(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】交換可能な導体を有するEMPTコイル
(51)【国際特許分類】
B23K 20/06 20060101AFI20230202BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B23K20/06
H05B6/36 D
H05B6/36 Z
(21)【出願番号】P 2020537839
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 DE2018100764
(87)【国際公開番号】W WO2019063038
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】102017122229.4
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513179123
【氏名又は名称】ピーエスティー プロダクツ ゲーエムベーハ
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】パスカーレ、パブロ
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-123960(JP,A)
【文献】特表2014-507284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/06
H05B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁パルス溶接コイルであって、第1の領域(11)と第2の領域(12)を備え、
前記第2の領域(12)は、
前記第1の領域(11)を挟む両側部(19)に形成され、
前記第1の領域(11)は、その端部領域(112、115)で、前記
両側部(19)に着脱可能に接続され、前記第2の領域(12)より高い電流密度を発生させられ、幅広部分とそれより幅が狭い幅狭部分とを有するブリッジ状であり、
前記電磁パルス溶接コイルは、平面状であり、
前記
両側部(19)は、U字状またはL字状であり、前記第2の領域(12)は、前記第1の領域(11)と平行であり、
前記第1の領域(11)は、前記端部領域(112、115)とは反対側の端部において、前記第1の領域(11)をパルス電流源に接続するための少なくとも1つの孔(110)を
前記幅広部分に備える
ことを特徴とする電磁パルス溶接コイル。
【請求項2】
ブリッジとして設計される前記第1の領域(11)は、幅広の端部領域を含み、これによって、前記
両側部(19)に接続される
請求項1に記載のパルス溶接コイル。
【請求項3】
着脱可能な接続は、ねじまたはねじ付きボルトが、前記第1の領域(11)および前記
両側部(19)にねじなし孔を通して挿入され、かつナットによって締め付けられ、もしくは、前記第1の領域(11)または前記
両側部(19)に形成されるねじ穴にねじ込まれる、および/または、端部領域(115)を有する前記第1の領域(11)が、前記
両側部(19)の補完凹部(190)に差し込まれることで実現される
請求項1または2に記載のパルス溶接コイル。
【請求項4】
前記
両側部(19)のU字形外郭線であって
、前記第1の領域(11)の
前記幅広部分と比較して大きい、U字形外郭線を有する
請求項1ないし3のいずれかに記載のパルス溶接コイル。
【請求項5】
前記コイル(1)が鏡対称である
請求項1ないし4のいずれかに記載のパルス溶接コイル。
【請求項6】
第2の領域(12)の電流密度より高い電流密度を発生させるのに適した複数の領域(11)を有する
請求項1ないし5のいずれかに記載のパルス溶接コイル。
【請求項7】
前記コイル(1)の断面積は、連続的に変わる
請求項1ないし6のいずれかに記載のパルス溶接コイル。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のパルス溶接コイルの寿命を延長させる方法であって、
a)前記第1の領域(11)と前記
両側部(19)との接続は解除され、前記第1の領域は取り外され、
b)新しい第1の領域(11’)が設けられ、かつ前記
両側部
(19)に接続される
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の全文に記載の電磁パルス溶接コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁パルス形成/溶接は、金属工作物の形成および/または溶接プロセスであり、この場合、強力な時間可変磁場によって、形成対象の所望の場所で処理される工作物に高渦電流が誘起される。この場合、これらの誘導場への渦電流の結合により、形成対象の工作物の領域に大きな力が与えられる。周知のレンツの法則に従って、この力は発生源から離れるように向けられる。この強度は、一方では、誘起磁場の電界強度に比例し、他方では、この電界強度の経時的な変化にさらに比例する。
【0003】
先行技術において、時変の、通常は正弦波電流によって通電させる、2つの互いに隣接する巻線を有する平面コイルによって形成するために使用されるこの磁場を発生させることは既知である。一方で、所望の高電界強度に達するようにし、他方で、明確に画定された形成領域を得るために、これらのコイルは、少なくとも1つの幅の狭いブリッジを備えて、より広い断面を有する領域と直列に接続される時、電流の集中をもたらすため、ブリッジの領域に高電流密度が生じるように成形される。このようなコイルは、以下に「パルス溶接コイル」と一貫して指定されるが、これらは一般的に、工作物の純粋な形成に適するものである。最終的には、形成のみならず、この経時的な変化をもたらす磁場の電界強度はこの電流密度に直接比例し、その結果として、工作物に作用する力は、電流密度振幅の2乗で工作物スケールに作用する。それに応じて、パルス溶接コイルの設計において、できるだけ幅が狭いブリッジを使用するための努力がなされている。
【0004】
しかしながら、対照的に、コイルの材料がまた、高電流密度および熱応力により、かつ工作物からコイルに反応する力により、高い機械応力を受けることで、高電流密度を含有する領域、すなわち、通常は幅が狭いブリッジの急速な疲労が引き起こされる。これは、このようなパルス溶接コイルの寿命を不利に限定する。
【0005】
この問題は、先行技術において長く認識されており、さまざまな方策による解決策が試行されている。例えば、特許文献1は、高電流密度を含有するコイルが、これを機械的に支持する非導電性構造に埋め込まれ、また能動冷却によって冷却可能であるパルス溶接コイルを開示している。しかしながら、このように設計されるパルス溶接コイルは、通常好ましい平面パルス溶接コイルと比較して非常に厚く、また、生産および動作両方が複雑である。ここで、生産の複雑さは、非導電性材料の機械的支持構造が実際のパルス溶接コイルの周りに形成されなければならないことが理由であり、動作の複雑さは、冷却流路および循環ポンプから成る能動冷却システムを、設ける、接続する、充填する、および、とりわけ、維持する必要があることが理由である。
【0006】
特許文献2は、両側で処理するための2つの工作物の間の低電流密度領域間に対称的に配設される幅が狭いコイルブリッジを有する、例えば特許文献3からそれ自体で既知であるパルス溶接コイルを置くことを提案している。この手段により、工作物によって、コイルまたはコイルブリッジそれぞれに加えられる力は、部分的に互いを無効にし、コイルブリッジの機械的荷重もしくは曲げも、回避されるまたは少なくとも低減される。しかしながら、これは、例えば、処理される単一の工作物のみが存在する場合、または、形成される工作物、または互いに接合される2つの工作物の特定の配向が維持される場合など、常に実現可能であるわけではない。
【0007】
本出願人に対する特許文献4および5には、高電流密度を含有する、幅が狭い断面のコイルブリッジと、電流密度が対応して低くなっているより大きい断面を有するコイル部分との間のすきまに、保冷材が充填された、平面パルス溶接コイルが記載されている。これによって、電気絶縁体は、他方では高熱伝導率を有することを意味する。このような性質を有する材料は、例えば、窒化ホウ素または窒化アルミニウムである。この設計で、高電流密度を含有する領域において発生した熱がコイルの残部における高熱伝導性材料によって放散されることが有利に達成される。さらにまた、コイルブリッジとコイルの残部との間に機械的結合がもたらされることで、コイルの残部は、工作物から作用する反力によって屈曲不可能である。能動冷却による前述の解決策と対照的に、コイルの平面設計はそれにもかかわらず維持可能である。
【0008】
2つの工作物を同時に処理するためのパルス溶接コイルの使用法は、個々の応用で可能とすることができるが、上述された例から既に明らかであるように、一般的には、幅が狭いコイルブリッジに機械的負荷をかけるという問題の解決策ではない。前述の特許明細書によって提案される解決策は、これには好ましいものとなるが、保冷材によって、処理が困難である材料が製造費および時間を増大させるパルス溶接コイルに挿入されなければならないという不利点を有する。寿命は製造費より高い程度まで延長されるが、平面設計を有することができ、かつ製造が簡易で費用効率が高く、それにもかかわらず、長期の有効な寿命を達成する、パルス溶接コイルが依然必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2004-342535号公報
【文献】特開2010-110814号公報
【文献】特開2012-152821号公報
【文献】独国特許出願公開第102011010216号
【文献】欧州特許第2670554号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この背景に対して、本発明の目的は、このようなパルス溶接コイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
目的は、電磁パルス溶接コイルであって、高電流密度を含有する領域、例えば、コイルブリッジがコイルの残部に着脱可能に接続される電磁パルス溶接コイルによって達成される。この手段によって、材料疲労またはさらには材料破壊が生じる時に高応力下領域を交換すること、および、サイズ依存のより大きい弾性エネルギーと組み合わせられたかなり低い荷重に対応して、通常は、高電流密度領域より何倍も長い寿命を有するコイルの残部を使用し続けることが可能である。
【0012】
本発明によると、高電流密度を含有する、少なくとも1つの交換可能な、すなわち、着脱可能に接続される領域が存在する。しかしながら、どんな手段を使っても、複数のこのような領域を含むパルス溶接コイルにおいて、着脱可能な接続部によって交換可能であるような領域全てを設計することが可能である。
【0013】
大きな断面、および対応して低電流密度を有するコイルの2つの領域を備える二重巻きコイルの場合、これは、通常は、U字形で対称的である。コイルの対称面において、幅が狭いコイルブリッジが位置し、これによって、溶接電流パルスの間電流が集中し、このように、少なくとも区間ごとに高い電流密度、ひいては電界強度が達成される。本発明ではここで、このコイルブリッジを、着脱可能にコイルの残部に接続することによって、交換可能にすることが提案されている。このために、一方では、接続手段の使用を考慮に入れ、他方ではまた、他の手段によって着脱可能な締め付け具を考慮に入れる。
【0014】
接続手段の使用は、例えば、凹部または孔に取り込まれ、この目的のために、最初に、高電流密度を含有する領域またはコイルブリッジに、次に、コイルの残部に設けられ、かつ薄ナットによって反対側に固定される、ねじまたはねじ付きボルトによって留めることを含む。最大限のトルクによってナットを締め付けることによって、コイルブリッジおよびコイルの残部の導電性表面の間の面接触が徹底され、これは、パルス溶接に使用される高電流での寄生抵抗を回避するために非常に重要である。
【0015】
薄ナットの代替策として、ねじまたはねじ付きボルトのねじ山はまた、コイルの残部またはコイルブリッジのどちらかにおいて取り込まれるねじ穴に係合可能であり、ねじ付きボルトまたはねじは、最初にその部分を通って、雌ねじが設けられていないコイルブリッジまたはコイルの残部のどちらかに案内された後、雌ねじが備えられた他の部分にねじ込まれる。ここで、ロックナットの使用のように、面接触を確立するために可能な限り確実にぴったりとさせるために慎重さが必要である。
【0016】
ねじまたはねじ付きボルトの使用の代替としてまたはこれと合同で、高電流密度を含有する部分、とりわけコイルブリッジ、およびコイルの残部はまた、共に差し込むことによって着脱可能に接続できる。最大限の面接触を達成するために、本発明は、コイルの残部に、コイルブリッジの第1の端部領域を補完する凹部またはくぼみを設けることで、コイルブリッジの長さのかなりの割合にわたって伸長可能にすることを提案している。
【0017】
凹部またはくぼみは、コイルブリッジの差し込み方向にテーパ状になる断面と併せて、端部に向かってくさび形にまたテーパ状になる、コイルブリッジの第1の端部の断面も有することができ、より良い摩擦接続、および2つの部分の互いのより大きい面接触をもたらす。これは特に、凹部がコイルの残部における連続開口として設計される場合であり、ここで、コイルウエブは片側から差し込まれ、完全に取り込まれた後、もう片側に再び現れる。ここで、くさび形でまた設計される場合、接触圧力の増大をもたらす固定ピンまたはボルトによって留められ得る。同様に、掴み具の使用によって、ブリッジの張力は影響され得る。
【0018】
上述されるように、低電流密度を有し、対称の片方におけるコイルに存在する、幅が狭いコイルブリッジを有する、通常は対称的な2つの受動部品を含む、先行技術の単巻コイルを除いて、本発明によって提案される原理からまた利益を得ることができる他の設計も考えられる。この種類の一実施形態は、2つの鏡対称部分コイルを備える2巻コイルである。この部分コイルのそれぞれは、より大きい横延伸部、すなわち幅、および、対応して低電流密度を有する領域と、小さな横延伸部または幅、および対応して高電流密度を有する、第1の領域に平行なコイルブリッジとを備える。2つの部分コイルは、これらのコイルブリッジが互いから短い距離で平行であるように配置され、パルス電流発生器に接合されるように直列に電気的に接続される。この場合、2つのコイルブリッジにおける電流が同じ方向に流れることは留意されるべきである。
【0019】
単巻コイルと比較すると、この完全なシステムは、コイルブリッジの断面がさらに縮小可能であり、かつ電流密度が対応してさらに増大可能であるという利点を有する。さらに、コイルブリッジより上の短い距離で配設される工作物の場合のコイルブリッジ間の距離により、加速も受ける最も高い渦電流密度を有する領域は、単巻コイルの場合より明瞭に境界が定められる。この手段によって、相対物に対して変形されるまたは溶接される工作物が、単巻コイルで可能であるものより明らかに画定された領域で処理されることが、達成可能である。2つの部分コイル間の距離の変化によって、変形される領域または溶接シームの幅は、また、ある程度まで変化し得る。本発明によると、部分コイルのそれぞれのコイルウエブは、例えば、上述されるやり方のうちの1つによって、部分コイルの残部に着脱可能に接続される。
【0020】
本発明による電磁パルス溶接コイルの本質的な利点は、明らかに、通常は動作中に最も早く疲労し、かつパルス溶接コイルの短寿命の一因となっている最も高い電流密度の領域が交換可能であるという事実にある。従って、有利には、コイルは、全体として取り替えを必要とすることが回避され、コイルの残部のみが、より低い電流密度を有し、かつ対応して寿命がコイルブリッジよりもかなり長くなる場合でも、再利用可能である。コイルウエブによって、製造が容易である比較的小さい部品のみが置き換えを必要とし、これによって材料および費用が節約される。さらに、コイルブリッジの交換はまた、コイル全体の交換よりも大幅に速く行うことが可能であり、この理由で、例えば、コイルブリッジの疲労破壊後に、生産は、従来のコイルの場合よりも短い期間中止するだけである。
【0021】
個々にまたは組み合わせて実現可能である本発明の有利な実施形態について、より詳細に後述する。
【0022】
本発明によるパルス溶接コイルは、例えば、金属シートから切り取られる平面設計である。高電流密度領域は、好ましくは、とりわけ、拡張した端部領域を含むことが好ましい幅が狭いブリッジとして設計可能であり、この端部領域によって高電流密度領域はコイルの残部に着脱可能に接続される。これによって、接触表面積が増大し、このことは、初めに、コイルの残部からコイルブリッジへの電流の移動を容易にし、とりわけ、寄生オーム抵抗を低減し、次に、コイルウエブからコイルの残部への機械的負荷の放散も改善する。
【0023】
高電流密度を含有する領域、とりわけコイルブリッジの着脱可能な接続のために、本発明では、このコイルブリッジを、ねじまたはプラグ接続を介してコイルの残部に接続することが提案されている。
【0024】
ねじまたはねじ付きボルトによるねじ接続は、これらねじまたはねじ付きボルトが、コイルウエブおよびコイルの残部における1つまたは複数の位置合わせした開口部または孔を通して案内され、かつ薄ナットによって反対側に固定されるようにすることができる。ねじまたはねじ付きボルトがねじ込まれるねじ穴と共に、コイルブリッジ、コイルの残部、またはこの両方を提供することも考えられる。この解決策では、コイルブリッジにねじ山を作ることが好ましく、その後、コイルブリッジの交換で、ねじ付きボルトを締め付けかつ再び開けることによって損傷させていた場合があるねじ山も交換されることになる。
【0025】
ブリッジの穴から差し込まれるボルトがねじ込まれるコイルの残部に取り込まれるねじ穴も考えられる。この解決策によって、コイルブリッジの交換時に、ボルトが上から取り込み可能であり、ブリッジをコイルの残部上に置くことができるという利点がもたらされる。
【0026】
コイルブリッジを留めるために、複数のねじを使用するのが好ましい。
【0027】
代替的には、高電流密度を含有する領域、とりわけコイルブリッジを、補完となる凹部、またはコイルの残部の連続開口に差し込むことが好ましい。とりわけ好ましくは、コイルブリッジは、偶発的な牽引または落下を防ぐ固定ピンまたはくさびによって、および、くさび形でテーパ状になるコイルブリッジの断面と併せて固定用くさびを使用することによって、挿入側の反対側で据え付けられ、コイルの残部におけるこれを受ける開口は、コイルの残部における高接触圧力で接続される。
【0028】
高電流密度の交換可能な領域とコイルの残部との間の接続点での寄生オーム抵抗のさらなる低減のために、有効接触表面積を拡大するための導体ペーストまたは他の手段が挿入可能である。
【0029】
本発明によるコイルは、鏡対称とすることができる。好ましくは、コイルの残部は、本質的に矩形の断面を有するU字形金属部品として設計され、この部品の幅はあらゆる点で、高電流密度を含有する領域の断面の横幅を、倍量、好ましくは、3~1000倍上回る。
【0030】
別の好ましい実施形態は、低電流密度のL字形領域のみが存在するパルス溶接コイルであり、高電流密度の領域は、この端部領域において短い脚部に着脱可能に接続され、かつより長い脚部に平行にかつ隣接して及ぶ。
【0031】
本発明によるコイルの寿命をさらに長くするために、コイルの残部、すなわち低電流密度領域、および高電流密度領域による結合領域またはコイルブリッジ両方の断面を設計することのみならず、断面がコイルの輪郭で連続的に変わるようにコイルブリッジを設計することが提案される。とりわけ好ましくは、断面が連続的に区別可能に変わることである。これは、コイルの輪郭において、断面積の寸法が突然変わることがないことが好ましく、曲げが存在しないこともとりわけ好ましいことを意味する。それによって構成される可能なとりわけ好ましい実施形態によって、コイルの残部およびコイルブリッジの内角全てを丸めるような設計がなされ、曲率半径は好ましくはおおよそコイルブリッジの幅に相当する。
【0032】
例えば、コイルブリッジが故障する、または少なくとも明らかに変形または疲労している場合、このコイルブリッジをコイルの残部から分離して取り外し、かつ新しく設けられる、通常は同一のコイルブリッジをコイルの残部に再び接続することで、本発明による電磁パルス溶接コイルの寿命を、交換可能なコイルブリッジによって延長させることが提案される。とりわけ、高電流密度によって影響されるコイルのこれらの領域は、大きな摩耗を受ける。このことはとりわけ、コイルブリッジに該当する。コイルブリッジをこのように素早く変えた後、コイルは動作し続けることができる。
【0033】
本発明のさらなる詳細および特徴について、例示の実施形態の図を参照してより詳細に後述する。これらは単に、本発明を例証することを意図するものであり、その一般性の限定を一切意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明によるパルス溶接コイルの第1の好ましい実施形態の三面図である。
【
図2】
図1による実施形態のコイルブリッジの交換を示す図である。
【
図3】低電流密度のL字形領域を有し、コイルブリッジがプラグ接続によって留められる、本発明によるパルス溶接コイルの好ましい実施形態を示す図である。
【
図4】
図3に示される本発明によるコイルの実施形態におけるコイルブリッジの設置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、コイルの1つの対称面において、ダンベル形外郭線を有するコイルブリッジがこの2つの端部のうちの1つでねじ付きボルトによって着脱可能に留められる、低電流密度のU字形領域を有する、本発明によるパルス溶接コイルの好ましい実施形態を三面図で示す。
【0036】
部分
図Bに示される上面図にあるように、交換可能なコイルブリッジ11は、細長い中央部111およびより幅広いエンドプレート112を有する、2部分の鏡対称ダンベル形外郭線を有する。それぞれのエンドプレート112において、2つの孔110はいずれの場合にも取り込まれる。コイルブリッジに平行に伸張し、かつ低電流密度を含有する2つの部分12を含む、コイルの残部19は、鏡対称設計のU字形外郭線を有する。U字形脚部のそれぞれの端部において、および内部領域の頂点において、一対の孔120がいずれの場合にも、対称面Sに鏡対称に取り込まれる。
【0037】
コイルブリッジ11は、エンドプレート112をU字形内部領域の頂点領域上に置くことで、コイルブリッジ11の孔110がコイルの残部19のねじ穴120と位置合わせされるようにし、ねじ付きボルトが上の貫通孔110から差し込まれ、かつねじ穴120にねじ込まれることによって、コイルの残部19に着脱可能に接続される。この手段によって、パルス溶接コイルは、中央に対称的に配設される、大きな断面の2つの脚部、および小さな断面のコイルブリッジによって得られる。留められる端部から離れるように面する、エンドプレート112に取り込まれる孔110は、パルス電流源のみならず、コイルの残部19の脚部の端部領域における孔120によって、ブリッジを留めるのに役立つ。部分
図BおよびCにおける側面視に見られるように、コイルブリッジは、コイルの残部に装着されるため、ここで垂直方向にオフセットされるように取り付けられる。
【0038】
エンドプレート112を補完する段形状の凹部を、受動部品119の頂点領域に取り込むことによって、コイルブリッジが本質的に、コイルの残部と同じ面にあるようにすることも考えられるものになる。これは、完全なコイルの構造上の高さが低くなるという利点を有するが、受動部品に対する製造支出が高くなることに関連し、また、ねじ穴の高さが低くなり、それによって、コイルブリッジ11とコイルの残部19とが接続される、ねじ付きボルトまたはねじのこのような高い締め付け力を達成することがもはや可能ではない。
【0039】
コイルブリッジを変えるプロセスは
図2に示されている。部分
図Aは、指示されるように、材料疲労により交換される、交換可能なコイルブリッジ11による、本発明によるパルス溶接コイルを示す。この目的のために、ボルト20は解除され、コイルブリッジ11は取り外される(部分
図B)。
【0040】
新しいコイルブリッジ11’が、コイルのU字形残部19の頂点領域上にエンドプレート112と共に設けられかつ置かれることで、孔110が、部分
図Bの矢印によって指示されるように、ねじ穴120と位置合わせされて、コイルの残部19の方に向ける。さらにまた、ボルト20は、ねじ穴120における穴110を通して差し込まれかつしっかりとねじ込まれる。これによってこの交換は完了し、本発明によるコイルはさらなる溶接または形成作業に利用可能である(部分
図C)。
【0041】
図3は、本発明のパルス溶接コイルのさらなる好ましい実施形態を示す。このコイルは、連続凹部190を有する、低電流密度のL字形領域19から成る。この連続凹部190は、短い方の脚部に位置し、かつ部分的に、一端から他端にテーパ状になっており、この凹部190に、コイルウエブ11は差し込まれる。コイルウエブ11は、1つの端部領域において、凹部190を補完し、またくさび形でテーパ状になっている端部領域115を含む。テーパ状の端部領域115の反対側のブリッジ11のその端部は、連続孔110があるエンドプレート112を含む。凹部190に差し込まれるブリッジ11のその端部115に、開口113が位置し、この開口113から、固定用くさび30は、偶発的な滑動または落下に対してブリッジ11を据え付けるために差し込まれる。しかしながら、固定用くさび30はさらに、接触圧力、ひいては開口190の内壁に対する領域115の面接触を増大させる目的にかなう。幅が狭い中央部111とエンドプレート112との間の遷移のみならず、中央部分と領域115との間の遷移のL字形領域の内角は丸められ、曲率半径は、コイルブリッジの、長さのおよそ10%、およびおおよそ幅に相当する。
【0042】
図4は、
図3の実施形態によるコイルブリッジ11が、コイルのL字形残部19の短い脚部における補完開口190にどのように挿入されるかを示す斜視図である。部分
図Aにおいて、領域115を有するコイルブリッジ11が開口にどのように取り込まれて、端部領域115が開口190を通して完全に係合するかが指示されている。ブリッジ11を据え付けるために、固定用部品30はこの端部に差し込まれて、反対側の部分19から突出してここの開口113に入り、その後、部分
図Bに示される最終状態が達成される。
【符号の説明】
【0043】
1 パルス溶接コイル
11 高電流密度領域、コイルブリッジ
110 孔
111 ブリッジ、幅が狭い中央部
112 拡張した端部領域
115 端部領域
12 低電流密度領域
120 孔、ねじ穴
19 コイルの残部
190 コイルブリッジの凹部
20 ねじ付きボルト
30 固定用くさび