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特許7220230有機化合物におけるまたはそれに関する改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】有機化合物におけるまたはそれに関する改善
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/18 20060101AFI20230202BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 8/00 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20230202BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20230202BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B01J13/18
A61K8/11
A61K8/04
A61K8/33
A61K8/00
A61K8/87
A61Q13/00 102
C11D3/50
C11B9/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020548769
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019055484
(87)【国際公開番号】W WO2019174978
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】1804038.6
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(74)【代理人】
【識別番号】100195419
【弁理士】
【氏名又は名称】矢後 知美
(72)【発明者】
【氏名】エル-ハブノウニ,サラ
(72)【発明者】
【氏名】オーサント,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ボコキッチ,ヴラディカ
(72)【発明者】
【氏名】グイニェブレチェレ,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート,フロラン
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-534952(JP,A)
【文献】特表2013-537472(JP,A)
【文献】特開昭59-012750(JP,A)
【文献】特表2017-503643(JP,A)
【文献】特開昭57-024629(JP,A)
【文献】特表2017-533240(JP,A)
【文献】特表2018-535978(JP,A)
【文献】特表2019-529646(JP,A)
【文献】特表2019-530566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/18
A61K 8/11
A61K 8/04
A61K 8/33
A61K 8/00
A61K 8/87
A61Q 13/00
C11D 3/50
C11B 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化されたフレグランス組成物を調製するプロセスであって、組成物が分散媒体に分散された複数のマイクロカプセルを含み、マイクロカプセルがコアおよびコアの周りのシェルを含み、プロセスが以下の連続的なステップ:
a)少なくとも1つのアニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)を含む水相(I)を提供すること;
b)少なくとも1つのフレグランス成分を含む有機相(II)を提供すること;
c)水相(I)および有機相(II)を混合して混合物を得ること;
d)連続的な水相(I)において有機相(II)の液滴を含むエマルジョンを形成すること;
e)少なくとも1つの多官能性アミンを添加すること;
f)ステップd)において形成される液滴のまわりのシェルの形成をもたらしてマイクロカプセルの分散体を得ること;
を含み
ここで、プロセスがポリイソシアナート(A)とは異なるポリイソシアナート(B)を添加する、さらなるステップを含み;ここでポリイソシアナート(B)は、ステップc)の間に、またはステップc)の後、且つステップd)の前に、またはステップd)の間に添加される、
前記プロセス。
【請求項2】
アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)が、ヘキサメチレンジイソシアナートの改変されたイソシアヌラートである、請求項に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップa)において提供される水相(I)が、さらにアニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)とは異なる分散補助剤を含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
ポリイソシアナート(B)が非イオン性ポリイソシアナートである、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
非イオン性ポリイソシアナートが、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートおよびイソホロンジイソシアナートからなる群から選択される、請求項に記載のプロセス。
【請求項6】
多官能性アミンが、以下の繰り返しユニット
【化1】
xは、8~1500であり;
yは、0~10であり;および
zは、2+yである、
を含有するポリエチレンイミンである、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
水相(I)がさらにカチオン性ポリマーを含む、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
カチオン性ポリマーを添加するステップをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
カチオン性ポリマーが、カチオン性モノマーまたはカチオンを形成できるモノマー、アニオン性モノマーまたはアニオンを形成できるモノマー、および任意に非イオン性モノマーに由来する、両性コポリマーである、請求項またはに記載のプロセス。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができるカプセル化されたフレグランス組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のカプセル化されたフレグランス組成物を含む消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカプセル化されたフレグランス組成物を調製するプロセス、かかるプロセスにおいて分散補助剤としてアニオン的に改変されたポリイソシアナートの使用、およびかかるプロセスにより得ることができるカプセル化されたフレグランス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハウスホールドケア、パーソナルケアおよび布地ケア製品などの消費者製品におけるカプセル化されたフレグランスを用いることが知られている。マイクロカプセルはこのために特に好適である。典型的には、マイクロカプセルは、コアおよびコアのまわりのシェルを含み、ここでコアは少なくとも1つのフレグランス成分を含み、およびシェルはコアに対して不浸透性であるかまたは部分的に不浸透性である。マイクロカプセルは一般に0.1μm~1000μmの体積平均直径を有する。多数のシェル材料は、かかるマイクロカプセルを製造するために知られている。シェル形成材料の種類、および製造方法に依存して、マイクロカプセルは各場合において、直径、サイズ分布、物理的および/または化学的特性などの異なる特性を用いて形成される。
【0003】
フレグランス組成物は、様々な理由のためにカプセル化される。マイクロカプセルは、それらが不適合のまたは不安定になり得る、消費者製品ベースなどの、外側の懸濁媒体からのフレグランス成分を単離しおよび保護することができる。それらはまた、肌、毛髪、布地または硬い表面などの基質上へのフレグランス成分の堆積を補佐するために使用される。マイクロカプセルはまたフレグランスの時空放出を制御するための手段としても働くことができる。
【0004】
イソシアナートとアミンとの反応によって得られるポリウレアコアシェルマイクロカプセルは、当該技術分野において周知である。実例として、WO 2011/160733 A1は、カプセルシェルが2つの構造的に異なるイソシアナートのエマルジョン形態における反応によって得られる、マイクロカプセルを製造する方法を記載している。
かかるマイクロカプセルは、フレグランス送達において有効であることが証明されたが、それらの産生は、必要とされる材料に関してだけでなく、プラント設備および人材に関してもまたなお資源集約的である。この相対的に高い資源消費は、また環境保護の観点から最適ではない。
【0005】
上述の種類のポリウレアマイクロカプセルの別の欠点は、それらがなおも抽出媒体における相対的に高い漏出を示すことである。
したがって、先行技術における上述の短所を克服することは、本発明に潜在する課題である。
【0006】
とりわけ、操作的により単純で且つより効率的であるカプセル化されたフレグランス組成物を調製するためのプロセスを提供することは、本発明に潜在する課題である。さらにまた、プロセスは安価で且つ持続可能であるべきである。用途におけるそれらの特徴に関して、製造されたマイクロカプセルは、公知のものと同等かまたはそれより優れてさえいるべきである。とりわけ、マイクロカプセルは、抽出媒体における減少した漏出を示すことになる。
【0007】
これらの課題は、請求項1に記載されたカプセル化されたフレグランス組成物を調製するプロセスによって解決される。組成物は、分散媒体において分散された複数のマイクロカプセルを含む。マイクロカプセルは、コアおよびコアの周りのシェルを含む。プロセスは、連続的な以下のステップ:
a)少なくとも1つのアニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)を含む水相(I)を提供すること;
b)少なくとも1つのフレグランス成分を含む有機相(II)を提供すること;
c)水相(I)および有機相(II)を混合して混合物を得ること;
d)連続的な水相(I)において有機相(II)の液滴を含むエマルジョンを形成すること;
e)少なくとも1つの多官能性アミンを添加すること;
f)ステップd)において形成される液滴のまわりのシェルの形成をもたらしてマイクロカプセルの分散体を得ること
を含む。
【0008】
該プロセスは以下の追加のステップ:
-ポリイソシアナート(A)とは異なる、ポリイソシアナート(B)を添加すること、
を含む。
上述のプロセスは、ポリイソシアナート(A)およびポリイソシアナート(B)を直接的に、すなわち有機相(II)との混合物を事前に形成することなく、反応系に添加すること許容する。したがって、本発明のプロセスは、とりわけ費用に関して、当該技術分野で公知であるものよりも操作的により単純で且つより効率的である。とりわけ、プロセスは、単一の混合容器において行うことができる。ポリイソシアナートの有機相(II)との前混合物を調製するためのさらなる容器は必要ない。とくに、工業生産において、生産機器の占有および洗浄が避けられるため、これは有利な利点である。これは、より高い生産能力およびよりよい持続可能性をもたらし、一方生産コストは削減される。
【0009】
さらにまた、本発明の文脈において、アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、分散補助剤として働くことができる。分散補助剤は、連続的な水相(I)における有機相(II)の液滴を含むエマルジョンが形成され、それが液滴のまわりのシェルの形成に好適であり、所望のカプセルをもたらすことを確実にする。分散補助剤を用いて、エマルジョンの安定性および液滴の大きさなどのパラメータが制御される。それらはまた、シェル形成のための反応相手は高濃度の相界面に存在する。分散補助剤はまた乳化され、懸濁されまたは分散された構成要素の凝集(集塊、凝結、軟凝集)を妨げる。
【0010】
原則として、本発明によるプロセスにおいて、追加の分散補助剤は必要とされず、それはさらなる利点である。しかしながら、曖昧さを回避するために、本明細書の以下にさらに議論されるとおり、かかるプロセスにおいてアニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)とは異なる追加の分散補助剤が添加され得るということを指摘する。追加の分散補助剤がアニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)と組み合わせて使用されるときでさえ、なおその量を減らすことができるという利点がある。
【0011】
本発明により製造されたマイクロカプセルが適用におけるそれらの特徴に関して、とりわけ漏出およびフレグランス放出特性に関して、公知のものと同等かまたはそれより優れてさえいるということが見出された。
本発明の文脈において、「水相」は、溶媒水または水と少なくとも1つの水混和性の有機溶媒との混合物との混合物として有する、連続的な、不均一な系の均一な部分(例としてステップc)において得られた混合物、ステップd)において形成されたエマルジョンまたはステップf)において形成された分散体)と解される。
【0012】
水相は、5~12、好ましくは7~10の範囲にあるpH、例えばほぼ8または9、を有することができる。pHは、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム溶液、またはカーボナート緩衝塩を用いて調製され得る。
【0013】
本発明の文脈において、「有機相」は、水、およびとりわけ水相と混ざらない不均一な系の部分として理解されるべきである。有機相(II)は、一般に液体形態である。好ましくは、有機相(II)は、固体の構成要素を含有しないか、または少量だけ含有する。本発明の意味において、少量は固体の構成要素が、有機相(II)の総重量基づいて、最大5重量%で、好ましくは最大1重量%で、より好ましくは最大0.1重量%であることを意味する。とりわけ、有機相(II)は、固体の構成要素を含有しない。有機相(II)は一般に、水において限定された可溶性のみを有する構成要素からなる。これは、カプセル化条件下で液体である疎水性の構成要素および疎水性構成要素の混合物を包含し、ここでこれらの混合物はカプセル化条件下で液体である。
【0014】
本発明の文脈において、有機相(II)は、ポリイソシアナートを含有しないかまたは少量のみ含有する。現在、「少量のポリイソシアナート」は、任意のポリイソシアナートの総量が、有機相(II)の総重量に基づき、最大5重量%、好ましくは最大1重量%、より好ましくは0.1重量%、さらにより好ましくは最大0.01重量%であることを意味する。とりわけ、有機相(II)は、ポリイソシアナートを含有しない。
ステップd)において、形成されたエマルジョンは、連続的な水相(I)において、有機相(II)の液滴を含んで形成される。安定なエマルジョンを形成するために、有機相を水相の上部に添加するのが好ましい。
【0015】
水相(I)および有機相(II)を、当業者に知られている方法によって、例として、混合物が乳化するまで好適な撹拌機を使用して撹拌することを通して混合物にエネルギーを導入することによって乳化することができる。ステップd)において形成されるエマルジョンは、好ましくは撹拌によって調製される。撹拌速度は、水相(I)における有機相(II)の液滴のサイズに影響を与えるように調整され得る。激しい撹拌期間の後、有機相(II)が水相(I)中の小さな液滴として分散したエマルジョンが得られた。好ましい撹拌機は、MIG撹拌機、プロペラ撹拌機、パラヴィスク攪拌機、INTERMIG撹拌機およびイソジェット撹拌機である。
【0016】
ステップd)において水相(I)および有機相(II)の混合物が、とりわけ1~2Lの容器に対して、200rpm~1200rpm、好ましくは400~800rpmの速度で撹拌されるのが好ましいことを見出した。これらの値は、プロペラ撹拌機を使用した場合に特に好ましい。ステップd)における混合物は、1~120分、好ましくは2分~60分、特に5~30分の間撹拌される。当業者は、かかる撹拌条件が反応容器の大きさにおよび混合物の体積、撹拌機の厳密な形状に、および撹拌機の反応容器の直径に対する比率に依存して変化してもよいことを理解するだろう。例えば、撹拌機の反応容器に対する直径比率が0.5~0.9、および体積が0.5~8トンを有するMig撹拌機のために、本発明の文脈における好ましい撹拌スピード(agitation speed)は、150rpm~50rpmである。
【0017】
いかなる曖昧さをも回避するために、本発明の文脈において、ポリイソシアナート(B)は、無溶媒の形態または混合物、とりわけ溶液として添加され得る。いずれの場合においても、ポリイソシアナート(B)は、有機相(II)とは別に添加される。好ましくは、ポリイソシアナート(B)は、無溶媒の形態において添加される。
ポリイソシアナート(B)は、ステップa)において提供された水相(I)に添加され得る。
ポリイソシアナート(B)は、ステップc)の間に添加され得る。
ポリイソシアナート(B)は、ステップc)において得られた混合物に添加され得る。
ポリイソシアナート(B)は、ステップc)の後およびステップd)の前に添加され得る。
ポリイソシアナート(B)は、ステップd)の間に添加され得る。
ポリイソシアナート(B)は、ステップd)の後およびステップe)の前に添加され得る。
ポリイソシアナート(B)は、ステップe)の後およびステップf)の前に添加され得る。
【0018】
ステップc)の間または後および/またはステップd)の間にポリイソシアナート(B)を添加するのが好ましい。理論に縛られることなく、ポリイソシアナート(B)の界面表面への送達は、ここでそれはシェル形成に加わるのだが、その結果最も効率的であると推測される。さらにまた連続水相(I)における沈殿の形成がこの方法で避けられる。
【0019】
ステップa)において少なくとも1つのアニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)を含む水相(I)を提供するために、ポリイソシアナート(A)がまた水性混合物または水に、無溶媒形態においてまたは混合物としてのいずれかで、好ましくは無溶媒形態において添加され得る。
【0020】
有機イソシアナートは、イソシアナート基が有機残基に結合する化合物である(R-N=C=OまたはR-NCO)。本発明の文脈において、ポリイソシアナート(または多官能性イソシアナート)は、分子内における2以上の(例として、3、4、5等々)イソシアナート基を有するイソシアナート基である。好適なポリイソシアナートは、実例として、芳香族、脂環式、または脂肪族である。
【0021】
アニオン的に改変されたポリイソシアナートは、少なくとも2つのイソシアナート基およびアニオン性またはアニオンを生み出す(anionogenic)少なくとも1つの官能基を含む。「アニオンを生み出す官能基」は、例えばpHなどの化学的環境に依存してアニオン性になり得る基である。好適なアニオン性またはアニオンを生み出す基は、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基およびそれらの塩である。
【0022】
アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、1以上のスルホン酸基またはそれらの塩を含むことができる。好適な塩はナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩である。アンモニウム塩は好ましい。
好ましくは、アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、ポリイソシアナートの2-(シクロヘキシルアミノ)-エタンスルホン酸および/または3-(シクロヘキシルアミノ)-プロパンスルホン酸との反応によって得られる。
【0023】
より好ましくは、アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、ポリイソシアナートと2-(シクロヘキシルアミノ)-エタンスルホン酸および/または3-(シクロヘキシルアミノ)-プロパンスルホン酸との反応によって得られ、ここで、ポリイソシアナートは、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアナートおよびそれらの異性体混合物、ジフェニルメタンジイソシアナート、ビウレット、アロファナートおよび/または前記ポリイソシアナートのイソシアヌラートから選択される。
アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、各場合において、アニオン的に改変されたヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌラートおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0024】
好ましくは、アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、
‐少なくとも1.8の平均イソシアナート官能性、
‐4.0~26.0wt%のイソシアナート基含量(NCOとして算出される;分子量=42),
‐0.1~7.7wt%のスルホナート基含量(SOとして算出される;分子量=80)および
‐任意に0~19.5wt%のポリエーテル鎖内に結合されるエチレンオキシドユニットの含量(COとして算出される;分子量=44)、ここでポリエーテル鎖は統計的平均5~55個のエチレンオキシドユニットを含有する:
を有する。
【0025】
とりわけ、アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、アニオン的に改変されたヘキサメチレンジイソシアナート、アニオン的に改変されたヘキサメチレンジイソシアナート、アニオン的に改変されたヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌラートおよびそれらの混合物から選択され得る。
特に好ましい態様において、アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、式(1)に従うことができる。
【化1】
【0026】
式(1)は、商標Bayhydur(登録商標) XP2547の下、Covestroによって販売される、ヘキサメチレンジイソシアナートの改変されたイソシアヌラートである、市販のアニオン的に改変されたポリイソシアナートを示す。
本発明によるプロセスにおいて、ステップa)において提供される水相(I)は、加えてアニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)とは異なる分散補助剤、特に非イオン性の分散補助剤を含み得る。
【0027】
アニオン的に改変されたポリイソシアナートとは異なり、および本発明の文脈において特に有用である分散補助剤は、部分的に水素化されたポリ(ビニルアセタート)、例えばポリ(ビニルアルコール)、とりわけ80%~99%、好ましくは88%~96%の間の加水分解度を有するもの、ポリビニルピロリドン(ポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)としても知られている)、およびポリ(4-スチレンスルホナートナトリウム)からなる群から選択されてもよい。
【0028】
本発明の好ましい態様において、アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)と異なる分散補助剤は、40より大きい、好ましくは60であるK値および150’000g/mol、好ましくは350’000~500’000g/molの分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)である。
PVPポリマーの様々なグレードに当てはめられたK値は平均分子量、重合度および固有粘度の関数(function)を表す。K値は、粘度測定に由来し、およびFikentscher式に従って計算される(例えば、M.Alger, Polymer Science Dictionary, Chapman&Hall, 1997, page 196参照)。
【0029】
より低いK値を有するPVPポリマーは、効率的な分散を提供するには低すぎる分子量を有し、一方より高いK値を有するPVPは、エマルジョンおよびマイクロカプセルスラリーの両方の粘度を高すぎる程度まで増大させる。
アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)とは異なる分散補助剤は、水相の5~10重量%、好ましくは水相の5重量%の量において存在することができる。
【0030】
本発明に従うプロセスにおいて、ステップa)において提供される水相(I)は、70mN/m未満、および好ましくは60mN/m未満の表面張力を有することができる。とりわけ、ステップa)において提供される水相(I)は、35~65mN/m、40~60mN/mまたは45~57mN/mの表面張力を有することができる。
低い表面張力を有する水相は、純水のものに近い表面張力を有する水相よりも有機相に対する分散媒体としてより好適である。水相がより低い表面張力を有する場合、効率的な乳化を提供するために必要とされるエネルギーはより低く、エマルジョンの安定性はより高い。表面張力は、いわゆるペンダントドロップ法、例えばKruess GmbH、Hamburg、Germanyによって製造するDrop ShapeAnalyzer-DSA30を用いた方法によって測定され得る。
【0031】
本発明に従うプロセスにおいて、ポリイソシアナート(B)は非イオン性ポリイソシアナートであり得る。
非イオン性ポリイソシアナートは、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン、1,5-ジイソシアナト-3-メチルペンタン、1,4-ジイソシアナト-2,3-ジメチルブタン、2-エチル-1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,4-ジイソシアナトブタン、1,3-ジイソシアナトプロパン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,2-ジイソシアナトシクロブタン、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-1-イソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレン1,6ジイソシアナート(HDI)、水素化された4,4ジフェニルメタンジイソシアナート(HMDI)からなる群から選択され得る。
【0032】
ポリイソシアナート(B)はまた、上述のイソシアナートモノマー、例えば1,6-ジイソシアナトヘキサンのホモポリマーなどに基づく非イオン性オリゴマーであり得る。全てのそれらのモノマーおよびオリゴマーは、Covestro AGによる商品名Desmodur(登録商標)の下で売買される。
【0033】
好ましくは、非イオン性ポリイソシアナート(B)は、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート、2,4-および2,6トルイレンジイソシアナートおよびそれらの異性体混合物、2,4’-および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナートおよびそれらの異性体混合物、キシリレンジイソシアナート(例えばCovestroによって販売されるDesmodur(登録商標) quix 175)、任意にトリメチロールプロパン(TMP)付加体として(例えば商標Takenate(商標)D-110Nで市販)、ビウレット、アロファナートおよび/または前記ポリイソシアナートのイソシアヌラートまたはそれらの混合物から選択される。
【0034】
好ましい市販の非イオン性のポリイソシアナート(B)は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートであり、とりわけ商標Desmodur(登録商標) W1の下、Covestro AGによって販売される。
好ましい市販の非イオン性のポリイソシアナート(B)は、ヘキサメチレンジイソシアナートであり、とりわけとりわけ商標Desmodur(登録商標) N3200の下、Covestro AGによって販売される。
好ましい市販の非イオン性のポリイソシアナート(B)は、イソホロンジイソシアナート、とりわけ商標Desmodur(登録商標) Zの下、Covestro AGによって販売される。
【0035】
これらのポリイソシアナートは、非芳香族であることの利点を有し、したがってより持続可能であり、および酸化し難く、一方ポリアミンとの高い反応性および非浸透性カプセル化樹脂の形成のための好適な分子構造をなおも有する。
【0036】
本発明の好ましい態様において、アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)は、アニオン的に改変されたヘキサメチレンジイソシアナート、アニオン的に改変されたイソホロンジイソシアナート、アニオン的に改変されたジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート、アニオン的に改変されたヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌラートおよびそれらの混合物から選択され、ならびに非イオン性ポリイソシアナート(B)は、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌラートおよびそれらの混合物から選択される。
【0037】
アニオン的に改変されたポリイソシアナート(A)の非イオン性ポリイソシアナート(B)に対する重量比は、10:1~1:10の範囲、より好ましくは1:1~1:5の範囲、およびとりわけ1:2~1:4の範囲にあることができる。これらの重量比は、最高の不浸透性およびしたがって最も好適なカプセル化を有する樹脂を提供する。
イソシアナート(A)および(B)の他にも、さらなるイソシアナートが本発明によるプロセスにおいて加えて使用されることができる。例えば、必要に応じて、芳香族のポリイソシアナートを添加することは樹脂の不浸透性を増大させ得るが、異なる化学構造を有するポリイソシアナートを添加することは、例えば樹脂の機械的特性を適合させることを許容し得る。
【0038】
さらなるイソシアナートは、2~5個のイソシアナート基を有する化合物、2個から5個の平均数のイソシアナート基を有するイソシアナートプレポリマーおよびそれらの混合物からからなる群から選択され得る。これらは、例えば、脂肪族、脂環式および芳香族ジ-、トリ-およびより高度なポリイソシアナートを包含する。
【0039】
好ましくは、さらなるポリイソシアナートは、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、テトラメチレンジイソシアナート、エチレンジイソシアナート、1,2-ジイソシアナトドデカン、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアナート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアナート、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、イソホロンジイソシアナート(=3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアナト、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、IPDI)、2,3,3-トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアナート、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート(=メチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアナート))、1,3-フェニレンジイソシアナート、1,4-フェニレンジイソシアナート、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアナートおよびそれらの異性体混合物、1,5-ナフチレンジイソシアナート、2,4’-および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート(MOi)、ジフェニルメタンジイソシアナートおよびより高度に多環式のジフェニルメタンジイソシアナートのホモログの混合物(ポリマー性MDI)、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート(H12MDI)、キシレンジイソシアナート(XDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンテトラメチルキシロールジイソシアナート(TMXDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアナート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアナート、ジ-およびテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアナート、ダイマー脂肪酸ジイソシアナート、塩素化および臭素化ジイソシアナート、4,4’ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアナート、リンを含有するジイソシアナート、硫黄を含有するジイソシアナート、アニオン的に改変されたポリイソシアナート、ポリエチレンオキシドを含有するイソシアナート、ウレタン、アロファナート、イソシアヌラート、ウレトジオン、カルボジイミドまたはビウレット基を含有する上述のポリイソシアナートのオリゴマー、およびそれらの混合物から選択される。
【0040】
好適な塩素化および臭素化ポリイソシアナートは、反応性のハロゲン原子を有するポリイソシアナートを含む。好ましくは、塩素化または臭素化ポリイソシアナートは、1-クロロメチルフェニル-2,4-ジイソシアナート、1-ブロモメチルフェニル-2,6-ジイソシアナート、3,3-ビスクロロメチルエーテルおよび4,4’-ジフェニルジイソシアナートから選択される。
好適な硫黄を含有するポリイソシアナートは、例えば、2モルのヘキサメチレンジイソシアナートを1モルのチオジグリコールまたはジヒドロキシジヘキシルスルフィドと反応させることによって得られる。
【0041】
本発明の文脈において、用語「多官能性アミン」は、NCO基と反応させることができる少なくとも2つの基を含むアミンを示し、ここで、NCO基と反応させることができる少なくとも1つの基は、一級または二級アミノ基である。多官能性アミンが一級または二級アミノ基を1つのみ含有するとき、それは重合反応においてNCO基と反応させることができる1以上の追加の官能基を含有するだろう。NCO基に対して反応性の高い多官能性アミンの基は、好ましくはヒドロキシル基および一級または二級のアミノ基から選出される。NCO基のアミノ基との反応はウレア基の形成を引き起こす。NCO基のOH基との反応はウレタン基の形成を引き起こす。しかしながら、OH基との反応はしばしば触媒を必要とする。導入される、多官能性アミンの量は大抵フリーのイソシアナート基に変換するのに必要とされる化学量論量と比較して過剰モルにおいてである。
【0042】
多官能性アミンは、好ましくは、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、およびより高次の多官能性アミン、アミノアルコール、メラミン、尿素、ヒドラジン、ポリマー性ポリアミン、およびそれらの混合物から選択される。
好適なジアミンは、例えば、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,3-ジアミノ-1-メチルプロパン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ピペラジンまたはそれらの混合物である。
【0043】
好適なアミノアルコールは、例えば、2-アミノエタノール、2-(N-メチルアミノ)エタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、1-エチルアミノブタン-2-オール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、4メチル-4-アミノペンタン-2-オールまたはそれらの混合物である。
好適なポリマー性ポリアミンは、原則として、少なくとも2つの一級または2級のアミノ基を有する、直鎖状のまたは分枝状のポリマーである。加えて、これらのポリマーはポリマー鎖において三級のアミノ基を有し得る。
【0044】
ポリマー性ポリアミンは、好ましくはポリアルキレンアミン、ポリビニルアミン、ポリエーテルアミンおよびそれらの混合物から選択される。より好ましくは、ポリマー性ポリアミンは、ポリアルキレンイミン、とりわけポリエチレンイミンから選択される。
好ましいのは、少なくとも300g/molの重量平均分子量を有するポリマー性ポリアミン、より好ましくは500~2000000g/mol、とりわけ700~1000000g/mol、さらにより具体的に800~500000g/molの重量平均分子量を有するポリマー性ポリアミンである。
好ましい態様において、多官能性アミンは少なくとも1のポリエチレンイミンを含むか、またはからなる。
【0045】
ポリエチレンイミンは、一般式HN(CHCHNH)H、式中nは、>1である整数(n=2:ジエチレントリアミン;n=3;トリエチレンテトラミン;n=4:テトラエチレンペンタミン)を有する短鎖ポリエチレンイミンであり得る。これらは、ときには、ポリエチレンアミンまたはポリアルキレンポリアミンと呼ばれる。ポリエチレンイミンはまた長鎖ポリエチレンイミンであり得る。
【0046】
本発明によるプロセスにおいて、少なくとも500g/mol、好ましくは600~30000または650~25000g/molおよびとりわけ700~10000g/molまたは850~5000g/molの分子量を有するポリエチレンイミンが、好ましくは使用される。
【0047】
多官能性アミンは、以下の繰り返しユニット
【化2】
式中
xは、8~1500、好ましくは10~1000であり;
yは、0~10、好ましくは0~5、とくに0であり;
zは、2+yである、
を含有するポリエチレンイミンであり得る。
【0048】
これらのポリエチレンイミンを用いて、良好な結果、とりわけ抽出媒体における漏出に関する良好な結果を達成することができた。
好ましいポリエチレンイミンは、直鎖状のポリエチレンイミンであり、式中xは8~1500であり、yは0、およびzは2である。
好ましい市販のポリエチレンイミンは、商標Lupasol(登録商標)、具体的に
Lupasol(商標)G100の下BASF SEによって販売される
【0049】
ポリエチレンイミンおよびイソシアナート化合物を、1:1~1:5、とくに1:2~1:3の重量比、または1:1~1:10、とくに1:4~1:6の乾燥重量比において使用することが好ましい。これらの重量比率は、最も高いカプセル化効率およびしたがって最も好適なカプセル化を有する樹脂を提供する。
【0050】
本発明によるプロセスにおいて、ステップf)における液滴の周りのシェルの形成は、加熱によってもたらされてもよい。十分に迅速な反応の進行を確実にするために、これは、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも60℃、より好ましくは70~90℃、およびとりわけ75℃~85℃の範囲における温度で、達成され得る。反応が本質的に完了するまで、絶え間なくまたは段階的に(例として各場合において5℃ずつ)温度を上昇するのが好ましくてもよい。その後、分散体は室温まで冷却されてもよい。
【0051】
反応時間は典型的に反応性の壁形成材料の性質、用いられる該材料の量、および使用される温度に依存する。反応時間の期間は、2、3分~数時間の範囲である。通常、マイクロカプセル形成は、上記温度でおおよそ60分~6hまたは8hまでの間に達成される。
【0052】
本発明によるプロセスによって調製された組成物の重要なパラメータは、マイクロカプセルDv(50)の体積平均直径である。マイクロカプセルは、0.1~500μm、好ましくは1~100μm、さらにより好ましくは、5~30μmの体積平均直径Dv(50)を有することができる。マイクロカプセルは、好ましい範囲内の直径を有するマイクロカプセルは、それらが使用される製品における安定性およびその外観の間の最適なバランス、ならびに様々な基質上に良好な堆積を提供する。
具体的な用途のために、特定の体積平均直径が有利であり得る。例えば、洗い流すヘアコンディショナーのために、10~13μmのDv(50)を有するカプセルが、これらの直径を有するマイクロカプセルのより良好な堆積のために好ましい。
【0053】
マイクロカプセルの体積平均粒子サイズは、Malvern 2000S計器およびMie散乱理論を使用する光散乱測定によって測定されることができる。Mie理論の原理および光散乱がカプセルサイズを測定するためにどのように使用することができるのかが、例えば、H. C. van de Hulst, Light scattering by small particles, Dover, New York, 1981に見いだされることができる。静的光散乱によって提供される初めの情報は、光散乱強度の角度依存であり、それは次に、カプセルのサイズおよび形状に関連する。しかしながら、標準的な操作方法において、回折する対象のサイズと等しいサイズを有する球体のサイズは、この対象の形状が何であっても、装置によって提供されるMalvern proprietary softwareによって計算される。多分散系の試料の場合において、全散乱強度の角度依存は、試料中のサイズ分布についての情報を含有する。その出力は、カプセルサイズの機能として与えられたサイズクラスに属するカプセルの総体積を表すヒストグラムであるが、50サイズクラスの任意数が典型的には選択される。
【0054】
実験的に、約10%のカプセルを含有する数滴の分散体が、散在性細胞を通して流れる脱気された水の循環する流れに添加される。試料中に存在するカプセルの平均サイズおよびサイズ分布を提供するために、散乱強度の角度分布が、Malvern proprietary software によって測定され、および分析される。本発明の文脈において、パーセンタイルDv(10)、Dv(50)およびDv(90)は、カプセルサイズ分布の特徴として使用され、ここでDv(10)値は、総液滴体積の10%が、この値未満の直径を有する液滴から構成される、体積平均直径であり、Dv(50)値は、体積分布の中央値液滴直径でありおよび総液滴体積の50%が、この値未満の直径を有する液滴から構成される、体積平均直径に対応し、ならびにDv(90)値は、総液滴体積の90%が、この値未満の直径を有する液滴から構成される直径である。本発明の文脈において、用語「粒子サイズ」は、「体積平均粒子サイズ」または「体積平均粒径」を区別なく意味する。
【0055】
好ましい態様は、
-結果得られるエマルジョンの疎水性(不連続相)の液滴の体積平均直径の標的範囲が、前もって定義される;
-水相(I)における有機相(II)のエマルジョンにおける疎水性相の液滴の実際の体積平均直径が決定される;
-疎水性相の液滴の前もって定義した標的体積平均直径を得るために、撹拌機のスピードおよび/または混合物の撹拌時間が、その結果得られるエマルジョンの疎水性相の液滴の標的値体積平均直径を達成するまで調整される、
プロセスである。
【0056】
マイクロカプセルのコアは、典型的にマイクロカプセルの総重量に基づき、60~97重量%およびマイクロカプセルのシェルは典型的に40~3重量%、好ましくは、コアは、70~95重量%およびシェルは、30~5重量%、およびとりわけコアは、マイクロカプセルの総重量に基づき、80~90重量%およびシェルは、20~10重量%である。
マイクロカプセルは、pH4で、-100~+100mV、好ましくは-50~+50mV、なおより好ましくは-10~+40mVのゼータ電位を有することができる。好ましい範囲のゼータ電位を有するマイクロカプセルの分散体は、この好ましい範囲の外のマイクロカプセルよりも相分離しにくい。
【0057】
ゼータ電位は、Zetasizer Nano Zを使用して測定されることができる。測定前に、カプセルは、好ましくは以下の通り処理される:
-カプセル分散体は、フィルター除去され、蒸留水で5回洗浄され、およびもう一度再分散される。
-2gの分散体が、pH4で8gの緩衝溶液に添加される。
波長633nmの波長を有するレーザーは、好ましくは測定のために使用される。
【0058】
本発明によるプロセスにおいて、水相(I)は、カチオン性ポリマーを加えて含むことができる。一方では、カチオン性ポリマーは、布地、皮膚および毛髪などの様々な基質上のマイクロカプセルの堆積およびリンス抵抗を改善することが知られている。他方、カチオン性ポリマーはまた分散補助剤として働くことができる。よって、本発明によるプロセスは、
‐カチオン性ポリマーを加えること:
のステップを加えて含むことができる。
【0059】
カチオン性ポリマーは、ステップc)の後およびステップd)の前に添加され得、その場合、ポリマーはエマルジョンおよびシェル形成の両方に加わり得、このシェルに物理的に封入され得る。
カチオン性ポリマーは、ステップd)の後およびステップe)の前に添加されることができる。
カチオン性ポリマーは、ステップe)の後およびステップf)の前に添加されることができる。
カチオン性ポリマーは、ステップf)の間に添加されることができる。
【0060】
それらの場合において、ポリマーは、シェル形成に加わり得、例えばこのシェルに物理的に封入され得る。
カチオン性ポリマーは、ステップf)の後に添加されることができ、その場合ポリマーはシェル形成に加わらないがおそらくシェル表面に堆積する。
【0061】
カチオン性ポリマーは、両性ポリマーであり得る。本発明の文脈において、「両性ポリマー」は、カチオン性およびアニオン性基の両方を含むか、または対応するイオン化可能な基を含むポリマーとして理解されるべきである。カチオン性両性ポリマーは、アニオン性基またはアニオンを形成することができる基よりもカチオン性基を含み、およびそのため、正味の正電荷を有する。
【0062】
両性ポリマーは1~99mol%のカチオン性基および1~99mol%のアニオン性基またはアニオンを形成できる基を含むことができる。本発明の好ましい態様において、両性ポリマーは、2~99mol%、とりわけ30~95mol%、およびより具体的に60~90mol%のカチオン性基および1~98mol%、とりわけ5~70mol%、およびより具体的に10~40mol%のアニオン性基またはアニオンを形成することができる基を含む。
【0063】
カチオン性ポリマーにおけるカチオン基は、pH非依存である。カチオン性ポリマーにおけるカチオン基は、四級アンモニウム基であり得る。
【0064】
カチオン性ポリマーは、四級アンモニウム官能性を有する少なくとも1つのモノマーに由来することができる。とりわけ、カチオン性モノマーは、四級化ジメチルアミノエチルアクリラート(ADAME)、四級化ジメチルアミノエチルメタクリラート(MADAME)、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物(DADMAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物(APTAC)およびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物(MAPTAC)からなる群から選択され得る。
【0065】
カチオン性ポリマーがアニオン性基またはアニオンを形成することができる基含むとき、それはさらにアクリル酸を包含するアクリル酸ベースのモノマー、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸および強酸のモノマー、例えば2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、アリルホスホン酸、スチレン スルホン酸などのスルホン基のまたはホスホン酸型官能基を有するモノマーからなる群から選択されるモノマー由来であり得る。アクリル酸ベースのモノマーはまたこれらのモノマーの任意の水溶性塩であり得る;ここで塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムの塩である。最も好ましいアクリル酸ベースのモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの水溶性塩である。
【0066】
カチオン性ポリマーは、さらに加えて水可溶性ビニルモノマー、より具体的にアクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピリジンおよび/またはN-ビニルピロリドンからなる群から選択される非イオン性モノマーに由来することができる。
【0067】
カチオン性ポリマーは、カチオン性ポリマーまたはカチオンを形成することができるモノマー、とりわけ少なくとも1つの四級アンモニウム基を含有するモノマー、アニオン性モノマーまたはアニオンを形成することができるモノマー、とりわけアクリル酸、メタクリル酸またはその誘導体に基づくモノマー、および任意に非イオン性モノマーに由来する両性コポリマーであることができる。かかるポリマーは、良好な分散効率、良好な流れ特性および本明細書中に優れた言及された様々な基質と優れた親和性を有するシェルに適合する最適な組み合わせを提示する。
【0068】
より具体的な態様において、両性コポリマーは、実例としてWO2016/207180 A1に記載されるとおり、アクリル酸またはメタクリル酸、およびアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物(APTAC)またはメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物(MAPTAC)のコポリマーである。
なお具体的な態様において、両性コポリマーはアクリル酸モノマー、MAPTACモノマーおよびアクリルアミドモノマーから形成されるターポリマーである。
【0069】
より好ましい態様において、アクリル酸/MAPTACコポリマー、およびより具体的に、ターポリマーは、1~2モル当量のアクリル酸モノマーを4モル当量のMAPTACモノマーとより具体的に1モル当量のアクリル酸モノマーを4モル当量のMAPTACモノマー(例えばFloset CAPS 371L)に対して、およびなおより具体的に1.6モル当量のアクリル酸モノマーを4モル当量のMAPTACモノマーに対して、反応させることにより、形成される。
【0070】
本発明の文脈において、Floset CAPS 371Lは、好ましいカチオン性ポリマーであるが、それはまた先の段落において記載された任意の他のアクリル酸/MAPTACコポリマーによって置き換えられることができる。MAPTAC/アクリルアミドに基づく別の好ましいカチオン性ポリマーは、BASFによって商品化されたSalcare SC60である。本発明の態様において、コポリマーは少なくとも100’000g/mol、およびより具体的に少なくとも500’000g/molの分子量を有する。
より小さい分子量を有するポリマーは、所望の性能を提供せず、一方より高い分子量を有するポリマーは、エマルションおよびマイクロカプセル両方の粘度を大き過ぎる程度まで増大させる。
【0071】
両性ポリマーは、本発明によるカプセル化されたフレグランス組成物において、組成物の重量に基づき、1~20wt%、より具体的に2~10wt%において用いられてもよい。
両性ポリマーは、当業者に周知である重合技術を使用して調製されることができる。これらの公知の重合技術は、溶液重合、ゲル重合、沈殿重合、逆相乳化重合、水性乳化重合、懸濁重合およびミセル重合を包含する。
【0072】
両性ポリマーは、(例えばビニル、アリルおよびアクリルなどの少なくとも2つの不飽和官能基を有する)ポリエチレン的に不飽和モノマー、およびエポキシ官能基を有する化合物からなる群から選出されてもよい、少なくとも1つの構造化剤によって構造化されることができる。実例として、かかる構造化剤は、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、トリアリルアミンおよびポリエチレングリコールジアクリラートを包含することができる。代替的に、ポリ過酸化物などのマクロ開始剤、ポリアゾ化合物およびポリメルカプタンポリマーなどのポリトランスファー剤を使用することができる。
【0073】
本明細書において上に言及した通り、本明細書によるプロセスにおいて、有機相(II)は、少なくとも1つのフレグランス成分を含む。フレグランス成分は、S.Arctander, Fragrance and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAに記載される任意のそれらのフレグランス成分から選択され得る。
マイクロカプセル形成の間のフレグランス保持、ならびにカプセルが形成た時点での漏出に対する安定性は、相対的に高いClogPを有する大量のフレグランス成分の使用を通して促進される。とりわけ、少なくとも約50%、より具体的に約60%より多く、およびなおより具体的に約80%より多い成分が約2.5以上、およびより具体的に3.3以上、およびなおより具体的に4.0以上のClogPを有するべきである。かかるフレグランス成分の使用は、特定の時間、温度、および濃度条件下でマイクロカプセルシェルを通しておよび消費者製品ベースの中で、フレグランスの拡散を減少させるのに役立つとされている。
【0074】
フレグランス成分のClogP値は、Daylight Chemical Information Systems, Inc., Daylight CIS, Irvine, California から入手可能であるthe Pomona 92 databaseを含む、多くのデータベースに報告されている。
フレグランス成分に加えて、溶媒が本発明のマイクロカプセルに用いられてもよい。溶媒は、フレグランス成分と混和性である疎水性の材料であり、およびそれは用いられる量においてほとんどまたは全く匂いを有さない。用いられる溶媒は一般に高い、例えば6より大きいおよび10よりさえ大きいClogP値を有する。溶媒は、トリグリセリド油、モノおよびジグリセリド、鉱油、シリコーン油、フタル酸ジエチル、ポリアルファオレフィン、ヒマシ油およびイソプロピルミリスタートを包含する。
【0075】
しかしながら、マイクロカプセルのコアに実質的に溶媒を用いないこともまた実行可能である。実に、マイクロカプセルコアが全面的にフレグランス成分から構成され無溶媒である、カプセル化されたフレグランス組成物を調製することが可能であることが見出された。無溶媒のカプセル化フレグランスが用いられてもよく、とりわけ、コア材料を作成するフレグランス成分が水可溶性を限定したときである。とりわけ、コア材料は、15,000ppm以下、より具体的に5000ppm以下、およびなおより具体的に3000ppm以下の水における可溶性を有する多くの割合のフレグランス成分を用いて形成されるべきである。より具体的に、少なくとも60%、より具体的に少なくとも70%およびなおより具体的に少なくとも80%のフレグランス成分が、15,000ppm以下、より具体的に5000ppm以下、およびなおより具体的に3000ppm以下の水における可溶性を有するべきである。マイクロカプセルコアにおける溶媒の使用を回避することは、経費を削減することおよび環境への配慮を考慮する観点から一般に有利である。
【0076】
本発明によるプロセスは、以下の追加のステップ:
-分散媒体に分散された複数のマイクロカプセルを乾燥して固体形態におけるマイクロカプセルを提供すること、
を含むことができる。
次いで、プロセスは、カプセル化されたフレグランス組成物を調製するためであり、複数のマイクロカプセルを含む組成物は、固体形態である。本発明の文脈において、乾燥は分散媒体の除去を意味する。マイクロカプセルのコア材料は、なおカプセル化されたままである。それは乾燥したカプセルが少なくとも1つのフレグランス成分を含むことを意味する。
【0077】
マイクロカプセルまたはマイクロカプセルの分散体は、当該技術分野において知られている技術を使用して乾燥されてもよい。例えば、固体カプセルは、ろ過によって単離され乾燥され得る。単離されたカプセルの乾燥は、加熱、例としてオーブンにおける加熱によってまたは加熱されたガススチームへの接触によって実施されてもよい。
好ましくは、分散体の乾燥は噴霧乾燥または流動層乾燥によって行われる。
【0078】
噴霧乾燥技術は、当該技術分野において周知である。噴霧乾燥プロセスは、懸濁したカプセルをノズルを通して乾燥チャンバーに押し入れる。カプセルは乾燥チャンバーの内部に移動する流体(空気など)に取り込まれてもよい。(例えば、150~120℃の温度で、より好ましくは170℃~200℃の間で、およびなおより好ましくは175℃~150℃の間で加熱されてもよい)流体は、液体の蒸発を引き起こし、その後にプロセス設備から回収され得る乾燥したカプセルを残し、さらに処理される。
【0079】
噴霧乾燥されたカプセルを流動補助剤と混合して、ケーキングを起しにくい流動できる粉末を製造することは、従来から続けられている。流動補助剤は、沈殿した、蒸気化した、またはコロイドのシリカなどのシリカまたはシリケート;デンプン;カルシウムカーボネート;ナトリウムスルファート;改変されたセルロース;ゼオライト;または当該技術分野において知られている無機の粒状物質を包含する。
高温および噴霧乾燥手順の間に遭遇する固着力を与えられる場合、コアシェルカプセルがいくつかのそれらのコア材料を失うことは非常に一般的である。
【0080】
さらにまた、カプセルの熱安定性を損なうことなく、分散体から全ての水分を追い出すために十分に長い期間、十分に高い温度で、行うことは実行可能ではないかもしれない。結果的に、本明細書に記載されている通り、噴霧乾燥プロセスからでてくるポリウレアまたはポリウレタンは、少量の表面油および残余水分を含有してもよい。
本発明のマイクロカプセルが分散体の形態で貯蔵されることを意図する場合、分散体のpHは、約5~10のレベルに調整されることができる。これはクエン酸またはギ酸などの好適な酸のアルカリ分散体への添加によって達成され得る。
マイクロカプセル分散体は、連続的にまたはバッチ式に、好ましくはバッチ式に調製されることができる。
【0081】
マイクロカプセルの分散体は、非カプセル化された、すなわちフリーのフレグランス成分、水性分散体におけるカプセルの外部を含有してもよい。
さらなる本発明の側面は、カプセル化されたフレグランス組成物を調製する方法における、分散補助剤としてアニオン的に改変されたポリイソシアナートの使用を指す。この使用は、プロセスに関する本明細書の上記に概説されたとおり任意の特色を有することができる。
【0082】
本発明はまた本明細書の上記に概説されたとおりのプロセスによって得ることができるカプセル化されたフレグランス組成物を指す。一般にかかる組成物は、パーソナルケア、ホームケア、工業用または施設または病院用途、材料保護、医薬産業または植物保護の領域におけるこれらのカプセルの利益を確実にするために、基質上のマイクロカプセルの良好な堆積および接着を示す。
【0083】
さらに、本発明は、カプセル化されたフレグランス組成物、とりわけパーソナルケア製品、ホームケア製品、またはランドリーケア製品などを含む消費者製品に関する。
本発明のさらなる利点および特別な特色が複数の例の以下の議論から明らかになる。
【0084】
例1:分散補助剤としてポリ(ビニルピロリドン)を用いたカプセル合成
130gのポリビニルピロリドン(PVP K60、ex Ashland)、ヘキサメチレンジイソシアナートに基づく水分散性(hydrodispersible)イソシアナート(Bayhydur(登録商標) XP 2547、ex Covestro)6gおよび450gの水の水溶液が調製され、およびpHが緩衝塩を使用して9に調整された。カプセル化される300gのフレグランスを水相に混合した。25gのジイソシアナート4,4ジシクロヘキシルメタンジイル(Desmodur(登録商標)W1、ex Covestro)をこの混合物に添加した。その結果得られる混合物を、撹拌デバイスを用いて室温にて乳化した。所望される液滴サイズまで乳化プロセスを行った。次いで10gのポリエチレンイミン溶液(Lupasol(登録商標)G100、ex BASF、購入された)をワンステップで添加した。混合物を徐々に80℃まで4h加熱した。重合の後、18gのアンモニア溶液および3gのヒドロキシエチルセルロース (Natrosol 250HX、ex Ashland)を添加した。次いで混合物を室温まで冷却した。
【0085】
カプセル化されたフレグランス組成物が得られた。Malvern 2000S装置を使用する光散乱測定を用いて得られた体積平均カプセルサイズ分布は、D(50)=16μmおよびD(90)=30μmであった。ゼータ電位は-5mVであった。
【0086】
例2:有機相においてイソシアナートを用いる、例1に対する比較例(本発明によらない)
130gのポリビニルピロリドン (PVP K60、ex Ashland)の水溶液が調製され、pHが緩衝塩を使用して9まで調整された。カプセル化された300gのフレグランス成分、20 g Desmodur(登録商標) W1および8 g Bayhydur(登録商標) XP 2547を含む混合物を調製した。水相および有機相を合わせ、撹拌デバイスを用いて室温で乳化した。所望される液滴サイズまで乳化プロセスを行った。次いで、10gのポリエチレンイミン溶液(Lupasol(登録商標) G100、ex BASF、as purchased)をワンステップで添加した。混合物を徐々に80℃まで4h加熱した。重合の後、18gのアンモニア溶液および3gのヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250HX、ex Ashland)を添加した。次いで混合物を室温まで冷却した。
【0087】
カプセル化されたフレグランス組成物が得られた。Malvern 2000S instrumentを使用する光散乱測定で得られた体積平均カプセルサイズ分布は、シェル重量を有し、D(50)=20μmおよびD(90)=40μmであった。ゼータ電位は+5mVであった。
【0088】
例3:分散補助剤としてポリ(ビニルピロリドン)および蒸着剤としてカチオン性ターポリマーを用いたカプセル合成
130gのポリビニルピロリドン(PVP K60、ex Ashland)、ヘキサメチレンジイソシアナートに基づく6gの水分散性イソシアナート(Bayhydur(登録商標) XP 2547、ex Covestro)および450gの水の水溶液が調製され、およびpHが緩衝塩を使用して9に調整された。カプセル化される300gのフレグランスを水相に混合した。25gのジイソシアナート4,4ジシクロヘキシルメタンジイル(Desmodur(登録商標)W1、ex Covestro)をこの混合物に添加した。その結果得られる混合物を、撹拌デバイスを用いて室温にて乳化した。所望される液滴サイズまで乳化プロセスを行った。次いで10gのポリエチレンイミン溶液 (Lupasol(登録商標) G100、ex BASF、購入された)をワンステップで添加した。反応混合物を徐々に60℃まで加熱し、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドおよびアクリル酸のコポリマーの30gの溶液の水溶液(Floset(商標)DP CAPS 371L、ex SNF、水中26.5 wt%で供給される)を添加した。次いで反応混合物をさらに80℃に2時間加熱した。その後、18gのアンモニア溶液および3gのヒドロキシエチルセルロース (Natrosol 250HX、ex Ashland)を添加した。次いで混合物を室温まで冷却した。
【0089】
カプセル化されたフレグランス組成物が得られた。Malvern 2000S instrumentを使用する光散乱測定で得られた体積平均カプセルサイズ分布は、D(50)=10μmおよびD(90)=30μmであった。ゼータ電位は+5mVであった。
【0090】
例4:有機相においてイソシアナートを用いる、例3に対する比較例(本発明によらない)
130gのポリビニルピロリドン(PVP K60、ex Ashland)および450gの水の水溶液が調製され、pHが緩衝塩を使用して9まで調整された。カプセル化された300gのフレグランス成分、20gのDesmodur(登録商標)W1および8gのBayhydur(登録商標) XP 2547を含む混合物を調製した。水相および有機相を合わせ、撹拌デバイスを用いて室温で乳化した。所望される液滴サイズまで乳化プロセスを行った。次いで、10gのポリエチレンイミン溶液(Lupasol(登録商標) G100、ex BASF、購入された)をワンステップで添加した。反応混合物を徐々に60℃まで加熱し、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドおよびアクリル酸のコポリマーの30gの水溶液 (Floset(商標)DP CAPS 371L、ex SNF、水中26.5 wt%で供給される)を添加した。次いで反応混合物をさらに80℃に2時間加熱した。その後、18gのアンモニア溶液および3gのヒドロキシエチルセルロース (Natrosol(商標) 250HX、ex Ashland)を添加した。次いで混合物を室温まで冷却した。
【0091】
カプセル化された フレグランス 組成物が得られた。Malvern 2000S instrumentを使用する光散乱測定で得られた体積平均カプセルサイズ分布は、D(50)=20μmおよびD(90)=40μmであった。スラリーを含有する固体は、45wt%であった。ゼータ電位は+5mVであった。
【0092】
例5:テンプレート剤としてカチオン性コポリマーおよび水相中のイソシアナートを用いたカプセル合成
メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドおよびアクリル酸の100gのコポリマー (Floset(商標) DP CAPS 371L、ex SNF、水中26.5 wt%で供給される)、ヘキサメチレンジイソシアナートに基づく6gの水分散性イソシアナート(Bayhydur(登録商標) XP 2547、ex Covestro)および450gの水の水溶液が調製され、およびpHが緩衝塩を使用して9に調整された。カプセル化される300gのフレグランスを水相に混合した。25gのジイソシアナート4,4ジシクロヘキシルメタンジイル(Desmodur(登録商標)W1、ex Covestro)をまたこの混合物に添加した。その結果得られる混合物を、撹拌デバイスを用いて室温にて乳化した。所望される液滴サイズまで乳化プロセスを行った。次いで10gのポリエチレンイミン溶液 (Lupasol(登録商標) G100、ex BASF、購入された)をワンステップで添加した。混合物を徐々に80℃まで4h加熱した。重合の後、18gのアンモニア溶液および10gのカチオン性アクリルアミド (FlosoftTM FS555、ex SNF)を添加した。次いで混合物を室温まで冷却した。
【0093】
カプセル化されたフレグランス組成物が得られた。Malvern 2000S instrumentを使用する光散乱測定で得られた体積平均カプセルサイズ分布は、D(50)=20μmおよびD(90)=40μmであった。10μmおよびD(90)=30μm。ゼータ電位は+30Vであった。
【0094】
例6:有機相においてイソシアナートを用いる、例5に対する比較例(本発明によらない)
メタクリルアミドプロピルトリメチル-アンモニウムクロリドおよびアクリル酸の100gのコポリマー (Floset(商標) DP CAPS 371L、ex SNF、水中26.5 wt%で供給される)および450gの水の水溶液が調製され、およびpHが緩衝塩を使用して9に調整された。カプセル化される300gのフレグランス、20gのDesmodur(登録商標)W1および8gのBayhydur(登録商標) XP 2547を含む混合物を調製した。水相および混合物を合わせ、および撹拌デバイスを用いて室温にて乳化した。所望される液滴サイズまで乳化プロセスを行った。次いで10gのポリエチレンイミン溶液 (Lupasol(登録商標) G100、ex BASF、購入された)をワンステップで添加した。反応混合物を徐々に80℃まで4h加熱した。界面重合の後、18gのアンモニア溶液および0.4gのNatrosol(商標)250HXを添加した。次いで混合物を室温まで冷却した。
【0095】
カプセル化されたフレグランス組成物が得られた。Malvern 2000S instrumentを使用する光散乱測定で得られた体積平均カプセルサイズ分布は、D(50)=10μmおよびD(90)=30μmであった。スラリーの固体含量は45wt%であった。ゼータ電位(mV)は+38Vであった。
【0096】
例7:モデル抽出媒体における漏出に関するマイクロカプセルの安定性のプロセスの影響
モデル抽出媒体は、非混和性の10mlのシクロヘキサン相と共存する初期濃度20vol%であるエタノールの水溶液1.8mlからなる系であった。
評価されるスラリーは、希釈されたスラリーにおけるフレグランス濃度が約10wt%であるように希釈され、およびこの希釈されたスラリー200マイクロリットルがバイアルに添加される。
【0097】
バイアルを、250rpmで4時間操作する楕円の水平なx,y-混合機器上で水平混合に提示した(z方向に振動するのを回避する)。
抽出されたフレグランスを含有する上側のシクロヘキサン相は、UV/可視光分光計を使用することにより分光光度法的に分析された。フレグランス濃度は最大吸光度波長で吸収されたUV/可視光の強度を測定することによって決定され、それは参照のフレグランス/シクロヘキサン溶液の公知の濃度を使用することによってこれまで決定されてきた。この後者の参照溶液は、抽出されたフレグランスの定量化のための外部標準として使用された。漏出値は、ヘキサン相において回収されるカプセル化されたフレグランスのパーセンテージとして定義される。
【0098】
代表的な漏出値は以下の表1において与えられる。
【表1】
表1から、ポリイソシアナートを、それらを有機(フレグランス)相に前溶解する代わりに水相に添加することが、モデル抽出媒体における漏出に関するマイクロカプセルの安定性を改善すること理解することができる。
【0099】
例8:マイクロカプセルの嗅覚的性能のプロセスの影響
マイクロカプセルは、一か月間37℃および45℃で貯蔵された標準的な、フレグランスが付与されていない液体布地ケアコンディショナーにおいて組み込まれた。コンディショナーにおけるマイクロカプセルの量は0.5wt%であった。
35gのベースが横型洗濯機(20L容量、1kgのテリー織のタオルで充填、好ましくはフレグランスが付与されていない洗濯洗剤で前もって洗浄したタオル)において使用され;すすぎサイクルは20℃の温度で実施され、これに続き回転乾燥される。
【0100】
洗濯のすすぎおよび洗浄の両方において、こする前の(pre-rub)嗅覚的評価は、機械の外で直接的に、且つ4時間後に、濡れた洗濯物上で、実施された。この評価のために、テリー織のタオルは機械的にマイクロカプセルを壊す危険を最小限にするために注意深く取り扱われた。こすった後の(post-rub)嗅覚的評価は、テリー織のタオルを24時間室温で吊り干し(line drying)した後に実施された。この評価は、テリー織のタオルの一部分を、同じテリー織のタオルの別の部分上で穏やかにこすることによって実施された。嗅覚的な性能(強度)は、1~5(1=ほとんどめだたない、2=弱い、3=中程度、4=強いおよび5=極めて強い)の基準で格付けして4人の熟達者によって評価された。関係があるとき、知覚される匂いの方向性の定性的なコメントが記録された。
【0101】
嗅覚性能査定の結果を表2で報告する。
【表2】
【0102】
表2から、プレイソシアナートを有機(フレグランス)相に事前溶解する代わりに水相にそれらを加えることは、貯蔵後の資料の嗅覚性能に悪影響はなかった。嗅覚的な安定性は例6に対する例5の場合におけるとおり改善さえし得る。
【0103】
例9:表面張力
様々な水分散性のアニオン的に改変されたイソシアナートを含み、および/または安定化ポリマーを安定化する、水相の表面張力が測定された。測定はいわゆるペンダントドロップ法を使用することによって実施された。使用された計器は、Kruess GmbH、Hamburg、Germaneyによって製造されたDrop shape Analyzer- DSA30であった。表面張力がその計器のソフトウェアによって計算される方法は、2010年10月付けのKruess Technical Note TN316eに記載されており、例えばhttps://www.kruss-scientific.com/fileadmin/user_upload/website/literature/kruss-tn316-en.pdf
下で入手可能である。
【0104】
【表3】
【0105】
表3から、安定化ポリマーを含む水相においてポリイソシアナートを添加することは、この水相の表面張力を減らすことがわかった。理論に縛られることなく、これらの結果は、水相に添加されポリイソシアナートが、水/油界面の水側に位置づけられることを支持し、ここでそれらは乳化プロセスに加わり、マイクロカプセル形成の間ポリアミンとのさらなる反応のためにより利用可能である。
表面張力の結果は、水相におけるbayhydur XP2547の添加がエマルジョンの粒子サイズを制御してより小さい粒子サイズを形成することを助けることを示す。(ex 10 m vs 20 m)。