。
【0080】
本発明の文脈において、「切断可能なリンカー」という用語は、
(i)酵素によって切断可能な、または
(ii)還元可能な
リンカーを指す。
特定の実施形態では、この用語は、酵素により切断可能なリンカーのみを指す(還元可能なリンカーではない)。
【0081】
本発明の文脈において、用語「酵素により切断可能なリンカー」とは、酵素、特にリソソームペプチダーゼ(たとえば、カテプシンBのような)により切断され得、内在化後に標的抗体に結合した毒素カーゴの細胞内放出をもたらすリンカーを指す(Dubowchikら、Bioconjug Chem.13(2002)855-69を参照)。
特定の実施形態では、切断可能なリンカーは、Phe-Lys、Val-Lys、Phe-Ala、Val-Ala、Phe-Cit、およびVal-Citから選択されるジペプチドを含み、特に、切断可能なリンカーは、ジペプチドとアマトキシンの間に、p-アミノベンジル(PAB)スペーサーをさらに含む。
【0082】
特定のそのような実施形態では、切断可能なリンカーは、構造L1-L*-L2を含み、ここで、L*は、p-アミノベンジルジペプチド部分であり、L1は、L*をアマトキシンに結合するリンカーの一部であり、特に、ここで、L1は、-NH-または-O-基、特に-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-O-または-C(=O)-O-基を介して、L*に結合する。そして、ここで、L2は、L*を標的結合部分に接続するリンカーの一部であり、特に、L2は、-(CH2m-部分(mは、1から8、特に、1~5から選択される整数である)を介して、または-(CH2CH2O)n-部分(nは1~3、特に、1~2から選択される整数である)を介して、L*に接続する。
たとえば、ジペプチドのVal-Alaを含む切断可能なリンカーの場合には、L1-L*-L2の構造は以下の通りである。
【化3】
【0083】
特定の他のこのような実施形態では、L*は、以下の構造として、ジペプチドVal-Lysを含む:
【化4】
【0084】
特定の実施形態では、リンカーL1は、C、O、N、およびSから独立して選択される1~4原子、特に、1~3原子、より特に、1~2原子、さらには単に1原子の直鎖である。
特定の実施形態では、直鎖中の原子の少なくとも50%が、炭素原子である。
特定の実施形態では、直鎖中の原子は単結合により連結されている。
【0085】
特定の実施形態では、L1は、アマトキシンの一部である-NH-または-O-基である。
特定の実施形態では、L1は、本発明による中央のトリプトファン部分の6’位に付着したアミノ基に由来するn-NH-基である。
特定の実施形態では、L1は、本発明によるアマニン誘導体のアミノ酸残基1のカルボン酸基の一部であるヒドロキシル基に由来する-O-基である。
特定の実施形態では、L1は、本発明によるアマニンアミド誘導体のアミノ酸残基1のカルボキサミド基の一部であるアミノ基に由来する-NH-基である。
特定の実施形態では、L1は、本発明によるアマニンまたはアマニンアミド誘導体のアミノ酸残基3の一部であるヒドロキシル基に由来する-O-基である。
【0086】
本発明の文脈において、用語「還元可能なリンカー」は、細胞内還元環境で切断できるリンカー、特に、ジスルフィド基を含むリンカーを指し、細胞内還元環境によって内在化後に、標的結合部分に結合した毒素カーゴの細胞内放出を齎すリンカーを指す(Shenら、J.Biol.Chem.260(1985)10905から10908参照)。
特定の実施形態では、還元可能なリンカーは、以下の部分を含む。
【化5】
式中、R1からR4は、独立して、Hおよびメチルから選択される。
【0087】
特定のそのような実施形態では、そのような切断可能なリンカーは、最長20原子、特に、6~18原子、より特に、8~16原子、そして、最も特に、10~15原子の長さを有する。
特定のこのような実施形態では、本発明による、アマトキシンに連結するリンカーの部分、および切断可能なジスルフィド基は、3または4個のC原子、特に、3個のC原子の直線鎖である。
特定の実施形態では、直鎖中の3または4個のC原子は単結合により結合している。
特定の実施形態では、リンカーはn-プロピレン基である。
【0088】
特定の実施形態において、前記リンカーは存在し、片側で、中央のトリプトファン部分のフェニル環に結合したアミノ基、すなわち、6’-アミノ置換基に結合している。
【0089】
特定の他の実施形態では、前記リンカーは存在し、そして、本発明のアマニチン誘導体中の特定の位置に片側で接続され、ここで、前記位置は、以下から選択される。
・S-デスオキシ-6’-アミノ-アマニンアミド(amaninamide)または6’-アミノ-アマニンアミド(amaninamide)の場合、アマトキシン(amatoxin)アミノ酸1のγC原子のアミド基の窒素原子(アミド結合);
・S-デオキシ-6’-アミノ-アマニン(amanin)または6’-アミノ-アマニン(amanin)の場合、アマトキシン(amatoxin)アミノ酸1のγC原子における酸基の酸素原子(エステル結合);
・アミノ酸1の遊離カルボン酸部分が、部分-C(=O)NH-OR1に変換された、前記本発明のアマニチンの誘導体の場合には、アマトキシンアミノ酸1のγC原子でのヒドロキサム酸基の酸素原子;
・アマトキシンアミノ酸3のδC原子のヒドロキシ基の酸素原子(特に、エステル結合、エーテル結合またはウレタン結合を介した);または、
・アミノ酸4の環窒素。
【0090】
リンカーの標的結合部分への結合は、当業者、特に抗体-薬物複合体(ADC)の分野の当業者に周知の様々な方法によって達成することができる。
【0091】
特定の実施形態では、前記リンカーは、尿素部分(…-リンカー-NH-C(=O)-NH-標的結合部分)を介して標的結合部分に結合する。
特定のそのような実施形態では、尿素部分は、リジン側鎖のアミノ基などの標的結合部分に元々存在する一級アミンとカルバミン酸誘導体…-リンカー-NH-C(O)-Z(ここで、Zは、第一級アミンで置き換えることができる脱離基である)との反応から齎される。
【0092】
特定の他の実施形態では、前記リンカーが存在し、チオエーテル部分(…-リンカー-S-標的結合部分)を介して標的結合部分に結合している。
したがって、そのような実施形態では、本発明は、下記一般式の複合体に関係する。

アマニチン-L-X*-S-Tbm、
式中、
アマニチンは、本発明によるアマニチン誘導体であり、
Lは、リンカーであり、
*は、チオール反応性基へのチオール基のカップリングから生じる部分であり、
Sは、前記チオール基の硫黄原子、特に、システインアミノ酸残基のチオール基であり、そして、
Tbmは標的結合部分、特に、前記システインアミノ酸残基を含む抗体または機能的抗体断片である。
特定の実施形態では、前記システインアミノ酸残基は、
(i)CL、CH1、CH2、およびCH3から選択される抗体ドメインに位置し、
(ii)前記抗体ドメインの配列に最も近い相同性を示す、生殖系列配列が、システインとは異なるアミノ酸残基を含む位置に位置し、そして、
(iii)溶剤に曝される位置にある。
【0093】
本発明の文脈において、「チオール反応性基」という用語は、たとえば、特に、6.0~8.0の範囲のpH値で、より特に、6.5~7.5の範囲のpH値において、抗体の遊離システインのチオール基と選択的に反応する基を指す。
特に、「選択的に」という用語は、チオール反応性基を含む分子と、少なくとも1つの遊離システイン残基を含む抗体とのカップリング反応の10%未満(特に5%未満、より特に2%未満)が、抗体の非システイン残基(たとえば、リジン残基)とのカップリング反応であることを意味する。
特定の実施形態では、チオール反応性基は、ブロモアセトアミド、ヨードアセトアミド、マレイミド、3位に脱離基(特に、脱離基は、-Brおよび置換チオールから選択される)を有するマレイミド(たとえば、US 9,295,729を参照)、4位に脱離基(特に、-Brおよび置換チオールから選択される脱離基)を有する1,2-ジヒドロピリダジン-3,6-ジオン(たとえば、US 9,295,729を参照)、メチルスルホニルベンゾチアゾール、メチルスルホニルフェニルテトラゾール、メチルスルホニルフェニルオキサジアゾール(Todaら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、52(2013)12592-6参照)、3-アリールプロピオニトリル(Kolodychら、Bioconjugate Chem.2015、26、197-200を参照)、および5-ニトロ-ピリジン-2-イル-ジスルフィド(…-L―S-S-(5-ニトロ-ピリジン-2-イル)から選択される。
【0094】
特定の実施形態では、リンカーに接続された一方の側にあり、そして、標的結合部分に存在する位置または官能基に、直接または間接的に接続できる、前記位置または官能基は、1つの標的結合部分または2つの標的結合部分に存在する、2つのチオール基と反応できる部分である。
特定の実施形態において、チオール反応性基は、3および4位に2つの脱離基を有するマレイミドであり、特に、3,4-ジブロモマレイミド、3,4-ビス(アリールチオ)-マレイミド、特に、3,4-ジフェニルチオ-マレイミド、および3,4-ビス(ヘテロアリールチオ)-マレイミド、特に、3,4-ビス(2-ピリジニル-スルファニル)-マレイミドから選択され、
特定の他の実施形態では、チオール反応性基は、特に、4,5-ブロモ-1,2-ジヒドロピリダジン-3、6-ジオン、4,5-ビス(アリールチオ)-1,2-ジヒドロピリダジン-3,6-ジオン、特に、4,5-ジフェニルチオ-1,2-ジヒドロピリダジン-3,6-ジオン、および4,5-ビス(ヘテロアリールチオ)-1,2-ジヒドロピリダジン-3,6-ジオン、特に、4,5-ビス(2-ピリジニル-スルファニル)-1,2-ジヒドロピリダジン-3,6-ジオンから選択される、4および5位に2つの脱離基を有する、1,2-ジヒドロピリダジン-3,6-ジオンである。
【0095】
特定の実施形態では、チオール基のチオール反応性基へのカップリングから生じる部分は、以下から選択される:
・チオール置換アセトアミド;
・チオール置換スクシンイミド;
・チオール置換スクシンアミド酸;
・チオール置換ヘテロアリール;特に、チオール-置換ベンゾチアゾール、チオール置換フェニルテトラゾールおよびチオール置換フェニルオキサジアゾール;および
・ジスルフィド。
但し、1つの硫黄原子が抗体のシステイン残基に由来する。
【0096】
特定の実施形態において、チオール基のチオール反応性基へのカップリングから生じる部分は、チオール置換スクシンイミドである。
特定の実施形態では、段落[0092]一般式に存在する、部分L-X*-Sにおける、リンカーLは、以下の部分の群から選択される。
(アマニチン側)-(CH22-S-S-(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-(CH23-S-S-(CH22-XーS-(Tbm側);
(アマニチン側)-(CH22-S-S-(CH23-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-(CH23-S-S-(CH23-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-(CH24-S-S-(CH24-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-(CH22-CMe2-S-S-(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-(CH22-S-S-CMe2-(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-(CH23-S-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Cit-Val-CO(CH25-X-S-(Tbm側)
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Ala-Val-CO(CH25-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Ala-Val-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Ala-Phe-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Lys-Phe-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Cit-Phe-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Val-Val-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Ile-Val-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-His-Val-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Met-Val-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
(アマニチン側)-CH2-C64-NH-Asn-Lys-CO(CH22-X-S-(Tbm側);
そして、ここで、ジペプチド配列に隣接する-NH-および-CO-は、それぞれジペプチドのカルボキシ末端およびアミノ末端にアミド結合を形成するリンカーのアミノおよびカルボニル部分を表す。
【0097】
本発明の文脈において、「チオール基のチオール反応性基へのカップリングから生じる部分」という用語は、以下の反応から生じる構造を指す。
(i)チオール反応性基に存在する脱離基Yの、システイン残基の硫黄原子による求核置換、たとえば、ブロモアセトアミド基、ヨードアセトアミド、4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ基、アルキルスルホンまたはヘテロアリールスルホン;
(ii)チオール反応性基の活性化二重結合へのシステイン残基のHS基の付加、たとえば、マレイミド;または、
(iii)システインの残基の硫黄原子(たとえば、脱離基として、ピリジン-2-チオール、5-ニトロピリジン-2-チオールまたはメタンスルフィネート)と、活性化ジスルフィドまたはメタンチオスルホネートのジスルフィド交換、;または
(iv)システイン残基の硫黄原子とチオール反応性基の一部である反応性部分との間に安定した結合をもたらす他の化学反応。
【0098】
チオール基のカップリングから生じる一次部分は、所望により、さらに誘導体化されてもよく、たとえば、マレイミドから生じるスクシンイミジルチオエーテルは、次の一般構造のスクシンアミド酸チオエーテルに加水分解され得る。
【化6】
【0099】
特定の他の実施形態では、部位特異的カップリングは、標的結合部分に存在するジスルフィド架橋を還元させ、そして、アマニチン-L-X*構築物に存在する架橋部分X*と、2つのシステイン残基を反応させることにより、達成することができる(Badescuら、安定で、明確な(defined)抗体薬物複合体のためのジスルフィドの架橋、Bioconjugate Chemistry.25(2014)1124-1136参照)。
【0100】
同様の実施形態において、部位特異的カップリングは、標的結合部分に存在するジスルフィド架橋を還元させ、そして、2つのシステイン残基を、アマニチン-L-X*構築物に存在する架橋部分X*と反応させることにより達成できる。特に、ここで、X*
【化7】
である(Brydenら、Bioconjug Chem、25(2014)611-617; Schumacherら、Org Biomol Chem、2014、7261-7269を参照)
【0101】
特定の他の実施形態では、カップリングは、特に、抗体のグルタミンQ295への結合により、トランスアミナーゼを介して、リンカーに存在するアミノ基を、標的結合部分に存在するグルタミン残基へ、位置特異的カップリングにより達成される。
【化8】
【0102】
特定の実施形態では、カップリングは、N-グリカン側鎖を含む標的結合部分への、部位特異的コンジュゲーションにより達成される。
特に、N-グリカン側鎖は酵素的に分解され、続いて、アジド-ガラクトースとの糖転移が起こる。
クリックケミストリーを使用して、そのような修飾された標的結合部分は、適宜変更された構築物であるアマニチン-L-X*(X*は、たとえば、ジベンゾシクロオクチン(DIBO)またはC-C三重結合を含む類似の部分である)にカップリングさせることができる。
たとえば、構築物である、アマニチン-L-NH2は、ヒドロキシスクシンイミド部分の求核置換によって、DIBO-SEに結合させることができる。
【化9】
次に、得られたDIBO修飾リンカー構築物を、上記のアジド誘導体に結合させることができる。
別の実施形態において、標的結合部分は、クリックケミストリーを可能にする非天然アミノ酸の取り込みにより、特に、パラアジドメチル-L-フェニルアラニン(pAMF)の取り込みにより、修飾され得る。
【0103】
特定の実施形態では、-L-X*のリンカーLは、少なくとも、5個、特に少なくとも10個、より具体的には、C、O、NおよびSから独立して選択される10~20原子、特に10~18、より具体的には10~16原子、さらにより具体的には10~15原子の直鎖である。
特定の実施形態では、直鎖中の原子の少なくとも60%がC原子である。
特定の実施形態では、直鎖中の原子は単結合により連結されている。
【0104】
別の実施形態では、標的結合部分に存在する、位置または官能基に直接または間接的に結合できる、位置または官能基は、エチニル基ではなく、より一般的にはアルキニル基ではない、または1,3-双極子環状付加(クリックケミストリー)における、1,3双極子と反応できる基ではない。
【0105】
特定の他の実施形態では、ケト基、特にp-アセチルフェニルアラニン(pAcPhe)を含む非天然アミノ酸を、標的結合部分に組み込むことにより、および、そのような修飾された標的結合部分を、アマニチン-L-X*構築物と反応させることにより、アマニチン-L-X*構築物の標的結合部分への部位特異的カップリングを達成することができる。ここで、X*はヒドロキシルアミン部分である。
【0106】
さらなる実施形態において、ホルミル基は、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)によって導入することができ、これは、アルデヒドタグを生成するための認識配列CxPxR中のシステイン基に対して高度に選択的である。
このようなアルデヒドタグは、アマニチン-L-X*構築物に存在する適切な基X*と反応することができる。
特に、X*
【化10】
である(Agarwalら、Bioconjugate Chem 24(2013)846-851を参照)。
【0107】
第2の態様では、本発明は、本発明の複合体を含む医薬組成物に関する。
【0108】
第3の態様では、本発明は、患者における癌の治療に使用するための、本発明の複合体に関する。
特に、前記癌は、乳癌、膵臓癌、胆管癌、結腸直腸癌、肺癌、前立腺がん、卵巣がん、前立腺がん、胃がん、腎臓がん、悪性黒色腫、白血病、および悪性リンパ腫からなる群から選択される。
【0109】
本明細書で使用する場合、疾患または障害の「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、以下のうちの1つまたは複数を達成することを意味する。
(a)障害の重症度を軽減すること;
(b)治療中の障害に特徴的な症状の発現を制限または防止すること;
(c)治療中の障害に特徴的な症状の悪化を抑制すること;
(d)以前に障害を患っていた患者の障害の再発を制限または防止すること;および
(e)以前に障害の症状を示していた患者の症状の再発を制限または防止すること。
【0110】
本明細書で使用する場合、治療は、本発明による複合体または医薬組成物を患者に投与することを含んでもよく、ここで、「投与」には、インビボ投与、ならびに静脈グラフトなどのエクスビボで、組織への直接投与が含まれる。
【0111】
特定の実施形態では、治療有効量の本発明の複合体が使用される。
【0112】
「治療有効量」は、意図された目的を達成するのに十分な治療薬の量である。
所定の治療薬の有効量は、薬剤の性質、投与経路、治療薬を受領する動物のサイズと種、および投与の目的などの要因によって異なる。
各個々の場合の有効量は、当技術分野で確立された方法に従って当業者によって経験的に決定され得る。
【0113】
別の態様において、本発明は、本発明による、アマニチン誘導体を含む医薬組成物、またはアマニチン誘導体と標的結合部分との本発明の複合体に関する。そして、さらに、1種以上の薬学的に許容される、希釈剤、担体、賦形剤、充填剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、崩壊剤、吸着剤;および/または防腐剤を含む。
【0114】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府または州政府の規制機関によって承認されたもの、または米国薬局方または動物、より特にヒトで使用される、他の一般に認められた薬局方にリストされたものを意味する。
【0115】
特定の実施形態において、医薬組成物は、全身投与される薬剤の形態で使用される。
これには、特に注射剤と注入剤を含む非経口剤が含まれる。
注射剤は、アンプルの形またはいわゆる即使用可能な注射剤、たとえば、すぐに使える注射器または使い捨て注射器のいずれかで処方され、これとは別に、複数回の引出しのための穿刺可能なフラスコに製剤化される。
注射剤の投与は、皮下(sc)、筋肉内(im)、静脈内(iv)または皮内(ic)投与の形態であり得る。
特に、結晶、溶液、ナノ粒子、またはたとえばヒドロゾルなどのコロイド分散系の懸濁液として、それぞれ適切な注射製剤を製造することが可能である。
【0116】
注射可能な製剤は、濃縮物としてさらに製造することができ、これは水性等張性希釈剤で溶解または分散させることができる。
輸液は、等張液、脂肪乳剤、リポソーム製剤およびマイクロエマルジョンの形態で調製することもできる。
注射剤と同様に、輸液製剤は希釈用の濃縮液の形で調製することもできる。
注射製剤は、たとえば、ミニポンプを介して、入院治療と外来治療の両方で永続的な注入の形で適用することもできる。
【0117】
たとえば、アルブミン、血漿、エキスパンダー、界面活性物質、有機希釈剤、pH影響物質、錯化物質または高分子物質などの非経口製剤に、特に、本発明の標的結合部分毒素複合体のタンパク質またはポリマーへの吸収に影響を与える物質として添加することができるか、または、それらはまた、本発明の標的結合部分毒素複合体の、注射器具または包装材料、たとえば、プラスチックまたはガラスなどの材料への吸収を低減する目的でも加えることができる。
【0118】
標的結合部分を含む本発明のアマニチン誘導体は、たとえば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリラクテート、ポリグリコレート、ポリアミノ酸またはポリエーテルウレタンに基づく、微細分散粒子のような非経口でマイクロキャリアまたはナノ粒子に結合することができる。
また、非経口製剤は、本発明の標的結合部分毒素複合体が、それぞれ、微細に、分散、分散および懸濁した形態で導入される場合、たとえば、「複数ユニット原理」に基づいた、デポー製剤として改変することもできる。
または、本発明の標的結合部分毒素複合体が、製剤中、たとえば、錠剤または後に埋め込まれるロッドに封入される場合、薬剤中の結晶の懸濁液として、または。「単一ユニット原理」に基づき、改変することもできる。
単一ユニットおよび複数ユニット製剤の、これらのインプラントまたはデポー薬剤は、多くの場合、たとえば、乳酸とグリコール酸のポリエステル、ポリエーテル、ウレタン、ポリアミノ酸、ポリ(メタ)アクリレートまたは多糖類などのいわゆる生分解性ポリマーで構成される。
【0119】
非経口製剤として製剤化された本発明の医薬組成物の製造中に添加されるアジュバントおよび担体は、特に、アクアステリリサタ(滅菌水)、たとえば、有機または無機酸または塩基ならびにその塩などの、pH値に影響を与える物質、pH値調整用の緩衝物質、たとえば、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、グルコースおよびフルクトースなどの等張化のための物質、それぞれ、界面活性剤および界面活性剤、および、たとえば、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸の部分エステル(たとえば、Tween(R))または、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル(たとえばCremophor(R))などの乳化剤、ピーナッツ油、大豆油、ヒマシ油などの脂肪油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸の合成エステル、および、中性油(たとえば、Miglyol(R))、および、たとえば、ゼラチン、デキストラン、ポリビニルピロリドンなどの高分子アジュバント、たとえば、プロピレングリコール、エタノール、N、N-ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールなどの有機溶媒の溶解度を高める添加剤、または、たとえば、クエン酸や尿素などの複合体形成物質、安息香酸ヒドロキシプロピルエステルやメチルエステルなどの防腐剤、ベンジルアルコール、亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤、EDTAなどの安定剤である。
【0120】
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物を懸濁液として製剤する場合、本発明の標的結合部分毒素複合体のセッティング(setting)を防ぐために、増粘剤、または、沈殿物(sediments)および/または複合体形成剤の再懸濁性を保証するために、界面活性剤(tensides)および高分子電解質(polyelectrolytes)、たとえば、EDTAが添加される。
活性成分とさまざまなポリマーの複合体を実現することも可能である。
そのようなポリマーの例は、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、カルボキシメチルセルロース、Pluronics(R)またはポリエチレングリコールソルビット脂肪酸エステルである。
本発明の標的結合部分毒素複合体は、たとえばシクロデキストリンを含む包接化合物の形態で液体製剤に組み込むこともできる。
特定の実施形態では、さらなるアジュバントとして分散剤を加えることができる。
凍結乾燥物の製造には、マンニット、デキストラン、サッカロース、ヒトアルブミン、ラクトース、PVP、または様々なゼラチンなどの足場剤を使用できる。
実施例
【0121】
以下において、本発明を非限定的な実施例によりさらに詳細に説明する。
6’-アミノ-アマニンアミドの全合成(HDP 30.2528)
【化11】
1.N-(tert-ブトキシカルボニル)-6-ニトロ-L-トリプトファンHDP 30.2353の調製
【化12】
【0122】
9,0g(28.8ミリモル)の6-ニトロ-L-トリプトファン(Hu、Weimin;Zhang、Fengying;Xu、Zhengren;Liu、Qiang;Cui、Yuxin;Jia、Yanxing Organic Letters Volume 12 Issue 5 Pages 956-959 Journal 2010に準じて調製)を、1,4-ジオキサン60ミリリットルと水30ミリリットルの混合液に懸濁させた。
アルゴン下、57.7ミリリットル(57.7ミリモル)の1NのNaOHを、周囲温度で加えた。
得られた溶液を、氷浴で0℃に冷却し、7.3ミリリットルの(6.9g:31.7ミリモル)の無水Boc(Boc2O)で処理した。
混合物を、2.5時間、室温で、撹拌し、1NのKHSO4溶液で、pHメーターを使用して、pH3.0に酸性化した。
水相を、酢酸エチル75ミリリットルで、3回抽出した
合わせた有機抽出物を、飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。
ろ過と蒸発乾固により、9.7gの粗物質が得られた。
粗N-Boc-6-ニトロ-L-トリプトファンを、CHCl3+1%酢酸から、CHCl3/MeOH(9:1)+1%酢酸の勾配を用い、330gのシリカゲルカラム(検出波長254ナノメートル)でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、蒸発およびトルエンとの共蒸発後に、3.8g(38%)のHDP 30.2353を、白色固体として得た。
MS(ESI-) 実測値:348.07[M-H]-
計算値:348,12(C161836
2.N-(tert-ブトキシカルボニル)-6-アミノ-L-トリプトファンHDP 30.2375の調製
【化13】
【0123】
6,9グラム(19.9ミリモル)のN-(tert-ブトキシカルボニル)-6-ニトロ-L-トリプトファンHDP 30.2353を、250ミリリットルのメタノールに溶解した。
炭素上の10%パラジウム1.7グラムを加え、混合物を、周囲温度および1barの水素で、19時間水素添加した。
触媒を濾別し、溶液を蒸発乾固した。
粗生成物は、ベージュ色の固体であり、これをさらに精製することなく、次のステップに使用した。
5.6g(89.0%収率)
MS(ESI) 実測値:321.23[M+1]+
計算値:320.16(C162234
3.N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-6-トリフルオロアセトアミノ-トリプトファンHDP 30.2381の調製
【化14】
【0124】
4.5g(14.2ミリモル)のN-(tert-ブトキシカルボニル)-6-アミノ-L-トリプトファン HDP 30.2375を、45ミリリットルの乾燥テトラヒドロフランに懸濁した。
アルゴン下、12.0ミリリットル(14.4グラム、101.1ミリモル)のトリフルオロ酢酸エチルエステルおよび174ミリグラムのジメチルアミノピリジン(DMAP)を、周囲温度で加えた。
得られた溶液を、7時間還流し、そして、室温で12時間撹拌した。
反応混合物を蒸発乾固させた。
残った固体残留物を、酢酸エチル150ミリリットルに溶解した。
有機相を、5%クエン酸水溶液で洗浄し、そして、水で3回洗浄し、MgSO4で乾燥させた。
濾過および蒸発乾固により、3.8グラムの粗材料が得られた。
粗製の、N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-6-トリフルオロアセトアミノ-トリプトファンHDP 30.2381を、CHCl3+1%酢酸から、CHCl3/MeOH(9:1)+1%酢酸の勾配を用いた、330グラムのシリカゲルカラム(検出波長254ナノメートル)のフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
蒸発およびトルエンと共蒸発させた後、HDP 30.2381を、白色固体(2.4グラム、41%)として単離した。
1H-NMR(400MHz、CDCl3、δ=ppm)
δ=1.41[s、9H、C(CH33];3.13-3.18(m、2H);4.46-4.53(m、1H);6.88(s、1H);7.40-7.42(m、1H);7.71(s、1H);6.43-6.48(m、1H)
13C-NMR(100MHz、CDCl3、δ=ppm)
δ=28.23、31.10、54.21、69.49、80.55、104.39、109.73、113.31、114.74、118.96、124.32、125.84、129.52、135.72、154.83、155.66、175.70
MS(ESI-) 実測値:414.17[M-H]-
計算値:414.13(C1819335
MS(ESI-) 実測値:829.17[2M-H]-
計算値:829.26(C36396610
MS(ESI-) 実測値:1243.92[3M-H]-
計算値:1243.39(C54589915
4.cis、trans-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-6-トリフルオロアセトアミノ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール(cis-HDP 30.2416およびtrans-HDP 30.2416(cis、trans-6-トリフルオロアセトアミノ-Hpi))の調製
【化15】
【0125】
光酸素付加(Photooxygenation)
光酸素付加は、400Wの高圧ナトリウム蒸気ランプ(シリウスX400ランプ230V、400W;1.3メートルの距離で、55,000ルーメン)または代替的に、タングステン-ハロゲンランプ(500W)を用いて行われた。
タングステンーハロゲンランプには、λ<490ナノメートルの光を遮断するフィルター溶液(CuCl2-CaCO3)を使用した。
【0126】
メチレンブルーまたはローズベンガルが、色素増感剤として使用された。
【0127】
反応は、GL 18スレッドを備えた2つのコネクタを備えた、DURAN(R)ホウケイ酸ガラス製の熱交換ジャケット、平底、およびフラットラボフランジ(DN)を備えた、500ミリリットルの円筒形反応容器で行った。
ランプから反応容器までの距離は15センチメートルであり、反応温度は3~4℃の範囲であった。
【0128】
乾燥酸素(純度99.5%)を、1分あたり2~4リットルの速度で、反応混合物に吹き込んだ。
【0129】
最終生成物は、330グラムの、Silica Redi Sept Flashカラム(Teledyne ISCO cat.69-2203-330)を備えた、Teledyne ISCO Flashクロマトグラフィーシステムで精製した。
溶媒CH2Cl2、CH3OH、CH3COOHは、標準的なHPLCまたはBP等級であった。
【0130】
2.30グラム(5.54ミリモル)の、N-(tert-ブトキシカルボニル)-6-トリフルオロアセチルアミノ-L-トリプトファンHDP 30.2381および160ミリグラムのローズベンガルを、500ミリリットルのメタノールに溶解し、そして、冷却媒体としてのグリコール/水を用いたフーバークライオスタット(Huber cryostat)を使用して、3℃に冷却した。
反応溶液に、400W高圧ナトリウム蒸気ランプを照射した。照射中、酸素のゆっくりした流れを反応溶液に吹き込んだ。4時間照射した後、酸素付加および冷却は停止し、そして、反応媒体を、15ミリリットルのジメチルスルフィドで処理した。
混合物を、2時間撹拌し、そして、水浴温度が35℃のロータリーエバポレーターを使用して蒸発乾固させた。
暗赤色残渣を、高真空中で、さらに乾燥させ、結晶性固体(2.67グラム)を得た。
粗生成物を、CH2Cl2+5%酢酸から、CH2Cl2/MeOH(15:1)+5%酢酸の勾配で、330グラムのシリカゲルカラム(検出波長254ナノメートル)で精製した。
収率
163ミリグラム(8%)のシス-HDP 30.2416および
466ミリグラム(20%)のトランス-HDP 30.2416と共に
297ミリグラムのシス/トランス混合物。
生成物を、トルエンと共蒸発させた。tert-ブタノール中で凍結乾燥した後、両方の異性体がオフホワイトの粉末として得られた。
シス-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-6-トリフルオロアセトアミノ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール(cis-HDP 30.2416)
1H-NMR(400MHz、CD3OD、δ=ppm)
δ=1.43、1.54(s、9H、C(CH33);2.45-2.63(m、2H、CH2);4.12-4.27(m、1H、2-H);5.35(d、1H、8a-H);6.92-7.12(m、2H、7-H、5-H);7.20-7.25(m、1H、4-H)
13C-NMR(100MHz、CD3OD、δ=ppm)
δ=28.70、31.11、42.81、61.73、82.18、85.11、86.75、104.20、112.86、124.64、129.46、139.21、151.17、156.06、176.14
MS(ESI+) 実測値:432.00[M+H]+
計算値:432.14(C1821336
MS(ESI+) 実測値:454.17[M+Na]+
計算値:454.13(C182033NaO6
MS(ESI+) 実測値:862.92[2M+H]+
計算値:863.26(C36416612
MS(ESI+) 実測値:885.08[2M+Na]+
計算値:885.26(C364066NaO12
MS(ESI+) 実測値:1315.67[3M+Na]+
計算値:1316.39(C546099NaO18
UV/VIS(CH3OH):λmax=309ナノメートル、231ナノメートル
λmin=285ナノメートル
トランス-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-カルボキシ-3a-ヒドロキシ-6-アセトキシ-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール(トランスーHDP 30.2416)
1H-NMR(400MHz、CD3OD、δ=ppm)
δ=1.44、1.54(s、9H、C(CH33);2.56-2.72(m、2H、CH2);4.50-4.56(m、1H、2-H);5.19-5.22(d、1H、8a-H);6.90-7.05(m、2H、7-H、5-H);7.17-7.18(m、1H、4-H)
13C-NMR(100MHz、CD3OD、δ=ppm)
δ=28.05,31.12,40.40,60.94,69.45,82,01,84.87,86.81,103.65,112.25,124.95,128.55,139.46,152.30,156.05,174.67
MS(ESI+) 実測値:432.08[M+H]+
計算値:432.14(C1821336
MS(ESI+) 実測値:454.17[M+Na]+
計算値:454.13(C182033NaO6
MS(ESI+) 実測値:863.00[2M+H]+
計算値:863.26(C36416612
MS(ESI+) 実測値:885.08[2M+Na]+
計算値:885.26(C364066NaO12
UV/VIS(CH3OH):λmax=312ナノメーター、233ナノメーター
λmin=286ナノメーター
5.HDP 30.2528の固相合成
ステップ1:HDP 30.0013
【化16】
【0131】
FmocHypOH(10.0グラム、28.3ミリモル)を、100ミリリットルの80%MeOHに懸濁し、そして、Cs2CO3(4.6グラム、14.1ミリモル)を加えた。
完全に溶解するまで、懸濁液を50℃で、30分間撹拌した。
反応混合物を、濃縮乾固し、そして、DMF100ミリリットルに再溶解した。
臭化アリル(1.6ミリリットル、3.6グラム、29.7ミリモル)を滴下し、そして、反応物を、室温で、一晩撹拌した。
DMFを留去し、そして、残渣を、tert-ブチルメチルエーテルに溶解した。
沈殿物をろ過し、そして、透明な溶液を、カラムクロマトグラフィーの前にセライトに吸収させた。化合物を、n-ヘキサン/酢酸エチル勾配を用いて、220グラムのシリカゲルで精製した。
収率:11.5グラム、100%
ステップ2:HDP 30.0400
【化17】
【0132】
HDP 30.0013(5.0グラム、14.1ミリモル)、ピリジニウム 4-トルエンスルホネート(1.33グラム、5.3ミリモル)を、40ミリリットルのジクロロエタンに、1,3-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イルメトキシメチル樹脂(5.0グラム、1.0ミリモル/グラム THP樹脂)懸濁液に添加した。
反応物を、80℃で、一晩撹拌した。
冷却した後、樹脂を濾過し、そして、広範囲に、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジクロロメタンおよびtert-ブチルメチルエーテルで洗浄した。
【0133】
負荷は、0.62ミリモル/グラムであった(脱保護後のフルオレニルメチル基のUV分光法で測定)
ステップ3:HDP 30.2516(固相合成)
【化18】
【0134】
樹脂の前処理:
HDP 30.0400(0.31グラム、0.25ミリモル)を、N、N-ジメチルバルビツール酸(241ミリグラム、1.55ミリモル)およびPd(PPh34(35ミリグラム、0.03ミリモル)で処理した。
樹脂を、室温で一晩振盪した。その後、樹脂を、ジクロロメタン、DMF、アセトニトリル、ジクロロメタンおよびtert-ブチルメチルエーテルで徹底的に洗浄し、そして、減圧下で乾燥させた。
【0135】
カップリング手順:
すべての反応物と試薬は、ジクロロメタン/DMF(1:1、v/v)に溶解した。
HDP 30.0477(EP 2872479B1に記載)(102ミリグラム、0.30ミリモル)を、6.0ミリリットルのジクロロメタン/N、N-ジメチルホルムアミドに溶解し、そして、0.2N溶液のPyBOP/HOBtの4.0ミリリットルおよび2ミリリットルのDIEA(40%DMF)で処理した。
2.0ミリリットルのN、N-ジメチルホルムアミドを添加後、反応物をマイクロ波照射(20W、CEMマイクロ波反応器)で、8分間、50℃に加熱し、そして、カップリングした後、N、N-ジメチルホルムアミドで洗浄した。
【0136】
Fmoc-脱保護:
脱保護は、20%ピペリジンのN、N-ジメチルホルムアミド溶液6.0ミリリットルを、0℃で、10分間添加した。樹脂を、N、N-ジメチルホルムアミドで洗浄した(最後のアミノ酸のカップリングの後、脱保護しない)。
【0137】
上記のプロトコルに従って、他のすべてのアミノ酸を結合した。重さを以下に示す。
(0.102グラム、 0.30ミリモル 1.5当量 HDP 30.0477 分子量:39.6、上記参照)
0.72グラム、 1.2ミリモル 5.0当量 FmocAsn(Trt)OH 分子量599.7
0.71グラム、 1.2ミリモル 5.0当量 FmocCys(OTrt)OH 分子量:586.7
0.36グラム、 1.2ミリモル 5.0当量 FmocGlyOH 分子量:297.3
0.36グラム、 1.2ミリモル 5.0当量 FmoclleOH 分子量:353.4
0.36グラム、 1.2ミリモル 5.0当量 FmocGlyOH 分子量:297.3
0.161グラム、 0.37ミリモル 1.5当量 HDP 30.2416 分子量:431.1
【0138】
完了後、樹脂を、最終的に底部フリットを備えたシリンジに移し、DCMで洗浄し、減圧下で乾燥させた。
【0139】
樹脂放出とBリング形成
5ミリリットルのTFA、5ミリリットルのDCM+10%MeOHの溶液を樹脂に吸引し、周囲温度で、15分間振盪した。
溶液を50ミリリットルの反応フラスコに分注し、樹脂をTFA/DCM1:1+10%MeOHで1回洗浄し、同じフラスコに注いだ。
反応フラスコを16時間撹拌した。
トリイソプロピルシラン(0.5ミリリットル)を加え、反応物を真空で濃縮した。
残渣を、500マイクロリットルのMeOHに溶解し、ペプチドを50ミリリットルの氷冷TBMEに沈殿させた。
遠心分離後、上清をデカントし、沈殿物を50ミリリットルのTBMEで1回洗浄し、減圧下で乾燥させた。
【0140】
沈殿物を、2ミリリットルのメタノールに可溶化し、分取逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。メタノールを減圧下で留去し、残った水相を凍結乾燥させた。
収量:113ミリグラム、41%
MS(ESI+) 実測値:1100.4[M+H]+
計算値:1100.1(C456031116S)
HPLC:99.1面積%
ステップ4:環化(A環形成、HDP 30.2524)
【化19】
【0141】
上記凍結-乾燥単環式中間体HDP 30.2516(113ミリグラム、104マイクロモル)を、5ミリリットルのDMFに溶解し、ジフェニルホスホリラジド(DPPA、28マイクロリットル、522マイクロモル、5当量)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA、88マイクロリットル、522マイクロモル、5当量)で処理した。
反応物を、16時間攪拌し、完了したら、500マイクロリットルの水でクエンチした。
変換をHPLCで監視した。混合物を減圧により濃縮し、1ミリリットルのメタノールに再溶解し、分取逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。
収量:43.6ミリグラム、38.6%
MS(ESI+) 実測値:1082.33[M+H]+
計算値:1082.1(C455831115S)
HPLC:97.8面積%
ステップ5:アセテート脱保護(HDP 30.2528)
【化20】
【0142】
HDP 30.2524(33.6ミリグラム、31.1マイクロモル)を、7Nメタノール-NH3溶液(5.0ミリリットル)に溶解し、攪拌した。
変換は、HPLC/MSで確認した。完了後(6~8時間)、反応物を真空濃縮し、100マイクロリットルのMeOHに再懸濁し、分取HPLCで精製した。
収量:17.8ミリグラム、63.5%
HPLC:100%
MS(ESI+) 実測値:902.4[M+H]+
計算値:902.00(C39551112S)
実測値:924.3[M+Na]+
6.6-マレイミドプロピオニル-L-Val-L-Al-PABA-S-デオキシ-アマニチン HDP 30.2560の調製
【化21】
6.1マレイミドプロピオニル-L-Val-L-Ala-PABA HDP 30.2559の調製
【化22】
【0143】
5.87グラム(10ミリモル)のNH2-L-Val-L-ALA-PABA(WO 2014/197871号パンフレットに従って調製された)を、100ミリリットルの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。
アルゴン下、2.66グラム(10ミリモル)の3-(マレイミド)プロピオン酸-N-ヒドロキシスクシンイミド(BMPS)および3.40ミリリットル(20ミリモル)のジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を一度に加えた。
反応混合物を室温で2時間撹拌した。
DMFを真空下で蒸発させ、残渣を、150ミリリットルのメチル-tert-ブチルエーテルで処理した。
有機溶媒を捨て、残渣(4.57グラム)を、CH2Cl2からCH2Cl2/MeOH(9:1)の勾配で、120グラムのシリカゲルカラム(検出波長246ナノメーター)で精製し、1.98グラム(収率44.6%)のHDP 30.2559が褐色の固体として得られた。
MS(ESI+) 実測値:445.17[M+H]+
計算値:445.21(C222946);
MS(ESI+) 実測値:467.25[M+Na]+
計算値:467.19(C22284NaO6);
MS(ESI+) 実測値:911.00[2M+Na]+
計算値:911.39(C44568NaO12);
1H NMR(500MHz、DMSO-d6
δ=9.76(s,1H),8.12(d,J=7.1Hz,1H),8.00(d,J=8.3Hz,1H),7.58-7.51(m,2H),7.27-7.21(m,2H),6.99(s,2H),5.06(bs,1H),4.43(s,2H),4.39(q,J=7.1Hz,1H),4.13(dd,J=8.3,6.7Hz,1H),3.69-3.55(m,2H),2.49-2.40(m,2H),2.03-1.89(m,J=6.5Hz,1H),1.31(d,J=7.1Hz,3H),0.86(d,J=6.8Hz,3H),0.83(d,J=6.8Hz,3H).
13C NMR(126MHz,DMSO-d6
δ=170.78,170.64,170.62,169.73,137.47,137.30,134.44,126.80,118.78,62.52,57.71,48.93,33.96,33.64,30.18,19.02,18.07,17.83,0.01.
6.2マレイミドプロピオニル-L-Val-L-Ala-PABA-4-ニトロフェニル-カルボキシレート HDP 30.2586の調製
【化23】
【0144】
200.0ミリグラム(0.45ミリモル)のマレイミドプロピオニル-L-Val-L-ALA-PABA HDP 30.2559を、4ミリリットルの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。
273.9ミリグラム(0.90ミリモル)のビス(4-ニトロフェニルカーボネート)および117.6マイクロリットルのDIPEA(87.3ミリグラム、0.68ミリモル)を添加し、そして反応混合物を、アルゴン下、周囲温度で3時間撹拌した。
反応混合物を40ミリリットルの冷n-ヘキサン/MTBE1:1で沈殿させ、遠心分離機で分離した。
固体を、冷MTBEで2回洗浄し、ろ過した。
残りの固体は、次のステップに十分な純度であった。
収量231.3ミリグラムの白色固体(84.3パーセント)
MS(ESI+) 実測値:610.08[M+H]+
計算値:609.21(C2931510
MS(ESI+) 実測値:632.25[M+Na]+
計算値:632.42(C29315NaO10
MS(ESI+) 実測値:1241.00[2M+Na]+
計算値:1241.42(C586210NaO20
6.3 6-マレイミドプロピオニル-L-Val-L-Al-PABA-S-デオキシ-6-アミノ-アマニチン HDP 30.2560の調製
【化24】
【0145】
6.73ミリグラム(6.62マイクロモル)の、6-アミノ-S-デオキシ-アマニチン HDP 30.2528および4.04ミリグラム(6.62マイクロモル)のマレイミドプロピオニル-L-Val-L-Ala-PABA-4-ニトロフェニル-カルボキシレート HDP 30.2586を、100マイクロリットルの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。
9.02ミリグラム(66.2マイクロモル)の1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)の、2.070マイクロリットルの乾燥ジメチルホルムアミド溶液207マイクロリットルを添加し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)5.77マイクロリットル(33.6マイクロモル)を加えた。
溶液を、アルゴン下で、室温で7時間撹拌した。
溶媒を、高真空中で蒸発乾固させ、粗生成物を、95%水/5%MeOHから、95%MeOH/5%水の勾配で、15ミリリットル/分の流量にて、RP18 HPLC(Luna(商標)10マイクロ、250x21ミリメーター、Phenomenex(R)、290ナノメーター)で精製した。
純粋な画分を、乾燥状態まで蒸発させ、水にて凍結乾燥させ、3.71ミリグラム(41%)を、無定形固体として、HDP 30.2560を得た。
MS(ESI+) 実測値:1394.50[M+Na]+
計算値:1394.56(C628115NaO19S)
7. 6-マレイミドヘキセノイル-L-Val-L-Ala-PAB-S-デオキシ-6-アミノアマニチン HDP 30.2540の調製
【化25】
【0146】
6-(マレイミド)ヘキサノイル-L-Val-L-Ala-PABA-4-ニトロフェニル-カルボキシレート(HDP 30.2079)は、出発材料として、6-(マレイミド)ヘキサン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)を用いて、ステップ6.1/6.2と同様に調製した。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6
δ 9.96(s,1H),8.35-8.27(m,2H),8.11(d,J=7.0Hz,1H),7.77(d,J=8.6Hz,1H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.60-7.53(m,2H),7.41(d,J=8.6Hz,2H),6.98(s,2H),5.25(s,2H),4.41(p,J=7.1Hz,1H),4.18(dd,J=8.6,6.8Hz,1H),3.37(t,J=7.1Hz,2H),2.24―2.08(m,2H),1.98(h,J=6.8Hz,1H),1.58‐1.42(m,4H),1.32(d,J=7.0Hz,3H),1.20(p,J=7.6Hz,2H),0.88(d,J=6.7Hz,3H),0.84(d,J=6.8Hz,3H).
13C NMR(126MHz,DMSO-d6
δ 172.21,171.10,170.91,170.89,155.19,151.82,145.08,139.32,134.30,129.28,129.18,125.25,122.44,118.98,70.16,57.50,48.96,36.92,34.83,30.23,27.64,25.69,24.77,19.09,18.06,17.78.
MS(ESI+) 実測値:674.36[M+Na]+
計算値:674.24(C32375NaO10
【0147】
HDP 30.2528(5ミリグラム、5.5マイクロモル)を、HDP 30.2079(7.1ミリグラム、11.0マイクロモル)およびジイソプロピルエチルアミン(9.4マイクロリットル、55マイクロモル)の添加と、275マイクロリットルのDMF中でカップリングさせた。
16時間後、HDP 30.2079(3.5ミリグラム、5.4マイクロモル)およびジイソプロピルエチルアミン(9.4マイクロリットル、55マイクロモル)を添加した。
反応物を、4日間撹拌した。
反応混合物を、分取クロマトグラフィーにより直接精製した。
収量:1.18ミリグラム、15.2%
HPLC:100%
MS(ESI+) 実測値:1437.6[M+Na]+
計算値:1414.7(C65871519S)
【0148】
8.HDP 30.2540および30.2560複合体の合成
実施例:T-D265C-30.2560の合成:
【0149】
PBS緩衝液中の10ミリグラムのチオマブ T-D265Cを、HDP 30.2560へのコンジュゲーションのために使用した。
抗体溶液を、1ミリモル EDTAに調整する。
2ミリリットルの抗体溶液(10.0ミリグラム)+100ミリモルのEDTA 20マイクロリットル、pH8.0。
抗体含量:10ミリグラム=6.9x10-8モル
【0150】
40当量のTCEPと抗体との反応によるシステインのキャッピング解除(Uncapping)
-2ミリリットルの抗体溶液(6.9x10-8モル)+50ミリモルのTCEP溶液の55.2マイクロリットル(2.76x10-6モル)
-シェーカーで、37℃で、3時間インキュベートする。
-Slide-A-Lyzer透析カセット20000 MWCO内で、1×PBS 2.0リットル、1ミリモルのEDTA、pH7.4で、4℃で、2回の連続透析、最初の透析 約4時間、2回目の透析は一晩。
【0151】
抗体と20当量のデヒドロアスコルビン酸(dhAA)との反応による酸化:
約2ミリリットルの抗体溶液(6.9x10-8モル)+新しい50ミリモル dhAA溶液を27.6マイクロリットル(1.38x10-6モル)。
シェーカー上、室温で、3時間インキュベートする。
【0152】
6当量のHDP 30.2560を使用した、アマニチンとの結合および25当量のN-アセチル-L-システインによるクエンチィング:
200マイクロリットルのDMSOに、2ミリグラムのHDP 30.2560を溶解=10マイクログラム/マイクロリットル。
-約2ミリリットルの抗体溶液(=9.5ミリグラム;6.53x10-8モル)+53.8マイクロリットルのHDP 30.2560(=538マイクログラム;3.92x10-7モル)。
-室温で、1時間インキュベートする。
-16.3マイクロリットルの100ミリモル N-アセチル-L-システイン(1.63x10-6モル)の添加によりクエンチする。
-室温で、15分間(または4℃で一晩)インキュベートする。
-1xPBS、pH7.4で平衡化した1xPD-10カラムで反応混合物を精製する。
-パラフィルム上、ブラッドフォード試薬で、タンパク質含有画分を特定し、タンパク質含有画分を纏める。
-pH7.4の2.0リットルのPBSおよびSlide-A-Lyzer透析カセット20、000 MWCO中、4℃で、抗体溶液の透析を一晩。
【0153】
LC-ESI-MS分析による、薬物抗体比(DAR)の測定。
【0154】
タンパク質濃度を5.0ミリグラム/ミリリットル(3.4x10-5モル)に調整し、ろ過して無菌状態にする。4℃で保存する。
【0155】
以上のように、異なる抗体またはHDP 30.2540を使用したADCが製造された。
抗体の分子量は、それぞれの抗体の分子量に従って計算された。
それに応じて、リンカー毒素、TCEP、dhAA、N-アセチル-L-システインの量を調整して、それぞれ、等価にした。
【0156】
9. 6’-アミノ-アマニンアミド30.2528のインビトロ細胞毒性
HEK293およびHEK293 OATP1B3細胞に対する、BrdU細胞増殖アッセイ
HEK293-OATP1B3細胞培養プレートを、ポリ-D-リジンで被覆した。
【0157】
ポリ-D-リジンによる被覆:
-5ミリグラムのポリD-リジンを50ミリリットルの滅菌水に溶解した。
-96ウェルプレートの各ウェルに50マイクロリットル
-室温で、1時間のインキュベーション
-200マイクロリットルの滅菌水でウェルを2回洗浄
-少なくとも2時間の乾燥(室温)。
【0158】
2.0x103のHEK293およびHEK293 OATP1B3細胞/ウェル、および、10%FCSおよびサプリメントを含む、ウェルあたり90マイクロリットルの増殖培地を含む、透明な底の、黒い96ウェルプレートを準備した。
対照:「ブランク」は、細胞を含まない、100マイクロリットルの培地で設定され、「背景」および「100%」は、100マイクロリットルの培地中の細胞で設定した。
-37℃、5%CO2で、24時間のインキュベーション。
HDP 30.2528およびα-アマニチンの希釈スキーム:
ストック溶液を、培地中、1:1000(1:10および1:100希釈)希釈した:
10マイクロリットルのアマニチン誘導体のストック溶液(1.0X10-2モル)+90マイクロリットルのPBS=100マイクロリットルの1.0X10-3モル。
2マイクロリットルの希釈液+198マイクロリットルの培地=200マイクロリットルの1X10-5
さらなる希釈:
A:1.0x10-5M 200μL
B:増殖培地80μL+溶液A 20μL(1:5希釈)
C:増殖培地80μL+溶液B 20μL(1:5希釈)
D:増殖培地80μL+溶液C 20μL(1:5希釈)
E:増殖培地80μL+溶液D 20μL(1:5希釈)
F:増殖培地80μL+溶液E 20μL(1:5希釈)
G:増殖培地80μL+溶液F 20μL(1:5希釈)
H:増殖培地80μL+溶液G 20μL(1:5希釈)
各溶液10μLを、ウェル3個に加えた。
最終容量:100μL/ウェル。
最終用量:1x10-6モルから開始;1:5希釈系列。
●37℃、5%CO2で、96時間のインキュベーション
●96時間後:ロシュ細胞増殖アッセイ。メーカーの指示に従って発光。
●EC50濃度は、Graphpad Prism 4.0データ分析ソフトウェア を使用して決定した。
【0159】
10.HDP 30.2560およびHDP 30.2540複合体のin vitro細胞毒
SKBR-3、JIMT-1、LnCap、および22rv1細胞でのBrdU細胞増殖アッセイ
アッセイは、以下の変更を加えて上記(9.)に従って行った。
【0160】
細胞培養プレートは、ポリ-D-リジンを用いて被覆されていなかった。
●ADCの希釈スキーム:
●ストック溶液を、増殖培地で、1.0x10-6モルに希釈した
さらなる希釈:
A:100μl 1.0x10-6
B:80μL増殖培地+20μL溶液A(1:5希釈)
C:80μL増殖培地+20μL溶液B(1:5希釈)
D:80μL増殖培地+20μL溶液C(1:5希釈)
E:80μL増殖培地+20μL溶液D(1:5希釈)
F:80μL増殖培地+20μL溶液E(1:5希釈)
G:80μL増殖培地+20μL溶液F(1:5希釈)
H:80μL増殖培地+20μL溶液G(1:5希釈)
●各溶液10マイクロリットルをウェル3組に加えた。
最終容量:100マイクロリットル/ウェル。
最終用量:開始1x10-7Mから;1:5希釈系列
Raji細胞およびNalm-6細胞における、WST-Iアッセイ:
●2.0x103細胞/ウェルを有する透明なFボトムの96ウェルプレートおよび10%のFCSおよびサプリメントを含む、ウェル当たり90マイクロリットルのそれぞれの増殖培地を準備した。
対照:「ブランク」は、細胞を含まない100マイクロリットルの培地で設定した。「細胞のみ」は、100マイクロリットルの培地中の細胞を設定した。
●37℃、5%CO2で24時間のインキュベーション
●ADCの希釈スキーム:
●ストック溶液を、増殖培地で、1.0x10-6モルに希釈した
さらなる希釈:
A:100μL 1.0x10-6モル
B:80μL増殖培地+20μL溶液A(1:5希釈)
C:80μL増殖培地+20μL溶液B(1:5希釈)
D:80μL増殖培地+20μL溶液C(1:5希釈)
E:80μL増殖培地+20μL溶液D(1:5希釈)
F:80μL増殖培地+20μL溶液E(1:5希釈)
G:80μL増殖培地+20μL溶液F(1:5希釈)
H:80μL増殖培地+20μL溶液G(1:5希釈)
●各溶液10マイクロリットルをウェル3づつに加えた。
最終容量:100マイクロリットル/ウェル。
最終用量:開始1x10-7モルから;1:5希釈系列
●37℃、5%CO2で、96時間のインキュベーション
●96時間後:製造元の指示に従って、Roche WST-1細胞増殖アッセイ。
●EC50濃度は、Graphpad Prism 4.0データ分析ソフトウェアを使用して決定した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7