(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】取付ベース、取付ユニット、操作装置、及び移動体
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20230203BHJP
【FI】
B60R16/02 630B
B60R16/02 630K
(21)【出願番号】P 2019029916
(22)【出願日】2019-02-21
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣部 正裕
(72)【発明者】
【氏名】笹木 真一郎
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-090754(JP,A)
【文献】特開平11-227572(JP,A)
【文献】特開2008-013012(JP,A)
【文献】特開2000-021272(JP,A)
【文献】特開2002-362259(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19842225(DE,A1)
【文献】特開2002-347518(JP,A)
【文献】特開平08-295126(JP,A)
【文献】特開2001-088741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトを回転可能に支持する支柱に対して操作部材を取り付けるための取付ベースであって、
前記ステアリングシャフトを通す挿入孔を有し、前記操作部材を保持するベース本体と、
前記ベース本体のうち前記挿入孔の周囲の部分から突出し、前記支柱が挿入される筒部と、
前記筒部の周方向の一部であり、前記支柱が有する固定用穴に挿入可能な爪と、
前記爪に対して前記挿入孔とは反対側に位置する挿入スペースと、を備え、
前記爪は、前記筒部の径方向内側へ突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記筒部の周方向を向く傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記周方向の外側の部分ほど前記筒部の径方向外側に位置するように傾いた傾斜面であり、
前記傾斜面は、前記固定用穴の縁に当たって、前記支柱に対する前記ベース本体の回転を止める部分であり、
前記爪は、前記挿入スペースに挿入されたロック部材に当たることで、前記固定用穴から抜ける向きへの移動が規制される、
取付ベース。
【請求項2】
ステアリングシャフトを回転可能に支持する支柱に対して操作部材を取り付けるための取付ベースであって、
前記ステアリングシャフトを通す挿入孔を有し、前記操作部材を保持するベース本体と、
前記支柱が有する固定用穴に挿入可能な爪と、
前記爪に対して前記挿入孔とは反対側に位置する挿入スペースと、を備え、
前記爪は、前記挿入スペースに挿入されたロック部材に当たることで、前記固定用穴から抜ける向きへの移動が規制され、
前記ロック部材を、前記爪に当たらない非ロック位置に保持する保持構造、を更に備える、
取付ベース。
【請求項3】
前記爪は、前記固定用穴の縁に当たって、前記支柱に対する前記ベース本体の回転を止める部分を有する、
請求項
2に記載の取付ベース。
【請求項4】
前記爪は、前記固定用穴の縁に当たって、前記支柱に対する前記ベース本体の抜けを止める部分を有する、
請求項1から3のいずれか
一つに記載の取付ベース。
【請求項5】
前記ロック部材を、前記爪に当たらない非ロック位置に保持する保持構造、を更に備える、
請求項
1に記載の取付ベース。
【請求項6】
前記爪は、前記固定用穴の前記縁が食い込む部分を有する、
請求項
1又は3に記載の取付ベース。
【請求項7】
前記挿入スペースは、前記ロック部材が挿入される開口を有し、
前記開口は、前記挿入孔の貫通方向に対して直交する方向に開放されている、
請求項1から
6のいずれか一つに記載の取付ベース。
【請求項8】
前記挿入スペースは、前記ロック部材が挿入される開口を有し、
前記開口は、前記挿入孔の貫通方向に開放されている、
請求項1から
6のいずれか一つに記載の取付ベース。
【請求項9】
他の部材が装着される装着部を更に備え、
前記挿入スペースは、前記ロック部材が挿入される開口を有し、
前記開口は、前記装着部に向けて開放されている、
請求項1から
6のいずれか一つに記載の取付ベース。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の取付ベースと、
前記取付ベースの前記挿入スペースに挿入される前記ロック部材と、
を備える、
取付ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の取付ユニットと、
前記取付ユニットの前記取付ベースに保持された前記操作部材と、
を備える、
操作装置。
【請求項12】
請求項11に記載の操作装置と、
前記操作装置の前記挿入孔を通る前記ステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトを回転可能に支持する前記支柱と、
を備える、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、取付ベース、取付ユニット、操作装置、及び移動体に関し、より詳細には、ステアリングシャフトを回転可能に支持する支柱に対して操作部材を取り付けるための取付ベース、並びにこれを備えた取付ユニット、操作装置、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車のステアリングシャフトを回転可能に支持するコラムポスト(支柱)に取り付けられるスイッチ装置が記載されている。このスイッチ装置には、ターンシグナルランプ、ヘッドランプ、フォグランプ、ワイパー、ウォッシャー等の各種車両機器を操作するための操作レバー(操作部材)が取り付けられている。
【0003】
スイッチ装置は、ステアリングシャフトを通す挿通孔を有し、操作レバーを保持するスイッチボディと、スイッチボディをコラムポストに嵌め込むための円筒形状の嵌込部と、嵌込部をコラムポストに締め付けるバンドクランプと、を備える。バンドクランプは、弾性金属材料をリング状に形成したバネ板材等からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、このようなバンドクランプは、内径を拡張するための拡張ピンが取り付けられた状態で、嵌込部の周囲に設置される。この拡張ピンを引き抜くことで、バンドクランプによって嵌込部をコラムポストに強く締め付けることができる。
【0006】
しかし、引き抜いた拡張ピンは廃棄する必要があるうえ、車体内等に落下する等のおそれもあり、そのため、特許文献1に記載のスイッチ装置は、取り付け作業に手間がかかるといった問題がある。
【0007】
また、拡張ピンを含むバンドクランプは高価であり、また、拡張ピンを引き抜いた後は、交換等のために、バンドクランプの内径を拡げることは困難である。
【0008】
上記事情に鑑みて、本開示は、ステアリングシャフトを回転可能に支持する支柱に対して、操作部材の取り付けがしやすい取付ベース、取付ユニット、操作装置、及び移動体を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る取付ベースは、ステアリングシャフトを回転可能に支持する支柱に対して操作部材を取り付けるための取付ベースである。一態様に係る取付ベースは、前記ステアリングシャフトを通す挿入孔を有し、前記操作部材を保持するベース本体と、前記支柱が有する固定用穴に挿入可能な爪と、前記爪に対して前記挿入孔とは反対側に位置する挿入スペースと、を備える。前記爪は、前記挿入スペースに挿入されたロック部材に当たることで、前記固定用穴から抜ける向きへの移動が規制される。
【0010】
また、本開示の一態様に係る取付ユニットは、前記取付ベースと、前記取付ベースの前記挿入スペースに挿入される前記ロック部材と、を備える。
【0011】
また、本開示の一態様に係る操作装置は、前記取付ユニットと、前記取付ユニットの前記取付ベースに保持された前記操作部材と、を備える。
【0012】
また、本開示の一態様に係る移動体は、前記操作装置と、前記操作装置の前記挿入孔を通る前記ステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを回転可能に支持する前記支柱と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ステアリングシャフトを回転可能に支持する支柱に対して、操作部材の取り付けがしやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る操作装置を概略的に示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の操作装置の組み立て状態を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の操作装置を備えた移動体を示す概略図である。
【
図4】
図4Aは、
図2のA-A線における断面図であり、ステアリングシャフトを回転可能に支持する支柱に操作装置を取り付けた状態を示す図であり、
図4Bは、
図4Aに対応する部分の断面図であり、支柱に操作装置を取り付ける前の状態を示す図である。
【
図5】
図5は、同上の操作装置の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る操作装置を概略的に示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の操作装置の組み立て状態を概略的に示す斜視図である。
【
図9】
図9Aは、
図8のC-C線における断面図であり、支柱に操作装置を取り付けた状態を示す図であり、
図9Bは、
図9Aに対応する部分の断面図であり、支柱に操作装置を取り付ける前の状態を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る操作装置を概略的に示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、同上の操作装置の組み立て状態を概略的に示す斜視図である。
【
図13】
図13Aは、
図11のE-E線における断面図であり、支柱に操作装置を取り付けた状態を示す図であり、
図13Bは、
図13Aに対応する部分の断面図であり、支柱に操作装置を取り付ける前の状態を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態1から3の操作装置が備えるロック部材の他例を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態1から3の操作装置が備える爪の他例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
(1)概要
図1及び
図2に示すように、実施形態1の取付ベース1は、ステアリングシャフト2(
図3参照)を回転可能に支持する支柱20に対して操作部材3を取り付けるための部材である。取付ベース1は、ステアリングシャフト2を通す挿入孔40を有し、操作部材3を保持するベース本体4と、支柱20が有する固定用穴21に挿入可能な爪5と、爪5に対して挿入孔40とは反対側に位置する挿入スペース6と、を備える。爪5は、挿入スペース6に挿入されたロック部材7に当たることで、固定用穴21から抜ける向きへの移動が規制される。
【0016】
また、実施形態1の取付ユニット100は、上述した構成の取付ベース1と、取付ベース1の挿入スペース6に挿入されるロック部材7と、を備える。
【0017】
また、実施形態1の操作装置101は、上述した構成の取付ユニット100と、取付ユニット100の取付ベース1に保持された操作部材3と、を備える。
【0018】
また、実施形態1の移動体102(
図3参照)は、上述した構成の操作装置101と、操作装置101の挿入孔40を通るステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2を回転可能に支持する支柱20と、を備える。
【0019】
実施形態1の取付ベース1、取付ユニット100、操作装置101及び移動体102では、挿入スペース6にロック部材7を挿入することで、固定用穴21から抜ける向きへの爪5の移動を、ロック部材7によって規制することができる。そのため、従来例のようにバンドクランプから拡張ピンを引き抜いて廃棄する等の作業が不要であり、支柱20に対して取付ベース1の取り付けがしやすく、その結果、支柱20に対して操作部材3の取り付けがしやすい。
【0020】
(2)詳細
以下に、本実施形態の取付ベース1、取付ユニット100、操作装置101、及び移動体102の構成について、
図1から
図6を参照して詳細に説明する。
【0021】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、特に、取付ベース1の挿入孔40の中心軸に沿った軸(支柱20の中心軸に沿った軸)を「Z軸」とし、取付ベース1の長さに沿った軸を「X軸」とする。「Y軸」は、これらX軸及びZ軸のいずれとも直交する。以下の説明では、X軸に沿った方向をX軸方向、Y軸に沿った方向をY軸方向、Z軸に沿った方向をZ軸方向と記載する。なお、Z軸方向を前後方向と記載し、X軸方向を左右方向と記載し、Y軸方向を上下方向と記載することもある。X軸、Y軸及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は、取付ベース1、取付ユニット100、及び操作装置101の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0022】
本開示でいう「沿う」とは、2者間が略平行、つまり2者が厳密に平行な場合に加えて、2者間の角度が数度(例えば10度未満)程度の範囲に収まる関係にあることをいう。つまり、挿入孔40の中心軸は、Z軸に対して略平行な状態にある(厳密に平行、又は両者間の角度が数度程度に収まる関係にある)。本実施形態では一例として、挿入孔40の中心軸とZ軸とは厳密に平行な状態にある。
【0023】
(2-1)支柱
まず、支柱20について詳細に説明する。
【0024】
支柱20は、
図1に示すように、略円筒状である。各図において、支柱20は、その長手方向(Z軸方向)の一端部が図示されている。
【0025】
支柱20には、爪5が挿入される固定用穴21と、一対の第二固定用穴22とが設けられている。固定用穴21と一対の第二固定用穴22のそれぞれは、矩形状の孔である。固定用穴21は、支柱20の周壁の一部をX軸方向に貫通している。一対の第二固定用穴22のそれぞれは、支柱20の周壁の一部をY軸方向に貫通している。一対の第二固定用穴22は、Y軸方向に対向して位置する。なお、固定用穴21,22は、支柱20の周壁の一部を貫通する穴に限らず、窪みであってもよい。
【0026】
支柱20の長手方向(Z軸方向)の一端部には、二つの切欠き23が設けられている。二つの切欠き23は、X軸方向に対向して位置する。本実施形態では、二つの切欠き23のうちの一方と固定用穴21とは、Z軸方向に並んでいる。
【0027】
支柱20は、移動体102(
図3参照)に固定され、その内側に、ステアリングシャフト2を回転可能に支持する。支柱20から突出したステアリングシャフト2の先端部には、ステアリングホイール103が取り付けられる。
【0028】
(2-2)取付ベース
続いて、取付ベース1について詳細に説明する。
【0029】
図1及び
図2に示すように、取付ベース1は、ベース本体4、爪5、及び挿入スペース6に加えて、ロック部材7を爪5に当たらない非ロック位置に保持するための保持構造8と、他の部材(本実施形態では操作部材3)が装着される装着部9と、を備えている。
【0030】
ベース本体4は、例えば樹脂成型体である。ベース本体4は、X軸方向の中央部に、挿入孔40がZ軸方向に貫通するように形成されている。ベース本体4のうち挿入孔40の周囲の部分からは、Z軸方向の片側に向けて略円筒状の筒部41が突出している。筒部41は、挿入孔40との間に間隔をおいて位置する。挿入孔40と筒部41とは、同心に設けられている。
【0031】
ベース本体4は、挿入孔40と筒部41の間に位置する受け部42を有する。受け部42によって、支柱20の先端面が受けられる。受け部42には、支柱20の切欠き23に嵌まる直方体状の凸部43が設けられている。
図4Bに示すように、本実施形態では、受け部42には、二つの凸部43が設けられている。
【0032】
図4B及び
図5に示すように、筒部41には、Z軸方向に延びる複数のスリット410が形成されている。本実施形態では、筒部41には、六つのスリット410が周方向に間隔をおいて形成されている。六つのスリット410のそれぞれは、筒部41の突出方向(Z軸方向)の先端から根本側に向けて切り欠かれている。
【0033】
筒部41のY軸方向の両端部に、二つずつスリット410が位置し、筒部41のX軸方向の片側の端部(図では左端部)に、二つのスリット410が位置する。爪5は、筒部41のうち、X軸方向の片側の端部に位置する二つのスリット410の間の部分である。
【0034】
取付ベース1は、第二爪11を更に備える。第二爪11は、筒部41のうち、Y軸方向の両端部に位置する二つのスリット410の間の部分である。第二爪11は、第二固定用穴22の縁に当たって、支柱20に対するベース本体4の抜けを止める部分を有する。爪5と第二爪11のそれぞれは、弾性変形可能である。以下では、爪5と第二爪11の説明は、筒部41の周方向及び径方向を用いて行う。
【0035】
爪5は、固定用穴21の縁に当たって、支柱20に対するベース本体4の回転を止める部分を有する。本実施形態では、爪5は、固定用穴21の縁が食い込む部分を有する。詳しくは、爪5は、板状の本体部50と、本体部50の径方向内側を向く内面から突出した突出部51と、を有する。本実施形態では、爪5は、二つの突出部51を有している。二つの突出部51は、支柱20の固定用穴21に挿入される部分である(
図4A参照)。
図6に示すように、二つの突出部51は、周方向に間隔をおいて位置する。二つの突出部51は、支柱20の固定用穴21の周方向の両側の縁210が食い込むように、配置されている。二つの突出部51のそれぞれのZ軸方向の長さは、固定用穴21のZ軸方向の長さよりも短い。
【0036】
図5及び
図6に示すように、二つの突出部51のそれぞれは、突出方向の先端に位置する矩形状の先端面510と、先端面510の各端辺に連続する嵌め込み面511、第一傾斜面512、及び第二傾斜面513とを有する。
【0037】
嵌め込み面511は、先端面510の周方向の一端に連続し、先端面510から遠い部分ほど径方向外側に位置するように、先端面510に対して傾いた傾斜面である。二つの突出部51の嵌め込み面511の間の間隔は、径方向外側ほど大きくなっている。この二つの突出部51の嵌め込み面511が、固定用穴21の縁210に当たって、支柱20に対するベース本体4の回転を止める部分であり、固定用穴21の縁210が食い込む部分である。
【0038】
第一傾斜面512は、先端面510に対して筒部41の先端側に位置する面である。第一傾斜面512は、先端面510のZ軸方向の一端に連続し、先端面510から遠い部分ほど径方向外側に位置するように、先端面510に対して傾斜している。
【0039】
第二傾斜面513は、先端面510に対して筒部41の基端側に位置する面である。第二傾斜面513は、先端面510のZ軸方向の他端に連続し、先端面510から遠い部分ほど径方向外側に位置するように、先端面510に対して傾斜している。
【0040】
図4Bに示すように、本体部50は、径方向内側を向く内面が円弧状の湾曲面であり、径方向外側を向く外面500が平面である。本体部50の内面は、爪5が弾性変形していない状態では、筒部41の他の部分の内面と面一である。
図5に示すように、二つの突出部51は、本体部50の内面のうち先端側の端部に設けられている。
【0041】
図4B、
図5及び
図6に示すように、第二爪11は、二つのスリット410の間に位置する円弧状に湾曲した板状の本体部110と、本体部110から径方向内側に突出した山状の突起111と、を有する。突起111は、筒部41の基端側ほど径方向内側に位置するように傾斜した傾斜面112と、傾斜面112の基端側の縁と連続し、径方向外側の部分ほど筒部41の先端側に位置するように傾斜した引っ掛け面113と、を有する。突起111は、本体部110の先端側の端部に設けられている。本体部110の内面は、第二爪11が弾性変形していない状態では、筒部41の他の部分の内面と面一である。
【0042】
第二爪11の突起111が支柱20の第二固定用穴22のZ軸方向の片側(支柱20の先端側)の縁220に引っ掛かった状態で、爪5の二つの突出部51のそれぞれは、支柱20の固定用穴21のZ軸方向の両側の縁211から離れて位置する。
【0043】
爪5は、支柱20に対して筒部41を嵌め込む際に、各突出部51の第一傾斜面512が支柱20の先端面に当たって押されることで、本体部50が径方向外側(挿入スペース6側)に弾性変形して撓む。このように弾性変形した爪5は、支柱20に対して筒部41が、各突出部51が支柱20の固定用穴21に入り込む位置まで嵌まり込むことで、本体部50が元の状態(位置)に戻る。
【0044】
一対の第二爪11のそれぞれは、支柱20に対して筒部41を嵌め込む際に、各突起111の傾斜面112が支柱20の先端面に当たって押されることで、本体部110が径方向外側に弾性変形して撓む。一対の第二爪11のそれぞれは、支柱20に対して筒部41を、各突起111が支柱20の第二固定用穴22に入り込む位置まで嵌め込んだ状態で、本体部110が元の状態(位置)に戻る。
【0045】
図4B及び
図5に示すように、ベース本体4のうち筒部41の径方向外側の部分からは、爪5を囲むように保持壁44が突出している。保持壁44は、筒部41のうち、爪5の周方向の両側に隣接する部分と一体である。保持壁44は、筒部41よりもZ軸方向の長さが短い。
【0046】
保持壁44には、ロック部材7が挿入される溝状の挿入スペース6が形成されている。挿入スペース6は、ロック部材7が挿入される開口60を有する。挿入スペース6は、爪5の径方向外側(挿入孔40とは反対側)に位置している。挿入スペース6は、支柱20に対して筒部41を嵌め込む際に、爪5の本体部50が径方向外側に撓むためのスペースである。
【0047】
挿入スペース6の開口60は、Y軸方向の片側に開放されている。言い換えると、開口60は、挿入孔40の貫通方向に対して直交する方向に開放されている。
【0048】
挿入スペース6は、Z軸方向の片側(保持壁44の先端側)にも開放されている。保持壁44のうち、挿入スペース6のX軸方向の外側(挿入孔40とは反対側)に位置する部分45は、挿入スペース6から離れる方向への弾性変形が可能である。
【0049】
部分45のうち挿入スペース6側の面450には、二つの凹部46a,46bが設けられている。二つの凹部46a,46bのそれぞれは、Z軸方向に長尺な凹条の溝である。二つの凹部46a,46bは、Y軸方向に間隔をあけて位置する。凹部46aは、爪5に対向して位置し、凹部46bは、爪5よりも開口60側に位置している。凹部46bは、ロック部材7を爪5に当たらない非ロック位置に保持する保持構造8である。部分45の面450は、爪5の本体部50の外面500と平行である。
【0050】
図1に示すように、ベース本体4には、操作部材3が取り付けられる一対の装着部47が設けられている。本実施形態では、一対の装着部47のそれぞれが、他の部材(本実施形態では操作部材3)が装着される装着部9である。
【0051】
一対の装着部47の間に筒部41が位置する。一対の装着部47のそれぞれと筒部41とは、一直線状に並んで位置する。一対の装着部47のそれぞれは、本実施形態では、筒部41から離れる方向に開放された凹みである。この凹みは、Z軸方向の片側にも開放されている。一対の装着部47のそれぞれには、例えば、操作部材3を筒部41に対して近付く方向(X軸方向の片側)に移動させることで、操作部材3が装着部47に差し込まれて装着される。なお、装着部47に対して操作部材3を取り付ける方法は、上述の方法に限らず、従来周知の適宜の取付方法が採用可能である。
【0052】
(2-3)操作部材
続いて、操作部材3について説明する。
【0053】
操作部材3は、ターンシグナルランプ、ヘッドランプ、フォグランプ、ワイパー、ウォッシャー等の各種車両機器を操作するための操作レバーである。本実施形態では、操作部材3は、左側の装着部47に装着される操作部材3aと、右側の装着部47に装着される操作部材3bとを含む。
【0054】
左側の操作部材3aは、例えばワイパーやウォッシャー等を操作するためのワイパー系スイッチであり、右側の操作部材3bは、例えばターンシグナルランプ、ヘッドランプ、フォグランプ等を操作するためのランプ系スイッチである。操作部材3a,3bのそれぞれは、Z軸方向(前後方向)及びY軸方向(上下方向)に揺動操作可能である。
【0055】
操作部材3を揺動操作すると、操作部材3内のスイッチ接点の電気的接離が行われ、その電気信号が移動体102の電子回路に送信され、これにより、ターンシグナルを点滅させたり、ワイパーの動作速度を切り換えることができる。
【0056】
(2-4)ロック部材
ロック部材7は、挿入スペース6に対して抜き差し可能に設けられた部材である。ロック部材7の形状は、挿入スペース6の形状に対応している。
【0057】
ロック部材7は、棒状(詳しくは角棒状)の本体部70と、本体部70の長手方向の一端部に設けられた摘み部71と、を有する。本実施形態では、摘み部71は、本体部70の長手方向の一端部から直角に延びた棒状(詳しくは角棒状)の部分である。本体部70と摘み部71とはL字状に並んでいる。
【0058】
図1、
図4A及び
図4Bに示すように、本体部70には、二つの凸部72a,72bが設けられている。凸部72a,72bのそれぞれは、Z軸方向に長尺な突条である。凸部72a,72bのそれぞれは、本体部70のX軸方向の片側を向く面に、Z軸方向の全長にわたるように設けられている。凸部72a,72bは、長手方向に直交する断面形状が、半円状である。
【0059】
凸部72aは、本体部70の先端側(つまり摘み部71から遠い側)に位置し、凸部72bは、本体部70の基端側(つまり摘み部71に近い側)に位置する。凸部72a,72bの配置は、二つの凹部46a,46bの配置に対応している。
【0060】
ロック部材7は、挿入スペース6の開口60を通じて挿入スペース6内に挿入される。ロック部材7は、
図4Aに示すロック位置と、
図4Bに示す非ロック位置との間で、移動可能である。ロック位置は、ロック部材7の先端側の凸部72aが奥側の凹部46aに収まり、かつ基端側の凸部72bが手前側の凹部46bに収まる位置である。非ロック位置は、ロック部材7の先端側の凸部72aが手前側の凹部46bに収まり、かつ基端側の凸部72bが開口60の外側に位置する位置である。なお、ロック部材7は、挿入スペース6から全体を抜き出すことも可能である。
【0061】
図4Aに示すように、ロック部材7がロック位置にあるとき、ロック部材7の本体部70は、爪5の径方向外側(つまり挿入孔40とは反対側)に位置する。このとき、ロック部材7の本体部70と爪5の本体部50とは接する。なお、このとき、ロック部材7の本体部70と爪5の本体部50とは、僅かな隙間をおいて位置してもよい。爪5は、本体部50がロック部材7の本体部70に当たることで、径方向外側(つまり固定用穴21から抜ける向き)への移動が規制される。
【0062】
図4Bに示すように、ロック部材7が非ロック位置にあるとき、ロック部材7の本体部70は、爪5よりも開口60側に位置する。このとき、爪5の本体部50の径方向外側には、空いたスペースがあり、爪5の本体部50は、径方向外側への移動が可能である。
【0063】
ロック部材7の本体部70を挿入スペース6の開口60に挿入する際、ロック部材7の凸部72aに押されることで保持壁44の部分45が弾性変形して外側に撓む。ロック部材7を非ロック位置にまで挿入することで、保持壁44の部分45は、元の状態(位置)に戻る。
【0064】
ロック部材7を非ロック位置から更に奥側へ挿入する際、ロック部材7の凸部72a,72bに押されることで保持壁44の部分45が弾性変形して外側に撓む。ロック部材7をロック位置にまで挿入することで、保持壁44の部分45は、元の状態(位置)に戻る。これにより、凸部72a,72bを有するロック部材7の、挿入スペース6内への挿入が可能となっている。ロック部材7を挿入スペース6から抜き出す際にも、保持壁44の部分45が、同様に弾性変形する。
【0065】
(2-5)取付ユニット
図1に示すように、取付ユニット100は、上述した取付ベース1と、取付ベース1の挿入スペース6に挿入されるロック部材7とを備える。ロック部材7は、
図4Bに示すように、取付ベース1の挿入スペース6に対して非ロック位置にまで挿入することで、取付ベース1によって保持される。
【0066】
(2-6)操作装置
図2に示すように、操作装置101は、上述した取付ユニット100と、取付ユニット100の取付ベース1に保持された操作部材3とを備える。本実施形態では、操作装置101は、一対の操作部材3a,3bを備える。一対の操作部材3a,3bは、取付ベース1の一対の装着部47に装着されている。
【0067】
(2-7)移動体
図3に示すように、移動体102は、上述した操作装置101と、操作装置101の挿入孔40(
図1参照)を通るステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2を回転可能に支持する支柱20とを備える。移動体102は、本実施形態では、自動車(四輪車)である。
【0068】
操作装置101は、移動体102の支柱20に取り付けられている。ステアリングシャフト2の先端部には、ステアリングホイール103が取り付けられている。なお、
図3では、移動体102のステアリングホイール103を吹き出し内に表しているが、「吹き出し」は実体を伴わない。
【0069】
(3)操作装置の組み立て方法、及び、操作装置の移動体への取付方法
続いて、操作装置101の組み立て方法の一例について説明する。
【0070】
まず、
図1に示す取付ベース1の一対の装着部47に、操作部材3a,3bを装着する。次いで、取付ベース1の挿入スペース6の開口60に、ロック部材7を挿入する。ロック部材7は、凸部72aが凹部46bに収まる非ロック位置まで挿入する(
図4B参照)。一対の操作部材3a,3bの装着と、ロック部材7の挿入は、どちらを先に行ってもよい。
【0071】
以上のようにすることで、取付ベース1に操作部材3a,3bとロック部材7とが取り付けられた操作装置101が形成される。
【0072】
続いて、操作装置101の移動体102への取付方法について説明する。
【0073】
まず、移動体102に固定された支柱20に対して、支柱20の先端側から操作装置101の筒部41を支柱20に嵌め込む。なお、この時点では、支柱20から突出するステアリングシャフト2の先端部には、ステアリングホイール103が取り付けられていない。
【0074】
操作装置101は、取付ベース1の挿入孔40にステアリングシャフト2が通るように、取付ベース1の筒部41内に支柱20を嵌め込む。
【0075】
取付ベース1の筒部41内に支柱20が挿入される際、支柱20の先端面によって爪5の一対の突出部51と一対の第二爪11の突起111がそれぞれ径方向外側に押されて、爪5の本体部50と一対の第二爪11の本体部110がそれぞれ径方向外側に撓む。操作装置101は、取付ベース1の受け部42に支柱20の先端面が当たる取付位置まで、支柱20に対して挿入する。
【0076】
図6に示すように、取付位置にあるとき、爪5の一対の突出部51が、支柱20の固定用穴21に入り込み、一対の第二爪11の突起111が支柱20の一対の第二固定用穴22に入り込んでいる。爪5の一対の突出部51は、支柱20の固定用穴21の周方向の両側の縁210に当たる。本実施形態では、支柱20の固定用穴21の周方向の両側の縁210が、爪5の一対の突出部51の嵌め込み面511に食い込む。これにより、操作装置101は、支柱20に対する回転が爪5によって規制される。なお、取付位置にあるとき、爪5の一対の突出部51のそれぞれは、支柱20の固定用穴21のZ軸方向の両側の縁211からは離れて位置する。
【0077】
また、取付位置にあるとき、一対の第二爪11のそれぞれの突起111の引っ掛け面113は、支柱20の第二固定用穴22の、支柱20の先端側の縁220に対向して位置する。なおこのとき、一対の第二爪11のそれぞれの突起111の引っ掛け面113は、第二固定用穴22の縁220に引っ掛かってもよい。これにより、操作装置101は、支柱20に対する抜けが一対の第二爪11によって規制される。
【0078】
次いで、非ロック位置にあるロック部材7を挿入スペース6内に更に差し込み、ロック部材7をロック位置に配置する。
図4Aに示すように、ロック部材7がロック位置にあるとき、ロック部材7の凸部72aは、取付ベース1の凹部46aに収まり、ロック部材7の凸部72bは、取付ベース1の凹部46bに収まり、ロック部材7の本体部70は、爪5の径方向外側に位置する。このとき、爪5の本体部50とロック部材7の本体部70とは接する。これにより、爪5の本体部50が径方向外側に移動して、爪5の一対の突出部51が支柱20の固定用穴21から抜ける方向に移動することを抑制することができる。
【0079】
このようにロック部材7をロック位置に配置することで、操作装置101は支柱20に対して固定される。この状態で、操作装置101の取付ベース1が支柱20から抜ける向きに外力が加わっても、爪5の一対の突出部51が支柱20の固定用穴21に嵌まり込んだ状態を維持しやすく、操作装置101の支柱20への固定状態が解除されることを抑制することができる。
【0080】
支柱20から操作装置101を取り外す場合には、ロック部材7を非ロック位置に移動させるか、又は、ロック部材7を挿入スペース6から引き抜く。これにより、爪5は径方向外側へ移動可能となり、爪5の一対の突出部51を支柱20の固定用穴21から抜くことが可能となる。一対の第二爪11のそれぞれは、工具等を用いて径方向外側に移動させることで、突起111を支柱20の第二固定用穴22から抜くことができる。一対の第二爪11を第二固定用穴22から抜いた状態で、操作装置101を支柱20から離れる方向に移動させることで、爪5は固定用穴21の縁211及び支柱20の外周面に押されて径方向外側へ撓み、支柱20から操作装置101を取り外すことができる。
【0081】
(実施形態2)
続いて、
図7から
図9Bに示す実施形態2の取付ベース1A、取付ユニット100A、及び操作装置101Aについて詳しく説明する。以下では、実施形態1と異なる構成について詳しく説明する。
【0082】
実施形態2の取付ベース1Aでは、挿入スペース6の開口60が、取付ベース1の一対の装着部47のうちの一方の装着部47(左側の装着部47)に向けて開放されている。本実施形態では、開口60は、X軸方向の片側、つまり、挿入孔40の貫通方向(Z軸方向)に対して直交する方向に開放されている。
【0083】
爪5は、筒部41のうちY軸方向の片側の端部に位置し、一対の第二爪11は、筒部41のうちX軸方向の両側の端部に位置している。保持壁44は、爪5を囲むように、筒部41のY軸方向の外側に位置する。
【0084】
ロック部材7は、取付ベース1の装着部47に操作部材3aを差し込んで装着する際に、操作部材3aに押されて非ロック位置(
図9B参照)からロック位置(
図9A参照)へと移動するように、本体部70の長さが設定されている。
【0085】
操作部材3aの装着部47に対して差し込む向きと、ロック部材7の挿入スペース6への差し込む向きとは、一致している。本実施形態では、これらの向きは、X軸方向に沿った向きである。
【0086】
実施形態2の操作装置101Aでは、操作部材3a,3bは、
図9Bに示す取付ユニット100Aの筒部41を支柱20に嵌め込んだ後で、一対の装着部47に装着される。実施形態2の操作装置101Aでは、非ロック位置にあるロック部材7は、装着部47に操作部材3aを差し込んで装着する際に、操作部材3aで押して、ロック位置へと移動させることができる。
【0087】
このため、実施形態2の操作装置101Aは、ロック部材7の摘み部71を摘まんで、非ロック位置からロック位置へと移動させる作業を行わなくてよくて、取り付けがしやすい。
【0088】
(実施形態3)
続いて、
図10から
図13Bに示す実施形態3の取付ベース1B、取付ユニット100B、及び操作装置101Bについて詳しく説明する。以下では、実施形態1と異なる構成について詳しく説明する。
【0089】
実施形態3の取付ベース1Bは、他の部材が装着される装着部9として、エアバックやホーン等の配線に用いられるスパイラルケーブルが収容された収容体12が装着される第二装着部48を備える。他の部材とは、収容体12である。収容体12は、円盤状の本体部120と、本体部120からZ軸方向の片側に突出した円筒部121とを有する。スパイラルケーブルは、本体部120に収容されている。
【0090】
図13A及び
図13Bに示すように、第二装着部48は、ベース本体4のうち、筒部41とは反対側に設けられる凹みである。この凹みは、Z軸方向の片側(筒部41とは反対側)に開放されている。収容体12は、第二装着部48に近づく方向に移動させることで、第二装着部48に差し込まれて装着される。
【0091】
挿入スペース6の開口60は、第二装着部48(装着部9)に向けて開放されている。本実施形態では、開口60は、Z軸方向の片側、つまり、挿入孔40の貫通方向に開放されている。詳しくは、開口60は、第二装着部48の底面480に開口している。挿入スペース6は、ベース本体4と保持壁44をZ軸方向に貫通している。
【0092】
ロック部材7は、取付ベース1の第二装着部48に収容体12を差し込んで装着する際に、収容体12の本体部120に押されて非ロック位置(
図13B参照)からロック位置(
図13A参照)へと移動するように、本体部70の長さが設定されている。
【0093】
収容体12の第二装着部48に対して差し込む向きと、ロック部材7の挿入スペース6に対して差し込む向きとは、一致している。本実施形態では、これらの向きは、Z軸方向に沿った向きである。
【0094】
実施形態3の操作装置101Bは、筒部41を支柱20に嵌め込んだ後、取付ベース1Bの第二装着部48に収容体12を装着することで、収容体12でロック部材7を押して、ロック部材7を非ロック位置からロック位置へと移動させることができる。
【0095】
このため、実施形態3の操作装置101Bでは、ロック部材7の摘み部71を摘まんで、非ロック位置からロック位置へと移動させる作業を行わなくてよくて、取り付けがしやすい。
【0096】
(変形例)
続いて、上述した実施形態1から3の取付ベース1,1A,1B、取付ユニット100,100A,100B、操作装置101,101A,101B、及び移動体102の変形例について説明する。
【0097】
ロック部材7の摘み部71の形状は、
図1等に示す棒状に限らず、例えば、
図14に示す変形例のように、リング状であってもよい。この場合、ロック部材7を引き抜く作業が行いやすくなる。
【0098】
また、爪5は、
図15に示す変形例のように、支柱20に対するベース本体4の抜けを止める部分を有してもよい。爪5の一対の突出部51は、支柱20に筒部41を嵌め込んだ状態で、支柱20の固定用穴21のZ軸方向の片側(支柱20の先端側)の縁211に引っ掛かる引っ掛け面を有する。引っ掛け面は、例えば、突出部51の第二傾斜面513と本体部50の内面との間に形成された段差面である。なお、一対の突出部51を、第二爪11の突起111と同形状に設けて、引っ掛け面を設けてもよい。
【0099】
また、爪5は、支柱20に対するベース本体4の回転を止める部分と、支柱20に対するベース本体4の抜けを止める部分のうち、一方のみを有してもよいし、両方を有してもよい。
【0100】
また、爪5の嵌め込み面511は、支柱20の固定用穴21の縁210が食い込むのではなく単に当たるように設けてもよい。
【0101】
また、保持構造8は、ロック部材7を、爪5に当たらない非ロック位置に保持する構造であればよく、凹部46bに限らず、凸部であってもよいし、ロック部材7に対して押し当たる平面であってもよい。保持構造8が、凸部である場合、保持壁44には、この凸部が収まる凹部が設けられる。
【0102】
また、実施形態2の取付ベース1Aは、各装着部47と筒部41とが一直線状に配置されたものであればよく、例えば、一方の装着部47と筒部41とが並ぶ方向と、他方の装着部47と筒部41とが並ぶ方向が、交差する方向であってもよい。この場合も、挿入スペース6の開口60は、一方の装着部47に向けて開放するように設けられる。
【0103】
また、実施形態2,3の取付ベース1A,1Bに設けられる装着部9と、この装着部9に装着される他の部材は、装着部47,48と操作部材3a,収容体12の組み合わせに限らず、その他の装着部とその他の部材であってもよい。
【0104】
また、実施形態1,2の取付ベース1,1Aは、第二装着部48を備えてもよく、実施形態1,2の取付ベース1,1Aを備える移動体102は、スパイラルケーブルが収容される収容体12を備えてもよい。
【0105】
また、実施形態2,3のロック部材7は、他の部材(操作部材3a,収容体12)と一体に設けられてもよい。この場合も、他の部材(操作部材3a,収容体12)を装着部9(装着部47,48)に装着することで、ロック部材7を挿入スペース6のロック位置まで挿入することができる。
【0106】
また、実施形態2,3の操作装置101A,101Bは、他の部材(操作部材3a,収容体12)を装着部9(装着部47,48)に差し込む方向と、ロック部材7を挿入スペース6に差し込む方向とが、一致しなくてもよい。実施形態2,3の操作装置101A,101Bは、他の部材(操作部材3a,収容体12)を装着部9(装着部47,48)に差し込むことで、他の部材でロック部材7を押して挿入スペース6に差し込むことができるように構成すればよい。
【0107】
また、実施形態1,3の操作装置101,101Bでは、操作部材3a、3bの少なくとも一方は、取付ベース1,1Bの装着部47に差し込み式で装着されるものに限らず、取付ベース1,1Bに固定されて、取付ベース1,1Bに保持されたものであってもよい。この場合、取付ベース1,1Bの筒部41内に支柱20を嵌め込む前や後に、装着部47に対して操作部材3a,3bの少なくとも一方を装着する作業が省略可能である。
【0108】
また、実施形態2の操作装置101Aでは、操作部材3bは、取付ベース1Aの装着部47に差し込み式で装着されるものに限らず、取付ベース1Aに固定されて、取付ベース1Aに保持されたものであってもよい。この場合、取付ベース1Aの筒部41内に支柱20を嵌め込む前や後に、装着部47に対して操作部材3bを装着する作業が省略可能である。
【0109】
また、実施形態2,3の操作装置101A,101Bでは、操作部材3a又は収容体12でロック部材7を押してロック位置へと移動させるのではなく、ロック部材7の摘み部71を摘まんで、ロック位置へと移動させてもよい。
【0110】
また、移動体102は、自動車(四輪車)に限らず、例えば、二輪車、電車、電動カート、航空機、建設機械又は船舶等であってもよい。
【0111】
(まとめ)
以上説明したように、第一態様に係る取付ベース(1,1A,1B)は、下記の構成を備える。
【0112】
すなわち、第一態様に係る取付ベース(1,1A,1B)は、ステアリングシャフト(2)を回転可能に支持する支柱(20)に対して操作部材(3)を取り付けるための部材である。取付ベース(1,1A,1B)は、ステアリングシャフト(2)を通す挿入孔(40)を有し、操作部材(3)を保持するベース本体(4)と、支柱(20)が有する固定用穴(21)に挿入可能な爪(5)と、爪(5)に対して挿入孔(40)とは反対側に位置する挿入スペース(6)と、を備える。爪(5)は、挿入スペース(6)に挿入されたロック部材(7)に当たることで、固定用穴(21)から抜ける向きへの移動が規制される。
【0113】
この態様によれば、挿入スペース(6)にロック部材(7)を挿入することで、固定用穴(21)から抜ける向きへの爪(5)の移動を、ロック部材(7)によって規制することができる。そのため、従来例のようにバンドクランプから拡張ピンを引き抜いて廃棄する等の作業が不要であり、支柱(20)への取付ベース(1,1A,1B)の取り付けがしやすく、その結果、支柱(20)への操作部材(3)の取り付けがしやすい。
【0114】
第二態様に係る取付ベース(1,1A,1B)は、第一態様において、下記の構成を更に備える。
【0115】
すなわち、第二態様の取付ベース(1,1A,1B)では、爪(5)は、固定用穴(21)の縁(210)に当たって、支柱(20)に対するベース本体(4)の回転を止める部分(嵌め込み面511)を有する。
【0116】
この態様によれば、固定用穴(21)から抜ける向きへの移動が規制された爪(5)によって、支柱(20)に対するベース本体(4)の回転を、より確実に止めることができる。
【0117】
第三態様に係る取付ベース(1,1A,1B)は、第一又は第二態様において、下記の構成を更に備える。
【0118】
すなわち、第三態様の取付ベース(1,1A,1B)では、爪(5A)は、固定用穴(21)の縁(211)に当たって、支柱(20)に対するベース本体(4)の抜けを止める部分(突出部51の引っ掛け面)を有する。
【0119】
この態様によれば、固定用穴(21)から抜ける向きへの移動が規制された爪(5A)によって、支柱(20)に対するベース本体(4)の抜けを、より確実に止めることができる。
【0120】
第四態様に係る取付ベース(1,1A,1B)は、第一から第三態様のいずれか一つにおいて、下記の構成を更に備える。
【0121】
すなわち、第四態様の取付ベース(1,1A,1B)は、ロック部材(7)を爪(5)に当たらない非ロック位置に保持する保持構造(8)を更に備える。
【0122】
この態様によれば、取付ベース(1,1A,1B)の保持構造(8)によってロック部材(7)を非ロック位置に保持することができるため、取付ベース(1,1A,1B)とロック部材(7)を持ち運びしやすい。また、ロック部材(7)は爪(5)に当たらない非ロック位置に保持されるため、爪(5)の挿入スペース(6)側への移動の妨げとならない。
【0123】
第五態様に係る取付ベース(1,1A,1B)は、第二態様において、下記の構成を更に備える。
【0124】
すなわち、第五態様の取付ベース(1,1A,1B)では、爪(5)は、固定用穴(21)の縁(210)が食い込む部分(嵌め込み面511)を有する。
【0125】
この態様によれば、固定用穴(21)の縁(210)が食い込む爪(5)によって支柱(20)に対するベース本体(4)の回転を、より確実に止めることができる。
【0126】
第六態様に係る取付ベース(1,1A)は、第一から第五態様のいずれか一つにおいて、下記の構成を更に備える。
【0127】
すなわち、第六態様の取付ベース(1,1A)では、挿入スペース(6)は、ロック部材(7)が挿入される開口(60)を有し、開口(60)は、挿入孔(40)の貫通方向に対して直交する方向に開放されている。
【0128】
この態様によれば、挿入孔(40)に挿入したステアリングシャフト(2)の軸方向(つまり挿入孔(40)の貫通方向)を基準にして、その方向と直交する向きにロック部材(7)を差し込めばよく、ロック部材(7)を挿入スペース(6)に挿入しやすい。
【0129】
第七態様に係る取付ベース(1B)は、第一から第五態様のいずれか一つにおいて、下記の構成を更に備える。
【0130】
すなわち、第七態様の取付ベース(1B)では、挿入スペース(6)は、ロック部材(7)が挿入される開口(60)を有し、開口(60)は、挿入孔(40)の貫通方向に開放されている。
【0131】
この態様によれば、挿入孔(40)に挿入したステアリングシャフト(2)の軸方向(つまり挿入孔40の貫通方向)を基準にして、その方向と平行にロック部材(7)を差し込めばよく、ロック部材(7)を挿入スペース(6)に挿入しやすい。
【0132】
第八態様に係る取付ベース(1A,1B)は、第一から第五態様のいずれか一つにおいて、下記の構成を更に備える。
【0133】
すなわち、第八態様の取付ベース(1A,1B)は、他の部材(操作部材3,収容体12)が装着される装着部(9)を更に備える。挿入スペース(6)は、ロック部材(7)が挿入される開口(60)を有し、開口(60)は、装着部(9)に向けて開放されている。
【0134】
この態様によれば、装着部(9)に他の部材(操作部材3,収容体12)を装着することで、この他の部材でロック部材(7)を押して挿入スペース(6)に挿入することができ、ロック部材(7)を挿入スペース(6)に挿入する手間が抑えられる。
【0135】
第九態様に係る取付ユニット(100,100A,100B)は、第一から第八態様のいずれか一つの取付ベース(1,1A,1B)と、取付ベース(1,1A,1B)の挿入スペース(6)に挿入されるロック部材(7)と、を備える。
【0136】
この態様によれば、挿入スペース(6)にロック部材(7)を挿入することで、固定用穴(21)から抜ける向きへの爪(5)の移動を、ロック部材(7)によって規制することができる。そのため、従来例のようにバンドクランプから拡張ピンを引き抜いて廃棄する等の作業が不要であり、支柱(20)への取付ベース(1,1A,1B)の取り付けがしやすく、その結果、支柱(20)への操作部材(3)の取り付けがしやすい。
【0137】
第十態様に係る操作装置(101,101A,101B)は、第九態様の取付ユニット(100,100A,100B)と、取付ユニット(100,100A,100B)の取付ベース(1,1A,1B)に保持された操作部材(3)と、を備える。
【0138】
この態様によれば、挿入スペース(6)にロック部材(7)を挿入することで、固定用穴(21)から抜ける向きへの爪(5)の移動を、ロック部材(7)によって規制することができる。そのため、従来例のようにバンドクランプから拡張ピンを引き抜いて廃棄する等の作業が不要であり、支柱(20)への取付ベース(1,1A,1B)の取り付けがしやすく、その結果、支柱(20)への操作部材(3)の取り付けがしやすい。
【0139】
第十一態様に係る移動体(102)は、第十態様の操作装置(101,101A,101B)と、操作装置(101,101A,101B)の挿入孔(40)を通るステアリングシャフト(2)と、ステアリングシャフト(2)を回転可能に支持する支柱(20)と、を備える。
【0140】
この態様によれば、挿入スペース(6)にロック部材(7)を挿入することで、固定用穴(21)から抜ける向きへの爪(5)の移動を、ロック部材(7)によって規制することができる。そのため、従来例のようにバンドクランプから拡張ピンを引き抜いて廃棄する等の作業が不要であり、支柱(20)への取付ベース(1,1A,1B)の取り付けがしやすく、その結果、支柱(20)への操作部材(3)の取り付けがしやすい。
【0141】
第十二態様に係る取付ベース(1A)は、第八態様において、他の部材は、操作部材(3)である。
【0142】
この態様によれば、他の部材として、操作部材(3)以外の、ロック部材(7)を押す部材が不要であり、部品点数を抑えることができる。
【0143】
第二から第八、第十二態様に係る構成については、取付ベース(1,1A,1B)における必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0144】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0145】
1,1A,1B 取付ベース
2 ステアリングシャフト
20 支柱
21 固定用穴
210 縁
211 縁
3 操作部材
4 ベース本体
40 挿入孔
5,5A 爪
6 挿入スペース
60 開口
7 ロック部材
8 保持構造
9 装着部
100,100A,100B 取付ユニット
101,101A,101B 操作装置
102 移動体