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特許7220214非銅製溶接移行リングによってインジェクタに取り付けられた銅製燃焼室
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  • 特許-非銅製溶接移行リングによってインジェクタに取り付けられた銅製燃焼室 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】非銅製溶接移行リングによってインジェクタに取り付けられた銅製燃焼室
(51)【国際特許分類】
   F02K 9/62 20060101AFI20230202BHJP
   F02K 9/52 20060101ALI20230202BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230202BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230202BHJP
【FI】
F02K9/62
F02K9/52
B33Y10/00
B33Y80/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020526911
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2018054920
(87)【国際公開番号】W WO2019108306
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/593,910
(32)【優先日】2017-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】リカルド,マーク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スタストニー,エドモンド ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ライバーグ,リー エー.
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0032212(US,A1)
【文献】特開平08-210184(JP,A)
【文献】特開2005-003000(JP,A)
【文献】特開2004-132361(JP,A)
【文献】特開平11-132106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 9/62
F02K 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加的な製造を用いて銅合金製燃焼室を設け、
前記銅合金製燃焼室に非銅製溶接移行リングを溶接し、
前記非銅製溶接移行リングに非銅製インジェクタアッセンブリを溶接することを含み、
前記非銅製インジェクタアッセンブリは、ステンレス鋼またはニッケル基合金により形成されていることを特徴とするロケットエンジンの製造プロセス。
【請求項2】
前記銅合金製燃焼室に前記非銅製溶接移行リングを溶接することは、電子ビーム溶接によって実施されることを特徴とする請求項1に記載のロケットエンジンの製造プロセス。
【請求項3】
前記非銅製溶接移行リングに前記非銅製インジェクタアッセンブリを溶接することは、溶接ビードを用いることを含むことを特徴とする請求項1に記載のロケットエンジンの製造プロセス。
【請求項4】
前記非銅製溶接移行リングから前記非銅製インジェクタアッセンブリを除去すること、および引き続いて前記非銅製溶接移行リングに前記非銅製インジェクタアッセンブリまたは新しい非銅製インジェクタアッセンブリを再溶接することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のロケットエンジンの製造プロセス。
【請求項5】
前記銅合金製燃焼室の組成が前記除去することおよび前記再溶接することを通して変化しないことを特徴とする請求項4に記載のロケットエンジンの製造プロセス。
【請求項6】
前記銅合金製燃焼室に前記非銅製溶接移行リングを溶接することは、前記銅合金製燃焼室上のバックストップに隣接して前記非銅製溶接移行リングを溶接すること、および引き続いて前記銅合金製燃焼室から前記バックストップを除去することを含むことを特徴とする請求項1に記載のロケットエンジンの製造プロセス。
【請求項7】
前記銅合金製燃焼室を設けることは、選択的なレーザー溶融によって前記銅合金製燃焼室を形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載のロケットエンジンの製造プロセス。
【請求項8】
銅合金製燃焼室と、
前記銅合金製燃焼室に溶接された非銅製溶接移行リングと、
前記非銅製溶接移行リングに溶接された非銅製インジェクタアッセンブリと、
を備え、
前記非銅製インジェクタアッセンブリは、ステンレス鋼またはニッケル基合金により形成されていることを特徴とするロケットエンジン。
【請求項9】
前記銅合金製燃焼室に取り付けられた中細ノズルをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のロケットエンジン。
【請求項10】
前記非銅製溶接移行リングは、ステンレス鋼またはニッケル基合金により形成されていることを特徴とする請求項8に記載のロケットエンジン。
【請求項11】
前記非銅製溶接移行リングおよび前記非銅製インジェクタアッセンブリは、溶接ビードによって共に接合されていることを特徴とする請求項に記載のロケットエンジン。
【請求項12】
前記非銅製溶接移行リングおよび前記銅合金製燃焼室は、電子ビーム溶接接合部によって接合されていることを特徴とする請求項8に記載のロケットエンジン。
【請求項13】
前記非銅製溶接移行リングは第1キャビティ壁部を画定し、前記非銅製インジェクタアッセンブリは第2キャビティ壁部を画定し、前記第1キャビティ壁部および前記第2キャビティ壁部はキャビティを共に画定し、前記キャビティ内に溶接ビードが配置されていることを特徴とする請求項8に記載のロケットエンジン。
【請求項14】
前記非銅製溶接移行リングは、前記非銅製インジェクタアッセンブリに寄りかかって支えられている円錐台形の内径面を有していることを特徴とする請求項8に記載のロケットエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2017年12月2日に米国で出願された、暫定的な米国特許出願第62/593,910号の優先権を有する。
【背景技術】
【0002】
液体推進剤ロケットエンジンは、燃料推進剤および酸化剤推進剤によって動力が供給されることがある。燃料および酸化剤は、一般に、燃焼のための燃焼室に推進剤を導くインジェクタに供給される。そして、燃焼生成物は、燃焼室の下流側のノズルを通して排出される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の例に従うロケットエンジンの製造プロセスは、付加的な製造を用いて銅合金製燃焼室を設け、銅合金製燃焼室に非銅製溶接移行リングを溶接し、非銅製溶接移行リングにインジェクタアッセンブリを溶接するプロセスを含む。
【0004】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、銅合金製燃焼室に非銅製溶接移行リングを溶接することは、電子ビーム溶接によって実施される。
【0005】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、非銅製溶接移行リングにインジェクタアッセンブリを溶接することは、溶接ビードを用いることを含む。
【0006】
上記実施例のいずれかの更なる実施例は、非銅製溶接移行リングからインジェクタアッセンブリを除去すること、および引き続いて非銅製溶接移行リングにインジェクタアッセンブリまたは新しいインジェクタアッセンブリを再溶接することを含む。
【0007】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、銅合金製燃焼室の組成が上記除去することおよび上記再溶接することを通して変化しない。
【0008】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、銅合金製燃焼室に非銅製溶接移行リングを溶接することは、銅合金製燃焼室上のバックストップに隣接して非銅製溶接移行リングを溶接すること、および引き続いて銅合金製燃焼室からバックストップを除去することを含む。
【0009】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、銅合金製燃焼室を設けることは、選択的なレーザー溶融によって銅合金製燃焼室を形成することを含む。
【0010】
本発明の例に従うロケットエンジンが、銅合金製燃焼室と、銅合金製燃焼室に溶接された非銅製溶接移行リングと、非銅製溶接移行リングに溶接されたインジェクタアッセンブリと、を備えている。
【0011】
上記実施例のいずれかの更なる実施例は、銅合金製燃焼室に取り付けられた中細ノズルを備えている。
【0012】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、非銅製溶接移行リングは、ステンレス鋼またはニッケル基合金により形成されている。
【0013】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、インジェクタアッセンブリは、ステンレス鋼またはニッケル基合金により形成されている。
【0014】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、非銅製溶接移行リングおよびインジェクタアッセンブリは、ステンレス鋼またはニッケル基合金により形成されている。
【0015】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、非銅製溶接移行リングおよびインジェクタアッセンブリは、溶接ビードによって共に接合されている。
【0016】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、非銅製溶接移行リングおよび銅合金製燃焼室は、電子ビーム溶接接合部によって接合されている。
【0017】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、非銅製溶接移行リングは第1キャビティ壁部を画定し、インジェクタアッセンブリは第2キャビティ壁部を画定し、第1キャビティ壁部および第2キャビティ壁部はキャビティを共に画定し、キャビティ内に溶接ビードが配置されている。
【0018】
上記実施例のいずれかの更なる実施例では、非銅製溶接移行リングは、インジェクタアッセンブリに寄りかかって支えられている円錐台形の内径面を有している。
【0019】
本発明の種々の特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。詳細な説明に付随する図面は、以下に簡潔に説明されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】例示的なロケットエンジンを示す図である。
図2】燃焼室およびインジェクタアッセンブリに取り付けられた溶接移行リングを有するロケットエンジンの断面図である。
図3】ロケットエンジンの製造の一例を示す図である。
図4】後に除去される犠牲部を有する燃焼室の形成を示す図である。
図5】燃焼室への溶接移行リングの溶接を示す図である。
図6】燃焼室からのバックストップの除去を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、液体推進剤ロケットエンジン20を概略的に示している。理解されるように、本発明を適用し得る多くの異なる形式の液体推進剤エンジンがある。この点では、図示されていないが、エンジン20は、一般に、推進剤を運搬する配管と、推進剤の運搬を制御するポンプおよびバルブとを備える。
【0022】
この例では、エンジン20は、インジェクタアッセンブリ22に燃料(例えば、液体水素または炭化水素)および酸化剤(例えば、液体酸素)を注入するように作動可能である。インジェクタアッセンブリ22は、一般に、インジェクタハウジング22aと、下流側の銅合金製燃焼室24に燃料および酸化剤を導入するように作動可能な1つまたは複数のインジェクタエレメント22bと、を備えても良い。そして、燃焼生成物は、ノズル26を通して排出される。図示された例では、ノズル26は、収束部26a、喉部26bおよび末広がり部26cを有した中細ノズルである。
【0023】
ノズル26は燃焼室24に取り付けられており、該燃焼室24はインジェクタアッセンブリ22に取り付けられている。修理および/または交換の目的であるがこれに限定されない様々な理由のために、インジェクタアッセンブリ22および燃焼室24を分離し、そして、インジェクタアッセンブリ22(または交換用インジェクタアッセンブリ)および燃焼室24を再び取り付けることが望ましい。以下にさらに詳細に説明されるように、インジェクタアッセンブリ22と燃焼室24との間の取付は、燃焼室24の特性および組成に不当に影響を及ぼすことを防止しながら、上記分離および再取付を促進するように適合される。
【0024】
一般に、燃焼室およびインジェクタアッセンブリは、一緒に溶接されることがある。燃焼室およびアッセンブリが同じ材料により形成されている場合には、アッセンブリおよび燃焼室の背面を分離し、そして一緒に再溶接することで、アッセンブリまたは燃焼室の特性および組成に著しい変化が生じることはない。しかし、燃焼室およびアッセンブリが異なる材料により形成されている場合には、溶接されると、材料が溶接接合部で混合する。アッセンブリおよび燃焼室が溶接接合部で後に分離される場合には、混合された組成の領域が残り得る。再溶接時には、混合された組成の上記領域は、溶接プロセスに影響を及ぼし、新しい溶接接合部の完全性に変化を生じさせ、これにより、新しい溶接接合部の特性に変化を潜在的に生じさせ得る。特に、燃焼室での使用に魅力的な銅基合金は、異なる合金、例えばニッケル基合金またはステンレス鋼に溶接される場合に上記混合を被り易い。この点では、本明細書に開示されたエンジン20は、非銅製溶接移行リング28を用いており、この非銅製溶接移行リング28は、ニッケル基合金またはステンレス鋼により形成されることができるインジェクタアッセンブリ22から、銅合金により形成された燃焼室24の分離および除去を促進する。リング28の使用により、さもなければ燃焼室24および/またはインジェクタアッセンブリ22の特性を変化させ得る組成の混合が防止される。
【0025】
図2は、銅または銅合金により形成された燃焼室24とステンレス鋼またはニッケル基合金により形成され得るインジェクタアッセンブリ22との間の取付の拡大図を示している。このようなケースにおいて、インジェクタアッセンブリ22のステンレス鋼またはニッケル基合金が燃焼室24の銅または銅合金に直接的に溶接される場合には、鋼/ニッケル合金は銅と混合し得る。このような状況を緩和するために、非銅製溶接移行リング28は、インジェクタアッセンブリ22と燃焼室24との間に配置されている。より詳細には、リング28は、溶接ライン30に沿って燃焼室24の頂部、例えば軸方向端面24aに溶接され、インジェクタアッセンブリ22は、リング28に溶接される。
【0026】
図示した例では、溶接ライン30は、電子ビーム溶接によって形成された電子ビーム溶接接合部である。この点では、接合部30は、燃焼室24の銅または銅合金およびリング28の材料から構成されたバイメタルの溶接接合部である。つまり、接合部30は、該接合部30を形成するように付加された付加的なまたは個別の溶接充填剤を有していない。一例としては、リング28は、ニッケル基合金により形成される。
【0027】
インジェクタアッセンブリ22は、溶接ビード32を用いてリング28に溶接される。例えば、溶接ビード32は、リング28の第1キャビティ壁部34aと、インジェクタアッセンブリ22、例えばハウジング22a上の第2キャビティ壁部34bとによって部分的に画定されたキャビティ34内に配置されている。キャビティ34は、環状をなしており、リング28およびインジェクタアッセンブリ22の周囲に全体的に延びている。また、溶接ビード32は、インジェクタアッセンブリ22とリング28との間に気密なシールを提供する。溶接ビード32は、インジェクタアッセンブリ22およびリング28に加えて設けられた個別の全く異なったボディである。例えば、溶接ビード32は、ニッケル基合金またはステンレス鋼であっても良いが、これに限定されるものではない。溶接ビード32のニッケル基合金またはステンレス鋼は、インジェクタアッセンブリ22のニッケル基合金またはステンレス鋼と組成が同じであっても良いしまたは異なっていても良い。
【0028】
リング28は、インジェクタアッセンブリ22の合わせ面に寄りかかって支えられている円錐台形状の内径面28aを有している。この例では、内径面28aは、実質的に平らな面28bへと外側へフレア状に拡大し、該面28bはまた、インジェクタアッセンブリ22の合わせ面に寄りかかって支えられている。少量の溶接ビード32が面28bに沿って境界面へ溶けて浸透することがあるが、面28b/28aは、実質的に自由で、インジェクタアッセンブリ22に結合されていない。つまり、溶接ビード32は、壁34a/34bによってリング28およびインジェクタアッセンブリ22を実質的に結合している。この点では、インジェクタアッセンブリ22を除去するために、溶接ビード32は、リング28および燃焼室24からインジェクタアッセンブリ22を解放するために、(例えば、図2の水平方向に)切断されることができる。このような切断プロセスは、特に面28bの境界面に沿って、リング28および/またはインジェクタアッセンブリ22へと小さな距離だけ切断することもあるが、燃焼室24からのインジェクタアッセンブリ22の解放は、該解放が結合に責任のある溶接ビード32であるため、上記構成要素のいずれの切断にも依存することない。従って、解放は溶接ビード32の切断を必要とするのみである。
【0029】
その後、上記切断プロセス後に存在し得る溶接ビード32の残りは、インジェクタアッセンブリ22およびリング28から除去される、または実質的に除去されても良い。同じインジェクタアッセンブリ22が後に再び取り付けられる場合には、インジェクタアッセンブリ22は、壁34a/34bがキャビティ34を再び形成し、そして、新しい溶接ビード32がリング28にインジェクタアッセンブリ22を再び取り付けるように適用されることができるように、リング28上に再位置決めされることができる。代替的に、同じプロセスが、新しいインジェクタアッセンブリを用いてインジェクタアッセンブリ22を除去および交換するように適用されることができる。
図3は、本明細書で説明されているようなロケットエンジン20を製造する例示的なプロセス50を示している。この例では、プロセス50は、燃焼室24を設けるステップ52を含む。例えば、燃焼室24は、予め製造された構成要素として燃焼室24を備え付けることによって52で設けられても良い。代替的に、設けるステップ52は、三次元印刷と呼ばれることもある付加的な製造を用いて燃焼室24を作製することを含んでも良い。例示の付加的な製造プロセスは、選択的なレーザ焼結を含んでも良いが、これに限定されるものではない。
そして、ステップ54では、リング28は、燃焼室24に溶接される。上述したように、電子ビーム溶接が、燃焼室24にリング28を溶接するように使用されることができる。ステップ54に続いて、ステップ56では、リング28にインジェクタアッセンブリ22を溶接する。一例として、この溶接は、上述した溶接ビード32の使用を含むことができる。
図4図5および図6は、プロセス50のさらなる例を図示している。例えば、図4は、燃焼室24の形成を図示している。この例では、燃焼室24は、破線領域60内に示された犠牲部を用いて最初に形成される。この犠牲部は、エンジン20または燃焼室24の作動におけるいかなる機能的な目的に役立つことはない。むしろ、形成後には、犠牲部60は、例えば機械加工の作業によって除去される。この除去により、燃焼室24の頂部にバックストップ62が残される。例えば、バックストップ62は、燃焼室24の頂部の周囲に周方向に延びる環状の隆起部である。
図5は、燃焼室24への移行リング28の溶接の例を図示している。ここで、リング28は、溶接作業前にバックストップ62に隣接して位置決めされる。この点では、バックストップ62は、燃焼室24に対するリング28の適切な配置を促進しても良い。また、バックストップ62は、キャビテーションまたは反りを減少させる過剰の材料を接合部30に沿って供給することによって接合部30に沿った電子ビーム溶接を促進する。溶接されると、図6に図示されているように、バックストップ62およびリング28の一部は、燃焼室24から除去される。従って、バックストップ62はまた、犠牲となり、エンジン20または燃焼室24の作動の目的に役立たない。例えば、機械加工作業は、バックストップ62およびリング28の一部を切断または削って除去するように用いられることができる。特に接合部30に沿ったバックストップ62およびリング28の一部の除去により、溶接および欠肉の終端を除去し、これにより、滑らかで連続的な接合部30が設けられる。この後続の機械加工作業は、溶接の入口および終端の影響を除去し、接合部の不連続性を生じさせないことを意図している。
バックストップ62の除去後には、インジェクタアッセンブリ22がリング28に溶接されることができる。インジェクタアッセンブリ22の存在がバックストップ62の除去を妨げる場合には、リング28へのインジェクタアッセンブリ22の溶接の前にバックストップ62を除去することが有利であるが、代替的に、インジェクタアッセンブリ22は、バックストップ62の除去前にリング28に溶接されることができる。
特徴部の組み合わせが図示した例に示されているが、本発明の種々の実施例の利益を実現するために、特徴部の全てが結合される必要はない。換言すれば、本発明の実施例に従って設計されたシステムは、図の任意の1つに示された特徴部の全てまたは図に概略的に示された部分の全て必ずしも含んでいない。さらに、1つの例示的な実施例の選択された特徴部は、他の例示的な実施例の選択された特徴部と組み合わされても良い。
上述の説明は、本質の例示的なものであって、限定的なものではない。開示された例への変更および修正は、本発明を逸脱することのない当業者に明らかになるであろう。本発明に付与される法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによって決定されるのみとすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6