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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】砂杭用バケット
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/10 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
E02D3/10 104
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021187547
(22)【出願日】2021-11-18
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】田中 肇一
(72)【発明者】
【氏名】永石 雅大
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-211251(JP,A)
【文献】実開昭61-139925(JP,U)
【文献】特開2002-255280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/10
B65D 88/00-90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に杭材料を投入する投入口と下側に前記杭材料を排出する排出口とを有し、周壁により筒状に形成されたバケット本体と、
前記バケット本体を保持するパイプ枠状の骨格フレームと、
を備え、
前記周壁を外板と内板の2段構造に形成し、
前記外板と前記内板との間の隙間に圧縮エアを吐出するエア噴射ノズルを設け、
前記パイプ枠状の骨格フレーム内に前記圧縮エアを貯留することで該骨格フレームを貯留タンクとして用い、
前記骨格フレームと前記エア噴射ノズルをエア供給ホースで接続して前記骨格フレームから前記エア噴射ノズルに前記圧縮エアを供給するようにし、
前記外板と前記内板の下端縁との間の隙間から前記圧縮エアをカーテン状に吐出するようにしたことを特徴とする砂杭用バケット。
【請求項2】
請求項1記載の砂杭用バケットであって、
前記周壁は、前壁と、後壁と、両側壁と、前記後壁から連なる傾斜底壁と、を備え、
少なくとも前記前壁と前記両側壁と前記傾斜底壁の前記外板と前記内板の下端縁との間の隙間から前記圧縮エアをカーテン状にそれぞれ吐出するようにしたことを特徴とする砂杭用バケット。
【請求項3】
請求項記載の砂杭用バケットであって、
前記両側壁は、前記排出口側に向かって間口が狭くなるように傾斜していることを特徴とする砂杭用バケット。
【請求項4】
請求項記載の砂杭用バケットであって、
前記前壁の下端部に前記排出口を開閉する蓋体を設け、
前記傾斜底壁の外側に前記蓋体を開閉動させる切換手段を設けたことを特徴とする砂杭用バケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良装置のリーダに沿って昇降動してホッパーに杭材料を供給する砂杭用バケットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の砂杭用バケットとして、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された砂杭用バケット50は、図6図7に示すように、上側に砂等の杭材料を投入する投入口53と下側に杭材料を排出する排出口54とを有し、周壁52により容器状に形成されたバケット本体51と、このバケット本体51を保持する枠体55と、を備えている。そして、図7に示すように、周壁52の傾斜した底板56上には、複数の圧縮コイルばね58を介して振動板57が設けられている。この振動板57の裏面には、バイブレータ59が装着されており、振動板57は、バイブレータ59により揺動変位(振動)するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-211251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の砂杭用バケット50では、粘着性が高く圧縮された扱い難い杭材料の場合、バケット本体51の内面に杭材料が付着すると、振動板57をバイブレータ59で振動させただけでは、排出口54から杭材料を簡単に引き落とすことができず、また、バイブレータ59の騒音や機械負荷が大きい。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、杭材料を排出口から排出する際に、バケット本体の貯蔵空間をできるだけ完全にスムーズかつ短時間で空にすることができる砂杭用バケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の砂杭用バケットは、上側に杭材料を投入する投入口と下側に前記杭材料を排出する排出口とを有し、周壁により筒状に形成されたバケット本体と、前記バケット本体を保持するパイプ枠状の骨格フレームと、を備え、前記周壁を外板と内板の2段構造に形成し、前記外板と前記内板との間の隙間に圧縮エアを吐出するエア噴射ノズルを設け、前記パイプ枠状の骨格フレーム内に前記圧縮エアを貯留することで該骨格フレームを貯留タンクとして用い、前記骨格フレームと前記エア噴射ノズルをエア供給ホースで接続して前記骨格フレームから前記エア噴射ノズルに前記圧縮エアを供給するようにし、前記外板と前記内板の下端縁との間の隙間から前記圧縮エアをカーテン状に吐出するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バケット本体の周壁の2段構造の外板と内板の下端縁との間の隙間から圧縮エアをカーテン状に吐出するようにしたことにより、不要な振動や騒音を発生させることなく、バケット本体の内面に付着した杭材料を排出口からスムーズにかつ短時間で排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の砂杭用バケットを示す正面図である。
図2】上記砂杭用バケットの側面図である。
図3】上記砂杭用バケットの分解斜視図である。
図4図1中Y部分の拡大説明図である。
図5】上記砂杭用バケットを備えた地盤改良装置の斜視図である。
図6】従来の砂杭用バケットの側面図である。
図7】上記従来の砂杭用バケットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態の砂杭用バケットを示す正面図、図2は砂杭用バケットの側面図、図3は砂杭用バケットの分解斜視図、図4図1中Y部分の拡大説明図、図5は砂杭用バケットを備えた地盤改良装置の斜視図である。
【0011】
図5に示すように、地盤改良装置1は、前部にリーダ2を立設した施工機本体3と、ワイヤ4の巻き回しによりリーダ2に沿って昇降動して砂等の杭材料Sを搬送する昇降バケット(砂杭用バケット)10と、強制昇降装置5によりリーダ2に沿って昇降動すると共に、回転駆動装置6により回転自在に支持されたケーシングパイプ(中空管)7と、強制昇降装置5と回転駆動装置6とに連結される連結管8と、強制昇降装置5の一側部に取り付けられ、ケーシングパイプ7に杭材料Sを導入管9Aを介して供給するホッパー9と、を備えている。杭材料Sとしては、砂の他に、スラグや再生コンクリート或いは産業廃棄物の盛り上がり土等でも良い。
【0012】
図5に示すように、ホッパー9は四角枠状に形成されていて、強制昇降装置5に取り付けられている。そして、ホッパー9の供給口9aに昇降バケット10の排出口16より杭材料Sが供給されるようになっている。また、ホッパー9の図示しない排出口は、導入管9Aを介して連結管8に連通されている。
【0013】
図1図3に示すように、砂杭用バケット10は、上側に杭材料Sを投入する投入口15と下側に杭材料Sを排出する排出口16とを有し、周壁12により四角筒状(容器状)に形成された金属製のバケット本体11と、このバケット本体11を保持する金属製でパイプ枠状の骨格フレーム18と、を備えている。
【0014】
図1図2に示すように、周壁12は、バケット本体11の貯蔵空間を区画する前壁12Aと、後壁12Bと、両側壁12C,12Cと、後壁12Bから連なる前側に傾斜した傾斜底壁12Dと、を備えていて、四角筒状に形成されている。また、図1に示すように、両側壁12C,12Cは、排出口16側に向かって間口が狭くなるように傾斜している。さらに、図4に示すように、周壁12は、金属製の外板13と金属製の内板14との2段構造に形成されていて、これら外板13と内板14との間の隙間Hには、圧縮エアAを吐出する偏平形状のエア噴射ノズル17がノズル取付パイプ17Aを介して複数設けられている。そして、外板13と内板14の下端縁14aとの間の隙間Hから圧縮エアAがカーテン状(エアレーション)に吐出されるようになっている。
【0015】
図3に示すように、パイプ枠状の骨格フレーム18内には、圧縮エアAが貯留されるようになっている。即ち、パイプ枠状の骨格フレーム18の内部は、連通していて、圧縮エアAを貯留可能な貯留タンクとなっている。
【0016】
図3に示すように、パイプ枠状の骨格フレーム18は、両側壁12C,12C側に分割され、この分割された2つの骨格フレーム18と、骨格フレーム18に併設された第2エア貯留タンク18Aの計3個の各タンク容量は、法律制限内の所定容量にそれぞれ設定されており、図示しないタイマーと切換弁等により圧縮エアAの突出時間がそれぞれ設定できるようになっている。さらに、分割された各パイプ枠状の骨格フレーム18と第2エア貯留タンク18Aには、図示しないコンプレッサにエア供給ホース19Aを介してそれぞれ接続されていて、コンプレッサから供給された圧縮エアAが貯留されるようになっている。そして、図3に示すように、貯留タンクとしてのパイプ枠状の骨格フレーム18からエア供給ホース19Bを介して複数のエア噴射ノズル17に圧縮エアAが供給され、両側壁12C,12Cと傾斜底壁12Dの外板13と内板14の下端縁14aとの間の隙間Hから圧縮エアAが同時にカーテン状にそれぞれ吐出されるようになっている。また、図3に示すように、パイプ枠状の骨格フレーム18に併設された第2エア貯留タンク18Aからエア供給ホース19Bを介して複数のエア噴射ノズル17に圧縮エアAが供給され、前壁12Aの外板13と内板14の下端縁14aとの間の隙間Hから圧縮エアAがカーテン状に吐出されるようになっている。
【0017】
図1図2に示すように、前壁12Aの下端部には、排出口16を開閉する蓋体20が設けられている。また、傾斜底壁12Dの外側には、蓋体20を開閉動させる空気圧式シリンダ(切換手段)30が設けられている。
【0018】
図1図2に示すように、蓋体20は、略矩形の筒状からなり、排出口16を区画している右側鉛直面の下端にヒンジ21により開閉動自在に取り付けられている。また、蓋体20には、略U形の延長部材22が図示しないガイド手段等を介して所定距離だけ移動可能にピン23で枢支されている。そして、この略U形の延長部材22は、蓋体20の閉状態で蓋体20の一部を内側に重ねた状態で骨格フレーム18内に収まり、蓋体20の開状態で矩形筒状の先端開口を下から受けた接続状態となる。尚、延長部材22は省略可能である。
【0019】
図2に示すように、切換手段としての空気圧式シリンダ30は、傾斜底壁12Dの外板13に取り付けられた取付ブラケット33に揺動自在にピン34で枢支されたシリンダ本体31と、シリンダ本体31から空気圧により出没するピストンロッド32と、を有している。このピストンロッド32の先端は、蓋体20に取り付けられた取付ブラケット35にピン36で枢支されている。そして、この空気圧式シリンダ30は、シリンダ本体31に対してピストンロッド32が没入した状態で、蓋体20を閉位置に保持し、ピストンロッド32が突出した状態で蓋体20を開位置に切り換える。
【0020】
尚、図1に示すように、周壁12の一方の側壁12Cを保持する骨格フレーム18の上部外側には、リーダ2に複数のローラ41を介して摺動自在に嵌合するブラケット40が取り付けられている。このブラケット40の上端中央には、ワイヤ4の一端が連結されており、このワイヤ4の巻き回しにより昇降バケット10がリーダ2に沿って昇降動する。
【0021】
以上実施形態の地盤改良装置1の昇降バケット10によれば、図4に示すように、バケット本体11の周壁12の2段構造の外板13と内板14の下端縁14aとの間の隙間Hから圧縮エアAをカーテン状に吐出させる。この圧縮エアAの吐出により、バケット本体11の内面に粘着性が高く圧縮された扱い難い杭材料Sが付着していても、不要な振動や騒音を発生させることなく、バケット本体11の内面に強固に付着した杭材料Sを圧縮エアAのエアレーションで振り落とし、排出口16からスムーズにかつ短時間で排出させ、ホッパー9の供給口9aに供給することができる。即ち、杭材料Sを排出口16から排出する際に、バケット本体11の貯蔵空間をできるだけ完全にスムーズかつ短時間で空にすることができる。
【0022】
また、以上実施形態の地盤改良装置1によれば、地盤T中に強制昇降装置5と回転駆動装置6を介してケーシングパイプ7を回転しながら貫入し、ケーシングパイプ7を引き抜く際に砂等の杭材料Sを排出し、打ち戻しと杭材料Sの排出とを繰り返すことで、図1に示すように、無振動・無騒音にて材料杭Kを造成することができる。この際、昇降バケット10内の杭材料Sは、バケット本体11の内面に付着することなく、ホッパー9内にスムーズに供給され、ホッパー9内からケーシングパイプ7内にスムーズに供給される。
【0023】
尚、前記実施形態によれば、バケット本体の前壁と両側壁と傾斜底壁の3箇所から圧縮エアを同時に吐出するようにしたが、後壁を含めた4箇所から圧縮エアを同時に吐出するようにしても良い。
【符号の説明】
【0024】
10 昇降バケット(砂杭用バケット)
11 バケット本体
12 周壁
12A 前壁
12B 後壁
12C,12C 両側壁
12D 傾斜底壁
13 外板
14 内板
14a 下端縁
15 投入口
16 排出口
17 エア噴射ノズル
18 パイプ枠状の骨格フレーム(貯留タンク)
19B エア供給ホース
20 蓋体
30 空気圧式シリンダ(切換手段)
A 圧縮エア
H 隙間
S 杭材料
【要約】
【課題】杭材料を排出口から排出する際に、バケット本体の貯蔵空間をできるだけ完全にスムーズかつ短時間で空にすることができる砂杭用バケットを提供する。
【解決手段】砂杭用バケット10は、上側に杭材料を投入する投入口15と下側に杭材料を排出する排出口16とを有し、周壁12により筒状に形成されたバケット本体11と、このバケット本体11を保持するパイプ枠状の骨格フレーム18と、を備え、周壁12を外板13と内板14の2段構造に形成し、これら外板13と内板14との間の隙間に圧縮エアを吐出するエア噴射ノズル17を設け、外板13と内板14の下端縁14aとの間の隙間から圧縮エアをカーテン状に吐出するようにしてある。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7