(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】コンパクトな可変形状ディフューザ機構
(51)【国際特許分類】
F04D 29/46 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
F04D29/46 F
(21)【出願番号】P 2020517099
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(86)【国際出願番号】 US2018052254
(87)【国際公開番号】W WO2019060751
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-08-30
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010511
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】スタイナー、 ジョーダン キュー.
(72)【発明者】
【氏名】スネル、 ポール ダブリュー.
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-031876(JP,A)
【文献】特開平07-310697(JP,A)
【文献】特開2009-174350(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0260987(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0096663(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44 - 20/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心圧縮機用のディフューザシステムであって、
ハウジングの対向する内面と協働してディフューザ間隙を画定するノズルベースプレートであって、前記ノズルベースプレートの表面は、前記ディフューザ間隙に隣接する溝を有するノズルベースプレートと、
前記ディフューザ間隙の反対側の前記ノズルベースプレートの裏面から延在する複数の支持ブロックと、
アクチュエータによって前記複数の支持ブロックに対して第1の位置と第2の位置の間で回転可能な駆動リングであって、
前記駆動リングの外周面に近接して配置された複数の第1のカムトラック
、複数の第2のカムトラック、及
び複数の支持部アセンブリを備える駆動リングと、
複数の駆動ピンであって、各駆動ピンが、対応する支持ブロック及び前記ノズルベースプレートを通って延び、各駆動ピンの第1の端部が、前記駆動リングの前記複数の第1のカムトラックの1つに取り付けられたカムフォロアを含み、各駆動ピンの第2の端部が、前記ノズルベースプレートを通って、前記ノズルベースプレートの前記表面の前記溝の中に延びる、複数の駆動ピンと、
各駆動ピンの前記第2の端部に結合され、前記ノズルベースプレートの前記溝の中に延びるディフューザリングと
を備えるディフューザシステム。
【請求項2】
前記複数の支持部アセンブリが軸方向支持部アセンブリ及び半径方向支持部アセンブリを備える、請求項1に記載のディフューザシステム。
【請求項3】
前記半径方向支持部アセンブリが、前記駆動リングの前記外周面と接触するローラ部材を備え、前記ローラ部材は前記駆動リングが回転するときに前記駆動リングの半径方向の移動に抵抗するように構成される、請求項2に記載のディフューザシステム。
【請求項4】
前記半径方向支持部アセンブリ及び前記軸方向支持部アセンブリが、前記複数の支持ブロックのうちの第1の支持ブロックに結合され、前記複数の駆動ピンのうちの1つの駆動ピンが、前記複数の支持ブロックのうちの第2の支持ブロックの中に延びる、請求項2に記載のディフューザシステム。
【請求項5】
前記軸方向支持部アセンブリが、前記駆動リングの前記複数の第2のカムトラックの1つに取り付けられた支持部材を備え、前記支持部材は前記駆動リングが回転するときに前記駆動リングの軸方向の移動に抵抗するように構成される、請求項
2に記載のディフューザシステム。
【請求項6】
前記複数の第2のカムトラックのそれぞれが、前記駆動リングの上面及び底面と実質的に平行である、請求項
1に記載のディフューザシステム。
【請求項7】
前記複数の第1のカムトラックのそれぞれが、前記駆動リングの前記上面及び前記底面に対して傾斜している、請求項6に記載のディフューザシステム。
【請求項8】
前記
駆動リングの前記第2の位置が、前記ディフューザ間隙を完全に閉鎖し、前記ディフューザ間隙を通過する流体の流れを阻止するように構成される、請求項1に記載のディフューザシステム。
【請求項9】
流体を圧縮するための可変容量型遠心圧縮機用のシステムであって、
ハウジングと、
入口を通して導入された流体を圧縮するために前記ハウジングに回転可能に取り付けられたインペラと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記インペラを出る流体の流れを安定させるように構成されたディフューザシステムと
を備え、前記ディフューザシステムは、
前記ハウジングの対向する内面と協働してディフューザ間隙を画定するノズルベースプレートであって、前記ノズルベースプレートの表面は、前記ディフューザ間隙に隣接する溝を有するノズルベースプレートと、
前記ディフューザ間隙の反対側の前記ノズルベースプレートの裏面に配置された複数の支持ブロックと、
アクチュエータによって前記複数の支持ブロックに対して第1の位置と第2の位置の間で回転可能な駆動リングであって、
前記駆動リングの外周面に近接して配置された複数の第1のカムトラック
、複数の第2のカムトラック、及
び複数の支持部アセンブリを備える駆動リングと、
複数の駆動ピンであって、各駆動ピンが、対応する支持ブロック及び前記ノズルベースプレートを通って延び、各駆動ピンの第1の端部が、前記駆動リングの前記複数の第1のカムトラックの1つに取り付けられたカムフォロアを含み、各駆動ピンの第2の端部が、前記ノズルベースプレートを通って、前記ノズルベースプレートの前記表面の前記溝の中に延びる、複数の駆動ピンと、
各駆動ピンの前記第2の端部に結合され、前記ノズルベースプレートの前記溝の中に延びるディフューザリングと
を備え、
前記駆動リングが前記第1の位置と前記第2の位置の間で回転すると、前記複数の第1のカムトラック内の前記カムフォロアの移動により前記複数の駆動ピンが軸方向に移動し、これにより前記ディフューザリングが第1のディフューザリング位置と第2のディフューザリング位置の間で移動し、前記ディフューザ間隙を通る流体の流れを制御する、システム。
【請求項10】
前記複数の支持部アセンブリが軸方向支持部アセンブリ及び半径方向支持部アセンブリを備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記半径方向支持部アセンブリが、前記駆動リングの前記外周面と接触するローラ部材を備え、前記ローラ部材は前記駆動リングが回転するときに前記駆動リングの半径方向の移動に抵抗するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記半径方向支持部アセンブリ及び前記軸方向支持部アセンブリが、前記複数の支持ブロックのうちの第1の支持ブロックに結合され、前記複数の駆動ピンのうちの1つの駆動ピンが、前記複数の支持ブロックのうちの第2の支持ブロックの中に延びる、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記軸方向支持部アセンブリが、前記駆動リングの前記複数の第2のカムトラックの1つに取り付けられた支持部材を備え、前記支持部材は前記駆動リングが回転するときに前記駆動リングの軸方向の移動に抵抗するように構成される、請求項
10に記載のシステム。
【請求項14】
前記
駆動リングの前記第2の位置が、前記ディフューザ間隙を完全に閉鎖し、前記インペラを出る流体の前記流れが前記ディフューザ間隙を通って流れることを阻止するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記インペラが高比速度インペラである、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記流体が冷媒である、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記冷媒がR1233zdである、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
遠心圧縮機用のディフューザシステムであって、
対向する内面と協働してディフューザ間隙を画定するノズルベースプレートと、
前記ディフューザ間隙の反対側の前記ノズルベースプレートの裏面から延在する複数の支持ブロックと、
アクチュエータによって前記複数の支持ブロックに対して第1の位置と第2の位置の間で回転可能な駆動リングであって、
前記駆動リングの外周面に近接して配置された複数の
第1のカムトラック
、及び複数の第2のカムトラックを備える駆動リングと、
前記駆動リングの
前記外周面に近接して配置され、前記駆動リングの半径方向及び軸方向の両方の移動に抵抗するように構成された複数の支持部アセンブリと、
複数の駆動ピンであって、各駆動ピンが、対応する支持ブロック及び前記ノズルベースプレートを通って延び、各駆動ピンの第1の端部が、前記駆動リングの前記複数の
第1のカムトラックの1つに取り付けられたカムフォロアを含み、各駆動ピンの第2の端部が、前記ノズルベースプレートを通って延びる、複数の駆動ピンと、
各駆動ピンの前記第2の端部に結合されたディフューザリングと
を備えるディフューザシステム。
【請求項19】
前記複数の支持部アセンブリが、V溝支持部アセンブリを備え、前記V溝支持部アセンブリが、
V字形に延びる2つのフランジを備える外側リングと、
内側リングであって、前記内側リングに対して前記外側リングが回転することを許容するように構成された内側リングと
を備える、請求項18に記載のディフューザシステム。
【請求項20】
前記駆動リングが、互いに直角に位置するベース部分及び延長部分を備え、前記延長部分は前記外側リングの前記2つのフランジと接触するように構成される、請求項19に記載のディフューザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月25日に出願された米国仮特許出願第62/562,682号の利益及びそれに付与された優先権を主張するものであり、前記仮特許出願の全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
建物は、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムを含んでいる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の1つの実装形態は、遠心圧縮機用のディフューザシステムである。ディフューザシステムは、ディフューザ間隙を画定するノズルベースプレート、支持ブロック、及び支持ブロックに対して回転可能な駆動リングを含む。駆動リングは、カムトラック及び駆動リングの外周に近接して配置された支持部アセンブリを含む。ディフューザシステムは、支持ブロック及びノズルベースプレートを通って延びる駆動ピンをさらに含む。各駆動ピンの第1の端部は、駆動リングのカムトラックに取り付けられたカムフォロアを含む。各駆動ピンの第2の端部は、ディフューザリングに結合されている。駆動リングが回転すると、カムトラック内のカムフォロアの移動により駆動ピンが軸方向に移動する。この結果、ディフューザリングが移動し、ディフューザ間隙を通る流体の流れを制御する。
【0004】
支持部アセンブリは、軸方向支持部アセンブリ及び半径方向支持部アセンブリを含み得る。半径方向支持部アセンブリは、駆動リングの外周面と接触するローラ部材を含み得る。ローラ部材は、駆動リングが回転するとき、駆動リングの半径方向の動きに抵抗し得る。駆動は、カムトラックの第2の組を含み得る。軸方向支持部アセンブリは、カムトラックの第2の組の1つに取り付けられた支持部材を含み得る。支持部材は、駆動リングが回転するときに、駆動リングの軸方向の動きに抵抗し得る。カムトラックの第2の組は、駆動リングの上面及び底面に平行であり得る。カムトラックの他の組は、駆動リングの上面及び底面に対して傾斜していてもよい。ディフューザリングの第2の位置は、ディフューザ間隙を完全に閉鎖し得、ディフューザ間隙を通る流体の流れを防止し得る。
【0005】
本開示の別の実装形態は、流体を圧縮するための可変容量型遠心圧縮機のためのシステムである。システムは、ハウジング、入口を通して導入された流体を圧縮するためにハウジングに回転可能に取り付けられたインペラ、及びハウジングに取り付けられ、インペラを出る流体の流れを安定させるように構成されたディフューザシステムを含む。ディフューザシステムは、ディフューザ間隙を画定するノズルベースプレート、支持ブロック、及び支持ブロックに対して回転可能な駆動リングを含む。駆動リングは、カムトラック及び駆動リングの外周に近接して配置された支持部アセンブリを含む。ディフューザシステムは、支持ブロック及びノズルベースプレートを通って延びる駆動ピンをさらに含む。各駆動ピンの第1の端部は、駆動リングのカムトラックに取り付けられたカムフォロアを含む。各駆動ピンの第2の端部は、ディフューザリングに結合されている。駆動リングが回転すると、カムトラック内のカムフォロアの移動により駆動ピンが軸方向に移動する。この結果、ディフューザリングが移動し、ディフューザ間隙を通る流体の流れを制御する。
【0006】
支持部アセンブリは、軸方向支持部アセンブリ及び半径方向支持部アセンブリを含み得る。半径方向支持部アセンブリは、駆動リングの外周面と接触するローラ部材を含み得る。ローラ部材は、駆動リングが回転するとき、駆動リングの半径方向の動きに抵抗し得る。駆動は、カムトラックの第2の組を含み得る。軸方向支持部アセンブリは、カムトラックの第2の組の1つに取り付けられた支持部材を含み得る。支持部材は、駆動リングが回転するときに、駆動リングの軸方向の動きに抵抗し得る。ディフューザリングの第2の位置は、ディフューザ間隙を完全に閉鎖し得、ディフューザ間隙を通る流体の流れを防止し得る。インペラは、高比速度インペラであり得る。流体は冷媒であり得る。冷媒はR1233zdであり得る。
【0007】
本開示のさらに別の実装形態は、遠心圧縮機のためのディフューザシステムである。ディフューザシステムは、対向する内面と協働してディフューザ間隙を画定するノズルベースプレート、支持ブロック、及び支持ブロックに対して回転可能な駆動リングを含む。駆動リングはカムトラックを含む。ディフューザシステムは、駆動リングの外周面上に配置され、半径方向及び軸方向の両方における駆動リングの移動に抵抗する支持部アセンブリをさらに含む。ディフューザシステムは、支持ブロック及びノズルベースプレートを通って延びる駆動ピンをさらに含む。各駆動ピンの第1の端部は、駆動リングのカムトラックに取り付けられたカムフォロアを含む。各駆動ピンの第2の端部は、ディフューザリングに結合されている。
【0008】
支持部アセンブリは、外側リング及び内側リングを有するV溝支持部アセンブリを含み得る。外側リングは、V字形に延びる2つのフランジを含む。内側リングは、内側リングに対する外側リングの回転を許容する。駆動リングは、互いに直角に位置するベース部分及び延長部分を含み得る。延長部分は、外側リングの2つのフランジと接触し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】いくつかの実施形態による、チラーアセンブリの斜視図である。
【0010】
【
図2】いくつかの実施形態による、
図1のチラーアセンブリの立面図である。
【0011】
【
図3】いくつかの実施形態による、
図1のチラーアセンブリで使用され得る圧縮機及びモータアセンブリの斜視図である。
【0012】
【
図4】いくつかの実施形態による、遠心圧縮機で使用される可変形状ディフューザ(VGD)の断面図である。
【0013】
【
図5】いくつかの実施形態による、
図3のVGDのノズルベースプレート及び駆動リングサブアセンブリの斜視図である。
【0014】
【
図6】いくつかの実施形態による、
図5のノズルベースプレート及び駆動リングサブアセンブリの斜視図である。
【0015】
【
図7】いくつかの実施形態による、
図5のノズルベースプレート及び駆動リングサブアセンブリの詳細図である。
【0016】
【
図8】いくつかの実施形態による、非コンパクト設計VGDの詳細図である。
【0017】
【
図9】いくつかの実施形態による、コンパクト設計VGDの詳細図である。
【0018】
【
図10】いくつかの実施形態による、
図9のコンパクト設計VGDで使用される駆動リングの立面図である。
【0019】
【
図11】いくつかの実施形態による、V溝カムフォロア支持部の斜視図である。
【0020】
【
図12】いくつかの実施形態による、V溝カムフォロア支持部及び駆動リングアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
全体的に図を参照すると、チラーアセンブリの遠心圧縮機のインペラで使用するためのコンパクトな可変形状ディフューザ(VGD:variable geometry diffuser)が示されている。遠心圧縮機は、チラーなど、流体を圧縮する必要がある様々な装置で有用である。この圧縮を行うために、遠心圧縮機は回転構成要素を利用して、角運動量を流体の静圧上昇に変換する。
【0022】
遠心圧縮機は、4つの主要構成要素:入口、インペラ、ディフューザ、及び収集器又はボリュートを含むことができる。入口は、流体(例えば、冷媒)を圧縮機に引き込み、流体をインペラに送達する単純なパイプを含むことができる。場合によっては、入口は、インペラ入口への流体の軸方向の流れを確実にする入口ガイドベーンを含み得る。インペラは、流体がインペラの中心(インペラアイとしても知られている)からインペラの外周縁(インペラの先端としても知られている)に移動するときに、流体のエネルギーを徐々に上げるベーンの回転するセットである。流体経路内のインペラの下流にはディフューザ機構があり、これは流体を減速させて流体の運動エネルギーを静圧エネルギーに変換する働きをする。ディフューザを出ると、流体は収集器又はボリュートに入り、そこで収集器又はボリュートの形状により、運動エネルギーが静圧にさらに変換される。いくつかの実装形態では、収集器又はボリュートは、スクロール構成要素と一体的に形成され、スクロール構成要素は、圧縮機の他の構成要素、例えば、インペラ及びディフューザを収容することができる。
【0023】
ディフューザ機構は、ディフューザ間隙を通る流れが妨げられない第1の後退位置と、ディフューザリングがディフューザ間隙内に延びてディフューザ間隙を通る流体の流れを変更する第2の前進位置との間で移動可能なディフューザリングを備えた可変形状ディフューザ(VGD)機構であってもよい。多くの場合、圧縮機を通って流れる流体の量又は圧縮機によって生成された圧力差を変化させることが望ましい。例えば、圧縮機を通る流体の流れが減少し、同じ圧力差がインペラを横切って維持される場合、圧縮機を通る流体の流れは不安定になる可能性がある。流体の一部が圧縮機内で失速し、失速した流体のポケットがインペラと共に回転し始める可能性がある。これらの流体の失速したポケットは、それらが圧縮機内で引き起こすノイズ、振動、及び効率の低下により問題となり、回転失速又は初期サージとして知られる状態をもたらす可能性がある。流体の流れがさらに減少すると、流体の流れはさらに不安定になり、サージとして知られる流体の流れの完全な逆転を引き起こすことさえある。サージは、流体が圧縮機を前後に交互に流れることを特徴とし、ノイズ、振動、圧縮機の効率の低下に加えて、圧力スパイクや圧縮機の損傷をもたらす可能性がある。
【0024】
インペラ出口でディフューザの形状を変えることにより、回転の失速、初期サージ、及びサージの望ましくない影響を最小限に抑えることができる。低い流体流量で動作している場合、VGD機構のディフューザリングを作動させて、インペラ出口のディフューザ間隙のサイズを減少することができる。面積の減少により、流体の失速及びインペラを通るサージの戻りが防止される。流体流量が増加すると、VGD機構のディフューザリングを作動させて、ディフューザ間隙のサイズを増大して、追加の流れのためのより大きな面積を提供することができる。VGD機構は、圧縮機によって生成される圧力差の変化に応じて調整することもできる。例えば、圧力差が大きくなると、VGD機構のディフューザリングを作動させて、ディフューザ間隙のサイズを減少して、流体の失速やサージを防ぐことができる。逆に、圧力差が大きくなると、VGD機構のディフューザリングを作動させて、ディフューザ間隙のサイズを増大して、インペラ出口でより大きな面積を提供することができる。失速とサージを防止することに加えて、VGD機構は、容量制御、圧縮機バックスピン及び圧縮機バックスピン中の関連する過渡負荷の最小化、及び起動時の過渡現象の最小化にさらに利用することができる。
【0025】
圧縮機用に選択されたインペラの種類は、圧縮機の他の構成要素、特にVGD機構に設計上の影響を与える可能性がある。例えば、インペラの先端直径対インペラのアイ直径の典型的な比は、1.5から3.0の範囲であり得、1.5の比はより高い比速度タイプのインペラを表し、3.0の比はより低い比速度タイプのインペラを表す。換言すると、遠心圧縮機でより高い比速度のインペラが使用される場合、インペラの中央入口は、インペラの外径に比べて大きい。低い比速度タイプのインペラは主に遠心力を介して水圧ヘッドを発展させ、高い比速度タイプのインペラは遠心力と軸力の両方を介してヘッドを発展させる。インペラの中央入口又はアイがVGD機構の特定の構成要素に近接して配置されている可能性があるため、高比速度タイプのインペラは、通常であればVGD機構用に確保されているであろうスペースに侵入する可能性がある。したがって、圧縮機内にインペラを取り付けるために利用できるスペースの量を最大化するVGD機構設計は有用であり得る。
【0026】
図1~2を参照すると、チラーアセンブリ100の例示的な実装形態が示されている。チラーアセンブリ100は、モータ104によって駆動される圧縮機102と、凝縮器106と、蒸発器108とを含むように示されている。冷媒は、蒸気圧縮サイクルにおいてチラーアセンブリ100を通って循環される。チラーアセンブリ100はまた、チラーアセンブリ100内の蒸気圧縮サイクルの動作を制御するための制御パネル114を含むことができる。
【0027】
モータ104は、可変速度ドライブ(VSD)110によって電力を供給され得る。VSD110は、特定の固定ライン電圧及び固定ライン周波数を有する交流(AC)電力をAC電源(図示せず)から受け取り、可変電圧及び周波数を有する電力をモータ104に提供する。モータ104は、VSD110によって電力を供給されることができるよりも任意のタイプの電気モータであり得る。例えば、モータ104は、高速誘導モータであり得る。圧縮機102は、モータ104によって駆動され、蒸発器108から吸入ライン112を介して受け取った冷媒蒸気を圧縮し、放出ライン124を介して冷媒蒸気を凝縮器106に送達する。圧縮機102は、遠心圧縮機、スクリュ圧縮機、スクロール圧縮機、タービン圧縮機又は任意の他のタイプの適切な圧縮機であり得る。図に示される実装形態では、圧縮機102は遠心圧縮機である。
【0028】
蒸発器108は、内部管束(図示せず)と、内部管束にプロセス流体を供給するための供給ライン120と、プロセス流体を除去するための戻りライン122とを含む。供給ライン120及び戻りライン122は、プロセス流体を循環させる導管を介して、HVACシステム内の構成要素(例えば、空調機)と流体連通することができる。プロセス流体は、建物を冷却するためのチルド液体であり、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、又は任意の他の適切な液体であり得るが、これらに限定されない。蒸発器108は、プロセス流体が蒸発器108の管束を通過し、熱を冷媒と交換するときに、プロセス流体の温度を下げるように構成される。冷媒蒸気は、蒸発器108に送達された冷媒液体がプロセス流体と熱を交換し、相変化を受けて冷媒蒸気になることにより、蒸発器108内で形成される。
【0029】
圧縮機102によって凝縮器106に送達された冷媒蒸気は、熱を流体に伝達する。冷媒蒸気は、流体との熱伝達の結果として、凝縮器106内で冷媒液体に凝縮する。凝縮器106からの冷媒液体は、膨張装置(図示せず)を通って流れ、蒸発器108に戻され、チラーアセンブリ100の冷媒サイクルを完了する。凝縮器106は、凝縮器106とHVACシステムの外部構成要素(例えば、冷却塔)との間で流体を循環させるための供給ライン116及び戻りライン118を含む。戻りライン118を介して凝縮器106に供給された流体は、凝縮器106内の冷媒と熱を交換し、供給ライン116を介して凝縮器106から除去されて、サイクルを完了する。凝縮器106を通って循環する流体は、水又は他の任意の適切な液体であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、冷媒は、400kPa未満又は約58psiの動作圧力を有する。さらなる実施形態では、冷媒はR1233zdである。R1233zdは、商業用チラーアセンブリで使用されている他の冷媒と比較して、地球温暖化係数(GWP)が低い不燃性フッ素化ガスである。GWPは、1トンの二酸化炭素の排出と比較して、1トンのガスの排出が所与の期間に吸収するエネルギー量を定量化することにより、様々なガスの地球温暖化影響の比較を可能にするために開発されたメトリックである。
【0031】
ここで
図3を参照すると、圧縮機102及びモータ104の斜視図が示されている。図示のように、アクチュエータ126は、圧縮機102の外面に近接して配置することができる。アクチュエータ126は、駆動リングを回転させる目的でVGDに結合することができる任意の適切なタイプのアクチュエータ又は作動手段とすることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ126は、一連のリンケージを使用してVGDに結合される。駆動リングの回転のさらなる詳細は、
図7を参照して以下に含まれる。
【0032】
ここで
図4を参照すると、いくつかの実施形態による、圧縮機102内のVGD200の断面図が示されている。示されるように、圧縮機102は、ディフューザプレート202、インペラ204、ノズルベースプレート206、及び吸引プレートハウジング252を含み得る。いくつかの実施形態において、ディフューザプレート202は、圧縮機ハウジング(図示せず)の構成要素と一体である。他の実施形態では、ディフューザプレート202は、留め具で圧縮機ハウジングに取り外し可能に結合される。ディフューザプレート202は、ノズルベースプレート206及び吸引プレートハウジング252の反対側に配置されるように示されている。
図6~8を参照して以下でさらに詳細に記載されるノズルベースプレート206は、留め具で吸引プレートハウジング252に取り外し可能に結合されてもよい。吸引プレートハウジング252は、吸引口パイプ又は圧縮機ハウジングの別の構成要素に結合されて、冷媒のための入口通路を形成することができる。様々な実施形態では、ディフューザプレート202、ノズルベースプレート206、及び吸引プレートハウジング252は、鋳造又は機械加工プロセスを使用して製造される。
【0033】
インペラ204の回転は、流体に仕事を与え、それによってその圧力を増加させる。上述のように、いくつかの実施形態では、インペラ204は、高比速度VGDである。流体は通常、冷媒であり、インペラ入口250から入る。インペラ204を通過した後、より高速の冷媒はインペラ204を出て、ディフューザ間隙212を通過し、収集器又はボリュートへ、最終的に圧縮機出口へ向けられる。
【0034】
ディフューザリング208は、溝210に組み込まれる。いくつかの実施形態では、溝210は、ノズルベースプレート206及び/又は吸引プレートハウジング252の表面に機械加工される。他の実施形態では、溝210は、ノズルベースプレート206及び吸引プレートハウジング206が互いに結合されるときに、それら構成要素の形状によって形成される。ディフューザリング208は、溝210から離れて、ディフューザプレート202とノズルベースプレート206とを分離するディフューザ間隙212内に移動可能である。完全に後退した位置では、ディフューザリング208は、溝210に入れ子にされ、ディフューザ間隙212は最大流れの条件になる。(
図4に示すような)完全に前進した位置では、ディフューザリング208はディフューザ間隙212を実質的に横切って延び、本質的にディフューザ間隙212を閉鎖する。ディフューザリング208は完全後退位置と完全前進位置の中間のいずれかの位置に移動可能である。いくつかの実施形態では、ディフューザリング208は、ほぼ環状の形状及び長方形の断面を有するが、ディフューザリング208は、ディフューザ間隙212を通る所望の流れ特性を達成するために任意の断面(例えば、L形状)を有することができる。
【0035】
ディフューザリング208は、複数の駆動ピン214に(例えば、留め具を介して)取り付けられる。各駆動ピン214は、第1の端部254及び第2の端部256を含む。様々な実施形態では、駆動ピン214の第1の端部254は、ディフューザリング208にボルト締め、溶接又はろう付けされ得る。さらなる実施形態では、駆動ピン214は、環状ディフューザリング208のねじ穴にねじ込まれる駆動ピン214の第1の端部254のねじ山部分によって、ディフューザリング208にしっかりと接続されてもよい。各駆動ピン214は、駆動ピン214をカムフォロア218に結合するために使用される第2の端部256上の開口部を含む。カムフォロア218のさらなる詳細は、
図8を参照して以下に含まれる。
【0036】
ここで
図5~7を参照すると、いくつかの実施形態による、
図4のVGD200のノズルベースプレート206及び駆動リング220の斜視図及び立面図が示されている。示されるように、駆動リング220は、形状が概して環状であり、上面228、内周面230、外周面238、及び底面240を含む。圧縮機102に取り付けられると、VGD200は、
図4を参照して上述したように、駆動リング220の上面228が圧縮機102の吸引口に近接して配置され、駆動リング220の底面240がディフューザ間隙212に近接して配置されるように向けられ得る。駆動リング220は、駆動リング220の下に延びる支持ブロック216及び246に組み付けられる。いくつかの実装形態では、支持ブロック216及び246は、(例えば、鋳造又は機械加工プロセスを使用して)ノズルベースプレート206と一体に形成される。他の実装形態では、支持ブロック216及び246は、(例えば、ボルト又はピンなどの留め具を使用して)後でノズルベースプレート206に組み付けられる別個の構成要素として製造される。
【0037】
支持ブロック216は、駆動ピン214を使用して駆動リング220へのディフューザリング208の接続を容易にし得る一方、支持ブロック246は、軸方向支持部アセンブリ232及び半径方向支持部アセンブリ234の両方を収容し得る。具体的に
図6に示されるように、支持ブロック216及び246は、各支持ブロック216が両側に支持ブロック246を含み、その逆も同様であるように、ノズルベースプレート206の周りで交互にされ得る。
図6に示される実装形態では、VGD200は5つの支持ブロック216及び5つの支持ブロック246を含むので、VGD200は5つの駆動ピン214、5つの軸方向支持部アセンブリ232、及び5つの半径方向支持部アセンブリ234を含む。支持ブロック216及び246は、ノズルベースプレート206の周囲に等しく分散され得るので、各支持ブロック216及び246は、およそ72°おきの間隔(例えば、±10%)で配置され得る。他の実施形態では、VGDは、異なる数の支持ブロック216及び246、並びに対応する異なる数の駆動ピン214、軸方向支持部アセンブリ232、及び半径方向支持部アセンブリ234を含み得る。
【0038】
駆動ピン214は、支持ブロック216に組み付けられ、ノズルベースプレート206を通って下方に延びる。駆動ピン214は、ノズルベースプレート206の穴を通って延びるため、及びノズルベースプレート206は吸引プレートハウジング252に取り付けられるため、駆動ピン214は、ディフューザリング208の回転運動を防止する。駆動ピン214は、カムトラック224内に組み付けられるカムフォロア218に結合される。例えば、カムフォロア218は、駆動ピン214の開口部を通して組み付けられ、ナットで駆動ピン214に固定され得る。他の実施形態では、カムフォロア218が駆動ピン214に対して自由に回転する限り、カムフォロア218を駆動ピン214に固定するために、別の取り付け方法(例えば、ロックピン配置)を利用することができる。カムトラック224は駆動リング220の外周面238に形成された溝である。各カムトラック224は、カムフォロア218を受け入れるために、予め選択された深さ及び予め選択された幅で形成されてもよく、支持ブロック216に対応し、それとつがいになってもよい。したがって、
図6に示される実装形態では、駆動リング220は、5つの支持ブロック216に対応する5つのカムトラック224を有するであろう。
【0039】
特に
図7を参照すると、軸方向支持部アセンブリ226及び半径方向支持部アセンブリ234の斜視図が示されている。軸方向支持部アセンブリ226は、軸方向支持部232のための支持構造258と、支持構造258を支持ブロック246に固定するための取り付け手段(図示せず)とを備える。軸方向支持部232を支持構造258に固定するために、任意の適切な手段(例えば、ナット)を使用することができる。軸方向支持部232は、
図10を参照して以下でさらに詳細に記載される軸方向カムトラック242内に組み付けられる。軸方向支持部232は、駆動リング220が回転するとき、駆動リング220の軸方向移動に抵抗する。いくつかの実装形態では、軸方向支持部232はまた、駆動リング220の軸方向位置に対するわずかな調整を可能にする。駆動リング220が回転するときの駆動リング220の軸方向移動に抵抗できる任意の他の適切な軸方向支持部アセンブリを利用することができる。
【0040】
図7はまた、支持ブロック246上に設置された半径方向支持部アセンブリ234を示す。半径方向支持部アセンブリ234は、ローラ236を含む。ローラ236は、部分的にねじが切られたシャフト260を使用して、支持ブロック246に固定され得るが、ローラ236は、部分的にねじが切られたシャフト260に対して自由に回転することを許容され得る。半径方向支持部アセンブリ234は、駆動リング220が回転するときの駆動リング220の半径方向移動に抵抗する。駆動リング220が回転するときの駆動リング220の半径方向移動に抵抗することができる任意の他の適切な半径方向支持部アセンブリを利用することができる。
【0041】
VGD200の動作は、以下のように進行し得る:圧縮機102内で失速又はサージ状態が(例えば、センサによって)検出されると、作動手段(例えば、アクチュエータ126)が、駆動リング220の回転を引き起こす。駆動リング220は、それが支持ブロック216及び246上に存在する平面内の回転運動に制限される。駆動リング220が回転すると、カムフォロア218のそれぞれは、カムトラック溝が駆動リング220の上面228に近接するカムトラック224の第1の位置からトラックに沿って駆動リング220の底面240に向かって移動する。駆動リング220及びカムトラック224が回転すると、カムフォロア218は、トラック224に沿って下方に押される。フォロア218が下方に移動するとき、駆動ピン214は支持ブロック216内に移動する。ディフューザリング208は、ノズルプレート206の反対側で駆動ピン214の反対端部(すなわち、駆動ピン214の第1の端部254)に取り付けられているので、駆動ピン214の支持ブロック216内への移動は、駆動ピン214の第1の端部254を溝210から離し、ディフューザリング208をディフューザ間隙212内に移動させる。制御システムに応じて、アクチュエータ又は他の作動手段が、作動手段の完全後退位置と完全前進位置の間の中間の任意の位置で駆動リング220の回転を停止し得る。これにより、ディフューザリング208は、完全前進位置と溝210内の完全後退位置との間の任意の位置で停止する。
【0042】
次に
図8を参照すると、VGD200の非コンパクトな実装形態の詳細図が示されている。例えば、
図8の実装形態は、インペラの最も広い部分(すなわち、先端)の直径対インペラのアイの直径の比が比較的大きい(例えば、約3.0)、低比速度インペラで利用することができる。示されるように、駆動リング220は、半径方向支持部アセンブリ234及び軸方向支持部アセンブリ226を用いて支持ブロック216に組み付けられる。ローラ236を有する半径方向支持部アセンブリ234及び軸方向支持部232を有する軸方向支持部アセンブリ226の両方は、駆動リング220の内周面230に取り付けられる。対照的に、駆動ピン214は、駆動リング220の外周面238に取り付けられている。
【0043】
ここで
図9を参照すると、VGD200のコンパクトな実装形態の詳細図が示されている。
図8に示す実装形態とは対照的に、(
図4~7と同様に)
図9に示されるVGDは、インペラの最も広い部分の直径対インペラのアイの直径が比較的小さい(例えば、約1.5)、高比速度インペラで利用することができる。示されるように、駆動リング220は、半径方向支持部アセンブリ234及び軸方向支持部アセンブリ226を用いて支持ブロック216に組み付けられる。
図8を参照して上述した構成と違い、
図9に示される構成は、駆動リング220の外周面238に取り付けられた、駆動ピン214、ローラ236を有する半径方向支持部アセンブリ234、及び軸方向支持部232を有する軸方向支持部アセンブリ226のそれぞれを含む。上述のように、
図9に示される構成は、インペラアイのサイズが内周面230によって囲まれた領域内の利用可能なスペースを制限するVGDでの使用に最適である。半径方向支持部アセンブリ234及び軸方向支持部アセンブリ226を駆動リング220の外周面238に再配置することにより、VGD200によって利用されるスペースが最適化される。
【0044】
ここで
図10を参照すると、いくつかの実施形態による、駆動リング220の立面図が示されている。駆動リング220は、駆動リング220の外周面238上に分散された複数のカムトラック224及び242を含むように示され、したがって、
図4~7及び9に示されるコンパクトなVGD設計と共に利用され得る。カムトラック224は、駆動リング220の底面240から駆動リング220の上面228に向かって延び、これらの表面間である角度で、好ましくは実質的に直線状に延びるように示されている。駆動リング220の底面240に近接するカムトラック224の端部において、トラックは、カムフォロア218をカムトラック224内に組み付けるためのアクセスを提供するために底面240まで延びる部分262を含む。カムトラック224が駆動リング220の軸と平行に延びる距離は、実質的にディフューザ間隙212の幅に対応する。カムトラック224の角度は、任意の予め選択された角度とすることができる。角度が浅くなるにつれて、駆動リング220の制御、及びそれに対応して、ディフューザリング208の制御がより正確になる。
【0045】
軸方向カムトラック242は、駆動リング220の上面228及び底面240に対して実質的に平行な方向に延びるように示されている。各カムトラック242は、軸方向支持部232を受け入れるように予め選択された深さ及び予め選択された幅で形成され得る。さらに、各カムトラック242は、両端部で円形カット244で終端し得る。円形カット244は、軸方向カムトラック242切断するために使用される工具の取り外しを容易にし得る。
【0046】
図示のように、軸方向カムトラック242は、カムトラック224が占める軸方向空間に配置又は「入れ子」にすることができる。この構成は、駆動リング220の軸方向寸法及びVGD200全体の両方を低減する。さらに、カムトラック224及び242の寸法(例えば、幅、深さ)は、駆動リング220の製造プロセスを最適化し得る。例えば、カムトラック224及び242は、フライス加工プロセスを使用して成形することができ、同じフライス工具を、両方のカムトラック224及び242を切断するために使用することができる。両方のカムトラック224及び242に同一のフライス工具を使用すると、必要な機械工具の設定が少なくなるため、完成部品の精度が向上し得る。
【0047】
次に
図11を参照すると、いくつかの実施形態による、V溝カムフォロア支持部300の斜視図が示されている。様々な実施形態において、V溝カムフォロア支持部300は、軸方向支持部アセンブリ226及び半径方向支持部アセンブリ234の両方の代わりに使用されてもよい。なぜなら、V溝支持部300の形状は、半径方向及び軸方向の両方における動きを同時に制限できるからである。示されるように、支持部300は、外側リング302及び内側リング304を含む。外側リング302は、V字形断面に延びる2つの対称的なフランジを含み得る。内側リング304は、外側リング302が内側リング304に対して自由に回転できるように、任意のタイプの適切な転動要素(例えば、ボール、ローラ、コーン、針)を含むことができる。
【0048】
図12は、V溝カムフォロア支持部及び駆動リングアセンブリ400の断面図を示す。様々な実施形態において、アセンブリ400は、
図4~11を参照して上述したVGD200を含む、VGDのサブ構成要素である。示されるように、アセンブリ400は、V溝カムフォロア支持部300と、V溝タイプの支持部で動作するように適合された駆動リング404とを含む。駆動リング404は、延長部分406及びベース部分408から構成されるL字形断面を有する実質的に環状の形状を有し得る。延長部分406及びベース部分408は、互いに対して直角に配置され得る。ベース部分408は、カムフォロア(例えば、カムフォロア218、図示せず)を受け入れるのに必要ないずれかの寸法のカムトラック412を含むことができる。
【0049】
支持部300は、留め具410(例えば、ボルト)を使用して、VGDの別の構成要素(例えば、支持ブロック)に固定され得る。留め具410は、外側リング302の両方のフランジが駆動リング404の延長部分406に接触するように支持部300を配置するために使用され得る。このように、支持部300は、軸方向及び半径方向両方の駆動リング404の動きを抑制するために利用され得る。
【0050】
様々な例示的な実施形態に示されるようなシステム及び方法の構築及び配置は、例示に過ぎない。本開示では少数の実施形態のみを詳細に記載してきたが、多くの修正が可能である(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向き等のバリエーション)。例えば、要素の位置を逆にするか、別の方法で変化させることができ、離散した要素又は位置の性質又は数を変更又は変化させることができる。したがって、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。任意のプロセス又は方法ステップの順番又は順序は、代替の実施形態に従って変えるか、順序付けし直すことができる。本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態の設計、動作条件、及び配置において、他の置換、修正、変更、及び省略を行うことができる。