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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】水素供給システム
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20230203BHJP
   C25B 1/02 20060101ALI20230203BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20230203BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230203BHJP
   H01M 8/04089 20160101ALI20230203BHJP
   H01M 8/04291 20160101ALI20230203BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20230203BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230203BHJP
   H01M 8/04828 20160101ALI20230203BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20230203BHJP
【FI】
C25B9/00 Z
C25B1/02
C25B15/08
H01M8/04 N
H01M8/04089
H01M8/04291
H01M8/04701
H01M8/04746
H01M8/04828
H01M8/04858
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018213287
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2019099915
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2017231330
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 修
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 邦弘
(72)【発明者】
【氏名】脇田 英延
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-217619(JP,A)
【文献】特開2006-066115(JP,A)
【文献】特表2008-513336(JP,A)
【文献】特開2009-120421(JP,A)
【文献】特開2009-199887(JP,A)
【文献】特開2011-014429(JP,A)
【文献】特開2016-094308(JP,A)
【文献】特開2016-211059(JP,A)
【文献】特表2017-530921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0007594(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0040862(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0217015(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0227900(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0255818(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/56 - 3/58
C25B 1/00 - 15/08
H01M 8/04
H01M 8/04828
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜、前記電解質膜の両面に設けられた一対のアノード極およびカソード極と、前記アノード極およびカソード極間に流れる電流量を調整する電流調整器と、を備え、前記電流調整器により前記アノード極およびカソード極間に電流を流すことにより、前記アノード極側に供給される水素含有ガス中の水素を昇圧して前記カソード極側に供給し、前記昇圧された水素を水素需要体に供給する水素供給動作を行う電気化学式水素ポンプと、
外部から前記アノード極側に供給される水素含有ガスが流れる第1の流路と、前記アノード極側から排出される水素含有ガスが流れ、前記第1の流路に合流する第2の流路と、前記アノード極側から排出される水素含有ガスおよび外部から供給される水素含有ガスが混合された混合ガスの露点を調整する露点調整器と、を備える水素供給システム。
【請求項2】
前記露点調整器は、前記混合ガスを加湿する加湿器を含む請求項1に記載の水素供給システム。
【請求項3】
前記露点調整器は、前記混合ガス中に含まれる水分を凝縮させる第1凝縮器を含む請求項1に記載の水素供給システム。
【請求項4】
前記外部から供給される水素含有ガスと混合される前の前記アノード極側から排出される水素含有ガスに含まれる水分を凝縮する第2凝縮器を備える請求項1-3のいずれか1項に記載の水素供給システム。
【請求項5】
前記外部から供給される水素含有ガスと混合される前の前記アノード極側から排出される水素含有ガスを気液分離する第1気液分離器を備える請求項1-4のいずれか1項に記載の水素供給システム。
【請求項6】
前記カソード極側から排出される水素含有ガスを気液分離する第2気液分離器と、前記第2気液分離器で水素含有ガスから分離した水を前記露点調整器に供給するための水経路と、を備える請求項1-5のいずれか1項に記載の水素供給システム。
【請求項7】
前記露点調整器の動作を制御して、前記混合ガスの露点を調整する第1制御器を備える請求項1-6のいずれか1項に記載の水素供給システム。
【請求項8】
前記電流調整器を制御して前記アノード極およびカソード極間に流れる電流量を調整することで、前記外部から供給される水素含有ガスと混合される前の前記アノード極側から排出される水素含有ガスの露点を変化させる第2制御器を備える請求項1-7のいずれか1項に記載の水素供給システム。
【請求項9】
前記露点調整器から排出された前記混合ガスを加熱する加熱器と、前記加熱器を制御して、前記加熱器で加熱された前記混合ガスの温度を前記露点調整器から排出された前記混合ガスの露点以上にする第3制御器とを備える請求項1-8のいずれか1項に記載の水素供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は水素供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化などの環境問題、石油資源の枯渇などのエネルギー問題から化石燃料に代わるクリーンな代替エネルギー源として、水素が注目されている。水素は燃焼しても基本的に水しか放出せず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されずかつ窒素酸化物などもほとんど排出されないので、クリーンエネルギーとして期待されている。また、水素を燃料として高効率に利用する装置として、例えば、燃料電池があり、自動車用電源向け、家庭用自家発電向けに開発および普及が進んでいる。
【0003】
来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素ガスを高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用し得る技術開発が求められている。特に、分散型のエネルギー源となる燃料電池の普及促進には、水素供給インフラを整備する必要がある。また、水素を安定的に供給するために、高純度の水素ガスを製造、精製、高密度貯蔵する様々な技術を開発する必要がある。
【0004】
例えば、水を電気分解して水素を生成する高圧水素製造装置において、高圧側および低圧側の圧力差により電解質膜および低圧側の給電体などが変形することで、構成部材間の接触抵抗が増加する。そこで、電解質膜および低圧側給電体が変形しても、高圧側給電体を電解質膜に押圧して密着させ得る皿バネ、コイルバネなどの押圧手段を備える高圧水素製造装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、両者間の接触抵抗の増加を抑制することができる。
【0005】
また、高圧力環境に対して耐久性を有し、かつ、低コストで改質ガスから水素を精製および昇圧するため、複数枚積層されたセル構造と、そのセル構造の積層方向に締付応力を加える押圧構造と、を備える電気化学式水素ポンプが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、固体高分子形の電解質膜を備える電気化学式水素ポンプにおいて、電気化学的に水素を精製および昇圧する際に、アノード極からカソード極に水素とともに、水が浸透するので、カソード極に排出された水素から水を効率的に除去するのに、水をトラップして排出する水凝縮トラップを水素経路に設けることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-70322号公報
【文献】国際公開第2015/020065号公報
【文献】特開2017-39636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
水素供給システムにおいて、高効率に水素を供給することが望まれており、電気化学式水素ポンプの水素供給動作の高効率化が重要である。
【0009】
しかし、従来例は、電気化学式水素ポンプの触媒層と給電体との間の電気的接触の視点から水素供給動作の高効率化は検討されているが、電気化学式水素ポンプのアノード極に供給する水素含有ガスの露点調整の視点から電気化学式水素ポンプの水素供給動作の高効率化は検討されていない。
【0010】
本開示の一態様(aspect)は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電気化学式水素ポンプの水素供給動作を従来よりも高効率に行い得る水素供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本開示の一態様の水素供給システムは、電解質膜、前記電解質膜の両面に設けられた一対のアノード極およびカソード極と、前記アノード極およびカソード極間に流れる電流量を調整する電流調整器と、を備え、前記電流調整器により前記アノード極およびカソード極間に電流を流すことにより、前記アノード極側に供給される水素を昇圧して前記カソード極側に供給し、前記昇圧された水素を水素需要体に供給する水素供給動作を行う電気化学式水素ポンプと、前記アノード極側から排出される水素含有ガスおよび外部から供給される水素含有ガスが混合された混合ガスの露点を調整する露点調整器と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様の水素供給システムは、電気化学式水素ポンプの水素供給動作を従来よりも高効率に行い得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態の水素供給システムの一例を示す図である。
図2A図2Aは、第1実施形態の水素供給システムの電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図2B図2Bは、第1実施形態の水素供給システムの電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図3A図3Aは、第1実施形態の実施例の水素供給システムの一例を示す図である。
図3B図3Bは、第1実施形態の実施例の水素供給システムの一例を示す図である。
図3C図3Cは、第1実施形態の第1変形例の水素供給システムの一例を示す図である。
図4A図4Aは、第2実施形態の水素供給システムの一例を示す図である。
図4B図4Bは、第2実施形態の変形例の水素供給システムの一例を示す図である。
図5図5は、第3実施形態の水素供給システムの一例を示す図である。
図6図6は、第4実施形態の水素供給システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
電気化学式水素ポンプの水素供給動作の高効率化について鋭意検討が行われ、以下の知見が得られた。
【0015】
例えば、固体高分子形の電解質膜を備える電気化学式水素ポンプでは、電気化学的に水素を精製および昇圧する際に、電気化学式水素ポンプの電解質膜の湿潤状態、電極における水の状態によりポンプ性能(過電圧を指標とする効率性能)が左右される。
【0016】
ここで、電気化学式水素ポンプの動作温度に対応して、電気化学式水素ポンプのアノード極に供給する水素含有ガスの加湿量を適量に設定することが望ましい。
【0017】
仮に、水素含有ガスの加湿量が不十分な場合、電解質膜のプロトン伝導性が低下する可能性がある。すると、電気化学式水素ポンプの水素供給動作時の電気エネルギーが大きくなるので、電気化学式水素ポンプの水素供給動作の効率が低下する。
【0018】
逆に、水素含有ガスの加湿量が過剰な場合、水素含有ガス中の水蒸気が凝縮することで、凝縮水により電気化学式水素ポンプのガス流路の閉塞が発生する可能性がある。すると、電気化学式水素ポンプの水素拡散性が阻害されやすくなる。この場合、所望のプロトン移動を確保するためのポンプ動作に必要な電力が増加するので、電気化学式水素ポンプの水素供給動作の効率が低下する。
【0019】
そこで、発明者らは、電気化学式水素ポンプのアノード極に供給する水素含有ガスの露点を調整するという着想に到達した。
【0020】
すなわち、本開示の第1態様の水素供給システムは、電解質膜、電解質膜の両面に設けられた一対のアノード極およびカソード極と、アノード極およびカソード極間に流れる電流量を調整する電流調整器と、を備え、電流調整器によりアノード極およびカソード極間に電流を流すことにより、アノード極側に供給される水素を昇圧してカソード極側に供給し、昇圧された水素を水素需要体に供給する水素供給動作を行う電気化学式水素ポンプと、アノード極側から排出される水素含有ガスおよび外部から供給される水素含有ガスが混合された混合ガスの露点を調整する露点調整器と、を備える。
【0021】
かかる構成によると、本態様の水素供給システムは、電気化学式水素ポンプの水素供給動作を従来よりも高効率に行い得る。具体的には、仮に、上記の混合ガスの加湿量が不十分な場合、電解質膜のプロトン伝導性が低下する可能性があるが、本態様の水素供給システムでは、かかる混合ガスの露点を適切に調整できるので、このような可能性を低減できる。また、仮に、上記の混合ガスの加湿量が過剰な場合、混合ガス中の水蒸気が凝縮することで、凝縮水により電気化学式水素ポンプのガス流路の閉塞が発生する可能性があるが、本態様の水素供給システムでは、かかる混合ガスの露点を適切に調整できるので、このような可能性を低減できる。
【0022】
本開示の第2態様の水素供給システムは、第1態様の水素供給システムにおいて、露点調整器は、上記の混合ガスを加湿する加湿器を含んでもよい。
【0023】
かかる構成によると、本態様の水素供給システムは、上記の混合ガスの加湿量が不十分な場合、混合ガスを加湿器により加湿することができる。よって、このような加湿器を備えない場合に比べて電気化学式水素ポンプの電解質膜のプロトン伝導性が低下することを抑制できる。
【0024】
本開示の第3態様の水素供給システムは、第1態様の水素供給システムにおいて、露点調整器は、上記の混合ガス中に含まれる水分を凝縮させる第1凝縮器を含んでもよい。
【0025】
かかる構成によると、本態様の水素供給システムは、上記の混合ガスの加湿量が過剰な場合、混合ガスを第1凝縮器により除湿することができる。よって、このような第1凝縮器を備えない場合に比べて凝縮水により電気化学式水素ポンプのガス流路の閉塞が発生することを抑制できる。
【0026】
本開示の第4態様の水素供給システムは、第1態様から第3態様のいずれか一つの水素供給システムにおいて、外部から供給される水素含有ガスと混合される前のアノード極側から排出される水素含有ガスに含まれる水分を凝縮する第2凝縮器を備えてもよい。
【0027】
かかる構成によると、本態様の水素供給システムは、電気化学式水素ポンプのアノード極側から排出される水素含有ガスの露点が高い状態であっても、第2凝縮器により水素含有ガス中の水を水素含有ガスから適切に除去することができる。よって、このような第2凝縮器を備えない場合に比べて、水素含有ガス中の水により、水素含有ガスの流通が不安定になる可能性を低減できる。
【0028】
本開示の第5態様の水素供給システムは、第1態様から第4態様のいずれか一つの水素供給システムにおいて、外部から供給される水素含有ガスと混合される前のアノード極側から排出される水素含有ガスを気液分離する第1気液分離器を備えてもよい。
【0029】
かかる構成によると、本態様の水素供給システムは、電気化学式水素ポンプのアノード極側から排出される水素含有ガスの露点が高い状態であっても、第1気液分離器により水素含有ガス中の水を水素含有ガスから適切に除去することができる。よって、このような第1気液分離器を備えない場合に比べて、水素含有ガス中の水により、水素含有ガスの流通が不安定になる可能性を低減できる。
【0030】
本開示の第6態様の水素供給システムは、第1態様から第5態様のいずれか一つの水素供給システムにおいて、カソード極側から排出される水素含有ガスを気液分離する第2気液分離器と、第2気液分離器で水素含有ガスから分離した水を露点調整器に供給するための水経路と、を備えてもよい。
【0031】
かかる構成によると、本態様の水素供給システムは、カソード極側から排出される水素含有ガス中の水を、第2気液分離器および水経路を用いて露点調整器に供給することができる。すると、カソード極側から排出される水素含有ガス中の水を、露点調整器におけるガス加湿に再利用することができる。よって、外部から水素供給システムに補充する水の量を低減することができる。
【0032】
本開示の第7態様の水素供給システムは、第1態様から第6態様のいずれか一つの水素供給システムにおいて、上記の露点調整器の動作を制御して、上記の混合ガスの露点を調整する第1制御器を備えてもよい。
【0033】
例えば、露点調整器が、混合ガスを温水に通気するバブラー構成を備える場合、第1制御器は、温水の温度を制御することで、混合ガスの露点を簡易かつ適切に調整することができる。
【0034】
また、例えば、露点調整器が、透湿膜を備える場合、第1制御器は、透湿膜の温度を制御することで、混合ガスの露点を簡易かつ適切に調整することができる。
【0035】
ところで、電気化学式水素ポンプのアノード極およびカソード極間に流れる電流量は、電解質膜を透過するプロトンの伝導量に対応する。このため、電流調整器を制御してアノード極およびカソード極間に流れる電流量を調整することにより、プロトンに同伴してアノード極からカソード極に移動する水の量を制御できる。
【0036】
そこで、本開示の第8態様の水素供給システムは、第1態様から第7態様のいずれか一つの水素供給システムにおいて、電流調整器を制御してアノード極およびカソード極間に流れる電流量を調整することで、外部から供給される水素含有ガスと混合される前のアノード極側から排出される水素含有ガスの露点を変化させる第2制御器を備えてもよい。
【0037】
また、露点調整器から排出された混合ガスの温度が、放熱などにより混合ガスの露点未満に低下する場合、混合ガス中の水蒸気の凝縮が起こる。
【0038】
そこで、本開示の第9態様の水素供給システムは、第1態様から第8態様のいずれか一つの水素供給システムにおいて、露点調整器から排出された混合ガスを加熱する加熱器と、加熱器を制御して、加熱器で加熱された混合ガスの温度を露点調整器から排出された混合ガスの露点以上にする第3制御器とを備えてもよい。
【0039】
かかる構成によると、本態様の水素供給システムは、上記の加熱器を設けない場合に比べて、混合ガス中の水蒸気の凝縮が起こりにくくなるので、凝縮水により混合ガスの流通が不安定になることを抑制できる。また、凝縮水がアノード極に流入することで電気化学式水素ポンプのガス流路の閉塞が発生することを抑制できる。
【0040】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、本態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において同じ符号が付いたものは説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
【0041】
(第1実施形態)
[装置構成]
図1は、第1実施形態の水素供給システムの一例を示す図である。
【0042】
図1に示す例では、水素供給システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、露点調整器103と、を備える。電気化学式水素ポンプ100は、電解質膜11と、アノード極13と、カソード極12と、電流調整器102と、を備える。
【0043】
アノード極13およびカソード極12は、電解質膜11の両面に設けられた一対の電極である。具体的には、カソード極12は、電解質膜11の一方の主面に設けられ、アノード極13は、電解質膜11の他方の主面に設けられている。
【0044】
電流調整器102は、アノード極13およびカソード極12間に流れる電流量を調整する装置である。電流調整器102は、アノード極13およびカソード極12間に流れる電流量を調整することができれば、どのような構成であってもよい。
【0045】
電流調整器102は、例えば、アノード極13およびカソード極12間に印加する電圧を調整する電圧印加器でもよい。電圧印加器として、例えば、DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータなどを挙げることができる。DC/DCコンバータは、電圧印加器が、バッテリなどの直流電源と接続された場合に用いられ、AC/DCコンバータは、電圧印加器が、商用電源などの交流電源と接続された場合に用いられる。電流調整器102が電圧印加器であるとき、電圧印加器の高電位側端子がアノード極13に接続され、電圧印加器の低電位側端子がカソード極12に接続される。
【0046】
電気化学式水素ポンプ100は、電流調整器102によりアノード極13およびカソード極12間に電流を流すことにより、アノード極13側に供給される水素を昇圧してカソード極12側に供給し、昇圧された水素を水素需要体に供給する水素供給動作を行う装置である。水素需要体として、例えば、家庭用または自動車用の燃料電池などを挙げることができる。
【0047】
具体的には、電気化学式水素ポンプ100のアノード極13で水素含有ガス中の水素ガス(H)からプロトン(H)が生成される。すると、プロトン(H)が電解質膜11を透過し、電気化学式水素ポンプ100のカソード極12で水素ガス(H)が生成される。このとき、カソード極12において生成される水素ガス量が増加することで水素ガスが昇圧される。つまり、電気化学式水素ポンプ100は、水素を電気化学的に昇圧する昇圧ポンプとして機能する。そして、電気化学式水素ポンプ100のカソード極12で生成された水素ガスは、カソードガス導出経路26を通じて、上記の水素需要体に供給される。
【0048】
なお、電気化学式水素ポンプ100の構成例の詳細、および、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作の詳細については後で説明する。
【0049】
露点調整器103は、アノード極13側から排出される水素含有ガスおよび外部から供給される水素含有ガスが混合された混合ガスの露点を調整する装置である。具体的には、アノード極13側から排出される水素含有ガスは、アノードガス導出経路31を通じて露点調整器103に供給される。また、露点調整器103からの混合ガスは、アノードガス導入経路29を通じて電気化学式水素ポンプ100のアノード極13に供給される。なお、図1以降の図面に示される露点調整器103は、いずれも、アノードガス導入経路29とアノードガス導出経路31の合流箇所に設けられているが、これに限定されるものではない。上記合流箇所よりも下流のアノードガス導入経路29に設けられてもよい。つまり、上記混合ガスの露点を調整可能であれば、アノードガス導入経路29のいずれの箇所に設けられてもよい。
【0050】
なお、露点調整器103は、アノード極13側から排出される水素含有ガスと、外部から供給される水素含有ガスとを混合させる混合器を備えてもよいが、図示しない混合器が露点調整器103とは別個に設けられていてもよい。
【0051】
露点調整器103は、上記の混合ガスの露点を調整することができれば、どのような構成であってもよい。露点調整器103の詳細については実施例で説明する。
【0052】
図1には示されていないが、水素供給システム200の水素供給動作において必要となる機器は適宜、設けられる。
【0053】
例えば、水素供給システム200では、所定の供給圧を有する外部のガス供給源(図示せず)から露点調整器103に水素含有ガスが供給されてもよい。外部のガス供給源として、例えば、ガス貯蔵器(例えば、ガスボンベ)、ガス供給インフラなどを挙げることができる。
【0054】
また、水素含有ガスとして、例えば、水素ガスを挙げることができる。この場合、水素ガスは、例えば、水電解装置で生成されてもよい。
【0055】
また、水素供給システム200に、例えば、電気化学式水素ポンプ100の温度を検出する温度検出器、電気化学式水素ポンプ100のカソード極12から排出された水素ガスを一時的に貯蔵する水素貯蔵器、水素貯蔵器内のガス圧を検出する圧力検出器などが設けられていてもよい。
【0056】
なお、以上の図示しない様々な機器は例示であって、本例に限定されない。
【0057】
[電気化学式水素ポンプの構成]
図2Aおよび図2Bは、第1実施形態の水素供給システムの電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。図2Bは、図2AのB部の拡大図である。
【0058】
図2Aおよび図2Bに示すように、電気化学式水素ポンプ100の単セル100Aは、電解質膜11と、アノード極13およびカソード極12と、カソードセパレータ16と、アノードセパレータ17と、絶縁体21と、を備える。
【0059】
カソード極12は、例えば、カソード触媒層12Aおよびカソードガス拡散層12Bで構成されている。アノード極13は、例えば、アノード触媒層13Aおよびアノードガス拡散層13Bで構成されている。
【0060】
これにより、電解質膜11は、アノード触媒層13Aおよびカソード触媒層12Aのそれぞれと接触するようにして、アノード極13とカソード極12とによって挟持されている。なお、カソード極12、電解質膜11およびアノード極13の積層体を膜-電極接合体(以下、MEA:Membrane Electrode Assembly)という。
【0061】
電解質膜11、カソード触媒層12A、カソードガス拡散層12B、アノード触媒層13Aおよびアノードガス拡散層13Bの詳細は後で説明する。
【0062】
カソードセパレータ16およびアノードセパレータ17のそれぞれの中央部には、凹部が設けられている。これらの凹部のそれぞれに、カソードガス拡散層12Bおよびアノードガス拡散層13Bがそれぞれ収容されている。そして、カソードセパレータ16およびアノードセパレータ17で上記のMEAを挟むことにより、単セル100Aが形成されている。
【0063】
カソードガス拡散層12Bと接触するカソードセパレータ16の主面には、平面視において、例えば、サーペンタイン状または直線状のカソードガス流路32が設けられている。アノードガス拡散層13Bと接触するアノードセパレータ17の主面には、平面視において、例えば、サーペンタイン状または直線状のアノードガス流路33が設けられている。
【0064】
また、導電性のカソードセパレータ16およびアノードセパレータ17の間には、MEAの周囲を囲むように設けられた環状かつ平板状の絶縁体21が挟み込まれている。これにより、カソードセパレータ16およびアノードセパレータ17の短絡が防止されている。
【0065】
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、3段の単セル100Aが積層されたスタックを構成しているが、単セル100Aの段数はこれに限定されない。単セル100Aの段数は、電気化学式水素ポンプ100の水素量などの運転条件をもとに適宜の数に設定することができる。
【0066】
ここで、単セル100Aを複数個、積層状態で適切に保持するには、単セル100Aの最上層のカソードセパレータ16の端面および最下層のアノードセパレータ17の端面をそれぞれ、給電板22Uと絶縁板23Uおよび給電板22Dと絶縁板23Dのそれぞれを介して、端板24Uおよび端板24Dのそれぞれで挟み、単セル100Aに所望の締結圧をかける必要がある。
【0067】
そこで、端板24Uおよび端板24Dの適所に、単セル100Aに締結圧をかけるための複数の締結器25が設けられている。締結器25は、複数の単セル100Aを締結できれば、どのような構成であってもよい。締結器25として、例えば、端板24Uおよび端板24Dを貫通するボルト、および、皿ばね付きナットなどを例示できる。
【0068】
端板24Uには、カソードガス導出経路26(図1参照)が設けられている。カソードガス導出経路26は、カソード極12側から排出される水素含有ガスが流通する配管で構成されていてもよい。具体的には、カソードガス導出経路26は、積層状態の単セル100Aに設けられた筒状のカソードガス導出マニホルド(図示せず)に連通している。そして、この筒状のカソードガス導出マニホルドが、単セル100Aのそれぞれのカソードガス流路32と、図示しないカソードガス連通経路を介して連通している。これにより、単セル100Aのそれぞれのカソードガス流路32を通過した水素含有ガスが、カソードガス導出マニホルドで合流される。そして、合流された水素含有ガスが、カソードガス導出経路26に導かれる。
【0069】
カソードセパレータ16およびアノードセパレータ17の間には、平面視において、カソードガス導出マニホルドを囲むように、図示しないOリングなどのシール部材が設けられ、カソードガス導出マニホルドが、このシール部材で適切にシールされている。
【0070】
端板24Dには、アノードガス導入経路29(図1参照)が設けられている。アノードガス導入経路29は、アノード極13側に供給される水素含有ガスが流通する配管で構成されていてもよい。具体的には、アノードガス導入経路29は、積層状態の単セル100Aに設けられた筒状のアノードガス導入マニホルド27に連通している。そして、この筒状のアノードガス導入マニホルド27が、単セル100Aのそれぞれのアノードガス流路33の一方の端部と、図示しないアノードガス連通経路を介して連通している。これにより、アノードガス導入経路29からの水素含有ガスが、単セル100Aのそれぞれのアノードガス流路33に連通したアノードガス導入マニホルド27を通じて、単セル100Aのそれぞれに分配される。そして、分配された水素含有ガスが、アノードガス拡散層13Bからアノード触媒層13Aに供給される。
【0071】
また、端板24Dには、アノードガス導出経路31(図1参照)が設けられている。アノードガス導出経路31は、アノード極13側から排出される水素含有ガスが流通する配管で構成されていてもよい。具体的には、アノードガス導出経路31は、積層状態の単セル100Aに設けられた筒状のアノードガス導出マニホルド30に連通している。そして、この筒状のアノードガス導出マニホルド30が、単セル100Aのそれぞれのアノードガス流路33の他方の端部と、図示しないアノードガス連通経路を介して連通している。これにより、単セル100Aのそれぞれのアノードガス流路33を通過した水素含有ガスが、アノードガス導出マニホルド30で合流される。そして、合流された水素含有ガスが、アノードガス導出経路31に導かれる。
【0072】
カソードセパレータ16およびアノードセパレータ17の間には、平面視において、アノードガス導入マニホルド27およびアノードガス導出マニホルド30を囲むようにOリングなどのシール部材40が設けられ、アノードガス導入マニホルド27およびアノードガス導出マニホルド30が、シール部材40で適切にシールされている。
【0073】
電解質膜11は、プロトン(H)を透過可能なプロトン伝導性を備える電解質膜である。電解質膜11はプロトン伝導性を備える電解質膜であれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜11として、フッ素系高分子電解質膜などを挙げることができる。具体的には、例えば、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができるが、これらに限定されない。
【0074】
カソード触媒層12Aは、電解質膜11の一方の主面に設けられている。なお、平面視において、カソード触媒層12Aの周囲を囲むようにシール部材42が設けられ、カソード触媒層12Aが、シール部材42で適切にシールされている。カソード触媒層12Aは、例えば、触媒金属として白金(Pt)などを含んでもよいが、これに限定されない。
【0075】
アノード触媒層13Aは、電解質膜11の他方の主面に設けられている。なお、平面視において、アノード触媒層13Aの周囲を囲むようにシール部材43が設けられ、アノード触媒層13Aが、シール部材43で適切にシールされている。アノード触媒層13Aは、例えば、触媒金属としてPtなどを含んでもよいが、これに限定されない。
【0076】
カソード触媒層12Aもアノード触媒層13Aも、触媒の調製方法としては、種々の方法を挙げることができるので、特に限定されない。例えば、触媒の担体としては、導電性の酸化物粉末、炭素系粉末などを挙げることができる。炭素系粉末としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、電気導電性を有する活性炭などの粉末を挙げることができる。カーボンなどの担体に、白金若しくは他の触媒金属を担持する方法は、特に限定されない。例えば、粉末混合または液相混合などの方法を用いてもよい。後者の液相混合としては、例えば、触媒成分コロイド液にカーボンなどの担体を分散させ、吸着させる方法などが挙げられる。また、必要に応じて活性酸素除去材を担体として、白金若しくは他の触媒金属を上記と同様の方法で担持することができる。白金などの触媒金属の担体への担持状態は、特に限定されない。例えば、触媒金属を微粒子化し、高分散で担体に担持してもよい。
【0077】
カソードガス拡散層12Bは、例えば、多孔質体などで構成され、導電性およびガス拡散性を備える。例えば、カソードガス拡散層12Bとして、チタン、チタン合金、ステンレススチールなどを素材とする金属繊維焼結体、金属粉体焼結体、エキスパンドメタル、金属メッシュ、パンチングメタルなどを用いることができる。また、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの多孔性の炭素材料を用いることができる。また、カーボンブラックとPTFEなどのエラストマーとを混錬、圧延した多孔性のシート材料なども用いることができる。
【0078】
カソードガス拡散層12Bは、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作時にアノード極13およびカソード極12の間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に追従し得る弾性を備える部材が望ましい。
【0079】
アノードガス拡散層13Bは、例えば、多孔質体などで構成され、導電性およびガス拡散性を備える。例えば、アノードガス拡散層13Bとして、チタン、チタン合金、ステンレススチールなどを素材とした金属繊維焼結体、金属粉体焼結体、エキスパンドメタル、金属メッシュ、パンチングメタルなどが用いることができる。
【0080】
アノードガス拡散層13Bは、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作時にアノード極13およびカソード極12の間の差圧で発生する構成部材の変位、変形を抑制し得る高剛性を備える部材が望ましい。
【0081】
電流調整器102は、上記のとおり、アノード極13およびカソード極12間に流れる電流量を調整する装置である。
【0082】
本例では、電流調整器102として、直流電源などの電圧印加器が用いられており、電圧印加器の低電位側端子が、最上層のカソードセパレータ16に接触する給電板22Uに接続され、電圧印加器の高電位側端子が、最下層のアノードセパレータ17に接触する給電板22Dに接続されている。
【0083】
なお、以上の電気化学式水素ポンプ100の構成は例示であって、本例に限定されない。
【0084】
[動作]
以下、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作について、図面を参照しながら説明する。
【0085】
以下の動作は、例えば、図示しない制御器の演算回路が、制御器の記憶回路から制御プログラムにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部または全部の動作を行ってもよい。
【0086】
まず、アノードガス導入経路29を通じて電気化学式水素ポンプ100のアノード極13に低圧の水素含有ガスが供給されるとともに、電圧印加器の電力が電気化学式水素ポンプ100に給電される。
【0087】
すると、アノード極13のアノード触媒層13Aにおいて、酸化反応で水素分子が水素イオン(プロトン)と電子とに分離する(式(1))。プロトンは電解質膜11内を伝導してカソード触媒層12Aに移動する。電子は電圧印加器を通じてカソード極12のカソード触媒層12Aに移動する。
【0088】
そして、カソード極12のカソード触媒層12Aにおいて、還元反応で水素分子が再び生成される(式(2))。なお、プロトンが電解質膜11中を伝導する際に、所定水量の水が、電気浸透水としてアノード極13からカソード極12にプロトンと同伴して移動することが知られている。
【0089】
ここで、カソードガス導出経路26に設けられた図示しない流量調整器(例えば、配管に設けられた背圧弁、調整弁など)を用いて、カソードガス導出経路26の圧損を増加させることにより、カソード極12で生成された水素ガスを昇圧することができる。よって、高圧状態の水素ガスを、例えば、図示しない水素貯蔵器に貯蔵することができる。
【0090】
アノード:H(低圧)→2H+2e ・・・(1)
カソード:2H+2e→H(高圧) ・・・(2)
ところで、電圧印加器で消費される電力が少なくなるように、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作を高効率に行うには、電解質膜11のプロトン伝導性を十分に高くする必要がある。そして、電解質膜11は含水率が高いほど、電解質膜11のプロトン伝導率が高くなるので、電解質膜11を十分な湿潤状態に維持する必要がある。
【0091】
例えば、電解質膜11がフッ素系高分子電解質膜である場合、電気化学式水素ポンプ100の動作温度が約70℃程度であることが多い。この場合、アノード極13に供給する水素含有ガスの露点は約70℃近傍に調整することが望ましい。なお、かかる温度は例示であって、本例に限定されない。
【0092】
仮に、アノード極13に供給する水素含有ガスの加湿量が不十分な場合、電解質膜11のプロトン伝導性が低下する可能性がある。すると、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作時の電気エネルギーが大きくなるので、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作の効率が低下する。
【0093】
逆に、アノード極13に供給する水素含有ガスの加湿量が過剰な場合、水素含有ガス中の水蒸気が凝縮することで、凝縮水により電気化学式水素ポンプ100のガス流路の閉塞が発生する可能性がある(フラッディング現象)。すると、電気化学式水素ポンプ100の水素拡散性が阻害されやすくなる。この場合、所望のプロトン移動を確保するためのポンプ動作に必要な電力が増加するので、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作の効率が低下する。
【0094】
そこで、本実施形態の水素供給システム200は、上記のとおり、アノード極13側から排出される水素含有ガスおよび外部から供給される水素含有ガスが混合された混合ガスの露点を調整する露点調整器103を備える。そして、露点調整が行われた混合ガスが、アノードガス導入経路29を通じて電気化学式水素ポンプ100のアノード極13に供給される構成を取っている。
【0095】
以上により、本実施形態の水素供給システム200は、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作を従来よりも高効率に行い得る。具体的には、仮に、上記の混合ガスの加湿量が不十分な場合、電解質膜11のプロトン伝導性が低下する可能性があるが、本実施形態の水素供給システム200では、かかる混合ガスの露点を適切に調整できるので、このような可能性を低減できる。また、仮に、上記の混合ガスの加湿量が過剰な場合、混合ガス中の水蒸気が凝縮することで、凝縮水により電気化学式水素ポンプ100のガス流路の閉塞が発生する可能性があるが、本実施形態の水素供給システム200では、かかる混合ガスの露点を適切に調整できるので、このような可能性を低減できる。
【0096】
また、電気化学式水素ポンプ100では、水素含有ガスの利用率を上げるほど、アノード極13からカソード極12に移動する水素ガス量を多くできる。しかしながら、水素含有ガスの利用率を上げると、電解質膜11の物性によっては、アノード極13のアノードガス流路33を流通する水素含有ガス中の水分濃度が上がる場合がある。すると、アノード触媒層13Aへの水素拡散が阻害される場合がある。
【0097】
そこで、本実施形態の水素供給システム200は、アノード極13に供給する水素含有ガスの一部をアノード極13側から排出させる構成、および、アノード極13側から排出される水素含有ガスを外部から供給される水素含有ガスと混合することで再利用する構成を取っている。
【0098】
これにより、アノード触媒層13Aへの水素拡散阻害要因を軽減しながら、アノード極13に供給する水素含有ガスの利用率を実質的に上げることが可能となり、電気化学式水素ポンプ100の水素供給動作を高効率に行うことができる。
【0099】
(実施例)
図3Aおよび図3Bは、第1実施形態の実施例の水素供給システムの一例を示す図である。
【0100】
図3Aおよび図3Bに示す例では、水素供給システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、露点調整器103と、を備える。電気化学式水素ポンプ100については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0101】
本実施例の水素供給システム200は、上記のとおり、アノード極13側から排出される水素含有ガスを、外部から供給される水素含有ガスと混合する構成を取っている。この場合、外部から供給される水素含有ガス中に含まれる水分量とアノード極13側から排出される水素含有ガス中に含まれる水分量とが互いに相違する。よって、アノード極13に供給される混合ガスの水分量を適切に把握することは困難である。このため、かかる混合ガスの加湿量が不十分となる可能性、または、混合ガスの加湿量が過剰となる可能性がある。
【0102】
そこで、アノード極13に供給される混合ガスの加湿量が不十分である場合、図3Aに示すように、露点調整器103は、混合ガスを加湿する加湿器117Aを備える。加湿器117Aとして、例えば、混合ガスを温水に通気して加湿するバブラー構成の加湿器、混合ガスを透湿膜で加湿する構成の加湿器などを挙げることができる。
【0103】
逆に、アノード極13に供給される混合ガスの加湿量が過剰である場合、図3Bに示すように、露点調整器103は、混合ガス中に含まれる水分を凝縮させる凝縮器117Bを備える。凝縮器117Bとして、例えば、混合ガスを温水に通気して除湿するバブラー構成の除湿器、混合ガスを透湿膜で除湿する構成の除湿器などを挙げることができる。
【0104】
ここで、露点調整器103が、例えば、上記のバブラー構成を備える場合、温水の温度により、混合ガスの加湿量を適切に調整することができる。つまり、温水を通過した混合ガスの露点は、温水の温度とほぼ等しくなる。よって、この場合、露点調整器103は、温水に通気する前の混合ガスの湿潤状態に対応して、混合ガスを加湿することも除湿することもできるので、混合ガスを加湿する加湿器としても混合ガスを除湿する除湿器としても機能することができる。
【0105】
また、露点調整器103が、例えば、上記の透湿膜を備える場合、透湿膜の温度により、混合ガスの加湿量を適切に調整することができる。つまり、透湿膜を通過した混合ガスの露点は、透湿膜の温度とほぼ等しくなる。よって、この場合、露点調整器103は、透湿膜を通過する前の混合ガスの湿潤状態に対応して、混合ガスを加湿することも除湿することもできるので、混合ガスを加湿する加湿器としても混合ガスを除湿する除湿器としても機能することができる。
【0106】
以上により、本実施例の水素供給システム200は、アノード極13に供給される混合ガスの加湿量が不十分な場合、混合ガスを加湿器117Aにより加湿することができる。よって、このような加湿器117Aを備えない場合に比べて電気化学式水素ポンプ100の電解質膜11のプロトン伝導性が低下することを抑制できる。
【0107】
また、本実施例の水素供給システム200は、アノード極13に供給される混合ガスの加湿量が過剰な場合、混合ガスを凝縮器117Bにより除湿することができる。よって、このような凝縮器117Bを備えない場合に比べて凝縮水により電気化学式水素ポンプ100のガス流路の閉塞が発生することを抑制できる。
【0108】
本実施例の水素供給システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態の水素供給システム200と同様であってもよい。
【0109】
(第1変形例)
図3Cは、第1実施形態の第1変形例の水素供給システムの一例を示す図である。
【0110】
図3Cに示す例では、水素供給システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、露点調整器103と、制御器50と、を備える。電気化学式水素ポンプ100については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0111】
本変形例の水素供給システム200は、露点調整器103の動作を制御して、アノード極13側から排出される水素含有ガスおよび外部から供給される水素含有ガスが混合された混合ガスの露点を調整する第1制御器を備える。制御器50は、このような第1制御器であってもよい。制御器50は、水素供給システム200の全体の動作を制御する制御器であってもよい。
【0112】
また、制御器50は、図3Aの加湿器117Aの動作、図3Bの凝縮器117Bの動作を制御してもよい。
【0113】
具体的には、図3Aの加湿器117Aが、例えば、混合ガスを温水に通気して加湿するバブラー構成の場合、制御器50は、温水の温度を制御することで、混合ガスの露点を簡易かつ適切に調整することができる。温水の温度の制御は、バブラー中に設けられた図示しない加熱器の加熱量を制御器50で制御することで実現できる。加湿器117Aが、例えば、混合ガスを透湿膜で加湿する構成の場合、制御器50は、透湿膜の温度を制御することで、混合ガスの露点を簡易かつ適切に調整することができる。透湿膜の温度の制御は、透湿膜を加熱する加熱器(図示せず)の加熱量を制御器50で制御することで実現できる。
【0114】
図3Bの凝縮器117Bが、例えば、混合ガスを温水に通気して除湿するバブラー構成の場合、制御器50は、温水の温度を制御することで、混合ガスの露点を簡易かつ適切に調整することができる。温水の温度の制御は、バブラー中に設けられた図示しない加熱器の加熱量を制御器50で制御することで実現できる。凝縮器117Bが、例えば、混合ガスを透湿膜で除湿する構成の場合、制御器50は、透湿膜の温度を制御することで、混合ガスの露点を簡易かつ適切に調整することができる。透湿膜の温度の制御は、透湿膜を加熱する加熱器(図示せず)の加熱量を制御器50で制御することで実現できる。
【0115】
制御器50は、制御機能を有するものであれば、どのような構成であってもよい。例えば、制御器50は、演算回路(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶回路(図示せず)と、を備える。演算回路として、例えば、MPU、CPUなどを挙げることができる。記憶回路として、例えば、メモリなどを挙げることができる。制御器50は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0116】
(第2変形例)
本変形例の水素供給システム200は、以下の電流調整器102の制御内容以外は、第1実施形態の水素供給システム200と同様である。
【0117】
電気化学式水素ポンプ100のアノード極13およびカソード極12間に流れる電流量は、電解質膜11を透過するプロトンの伝導量に対応する。このため、アノード極13およびカソード極12間に流れる電流量を調整することにより、プロトンに同伴してアノード極13からカソード極12に移動する水の量を制御できる。
【0118】
そこで、本変形例の水素供給システム200は、電流調整器102を制御してアノード極13およびカソード極12間に流れる電流量を調整することで、外部から供給される水素含有ガスと混合される前のアノード極13側から排出される水素含有ガスの露点を変化させる第2制御器を備える。例えば、図3Cの制御器50は、このような第2制御器であってもよい。
【0119】
具体的には、電解質膜11の物性によって、プロトンに同伴してアノード極13からカソード極12に移動する水の量は相違する。
【0120】
例えば、2つのプロトンに対して水が1つより多く移動する電解質膜11の場合、アノード極13およびカソード極12間に流れる電流量を増加することで、アノード極13側から排出される水素含有ガスの露点を低下させることができる。
【0121】
また、例えば、2つのプロトンに対して水が1つより少なく移動する電解質膜11の場合、アノード極13およびカソード極12間に流れる電流量を増加することで、アノード極13側から排出される水素含有ガスの露点を増加させることができる。
【0122】
本変形例の水素供給システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の実施例および第1実施形態の第1変形例のいずれかの水素供給システム200と同様であってもよい。
【0123】
(第2実施形態)
図4Aは、第2実施形態の水素供給システムの一例を示す図である。
【0124】
図4Aに示す例では、水素供給システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、露点調整器103と、凝縮器113Aと、を備える。
【0125】
電気化学式水素ポンプ100および露点調整器103は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0126】
アノード極13側から排出される水素含有ガスの露点が高い場合、水素含有ガス中の水蒸気が、水素含有ガスの温度低下によりアノードガス導出経路31で凝縮する可能性がある。すると、アノードガス導出経路31における水素含有ガスの流通が不安定になる可能性がある。また、アノードガス導出経路31を通じて水素含有ガス中の水が露点調整器103に流入すると、露点調整器103による混合ガスの露点調整が不安定になる可能性がある。
【0127】
そこで、本実施形態の水素供給システム200は、外部から供給される水素含有ガスと混合される前のアノード極13側から排出される水素含有ガスに含まれる水分を凝縮する凝縮器113Aを備える。つまり、凝縮器113Aは、アノード極13のガス排出口と露点調整器103との間のアノードガス導出経路31に設けられている。なお、凝縮器113Aで水素含有ガスから凝縮した凝縮水を排出するための水排出経路(図示せず)は、凝縮器113Aと一体に設けてもよいし、凝縮器113Aとは別個にアノードガス導出経路31に設けてもよい。
【0128】
以上により、本実施形態の水素供給システム200は、アノード極13側から排出される水素含有ガスの露点が高い状態であっても、凝縮器113Aにより水素含有ガス中の水を水素含有ガスから適切に除去することができる。よって、このような凝縮器113Aを備えない場合に比べて、水素含有ガス中の水により、アノードガス導出経路31における水素含有ガスの流通が不安定になる可能性を低減できる。また、アノードガス導出経路31を通じて水素含有ガス中の水が露点調整器103に流入することを抑制できる。
【0129】
本実施形態の水素供給システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の実施例および第1実施形態の第1変形例-第2変形例のいずれかの水素供給システム200と同様であってもよい。例えば、図4Aの水素供給システム200においても、図3Cの制御器50が設けられ、この制御器50が、図1の露点調整器103の動作、図3Aの加湿器117Aの動作、図3Bの凝縮器117Bの動作を制御してもよい。
【0130】
(変形例)
図4Bは、第2実施形態の変形例の水素供給システムの一例を示す図である。
【0131】
図4Bに示す例では、水素供給システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、露点調整器103と、気液分離器113Bと、を備える。
【0132】
電気化学式水素ポンプ100および露点調整器103は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0133】
アノード極13側から排出される水素含有ガスの露点が高い場合、水素含有ガス中の水蒸気が、水素含有ガスの温度低下によりアノードガス導出経路31で凝縮する可能性がある。すると、アノードガス導出経路31における水素含有ガスの流通が不安定になる可能性がある。また、アノードガス導出経路31を通じて水素含有ガス中の水が露点調整器103に流入すると、露点調整器103による混合ガスの露点調整が不安定になる可能性がある。
【0134】
そこで、本変形例の水素供給システム200は、外部から供給される水素含有ガスと混合される前のアノード極13側から排出される水素含有ガスを気液分離する気液分離器113Bを備える。つまり、気液分離器113Bは、アノード極13のガス排出口と露点調整器103との間のアノードガス導出経路31に設けられている。なお、気液分離器113Bで水素含有ガスから分離した水を排出するための水排出経路(図示せず)は、気液分離器113Bと一体に設けてもよいし、気液分離器113Bとは別個にアノードガス導出経路31に設けてもよい。
【0135】
以上により、本変形例の水素供給システム200は、アノード極13側から排出される水素含有ガスの露点が高い状態であっても、気液分離器113Bにより水素含有ガス中の水を水素含有ガスから適切に除去することができる。よって、このような気液分離器113Bを備えない場合に比べて、水素含有ガス中の水により、アノードガス導出経路31における水素含有ガスの流通が不安定になる可能性を低減できる。また、アノードガス導出経路31を通じて水素含有ガス中の水が露点調整器103に流入することを抑制できる。
【0136】
本変形例の水素供給システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の実施例、第1実施形態の第1変形例-第2変形例および第2実施形態のいずれかの水素供給システム200と同様であってもよい。例えば、図4Bの水素供給システム200においても、図3Cの制御器50が設けられ、この制御器50が、図1の露点調整器103の動作、図3Aの加湿器117Aの動作、図3Bの凝縮器117Bの動作を制御してもよい。
【0137】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態の水素供給システムの一例を示す図である。
【0138】
図5に示す例では、水素供給システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、露点調整器103と、気液分離器118と、水経路119と、を備える。
【0139】
電気化学式水素ポンプ100および露点調整器103は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0140】
カソード極12から排出される水素含有ガスの圧力が高圧になるほど、水素含有ガス中の水蒸気は凝縮しやすくなる。
【0141】
そこで、本実施形態の水素供給システム200は、カソード極12側から排出される水素含有ガスを気液分離する気液分離器118と、気液分離器118で水素含有ガスから分離した水を露点調整器103に供給するための水経路119と、を備える。つまり、気液分離器118は、カソード極12のガス排出口と図示しない水素貯蔵器との間のカソードガス導出経路26に設けられている。水経路119は、気液分離器118の排水口と露点調整器103とを接続する配管で構成されていてもよい。
【0142】
具体的には、気液分離器118では、水素含有ガスから水が分離される。そして、水分離が行われた水素含有ガスは、カソードガス導出経路26を通じて水素貯蔵器に供給され、水素含有ガスから分離した水は、水経路119を通じて露点調整器103に供給される。
【0143】
例えば、気液分離器118に排水弁などを設け、水素含有ガスの圧力を利用して、必要に応じて、排水弁を開閉することで、気液分離器118の排水口から露点調整器103へ水を排出させることができる。
【0144】
以上により、本実施形態の水素供給システム200は、カソード極12側から排出される水素含有ガス中の水を、気液分離器118および水経路119を用いて露点調整器103に供給することができる。すると、カソード極12側から排出される水素含有ガス中の水を、露点調整器103におけるガス加湿に再利用することができる。よって、外部から水素供給システム200に補充する水の量を低減することができる。
【0145】
本実施形態の水素供給システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の実施例、第1実施形態の第1変形例-第2変形例、第2実施形態および第2実施形態の変形例のいずれかの水素供給システム200と同様であってもよい。例えば、図5の水素供給システム200においても、図3Cの制御器50が設けられ、この制御器50が、図1の露点調整器103の動作、図3Aの加湿器117Aの動作、図3Bの凝縮器117Bの動作を制御してもよい。
【0146】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態の水素供給システムの一例を示す図である。
【0147】
図6に示す例では、水素供給システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、露点調整器103と、制御器50と、加熱器120と、を備える。
【0148】
電気化学式水素ポンプ100および露点調整器103は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0149】
露点調整器103から排出された混合ガスの温度が、放熱などにより混合ガスの露点未満に低下する場合、混合ガス中の水蒸気の凝縮が起こる。
【0150】
そこで、本実施形態の水素供給システム200は、露点調整器103から排出された混合ガスを加熱する加熱器120と、加熱器120を制御して、加熱器120で加熱された混合ガスの温度を露点調整器103から排出された混合ガスの露点以上にする第3制御器と、を備える。つまり、加熱器120は、露点調整器103とアノード極13のガス流入口との間のアノードガス導入経路29に設けられている。制御器50は、このような第3制御器であってもよい。
【0151】
以上により、本実施形態の水素供給システム200は、上記の加熱器120を設けない場合に比べて、混合ガス中の水蒸気の凝縮が起こりにくくなるので、凝縮水により混合ガスの流通が不安定になることを抑制できる。また、凝縮水がアノード極13に流入することで電気化学式水素ポンプ100のガス流路の閉塞が発生することを抑制できる。
【0152】
本実施形態の水素供給システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の実施例、第1実施形態の第1変形例-第2変形例、第2実施形態、第2実施形態の変形例および第3実施形態のいずれかの水素供給システム200と同様であってもよい。
【0153】
なお、第1実施形態、第1実施形態の実施例、第1実施形態の第1変形例-第2変形例、第2実施形態、第2実施形態の変形例、第3実施形態および第4実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
【0154】
また、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【0155】
例えば、上記では、電気化学式水素ポンプ100から水素貯蔵器に水素が供給される場合について説明したが、水素供給システム200が、水素貯蔵器を介さずに、または、水素貯蔵器を備えずに、水素需要体に直接、水素を供給する場合(例えば、燃料電池車の高圧水素タンクに水素を供給する場合など)であっても、以上の本開示の一態様の水素供給システム200を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本開示の一態様は、電気化学式水素ポンプの水素供給動作を従来よりも高効率に行い得る水素供給システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0157】
11 :電解質膜
12 :カソード極
12A :カソード触媒層
12B :カソードガス拡散層
13 :アノード極
13A :アノード触媒層
13B :アノードガス拡散層
16 :カソードセパレータ
17 :アノードセパレータ
21 :絶縁体
22D :給電板
22U :給電板
23D :絶縁板
23U :絶縁板
24D :端板
24U :端板
25 :締結器
26 :カソードガス導出経路
27 :アノードガス導入マニホルド
29 :アノードガス導入経路
30 :アノードガス導出マニホルド
31 :アノードガス導出経路
32 :カソードガス流路
33 :アノードガス流路
40 :シール部材
42 :シール部材
43 :シール部材
50 :制御器
100 :電気化学式水素ポンプ
100A :単セル
102 :電流調整器
103 :露点調整器
113A :凝縮器
113B :気液分離器
117A :加湿器
117B :凝縮器
118 :気液分離器
119 :水経路
120 :加熱器
200 :水素供給システム
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6