(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】光触媒担持構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/06 20060101AFI20230202BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20230202BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B01J23/06 M
B01J35/02 J
B01J37/08
(21)【出願番号】P 2020541172
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2019034037
(87)【国際公開番号】W WO2020050147
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2018164788
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000204192
【氏名又は名称】太陽工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 優樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 大哉
(72)【発明者】
【氏名】柳田 光広
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-070726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0200707(US,A1)
【文献】特開2013-082654(JP,A)
【文献】特開平10-237769(JP,A)
【文献】特開平06-048909(JP,A)
【文献】MAHDAVI, R. et al.,Advanced Powder Technology,2017年,Vol.28,pp.1418-1425
【文献】PENG, Z. et al.,Powder Technology,2017年,Vol.315,pp.73-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
A61L 9/00 - 9/01
C09D 1/00
C09D 5/00
C09D 7/61
C09D 201/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):13族元素が固溶している酸化亜鉛粒子と、
成分(B):(A)以外の光触媒粒子と、
成分(C):(A)及び(B)以外のバインダーと、
成分(D):水性分散媒と
を含有し、pHが7.5~11である、光触媒層形成用塗布液。
【請求項2】
成分(B)が酸化チタン粒子である、請求項1に記載の光触媒形成用塗布液。
【請求項3】
成分(C)が、金属酸化物及び金属水酸化物から成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1
又は2に記載の光触媒層形成用塗布液。
【請求項4】
基材表面の少なくとも一部に、請求項1~
3のいずれかに記載の光触媒層形成用塗布液を塗布し、乾燥する工程を含む、光触媒担持構造体の製造方法。
【請求項5】
基材表面の光触媒層形成用塗布液を塗布する部分に、予め接着層が設けられている、請求項
4に記載の光触媒担持構造体の製造方法。
【請求項6】
前記乾燥工程における温度が200℃以下である、請求項
4又は
5に記載の光触媒担持構造体の製造方法。
【請求項7】
基材と、該基材の表面の少なくとも一部に被着された、請求項1~
3のいずれかに記載の光触媒層形成用塗布液の乾燥固化物からなる光触媒層とを含む、光触媒担持構造体。
【請求項8】
前記基材と、前記光触媒層との間に、接着層を含む、請求項
7に記載の光触媒担持構造体。
【請求項9】
基材が非耐熱性合成樹脂を含む、請求項
7又は
8に記載の光触媒担持構造体。
【請求項10】
テント地である、請求項
7~
9のいずれかに記載の光触媒担持構造体。
【請求項11】
請求項
7~
10のいずれかに記載の光触媒担持構造体により藻類の生育及び/又は繁殖を抑制する方法。
【請求項12】
請求項
7~
10のいずれかに記載の光触媒担持構造体により窒素酸化物を分解及び/又は除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒担持構造体、それを形成するための塗布液、及び該構造体の製造方法に関し、また該構造体により藻類の生育又は繁殖を抑制する方法、及び窒素酸化物を分解除去する方法に関する。本願は、2018年9月3日に出願された日本国特許出願第2018-164788号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
光触媒材料は、建築物の外装材等の材料において、その表面に担持させることにより、汚れを落ち易くし、あるいは細菌、かび、藻類等の微生物の生育や繁殖を抑制するために利用されている。またこのような材料で窒素酸化物(NOx)等の大気汚染物質を分解により除去し大気を浄化する効果も知られている。
藻類等の微生物の生育や繁殖を抑制する効果を得ようとする場合、光触媒材料を単独の活性成分として使用しても十分でないことがある。この原因としては、光触媒材料は超親水性を示し、表面が保湿されやすいことが考えられる。そこで、それ自体でも微生物防除活性を有する銀、銅等の金属又はその化合物を併用することが提案されている(特許文献1等)。しかしこれらは、屋外においては有効成分の溶出により効果の持続性に乏しいことがある。またこれらの金属化合物による変色が問題となる場合もある。
一方、水中で防藻効果を得るための組成物では、酸化亜鉛等の亜鉛化合物を含有するものが知られている(特許文献2等)。
酸化亜鉛は、微生物防除や消臭の目的のほか、顔料、塗料等の填料、医薬品、化粧品成分、紫外線遮蔽剤、帯電防止剤、半導体材料等として広く用いられている。特にアルミニウム、ガリウム等の他元素がドープされた酸化亜鉛は、導電性に優れ、かつ熱線遮蔽効果も有し、これらの効果を目的として多く用いられている(特許文献3等)。
特許文献4には、光触媒材料と両性金属酸化物との併用により、優れたNOx分解効果を発揮する光触媒配合物が記載されている。具体例な使用例としては、タイル表面に該配合物を塗布し熱処理で固定している。また抗菌性を有する態様も記載されているが、それは追加成分として引用文献1等と同様の金属又はその化合物を含有することでその効果を発揮し得るものであり、上記の欠点を回避できるものではない。
また特許文献5には、2種類の光触媒として、多孔質酸化チタンと、貴金属担持酸化亜鉛粒子とを含有する光触媒材料に関して、光照射によりNOxを分解することが記載されている。
テント地は屋外に長期的に設けられる構造物にも使用されており、環境によっては外装材と同様に藻類の生育や繁殖が問題となる。一方、特にB種又はC種のテント地は塩化ビニル等の合成樹脂を含むことから、これに防汚、防藻等の目的で光触媒を担持させる場合には、光触媒作用によりテント地が劣化したり、光触媒層が剥離したり、あるいは樹脂中に含まれる可塑剤が表面に拡散することで光触媒活性を阻害するといった問題点があった。これらを解決するために、例えば特許文献6では、光触媒層とテント地との間に、シリコン変性樹脂、ポリシロキサン含有樹脂、又はコロイダルシリカを含有する樹脂からなる接着層を設けた構造が提案され、実用化されている。しかしこのような光触媒担持テント地、あるいはさらに上記のような金属又はその化合物を併用したテント地でも、長期に亘る防藻性を付与することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6283922号公報
【文献】特開平6-48909号公報
【文献】特開2001-222911号公報
【文献】特開平11-192436号公報
【文献】特開2007-229624号公報
【文献】特開平10-237769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、基材の表面に光触媒層を設けた光触媒担持構造体において、特に防藻活性とNOx分解活性とが共に優れた光触媒担持構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、光触媒分散液を含有する光触媒層形成用塗布液を基材上に塗布する光触媒担持構造体の製造方法において、光触媒分散液としてpH8~11のものを用い、かつ光触媒層形成用塗布液に他元素が固溶している導電性酸化亜鉛を併用することにより、上記諸課題を解決した構造体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の態様を有する発明に関する。
(1)成分(A):他元素が固溶している酸化亜鉛粒子と、成分(B):(A)以外の光触媒粒子と、成分(C):(A)及び(B)以外のバインダーと、成分(D):水性分散媒とを含有し、pHが7.5~11である、光触媒層形成用塗布液。
(2)成分(A)における他元素が、4価以下の陽性元素である、(1)に記載の光触媒層形成用塗布液。
(3)成分(A)における他元素が、13族元素である、(1)に記載の光触媒層形成用塗布液。
(4)成分(B)が酸化チタン粒子である、(1)~(3)のいずれかに記載の光触媒形成用塗布液。
(5)成分(B)が、光触媒層形成用塗布液の原料としての光触媒分散液に由来し、該分散液のpHが8~11である、(1)~(4)のいずれかに記載の光触媒層形成用塗布液。
(6)成分(C)が、金属酸化物及び金属水酸化物から成る群から選択される少なくとも1種である、(1)~(5)のいずれかに記載の光触媒層形成用塗布液。
(7)基材表面の少なくとも一部に、(1)~(6)のいずれかに記載の光触媒層形成用塗布液を塗布し、乾燥する工程を含む、光触媒担持構造体の製造方法。
(8)基材表面の光触媒層形成用塗布液を塗布する部分に、予め接着層が設けられている、(7)に記載の光触媒担持構造体の製造方法。
(9)前記乾燥工程における温度が200℃以下である、(7)又は(8)に記載の光触媒担持構造体の製造方法。
(10)基材と、該基材の表面の少なくとも一部に被着された、(1)~(6)のいずれかに記載の光触媒層形成用塗布液の乾燥固化物からなる光触媒層とを含む、光触媒担持構造体。
(11)前記基材と、前記光触媒層との間に、接着層を含む、(10)に記載の光触媒担持構造体。
(12)基材が非耐熱性合成樹脂を含む、(10)又は(11)に記載の光触媒担持構造体。
(13)テント地である、(10)~(12)のいずれかに記載の光触媒担持構造体。
(14)(10)~(13)のいずれかに記載の光触媒担持構造体により藻類の生育及び/又は繁殖を抑制する方法。
(15)(10)~(13)のいずれかに記載の光触媒担持構造体により窒素酸化物を分解及び/又は除去する方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、防藻活性とNOx分解活性とが共に優れた光触媒担持構造体が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(光触媒層形成用塗布液)
本発明の光触媒層形成用塗布液は、成分(A):他元素が固溶している酸化亜鉛粒子と、成分(B):(A)以外の光触媒粒子と、成分(C):(A)及び(B)以外のバインダーと、成分(D):水性分散媒とを含有し、pHが7.5~11である、光触媒層形成用塗布液である。
アルカリ性光触媒分散液を材料として用いたアルカリ性光触媒層形成塗布液は、それ自体でも酸性の光触媒形成用塗布液と比較して、防藻活性が優れることが明らかとなったが、それに加え、酸化亜鉛を併用することで、さらなる防藻効果を発現することを見出した。一方、酸性光触媒層形成用塗布液は、たとえ亜鉛等の金属又はその化合物を併用しても防藻活性は乏しいが、アルカリ性光触媒層形成用塗布液に酸化亜鉛を併用すれば顕著な防藻活性が得られた。この理由は明確ではないが、アルカリ性塗布液から形成された光触媒塗膜の表面電位が負となることで負電荷を有する藻の吸着が抑制されること、酸化亜鉛自体の防藻効果、さらに金属成分の溶出が防止されることにより金属成分による防藻効果が持続すること等が相乗的に寄与していると思われる。
【0009】
本発明の光触媒層形成用塗布液中の各成分の配合割合は、以下の範囲である。
成分(A): 0.01~10質量%、好ましくは0.1~5.0質量%
成分(B): 0.1~15質量%、好ましくは1.0~5.0質量%
成分(C): 0.01~15質量%、好ましくは0.1~5.0質量%
成分(D): 80~99質量%、好ましくは85~95質量%
また、成分(B)1質量部に対して、成分(A)の配合比は0.05~2質量部であることが好ましい。
【0010】
(酸化亜鉛)
本発明の光触媒層形成用塗布液は、成分(A)として、他元素が固溶している酸化亜鉛粒子を必須成分として含有する。
「他元素が固溶している」とは、酸化亜鉛を主成分とする固体マトリックス中の少なくとも一部に他元素が均一に分散して存在していることを意味し、他元素の単体若しくは化合物と酸化亜鉛とが独立に存在し両者が複合体を形成している存在形態(例えば前者が後者の表面を被覆している、あるいは前者の微粒子が後者に担持されている等。)を包含しない。
本粒子においては酸化亜鉛が主成分である限り問題はないが、粉末X線回折により酸化亜鉛結晶に特徴的なピークが検出されることが好ましい。酸化亜鉛中における他元素の含有量は必ずしも限定されないが、酸化亜鉛に対する他元素の含有量が0.001~20質量%であることが好ましく、0.01~10質量%であることがより好ましい。
本発明では、アルカリ性条件下で、光触媒とこのような酸化亜鉛との組み合わせにより相乗的な防藻活性が得られる。
銀、銅等の金属を含む物品は変色する場合があり、特に光触媒と併用し、紫外光の強い屋外で使用した場合には問題となりがちである。それに対して酸化亜鉛は、このような変色を起こす心配がなく、テントや外装材の用途には特に適している。なお、酸化亜鉛中の「他元素」としてこれらの金属が含有されていても、その含有量は微量でありかつ酸化亜鉛中に固溶して存在するため、問題はない。
また酸化亜鉛は、毒性や環境に対する悪影響も低く、この点でもその他の金属又はその化合物に比較して優れている。
光触媒材料と両性金属酸化物との併用によりNOx分解が促進されることが既に知られており、本発明によるNOx分解効果にもこれが寄与している可能性がある。しかし、他元素が固溶して含有される酸化亜鉛を用いると、NOx分解効果がさらに増強される。この効果は今回初めて明らかにされたものである。
本発明の光触媒形成用塗布液の原料として用いる酸化亜鉛は、少なくとも塗布時に光触媒層形成用塗布液中に均一に分散させることができるものであれば問題なく、粉末であってもよいし、予め分散媒に分散させてなる分散液でもよい。分散液である場合には、光触媒層形成用塗布液のpHが7.5~11となる必要があるため、該分散液は中性ないしアルカリ性であることが好ましく、pH7~11であることが特に好ましい。
酸化亜鉛の粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が、5~100nmであることが好ましく、10~50nmであることが特に好ましい。
【0011】
(他元素)
本発明の光触媒形成用塗布液の原料として用いる酸化亜鉛に含有される他元素とは、亜鉛及び酸素以外の元素であり、必ずしも限定されないが、陽性元素、特に4価以下の陽性元素であることが好ましく、1族元素、2族元素、遷移金属(3族~11族)元素、13族元素、14族元素等が挙げられる。その具体例としては、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、銀、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、錫、等が挙げられる。
以上のうち、3価元素又は13族元素であることがさらに好ましい。
3価元素は、酸化亜鉛に固溶含有された状態で、3価の酸化状態として存在する元素であり、13族元素のほか、鉄等が例示される。
13族元素としては、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等が例示される。
以上の元素の内、アルミニウム又はガリウムが特に好ましい。これらの元素が固溶している酸化亜鉛としては、一般に導電性酸化亜鉛として販売されているものを使用してもよい。
【0012】
(光触媒粒子)
本発明の光触媒層形成用塗布液は、成分(B)として、成分(A)以外の光触媒粒子を必須成分として含有する。
光触媒粒子は、光触媒材料を、光触媒層形成用塗布液に分散し得る程度の粒子径としたものである。
本発明に用いられる光触媒材料は、成分(A)以外の成分、好ましくは酸化亜鉛以外の成分からなり、光触媒活性を有する金属酸化物等を含む無機材料である。
光触媒材料の主成分として具体的には、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ロジウム、酸化レニウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン等が好ましく、特にアナターゼ型又はルチル型の酸化チタンが好ましい。
また、これらに、Pt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Fe、Ag等の金属若しくはこれらの酸化物を添加したもの、また窒素、硫黄等の元素を微量成分として添加したものも、本発明の効果に悪影響を与えない限り用いることができる。これらにより、藻類等の微生物の防除をさらに増強する効果や、光触媒作用に紫外光のみならず可視光を利用する効果を期待し得る。
光触媒材料微粒子の粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が、5~100nmであることが好ましく、10~50nmであることが特に好ましい。
【0013】
本発明の光触媒形成用塗布液の原料としての光触媒粒子には、粉体を用いてもよいが、予め光触媒粒子を分散媒に分散させてなる光触媒分散液を用いることが好ましい。
光触媒分散液としては、一般に、その表面電位の効果で安定に分散させるために、酸性またはアルカリ性で水性分散媒に分散させたものが用いられている。
本発明の光触媒層形成用塗布液には、酸性ないし中性の光触媒分散液を用いてもよいが、この場合は最終的にpH7.5~11に調整する工程が必要となり、該工程で分散性に支障を来すおそれもある。一方、pH8~11の光触媒分散液を使用すれば、このpH調整工程が不要であるため好ましい。
成分(B)である光触媒の含有量は、光触媒層全体に対して、酸化物に換算して5質量%~60質量%となるようにすることが好ましい。5質量%未満になると光触媒層の光触媒活性が著しく低下する。一方、60質量%を越える場合には光触媒活性は高くなるものの、光触媒層と基材若しくは接着層との接着性が乏しくなる。
成分(A)も光触媒活性を有する場合があるが、その光触媒活性は比較的低く、成分(A)による基材若しくは接着層との接着性に対する悪影響は少ない。従って、成分(A)と成分(B)(酸化物換算)との合計含有量は、前記成分(B)のみの含有量上限より高くてもよく、光触媒層全体に対して10質量%~90質量%であることが好ましく、20質量%~60質量%であることがより好ましい。
【0014】
(バインダー)
本発明の光触媒層形成用塗布液は、さらに成分(C)として、(A)及び(B)以外のバインダーを含有する。バインダーは、光触媒粉末を固着し、基材若しくは接着層と強固に接着させることを目的とする。
本発明で用いるバインダーは、光触媒及び酸化亜鉛を除く金属酸化物又は金属水酸化物の1種以上を含有することが好ましく、これは光触媒及び酸化亜鉛を除く金属酸化物又は金属水酸化物の分散液に由来することがより好ましい。
金属酸化物又は金属水酸化物の分散液は、光触媒層形成用塗布液を塗布した光触媒層を乾燥したときに、光触媒層中で金属酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲルとなり、光触媒粉末を固着し、基材若しくは接着層と強固に接着させる効果を有している。金属成分としては、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオブ、タンタル、タングステン、錫等の金属の酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲル(但し光触媒であるものを除く。)を例示することができる。このうち、シリカ分散液又はアルミナ分散液が好ましく、特にシリカ分散液が好ましい。
金属酸化物又は金属水酸化物の分散液は、分散液としての安定性を確保するために、解膠剤として酸又はアルカリを含有してもよい。但し、光触媒層形成用塗布液のpHが7.5~11となる必要があるため、金属酸化物又は金属水酸化物の分散液は中性ないしアルカリ性であることが好ましく、pH7~11であることが特に好ましい。
【0015】
本発明の光触媒層形成用塗布液に関しては、光触媒及び酸化亜鉛を除く金属酸化物又は金属水酸化物の分散液に加えて、光触媒層の強度を改善するバインダー等の目的でもし必要であれば、樹脂、加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解縮合物、若しくは金属酸化物又は金属水酸化物の前駆体を含有してもよい。
樹脂としては、光触媒作用による劣化を受け難い、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。シリコーン変性樹脂としては、アクリルシリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂等が挙げられる。
加水分解性シラン化合物は、一般構造式RnSiX(4-n)(ここで、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、Xは塩素原子、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアルケニルオキシ基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、nは0~3のいずれかの整数を表す。)で表される。加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物とは、前記の加水分解性シラン化合物の1種または2種以上を加水分解し縮合して得られる化合物である。これらは本発明の光触媒層形成用塗布液に用いられる光触媒分散液に含有されるアルカリ分を触媒として加水分解され、あるいは塗布後の加熱により加水分解が促進され得る。
金属酸化物又は金属水酸化物の前駆体は、加水分解することにより、金属酸化物又は金属水酸化物に変化する物質を意味し、具体的には、前記金属を含有するアルコキシド、前記金属を含有するキレート化合物等、より具体的には、シランアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物、チタンアルコキシド、チタンキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムキレート化合物等が例示される。これらは本発明の光触媒層形成用塗布液に用いられる光触媒分散液に含有されるアルカリ分を触媒として加水分解され、あるいは塗布後の加熱により加水分解が促進され得る。
【0016】
(分散媒)
本発明の光触媒層形成用塗布液は、水性分散媒を含有している。
分散媒は、水、又は水とそれに混合可能な有機溶媒とを含む溶液からなる水性分散媒であることが好ましい。分散媒としては、光触媒分散液や、バインダーとしての金属酸化物又は金属水酸化物の分散液に予め含まれていた分散媒をそのまま使用してよく、また固形分濃度を調整しあるいは下記のように分散媒の組成を調整するために、水及び/又は有機溶媒を追加してもよい。
特に、塗工時の濡れ性に優れ、塗工後の乾燥が容易である点から、水と揮発性の有機溶媒とを含む溶液からなる水性分散媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の低級アルコールが好ましい。また有機溶媒の濃度は、10~80質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。以上により、塗工時のハジキ、接着層の削れ等の不都合が生じず、均一な光触媒層を形成することができる。
【0017】
(他の成分)
本発明の光触媒層形成用塗布液には、本発明の効果を減弱させない範囲で、上記各成分の他に、pH調整剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、色素等が含有されていてもよい。
【0018】
(光触媒層形成用塗布液の製造)
本発明の光触媒層形成用塗布液の製造は、基本的に、以上の各原料を混合し均一にすればよく、混合の順序は特に限定されない。ただし、混合によりpHや有機溶媒濃度が大きく変動する場合には、その影響で粒子の凝集やゲル化が起きるのを防ぐため、このような変動を回避し得る順序を採用し、あるいは一方の原料を他方の原料に滴下する等により徐々に混合する方法を採用するのが好ましい。
【0019】
(光触媒担持構造体)
本発明の光触媒担持構造体は、基材と、該基材の表面の少なくとも一部に被着された光触媒層とを含む構造体であって、光触媒層は、本発明の光触媒層形成用塗布液の乾燥固化物であることを特徴とする。
基材としては、特に限定されないが、金属、セラミックス、陶磁器、石、セメント、コンクリート、ガラス、プラスチック、木、合成樹脂、合成繊維、天然繊維、テント地またはそれらを組み合わせてなる複合材料を例示することができる。
基材の形状としては、フィルム状、シート状、板状、管状、繊維状、網状等どのような複雑な形状のものも使用可能である。基材の厚さとしては10μm以上のものであれば強固に担持することができるので好ましい。
【0020】
(光触媒層)
本発明の光触媒担持構造体における光触媒層は、本発明の光触媒層形成用塗布液を、基材の表面の少なくとも一部に塗布し、これを乾燥させて固化させることにより、製造することができる。
塗布の方法としては、スプレーコート、スピンコート、バーコート、ローラーコート、刷毛塗り、スクリーン印刷、グラビアコート等を用いることができ、また基材の全面に塗布する場合にはディップ法(浸漬法)を用いてもよい。
前記の乾燥及び固化の工程は、常温で実施してもよいが、乾燥及び固化を促進するために加熱してもよく、スプレーコート等の方法を用いて均一に塗布できるのであれば、塗布前に基材を予熱してもよい。
この加熱における条件は、必ずしも限定されるものではないが、基材の変形又は劣化が生じない温度及び時間の範囲で行うことが好ましい。特に温度を200℃以下とすることが好ましく、これは基材が非耐熱性合成樹脂を含む場合に特に適している。本発明において非耐熱性合成樹脂とは、160℃で変形する合成樹脂であり、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、オレフィン樹脂、またこれらからなる複合樹脂等が挙げられる。温度をこのような変形温度より高温とすることも可能であるが、その場合には基材の変形が生じない温度及び時間の範囲に留めることが好ましい。
光触媒層の厚みは、特に制限されないが、厚い方が光触媒活性が高い。しかし厚みが5μmを超えると活性はほとんど変わらない。また厚みが0.1μmを下回ると、透光性は良くなるものの、光触媒が利用する紫外線をも透過してしまうために、高い活性は望めなくなる。このため、通常は0.1~5μmの範囲が好ましく、0.5~5μmの範囲がより好ましい。
【0021】
(接着層)
基材と光触媒層との間には、1種又は複数の接着層(中間層)をさらに設けてもよい。これにより、例えば基材に含有される成分が表面に拡散することで光触媒活性を阻害することを防止することができる。また逆に、光触媒の作用により基材が劣化することを防止することができる。特に、基材と光触媒層との接着を促進し、併せて以上の効果を得るために、1種又は複数の接着層を設けることが好ましい。
接着層の材質としては、基材を光触媒作用による劣化から保護し、さらに光触媒層を強固に固定できるものであれば特に制限されないが、具体的には(1)シリコーン含有量が酸化物に換算して2~60質量%である、アクリルシリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリエステルシリコーン樹脂等のシリコーン変性樹脂、(2)ポリシロキサンを酸化物に換算して3~90質量%含有する樹脂、(3)コロイダルシリカを酸化物に換算して5~90質量%含有する樹脂、等を使用することができる。これらの樹脂は光触媒を強固に接着し、基材を光触媒から保護するのに適当であり、また基材に可塑剤等の成分が含まれる場合にこれが表面へ拡散するのを防ぐことができる。
シリコーン含有量が酸化物に換算して2質量%未満のアクリルシリコーン樹脂等のシリコーン変性樹脂やポリシロキサン含有量が酸化物に換算して3質量%未満の樹脂、コロイダルシリカ含有量が酸化物に換算して5質量%未満の樹脂では、光触媒層との接着が悪くなり、また、接着層が光触媒により劣化し、光触媒層が剥離し易くなる。シリコーン含有量が酸化物に換算して10質量%を超えるアクリルシリコーン樹脂等のシリコーン変性樹脂やポリシロキサン含有量が酸化物に換算して90質量%を超える樹脂、コロイダルシリカ含有量が酸化物に換算して90質量%を超える樹脂では、基材との密着性が低下する。
またシリコーンを導入する樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等を例示することができる。これらの内、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が、成膜性、強靭性、担体との密着性の点で特に好ましい。これらの樹脂は、溶液状であってもエマルジョンタイプであってもどちらでも使用できる。また、架橋剤等の添加物が含まれていてもよい。
前記接着層の樹脂に含まれるポリシロキサンが炭素数1~5のアルコキシ基を有するシランアルコキシドの加水分解物あるいは該加水分解物生成物である場合には、接着性及び耐久性がより向上した担持構造体を得ることができる。シランアルコキシドのアルコキシ基の炭素数が6を超えると、加水分解速度が非常に遅いので、樹脂中で硬化させるのが困難になり、接着性や耐久性が悪くなる。また、部分的に塩素を含んだシランアルコキシドを加水分解したポリシロキサンを使用することもできるが、塩素を多量に含有したポリシロキサンを使用する場合には、不純物の塩素イオンにより、基材が腐食されたり、接着性が低下するおそれがある。
接着層は、以上の成分若しくはその前駆体を含有する接着層塗布液を基材表面に塗布し、乾燥し固化させることで得られる。この方法は、接着層塗布液の組成に応じて選択すればよいが、光触媒層のそれと同様に行うことができる。
接着層の厚みは、特に制限されないが、通常は0.1~10μmの範囲が好ましく、0.5~5μmの範囲がより好ましい。
さらに、基材と接着層との密着性を良くするために、表面に放電処理やプライマー処理等の易接着処理を施した基材を用いてもよい。
【0022】
(使用環境)
本発明の光触媒担持構造体を使用する環境は、光照射を受ける限り特に限定されないが、紫外光を含む外光の照射を受け(直射日光を受けない日陰であってもよい。)、かつ藻類が発生し得る屋外環境での使用が好ましい。水中での使用も可能ではあるが、常時水と接触している環境では亜鉛が溶出し減少しやすいので、常時水と接触している環境を除く環境で使用することが好ましく、降水、散水、結露等により一時的に水と接触して構造体表面の汚れが洗い流される環境で使用することが特に好ましい。特に樹脂系サイディング、窯業系サイディング、タイル等の建築物の外装材、またフッ素塗料やアクリルシリコーン塗料等の現場塗工により施工された外壁、屋外に設置するウッドデッキ(木材又は木材プラスチック複合材からなるもの)や、テント等に適している。
また窒素酸化物の多い道路沿いの環境で使用することも好ましく、特に看板や道路標識等に使用すれば表面の汚れを防止する効果もあり好ましい。
【実施例】
【0023】
次に、本発明の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0024】
基材としては白色テント地を用いた。
アクリルシリコーン樹脂を、エタノール-ブタノール-酢酸エチル混合溶媒で固形分濃度20質量%となるように希釈し、接着層形成用塗布液を得た。
接着層形成用塗布液を基材の片側表面にバーコート成膜により1回塗布し、100℃で5分乾燥させ、厚さ約1.0μmの接着層を形成させた。
【0025】
(光触媒層形成用塗布液及び光触媒担持構造体の作製)
以下の各実施例及び比較例の光触媒層形成用塗布液を、上記接着層の上にバーコート成膜により1回塗布し、100℃で5分乾燥させ、厚さ約0.5μmの光触媒層を形成させることにより、光触媒担持構造体を得た。
【0026】
(実施例1)
シリカを水酸化ナトリウムに懸濁させビーズミルで粉砕し、粒子径4~6nm、固形分濃度20質量%、pH9のアルカリ性シリカゾルを得た。
13質量%の炭酸水素アンモニウム水溶液575gを、試薬酸化亜鉛の水分散液(平均粒径1.0μm、5質量%)2950gに加えて室温で撹拌した後、70℃まで加温し、さらに30分間熟成することにより、塩基性炭酸亜鉛の水分散液を得た。次いで、2.8質量%の硫酸アルミニウム水溶液514.3gを、上記で得た塩基性炭酸亜鉛の水分散液に加えて室温で撹拌した後、70℃まで加温し、さらに30分間熟成した。この分散液から固形物を濾別し、乾燥した後、300℃で3時間焼成し、更に水素雰囲気下に400℃で2時間還元焼成した。この焼成物を解砕して、一次粒径約20nmのアルミニウムドープ酸化亜鉛粉末を得た。
上記シリカゾル9.4gに、撹拌しながらイオン交換水8.0g、アルカリ性二酸化チタンゾル(石原産業社製STS-21、アナターゼ型、一次粒子径20nm、固形分濃度40質量%、pH8.5)5.0gを順次混合し、続いてアルコール系溶媒27.1gを徐々に滴下して混合し、その後界面活性剤溶液0.5gを添加した。
これに上記アルミニウムドープ酸化亜鉛粉末0.4gを混合して分散させ、光触媒形成用塗布液を得た。
【0027】
(比較例1)
アルミニウムドープ酸化亜鉛を用いなかった以外は実施例1と同様にして、光触媒形成用塗布液を得た。
【0028】
(比較例2)
アルミニウムドープ酸化亜鉛に代えて、ニッケル粉末(一次粒径0.5~50μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、光触媒形成用塗布液を得た。
【0029】
(比較例3)
アルミニウムドープ酸化亜鉛に代えて、キュプロニッケル粉末(銅70質量%とニッケル30質量%からなる合金、一次粒径40~50μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、光触媒形成用塗布液を得た。
【0030】
(比較例4)
アルミニウムドープ酸化亜鉛に代えて、試薬酸化亜鉛(平均粒径1.0μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、光触媒形成用塗布液を得た。
【0031】
(比較例5)
アルカリ性二酸化チタンゾルに代えて、実施例1で用いたアルミニウムドープ酸化亜鉛粉末の水分散液(固形分濃度40質量%、pH8.5)を用いた以外は比較例1と同様にして、光触媒形成用塗布液を得た。
【0032】
(比較例6)
アルカリ性二酸化チタンゾルに代えて、酸性二酸化チタンゾル(石原産業社製STS-01、アナターゼ型、一次粒子径7nm、固形分濃度30質量%、pH1.5)6.7gを用い、アルコール系溶媒使用量を25.4gとした以外は実施例1と同様にして、光触媒形成用塗布液を得た。
【0033】
(防藻試験)
上記の方法により得られた光触媒担持構造体(実施例1;比較例1~3、6)を、直射日光及び降雨を受ける屋外で曝露し、4ヶ月後及び6ヶ月後に評価した。評価は次の基準により行った。
×:藻の発生が甚だしく全体が緑色となり実用性なし。
△:わずかな汚れ又は藻の発生が見られる。
○:汚れ、藻の発生ともになし。
結果は表1の通りであった。
【0034】
【0035】
以上の結果から、光触媒材料として酸性二酸化チタンゾルを用いた場合は藻の発生が甚だしいが、それに比較して光触媒材料としてアルカリ性二酸化チタンゾルを用いた場合はやや防藻効果があること、さらに防藻成分としてアルミニウムドープ酸化亜鉛を光触媒層に併用すれば長期に亘り確実な防藻効果が得られることが明らかにされた。
【0036】
(NOx除去試験)
上記の方法により得られた光触媒担持構造体(実施例1;比較例1、2、4、5)を用い、光照射によるNOx分解機能の評価を実施した。
NOx分解機能の評価は、「JIS R 1701-1:2010 ファインセラミックス-光触媒材料の空気浄化性能試験方法-第1部:窒素酸化物の除去性能」における「除去量が小さい試験片の試験方法」に従い、試験片1枚あたりのNOxの除去量を測定した。
結果は表2の通りであった。
【0037】
【0038】
以上の結果から、アルミニウムドープ酸化亜鉛自体には光触媒によるNOx分解効果はないこと、二酸化チタン光触媒に試薬酸化亜鉛を併用してもある程度のNOx分解効果が見られるものの、アルミニウムドープ酸化亜鉛を併用すればさらにNOx分解が促進されることが明らかにされた。