(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】通報システム、防災システム、通報方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20230203BHJP
G08B 25/08 20060101ALI20230203BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20230203BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
G08B27/00 Z
G08B25/08 A
G08B17/00 B
H04M11/04
(21)【出願番号】P 2018226056
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】珍坂 舞
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】田中 敬一
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-280167(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0095434(US,A1)
【文献】特開2013-041452(JP,A)
【文献】特開2006-059185(JP,A)
【文献】特表2009-520262(JP,A)
【文献】特開2004-172680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
23/00-31/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設において防災の対象となる事象が発生したことを検知する検知器から検知情報を取得する取得部と、
前記検知情報に基づいて、前記施設の外部に通知情報を送信する通知部と、を備え、
前記通知部は、
前記施設の住人又は利用者であるユーザが前記施設に存在する場合は、前記ユーザが所有する第1端末に前記通知情報を送信し、
前記ユーザが前記施設に存在しない場合、又は、前記ユーザが前記施設に存在する場合であっても、前記第1端末とは別の端末である第2端末を所有する人又は組織に前記ユーザが連絡する状況にない場合は、前記第1端末及び前記第2端末の両方に前記通知情報を送信する、
通報システム。
【請求項2】
前記通知部にて前記通知情報を送信するか否かと、前記通知部での前記通知情報の送信の態様と、の少なくとも一方を判断する判断部を更に備える、
請求項1に記載の通報システム。
【請求項3】
前記判断部は、少なくとも前記施設の状況と前記施設に居る人の状況との一方に関する判断情報に基づいて判断を行う、
請求項2に記載の通報システム。
【請求項4】
前記通知部は、少なくとも前記第2端末に送信する前記通知情報に、前記検知情報の発生元である前記検知器の位置情報を含める、
請求項1~3のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項5】
前記位置情報は、前記施設の位置を示す情報と、前記施設における前記検知器の設置場所を示す情報と、の少なくとも一方を含む
請求項4に記載の通報システム。
【請求項6】
前記通知部は、少なくとも前記第2端末に送信する前記通知情報に、前記検知情報の発生した時刻を示す時刻情報を含める、
請求項1~5のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項7】
前記第2端末を所有する人又は組織は、前記施設の管理主体、セキュリティサービスの提供主体、前記施設が属する自治体、及び消防機関の少なくとも1つを含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項8】
前記通知部から前記通知情報として送信される情報の少なくとも一部を変更する更新部を更に備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項9】
前記通知部は、前記第1端末にて前記通知情報に対する承諾操作が検出された場合に、前記第2端末に前記通知情報を送信する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項10】
前記検知器は、物理量に応じた電気信号を出力するセンサを含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の通報システムと、
前記検知器として用いられる検知用端末と、を備える、
防災システム。
【請求項12】
施設において防災の対象となる事象が発生したことを検知する検知器から検知情報を取得する取得処理と、
前記検知情報に基づいて、前記施設の外部に通知情報を送信する通知処理と、を有し、
前記通知処理では、
前記施設の住人又は利用者であるユーザが前記施設に存在する場合は、前記ユーザが所有する第1端末に前記通知情報を送信し、
前記ユーザが前記施設に存在しない場合、又は、前記ユーザが前記施設に存在する場合であっても、前記第1端末とは別の端末である第2端末を所有する人又は組織に前記ユーザが連絡する状況にない場合は、前記第1端末及び前記第2端末の両方に前記通知情報を送信する、
通報方法。
【請求項13】
1以上のプロセッサに、請求項12に記載の通報方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に通報システム、防災システム、通報方法及びプログラムに関し、より詳細には、施設において防災の対象となる事象が発生したことに伴い通報を行う通報システム、防災システム、通報方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機器の管理についての処理を行う管理装置を備えた管理システムが記載されている。管理装置は、警報器との間で通信装置を介することにより通信を行う。さらに、管理装置は、住宅外の通信ネットワークに接続されている。
【0003】
この管理システムでは、警報器が火災を検知すると、電気機器を構成している換気扇及び照明装置が「オン」となり、かつ、カーテンが開き、冷蔵庫のスピーカ、及びインターホンから警報音が出力されるように、電気機器を制御する。また、これらの処理と共に、管理装置が、通信ネットワークを介して外部への通知(火災発生に関する警報の出力)も行ってもよいことが、特許文献1には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、単に外部へ通知が行われるだけでは、例えば、通知を受けたユーザが旅行中ですぐに自宅に到着し得ない場合等、ユーザが消防機関等の通報先に改めて通報を行う必要があり、結果的に、火事等の災害への対処に遅れが生じる可能性がある。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、より適切な災害への対処につながる通報システム、防災システム、通報方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る通報システムは、取得部と、通知部と、を備える。前記取得部は、検知器から検知情報を取得する。前記検知器は、施設において防災の対象となる事象が発生したことを検知する。前記通知部は、前記検知情報に基づいて、前記施設の外部に通知情報を送信する。前記通知部は、前記施設の住人又は利用者であるユーザが前記施設に存在する場合は、前記ユーザが所有する第1端末に前記通知情報を送信し、前記ユーザが前記施設に存在しない場合、又は、前記ユーザが前記施設に存在する場合であっても、前記第1端末とは別の端末である第2端末を所有する人又は組織に前記ユーザが連絡する状況にない場合は、前記第1端末及び前記第2端末の両方に前記通知情報を送信する。
【0008】
本開示の一態様に係る防災システムは、前記通報システムと、前記検知器として用いられる検知用端末と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る通報方法は、取得処理と、通知処理と、を有する。前記取得処理は、検知器から検知情報を取得する処理である。前記検知器は、施設において防災の対象となる事象が発生したことを検知する。前記通知処理は、前記検知情報に基づいて、前記施設の外部に通知情報を送信する処理である。前記通知処理では、前記施設の住人又は利用者であるユーザが前記施設に存在する場合は、前記ユーザが所有する第1端末に前記通知情報を送信し、前記ユーザが前記施設に存在しない場合、又は、前記ユーザが前記施設に存在する場合であっても、前記第1端末とは別の端末である第2端末を所有する人又は組織に前記ユーザが連絡する状況にない場合は、前記第1端末及び前記第2端末の両方に前記通知情報を送信する。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記通報方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、より適切な災害への対処につながる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る通報システム及び防災システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同上の通報システム及び防災システムの一適用例を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、同上の通報システム及び防災システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、同上の通報システム及び防災システムの動作例を示す概念図である。
【
図5】
図5は、同上の通報システム及び防災システムの基本動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る通報システム及び防災システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る通報システム10(
図1参照)は、施設F1(
図1参照)において防災の対象となる事象が発生したことに伴い通報を行うシステムである。本開示でいう「通報」は、情報を告げ知らせることを意味し、例えば、「通知情報」を送信することを意味する。
【0014】
本開示でいう「施設」は、戸建住宅、集合住宅、又は集合住宅の各住戸等の住宅施設、及び店舗、オフィス、学校、福祉施設、病院又は工場等の非住宅施設を含む。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。さらには、本開示でいう「施設」には、球場、庭、駐車場、グランド及び公園等の屋外施設を含む。
【0015】
また、本開示でいう「防災」は、災害を防止すること全般を意味し、災害を未然に防ぐための取り組みだけでなく、被害の拡大を防ぐための被害軽減措置、及び被災からの復旧等を含む。本開示でいう「防災の対象となる事象」とは、防災により防ぐべき災害を意味し、例えば、火災、土砂災害、竜巻、台風、水害又は地震等の災害である。本実施形態では一例として、防災の対象となる事象は「火災」であることとし、この場合の「防災」には、被害軽減措置である火災発生後の消火活動、及び被災者の救助活動等を含む。
【0016】
本実施形態に係る通報システム10は、検知器3(
図1参照)として用いられる検知用端末と共に、防災システム100(
図1参照)を構成する。検知器3は、施設F1において防災の対象となる事象が発生したことを検知する装置である。本実施形態では、上述したように防災の対象となる事象(災害)は火災であるので、検知器3は、施設F1において火災の発生を検知する火災感知器である。特に本実施形態では、検知器3は、火災の発生を検知する検知機能と、火災の発生を検知した場合に発報する警報機能と、を有した住宅用火災警報器(以下、「住警器」と呼ぶこともある)であることを想定する。この種の検知器3は、例えば、火災の発生時に警報音等の音を出力する。言い換えれば、本実施形態に係る防災システム100は、通報システム10と、検知器3として用いられる検知用端末(本実施形態では、住警器)と、を備えている。
【0017】
本実施形態に係る通報システム10は、
図1に示すように、取得部12と、通知部13と、を備えている。取得部12は、検知器3から検知情報を取得する。検知器3は、施設F1において防災の対象となる事象が発生したことを検知する。通知部13は、検知情報に基づいて、施設F1の外部に通知情報を送信する。ここで、通知部13は、第1端末4と、第2端末5と、の両方に対して通知情報を送信可能に構成されている。第1端末4は、ユーザX1が所有する端末である。第2端末5は、ユーザX1よりも先に施設F1へ到着可能な人又は組織が所有する端末である。
【0018】
本開示でいう「ユーザ」は、通報システム10が導入された施設F1の利用者であって、本実施形態では、戸建住宅である施設F1の住人である。また、第2端末5を所有する「人又は組織」は、ユーザX1よりも先に施設F1へ到着可能な人又は組織であって、一例として、消防機関Y1、施設F1を管理する管理会社Y2、セキュリティ会社Y3、及び施設F1が属する自治体Y4等である。
【0019】
本開示でいう「所有」は、単に人又は組織が所持している状態、管理下に置いている状態、又はこれらに類する状態を含む。ここで、本開示でいう「所持」は、持っている又は携帯していること全般を意味し、人が手に持っている場合だけでなく、身に着けている(装着している)こと、及びポケット若しくはバッグ等に収容していることを含む。すなわち、ユーザX1が「所有」する第1端末4については、ユーザX1のバッグに収容されている等の、ユーザX1に所持されている、ユーザX1の管理下にある、又はこれらに類する状態にある。すなわち、第1端末4の所有権はユーザX1に無くてもよく、第1端末4はユーザX1に貸与されていてもよい。また、消防機関Y1が「所有」する第2端末5については、消防機関Y1の通信指令室に設置されている等の、消防機関Y1に所持されている、消防機関Y1の管理下にある、又はこれらに類する状態にある。
【0020】
以下では、第1端末4を所有するユーザX1(本実施形態では施設F1の住人)を、「第1通報先」と呼ぶこともある。同様に、第2端末5を所有する人又は組織、つまりユーザX1よりも先に施設F1へ到着可能な人又は組織(本実施形態では消防機関Y1、管理会社Y2、セキュリティ会社Y3、及び自治体Y4等)を、「第2通報先」と呼ぶこともある。すなわち、第1通報先であるユーザX1が第1端末4を所有し、第2通報先である消防機関Y1等の組織が第2端末5を所有する。
【0021】
上述した構成の通報システム10によれば、施設F1において防災の対象となる事象が発生すると、検知器3からの検知情報に基づいて、施設F1の外部に通知情報が送信されることで通報が行われる。そして、通報に際して、通知部13は、ユーザX1が所有する第1端末4と、ユーザX1よりも先に施設F1へ到着可能な人又は組織が所有する第2端末5と、の両方に通知情報を送信可能である。すなわち、本実施形態に係る通報システム10においては、施設F1での防災の対象となる事象の発生時に、ユーザX1への通報だけでなく、ユーザX1よりも早く施設F1に駆けつけることを期待し得る人又は組織(Y1~Y5)に対しても通報可能である。よって、例えば、通報を受けたユーザX1が旅行中ですぐに施設F1に到着し得ない場合等であっても、通報を受けた消防機関Y1等が、迅速に施設F1での防災活動(消火活動等)を実施可能となる。結果的に、火事等の災害への対処の遅れを低減でき、より適切な災害への対処につながる、という利点がある。
【0022】
ただし、通知部13は、第1端末4と、第2端末5と、の両方に対して通知情報を送信可能であればよく、常に、第1端末4と第2端末5との両方に対して通知情報を送信する構成に限らない。言い換えれば、通知部13は、第1端末4に通知情報を送信する機能と、第2端末5に通知情報を送信する機能と、の両方を有していればよく、第1端末4のみ、又は第2端末5のみに通知情報を送信することがあってもよい。
【0023】
(2)構成
以下、本実施形態に係る通報システム10及び防災システム100の構成について、
図1及び
図2を参照して詳しく説明する。
【0024】
(2.1)前提
以下では、施設F1には父、母及び子の3人家族が住んでおり、施設F1が、
図2に示すように、空間E1~E5の5つの空間(部屋)を有する戸建住宅である場合を想定する。
図2の例では、空間E1は居間(リビング)、空間E2は寝室、空間E3は階段、空間E4は子供部屋、空間E5は台所である。
【0025】
本実施形態において、施設F1の住人である父、母及び子は、通報システム10が導入された施設F1のユーザX1(
図1参照)となり得る。ただし、本実施形態では、施設F1の住人である父のみがユーザX1であると仮定する。つまり、第1端末4を所有するユーザX1(第1通報先)は、施設F1の住人である父、母及び子のうちの「父」である。
【0026】
このような施設F1において、防災システム100における複数の検知器3は、それぞれ設置場所L1となる上記空間E1~E5に設置されている。すなわち、5つの空間E1~E5は、それぞれ検知器3の設置場所L1である。複数の検知器3は、設置場所L1となる空間E1~E5の天井又は壁等に設置される。以下、複数の検知器3の区別する場合には、複数の検知器3の各々を検知器3A、検知器3B、検知器3C、検知器3D、検知器3Eと呼ぶこともある。検知器3A~3Eは、それぞれ空間E1~E5に設置されている。
【0027】
これら複数の検知器3のうちの少なくとも1つの検知器3は、施設F1に設置されているコントローラ1と通信可能に構成されている。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。すなわち、これら複数の検知器3のうちの少なくとも1つの検知器3とコントローラ1とは、互いに信号を授受することができる。
【0028】
コントローラ1は、一例として、施設F1の空間E3における1階の階段横に設置されている。コントローラ1は、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御又は監視を行う。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、空調装置、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、電動カーテン、電動シャッタ又はテレビジョン受像機等を含む。HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
【0029】
また、コントローラ1は、直接的又はルータ等を介して間接的に、インターネット等のネットワークNT1(
図1参照)に接続されている。ネットワークNT1には、施設F1の外部にあるサーバ2(
図1参照)、第1端末4(
図1参照)及び第2端末5(
図1参照)等が接続される。第1端末4及び第2端末5は、例えば、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)又は公衆無線LAN(Local Area Network)等を介してネットワークNT1に接続されてもよい。携帯電話網には、例えば、3G(第3世代)回線、LTE(Long Term Evolution)回線等がある。これにより、コントローラ1は、ネットワークNT1を介して、施設F1の外部にあるサーバ2、第1端末4及び第2端末5等と通信可能となる。さらに、コントローラ1は、施設F1内にある情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)等とも通信可能である。
【0030】
また、本実施形態において、第2端末5を所有する人又は組織は、施設F1の管理主体、セキュリティサービスの提供主体、施設F1が属する自治体Y4、及び消防機関Y1の少なくとも1つを含んでいる。本開示でいう「施設F1の管理主体」は、施設F1を管理する主体となる人又は組織であって、例えば、施設F1の管理会社Y2又はメンテナンス会社等である。本開示でいう「セキュリティサービスの提供主体」は、施設F1に関連するセキュリティサービスを提供する人又は組織であって、例えば、セキュリティ会社Y3又は警備会社等である。本開示でいう「自治体」は、施設F1がある市(市町村)、県(都道府県)又は州等の組織であって、例えば、町内会又は市役所等である。本開示でいう「消防機関」は、消防を行う組織であって、例えば、消防署又は消防団等である。本実施形態では、第2端末5を所有する第2通報先は、一例として、消防機関Y1、管理会社Y2、セキュリティ会社Y3及び自治体Y4の4箇所である。
【0031】
第2通報先としての消防機関Y1、管理会社Y2、セキュリティ会社Y3及び自治体Y4は、それぞれ第2端末5を所有する。以下、複数の第2端末5の区別する場合には、複数の第2端末5の各々を第2端末51、第2端末52、第2端末53、第2端末54と呼ぶこともある。第2端末51~54は、それぞれ消防機関Y1、管理会社Y2、セキュリティ会社Y3及び自治体Y4に所有されている。
【0032】
第2端末51は、一例として、消防機関Y1の指令センタに設置される情報処理装置である。第2端末52は、一例として、管理会社Y2の窓口センタに設置される情報処理装置である。第2端末53は、一例として、セキュリティ会社Y3の指令センタに設置される情報処理装置である。第2端末54は、一例として、自治体Y4の役員が所有する情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)である。これらの第2端末5は、それぞれ1つの第2通報先に複数ずつ設けられていてもよい。
【0033】
(2.2)全体構成
次に、本実施形態に係る防災システム100の全体構成について詳しく説明する。防災システム100は、上述したように、通報システム10と、検知器3として用いられる検知用端末(本実施形態では住警器)と、を備えている。
【0034】
また、本実施形態では、通報システム10は、施設F1に設置されたコントローラ1と、施設F1の外部に設置されたサーバ2と、を備えている。通報システム10を構成するコントローラ1及びサーバ2について詳しくは、「(2.3)通報システムの構成」の欄で説明する。
【0035】
本実施形態では、防災システム100は、
図1及び
図2に示すように、複数(図示例では5つ)の検知器3(住警器)を備えている。複数の検知器3は、いわゆる連動型の住警器であり、いずれの検知器3で火災を検出しても、他の検知器3と連動して(他の検知器3と共に)、警報音の発報を行うように構成されている。本実施形態では、複数の検知器3の間で、通信可能なネットワークが形成されている。複数の検知器3の間の通信は、例えば、電波を媒体とした無線通信、又は有線通信にて実現される。ここでは一例として、5つの検知器3A~3Eのうち、検知器3Aが親機として機能し、他の検知器3B~3Eが子機として機能し、親機と子機との間で通信可能である場合を想定する(
図2参照)。
【0036】
検知器3は、施設F1において防災の対象となる事象(本実施形態では火災)が発生したことを検知する。また、本実施形態では、検知器3は、上述したように住警器であるので、火災の発生を検知する検知機能と、火災の発生を検知した場合に発報する警報機能と、を有している。
【0037】
ここで、検知器3は、物理量に応じた電気信号を出力するセンサ31を含んでいる。
図1では、5つの検知器3A~3Eのうち、検知器3Aについてのみセンサ31を図示しているが、他の検知器3B~3Eも検知器3Aと同様に、それぞれセンサ31を有している。センサ31は、検知器3における検知機能を実現するためのセンサである。すなわち、本実施形態では、検知器3は、防災の対象となる事象として「火災」の発生を検知するので、センサ31は火災の発生を検知するためのセンサである。センサ31は、一例として、煙を検知する光電式のセンサであって、発光素子と受光素子とを含んでいる。この種のセンサ31では、例えば、発光素子と受光素子との間に流入した煙により生じる散乱光を、受光素子で受光する。このセンサ31は、例えば、受光素子での受光量に応じた電気信号、つまり検知器3に流入した煙の濃度(物理量)に応じた電気信号を出力する。ただし、センサ31は、光電式のセンサに限らず、例えば、火災による熱又は炎等を検知するセンサであってもよい。
【0038】
火災の発生を検知した場合に発報する警報機能は、例えば、音(警報音等)と光との少なくとも一方で実現される。すなわち、検知器3は、防災の対象となる事象(本実施形態では火災)の発生を検知すると、音と光との少なくとも一方により、施設F1内に居る人に対して発報(報知)を行う。
【0039】
ここにおいて、複数の検知器3は、親機として機能する検知器3Aと、子機として機能する検知器3B~3Eのいずれで火災を検出しても、他の検知器3と連動して(他の検知器3と共に)、発報を行う。
【0040】
具体的には、
図2に例示するように、居間である空間E1で火災が発生した場合、空間E1に設置されている検知器3Aが火災の発生を検知する。このように親機である検知器3Aが火災の発生を検知した場合、検知器3Aは、警報音等による発報を行いつつ、検知情報を他の4つの検知器3B~3Eに送信する。検知情報を受信した各検知器3B~3Eは、検知器3Aの発報に連動して発報を行う。
【0041】
一方、子機である検知器3Bが火災の発生を検知した場合、検知器3Bは、警報音等による発報を行いつつ、検知情報を親機である検知器3Aに送信する。検知情報を受信した検知器3Aは、検知器3Bの発報に連動して発報を行いつつ、検知情報を検知器3B以外の子機である検知器3C~3Eに送信する。検知情報を受信した各検知器3C~3Eは、検知器3Bの発報に連動して発報を行う。結果的に、検知器3Bの発報に連動して、他の検知器3A,3C~3Eが発報を行うことになる。子機である検知器3C~3Eのいずれかが火災の発生を検知した場合も、検知器3Bが火災の発生を検知した場合と同様に、他の検知器3と連動して発報を行う。
【0042】
本実施形態では、検知器3は、一例として電池式の住警器である。ただし、検知器3は、外部電源(例えば商用の電力系統)に電気的に接続され、外部電源から供給される交流電力(例えば実効値100V)を直流電力に変換して動作してもよい。
【0043】
これら複数の検知器3のうちの少なくとも1つの検知器3は、上述したように、通報システム10のコントローラ1と通信可能に構成されている。本実施形態では、複数の検知器3のうちの親機として機能する検知器3Aは、コントローラ1と直接的に通信する。一方、複数の検知器3のうちの子機として機能する検知器3B~3Eは、親機として機能する検知器3Aを介して、コントローラ1と間接的に通信する。これにより、複数の検知器3はいずれも、直接的に又は間接的に、コントローラ1と通信する。
図1では、複数の検知器3の全てが、コントローラ1と直接的に接続されているように図示しているが、実際には、上述のように検知器3B~3Eは検知器3A経由でコントローラ1と通信する。
【0044】
これにより、通報システム10(コントローラ1)は、検知器3からの検知情報を受信することが可能となり、検知器3との連携動作が可能となる。本実施形態では、複数の検知器3のいずれかが火災の発生を検知すると、検知器3Aからコントローラ1に検知情報が送信されることより、通報システム10と検知器3との連携動作が実現される。検知器3と通報システム10との連携動作については、「(2.3)通報システムの構成」の欄で説明する。
【0045】
ところで、本実施形態では、検知器3は、
図1に示すように、少なくとも検知器3が設置される設置場所L1(
図2参照)に関連する位置情報を保持している。本開示でいう「位置情報」は、検知器3の設置場所L1を特定するための情報であって、施設F1の位置を示す情報と、施設F1における検知器3の設置場所L1を示す情報と、の少なくとも一方を含んでいる。施設F1の位置を示す情報は、例えば、施設F1の住所、又は施設F1の位置を示すGPS(Global Positioning System)等の座標情報等を含む。施設F1における検知器3の設置場所L1を示す情報は、例えば、検知器3が設置されている部屋(空間E1~E5)の名称、階数(1階又は2階等)、又は入口からの経路(「入口から入って右側」等)等の情報を含む。部屋(空間E1~E5)の名称は、名称情報(「居間」、「階段」、「寝室」、「子供部屋」及び「台所」等)であってもよいし、コード情報(「A1」、「A2」、「A3」、「A4」及び「A5」等)であってもよい。あるいは、名称情報は、例えば、「寝室」等の簡易名称であってもよいし、「両親の寝室」、「2階寝室」等の詳細名称であってもよい。
【0046】
コード情報は、一例として、サーバ2(
図1参照)に記憶されている対応情報によって名称情報と対応付けられる。同様に、簡易名称は、一例として、サーバ2に記憶されている対応情報によって詳細名称と対応付けられる。そのため、施設F1における検知器3の設置場所L1を示す情報がコード情報(又は簡易名称)を含む場合には、サーバ2に記憶されている対応情報を変更することによって、名称情報(又は詳細名称)を変更することが可能である。よって、位置情報によって特定される検知器3の設置場所L1を示す情報(名称情報)については、サーバ2にアクセス可能な情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)を用いれば、施設F1の内部又は外部から任意に設定(登録)可能である。
【0047】
ここでは、検知器3は、位置情報を、データとして記憶するメモリを有している。具体的には、検知器3は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等のメモリに、位置情報を記憶している。ただし、検知器3は、位置情報をメモリに記憶する構成に限らず、例えば、ディップスイッチ又はロータリスイッチ等の接点のオン、オフ状態によって、位置情報を保持してもよい。
【0048】
詳しくは「(2.3)通報システムの構成」の欄で説明するが、少なくとも検知器3(3A)からコントローラ1に送信される検知情報には、検知情報の発生元である検知器3の位置情報を含んでいる。また、本実施形態では、少なくとも子機である検知器3B~3Eのいずれかが親機である検知器3Aに送信する検知情報にも、位置情報が含まれている。
【0049】
(2.3)通報システムの構成
次に、本実施形態に係る通報システム10の構成について詳しく説明する。通報システム10は、上述したように、コントローラ1と、サーバ2と、を備えている。
【0050】
コントローラ1は、
図1に示すように、通信部11、取得部12、通知部13、判断部14、電力計測部15及び機器制御部16を有している。本実施形態では一例として、コントローラ1は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、取得部12、通知部13、判断部14、電力計測部15及び機器制御部16等の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、コントローラ1として機能させるためのプログラムである。
【0051】
コントローラ1は、上述したように、施設F1におけるHEMS対応機器の制御又は監視を行う。また、コントローラ1は、分電盤等に設けられた計測システムと連携して、施設F1で使用されている電力、及び施設F1で発電される電力等を計測する機能を更に有している。特に、本実施形態では、施設F1全体での消費(又は発電)電力だけでなく、複数の分岐回路の各々についての消費電力等についても計測可能に構成されている。
【0052】
通信部11は、検知器3、HEMS対応機器及び計測システム等との通信機能を有する。さらに、コントローラ1は、ネットワークNT1を経由することで、サーバ2、第1端末4及び第2端末5とも通信可能であるので、通信部11は、これらの装置との通信機能も有している。つまり、通信部11は、施設F1の外部にあるサーバ2、第1端末4及び第2端末5との通信機能も有している。本実施形態では、検知器3、HEMS対応機器及び計測システム等と、通信部11(コントローラ1)との間においては、双方向の通信が可能である。同様に、サーバ2、第1端末4及び第2端末5等と、通信部11(コントローラ1)との間においても、双方向の通信が可能である。
【0053】
通信部11(コントローラ1)と、検知器3、HEMS対応機器及び計測システム等との間の通信方式は、例えば、電波を媒体とした無線通信である。無線通信の一例としては、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した通信方式がある。また、通信部11(コントローラ1)と、検知器3、HEMS対応機器及び計測システム等との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。
【0054】
取得部12は、検知器3から検知情報を取得する。すなわち、取得部12は、コントローラ1と同じ施設F1に設置されている検知器3から、検知情報を取得する機能を有している。検知情報は、検知器3が防災の対象となる事象(本実施形態では火災)の発生を検知したときに、検知器3からコントローラ1(通信部11)に送信される。本実施形態では、取得部12は、親機である検知器3Aからは直接的に、また子機である検知器3B~3Eからは検知器3Aを介して間接的に、検知情報を取得する。
【0055】
ここで、取得部12が検知器3から取得する検知情報には、検知情報の発生元である検知器3の位置情報を含んでいる。検知情報に含まれる位置情報は、検知情報の発生元である検知器3の設置場所L1に関連する情報であって、例えば、「寝室」等の名称情報(簡易名称)である。
【0056】
通知部13は、検知情報に基づいて、施設F1の外部に通知情報を送信する。ここで、通知部13は、第1端末4と、第2端末5と、の両方に対して通知情報を送信可能に構成されている。第1端末4は、ユーザX1が所有する端末である。第2端末5は、ユーザX1よりも先に施設F1へ到着可能な人又は組織が所有する端末である。
【0057】
つまり、取得部12にて検知情報が取得されると、通知部13は、この検知情報に基づいて通知情報の送信を行う。本実施形態では、通知部13は、通信部11からネットワークNT1を介して第1端末4及び第2端末5に通知情報を送信する。
【0058】
本開示でいう「通知情報」は、検知器3が防災の対象となる事象(本実施形態では火災)の発生を検知したときに、コントローラ1(通信部11)から施設F1の外部に送信されることで、通報を行うための情報である。特に、第1通報先であるユーザX1が所有する第1端末4に通知情報が送信されることで、例えば、外出中のユーザX1に対して、防災の対象となる事象(本実施形態では火災)の発生を知らせることができる。また、第2通報先である消防機関Y1等が所有する第2端末5に通知情報が送信されることで、消防機関Y1等に施設F1での防災活動(消火活動等)を要請可能となる。
【0059】
ここで、通知部13は、少なくとも第2端末5に送信する通知情報に、検知情報の発生元である検知器3の位置情報を含めている。言い換えれば、通知部13にて送信される通知情報のうち少なくとも第2端末5に送信される通知情報は、検知情報の発生元である検知器3の位置情報を含んでいる。位置情報は、上述したように検知器3の設置場所L1を特定するための情報である。本実施形態では、通知部13は、第2端末5だけでなく、第1端末4に送信する通知情報にも、検知情報の発生元である検知器3の位置情報を含めることとする。
【0060】
また、通知部13は、少なくとも第2端末5に送信する通知情報に、検知情報の発生した時刻を示す時刻情報を含めている。言い換えれば、通知部13にて送信される通知情報のうち少なくとも第2端末5に送信される通知情報は、検知情報の発生した時刻を示す時刻情報を含んでいる。本実施形態では一例として、時刻情報は、コントローラ1にて生成される。つまり、通知部13は、取得部12が検知情報を取得した時刻を、検知情報の発生した時刻とみなして、この時刻を示す時刻情報を付与した通知情報を送信する。実施形態では、通知部13は、第2端末5だけでなく、第1端末4に送信する通知情報にも、検知情報の発生した時刻を示す時刻情報を含めることとする。
【0061】
判断部14は、通知部13にて通知情報を送信するか否かと、通知部13での通知情報の送信の態様と、の少なくとも一方を判断する。すなわち、通知部13にて通知情報を送信するか否かと、通知部13での通知情報の送信の態様との少なくとも一方は、判断部14にて判断される。本開示でいう「通知情報の送信の態様」は、通知情報を送信する順番、通知情報を送信するまでの待機時間、通知情報の内容、及び通知情報の送信先(第1端末4、第2端末5、又は第1端末4及び第2端末5等)等を含む。要するに、上述したように、通知部13は、第1端末4と、第2端末5と、の両方に対して通知情報を送信可能であればよく、常に、第1端末4と第2端末5との両方に対して通知情報を送信する構成に限らない。判断部14が、通知情報の送信の態様として、第1端末4のみに送信すると判断した場合、通知部13は、第1端末4のみに通知情報を送信する。
【0062】
ここで、判断部14は、少なくとも施設F1の状況と施設F1に居る人の状況との一方に関する判断情報に基づいて判断を行う。本開示でいう「判断情報」は、施設F1の状況、及び施設F1に居る人の状況の少なくとも一方に関する情報であって、一例として、施設F1における人の在否、施設F1の電力消費状況、時間帯及び施設F1に居る人の生活パターンから特定可能される。
【0063】
人の在否は、有人(在宅)か無人(不在)かといった施設F1の状況を直接的に表す。人の在否は、施設F1の電力消費状況、時間帯及び施設F1に居る人の生活パターン等からも推定可能である。施設F1の電力消費状況、時間帯及び施設F1に居る人の生活パターン等は、施設F1に居る人が就寝中か否か、及び施設F1に居る人が入浴中か否かといった、施設F1に居る人の状況の推定にも用いられる。さらに、施設F1に居る人が子供(子)のみである状況等についても、施設F1の電力消費状況、時間帯及び施設F1に居る人の生活パターン等から、推定可能である。判断部14は、これらの判断情報を判断条件に照らして、通知部13にて通知情報を送信するか否かと、通知部13での通知情報の送信の態様と、の少なくとも一方を判断する。詳しくは「(3)動作」の欄で説明するが、本実施形態では、施設F1の人の在否に関する判断情報のみを判断部14での判断に用いることと仮定する。
【0064】
電力計測部15は、コントローラ1としての基本的な処理を実行する。ここでは、電力計測部15は、施設F1全体、及び施設F1における複数の分岐回路の各々について、消費(又は発電)電力を計測する機能を有している。
【0065】
機器制御部16は、コントローラ1としての基本的な処理を実行する。ここでは、機器制御部16は、施設F1に設置されているHEMS対応機器の制御又は監視の機能を有している。
【0066】
サーバ2は、
図1に示すように、サーバ側通信部21、記憶部22、登録部23及び更新部24を有している。本実施形態では一例として、サーバ2は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、記憶部22、登録部23及び更新部24等の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、サーバ2として機能させるためのプログラムである。サーバ2は、例えば、第2通報先(Y1~Y5)とは別の人又は組織によって管理される。
【0067】
サーバ側通信部21は、ネットワークNT1に接続され、少なくともコントローラ1との通信機能を有する。さらに、サーバ2は、ネットワークNT1を経由することで、第1端末4及び第2端末5とも通信可能であるので、サーバ側通信部21は、これらの装置との通信機能も有している。本実施形態では、基本的に、コントローラ1はサーバ2を通して、第1端末4及び第2端末5への通知情報の送信を行う。すなわち、コントローラ1はサーバ2に通知情報を送信し、サーバ2が第1端末4及び第2端末5に通知情報を送信(転送)することにより、結果的に、コントローラ1から第1端末4及び第2端末5に通知情報の送信が行われる。
【0068】
記憶部22は、少なくとも第1端末4及び第2端末5の情報が記憶されている。ここでいう第1端末4及び第2端末5の情報は、第1端末4及び第2端末5を識別するための識別子であって、一例として、電子メールアドレス、電話番号又はIPアドレス等である。本実施形態では、記憶部22は、第1端末4及び第2端末5の情報を、施設F1の情報(コントローラ1の識別子及び住所等)に対応付けて記憶している。例えば、ユーザX1が住む施設F1に対しては、このユーザX1が所有する第1端末4の情報が対応付けて記憶されている。
【0069】
さらに、記憶部22には、上述したようにコード情報と名称情報とを対応付ける対応情報等も記憶されている。また、記憶部22には、上述したように簡易名称と詳細名称とを対応付ける対応情報等も記憶されている。記憶部22は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモリを含む。
【0070】
登録部23は、第1端末4及び第2端末5の情報等の登録を行う。登録部23は、情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)からの操作信号により、記憶部22に新たに情報を書き込む、又は記憶部22に記憶されている情報を書き換えることにより、第1端末4及び第2端末5の情報等の登録を行う。一例として、サーバ2にアクセス可能な情報端末を用いれば、第1端末4及び第2端末5の情報を、施設F1の内部又は外部から任意に設定(登録)可能である。
【0071】
更新部24は、通知部13から通知情報として送信される情報の少なくとも一部を変更する。本実施形態では一例として、更新部24は、通知情報として送信される情報のうち、位置情報について変更を行う。具体的には、検知情報の位置情報が「寝室」等の簡易名称を含む場合には、更新部24は、この位置情報を「両親の寝室」、「2階寝室」等の詳細名称に変更する。これにより、サーバ2から送信される通知情報には、位置情報として詳細名称が含まれることになる。また、検知情報の位置情報が「A1」等のコード情報を含む場合には、更新部24は、この位置情報を「寝室」等の名称情報に変更してもよい。
【0072】
(3)動作
次に、本実施形態に係る通報システム10及び防災システム100の動作について、
図3~
図5を参照して詳しく説明する。通報システム10の動作は、本実施形態に係る通報方法に相当する。
【0073】
(3.1)動作例
図3及び
図4は、施設F1で火災が発生した場合の、通報システム10及び防災システム100の動作例を示す。ここでは、施設F1に人が存在しない「不在」の状態において、施設F1の空間E2(寝室)で火災が発生した場合を想定する。サーバ2においては、空間E2(寝室)の名称情報として、「両親の寝室」及び「2階寝室」の詳細名称が登録されていることとする。
【0074】
この場合、
図3に示すように、まず、施設F1に設置されているいずれかの検知器3が、火災を検知し(S1)、警報音等による発報を行う(S2)。そして、検知器3は、直接的に又は間接的にコントローラ1に検知情報を送信する(S3)。ここで、検知器3からコントローラ1に送信される検知情報は、
図4に示すように、少なくとも「発報、寝室」という情報を含んでいる。このうち「寝室」という情報は、検知情報の発生元の検知器3の位置情報のうち、施設F1における検知器3の設置場所L1を示す位置情報である。
【0075】
検知情報を受信したコントローラ1は、
図3に示すように、判断部14にて判断処理を実行する(S4)。本実施形態では、判断部14での判断処理には、施設F1の人の在否に関する判断情報が用いられる。人の在否は、例えば、人感センサの出力から特定可能である。または、施設F1の電力消費状況、時間帯及び施設F1に居る人の生活パターン等から、人の在否に関する判断情報が推定されてもよい。
【0076】
そして、コントローラ1は、検知情報をサーバ2に送信する(S5)。このとき、コントローラ1は、判断部14での判断処理の結果(判断結果)を、検知情報と一緒にサーバ2に送信する。さらに、コントローラ1から送信される検知情報は、検知情報の発生元の検知器3の種別(本実施形態では「火災」を検知する住警器)を表す情報を含んでいる。また、コントローラ1から送信される検知情報は、検知情報の発生した時刻(取得部12が検知情報を取得した時刻)を示す時刻情報を含んでいる。
【0077】
検知情報を受信したサーバ2は、通知情報の通知先の特定を行う(S6)。このとき、サーバ2は、検知情報の送信元のコントローラ1が設置されている施設F1に対応する第1端末4及び第2端末5の情報を、記憶部22から読み出す。さらに、サーバ2は、判断部14での判断結果を参照して通知先を特定(決定)する。ここでは一例として、判断結果が施設F1に人が存在することを表す「在宅」であれば、サーバ2は、第1端末4のみを通知先とする。判断結果が施設F1に人が存在しないことを表す「不在」であれば、サーバ2は、第1端末4及び第2端末5の両方を通知先とする。つまり、本実施形態における判断条件は、施設F1に人が存在すれば、第1端末4のみに通知情報を送信し、施設F1に人が存在しなければ、第1端末4及び第2端末5の両方に通知情報を送信する、という条件を含む。
図3及び
図4の例では、判断結果は「不在」であるので、第1端末4及び第2端末5の両方が通知先となる。
【0078】
サーバ2から第1端末4に送信される通知情報は、
図4に示すように、少なくとも「14:25、両親の寝室で火災」という情報を含んでいる。このうち「両親の寝室」という情報は、「寝室」という簡易名称から更新部24にて変更されることにより得られる情報である。また、「14:25」という情報は、コントローラ1から送信される検知情報に含まれている時刻情報であって、検知情報の発生した時刻を示している。
【0079】
サーバ2から第2端末5に送信される通知情報は、
図4に示すように、少なくとも「14:25、A市B-C、Xさん宅で火災、火元は2階寝室」という情報を含んでいる。このうち「A市B-C、Xさん宅」という情報は、施設F1の位置を示す情報(施設F1の住所等)を含む位置情報である。つまり、本実施形態では、サーバ2から送信される通知情報には、施設F1の位置を示す情報(施設F1の住所等)を含む位置情報が付加されている。すなわち、サーバ2の記憶部22には、施設F1の情報(住所等)が記憶されているので、サーバ2では、位置情報として、施設F1の位置を示す住所等の情報を含めて、通知情報を生成する。また、「2階寝室」という情報は、「寝室」という簡易名称から更新部24にて変更されることにより得られる情報である。また、「14:25」という情報は、コントローラ1から送信される検知情報に含まれている時刻情報であって、検知情報の発生した時刻を示している。
【0080】
図3に示すように、サーバ2から第1端末4に通知情報が送信されると(S7)、第1端末4は、受信した通知情報の提示を行う(S8)。第1端末4は、一例として、第1端末4のディスプレイに通知情報の内容をテキスト表示することにより、通知情報の提示を行う。同様に、サーバ2から第2端末5に通知情報が送信されると(S9)、第2端末5は、受信した通知情報の提示を行う(S10)。第2端末5は、一例として、第2端末5のディスプレイに通知情報の内容をテキスト表示することにより、通知情報の提示を行う。ここで、第1端末4及び第2端末5は、通知情報を受信すると、プッシュ通知により提示を行うことが好ましい。
【0081】
以上説明したように、通報システム10によれば、第1端末4を所有する第1通報先であるユーザX1だけでなく、第2端末5を所有する第2通報先である消防機関Y1、管理会社Y2、セキュリティ会社Y3、及び自治体Y4等にも、通報が行われる。すなわち、通報システム10によれば、施設F1での防災の対象となる事象の発生時に、ユーザX1への通報だけでなく、ユーザX1よりも早く施設F1に駆けつけることを期待し得る人又は組織(Y1~Y5)に対しても通報がなされる。よって、例えば、通報を受けたユーザX1が旅行中ですぐに施設F1に到着し得ない場合等であっても、通報を受けた消防機関Y1等が、迅速に施設F1での防災活動(消火活動等)を実施可能となる。結果的に、火事等の災害への対処の遅れを低減でき、より適切な災害への対処につながる。
【0082】
(3.2)フローチャート
図5は、本実施形態に係る通報システム10及び防災システム100の基本動作の一例を示すフローチャートである。すなわち、
図5に示すフローチャートは、通報システム10にて実現される避難支援方法を表している。
【0083】
図5に示すように、防災システム100は、まず検知器3での発報の有無を監視する(S11)。発報が無い、つまり火災の発生が検知されなければ(S11:No)、防災システム100は、検知器3での発報の有無の監視を継続する。一方、発報が有る、つまり火災の発生が検知されると(S11:Yes)、通報システム10は、取得部12にて検知器3から検知情報を取得する(S12)。
【0084】
その後、通報システム10は、判断部14にて判断情報を取得する(S13)。本実施形態では、上述したように、施設F1の人の在否に関する判断情報が用いられるので、判断部14は、施設F1の人の在否に関する判断情報を取得する。通報システム10は、判断部14にて判断処理を行う(S14)。このとき、判断部14は、例えば、人感センサの出力、施設F1の電力消費状況、時間帯及び施設F1に居る人の生活パターン等から、人の在否を判断する。
【0085】
施設F1に人が存在する、つまり「在宅」と判断された場合(S14:Yes)、通報システム10は、サーバ2にて通知情報を生成し(S15)、サーバ2から第1端末4に通知情報を送信することで、ユーザX1に通知を行う(S16)。このとき生成され第1端末4に送信される通知情報は、一例として、
図4に示したような第1端末4宛ての通知情報である。
【0086】
一方、施設F1に人が存在しない、つまり「不在」と判断された場合(S14:No)、通報システム10は、サーバ2にて通知先を特定する(S17)。このとき、第1通報先(ユーザX1)に加えて、第2通報先(消防機関Y1、管理会社Y2、セキュリティ会社Y3、及び自治体Y4)についても、通知先として特定される。そして、通報システム10は、サーバ2にて通知情報を生成し(S18)、サーバ2から第1端末4及び第2端末5に通知情報を送信することで、ユーザX1及び消防機関Y1等に通知を行う(S19)。このとき生成され第1端末4に送信される通知情報は、一例として、
図4に示したような第1端末4宛ての通知情報である。同様に、第2端末5に送信される通知情報は、一例として、
図4に示したような第2端末5宛ての通知情報である。
【0087】
以降、通報システム10は一連の処理S11~S19を繰り返し実行する。
図5のフローチャートは、通報システム10の動作の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
【0088】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態1に係る通報システム10と同様の機能は、通報方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る通報方法は、取得処理(
図5の「S12」に相当)と、通知処理(
図5の「S16」、「S19」に相当)と、を有する。取得処理は、検知器3から検知情報を取得する処理である。検知器3は、施設F1において防災の対象となる事象が発生したことを検知する。通知処理は、検知情報に基づいて、施設F1の外部に通知情報を送信する処理である。通知処理では、第1端末4と、第2端末5と、の両方に対して通知情報を送信可能である。第1端末4は、ユーザX1が所有する。第2端末5は、第1端末4とは別の端末である。第2端末5は、ユーザX1よりも先に施設F1へ到着可能な人又は組織が所有する。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の通報方法を実行させるためのプログラムである。
【0089】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0090】
本開示における通報システム10は、例えば、コントローラ1等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における通報システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0091】
また、通報システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは通報システム10に必須の構成ではなく、通報システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、通報システム10のうちのコントローラ1に設けられている機能の一部が、コントローラ1とは別の筐体に設けられていてもよい。さらに、通報システム10の少なくとも一部の機能、例えば、判断部14の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0092】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている通報システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、コントローラ1とサーバ2とに分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0093】
また、防災の対象となる事象は、火災に限定されず、土砂災害、竜巻、台風、水害又は地震等の災害であってもよい。この場合、防災の対象となる事象が発生したことを検知する検知器3は、例えば、水分センサ(水位センサ)、又は地震センサ(感震センサ)等で実現される。さらに、防災の対象となる事象は、例えば、ガス漏れ又は不完全燃焼によるCO(一酸化炭素)の発生等でもよい。この場合、検知器3は、ガスセンサ又はCOセンサ等で実現される。
【0094】
また、コントローラ1(通信部11)と、検知器3、HEMS対応機器及び計測システム等との間の通信方式は、無線通信に限らず、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。
【0095】
また、コントローラ1は、表示部及び操作部等のユーザインタフェースを有していてもよい。
【0096】
第1端末4又は第2端末5は、表示以外の態様、例えば、音(音声及びアラーム音等を含む)、光出力(点滅等を含む)、振動及びプリントアウト等の手段により情報の提示を行ってもよい。
【0097】
また、通報システム10による第1通報先となるユーザX1は、「父」に限らず、施設F1の住人である母又は子であってもよい。ここで、ユーザX1は、そもそも1人に限らず、複数人であってもよく、例えば、父及び母のそれぞれが第1通報先としてのユーザX1であってもよい。この場合、通報システム10は、複数人のユーザX1が所有する複数の第1端末4に対して、通知情報の送信を行う。
【0098】
さらに、ユーザX1は、施設F1の利用者であればよく、施設F1(戸建住宅)の住人に限らない。すなわち、通報システム10による第1通報先となるユーザX1は、例えば、施設F1の住人の親族等であってもよい。また、施設F1が非住宅施設であれば、第1通報先となるユーザX1は、施設F1の利用者、テナント入居者又は従業員等であってもよい。
【0099】
また、第2端末5を所有する第2通報先は、ユーザX1よりも先に施設F1へ到着可能な人又は組織であって、消防機関Y1、施設F1を管理する管理会社Y2、セキュリティ会社Y3、及び施設F1が属する自治体Y4に限らない。例えば、施設F1の近隣住人、又はユーザX1の親族等で施設F1の近くに住んでいる人等が、第2通報先であってもよい。施設F1が非住宅施設であれば、第2通報先は、施設F1の利用客(施設F1が店舗の場合の買い物客等)、施設F1の近隣施設のテナント入居者又は施設F1の近隣施設の従業員等であってもよい。
【0100】
また、判断部14は、通知部13にて通知情報を送信するか否かと、通知部13での通知情報の送信の態様と、の少なくとも一方を判断すればよく、例えば、通知部13にて通知情報を送信するか否かのみを判断してもよい。一例として、判断部14は、判断結果が「在宅」であれば、通知部13にて通知情報を送信せず、判断結果が「不在」であれば、通知部13にて通知情報を送信するように構成されてもよい。
【0101】
また、実施形態1では、施設F1の人の在否に関する判断情報のみを判断部14での判断に用いる場合について説明したが、判断部14での判断に用いられる判断情報は、施設F1の人の在否に関する情報に限らない。すなわち、判断部14での判断に用いられる判断情報は、施設F1の状況、及び施設F1に居る人の状況の少なくとも一方に関する情報であればよい。
【0102】
一例として、施設F1に居る人の状況に関する判断情報が、施設F1に居る人が子供(子)のみであることを示している場合、判断部14は、「不在」の場合と同様に、通知部13にて通知情報を送信するように判断することが好ましい。要するに、たとえ施設F1に人(子)が居たとしても、少なくとも消防機関Y1等への通報する能力又は権限を持つ者(父又は母)が不在の状況においては、通知部13は、第1通報先及び第2通報先へ通報することが好ましい。
【0103】
他の例として、施設F1に居る人の状況に関する判断情報が、施設F1に居る全ての人が就寝中であることを示している場合、判断部14は、「不在」の場合と同様に、通知部13にて通知情報を送信するように判断することが好ましい。要するに、たとえ施設F1に人が居たとしても、この人が少なくとも消防機関Y1等への通報できる状況にない状況においては、通知部13は、第1通報先及び第2通報先へ通報することが好ましい。
【0104】
また、第1端末4に送信される通知情報と、第2端末5に送信される通知情報とは、同じ内容であってもよい。または、第2通報先(第2端末5)が複数ある場合には、第2通報先ごとに、つまり第2端末5ごとに、送信する通知情報の内容が異なっていてもよい。同様に、第1通報先(第1端末4)が複数ある場合には、第1通報先ごとに、つまり第1端末4ごとに、送信する通知情報の内容が異なっていてもよい。
【0105】
また、検知器3は、施設F1において防災の対象となる事象が発生したことを検知する機能を有していればよく、物理量に応じた電気信号を出力するセンサ31を含む構成に限らない。例えば、防災の対象となる事象が土砂災害、竜巻、台風、水害又は地震等の死産災害であれば、検知器3は、各種警報、注意報、及び緊急地震速報等を外部から受信することをもって、防災の対象となる事象の発生と検知してもよい。
【0106】
(実施形態2)
本実施形態に係る通報システム10は、通知部13が、第1端末4にて通知情報に対する承諾操作が検出された場合に、第2端末5に通知情報を送信する点で、実施形態1に係る通報システム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0107】
すなわち、実施形態1では、通知部13は第1端末4と第2端末5との両方に通知情報を送信する場合、第1端末4に対するユーザX1のリアクションにかかわらず、第2端末5に通知情報を送信する。これに対して、本実施形態では、通知部13は第1端末4と第2端末5との両方に通知情報を送信する場合、第1端末4に対するユーザX1のリアクションを受けて、第2端末5に通知情報を送信する。
【0108】
本開示でいう「承諾操作」は、第1端末4が通知情報への応答としてユーザX1等から受け付ける操作であって、特に、第2端末5への通知情報の送信(通報)について承諾する意図を反映する操作を意味する。具体的には、第1端末4に対する特定の操作がされることにより、第1端末4にて承諾操作が検出される。
【0109】
以下、本実施形態に係る通報システム10及び防災システム100の動作について、
図6を参照して説明する。
図6中の処理S21~S28は、実施形態1で説明した
図3中の処理S1~S8にそれぞれ対応するので、ここでは処理S21~S28についての説明を省略する。
【0110】
要するに、本実施形態に係る通報システム10では、第1端末4は、処理S28にて通知情報の提示を行った後、承諾操作の待ち受け処理を行う。具体的には、第1端末4は、例えば、通知情報に加えて、「消防機関に通報しますか?」等のメッセージと、「はい」と表記された承諾ボタンと、「いいえ」と表記された拒否ボタンと、を表示する。この状態で、承諾ボタンが操作(タップ)されることをもって、第1端末4は、承諾操作を検出する(S29)。一方、承諾ボタンが操作されずに一定時間が経過した場合、又は拒否ボタンが操作(タップ)された場合、第1端末4は、承諾操作がなされていないと判断する。この場合、第2端末5への通知情報の送信は行われない。
【0111】
そして、第1端末4が承諾操作を検出すると(S29)、第1端末4は、通報システム10のサーバ2に承諾情報を送信する(S30)。サーバ2は、承諾情報を受けて初めて、第2端末5へ通知情報を送信する(S31)。サーバ2から第2端末5に通知情報が送信されると(S31)、第2端末5は、受信した通知情報の提示を行う(S32)。
【0112】
実施形態2の変形例として、第1端末4で承諾操作が検出された場合に、第1端末4が、第2端末5に通知情報を転送してもよい。すなわち、第1端末4で承諾操作が検出された場合に、通報システム10(サーバ2)から第2端末5に第1端末4を経由せずに通知情報が送信される構成に限らず、第1端末4から第2端末5に通知情報が送信されてもよい。
【0113】
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0114】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る通報システム(10)は、取得部(12)と、通知部(13)と、を備える。取得部(12)は、検知器(3)から検知情報を取得する。検知器(3)は、施設(F1)において防災の対象となる事象が発生したことを検知する。通知部(13)は、検知情報に基づいて、施設(F1)の外部に通知情報を送信する。通知部(13)は、第1端末(4)と、第2端末(5)と、の両方に対して通知情報を送信可能に構成されている。第1端末(4)は、ユーザ(X1)が所有する。第2端末(5)は、第1端末(4)とは別の端末である。第2端末(5)は、ユーザ(X1)よりも先に施設(F1)へ到着可能な人又は組織が所有する。
【0115】
この態様によれば、施設(F1)において防災の対象となる事象が発生すると、検知器(3)からの検知情報に基づいて、施設(F1)の外部に通知情報が送信されることで通報が行われる。そして、通報に際しては、ユーザ(X1)が所有する第1端末(4)と、ユーザ(X1)よりも先に施設(F1)へ到着可能な人又は組織が所有する第2端末(5)と、の両方に通知情報を送信可能である。よって、例えば、通報を受けたユーザ(X1)が旅行中ですぐに施設(F1)に到着し得ない場合等であっても、通報を受けた第2端末(5)の所有者が、迅速に施設(F1)での防災活動を実施可能となる。結果的に、火事等の災害への対処の遅れを低減でき、より適切な災害への対処につながる、という利点がある。
【0116】
第2の態様に係る通報システム(10)は、第1の態様において、判断部(14)を更に備える。判断部(14)は、通知部(13)にて通知情報を送信するか否かと、通知部(13)での通知情報の送信の態様と、の少なくとも一方を判断する。
【0117】
この態様によれば、状況によって、通知部(13)にて通知情報を送信するか否かと、通知部(13)での通知情報の送信の態様と、の少なくとも一方を変更可能である。
【0118】
第3の態様に係る通報システム(10)では、第2の態様において、判断部(14)は、少なくとも施設(F1)の状況と施設(F1)に居る人の状況との一方に関する判断情報に基づいて判断を行う。
【0119】
この態様によれば、少なくとも施設(F1)の状況と施設(F1)に居る人の状況との一方によって、通知部(13)にて通知情報を送信するか否かと、通知部(13)での通知情報の送信の態様と、の少なくとも一方を変更可能である。
【0120】
第4の態様に係る通報システム(10)では、第1~3のいずれかの態様において、通知部(13)は、少なくとも第2端末(5)に送信する通知情報に、検知情報の発生元である検知器(3)の位置情報を含める。
【0121】
この態様によれば、少なくとも第2端末(5)においては、通知情報を受信したときには、検知情報の発生元である検知器(3)の位置情報を特定可能となる。
【0122】
第5の態様に係る通報システム(10)では、第4の態様において、位置情報は、施設(F1)の位置を示す情報と、施設(F1)における検知器(3)の設置場所を示す情報と、の少なくとも一方を含む。
【0123】
この態様によれば、少なくとも第2端末(5)においては、通知情報を受信したときには、施設(F1)の位置を示す情報、施設(F1)における検知器(3)の設置場所を示す情報と、の少なくとも一方を特定可能となる。
【0124】
第6の態様に係る通報システム(10)では、第1~5のいずれかの態様において、通知部(13)は、少なくとも第2端末(5)に送信する通知情報に、検知情報の発生した時刻を示す時刻情報を含める。
【0125】
この態様によれば、少なくとも第2端末(5)においては、通知情報を受信したときには、検知情報の発生時刻を特定可能となる。
【0126】
第7の態様に係る通報システム(10)では、第1~6のいずれかの態様において、第2端末(5)を所有する人又は組織は、下記の少なくとも1つを含む。すなわち、施設(F1)の管理主体、セキュリティサービスの提供主体、施設(F1)が属する自治体(Y4)、及び消防機関(Y1)の少なくとも1つを含む。
【0127】
この態様によれば、少なくとも第2端末(5)への通報により、施設(F1)の管理主体、セキュリティサービスの提供主体、施設(F1)が属する自治体(Y4)、及び消防機関(Y1)の少なくとも1つに直接的に通報がなされることになる。
【0128】
第8の態様に係る通報システム(10)は、第1~7のいずれかの態様において、通知部(13)から通知情報として送信される情報の少なくとも一部を変更する更新部(24)を更に備える。
【0129】
この態様によれば、更新部(24)では、例えば位置情報等の通知部(13)から通知情報として送信される情報の少なくとも一部を変更することができる。
【0130】
第9の態様に係る通報システム(10)では、第1~8のいずれかの態様において、通知部(13)は、第1端末(4)にて通知情報に対する承諾操作が検出された場合に、第2端末(5)に通知情報を送信する。
【0131】
この態様によれば、ユーザ(X1)の承諾を得てから第2端末(5)に通知情報が送信されるので、誤報等の場合に、ユーザ(X1)の意に反して第2端末(5)に通知情報が送信される事態が生じにくくなる。
【0132】
第10の態様に係る通報システム(10)では、第1~9のいずれかの態様において、検知器(3)は、物理量に応じた電気信号を出力するセンサ(31)を含む。
【0133】
この態様によれば、検知器(3)自体で防災の対象となる事象の発生を検知可能となる。
【0134】
第11の態様に係る防災システム(100)は、通報システム(10)と、検知器(3)として用いられる検知用端末と、を備える。
【0135】
この態様によれば、施設(F1)において防災の対象となる事象が発生すると、検知器(3)からの検知情報に基づいて、施設(F1)の外部に通知情報が送信されることで通報が行われる。そして、通報に際しては、ユーザ(X1)が所有する第1端末(4)と、ユーザ(X1)よりも先に施設(F1)へ到着可能な人又は組織が所有する第2端末(5)と、の両方に通知情報を送信可能である。よって、例えば、通報を受けたユーザ(X1)が旅行中ですぐに施設(F1)に到着し得ない場合等であっても、通報を受けた第2端末(5)の所有者が、迅速に施設(F1)での防災活動を実施可能となる。結果的に、火事等の災害への対処の遅れを低減でき、より適切な災害への対処につながる、という利点がある。
【0136】
第12の態様に係る通報方法は、取得処理と、通知処理と、を有する。取得処理は、検知器(3)から検知情報を取得する処理である。検知器(3)は、施設(F1)において防災の対象となる事象が発生したことを検知する。通知処理は、検知情報に基づいて、施設(F1)の外部に通知情報を送信する処理である。通知処理では、第1端末(4)と、第2端末(5)と、の両方に対して通知情報を送信可能である。第1端末(4)は、ユーザ(X1)が所有する。第2端末(5)は、第1端末(4)とは別の端末である。第2端末(5)は、ユーザ(X1)よりも先に施設(F1)へ到着可能な人又は組織が所有する。
【0137】
この態様によれば、施設(F1)において防災の対象となる事象が発生すると、検知器(3)からの検知情報に基づいて、施設(F1)の外部に通知情報が送信されることで通報が行われる。そして、通報に際しては、ユーザ(X1)が所有する第1端末(4)と、ユーザ(X1)よりも先に施設(F1)へ到着可能な人又は組織が所有する第2端末(5)と、の両方に通知情報を送信可能である。よって、例えば、通報を受けたユーザ(X1)が旅行中ですぐに施設(F1)に到着し得ない場合等であっても、通報を受けた第2端末(5)の所有者が、迅速に施設(F1)での防災活動を実施可能となる。結果的に、火事等の災害への対処の遅れを低減でき、より適切な災害への対処につながる、という利点がある。
【0138】
第13の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、通報方法を実行させるためのプログラムである。
【0139】
この態様によれば、施設(F1)において防災の対象となる事象が発生すると、検知器(3)からの検知情報に基づいて、施設(F1)の外部に通知情報が送信されることで通報が行われる。そして、通報に際しては、ユーザ(X1)が所有する第1端末(4)と、ユーザ(X1)よりも先に施設(F1)へ到着可能な人又は組織が所有する第2端末(5)と、の両方に通知情報を送信可能である。よって、例えば、通報を受けたユーザ(X1)が旅行中ですぐに施設(F1)に到着し得ない場合等であっても、通報を受けた第2端末(5)の所有者が、迅速に施設(F1)での防災活動を実施可能となる。結果的に、火事等の災害への対処の遅れを低減でき、より適切な災害への対処につながる、という利点がある。
【0140】
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係る通報システム(10)の種々の構成(変形例を含む)は、通報方法又はプログラムにて具現化可能である。
【0141】
第2~10の態様に係る構成については、通報システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0142】
3 検知器
4 第1端末
5 第2端末
10 通報システム
12 取得部
13 通知部
14 判断部
24 更新部
31 センサ
100 防災システム
F1 施設
X1 ユーザ
Y1 消防機関
Y2 管理会社
Y3 セキュリティ会社
Y4 自治体