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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】起泡性洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/54 20060101AFI20230202BHJP
   C11D 7/18 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 7/12 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 3/39 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C11D7/54
C11D7/18
C11D7/26
C11D7/12
C11D3/395
C11D3/39
C11D3/20
C11D3/10
C11D1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021110442
(22)【出願日】2021-07-02
(62)【分割の表示】P 2019071464の分割
【原出願日】2019-04-03
(65)【公開番号】P2021152186
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2018071972
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000180302
【氏名又は名称】四国化成ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩田 幹生
(72)【発明者】
【氏名】野利本 章宏
(72)【発明者】
【氏名】佐廣 浩一
(72)【発明者】
【氏名】豊田 剛司
(72)【発明者】
【氏名】藤井 誠
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 好也
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-246998(JP,A)
【文献】特開2009-263413(JP,A)
【文献】特開平11-148098(JP,A)
【文献】特開2014-047467(JP,A)
【文献】特開2010-090226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムからなる第1の起泡剤並びに有機酸及び炭酸水素ナトリウムからなる第2の起泡剤を含有する起泡性洗浄剤組成物であって、起泡性洗浄剤組成物中におけるジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの配合率X重量%と過炭酸ナトリウムの配合率Y重量%が、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数をMとした場合に、X-Y×M>10.0かつX+Y<45.0を満たし、かつ、前記起泡性洗浄剤組成物中における有機酸の配合率P重量%と炭酸水素ナトリウムの配合率Q重量%が、0.200<(X+Y)/(P+Q)<1.00かつ60<(X+Y)+(P+Q)<100を満たし、前記起泡性洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比が反応当量比として0.500から1.40の範囲内であり、前記有機酸がコハク酸であることを特徴とする起泡性洗浄剤組成物。
【請求項2】
さらに、2以上の陰イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載の起泡性洗浄剤組成物。
【請求項3】
さらに、起泡性洗浄剤組成物中に4.96~8.00重量%の陰イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載の起泡性洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記起泡性洗浄剤組成物の炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比が反応当量比として1.02から1.30の範囲内であることを特徴とする請求項2または3に記載の起泡性洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所、浴室、洗面所、トイレ等の排水口や喫水面及び洗濯槽、台所ストレーナー等の洗浄に用いる起泡性洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
台所、浴室、洗面所、トイレ等の排水口や喫水面及び洗濯槽、台所ストレーナー、その他の硬質表面を洗浄するために漂白剤を配合した粉末の起泡性洗浄剤組成物が広く使用されている。このような起泡性洗浄剤組成物は水と接触した際に起泡し、漂白剤や界面活性剤などの洗浄剤成分が泡と共に被洗浄物に行き渡ることにより洗浄効果を発揮する。起泡性洗浄剤組成物を用いて効率的に汚れを除去するために、起泡量の増加といった観点から検討がなされてきた。一方で、漂白剤を配合した起泡性の洗浄剤を用いる場合には、酸性又はアルカリ性の条件下では有毒なガスの発生や皮膚腐食性等の問題に対して、起泡量や漂白力を維持しつつ中性で安全に使用できる起泡性洗浄剤組成物に関する検討は十分になされていなかった。
【0003】
例えば、特許文献1には、発泡剤としてアルカリ金属炭酸塩及び有機酸と、界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル及びラウリル硫酸ナトリウムと、酸化剤としてモノ過硫酸水素カリウム複塩又はジクロロイソシアヌル酸ナトリウム塩を配合した起泡性組成物であり、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びラウリル硫酸ナトリウムの配合割合が各々0.1~2重量%であることを特徴とする起泡性組成物が記載されている。
このような起泡性組成物は、高い起泡力を発揮することを目的とし、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びラウリル硫酸ナトリウムの配合割合については検討がなされているものの、起泡に寄与するその他の成分については十分に検討がなされておらず、起泡性試験による起泡量は依然として十分なものではなかった。さらに、アルカリ金属炭酸塩及び有機酸により生ずる起泡は、溶解したアルカリ金属炭酸塩由来の炭酸イオンが酸性条件下で炭酸ガスとして放出される現象により起泡するものであるため、組成物の水溶液のpHが酸性になるように調節する必要があり、中性やアルカリ性では起泡が不十分となるか、あるいは全く起泡しなくなるという問題があった。さらに、漂白力に優れる次亜塩素酸塩をはじめとする塩素系の漂白剤を水溶液とした場合には、酸性条件下では有害な塩素ガスが発生しやすくなるという問題があった。
【0004】
特許文献2には、塩素系殺菌剤0.1~80重量%、1種又は2種以上の20℃で固形の酸0.1~80重量%及び界面活性剤0.01~80重量%を含有するものであり、発泡剤を0.1~80重量%、pH調整剤、陽イオン系殺菌剤を0.1~50重量%、キレート剤を前記陽イオン系殺菌剤の含有量の0.5モル倍以上含有し、さらに、無機過酸化物を3~20重量%含有する、1重量%水溶液のpHが3~8であることを特徴とする硬質体用の固形殺菌洗浄剤が記載されている。しかし、特許文献2に記載の固形殺菌洗浄剤は、1重量%水溶液のpHが中性付近である組成物が記載されているものの、水に溶かした際の起泡量について何ら検討されていないため、台所、浴室、洗面所、トイレ等の排水口や喫水面、その他の硬質表面を洗浄する際に泡が十分に行き渡らず、十分な洗浄効果を得られないという課題を有していた。また、塩素系殺菌剤及び無機過酸化物を同時に配合している固形殺菌洗浄剤を水に溶解した場合、塩素系殺菌剤により生成される次亜塩素酸などの活性塩素及び無機過酸化物により生成される過酸化水素などの活性酸素が互いに酸化還元反応により中和され相殺されるため、漂白効果に優れる活性状態の次亜塩素酸を被洗浄物に接触させることができず、漂白力が不足し、洗浄効果が不十分になるという問題もあった。
【0005】
以上のように、従来の組成物は、高い起泡力を有するとともに高い漂白効果を有して洗浄効果に優れ、起泡性洗浄剤組成物の水溶液のpHが中性で安全に使用できる起泡性洗浄剤組成物を得るという課題そのものが認識されておらず、起泡力を有するという特性と、漂白効果を有するという特性と、水溶液のpHが中性で安全に使用できるという特性の、いずれか又は全ての特性が満足できるものでは無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-336098号公報
【文献】特開平11-148098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い起泡力を有するとともに高い漂白効果を有して洗浄効果に優れ、起泡性洗浄剤組成物の水溶液のpHが中性で安全に使用できる起泡性洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討した結果、水に溶解して次亜塩素酸を遊離する化合物としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び水に溶解して過酸化水素を遊離する化合物として過炭酸ナトリウムからなる第1の起泡剤並びに有機酸及び炭酸水素ナトリウムからなる第2の起泡剤を含有する起泡性洗浄剤組成物において、起泡性洗浄剤組成物中における第1の起泡剤のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムの配合率(重量%)を所定の範囲内とし、起泡性洗浄剤組成物中における第2の起泡剤の有機酸と炭酸水素ナトリウムの反応当量比と配合率(重量%)を所定の範囲内とし、さらに起泡性洗浄剤組成物中における第1の起泡剤と第2の起泡剤を所定の配合比とすることにより、高い起泡力を有し、かつ、漂白効果を有する次亜塩素酸を活性状態で維持することにより高い漂白効果を有して効率的に被洗浄物を洗浄でき、かつ、起泡性洗浄剤組成物の水溶液のpHを中性とすることで安全に使用できる起泡性洗浄剤組成物を見出し、本発明を完成したものである。
【0009】
第1の発明は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムからなる第1の起泡剤並びに有機酸及び炭酸水素ナトリウムからなる第2の起泡剤を含有する起泡性洗浄剤組成物であって、起泡性洗浄剤組成物中におけるジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの配合率X重量%と過炭酸ナトリウムの配合率Y重量%が、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数をMとした場合に、X-Y×M>10.0かつX+Y<45.0を満たし、かつ、前記起泡性洗浄剤組成物中における有機酸の配合率P重量%と炭酸水素ナトリウムの配合率Q重量%が、0.200<(X+Y)/(P+Q)<1.00かつ60<(X+Y)+(P+Q)<100を満たし、前記起泡性洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比が反応当量比として0.500から1.400の範囲内であり、前記有機酸がコハク酸であることを特徴とする起泡性洗浄剤組成物である。
第2の発明は、さらに、2以上の陰イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする第1の発明の起泡性洗浄剤組成物である。
第3の発明は、さらに、起泡性洗浄剤組成物中に4.96~8.00重量%の陰イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする第1の発明の起泡性洗浄剤組成物である。
第4の発明は、前記起泡性洗浄剤組成物の炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比が反応当量比として1.02から1.30の範囲内であることを特徴とする第2または第3の発明に記載の起泡性洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い起泡力を有し、かつ高い漂白効果を有して洗浄効果に優れるとともに、水溶液のpHが中性で安全に使用できる起泡性洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施において使用するジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなどの塩素系漂白剤の有効塩素含有量(Cl2換算値)は、よう素滴定法を用いて、数式1により算出することができる。すなわち、活性塩素とよう化カリウムとが反応して遊離するよう素をチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定し、次の数式1により有効塩素含有量を算出する。
【0012】
(数式1)
有効塩素含有量(%)=a×f×0.35452/b
a:滴定に要した0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液(ml)
b:試料(g)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液のファクター
【0013】
なお、トリクロロイソシアヌル酸の理論上の有効塩素含有量は91.5%であり、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムでは64.5%であり、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム2水和物では55.4%である。
【0014】
また、過炭酸ナトリウムに代表される過酸化水素付加物などの酸素系漂白剤の有効酸素含有量(O2換算値)は、よう素滴定法を用いて、数式2により算出することができる。
すなわち、活性酸素とよう化カリウムとが反応して遊離するよう素をチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定し、次の数式2により有効酸素含有量を算出する。活性酸素とよう化カリウムとの反応を速めるために、1重量%に調整したモリブデン酸アンモニウム水溶液を少量加えてもよい。
【0015】
(数式2)
有効酸素含有量(%)=a×f×0.08000/b
a:滴定に要した0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液(ml)
b:試料(g)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液のファクター
なお、炭酸ナトリウム1モルに計算上1.5モルの過酸化水素が付加している過炭酸ナトリウムの理論上の有効酸素含有量は15.3%である。
【0016】
本発明の実施において使用するジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムは漂白剤として使用され得ることに加えて、第1の起泡剤として作用する。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム1モルは水に溶解した際に2モルの次亜塩素酸を発生する。一方、炭酸ナトリウム1モルに計算上1.5モルの過酸化水素が付加している過炭酸ナトリウム1モルが水に溶解した際に1.5モルの過酸化水素を発生する。水中で次亜塩素酸と過酸化水素は下記反応式(I)に従って塩酸と水と酸素を生じる。即ち、3モルのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから生じる6モルの次亜塩素酸と当量の過酸化水素6モルを得るためには4モルの過炭酸ナトリウムが必要になる。
HClO+H2O2 → HCl+H2O+O2 ・・・(I)
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの分子量は220.0であり、炭酸ナトリウム1モルに計算上1.5モルの過酸化水素が付加している過炭酸ナトリウムの分子量が157.0であるため、3モル(660g)のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから生じる次亜塩素酸と過不足無く反応するように過酸化水素を放出するために必要な過炭酸ナトリウムは4モル(628g)となる。即ち、当量モルの次亜塩素酸と過酸化水素を得るためのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムの重量比は1.051:1と考えることができる。なお、次亜塩素酸は、水中においてはpH等の影響により次亜塩素酸イオンや塩素ガスの形態を取り得るが、いずれの形態でも過酸化水素と反応し得る。
【0017】
通常入手可能な過炭酸ナトリウムは炭酸ナトリウム1モルに計算上1.5モルの過酸化水素が付加しているものが多いが、一方で安全上の理由等から過炭酸ナトリウム中の炭酸ナトリウムの含有比率が高い(相対的に過酸化水素の付加数が少ない)過炭酸ナトリウムが存在している。このように過炭酸ナトリウムが過酸化水素の付加していない炭酸ナトリウムを含有する場合であっても、本明細書において過炭酸ナトリウムという場合には、過酸化水素が付加した炭酸ナトリウムと過酸化水素が付加していない炭酸ナトリウムの混合物をも包含するものとする。
【0018】
また、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムも吸湿などの影響で、有効塩素含有量が理論量より少ない場合がある。このような有効塩素含有量が理論量より少ないジクロロイソシアヌル酸ナトリウムや炭酸ナトリウムの含有比率が高い(有効酸素含有量が少ない)過炭酸ナトリウムを用いる場合に、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと当量モルとなる過炭酸ナトリウムの重量比を求めるための、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数(M)を、次の数式3により算出する。
【0019】
(数式3)
M=1.051×(s/15.3)×(64.5/t)
M:ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数
s:過炭酸ナトリウムの実際の有効酸素含有量(%)
t:ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの実際の有効塩素含有量(%)
例えば、実際の有効塩素含有量が64.0%のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと実際の有効酸素含有量が11.8%の過炭酸ナトリウムを用いる場合のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数(M)は0.817と算出される。即ち、Xgのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから生じる次亜塩素酸と有効酸素含有量が11.8%の過炭酸ナトリウムYgから生じる過酸化水素が当量モルであるときX-Y×M(0.817)=0となり、X及びYが配合率(重量%)で表示された場合も同様の関係が成り立つ。なお、数式3中の15.3及び64.5はそれぞれ過炭酸ナトリウム(1モルの炭酸ナトリウムに計算上1.5モルの過酸化水素が付加した場合)の理論上の有効酸素含有量(%)及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの理論上の有効塩素含有量(%)を意味する。
【0020】
X-Y×Mの値が0以下になると、起泡性洗浄剤組成物の水溶液にはジクロロイソシアヌル酸ナトリウムにより生成した次亜塩素酸のモル数よりも、過炭酸ナトリウムから生成した過酸化水素のモル数が大きくなるため、次亜塩素酸と過酸化水素の中和反応により活性状態の次亜塩素酸が存在しなくなり、十分な殺菌・漂白作用が得られない。本発明において、起泡性洗浄剤組成物中におけるジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの配合率X重量%と過炭酸ナトリウムの配合率Y重量%とジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数MがX-Y×M>0を満たすことが重要であることを見出した。
【0021】
X-Y×Mの値が0より大きければ起泡性洗浄剤組成物の水溶液中に漂白効果に優れる次亜塩素酸が存在するため好ましく、X-Y×Mの値が1.00より大きければより高濃度の次亜塩素酸が残存するためより好ましく、X-Y×Mの値が10.0より大きければさらに高濃度の次亜塩素酸が残留するためさらに好ましい。
【0022】
また、X+Yが45.0以上となると、起泡量を確保するためにアルカリ性を呈する過炭酸ナトリウムの起泡性洗浄剤組成物中での配合量が相対的に多くなり、起泡性洗浄剤組成物の水容液のpHを中性に維持するのが難しくなる。本発明においてX+Y<45.0を満たすことが重要であることを見出した。
【0023】
X+Yの値が45.0未満であれば起泡性洗浄剤組成物の水溶液のpHを中性に維持し易くなるために好ましく、よりpHを中性に維持し易くなるという観点から40.0以下がさらに好ましく、35.0以下がさらに好ましい。
X+Yの下限値は、0とした場合には第1の起泡剤が存在しないことを意味し、起泡性洗浄剤組成物としての起泡剤が第2の起泡剤のみとなるため、有機酸と炭酸水素ナトリウムによる起泡で十分な起泡量を確保するためにpHを酸性側とする必要があり、水溶液のpHを中性に維持するのが難しくなる。そのため、X+Yは0より大きいことが好ましく、より水溶液のpHを中性に維持し易くなるという観点から10.0以上が好ましく、20.0以上がさらに好ましい。
【0024】
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数(M)を考慮したジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムの配合比(X/(Y×M))の範囲は、1.00より大きく4.00以下の範囲が好ましい。X/(Y×M)の値が1.00より大きい値から1.00に近づく程ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから生じる次亜塩素酸と過炭酸ナトリウムから生じる過酸化水素が次亜塩素酸を残しつつ過不足無く反応する状態に近づくため、第1の起泡剤として起泡効率が良い。
一方で、X/(Y×M)が1.00以下になると、次亜塩素酸と過酸化水素が完全に過不足無く反応するか、過酸化水素が次亜塩素酸より多くなるため、漂白効果に優れる次亜塩素酸の全量が過酸化水素により中和され、次亜塩素酸を被洗浄物に作用させることができなくなり漂白効果を維持できないため好ましくない。一方、X/(Y×M)が4.00より大きい場合には、起泡性洗浄剤組成物を水に溶かした際に次亜塩素酸が過酸化水素に対して過剰量存在することを意味するため漂白効果が高くなる一方で、起泡剤として過酸化水素と反応する次亜塩素酸の量が相対的に少なくなり起泡剤としての効率が低下するため好ましくない。起泡性洗浄剤組成物としての漂白効果と第1の起泡剤としての効率性を両立するという観点から、X/(Y×M)は、1.50以上3.00以下の範囲であることがより好ましく、2.00以上2.80以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0025】
本発明の起泡性洗浄剤組成物中における第2の起泡剤としての有機酸及び炭酸水素ナトリウムは、水中において炭酸水素ナトリウム由来の炭酸イオンが炭酸ガスとなり放出され起泡するものであり、有機酸により酸性となった水中では炭酸ガスの放出速度が促進され得る。本発明の起泡性洗浄剤組成物中の有機酸と炭酸水素ナトリウムの配合量は、洗浄に必要な起泡量を得るために必要とされる、炭酸ガスの発生速度と発生量と、起泡性洗浄剤組成物の水溶液のpHを中性に維持するという観点から決定される。
【0026】
炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比を、反応当量比として1よりも大きくするほど、炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比が相対的に高くなり、水溶液のpHが酸性となって炭酸ガスの発生速度が速くなるので、起泡性洗浄剤組成物を水と接触した場合の初期の起泡速度が速くなる。但し、炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比を大きくするほど、初期の起泡速度は速いものの、炭酸水素ナトリウムの配合量が相対的に少なくなるため、発生する炭酸ガスの総量も少なくなり、起泡量を十分に得ることができなくなる。
一方、炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比を反応当量比として1よりも小さくすると、炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合量が相対的に少なくなるため、水溶液のpHがアルカリ性になりやすくなる。水溶液のpHがアルカリ性になると、炭酸水素ナトリウム由来の炭酸イオンはガス化することなく水中に残存するため、炭酸ガスが放出され難くなり、第2の起泡剤としての起泡量が低下する。本発明において、第2の起泡剤として炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比を反応当量比として一定の範囲内に設定することが重要であることを見出した。
【0027】
このような技術的見地から、本発明の実施においては、炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の配合比を反応当量比として0.500から1.40とすることが好ましく、0.700から1.40とすることがより好ましく、0.700から1.30とすることがさらに好ましい。
なお、反応当量比とは炭酸水素ナトリウムの反応当量に対する有機酸の反応当量の割合であり、反応当量は次の数式4により算出する。
【0028】
(数式4)
反応当量=(100g×配合率(重量%))/(1グラム当量)
但し、1グラム当量は、1グラム当量=(分子量)/(価数)により算出する。なお、価数とは、酸としての価数または塩基としての価数を意味する。
【0029】
また、本発明において、起泡性洗浄剤組成物中におけるジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムからなる第1の起泡剤並びに有機酸及び炭酸水素ナトリウムからなる第2の起泡剤をそれぞれ最適化することに加えて、第1の起泡剤と第2の起泡剤の起泡性洗浄剤組成物中での配合比を最適化することが重要であることを見出した。即ち、起泡性洗浄剤組成物中における第1の起泡剤としてのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの配合率をX重量%及び過炭酸ナトリウムの配合率をY重量%とし、並びに前記起泡性洗浄剤組成物中における第2の起泡剤としての有機酸の配合率をP重量%及び炭酸水素ナトリウムの配合率をQ重量%とした場合に、(X+Y)/(P+Q)が所定の範囲であることが重要であることを見出した。(X+Y)/(P+Q)は、前記起泡性洗浄剤組成物中におけるジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムからなる第1の起泡剤と有機酸及び炭酸水素ナトリウムからなる第2の起泡剤の配合比を意味する。
【0030】
本発明の起泡性洗浄剤組成物の起泡量は、第1の起泡剤及び第2の起泡剤の発生ガス量の総和で定まるため、十分な起泡量を得るという観点から第1の起泡剤と第2の起泡剤の配合比を適宜調整する必要がある。即ち、(X+Y)で示される第1の起泡剤の配合率(重量%)が(P+Q)で示される第2の起泡剤の配合率(重量%)に対して大き過ぎる場合、相対的に起泡剤中でアルカリ性を呈する第1の起泡剤に含まれる過炭酸ナトリウムの配合量が多くなるため、水溶液のpHがアルカリ性に傾きやすくなる。その場合、第2の起泡剤はアルカリ性条件では起泡が低下するため、結局、第1の起泡剤と第2の起泡剤の発生ガスの総和は小さくなり、十分な起泡量を得ることが出来ない。また水溶液がアルカリ性の場合には皮膚や目に対する腐食性などのリスクが高まる。即ち、第1の起泡剤と第2の起泡剤の配合比(X+Y)/(P+Q)として、好ましくは(X+Y)/(P+Q)<1.00の範囲であり、より好ましくは(X+Y)/(P+Q)<0.650の範囲であり、さらに好ましくは(X+Y)/(P+Q)<0.520の範囲である。
一方、(X+Y)で示される第1の起泡剤の配合率(重量%)が(P+Q)で示される第2の起泡剤の配合率(重量%)に対して小さ過ぎる場合、起泡剤中の第2の起泡剤の配合率(重量%)が相対的に大きくなることを意味し、第2の起泡剤が効率よくガスを発生させて起泡量に寄与するには、前記のように水溶液のpHが酸性になるよう第2の起泡剤に含まれる有機酸の配合量を過剰にする必要がある。起泡性洗浄剤組成物としてのpHを酸性側とするためには、第1の起泡剤として発生ガスの元となる過炭酸ナトリウムはアルカリ性を呈するので相対的な配合量を減らさざるを得ず、この場合も全体の起泡量に寄与する第1の起泡剤から生じるガス量と第2の起泡剤から生じるガス量の総和は小さくなる。
また、水溶液が酸性となる場合、塩素ガスなどの有毒ガスが発生するリスクが高くなる。即ち、第1の起泡剤に対する第2の起泡剤の配合比(X+Y)/(P+Q)として、好ましくは0.200<(X+Y)/(P+Q)の範囲であり、より好ましくは0.400<(X+Y)/(P+Q)の範囲であり、さらに好ましくは0.450<(X+Y)/(P+Q)の範囲である。
【0031】
起泡性洗浄剤組成物中における第1の起泡剤と第2の起泡剤の合計の配合率(重量%)は(X+Y)+(P+Q)で示される。(X+Y)+(P+Q)の範囲は、起泡性洗浄剤組成物における起泡剤の配合率が高いほど効率的に起泡するために、60<(X+Y)+(P+Q)<100の範囲であることが好ましく、70<(X+Y)+(P+Q)<100の範囲であることがより好ましく、80<(X+Y)+(P+Q)<100の範囲であることがさらに好ましい。
【0032】
起泡性洗浄剤組成物として高い漂白力を有すると共に、水溶液のpHが中性で、第1の起泡剤及び第2の起泡剤を効率的に起泡させるためにもっとも好ましくは、前記の通り第1の起泡剤についてはX-Y×M>10かつ20.0<X+Y<35.0かつ2.00≦X/(Y×M)≦2.80を満たし、さらに第2の起泡剤については、炭酸水素ナトリウムに対する有機酸の反応当量比が0.700~1.30の範囲であり、さらに、第1の起泡剤と第2の起泡剤の配合比が0.450<(X+Y)/(P+Q)<0.520を満たすことであることを見出した。さらに、80<(X+Y)+(P+Q)<100の範囲を満たすことがさらに好ましいことを見出した。
このように、第1の起泡剤としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウム及び第2の起泡剤として有機酸と炭酸水素ナトリウムの配合比率(重量%)をそれぞれ所定の範囲とすることに加えて、第1の起泡剤と第2の起泡剤の配合比を所定の範囲とすることにより、水溶液のpHを中性に維持しつつ、十分な漂白力と起泡量を有する起泡性洗浄剤組成物を得ることができることを見出した。
【0033】
本発明で使用し得る有機酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、D-酒石酸、L-酒石酸、D-リンゴ酸、L-リンゴ酸、D-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸、グルタル酸、D-グルタミン酸、L-グルタミン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、クエン酸などが挙げられる。酸としての価数や水への溶解性及び入手のし易さの観点から、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、D-酒石酸、L-酒石酸、D-リンゴ酸、L-リンゴ酸、D-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸、グルタル酸、D-グルタミン酸、L-グルタミン酸が好ましく、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素系漂白剤との配合安定性に優れるという観点からコハク酸、フマル酸がさらに好ましい。
【0034】
本発明の起泡性洗浄剤組成物には界面活性剤を配合することができる。界面活性剤を配合することにより、起泡性洗浄剤組成物の起泡により生成した泡が持続し、被洗浄物に対して洗浄剤成分を接触させやすくすると共に、界面活性剤自体が被洗浄物の汚れの除去に寄与する。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択して配合することが出来るが、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素系漂白剤との配合安定性に優れるという観点から陰イオン性界面活性剤が好ましい。本発明で使用し得る陰イオン性界面活性剤としては、オレイン酸カリウム石ケン、ヒマシ油カリウム石ケン、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム石ケン、半硬化牛脂脂肪酸カリウム石ケンなどの脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸エステル塩、C12~C14の分岐または直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、C14~C18のα-オレフィンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのアルキルジアリールエーテルスルホン酸塩、アルキルリン酸カリウムなどのアルキルリン酸塩、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などのナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などの芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。塩素系漂白剤との配合安定性に特に優れ、起泡時の泡もちが良く、泡がきめ細かいという観点から、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウムの群から選択される1以上であることがより好ましい。
【0035】
本発明の起泡性洗浄剤組成物における陰イオン性界面活性剤の配合率(重量%)は、配合量が少なすぎると十分に起泡量に寄与せず、配合量が多すぎると相対的に第1の起泡剤及び第2の起泡剤の配合量が低下するために好ましくない。そのため、陰イオン性界面活性剤の配合率(重量%)は所定の範囲内であることが好ましい。即ち、起泡性洗浄剤組成物中の陰イオン性界面活性剤の配合率は、0.100~20.0重量%の範囲であることが好ましく、1.00~10.0重量%の範囲であることがより好ましく、2.00~8.00重量%の範囲であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の起泡性洗浄剤組成物には種々の添加剤を配合することができる。例えば、固形の塩素系漂白剤としてトリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム2水和物、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、ハロゲン化ヒダントイン、酸素系漂白剤としてモノ過硫酸カリウム複塩、過ホウ酸ナトリウム、過酢酸などを配合しても良く、さらに洗浄効果を高めるために有機高分子、陰イオン性以外の界面活性剤、金属イオン捕集剤、色素、香料、酵素、無機物などを適宜配合しても良い。
【0037】
有機高分子としては、カラギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸のアルカリ金属塩、デキストリン、キサンタンガム、ペクチン、デンプンあるいはこれらの誘導体などの多糖類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、その他のセルロース誘導体などが挙げられる。または、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、オレフィン-無水マレイン酸ナトリウム塩共重合体、アクリル酸-マレイン酸ナトリウム塩共重合体、ジアリルジメチルアンモニウム-アクリル酸ナトリウム塩共重合体、ジアリルメチルアミン-マレイン酸ナトリウム塩共重合体などの合成高分子化合物などが挙げられる。
【0038】
陰イオン性以外の界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの界面活性剤は、起泡性洗浄剤組成物に直接配合しても良いし、起泡性洗浄剤組成物を水に投入する際に別途添加しても良い。特に陽イオン性界面活性剤は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素系漂白剤と反応性が高いため、塩素系漂白剤を含む組成物中に直接配合することは好ましくない。
【0039】
陽イオン性界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートなどのアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジイソテトラデシルジメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0040】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールオレエートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、エチレンジアミン-ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのポリオキシエチレンアルキルアミン、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどのアルキルアルカノールアミド、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、パルミチン酸ジグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸ジグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0041】
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどのアミンオキサイドなどが挙げられる。
【0042】
金属イオン捕集剤としては、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β-アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩などのアミノカルボン酸塩及びこれらの水和物、セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩などのヒドロキシアミノカルボン酸塩及びこれらの水和物、トリポリリン酸塩、1-ジホスホン酸、α-メチルホスホノコハク酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸等のホスホノカルボン酸、これらのアルカリ金属塩及びこれらの水和物、ポリアクリル酸及びこれらのアルカリ金属塩、グルタミン酸二酢酸塩及びこれらの水和物などが挙げられる。中でも、入手容易性、取り扱い容易性、金属イオン捕集効果の観点から、アミノカルボン酸塩、アミノカルボン酸塩の水和物、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩の水和物及びこれらの混合物からなる群より選択される1以上の金属イオン捕集剤を用いることが好ましい。
【0043】
色素としては、スカーレットGコンク、パーマネントレッドGY、セイカファースト(登録商標)カーミン3870、セイカファーストエロー2200、セイカファーストエロー2700(B)(以上、商品名、大日精化工業社製)、Acid Blue 9、Direct Yellow 12(以上、商品名、東京化成工業社製)、フタロシアニンブルー、リボフラビン(以上、商品名、和光純薬工業社製)、ウルトラマリンブルー(以上、商品名、林純薬工業社製)などが挙げられる。
【0044】
香料としては、従来知られた香料を使用することができる。
【0045】
酵素としては、洗浄に有用な種々の酵素を使用することができる。
【0046】
無機物としては、ケイ酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の塩化物、硫酸アルミニウム塩、シロキサン類、粘土状鉱物、ホウ素化合物などが挙げられる。
【0047】
ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、これらの水和物及びこれらの混合物などのアルカリ金属ケイ酸塩などが挙げられる。硫酸塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどのアルカリ金属硫酸塩や、硫酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属硫酸塩などが挙げられる。リン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどのアルカリ金属リン酸塩や、リン酸二水素アンモニウムなどが挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。アルカリ金属の塩化物としては塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。シロキサン類としてはジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。粘土状鉱物としてはヘクトライトなどが挙げられる。ホウ素化合物としてはホウ酸、メタホウ酸、酸化ホウ素などが挙げられる。
【0048】
本明細書において、起泡性洗浄剤組成物の5重量%水溶液とは、水の重量に対して19分の1の重量の起泡性洗浄剤組成物を水に溶解した場合の水溶液を5重量%水溶液とする。また、水溶液のpHが中性であるとは、5重量%水溶液のpHが6.00から8.00であることを意味する。本発明の起泡性洗浄剤組成物は、5重量%水溶液のpHが6.00から8.00の範囲内であることが好ましく、pH6.50から7.50の範囲内であることがさらに好ましい。5重量%水溶液のpHが6.00より高ければ、塩素ガスなど有害なガス発生リスクが低下し、pHが6.50より高くなるとさらにそのリスクが低下する。一方、pHが8.00より低ければ、アルカリ性による皮膚や目に対する腐食性のリスクが低くなり、pHが7.50より低くなるとさらにそのリスクが低くなり、起泡性洗浄剤組成物を安全に使用できる。
起泡性洗浄剤組成物の洗浄剤成分を被洗浄物に高濃度で作用させるため、起泡性洗浄剤組成物は比較的高濃度で用いることができる。そのため、起泡性洗浄剤組成物の水溶液のpHは比較的高濃度である5重量%水溶液を用いて測定することが好ましい。
【0049】
本発明で使用するジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムは顆粒状又は粉末状であることが好ましい。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムの粒度分布の測定は次のようにして行うことができる。
目開き45μm、63μm、75μm、106μm、125μm、150μm、180μm、250μm、355μm、500μmの篩と受け皿を用いて、受け皿の上に目開きの大きい篩が上段になるように積み重ねる。最上部の目開き500μmの篩の上から試料を入れ、重ねた篩をふるい振とう機にセットし、10分間振とうし、ふるい分けを行う。ふるい振とう機は振動数3600回/分で振幅1mmの条件で使用してよい。ふるい振とう機としては例えばレッチェ社製「AS200CONTROL」を使用することができるがこれに限定されるものではない。ふるい振とう機を使用できない場合は、重ねたふるいを片手で支え、1分間に約120回の割合で篩の枠をたたく。時折、篩を水平に置き、ふるい枠を数回強くたたく。この操作を繰り返し、ふるい分けを十分に行なう。
【実施例
【0050】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において使用した原材料と評価試験方法は次のとおりである。
【0051】
[原材料]
・ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム:四国化成工業社製、商品名「ネオクロール60MG」(有効塩素含有量64.0%)
・過炭酸ナトリウム:保土ヶ谷化学社製、商品名「PC-F」(有効酸素含有量11.8%)
・コハク酸:日本触媒社製
・フマル酸:三井化学社製
・炭酸水素ナトリウム(重曹ということがある):トクヤマ社製
・炭酸ナトリウム(ソーダ灰デンスということがある):トクヤマ社製
・酸化ほう素:新日本電工社製
・ラウリル硫酸ナトリウム: 花王社製、商品名「エマール10PT 」
・α-オレフィンスルホン酸ナトリウム:ライオン社製、商品名「リポランPB800」
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:ライオンスペシャリティケミカルスLSC社製、商品名「ライポンPS-260」
・グアガム:三晶社製、商品名「ネオビスコG」
・ヘクトライト:BYK Additives(ビックケミー・ジャパン)社製、商品名「ラポナイトRDS」
・硫酸ナトリウム:和光純薬社製 試薬特級
・リン酸3ナトリウム:和光純薬社製 試薬特級
・塩化セチルピリジニウム:和光純薬社製 試薬特級
・EDTA-4Na(エチレンジアミン-N、N、N´、N´-4酢酸4ナトリウム):同仁化学研究所製 試薬
[ふるい振とう機]
・レッチェ社製「AS200CONTROL」
[pHメーター]
・堀場製作所社製「F-51」
[pH電極]
・堀場製作所社製「9615S-10D」
【0052】
本発明の実施において使用するジクロロイソシアヌル酸ナトリウムである「ネオクロール60MG」及び過炭酸ナトリウムである「PC-F」の粒度分布(単位は重量%)は、ふるい振とう機を使用して測定した結果、表1に示した通りであった。また、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム「ネオクロール60MG」の実際の有効塩素含有量は64.0%であり、過炭酸ナトリウム「PC-F」の実際の有効酸素含有量はいずれも11.8%であった。
【0053】
【表1】
【0054】
[起泡量の測定試験]
2000mlのメスシリンダーに25℃の水400mlを入れ、起泡性洗浄剤組成物20gを投入した。
起泡量をメスシリンダーの目盛から、目視で読みとった。(例;目盛1800mlまで泡が到達した場合、水400mlを差引いた1400mlが起泡量となり、起泡量が1600mlを超えた場合は>1600とした)。
薬剤投入後、2分、5分、10分、20分、30分経過後の起泡量(ml)を読み取り、その中の最大値を起泡量最大値とした。
【0055】
[pHの測定]
水の重量に対して5重量%の起泡性洗浄剤組成物を蒸留水(イオン交換水を用いても良い)に溶解し、30分間撹拌した。撹拌後の水溶液約50mlをガラス製ビーカーに移し、pHメーターで測定した。測定の直前にpH4標準液及びpH7標準液及びpH9標準液を用いて3点校正を実施した。なお、測定時の起泡性洗浄剤組成物5重量%水溶液の温度は20℃から25℃であった。
【0056】
〔実施例1〕
表2に記載した配合組成及び配合率(重量%)となるように調整した配合物100gをポリエチレン(PE)製の袋に入れ、袋を手で1分から2分良く振って混合し、起泡性洗浄剤組成物を製造した。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム「ネオクロール60MG」の有効塩素含有量は64.0%であり、過炭酸ナトリウム「PC-F」の有効酸素含有量(%)は11.8%であり、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数(M)はM=0.817となった。この起泡性洗浄剤組成物の、X+Y、X-Y×M、X/(Y×M)、有機酸/炭酸水素ナトリウム(反応当量比)、(X+Y)/(P+Q)、(X+Y)+(P+Q)の各数値は表2の通りであった。また、起泡量最大値、30分後の起泡量、5重量%水溶液のpHの測定結果は表2に示した通りであった。起泡量最大値が1600mlを超える場合は起泡量が特に優れるとして◎◎と評価し、1400ml以上から1600ml以下の場合は起泡量に優れるとして◎と評価し、1000ml以上1400ml未満の場合は起泡量を有するとして○と評価し、600ml以上1000ml未満の場合をやや起泡量が少ないとして△と評価し、600ml未満の場合は起泡量が少ないとして×と評価した。起泡量に優れる程、被洗浄物に泡が行き渡り易くなり洗浄効率が高いと考えられる。また、30分後の起泡量が1200ml以上の場合は泡の持続性が特に優れるとして◎◎と評価し、1000ml以上から1200ml未満の場合を泡の持続性が優れるとして◎と評価し、600ml以上から1000ml未満の場合を泡の持続性があるとして○と評価し、200ml以上から600ml未満の場合を泡の持続性がやや不十分であるとして△と評価し、200ml未満の場合を泡の持続性が不十分であるとして×と評価した。泡の持続性が優れるほど、被洗浄物に長時間洗浄剤成分を作用させることができるので、高い洗浄効果を得られると考えられる。また、5重量%水溶液のpHが6.50以上から7.50以下の場合を厳密に中性であるとして◎と評価し、pHが6.00以上から8.00以下の場合を中性であるとして○と評価し、pHが6.00未満または8.00を超える場合は中性ではないとして×とした。
【0057】
〔実施例2~11〕
実施例1の場合と同様にして、表2に記載した配合組成及び配合率(重量%)となるように起泡性洗浄剤組成物を調製した。これらの起泡性洗浄剤組成物のX+Y、X-Y×M、X/(Y×M)、有機酸/炭酸水素ナトリウム(反応当量比)、(X+Y)/(P+Q)、(X+Y)+(P+Q)、起泡量最大値、30分後の起泡量、5重量%水溶液のpH、は表2に示した通りであった。実施例1の場合と同様に評価した。
【0058】
【表2】
【0059】
上記のように、実施例に示した起泡性洗浄剤組成物において、第1の起泡剤としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムの配合率(重量%)、並びに、第2の起泡剤として有機酸及び炭酸水素ナトリウムの反応当量比と配合率(重量%)を厳しく制限することに加えて、第1の起泡剤と第2の起泡剤の配合比等を厳しく制限することにより、良好な起泡性と5重量%水溶液のpHが中性である起泡性洗浄剤組成物を得た。
【0060】
〔比較例1~17〕
実施例1の場合と同様にして、表3に記載した配合組成及び配合率(重量%)となるように起泡性洗浄剤組成物を調製した。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムのモル当量係数(M)はM=0.817であり、これらの起泡性洗浄剤組成物のX+Y、X-Y×M、X/Y、有機酸/炭酸水素ナトリウム(反応当量比)、(X+Y)/(P+Q)、(X+Y)+(P+Q)、起泡量最大値、30分後の起泡量、5重量%水溶液のpHは表3に示した通りであった。実施例1の場合と同様に評価した。
【0061】
【表3】
【0062】
[塩素系ガス発生測定試験]
[ガス発生試験1]
実施例3、実施例7で調製した起泡性洗浄剤組成物及び比較例13で調製した起泡性洗浄剤組成物をそれぞれ別々の1L容量のポリプロピレン(PP)製の蓋付き容器に20gずつ入れ、容器の口を密閉するように内蓋を取り付け、さらにネジ口の外蓋を取り付けて密閉した。内蓋の中心には検知管を挿入するための約5mm径の孔を予め設けており、保管時にはビニールテープで内蓋の孔を塞いだ。容器を50℃に維持したオーブン内で2時間保管し、2時間後の容器内のガス濃度を検知管で測定した(ガス発生試験1)。検知管は北川式ガス検知管「Tube No.109SA」を用いた。真空法ガス採取器に検知管を取り付けて、PP製容器の外蓋を外し、内蓋のビニールテープを剥がし、内蓋の孔から検知管の半分程度がPP製容器内に入り込むように検知管を挿入し、試料採取量が100mlとなるように容器内部のガスを吸引した。検知剤が白色から黄橙色に変色した部分の目盛りを検知管から読み取り、塩素系ガス濃度とした。なお、検知管の測定濃度の上限を超えるガス濃度が検出されることが見込まれる場合には、真空法ガス採取器による資料採取量を半分の50mlとし、検知管から読みとったガス濃度を2倍にすることにより、塩素系ガス濃度としても良い。
【0063】
[ガス発生試験2]
ガス発生試験1と同様のPP製容器内に起泡性洗浄剤組成物5gを入れ、40℃の水95gを加えた後に、中心に5mm径の孔を設けた内蓋を付けてから5分間放置し、ガス発生試験1と同様に検知管で容器内のガス濃度を測定した。検知管はガス発生試験1と同様のものを使用した。なお、水を加えた後は起泡性洗浄剤組成物が起泡するので、容器内の内圧が上昇するのを防ぐため、内蓋の孔は塞がずに試験を実施した。
【0064】
塩素系ガス発生測定試験(ガス発生試験1及びガス発生試験2)の結果は表4の通りであった。実施例3及び実施例7の起泡性洗浄剤組成物はガス発生試験1においてはガスが検出されなかったが、比較例13の起泡性洗浄剤組成物は40ppmの高濃度の塩素系ガスが検出された。また、ガス発生試験2における塩素系ガス発生量は、実施例3及び実施例7の起泡性洗浄剤組成物の塩素系ガス濃度は、比較例13の起泡性洗浄剤組成物の3分の1程度であった。これは実施例3及び実施例7の起泡性洗浄剤組成物においては、第1の起泡剤としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムの配合率(重量%)、並びに、第2の起泡剤として有機酸及び炭酸水素ナトリウムの反応当量比と配合率(重量%)を厳しく制限することに加えて、第1の起泡剤と第2の起泡剤の配合比等を厳しく制限することにより5重量%水溶液が中性のpHを有するように設計されているのに対して、比較例13は酸性側のpHになるため塩素系ガスが発生し易くなるためと考えられた。
【0065】
【表4】
【0066】
[漂白試験]
実施例3、実施例7で調製した起泡性洗浄剤組成物及び比較例16で調製した起泡性洗浄剤組成物を用いて、前記の[起泡量の測定試験]において30分経過後の起泡性洗浄剤組成物の水溶液をそれぞれ200ml容量のガラスビーカーに50mlを入れ、5cm×5cmの紅茶で染色した綿布(STC EMPA 167 日本資材社製)を全体が浸かるように浸漬し、室温で1分間及び5分間静置した。対照試験として起泡性洗浄剤組成物を含まない水道水50mlを用いて同様の試験を実施した。試験前の綿布の色は茶褐色であった。静置後に綿布を水道水ですすいだ後、50℃のオーブン内で1時間乾燥させた。
【0067】
[漂白試験の判定基準]
対照試験の紅茶で染色した綿布と、起泡性洗浄剤組成物の水溶液に浸漬した紅茶で染色した綿布を目視により比較し、対照試験の場合よりも明らかに漂白されていると判断される場合を合格と判定し、色調に変化が無く漂白効果が認められない場合を不合格と判定した。結果は表5に示した通りであった。実施例3及び実施例7で調製した起泡性洗浄剤組成物の水溶液は高い漂白効果を有していた。一方、比較例16で調製した起泡性洗浄剤組成物の水溶液は、漂白効果が認められなかった。これは、実施例3及び実施例7で調製した起泡性洗浄剤組成物は漂白力に優れる次亜塩素酸が被洗浄物(綿布)に作用しているためと考えられた。即ち、実施例3及び実施例7で調製した起泡性洗浄剤組成物のX-Y×Mの数値をそれぞれ11.7及び11.9としたことによる効果であると考えられた。一方、比較例16で調製した起泡性洗浄剤組成物は次亜塩素酸が過酸化水素により中和されているため綿布に作用していないためと考えられた。即ち、実施例16で調製した起泡性洗浄剤組成物のX-Y×Mの数値が-0.583であり0以下の値であることの効果であると考えられた。
【0068】
【表5】
【0069】
本発明による起泡性洗浄剤組成物は、高い起泡力を有し、かつ、高い漂白力を有し、さらに水溶液のpHが中性となるため安全であり、台所、浴室、洗面所の排水口、トイレ等の喫水面、洗濯槽及び台所ストレーナー等の硬質表面の汚れを洗浄除去するために好適に使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、高い起泡性を有し、かつ、漂白力に優れ、さらに水溶液のpHが中性となるため安全に使用することができる起泡性洗浄剤組成物を提供することができ、産業上の利用可能性は多大である。