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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】加熱送風装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/10 20060101AFI20230203BHJP
【FI】
A45D20/10 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019060794
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020156858
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】高野 創志
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/035604(WO,A1)
【文献】特開2014-046090(JP,A)
【文献】特開2005-023910(JP,A)
【文献】実開平05-063405(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 19/00-20/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口および吐出口を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、前記吸入口から吸い込んだ空気を前記吐出口から吐出させるファンと、
前記ハウジングの内部における前記ファンよりも下流側に配置される加熱部と、
前記ハウジングの内部における前記ファンよりも上流側に配置される整流筒とを備え、
前記整流筒の上流側端部は、上流に向かうにつれて拡径するベルマウス構造であり、
前記ベルマウス構造に、前記整流筒の内周と外周とを貫通させて形成されて、前記整流筒の内側の空間と、前記ハウジングと前記整流筒とで囲まれた空間とを連通させる通気口が設けられ
前記通気口の上流側縁部に、前記整流筒の内側の空間を流れる空気と干渉させて当該空気の一部を前記整流筒の内側の空間から前記通気口を通って前記ハウジングと前記整流筒とで囲まれた空間に取り入れるために前記整流筒の内側に向かって延びる遮蔽板が設けられる、加熱送風装置。
【請求項2】
前記吸入口は少なくとも1つ形成され、前記吐出口は少なくとも1つ形成され、前記吸入口と前記吐出口とをつなぐ空気流路が複数形成され、
複数の前記空気流路のうち、前記通気口を含むものは、前記吸入口が1つである、請求項1に記載の加熱送風装置。
【請求項3】
複数の前記空気流路のうち、前記通気口を含むものの少なくとも1つには、前記加熱部が配置されず、回路が配置される、請求項2に記載の加熱送風装置。
【請求項4】
前記ベルマウス構造には、前記通気口が複数形成され、これら複数の前記通気口は、前記整流筒の周方向に等間隔に配置される、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の加熱送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱送風装置として、例えば特許文献1には、吸入口および吐出口を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置され、吸入口から吸い込んだ空気を吐出口から吐出させるファンとを備えるヘアドライヤーが開示されている。
【0003】
このヘアドライヤーのハウジングの内部には、ファンよりも下流側に加熱部(ヒータ)が配置され、さらに、ファンよりも上流側に整流筒が配置されており、整流筒の上流側端部は、上流に向かうにつれて拡径するベルマウス構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-123525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の加熱送風装置(ヘアドライヤー)においては、ファンよりも上流側に配置される整流筒のベルマウス構造の近傍における負圧の発生に基づく風量の減少、および騒音の発生が懸念される。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、ファンよりも上流側に配置される整流筒のベルマウス構造の近傍における負圧の発生に基づく風量の減少、および騒音の発生を抑制する加熱送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の態様にかかる加熱送風装置は、吸入口および吐出口を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置され、吸入口から吸い込んだ空気を吐出口から吐出させるファンとを備える。また、加熱送風装置は、ハウジングの内部におけるファンよりも下流側に配置される加熱部と、ハウジングの内部におけるファンよりも上流側に配置される整流筒とを備える。整流筒の上流側端部は、上流に向かうにつれて拡径するベルマウス構造であり、このベルマウス構造に、整流筒の内側の空間と、ハウジングと整流筒とで囲まれた空間とを連通させる通気口が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ファンよりも上流側に配置される整流筒のベルマウス構造の近傍における負圧の発生に基づく風量の低下、および騒音の発生を抑制する加熱送風装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態にかかる加熱送風装置の側面図である。
図2】本実施形態にかかる加熱送風装置の斜視図であって、(a)は加熱送風装置を斜め前方から見た図であり、(b)は加熱送風装置を斜め後方から見た図である。
図3】本実施形態にかかる加熱送風装置の正面図である。
図4図3のA-A線に沿う断面図である。
図5図4のB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1図5は、本実施形態にかかる加熱送風装置を示した図であり、本実施形態では、本開示を加熱送風装置としてのヘアドライヤーに適用した場合を例示する。
【0012】
ヘアドライヤー1は、図1に示すように、使用者が手で握る部分となるグリップ部11と、グリップ部11と交差する方向に結合される本体部10とを備えており、使用時にはグリップ部11と本体部10とで略T字状の外観を呈するように構成されている。ヘアドライヤー1は、複数の分割体を繋ぎ合わすことでその外郭となるハウジング(本体ハウジング、グリップハウジング)12、11aが形成されており、グリップハウジング11aの突出端部からは、電源コード18が引き出されている。また、本体部10の下側にはグリップ取付部3が突設されており、このグリップ取付部3の連結部19(図4参照)にグリップ部11が回動自在に連結されている。グリップ部11は、本体部10に沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。なお、本実施形態では、ヘアドライヤー1が使用時において略T字状となるように構成したが、これに限定されず、例えば略L字状となるように構成してもよい。
【0013】
図4に示すように、本体ハウジング12の後端部(空気流路の上流側端部:図4の右側)には、第1のフィルタ80で覆われた吸入口15が設けられる一方で、前端部(空気流路の下流側端部:図4の左側)には吐出口16が設けられている。本体ハウジング12の内部にはファン26が配置されており、このファン26の回転駆動によって吸入口15から吸い込んだ空気を吐出口16から吐出させる空気流路が形成される。
【0014】
本実施形態の空気流路は、第1の空気流路(主空気流路)と後述する第2の空気流路(副空気流路)とにより構成されている。第1の空気流路は、本体ハウジング12の内部に設けられる風洞の内側、すなわち、整流筒22の内側の空間および内筒20の内側の空間を通過してノズル23の開口28から吐出される流路である。この第1の空気流路には、最も上流側にファン26が配置され、その下流側にファン26を駆動するモータ25が配置され、モータ25のさらに下流側に加熱部としてのヒータ35が配置されている。ファン26は、頭部26a(図5参照)と翼部26bとから成る一般的な構成のものであり、ヒータ35を作動させた時には、ノズル23の内側から温風が吹き出されることになる。なお、本実施形態では、帯状かつ波板状の電気抵抗体からなるヒータ35を、断面十字型に組まれた基板24に組み付けたものを例示したが、かかる構成に限定されない。
【0015】
内筒20の外周側であって本体ハウジング12と内筒20の上側との間の空間には、金属微粒子イオン(例えばプラチナイオン)を発生するイオン発生装置36と、ミストを発生するミスト発生装置37とが設けられている。その一方で、本体ハウジング12と整流筒22との間の空間には、ミスト発生装置37に電圧を印加する電圧印加回路30と、イオン発生装置36に電圧を印加する電圧印加回路(図示せず)とが配置されている。これら電圧印加回路30と電圧印加回路(図示せず)とは、整流筒22を挟んで相互に反対側となる位置に配置するのが好適である。こうすれば、電圧印加回路30と電圧印加回路(図示せず)との相互干渉による電圧の低下や不安定化などの不具合を抑制することができる。
【0016】
また、本体ハウジング12の前部上側には、楕円形の貫通孔(図示せず)が形成されており、図2(a)に示すように、この貫通孔(図示せず)を絶縁性の合成樹脂からなるカバー13で塞いである。カバー13には、図3に示すように、金属微粒子吐出口133,133とミスト吐出口132とがそれぞれ独立して形成されている。カバー13は、金属微粒子イオンあるいはミストによる帯電を抑制するため、本体ハウジング12よりも導電性を低くするのが好適である。カバー13が帯電すると、その電荷によって、イオン発生装置36やミスト発生装置37から電荷を帯びた金属微粒子イオンやミストが放出されにくくなるからである。カバー13の帯電を抑制するためには、帯電を起こしにくい材料、例えばPC(ポリカボネート)樹脂などを用いてカバー13を形成するのが好適である。なお、この部分では、カバー13がヘアドライヤー1の外郭を成している。
【0017】
図4および図5に示す整流筒22は、吸入口15から取り込んだ空気の流れをファン26の回転軸に対して略平行になるように整流する。また、整流筒22は、本体ハウジング12の内部におけるファン26よりも上流側での乱流(空気の流れの乱れ)、および負圧の発生を抑制する。この整流筒22は、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂などを用いて形成されて、薄肉の筒状(本実施形態では円筒状)とされる。
【0018】
また、図4に示すように、整流筒22の一端部(上流側端部22a)は、上流に向かうにつれて径方向外側に向けて徐々に拡開(拡径)するベルマウス構造となっている。したがって、このベルマウス構造によって、吸入口15から整流筒22の上流側端部22aに導入される空気の流入量の減少を抑えることができ、風量の低下を抑制することができる。その一方で、整流筒22の他端部(下流側端部22b)は、下流に向かうにつれて径方向外側に向けて徐々に拡開(拡径)するベルマウス構造とはなっておらず、上流側から下流側に至るまで略等しい径(内径および外径)となっている。
【0019】
整流筒22における拡径している側の端部(上流側端部22a)が、本体ハウジング12における吸入口15の近傍部分に取り付けられる。さらに、本体ハウジング12の当該部分に、後述する第2のフィルタ90の外縁が重ね合わされる。その一方で、整流筒22における略等しい径の側の端部(下流側端部22b)が、本体ハウジング12の中央部分に取り付けられる。さらに、本体ハウジング12の中央部分において、整流筒22の下流側端部22bが、内筒20の上流側端部に係合される。
【0020】
また、整流筒22の上流側端部22aには、分流部21が設けられている。分流部21には、整流筒22の内側の空間と、本体ハウジング12と整流筒22とで囲まれた空間とを連通する矩形状の通気口29が複数形成されている。通気口29は、本実施形態では12個形成されており、整流筒22の周方向に等間隔に配置される。
【0021】
また、図5に示すように、通気口29における拡径している側の縁部(上流側縁部)から、遮蔽板39が延出している。この遮蔽板39は、整流筒22の内側で、かつ通気口29と交差する方向に沿って延びている。
【0022】
ファン26による送風の一部は、前述の通気口29から、本体ハウジング12と整流筒22とで囲まれた空間、および本体ハウジング12と内筒20とで囲まれた空間を通過して吐出口16から吐出されるようになっている。すなわち、整流筒22の外側および内筒20の外側を通過してノズル23の外側の開口38から吐出される流路が第2の空気流路となる。このノズル23の外側の開口38から吐出される風は、ヒータ35と接触しないため、ヒータ35によって加熱される前の比較的冷たい冷風として吐出される。また、前述の通気口29を通過する風のさらに一部は、金属微粒子イオンとミストを金属微粒子吐出口133,133とミスト吐出口132からそれぞれ吐出することを補助するようになっている。
【0023】
グリップハウジング11aの前面中央には、上下にスライドするスライド釦式のスイッチ部17が設けられている。このスイッチ部17は、電源オンオフ用のメインスイッチとして機能するものであり、また、風量の切り換え操作も行えるようにしている。一方、本体ハウジング12の側面には、風温切り換え用の押し釦式のスイッチ部6と、風温表示のための表示部7と、動作表示ランプ138とが設けられている。これらのスイッチ部6、17や表示部7などは、制御基板(図示せず)上のマイコンと電気的に接続されている。
【0024】
そして、本実施形態では、風温切り換え用のスイッチ部6によって、「HOT」、「温冷」、「COLD」、「SCALP」の4つの風温状態を切り換えることができるようになっている。「HOT」とは、温風を出力するモードである。「温冷」とは、例えば冷風5秒、温風7秒といったように、温風と冷風とを交互に出力するモードである。「COLD」とは、冷風を出力するモードである。「SCALP」とは、例えば約60℃程度の低温風を出力するモードである。ヘアドライヤー1の本体部10に電源が投入されると、マイコンが通電され、現在の風温モードに応じた駆動信号でヒータ35が駆動されるとともに、現在の風温モードを表示するように表示部7の風温表示が制御される。そして、スイッチ部6が押下されるたびに、その押下信号がマイコンに送られて4つの風温状態が順に切り換わるようになっている。
【0025】
本実施形態では、スイッチ部6を本体ハウジング12におけるグリップ取付部3の根元位置から10~40mm程度上方に配置するようにしている。このような位置にスイッチ部6があれば、グリップ部11を把持する使用者の親指による操作を容易にすることができるとともに、不用意な誤操作を抑制することができるためである。すなわち、40mm以上の位置にスイッチ部6があるとグリップ部11を握る親指が届きにくくなり、逆に10mm以下の位置にあると使用時に不用意にスイッチ部6を押してしまって使用者が意図しない風温切換操作が行われてしまう恐れがある。このような理由から、本実施形態では10~40mm程度の位置に設定するようにしている。また、この位置では、円筒状の本体ハウジング12における最大径の部位から次第に縮径された部位にあるので、ヘアドライヤー1を机上に置いた時にスイッチ部6が不用意に押されてしまうことも抑制できる。
【0026】
本体ハウジング12の後端部には、図4に示すように、第1のフィルタ80が吸入口15の開口領域を細分化するように取り付けられている。本実施形態の第1のフィルタ80は、網目状の枠体81とこの枠体81に一体成形されるメッシュ82とを備えている。
【0027】
図5に示すように、枠体81は、電気用品取締法の定める試験指(φ25mm)が挿入できないサイズを開口面積の基準と設定している。したがって、枠体81の最大の開口面積の箇所において、メッシュ82が破れたとしても、使用時に使用者の指などが枠体81を通過してファン26まで挿入されてしまう恐れはない。この枠体81は、合成樹脂成形材料で厚み1.5~2.5mm程度、桟幅が1.5mm程度が好ましい。その中でも桟部81bの幅を1.3~1.5mm程度のように細く設定することによって、成形流動性や強度を確保した上で騒音を低減することができる。また、枠体81における開口部81aはハニカム形状が好ましい。こうすることで、桟部81bの強度を均等に確保することができつつ吸入口15の総開口面積を大きくとることができ、風量の増大に繋がる。
【0028】
ここで、枠体81には、開口率が55~90パーセント程度であって、300~650nm程度の網目幅のメッシュ82が一体成形されている。このメッシュ82は、例えば金属やポリエステルなどの難燃性樹脂を用いることができ、このように網目幅の細かいメッシュ82を一体成形することで、細かい埃や毛髪などが空気流路内に入ってしまうのを抑制できるようにしている。なお、メッシュ82は枠体81における後端面(上流側の面)寄り(例えば後端面から0.2mm程度)の位置にインサート成形することで、メッシュ82が吸入口15の最外層に位置することがないので、擦れによるメッシュ82の破損を抑制することができる。また、メッシュ82を後端面寄りに配置することで、メッシュ82に埃が付着したとしてもその埃を外側から容易に掃除できるようになるため、吸込口15部分の手入れを簡便化することができるという利点もある。その一方で、メッシュ82を枠体81の後端面寄りにインサート成形した場合、メッシュ82の模様が枠体81の後端面に表れてしまうため、これを目立たなくするために、枠体81の後端面には微細な凹凸を予め付与するのが好適である。
【0029】
そして、図5に示すように、第1のフィルタ80とファン26との間には第2のフィルタ90が配置されている。第2のフィルタ90は、整流筒22の上流側端部22aの開口領域を細分化するように取り付けられており、ファン26近傍における毛髪どうしの絡まりを抑制している。
【0030】
また、図5に示すように、整流筒22の上流側端部22aは、上流に向かうにつれて径方向外側に向けて徐々に拡開(拡径)するベルマウス構造となっている。したがって、このベルマウス構造によって、吸入口15から整流筒22の上流側端部22aに導入される空気の流入量の減少を抑えることができ、風量の低下を抑制することができる。
【0031】
次に、ヘアドライヤー1の動作を説明する。
【0032】
電源オンオフ用のメインスイッチ(スイッチ部17)をオンにすることにより、ファン26が回転し、本体ハウジング12の内部の吸入口15側が減圧されて、空気が吸入口15から本体ハウジング12の内部に取り入れられる。
【0033】
吸入口15から本体ハウジング12の内部に取り入れられた空気のほとんどは、ファン26の回転軸と略平行な方向に沿って流れ、ヒータ35と接触したのちに、吐出口16から本体ハウジング12の外部に吐出される。このような空気流路が、第1の空気流路(主空気流路)である。
【0034】
吸入口15から本体ハウジング12の内部に取り入れられた空気のうち、遮蔽板39と干渉するものは、遮蔽板39の裏面(下流側)に回り込み、通気口29を通り、回路(電圧印加回路30など)と接触する。そして、空気が、回路(電圧印加回路30など)と接触したのちに、吐出口16、ミスト吐出口132、および金属微粒子吐出口133から本体ハウジング12の外部に吐出される。このような空気流路が、第2の空気流路(副空気流路)である。
【0035】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0036】
(1)加熱送風装置(ヘアドライヤー1)は、吸入口15および吐出口16を有する本体ハウジング12と、本体ハウジング12の内部に配置され、吸入口15から吸い込んだ空気を吐出口16から吐出させるファン26とを備える。また、ヘアドライヤー1は、本体ハウジング12の内部におけるファン26よりも下流側に配置される加熱部(ヒータ35)と、本体ハウジング12の内部におけるファン26よりも上流側に配置される整流筒22とを備える。整流筒22の上流側端部22aは、上流に向かうにつれて拡径するベルマウス構造であり、このベルマウス構造に、整流筒22の内側の空間と、本体ハウジング12と整流筒22とで囲まれた空間とを連通させる通気口29が設けられる。
【0037】
空気が整流筒22の内側の空間から、通気口29を通り、本体ハウジング12と整流筒22とで囲まれた空間へと取り込まれることにより、整流筒22のベルマウス構造の近傍における乱流が解消され、負圧の発生が抑制される。
【0038】
(2)吸入口15は少なくとも1つ形成され、吐出口16は少なくとも1つ形成され、吸入口15と吐出口16とをつなぐ空気流路が複数形成される。複数の空気流路のうち、通気口29を含むもの(本実施形態では、第2の空気流路)は吸入口が1つである。
【0039】
複数の空気流路のうち、通気口29を含む第2の空気流路は、吸入口が1つである。すなわち、副吸入口が第2の空気流路に形成されていない。これにより、空気が第2の空気流路を逆流して副吸入口から漏れ、騒音が生じることが抑制される。また、上流側にある通気口29から取り入れられた空気が下流側にある吐出口16から排出されるため、通気口29から吐出口16までの空気流路の長さが比較的長く、振動減衰により騒音の低減を図ることができる。
【0040】
(3)通気口29の上流側縁部に、整流筒22の内側に向かって延びる遮蔽板39が設けられる。
【0041】
空気が遮蔽板39の下流側に巻き込まれることにより、ファン26から戻る空気の流れと吸入口15からの空気の流れとの衝突がなくなり、整流筒22のベルマウス構造の近傍における乱流が解消され、負圧の発生が抑制される。
【0042】
(4)複数の空気流路のうち、通気口29を含むものの少なくとも1つ(本実施形態では、第2の空気流路)には、ヒータ35が配置されず、回路(電圧印加回路30など)が配置される。
【0043】
複数の空気流路のうち、第2の空気流路には、ヒータ35が配置されず、回路(電圧印加回路30など)が配置されることにより、この第2の空気流路において、回路(電圧印加回路30など)を効率よく冷却することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ヘアドライヤー(加熱送風装置)
12 本体ハウジング(ハウジング)
15 吸入口
16 吐出口
22 整流筒
26 ファン
29 通気口
30 電圧印加回路(回路)
35 ヒータ(加熱部)
39 遮蔽板
132 ミスト吐出口(吐出口)
133 金属微粒子吐出口(吐出口)
図1
図2
図3
図4
図5