(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】R-T-B系永久磁石材料、原料組成物、製造方法、並びに応用
(51)【国際特許分類】
H01F 1/057 20060101AFI20230202BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20230202BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230202BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20230202BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20230202BHJP
B22F 9/04 20060101ALI20230202BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H01F1/057 170
H01F41/02 G
B22F1/00 Y
B22F3/00 F
B22F3/24 B
B22F3/24 K
B22F9/04 C
B22F9/04 E
C22C38/00 303D
(21)【出願番号】P 2022513457
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2020100574
(87)【国際公開番号】W WO2021135142
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】201911418433.8
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】藍琴
(72)【発明者】
【氏名】師大偉
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169567(JP,A)
【文献】特開2017-157833(JP,A)
【文献】特開2018-174323(JP,A)
【文献】特開2017-157834(JP,A)
【文献】特開2017-157832(JP,A)
【文献】特開2014-027268(JP,A)
【文献】特開2019-176140(JP,A)
【文献】特開2017-188660(JP,A)
【文献】特開2017-130645(JP,A)
【文献】国際公開第2009/004994(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/191276(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
H01F 41/02
B22F 1/00
B22F 3/00
B22F 3/24
B22F 9/04
C22C 38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
R-T-B系永久磁石材料であって、質量百分率で下記の成分を含み、
R:29~31.0wt.%、
RH:>1wt.%、
B:0.905~0.945wt.%、
C:0.04~0.15wt.%、
N:0.1~0.4wt.%、
Fe:67~69wt.%、
wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、
前記R-T-B系永久磁石材料には、Co及びTiがさらに含まれ、
前記Nには、Cuおよび/またはGaが含まれ、
前記Rには、RL及びRHが含まれ、前記RLは、軽希土類元素であり、前記RLには、Ndが含まれ、前記RHは、重希土類元素であり、
前記R-T-B系永久磁石材料の粒界には、(RL
1-yRH
y)
2T
17C
x相が存在し、xは2~3であり、yは0.15~0.35であり、前記Tには、Feを含まれなければならなく、Co、TiおよびNの1つまたは複数も含まれている、
ことを特徴とするR-T-B系永久磁石材料。
【請求項2】
前記R-T-B系永久磁石材料には、M元素をさらに含み、前記M元素は、Al、Si、Sn、Ge、Ag、Au、Bi、Mn、Cr、Zr、Nb、およびHfうちの1つ又は複数の元素であり、および/または、
前記NがCuを含む場合、前記Cuの含有量は、0.05~0.20wt.%の範囲であり、および/または、
前記NがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.05~0.20wt.%の範囲であり、および/または、
前記R-T-B系永久磁石材料は、Oをさらに含み、および/または、
前記(RL
1-yRH
y)
2T
17C
x相には、xは2~2.8であり、および/または、
前記(RL
1-yRH
y)
2T
17C
x相には、yは0.15~0.3である、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項3】
前記Mの含有量は、0~3wt.%の範囲であり、および/または、
前記Oの含有量は、0.08~0.12wt.%の範囲であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項2に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項4】
前記Rの含有量は、30.2-31.0wt.%の範囲、または29-30.4wt.%の範囲であり、および/または、
前記RHの種類は、Dyおよび/またはTbを含み、および/または、
前記RHの含有量は、1~2.5wt.%の範囲であるが、1wt.%ではなく、および/または、
前記Bの含有量は、0.905~0.93wt.%の範囲、または0.915-0.945wt.%の範囲であり、および/または、
前記Cの含有量は、0.1wt.%~0.15wt.%の範囲、または0.04~0.12wt.%の範囲であり、および/または、
前記Tiの含有量は、0.05~0.2wt.%の範囲、または0.1~0.25wt.%の範囲であり、および/または、
前記Coの含有量は、0.5~1.5wt.%の範囲、または1~2wt.%の範囲であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項5】
R-T-B系永久磁石材料の製造方法であって、下記のステップを含み:前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の溶融液を鋳造、破砕、粉砕、成形、焼結、粒界拡散処理および熱処理し、
前記R-T-B系永久磁石材料の粒界には、(RL
1-yRH
y)
2T
17C
x相が存在し、xは2~3であり、yは0.15~0.35であり、前記Tには、Feを含まれなければならなく、Co、TiおよびNの1つまたは複数も含まれ、前記RLは、軽希土類元素であり、前記RLには、Ndが含まれ、前記RHは、重希土類元素であり、
前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の成分を含み、
R:28.5~30.5wt.%、
B:0.905~0.945wt.%、
N:0.1~0.4wt.%、
Fe:67~69wt.%、
前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物には、TiおよびCoが含まれ、
wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、
前記Nには、Cuおよび/またはGaが含まれ、
前記Rには、RL及びRHが含まれ、前記RLは、軽希土類元素であり、前記RLには、Ndが含まれ、前記RHは、重希土類元素である、
ことを特徴とするR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項6】
前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物には、M元素をさらに含み、前記M元素は、Al、Si、Sn、Ge、Ag、Au、Bi、Mn、Cr、Zr、Nb、およびHfうちの1つ又は複数の元素であり、および/または、
前記NがCuを含む場合、前記Cuの含有量は、0.05~0.20wt.%の範囲であり、および/または、
前記NがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.05~0.20wt.%の範囲であり、および/または、
前記Rの含有量は、29.7~30.5wt.%の範囲、または28.5~29.9wt.%の範囲であり、および/または、
前記RHの種類は、Dyおよび/またはTbを含み、および/または、
前記RHの含有量は、0.5~2wt.%の範囲であるが、0.5wt.%ではなく、および/または、
前記Bの含有量は、0.905~0.93wt.%の範囲または0.915~0.945wt.%の範囲であり、および/または、
前記Tiの含有量は、0.05~0.2wt.%の範囲、または0.1~0.25wt.%の範囲であり、および/または、
前記Coの含有量は、0.5~1.5wt.%の範囲、または1~2wt.%の範囲である、
ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記Mの含有量は、0~3wt.%の範囲であり、
wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記粉砕の工程は、酸化ガス含有量が100ppm以下の雰囲気下で行い、および/または、
前記粉砕を行った後、潤滑剤を添加し、および/または、
前記熱処理の温度は、470~510℃、460~500℃または480~520℃である、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記潤滑剤の添加量は、前記粉砕を行った後の粉末重量の0.05~0.15%である、
ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R-T-B系永久磁石材料、原料組成物、製造方法、並びに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石材料は、電子部品をサポートするための重要な材料として開発され、開発の方向は、高磁気エネルギー積と高保磁力の方向に向かう。R-T-B系永久磁石材料(Rは希土類元素の少なくとも1つである)は、永久磁石の中で最高性能の磁石として知られ、ハードディスクドライブのボイスコイルモーター(VCM)、電気自動車用(EV、HV、PHVなど)モーター、産業機器用モーターなどのさまざまなモーター及び家電製品に使用される。
【0003】
R-T-B系永久磁石材料の残留磁束密度(remanence、Brと略称する)を向上させるには、通常、Bの含有量を減少させる必要があるが、Bの含有量が5.88at%未満である場合、Nd-Fe-Cu3元系状態図から、R2T17が容易に形成されやすいことが分かり、ただし、R2T17は室温の一軸異方性を有さず、磁石の性能が低下してしまう。従来技術において、高含有量のCu、Al及びGaのうちの1種または複数種を添加してR6-T13-X(XはCu、Alおよび/またはGaを指す)を生成することによって性能を向上させるが、R6-T13-Xは熱処理温度と時間に対して敏感であり(例えば、WO2013008756及びWO0124203における記載)、大型の熱処理炉で多量の処理を行うと、積載位置によっては永久磁石材料の性能が大きく変動し、大量生産に不利になる。
【0004】
したがって、R-T-B系永久磁石材料の磁気特性を確保すると共に、大量生産を容易にすることができるR-T-B系永久磁石材料を提供することが急務となっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来のR-T-B系永久磁石材料において、Bの含有量が5.88at%未満である場合、R6-T13-Xを生成することによって磁気特性を向上させるため、磁石が熱処理温度と時間に対して敏感であり、磁気特性が優れたR-T-B系永久磁石材料の大量生産に不利になるという欠点を解決し、R-T-B系永久磁石材料、原料組成物、製造方法、応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により提供されるR-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、
R:29~31.0wt.%、
RH:>1wt.%、
B:0.905~0.945wt.%、
C:0.04~0.15wt.%、
N:0.1~0.4wt.%、
Fe:67~69wt.%、
wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、
前記R-T-B系永久磁石材料には、Co及びTiがさらに含まれ、
前記Nには、Cuおよび/またはGaが含まれ、
前記Rには、RL及びRHが含まれ、前記RLは、軽希土類元素であり、前記RLには、少なくともNdのうちの1つが含まれ、前記RHは、重希土類元素であり、
前記R-T-B系永久磁石材料の粒界には、(RL1-yRHy)2T17Cx相が存在し、xは2~3であり、yは0.15~0.35であり、前記Tには、Feを含まれなければならなく、Co、TiおよびNの1つまたは複数も含まれている。
【0007】
本発明において、前記RHの種類は、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y及びScのうちの1種又は複数種を含んでもよい。
【0008】
本発明において、前記RLの種類には、La、Ce、Pr、Pm、Sm、およびEuのうちの1つ又は複数をさらに含んでもよい。
【0009】
本発明において、前記R-T-B永久磁石材料の粒界とは、隣接する2つまたは2つ以上の主相結晶粒間の位置を意味する。
【0010】
本発明において、前記R-T-B系永久磁石材料には、Mをさらに含み、前記Mは、Al、Si、Sn、Ge、Ag、Au、Bi、Mn、Cr、Zr、Nb、およびHfうちの1つ又は複数の元素である。
【0011】
ここで、前記Mの含有量は、0~3wt.%の範囲であることが好ましく、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0012】
本発明において、前記NがCuを含む場合、前記Cuの含有量は、0.05~0.20wt.%の範囲であることが好ましく、例えば、0.12wt.%、0.08wt.%、または0.15wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0013】
本発明において、前記NがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.05~0.20wt.%の範囲であることが好ましく、例えば、0.12wt.%、0.12wt.%、または0.1wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0014】
本発明において、前記R-T-B系永久磁石材料は、Oをさらに含み、前記Oの含有量は、0.08~0.12wt.%の範囲であってもよく、例えば、0.09wt.%または0.1wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0015】
本発明において、前記(RL1-yRHy)2T17Cx相には、xは2~2.8であってもよく、例えば、2.6または2.7であり、yは0.15~0.3であってもよく、例えば、0.18、0.22、0.23、または0.28である。例えば、前記(RL1-yRHy)2T17Cx相は、(RL0.77RH0.23)2-T17-C2.7、(RL0.78RH0.22)2-T17-C2.6、(RL0.77RH0.23)2-T17-C2.8、(RL0.81RH0.18)2-T17-C2.7、または(RL0.72RH0.28)2-T17-C2.8である。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記Rの含有量は、30.2-31.0wt.%の範囲、または29-30.4wt.%の範囲であり、例えば、30wt.%、30.4wt.%又は31wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記RHの種類は、Dyおよび/またはTbを含む。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記RHの含有量は、1~2.5wt.%の範囲であるが、1wt.%ではなく、例えば、1.9wt.%、2wt.%、又は1.5wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記Bの含有量は、0.905~0.93wt.%の範囲であり、例えば、0.93wt.%、0.905wt.%、又は0.915wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記Cの含有量は、0.1wt.%~0.15wt.%の範囲、または0.04~0.12wt.%の範囲であり、例えば、0.12wt.%、0.07wt.%、又は0.1wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0021】
本発明において、前記Tiの含有量は、当分野における通常の含有量である。好ましくは、前記Tiの含有量は、0.05~0.2wt.%の範囲、または0.1~0.25wt.%の範囲であり、例えば、0.16wt.%、0.08wt.%、又は0.1wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0022】
本発明において、前記Coの含有量は、当分野における通常の含有量である。好ましくは、前記Coの含有量は、0.5~1.5wt.%の範囲、または1~2wt.%の範囲であり、例えば、0.8wt.%、1.2wt.%、1wt.%、又は1.5wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0023】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Rが30.2~31.0wt.%であり、RHが1~2.5wt.%であり、Bが0.905~0.93wt.%であり、Cが0.1wt.%~0.15wt.%であり、Tiが0.05~0.2wt.%であり、Coが0.5~1.5wt.%であり、Oが0.08~0.12wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0024】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Rが29~30.4wt.%であり、RHが1~2.5wt.%であり、Bが0.905~0.93wt.%であり、Cが0.04~0.12wt.%であり、Tiが0.1~0.25wt.%であり、Coが1~2wt.%であり、Oが0.08~0.12wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0025】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Ndが28.5wt.%であり、Dyが0.6wt.%であり、Tbが1.3wt.%であり、Bが0.93wt.%であり、Cが0.12wt.%であり、Cuが0.12wt.%であり、Gaが0.12wt.%であり、Tiが0.16wt.%であり、Coが0.8wt.%であり、Oが0.08wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0026】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、PrNdが29wt.%であり、Dyが1.5wt.%であり、Tbが0.5wt.%であり、Bが0.905wt.%であり、Cが0.04wt.%であり、Cuが0.2wt.%であり、Gaが0.2wt.%であり、Tiが0.08wt.%であり、Coが1.2wt.%であり、Oが0.09wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0027】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Ndが27.5wt.%であり、Dyが1wt.%であり、Tbが0.5wt.%であり、Bが0.945wt.%であり、Cが0.15wt.%であり、Cuが0.05wt.%であり、Gaが0.12wt.%であり、Tiが0.05wt.%であり、Coが1wt.%であり、Oが0.1wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0028】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、PrNdが29.5wt.%であり、Dyが1wt.%であり、Tbが0.5wt.%であり、Bが0.905wt.%であり、Cが0.07wt.%であり、Cuが0.08wt.%であり、Gaが0.1wt.%であり、Tiが0.1wt.%であり、Coが1.5wt.%であり、Oが0.12wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0029】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Ndが28.5wt.%であり、Dyが1wt.%であり、Tbが0.5wt.%であり、Bが0.915wt.%であり、Cが0.1wt.%であり、Cuが0.15wt.%であり、Gaが0.05wt.%であり、Tiが0.2wt.%であり、Coが2wt.%であり、Oが0.1wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0030】
本発明には、R-T-B系永久磁石材料の原料組成物がさらに提供され、質量百分率で下記の成分を含み、
R:28.5~30.5wt.%、
B:0.905~0.945wt.%、
N:0.1~0.4wt.%、
Fe:67~69wt.%、
wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、
前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物には、TiおよびCoが含まれ、
前記Nには、Cuおよび/またはGaが含まれ、
前記Rには、RL及びRHが含まれ、前記RLは、希土類元素であり、前記RLには、少なくともNdのうちの1つが含まれ、前記RHは、重希土類元素である。
【0031】
本発明において、前記NがCuを含む場合、前記Cuの含有量は、0.05~0.20wt.%の範囲であることが好ましく、例えば、0.12wt.%、0.08wt.%、または0.15wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0032】
本発明において、前記NがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.05~0.20wt.%の範囲であることが好ましく、例えば、0.12wt.%、0.12wt.%、または0.1wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0033】
本発明において、好ましくは、前記Rの含有量は、29.7~30.5wt.%の範囲、または28.5~29.9wt.%の範囲であり、例えば、29.5wt.%、29.9wt.%又は30.5wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0034】
本発明において、好ましくは、前記RHの種類は、Dyおよび/またはTbを含む。
【0035】
本発明において、好ましくは、前記RHの含有量は、0.5~2wt.%の範囲であるが、0.5wt.%ではなく、例えば、1.4wt.%、1.5wt.%、又は1wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0036】
本発明において、好ましくは、前記Bの含有量は、0.905~0.93wt.%の範囲であり、例えば、0.93wt.%、0.905wt.%、又は0.915wt.%であり、wt.%とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0037】
本発明において、好ましくは、前記Tiの含有量は、0.05~0.2wt.%の範囲、または0.1~0.25wt.%の範囲であり、例えば、0.16wt.%、0.08wt.%、又は0.1wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0038】
本発明において、好ましくは、前記Coの含有量は、0.5~1.5wt.%の範囲、または1~2wt.%の範囲であり、例えば、0.8wt.%、1.2wt.%、1wt.%、又は1.5wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0039】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料はの原料組成物、質量百分率で下記の成分を含み、Rが29.7~30.5wt.%であり、RHが0.5~2wt.%であり、Bが0.905~0.93wt.%であり、Cが0.1wt.%~0.15wt.%であり、Tiが0.05~0.2wt.%であり、Coが0.5~1.5wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0040】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料はの原料組成物、質量百分率で下記の成分を含み、Rが28.5~29.9wt.%であり、RHが0.5~2wt.%であり、Bが0.905~0.93wt.%であり、Cが0.04~0.12wt.%であり、Tiが0.1~0.25wt.%であり、Coが1~2wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0041】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の成分を含み、Ndが28.5wt.%であり、Dyが0.1wt.%であり、Tbが1.3wt.%であり、Bが0.93wt.%であり、Cが0.12wt.%であり、Cuが0.12wt.%であり、Gaが0.12wt.%であり、Tiが0.16wt.%であり、Coが0.8wt.%でありであり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0042】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の成分を含み、PrNdが29wt.%であり、Dyが1.5wt.%であり、Bが0.905wt.%であり、Cが0.04wt.%であり、Cuが0.2wt.%であり、Gaが0.2wt.%であり、Tiが0.08wt.%であり、Coが1.2wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0043】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の成分を含み、Ndが27.5wt.%であり、Dyが0.5wt.%であり、Tbが0.5wt.%であり、Bが0.945wt.%であり、Cが0.15wt.%であり、Cuが0.05wt.%であり、Gaが0.12wt.%であり、Tiが0.05wt.%であり、Coが1wt.%でありであり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0044】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の成分を含み、PrNdが29.5wt.%であり、Dyが0.5wt.%であり、Tbが0.5wt.%であり、Bが0.905wt.%であり、Cが0.07wt.%であり、Cuが0.08wt.%であり、Gaが0.1wt.%であり、Tiが0.1wt.%であり、Coが1.5wt.%であり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0045】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の成分を含み、Ndが28.5wt.%であり、Dyが0.5wt.%であり、Tbが0.5wt.%であり、Bが0.915wt.%であり、Cが0.1wt.%であり、Cuが0.15wt.%であり、Gaが0.05wt.%であり、Tiが0.2wt.%であり、Coが2wt.%でありであり、wt.%は、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0046】
本発明により提供されるR-T-B系永久磁石材料の製造方法は、下記のステップを含み:前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の溶融液を鋳造、破砕、粉砕、成形、焼結、粒界拡散処理および熱処理すればよい。
【0047】
本発明において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の溶融液を本分野における通常の方法で製造することができ、例えば、高周波真空誘導溶解炉で溶解製錬すれば良い。前記溶解炉の真空度は、5×10-2Paであってもよい。前記溶解製錬の温度は、1500℃以下であってもよい。
【0048】
本発明において、前記鋳造の工程は、本分野における通常の鋳造工程であることができ、例えば、Arガス雰囲気(例えば5.5×104PaのArガス雰囲気下)において、102℃/秒~104℃/秒の速度で冷却すればよい。
【0049】
本発明において、前記破砕の工程は、本分野における通常の破砕工程であることができ、例えば、水素吸収、脱水素、冷却処理を経ていればよい。
【0050】
ここで、前記水素吸収は、水素ガス圧力0.15MPaの条件下で行うことができる。
【0051】
ここで、前記脱水素は、真空引きしながら昇温する条件で行うことができる。
【0052】
本発明において、前記粉砕の工程は、本分野における通常の粉砕工程であることができ、例えば、ジェットミル粉砕である。
【0053】
ここで、好ましくは、前記粉砕の工程は、酸化ガス含有量が100ppm以下の雰囲気下で行う。ここで、前記粉砕工程における酸素含有量は、本分野の従来の低酸素工程に従って制御される。
【0054】
前記酸化ガスは、酸素または水分の含有量を意味する。
【0055】
ここで、前記ジェットミル粉砕の粉砕室圧力は、0.38MPaとすることができる。
【0056】
ここで、前記ジェットミル粉砕の時間は、3時間とすることができる。
【0057】
ここで、前記粉砕を行った後、本分野における通常の手段で潤滑剤を添加することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛を添加する。前記潤滑剤の添加量は、前記粉砕を行った後の粉末重量の0.05~0.15%であり、例えば0.12%、0.06%、0.15%または0.08%とすることができる。
【0058】
ここで、前記粉砕過程において、ステアリン酸亜鉛の添加量を調整することにより、前記R-T-B系永久磁石材料のC含有量を調整することができる。
【0059】
本発明において、前記成形の工程は、本分野における通常の成形工程であることができ、例えば、磁場成形法またはホットプレス熱間成形法である。
【0060】
本発明において、前記焼結の工程は、本分野における通常の焼結工程であることができ、例えば、真空条件下(例えば5×10-3Paの真空下)で、予熱、焼結、冷却を経ていればよい。
【0061】
ここで、前記予熱の温度は、300~600℃であってもよい。前記予熱の時間は、1~2hとすることができる。前記予熱は、300℃および600℃の温度でそれぞれ1時間予熱することが好ましい。
【0062】
ここで、前記焼結の温度は、本分野における通常の焼結温度、例えば900℃~1100℃、さらには例えば1040℃とすることができる。
【0063】
ここで、前記焼結の時間は、本分野における通常の焼結時間、例えば2hとすることができる。
【0064】
ここで、前記冷却の前に、ガス圧が0.1MPaに達するようにArガスを導入することができる。
【0065】
本発明において、前記粒界拡散処理における重希土類元素には、Dyおよび/またはTbが含まれる。
【0066】
本発明において、前記粒界拡散処理は、本分野における通常の工程で処理を行うことができ、例えば、Dy蒸気拡散である。
【0067】
ここで、前記粒界拡散処理の温度は、800~900℃、例えば850℃であってもよい。
【0068】
ここで、前記粒界拡散処理の時間は、12~48h、例えば24hであってもよい。
【0069】
ここで、前記粒界拡散処理の後に、さらに熱処理を行うことができる。前記熱処理の温度は、470~510℃、460~500℃または480~520℃とすることができる。前記熱処理の時間は、3hとすることができる。
【0070】
本発明には、前記製造方法で製造されたR-T-B系永久磁石材料がさらに提供される。
【0071】
本発明は、前記R-T-B系永久磁石材料が電子部品としての応用も提供する。
【0072】
本分野の周知常識に準拠したうえで、上記の各々の好ましい条件を任意に組み合わせることによって、本発明の各々の好適な実施例を得ることができる。
【0073】
本発明に使用されている試薬および原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0074】
本発明の積極的な進歩的効果は、以下の点にある。
【0075】
1)本願におけるR-T-B系永久磁石材料は、優れた性能を持ち、異なる熱処理温度においてBr及びHcjを高く維持し、Br≧13.92kGs、Hcj≧25.7kOeとなる。
【0076】
2)本願におけるR-T-B系永久磁石材料は、熱処理の温度範囲が広く、いずれも40℃の範囲(470~510℃、460~500℃、及び480~520℃)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】
図1は、実施例1で製造されたR-T-B系永久磁石材料をFE-EPMAで面走査することによって形成したNd元素の分布図であり、ここで、点1は(RL
0.77RH
0.23)
2-T
17-C
2.7である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、実施例の態様により本発明をさらに説明するが、本発明を実施例の範囲に制限するものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されない実験方法は、通常の方法及び条件に従って、または商品仕様書に応じて選択される。
【0079】
表1 R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の成分および含有量(wt.%)
注:「/」は、当該元素が含まれていないことを表す。
【0080】
表2 実施例1-5および比較例1-7の工程条件
注:ステアリン酸亜鉛中の%は、混合後の粉末中の質量百分率を意味し、「/」は、当該元素が含まれていないことを表す。
【0081】
実施例1~5および比較例1~7のR-T-B系永久磁石材料の製造方法は、以下の通りである。
【0082】
(1)溶解製錬の工程:表1に示す成分および表2に対応する工程条件に従って、調製した原料をアルミナ製の坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉において5×10-2Paの真空中で1500℃以下の温度で真空溶解製錬した。
【0083】
(2)鋳造の工程:真空溶解製錬した後の溶解炉にArガスを導入し、気圧を5.5万Paにした後に鋳造し、102℃/秒~104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得る。
【0084】
(3)水素破砕工程:急冷合金を置く水素化粉砕用炉を室温で真空引きした後、純度99.9%の水素ガスを水素破砕用炉内に導入して水素ガス圧力を0.15MPaに維持する。水素吸収を十分に行った後、真空引きしながら昇温し、十分に脱水素する。その後、冷却し、水素破砕した粉末を取り出す。
【0085】
(4)ジェットミル工程:水素破砕した粉末を、酸化ガス含有量100ppm以下の窒素ガス雰囲気下及び粉砕室圧力0.38MPaの条件下で3時間のジェットミル粉砕し、微粉を得る。酸化ガスは、酸素または水分を指す。
【0086】
(5)ジェットミル粉砕した後の粉末にステアリン酸亜鉛を添加し、ステアリン酸亜鉛の添加量を表2に示して、Vブレンダーで十分に混合する。
【0087】
(6)磁場成形の工程:上記のステアリン酸亜鉛を添加した粉末を、直角配向型の磁場成形機を用いて、1.6Tの配向磁場中及び0.35ton/cm2の成形圧力で、一辺が25mmの立方体に一次成形し、一次成形後、0.2Tの磁場で減磁する。一次成形後の成形体を空気に触れさせないように、それをシールし、その後、二次成形機(静水圧成形機)を用いて、1.3ton/cm2の圧力で二次成形を行う。
【0088】
(7)焼結の工程:各成形体を焼結炉に搬送して焼結し、5×10-3Paの真空下且つ300℃及び600℃の温度でそれぞれ1時間を保持し、その後、1040℃の温度で2時間焼結し、そして、Arガスを導入して0.1MPaまでガス圧を到達させた後、室温まで冷却される。
【0089】
(8)粒界拡散処理の工程:金属DyまたはTb、および焼結後のR-T-B系永久磁石材料を炉内に置き、高温で加熱してDyまたはTb金属を高温で蒸発させ、外部の希ガスの誘導により磁石表面に堆積し、粒界に沿って磁石内部に拡散する(具体的に表2に示す条件に従う)。
【0090】
(9)熱処理の工程:焼結体を高純度のArガスにおいて表2に示される熱処理の温度で3時間の熱処理を行った後、室温まで冷却して取り出して、R-T-B系永久磁石材料を取得する。
【0091】
効果実施例
実施例1~5および比較例1~7で得られたR-T-B系永久磁石材料をそれぞれ採取し、その磁気性能および成分を測定し、その磁石の相組成をFE-EPMAで観察した。
【0092】
(1)R-T-B系永久磁石材料の各成分に対して、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)を用いて測定し、ここで、(RL1-yRHy)2T17Cx(x:2-3,y:0.15-0.35)相は、FE-EPMA試験に従って得られる。以下の表3に示すのは、成分検出の結果である。
【0093】
表3 R-T-B系永久磁石材料の成分と含有量(wt.%)
注:上記の永久磁石材料はいずれも酸素含有量が100ppm未満の工程条件下で製造されるものであり、最終製品におけるO含有量の差は通常の変動と見なすことができる。注:「/」は、当該元素が含まれていないことを意味する。
【0094】
(2)FE-EPMAによる検出:永久磁石材料の垂直配向面を研磨し、電界放出電子プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA)(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で検出した。まず面走査を行い、その後、異なるコントラストの相を定量分析して相組成を決定したが、試験条件は、加速電圧15kV、プローブビーム電流50nAであった。
【0095】
実施例1~5で得られたR-T-B系永久磁石材料に対してFE-EPMA検出を行ったが、その結果は、以下の表4に示す通りであり、
図1は、実施例1で得られたR-T-B系永久磁石材料(ここで、点1の成分は、以下の表4における実施例1の記載通りである。)に対応している。
【0096】
【0097】
(3)磁気特性の評価:永久磁石材料は中国計量院のNIM-10000H型BH大塊希土類永久磁石非破壊測定システムを用いて磁気特性検出を行った。以下の表5は、磁気特性検出の結果を示している。表5において、「Br」が残留磁束密度であり、「Hcj」が保磁力(intrinsic coercivity)であり、「BHmax」が最大エネルギー積(maximum energy product)であり、「BHH」はBHmaxとHcjの総和である。
【0098】
【0099】
表5から分かるように、
【0100】
1)本願におけるR-T-B系永久磁石材料は、優れた性能を持ち、異なる熱処理温度においてBr及びHcjを高く維持し、Br≧13.92kGs、Hcj≧25.7kOeとなる(実施例1~5)。
【0101】
2)本願の処方によれば、R、B、Cu、及びGaの含有量を調整しても、(RL1―yRHy)2T17Cx(x:2~3、y:0.15~0.35)相が生成せず、R-T-B系永久磁石材料のBrとHcjを同時に高い値に保つことができず、熱処理温度の範囲が著しく低下する(比較例1および比較例3)。
【0102】
3)本願の処方によれば、C、Ti、及びGaの含有量を調整しても、その他の成分の含有量が本願に限定される範囲内でなければ、R-T-B系永久磁石材料のHcjが低下し、同時に熱処理温度の範囲も低下する(比較例4)。
【0103】
4)本願の処方によれば、RHの含有量を維持したまま、調製過程で粒界拡散を行わず、RHを導入しないと、(RL1―yRHy)2T17Cx(x:2~3、y:0.15~0.35)相を生成できなく、Hcjが著しく低下するとともに、熱処理温度の範囲も低下する(比較例5)。
【0104】
5)本願の処方によれば、高融点金属TiをZrおよびNbにそれぞれ置き換え、含有量を変更しない場合、R-T-B系永久磁石材料のBrおよびHcjが低下するとともに、熱処理温度の範囲も低下する(比較例6~7)。