(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】冷蔵庫の引き出し扉制御方法及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20230202BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
F25D23/02 306L
F25D29/00 Z
(21)【出願番号】P 2021547174
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(86)【国際出願番号】 CN2020074740
(87)【国際公開番号】W WO2020164478
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】201910117992.9
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520514425
【氏名又は名称】青島海尓電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(73)【特許権者】
【識別番号】520514414
【氏名又は名称】海尓智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】恵 斌
(72)【発明者】
【氏名】李 士東
(72)【発明者】
【氏名】劉 志軍
(72)【発明者】
【氏名】胡 暁彬
(72)【発明者】
【氏名】曹 国帥
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-166664(JP,A)
【文献】特開2006-023022(JP,A)
【文献】特開2016-142506(JP,A)
【文献】特開2015-042898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱本体と、前記箱本体に対して前後に押したり引いたりすることができるように取り付けられる引き出し扉と、前記引き出し扉が前後に移動するよう制御可能に駆動するための駆動機構と、を備えた冷蔵庫における引き出し扉制御方法であって、
扉開き命令又は扉閉じ命令を取得するステップと、
前記駆動機構を制御して、前記引き出し扉が前方へ移動して開くよう、又は、後方へ移動して閉じるように駆動するステップと、
前記引き出し扉が移動中に受ける抵抗を検出するステップと、
前記抵抗が所定の抵抗閾値よりも大きいか否かを判断するステップと、を有し、
前記抵抗が前記所定の抵抗閾値よりも大きいと判断した場合に、前記駆動機構が稼働しないよう停止して、前記引き出し扉が移動せずに停止するよう制御する
ことを含み、
前記冷蔵庫は、スイッチをさらに備え、
前記駆動機構が稼働しないように停止して、前記引き出し扉が移動せずに停止するように制御するステップの後に、
前記スイッチが操作されているか否かを検出し、
前記スイッチが操作されていることを検出した場合には、前記駆動機構を制御して、前記引き出し扉を、その移動が停止する前の移動方向とは反対方向に移動ように駆動し、
前記スイッチが操作されていないことを検出した場合には、前記引き出し扉が移動を停止している持続時間が所定の時間閾値になった場合に、前記駆動機構を制御して、前記引き出し扉が閉じるよう後方へ移動するように駆動する、ことをさらに含み、
扉開き命令又は扉閉じ命令を取得するステップの前に、
前記引き出し扉が閉じて静止している状態で、前記スイッチが操作された場合に、前記扉開き命令を送信し、あるいは、
前記引き出し扉が完全に開いて静止している状態で、前記スイッチが操作された場合に、前記扉閉じ命令を送信する、ことを含み、
前記引き出し扉は、複数の圧力センサーを備え、
扉開き命令又は扉閉じ命令を取得するステップの前に、
前記冷蔵庫は、前記引き出し扉が閉じて静止している状態で、前記引き出し扉が受ける前方向の引張力の大きさを検出し、前記引張力が所定の引張力閾値よりも大きい場合に、前記扉開き命令を送信すること、及び、
前記冷蔵庫は、前記引き出し扉が完全に開いて静止している状態で、前記引き出し扉が受ける後方向の押圧力の大きさを検出しており、前記押圧力が所定の押圧力閾値よりも大きい場合に、前記扉閉じ命令を送信すること、をさらに含む、
ことを特徴とする冷蔵庫の引き出し扉制御方法。
【請求項2】
前記スイッチは、タッチスイッチである、ことを特徴とする請求項
1に記載の冷蔵庫の引き出し扉制御方法。
【請求項3】
前記駆動機構を制御して、前記引き出し扉が前方へ移動して開くよう、又は、後方へ移動して閉じるように駆動するステップは、前記駆動機構を制御して、前記引き出し扉を最初に加速してから後に減速するという方式に従って、前記引き出し扉が開くよう前方へ移動し、又は、前記引き出し扉が閉じるよう後方へ移動する、ように駆動することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫の引き出し扉制御方法。
【請求項4】
前面が開いた箱本体と、
扉本体及び前記扉本体の後側に取り付けられる引き出しを含み、前記引き出しが前後に前記箱本体に対して押したり引いたりすることができるように取り付けられる引き出し扉と、
前記引き出し扉が前方へ移動して開くよう、又は、後方へ移動して閉じるように制御可能に駆動するように配置される駆動機構と、
メモリー及びプロセッサーを含むコントローラーと、を備え、
前記メモリーにコンピュータープログラムが記憶されると共に、前記コンピュータープログラムが前記プロセッサーに実行されることで、請求項1から
3のうちのいずれか一項に記載の冷蔵庫の引き出し扉制御方法が実現させるよう構成されている、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
前記駆動機構は、少なくとも一つのベルト伝動機構及びモーターを含み、
前記ベルト伝動機構は、それぞれ、
前後に間隔を空けて設置されると共に、それぞれが前記箱本体の側壁に回転可能に取り付けられる二つの歯付ベルトホイール、
前記二つの歯付ベルトホイールに、張力をかけるように配置される同期ベルト、及び、
前記同期ベルトに固定されると共に、前記引き出し扉に直接的又は間接的に固定される接続手段、を含み、
前記モーターは、前記箱本体の側壁に取り付けられ、前記歯付ベルトホイールを直接的又は間接的に駆動して回転させ、前記同期ベルトを駆動して移動させ、それによって前記引き出し扉を移動させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項
4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記駆動機構は、
前記歯付ベルトホイールと同軸に接続されるウォームホイールと、
前記ウォームホイールと組み合わせられるウォームギヤと、を含み、
前記ウォームギヤは、前記モーターの回転軸に接続されており、前記モーターを介して前記ウォームギヤが回転するように駆動されることにより連動して前記ウォームホイールが回転し、これにより前記歯付ベルトホイールが連動して回転するよう構成されている、
ことを特徴とする請求項
5に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵・冷凍装置に関し、特に冷蔵庫の引き出し扉制御方法及び冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、フランス式の冷蔵庫ように、多くの冷蔵庫は、引き出し扉を設置して構成される。つまり、扉本体は、固定して接続される引き出しが内側に設置される。ユーザは、前方へ扉本体を引くと、直ぐに引き出しを開くことができる。
【0003】
引き出し内には、通常は、一定の貯蔵物が貯蔵されていると共に、引き出し扉と箱本体との間において、密封のために磁気による吸着力が生じていることから、扉が開く際に抵抗が生じ、引き出し扉が開きにくくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、引き出し扉が開きにくいという問題を解決するための、冷蔵庫の引き出し扉制御方法及び冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、引き出し扉を自動的に開閉させる動作を制御可能にして、より良いヒューマンコンピュータインタラクションを実現できることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態では、冷蔵庫の引き出し扉制御方法を提供する。冷蔵庫は、箱本体と、箱本体に対して前後に押したり引いたりすることができるように取り付けられる引き出し扉と、引き出し扉が前後に移動するよう制御可能に駆動するための駆動機構と、を備える。引き出し扉制御方法は、扉開き命令又は扉閉じ命令を取得するステップと、駆動機構を制御して、引き出し扉が前方へ移動して開くよう、又は、後方へ移動して閉じるように駆動するステップと、引き出し扉が移動中に受ける抵抗を検出するステップと、抵抗が所定の抵抗閾値よりも大きいか否かを判断するステップと、を有し、抵抗が所定の抵抗閾値よりも大きいと判断した場合に、駆動機構が稼働しないよう停止して、引き出し扉が移動せずに停止するよう制御する。
【0007】
望ましくは、冷蔵庫はスイッチをさらに備え、扉開き命令又は扉閉じ命令を取得するステップの前に、引き出し扉が閉じて静止している状態で、スイッチが操作された場合に、扉開き命令を送信し、あるいは、引き出し扉が完全に開いて静止している状態で、スイッチが操作された場合に、扉閉じ命令を送信する、ことをさらに含む。
【0008】
望ましくは、駆動機構が稼働しないように停止して、引き出し扉が移動せずに停止するように制御するステップの後に、スイッチが操作されているか否かを検出し、スイッチが操作されていることを検出した場合に、駆動機構を制御して、引き出し扉を、その移動が停止する前の移動方向とは反対方向に移動するように駆動する、ことをさらに含む。
【0009】
望ましくは、駆動機構が稼働しないように停止して、引き出し扉が移動せずに停止するように制御するステップの後に、スイッチが操作されているか否かを検出し、スイッチが操作されていることを検出した場合には、駆動機構を制御して、引き出し扉を、その移動が停止する前の移動方向とは反対方向に移動ように駆動し、スイッチが操作されていないことを検出した場合には、引き出し扉が移動を停止している持続時間が所定の時間閾値になった場合に、駆動機構を制御して、引き出し扉が閉じるよう後方へ移動するように駆動する、ことをさらに含む。
【0010】
望ましくは、スイッチは、タッチスイッチである。
【0011】
望ましくは、扉開き命令又は扉閉じ命令を取得するステップの前に、冷蔵庫は、引き出し扉が閉じて静止している状態で、引き出し扉が受ける前方向の引張力の大きさを検出し、引張力が所定の引張力閾値よりも大きい場合に、扉開き命令を送信すること、及び、冷蔵庫は、引き出し扉が完全に開いて静止している状態で、引き出し扉が受ける後方向の押圧力の大きさを検出しており、押圧力が所定の押圧力閾値よりも大きい場合に、扉閉じ命令を送信すること、をさらに含む。
【0012】
望ましくは、駆動機構を制御して、引き出し扉が前方へ移動して開くよう、又は、後方へ移動して閉じるように駆動するステップは、駆動機構を制御して、引き出し扉を最初に加速してから後に減速するという方式に従って、引き出し扉が開くよう前方へ移動し、又は、引き出し扉が閉じるよう後方へ移動する、ように駆動することを含む。
【0013】
本発明の他の形態では、前面が開いた箱本体と、扉本体及び扉本体の後側に取り付けられる引き出しを含み、引き出しが前後に箱本体に対して押したり引いたりすることができるように取り付けられる引き出し扉と、引き出し扉が前方へ移動して開くよう、又は、後方へ移動して閉じるように制御可能に駆動するように配置される駆動機構と、メモリー及びプロセッサーを含むコントローラーと、を備え、メモリーにコンピュータープログラムが記憶されると共に、コンピュータープログラムがプロセッサーに実行されることで、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の引き出し扉制御方法が実現させるよう構成されている、冷蔵庫をさらに提供する。
【0014】
望ましくは、駆動機構は、少なくとも一つのベルト伝動機構及びモーターを含み、ベルト伝動機構は、それぞれ、前後に間隔を空けて設置されると共に、それぞれが箱本体の側壁に回転可能に取り付けられる二つの歯付ベルトホイール、二つの歯付ベルトホイールに、張力をかけるように配置される同期ベルト、及び、同期ベルトに固定されると共に、引き出し扉に直接的又は間接的に固定される接続手段、を含み、モーターは、箱本体の側壁に取り付けられ、歯付ベルトホイールを直接的又は間接的に駆動して回転させ、同期ベルトを駆動して移動させ、それによって引き出し扉を移動させるように構成される。
【0015】
望ましくは、駆動機構は、歯付ベルトホイールと同軸に接続されるウォームホイールと、ウォームホイールと組み合わせられるウォームギヤと、を含み、ウォームギヤは、モーターの回転軸に接続されており、モーターを介してウォームギヤが回転するように駆動されることにより連動してウォームホイールが回転し、これにより歯付ベルトホイールが連動して回転するよう構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る引き出し扉制御方法では、ユーザが力を入れて押したり引いたりすることなく、駆動機構が引き出し扉を制御して自動的に開閉することが可能である。しかも、引き出し扉は、開閉の際に、ユーザの希望する位置に止めるために十分な抵抗を受けることで、緊急停止が可能となる。これにより、引き出し扉を自動的に開閉させる動作を制御しやすくなり、より良いヒューマンコンピュータインタラクションを実現できる。さらに、引き出し扉が移動するときに、予想せぬ制御により、ユーザを挟み込み又は他の方式で傷つけるということを防ぐことができる。
【0017】
さらに、本発明に係る引き出し扉制御方法では、一つのスイッチを冷蔵庫に設置したり、ユーザが軽く引き出し扉を押したり引いたりするということだけで、駆動機構を始動させることができるため、ユーザの利用を極めて容易にすることができる。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明における具体的な実施例を詳しく説明する。当業者は、本発明における上記及び他の目的、利点及び特性を明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
下記に、図面を参照して、例示的かつ非限定的な形態に基づいて、本発明におけるいくつかの具体的な実施例を詳しく説明する。図面には、同一の符号により、同一又は類似な部品や部分を示す。当業者にとって理解すべきところは、これらの図面が、必ずしも一定の縮尺で描かれたものである必要はないことである。
【
図1】本発明における一実施例により冷蔵庫の構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す冷蔵庫における駆動機構の模式図である。
【
図3】本発明における一実施例による冷蔵庫の模式的なブロック図である。
【
図4】本発明における一実施例による冷蔵庫の引き出し扉制御方法のフローチャートである。
【
図5】本発明における一実施例による冷蔵庫の引き出し扉制御方法の扉を開くときのフローチャートである。
【
図6】本発明における一実施例による冷蔵庫の引き出し扉制御方法の扉を閉じるときのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例では、冷蔵庫を提供する。
図1は、本発明における一実施例による冷蔵庫の構成を示す模式図である。
図2は、
図1に示す冷蔵庫における駆動機構の模式図である。
【0021】
図1に示すように、冷蔵庫は、箱本体100、引き出し扉200及び駆動機構300を含む。箱本体100は、前面に開口が形成されて開かれており、引き出し扉200を受け入れるよう構成されている。引き出し扉200は、箱本体100に対して前後に押したり引いたりすることができるように取り付けられる。具体的には、引き出し扉200は、扉本体210及び扉本体210の後側に取り付けられる引き出し220を含む。引き出し220は、箱本体100に対して前後に押したり引いたりすることができるように取り付けられる。引き出し220と箱本体100の内壁とがスライドレール手段を介して接続される。スライドレール手段は、従来技術によく見られるため、ここではその構成の詳細な説明は省略する。引き出し扉200は、完全に閉じる状態(つまり、後方へそれ以上移動できない状態)にあると、扉本体210が箱本体100における前面の開口を閉じた状態となる。駆動機構300は、引き出し扉200が前方へ移動して開くよう、又は、後方へ移動して閉じるように駆動するよう制御する。
【0022】
図2は、駆動機構300を示す模式図である。駆動機構300は、少なくとも一つのベルト伝動機構340及び一つのモーター310を含む。各ベルト伝動機構340は、二つの歯付ベルトホイール341、一つの同期ベルト342及び一つの接続手段343を含む。そのうち、二つの歯付ベルトホイール341は、前後に間隔を空けて設置される。二つの歯付ベルトホイール341は、それぞれ箱本体100の内壁に回転可能に取り付けられる。その回転軸は、それぞれ、冷蔵庫の横方向(ユーザが冷蔵庫に対向する状態で、ユーザの左右方向が冷蔵庫の横方向となる)を向いて配置される。同期ベルト342は、二つの歯付ベルトホイール341に対して張力をかけるよう配置される。換言すると、同期ベルト342は、環状に形成され、二つの歯付ベルトホイール341にしっかりと周設される。歯付ベルトホイール341は、従来のベルトプーリとは異なり、歯付ベルトホイール341に噛み合い歯部が設置されており、それに対応して歯付ベルトホイール341と噛み合うように同期ベルト342にもベルト歯部が設置されている。噛み合い歯部という構成が設置されていることから、伝動がより正確となり、基本的に同期して伝動することが実現され得る。接続手段343は、同期ベルト342に固定されると共に、引き出し扉200に直接的又は間接的に固定される。例えば、接続手段343は、引き出し220に直接接続されるスライドレール手段上に設置されてもよい。
【0023】
モーター310は、箱本体100の側壁に取り付けられ、一つの歯付ベルトホイール341が直接的又は間接的に回転するよう駆動し、歯付ベルトホイール341により同期ベルト342が連動して移動し、さらに同期ベルト342に連動して接続手段343により引き出し扉200を移動するように設置される。引き出し扉200を開閉させるために、モーター310を時計回り又は反時計回りに回転するよう制御することができる。
【0024】
ベルト伝動機構340は、その数が一つである。ベルト伝動機構340は、二つの歯付ベルトホイール341が引き出し220における横方向の一方側又は下方に取り付けられてもよい。ベルト伝動機構340は、その数が二つであってもよい。二つのベルト伝動機構340は、それらの歯付ベルトホイール341が、それぞれ引き出し220における横方向の両側に取り付けられてもよい。この場合には、引き出し扉200が両側から共に駆動されるため、バランスが良い。二つのベルト伝動機構340同士には、同期伝動軸が接続されてもよい。この場合には、二つの伝動機構が同期して移動されると共に、一つだけのモーターが設置されれば済む。
【0025】
一般的なモーターは、その回転速度が比較的速いため、減速機構を設計することが必要となる。例えば、モーター310は、ウォームホイールとウォームギヤからなる機構により歯付ベルトホイール341が回転するように駆動することで、減速効果を実現できる。具体的には、一つのウォームホイール330及び一つのウォームギヤ320を設置する。ウォームホイール330は、一つの歯付ベルトホイール341と同軸で接続される。両者は、それぞれ独立する部品として接続されてもよく、全体として一体化したものであってもよい。一つのウォームギヤ320は、ウォームホイール330と嵌合して、モーター310の回転軸に接続される。この場合には、モーター310は、ウォームギヤ320が回転するように駆動することにより、これに連動してウォームホイール330が回転し、さらに連動して歯付ベルトホイール341が回転する。
【0026】
図3は、本発明における一実施例による冷蔵庫の模式的なブロック図である。
図3に示すように、冷蔵庫は、コントローラー800をさらに含む。コントローラー800は、プロセッサー810及びメモリー820を含む。メモリー820には、コンピュータープログラム821が記憶されている。コンピュータープログラム821が実行されると、コントローラー800は、本発明の実施例に係る冷蔵庫の引き出し扉制御方法を実行することにより、駆動機構を制御して、引き出し扉を自動的に開閉させる動作を制御し、より良いヒューマンコンピュータインタラクションを実現する。
【0027】
メモリー820は、フラッシュメモリ、EEPROM、EPROM、ハードディスク又はROMなどの電子メモリーとされてもよい。メモリー820は、上記の方法におけるあらゆるステップを実行するためのコンピュータープログラム821の記憶空間を有する。コンピュータープログラム821を実行することにより、コントローラー800にて、上記に説明した方法の各ステップを実行する。
【0028】
本発明は、冷蔵庫の引き出し扉制御方法をさらに提供する。
図4は、本発明における一実施例による冷蔵庫の引き出し扉制御方法の模式図である。
図4に示すように、本発明の引き出し扉制御方法は、以下のステップを含む。
【0029】
ステップS402では、扉開き命令又は扉閉じ命令を取得する。このステップにおいて、コントローラー800は、ユーザが送信してきた引き出し扉制御命令に応答して、当該制御命令が扉開き命令であるか、それとも扉閉じ命令であるかを判断する。
【0030】
例えば、冷蔵庫にコントローラー800と通信接続されるスイッチ400を設置してもよい。当該スイッチは、機械スイッチであってもよく、タッチスイッチであると好ましい。引き出し扉200が閉じて静止する状態(つまり、閉じる状態にあると共に移動されない状態)では、ユーザが当該スイッチにタッチすると、当該スイッチが扉開き命令を送信することになる。引き出し扉200が完全に開いて静止する状態では、ユーザがスイッチにタッチすると、スイッチ400が扉閉じ命令を送信することになる。
【0031】
また、引き出し扉200には、複数の圧力センサーを設置してもよい。この場合には、引き出し扉200が外面に受ける作用力の大きさ及び方向を検知し、電気信号を生成してコントローラー800に送信する。複数の圧力センサーは、引き出し扉において、外面におけるユーザの接触可能な領域を覆うよう設置される。圧力センサーは、引き出し扉200が閉じて静止している状態では、引き出し扉200が受ける前方への引張力の大きさを検出し、引張力が所定の引張力閾値よりも大きい場合に、扉開き命令を送信する。圧力センサーは、引き出し扉200が完全に開いて静止している状態では、引き出し扉200が受ける後方への押圧力の大きさを検出し、押圧力が所定の押圧力閾値よりも大きい場合に、扉閉じ命令を送信する。
【0032】
また、リモートコントロールや音声コントロールなどの他の形態に従って、扉開き命令又は扉閉じ命令を送信してもよい。
【0033】
ステップS404では、駆動機構を制御して、引き出し扉を前方へ移動して開くよう駆動し、あるいは、引き出し扉を後方に移動して閉じるよう駆動する。つまり、扉開き命令を取得すると、駆動機構を制御して、引き出し扉が前方へ移動して開くよう駆動し、扉閉じ命令を取得すると、駆動機構を制御して、引き出し扉が後方へ移動して閉じるよう駆動する。
【0034】
ステップS406では、引き出し扉が移動中に受ける抵抗を検出する。このとき、上述した引き出し扉に設置される複数の圧力センサーにより抵抗を検出する。ここでは、引き出し扉が前方へ移動して開く時に受ける後方への作用力を抵抗として定義する。また、引き出し扉が後方へ移動して閉じる時に受ける前方への作用力を抵抗として定義する。
【0035】
ステップS408では、抵抗が所定の抵抗閾値よりも大きいかどうかを判断する。大きいと判断すると、ステップS410を実行する。大きくないと判断すると、ステップS404を実行する。これにより、引き出し扉を正常に開閉させる。引き出し扉は、ユーザからかかる抵抗を確かに受ける場合に、以降のステップを実行して、軽微な予想せぬ接触による干渉を避けることができる。当該所定の抵抗閾値は、複数の試験により設定されてもよい。
【0036】
ステップS410は、駆動機構を制御して駆動を止めることにより、引き出し扉が移動しないように停止する。
【0037】
本発明では、駆動機構を用いて、引き出し扉が前後に移動するように駆動することにより、自動で引き出し扉の開閉を実現し、ユーザによる手間のかかる操作を回避し、利便性が向上する。
【0038】
また、引き出し扉は、開閉の際に、ユーザが希望する位置に止めるために十分な抵抗を受けることで、緊急停止が可能となる。これにより、引き出し扉を自動的に開閉させる動作をより制御しやすくなり、より良いヒューマンコンピュータインタラクションを実現できる。さらに、引き出し扉が閉じるときに、ユーザが誤って引き出し扉と箱本体の前側との間に挟み込まれてしまうことや、引き出し扉が開いたときにユーザが誤って引き出し扉に押さてしまうことを防ぐことができる。
【0039】
別の実施例では、より良い技術的効果を得るために、上述したステップを最適化または再配置することができる。以下に、本実施例における一つの好ましい実行フローを説明しながら、本実施例に係る冷蔵庫の制御方法を詳しく説明する。本実施例は、実行フローの例示的な説明に過ぎず、具体的に実施する際に、具体的な実施要件に応じて、一部のステップについてその実行順序や動作条件を変更してもよい。
【0040】
図5は、本発明における一実施例による冷蔵庫の引き出し扉制御方法において扉を開くときのフローチャートである。
図5に示すように、本実施例では、引き出し扉制御方法により扉を開くよう制御する際には、以下のステップを順に実行する。
ステップS502では、引き出し扉が閉じて静止している状態でスイッチが操作されると、扉開き命令を送信する。
ステップS504では、扉開き命令を取得する。
ステップS506では、駆動機構を制御し、引き出し扉が前方へ移動するように駆動して、引き出し扉を開く。
このステップでは、駆動機構を制御して、引き出し扉を最初に加速してから後に減速するという方式で、扉が開くよう前方へ移動するように駆動してもよい。この場合には、安全性を有するのみならず、ユーザにとって時間を節約することができる。
【0041】
例えば、扉を開く周期全体を、初期、中期及び後期という三つの時間帯に分ける。扉を開く周期の初期では、引き出し扉を比較的低速で前方へ移動させる。扉を開く周期の中期では、引き出し扉を比較的高速で前方へ移動させる。扉を開く周期の後期では、引き出し扉を比較的低速で前方へ移動させる。あるいは、引き出し扉の速度を最初に上げ続け、最大速度に達した後に、減速し続けるように制御してもよい。
【0042】
ステップS508では、引き出し扉が移動中に受ける抵抗を検出する。
ステップS510では、抵抗が所定の抵抗閾値よりも大きいかどうかを判断する。大きいと判断すると、ステップS512を実行する。大きくないと判断すると、ステップS506を実行する。これにより、引き出し扉が正常に開くようにする。
ステップS512では、駆動機構を制御して駆動を止めて、引き出し扉が移動しないように停止する。
ステップS514では、引き出し扉が移動を停止している間、スイッチが操作されているかどうかを判断する。スイッチが操作されていると判断すると、ステップS516を実行する。スイッチが操作されていなければ、ステップS518を実行する。
ステップS516では、駆動機構を制御して、引き出し扉が、その移動が停止する前の移動方向と反対の方向に移動ように駆動する。つまり、駆動機構を制御して、引き出し扉が閉じる後方へ移動するように駆動する。これにより、ユーザが挟み込まれたり押されたりされる場合に、スイッチ操作により、引き出し扉を反対方向へ移動させることができ、即時に、人体に対する被害を防止することができる。
ステップS518では、引き出し扉が移動を停止する持続時間が所定の時間閾値になった場合、駆動機構を制御して、引き出し扉が閉じるよう後方へ移動するように駆動する。当該所定の時間閾値は、1分、2分、3分などに設定されてもよい。これにより、ユーザが冷蔵庫から離れる時に扉を閉め忘れて、冷蔵庫の冷たい空気が多量に漏れてしまうということを避けることができる。
【0043】
図6は、本発明における一実施例による冷蔵庫の引き出し扉制御方法において扉を閉じるときのフローチャートである。
図6に示すように、本実施例では、引き出し扉制御方法により扉を閉じるよう制御する際には、以下のステップを順に実行する。
ステップS602では、引き出し扉が完全に開いて静止している状態でスイッチが操作されると、扉閉じ命令を送信する。
ステップS604では、扉閉じ命令を取得する。
ステップS606は、駆動機構を制御し、引き出し扉が後方へ移動するように駆動して、引き出し扉を閉じる。
このステップでは、駆動機構を制御して、引き出し扉を最初に加速してから後に減速するという方式で、扉が閉じるように後方へ移動するよう駆動してもよい。この場合には、安全性を有するのみならず、ユーザにとって時間を節約することができる。
【0044】
例えば、扉を閉じる周期全体を、初期、中期及び後期という三つの時間帯に分ける。扉を閉じる初期では、引き出し扉を比較的低速で後方へ移動させる。扉を閉じる周期の中期では、引き出し扉を比較的高速で後方へ移動させる。扉を閉じる周期の後期では、引き出し扉を比較的低速で後方へ移動させる。あるいは、引き出し扉の速度を最初に上げ続け、最大速度に達した後に、減速し続けるよう制御してもよい。
【0045】
ステップS608では、引き出し扉が移動中に受ける抵抗を検出する。
ステップS610では、抵抗が所定の抵抗閾値よりも大きいかどうかを判断する。大きいと判断すると、ステップS612を実行する。大きくないと判断すると、ステップS606を実行する。これにより、引き出し扉が正常に閉じるようにする。
ステップS612では、駆動機構を制御して駆動を止めて、引き出し扉が移動しないように停止する。
ステップS614では、引き出し扉が移動を停止している間、スイッチが操作されているかどうかを判断する。スイッチが操作されていると判断すると、ステップS616を実行する。スイッチが操作されていなければ、ステップS618を実行する。
【0046】
ステップS616では、駆動機構を制御して、引き出し扉が、その移動が停止する前の移動方向と反対する方向に移動するように駆動する。つまり、駆動機構を制御して、引き出し扉が開く前方へ移動するように駆動する。これにより、ユーザが挟み込まれたり押されたりされる場合に、スイッチ操作により、引き出し扉を反対方向へ移動させることができ、即時に、人体に対する被害を防止することができる。
【0047】
ステップS618では、引き出し扉が移動を停止する持続時間が所定の時間閾値になった場合、駆動機構を制御して、引き出し扉が閉じるよう後方へ移動するように駆動する。当該所定の時間閾値は、1分、2分、3分などに設定されてもよい。これにより、ユーザが冷蔵庫から離れる時に扉を閉め忘れて、冷蔵庫の冷たい空気が多量に漏れてしまうということを避けることができる。
【0048】
以上、本明細書に詳しく説明する上で、本発明における複数の例示的実施例を記載したが、当業者にとって理解するべきところは、本発明に係る趣旨及び範囲を逸脱しない限り、依然として、本発明に開示されている内容に基づいて、本発明に係る原理に該当する数多くの他の変形や修正を直接に特定し又は導出することが可能である。従って、理解可能なことは、本発明の範囲において、あらゆるこれらの他の変形や修正を含むと考えられるべきである。