(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】エリア判定システム、エリア判定方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20230203BHJP
【FI】
G01S5/14
(21)【出願番号】P 2021515834
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2020007063
(87)【国際公開番号】W WO2020217685
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2019084619
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 燕峰
(72)【発明者】
【氏名】天野 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】柴野 伸之
(72)【発明者】
【氏名】栄 雁
(72)【発明者】
【氏名】中西 真理
(72)【発明者】
【氏名】松本 一弘
(72)【発明者】
【氏名】寺山 千尋
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-299820(JP,A)
【文献】特開平10-051840(JP,A)
【文献】特開2007-232592(JP,A)
【文献】特開2004-212199(JP,A)
【文献】特開2010-048783(JP,A)
【文献】特表2019-510281(JP,A)
【文献】特開2016-091481(JP,A)
【文献】特開2017-207295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00-5/14
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機で受信した発信機からの無線信号の強度に基づいて前記発信機の位置を決定する決定部と、
存在判定期間に前記発信機の位置が対象エリアに対応する存在判定領域内にある回数に基づく存在判定値を算出する算出部と、
前記存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、前記発信機が前記対象エリア内にあると判定する判定部と、
を備える、
エリア判定システム。
【請求項2】
前記存在判定値は、前記発信機の位置が前記存在判定領域内にあるかどうかを判定した回数に対する、前記発信機の位置が前記存在判定領域内にあると判定した回数の比率に基づく値である、
請求項1のエリア判定システム。
【請求項3】
前記存在判定値は、前記存在判定期間に前記発信機の位置が前記存在判定領域内にある確率である、
請求項1又は2のエリア判定システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記存在判定値が前記存在閾値以上である回数が存在回数以上である場合に、前記存在条件が成立したと判断する、
請求項1~3のいずれか一つのエリア判定システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記存在判定時間における前記存在判定値の代表値が前記存在閾値以上である場合に、前記存在条件が成立したと判断する、
請求項1~3のいずれか一つのエリア判定システム。
【請求項6】
前記存在判定値の代表値は、前記存在判定時間における前記存在判定値の平均値である、
請求項5のエリア判定システム。
【請求項7】
存在判定期間は、直前の存在判定期間と一部重複するように設定される、
請求項1~6のいずれか一つのエリア判定システム。
【請求項8】
前記発信機の位置に基づいて、前記存在判定期間と前記存在判定時間との組み合わせと前記存在判定領域とのいずれか一方を調整する、調整部を更に備える、
請求項1~7のいずれか一つのエリア判定システム。
【請求項9】
前記算出部は、不在判定期間に前記発信機の位置が前記対象エリアに対応する不在判定領域内にない回数に基づいて不在判定値を算出し、
前記判定部は、前記不在判定値が不在閾値以上である状態が不在判定時間継続するという不在条件が成立すると、前記発信機が前記対象エリア内にないと判定する、
請求項1~8のいずれか一つのエリア判定システム。
【請求項10】
前記存在判定領域と前記不在判定領域とは、前記対象エリアに対する大きさが異なる、
請求項9のエリア判定システム。
【請求項11】
前記不在判定領域は、前記対象エリアに含まれない拡張領域を含む、
請求項9又は10のエリア判定システム。
【請求項12】
前記受信機を更に備える、
請求項1~11のいずれか一つのエリア判定システム。
【請求項13】
前記発信機を更に備える、
請求項1~12のいずれか一つのエリア判定システム。
【請求項14】
受信機で受信した発信機からの無線信号の強度に基づいて前記発信機の位置を決定する決定ステップと、
存在判定期間に前記発信機の位置が対象エリアに対応する存在判定領域内にある回数に基づいて存在判定値を算出する算出ステップと、
前記存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、前記発信機が前記対象エリア内にあると判定する判定ステップと、
を含む、
エリア判定方法。
【請求項15】
1以上のプロセッサに、請求項14のエリア判定方法を実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エリア判定システム、エリア判定方法、及び、プログラムに関する。特に、本開示は、発信機が対象エリアに存在するかどうかを判定するためのエリア判定システム、エリア判定方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、位置認識システムを開示する。特許文献1の位置認識システムは、各個人が所持する送信機と、送信機に設けられた個人識別用IDデータを送出するID送出手段と、各部屋または限定された空間内に設置された複数の受信機とを備える。特許文献1の位置認識システムは、更に、受信されたIDデータおよび受信した受信機を表す信号を受けこれらを基に位置認識を行う中央信号処理装置と、中央信号処理装置によって得られた位置認識を表示するモニターとを備える。
【0003】
特許文献1では、送信機(発信機)からの個人識別用IDデータ(無線信号)がどの受信機によって受信されたのかによって、位置認識(エリア判定)を行っている。しかし、実際には、送信機からの無線信号は、周囲環境及び送信機を持つ人物の状態(体の向き、姿勢等)等の影響を受ける。これによって、受信機が意図しない無線信号を受け取り、これによって、送信機の位置認識が正しく行われない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
課題は、発信機が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる、エリア判定システム、エリア判定方法、及び、プログラムに関する。
【0006】
本開示の一態様のエリア判定システムは、決定部と、算出部と、判定部とを備える。前記決定部は、受信機で受信した発信機からの無線信号の強度に基づいて前記発信機の位置を決定するように構成される。前記算出部は、存在判定期間に前記発信機の位置が対象エリアに対応する存在判定領域内にある回数に基づく存在判定値を算出するように構成される。前記判定部は、前記存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、前記発信機が前記対象エリア内にあると判定するように構成される。
【0007】
本開示の一態様のエリア判定方法は、決定ステップと、算出ステップと、判定ステップとを含む。前記決定ステップは、受信機で受信した発信機からの無線信号の強度に基づいて前記発信機の位置を決定するステップである。前記算出ステップは、存在判定期間に前記発信機の位置が対象エリアに対応する存在判定領域内にある回数に基づく存在判定値を算出するステップである。前記判定ステップは、前記存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、前記発信機が前記対象エリア内にあると判定するステップである。
【0008】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、前記エリア判定方法実行させるための、プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態のエリア判定システムの説明図である。
【
図2】
図2は、上記エリア判定システムのサーバのブロック図である。
【
図3】
図3は、上記エリア判定システムの対象エリアの説明図である。
【
図4】
図4は、上記エリア判定システムでの存在判定値の算出方法の説明図である。
【
図5】
図5は、上記エリア判定システムでの不在判定値の算出方法の説明図である。
【
図6】
図6は、上記エリア判定システムの動作の一例のフローチャートである。
【
図7】
図7は、上記エリア判定システムでの不存在判定領域の一例である。
【
図8】
図8は、上記エリア判定システムでの不存在判定領域の一例である。
【
図9】
図9は、上記エリア判定システムでの不存在判定領域の一例である。
【
図10】
図10は、一変形例のエリア判定システムでの存在判定値の算出方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1.1 概要
図1は、一実施形態のエリア判定システム10を示す。エリア判定システム10は、サーバ20を含む。サーバ20は、
図2に示すように、決定部F11と、算出部F12と、判定部F13とを備える。決定部F11は、
図1に示すように、受信機30で受信した発信機40からの無線信号W10の強度に基づいて発信機40の位置を決定するように構成される。算出部F12は、
図3に示すように、存在判定期間に発信機40の位置が対象エリアに対応する存在判定領域R10内にある回数に基づく存在判定値を算出するように構成される。判定部F13は、存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、発信機40が対象エリア内にあると判定するように構成される。
【0011】
エリア判定システム10では、単純に、受信機30で受信した無線信号W10の強度に基づく発信機40の位置が対象エリアにあるかどうかではなく、存在判定値により、発信機40が対象エリア内にあるかどうかが判定される。存在判定値は、存在判定期間に発信機40の位置が対象エリアに対応する存在判定領域R10内にある回数に基づく値である。更に、発信機40が対象エリア内にあると判定されるのは、存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立した場合である。そのため、受信機30が発信機40からの無線信号W10を正しく受け取れなかったり、無線信号W10が意図しない挙動を示したりした場合であっても、発信機40が対象エリア内にあるかどうかを正確に判定できる可能性が高い。よって、エリア判定システム10によれば、発信機40が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0012】
1.2 詳細
以下、本実施形態のエリア判定システム10について、
図1~
図6を参照して更に詳細に説明する。エリア判定システム10は、
図3に示すように、施設100における対象エリアに発信機40を持つ人物200がいるかどうかを判定するためのシステムである。つまり、エリア判定システム10は、施設100内での人物200の位置を特定するローカルポジショニングシステム(LPS)として側面を持つ。
【0013】
施設100は、本実施形態では、オフィスビルである。施設100は、
図3に示すように、複数(図示例では8つ)のエリアA10~A17を含む。ここで、エリアA10~A15はそれぞれ会議室である。エリアA16はエリアA10~A15につながる廊下であり、エリアA17はホールである。なお、施設100の例としては、オフィスビルの他に、戸建て住宅、集合住宅(住戸、共用部)、店舗、ビル(ビル全体、フロア内)が挙げられる。また、施設100は、建物だけではなく、建物とその建物が存在する敷地とを含んでいてもよく、例えば、工場や、公園、病院、商業施設等が挙げられる。
【0014】
エリア判定システム10は、
図1に示すように、サーバ20と、複数の受信機30と、複数の発信機40とを備える。また、エリア判定システム10は、サービス提供システム70と通信ネットワーク60を通じて通信可能である。通信ネットワーク60は、インターネットを含み得る。通信ネットワーク60は、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
図1では簡略化されているが、通信ネットワーク60は、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0015】
エリア判定システム10は、サービス提供システム70に、必要に応じて、施設100の対象エリアに発信機40を持つ人物200がいるかどうかの判定の結果(施設100の対象エリアにおける人物200の存否情報)を提供することが可能である。サービス提供システム70は、端末装置80に対してサービスを提供するためのシステムである。サービス提供システム70は、端末装置80と通信ネットワーク60を通じて通信可能である。サービス提供システム70は、エリア判定システム10から受け取った施設100の対象エリアにおける人物200の存否情報に基づき、端末装置80に種々の情報を提示するサービスを実行する。
【0016】
発信機40は、人物200の位置を特定するために用いられる。つまり、人物200が発信機40を携帯しているという前提の下で、発信機40の位置を人物200の位置として取り扱う。発信機40は、無線信号W10を送信する機能を有している。特に、発信機40は、無線信号W10を定期的に送信する。無線信号W10は、発信機40の識別情報を含み得る。識別情報は、複数の発信機40同士を互いに区別するために利用され得る。本実施形態では、無線信号W10の媒体は、電波である。特に、無線信号W10の媒体は、近距離無線通信に適合する電波である。近距離無線通信の例としては、Bluetooth(登録商標)が挙げられ、特に、Bluetooth Low Energy(BLE)が利用可能である。発信機40は、人物200が携帯可能な大きさ及び重さである。発信機40は、例えば、ビーコンである。また、発信機40は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の携帯端末、又はパーソナルコンピュータにより実現され得る。
【0017】
受信機30は、発信機40の位置(つまり、発信機40を携帯する人物200の位置)を特定するために用いられる。受信機30は、発信機40からの無線信号W10を受信する機能を有している。また、受信機30は、サーバ20に通信可能に接続される。つまり、受信機30は、サーバ20と通信ネットワーク50を通じて通信可能である。受信機30は、発信機40から無線信号W10を受け取ると、無線信号W10に含まれる識別情報及び無線信号W10の強度をサーバ20に通信ネットワーク50を通じて送信する。無線信号W10の強度は、例えば、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)である。一例として、受信機30は、施設100の対象エリア内に設置される。対象エリアが屋内である場合には、受信機30は、対象エリアの天井に配置され得る。また、対象エリアには、複数の受信機30が配置され得る。複数の受信機30を配置することによって、発信機40の位置の特定の精度の向上が期待できる。
【0018】
通信ネットワーク50は、ローカルエリアネットワークを含み得る。通信ネットワーク50は、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
図1では簡略化されているが、通信ネットワーク50は、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0019】
サーバ20は、
図2に示すように、第1通信部21と、第2通信部22と、記憶部23と、処理部24とを備える。
【0020】
第1通信部21は、通信インターフェースである。特に、第1通信部21は、通信ネットワーク50に接続可能な通信インターフェースであり、通信ネットワーク50を通じた通信を行う機能を有する。これにより、サーバ20は、通信ネットワーク50を通じて受信機30と通信可能である。なお、第1通信部21の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0021】
第2通信部22は、通信インターフェースである。特に、第2通信部22は、通信ネットワーク60に接続可能な通信インターフェースであり、通信ネットワーク60を通じた通信を行う機能を有する。特に、第2通信部22は、サービス提供システム70と通信ネットワーク60を通じて通信可能である。なお、第2通信部22の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0022】
記憶部23は、情報を記憶するための装置である。記憶部23は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等である。記憶部23は、発信機40が対象エリアに存在するかどうかの判定に利用される判定用情報を記憶するための領域を有する。例えば、判定用情報は、対象エリアの情報、受信機30の情報、及び、発信機40の情報を含む。対象エリアの情報は、対象エリアの大きさ及び形状等を特定するための情報である。受信機30の情報は、対象エリアに対する受信機30の位置を示す情報を含む。発信機40の情報は、発信機40を特定するための情報(識別情報)を含む。
【0023】
処理部24は、サーバ20の全体的な制御、すなわち、第1通信部21、第2通信部22、及び記憶部23を制御するように構成される。処理部24は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部24として機能する。プログラムは、ここでは処理部24のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0024】
処理部24は、
図2に示すように、決定部F11と、算出部F12と、判定部F13と、調整部F14とを備える。
図2において、決定部F11、算出部F12、判定部F13、及び調整部F14は実体のある構成を示しているわけではなく、処理部24によって実現される機能を示している。
【0025】
決定部F11は、受信機30で受信した発信機40からの無線信号W10の強度に基づいて発信機40の位置を決定するように構成される。特に、本実施形態では、決定部F11は、受信機30の位置及び無線信号W10の強度に基づいて、発信機40の位置を決定する。無線信号W10の強度が受信機30と発信機40との距離の増加に対して減少する。よって、発信機40からの無線信号W10の強度によって、発信機40の受信機30からの距離を求めることが可能である。決定部F11は、記憶部23に記憶されている、対象エリアに対する受信機30の位置から、発信機40が存在し得る範囲(一例として、受信機30を中心とする円周)を決定する。決定部F11は、異なる受信機30から発信機40が存在し得る範囲を求め、全ての範囲が重複する位置を、発信機40の位置として採用する。なお、上記の方法は一例であって、決定部F11は、上記とは別の方法で、発信機40の位置を決定してよい。つまり、無線信号の強度に基づいて無線信号の発生源の位置を特定する方法は、従来種々提供されているので、決定部F11は、従来周知の方法によって、発信機40の位置を決定してよい。
【0026】
算出部F12は、存在判定値を算出する。存在判定値は、存在判定期間に発信機40の位置が対象エリア(エリアA10)に対応する存在判定領域R10内にある回数に基づく値である。
【0027】
存在判定値の算出方法について、
図3及び
図4を参照して説明する。まず、存在判定領域R10は、対象エリアに発信機40があることを判定するために設定される領域である。本実施形態では、存在判定領域R10は、対象エリア(エリアA10)に一致している。
図3において、「×」印は、決定部F11で決定された発信機40の位置を示す。
図4では、D1は、決定部F11で決定された発信機40の位置の時系列データを示し、20の位置L1~L20を含む。
図4では、位置L1~L20の各々について、決定部F11で決定された発信機40の位置が存在判定領域R10内にあるかどうかの判定結果を示している。ここで、「OK」は、決定部F11で決定された発信機40の位置が存在判定領域R10内にあることを意味する。「NG」は、決定部F11で決定された発信機40の位置が存在判定領域R10内にないことを意味する。
【0028】
存在判定期間は、決定部F11により発信機40の位置を目標数得るのに必要な長さを有する。存在判定期間は、発信機40の位置の目標数、発信機40の無線信号W10の送信周期、及び受信機30の無線信号W10の受信周期を考慮して適宜設定される。
図4に示す例では、P1~P11は、存在判定期間を示しており、発信機40の位置の目標数は10である。一例として、発信機40の送信周期が1秒であり、受信機30の受信周期が発信機40からの無線信号W10を毎回受信できるように設定されていれば、存在判定期間は10秒に設定され得る。本実施形態では、存在判定期間は、直前の存在判定期間と一部重複するように設定される。一例として、存在判定期間P1は、10の位置L1~L10に対応する。存在判定期間P1の次の存在判定期間P2は、10の位置L2~L11に対応している。よって、存在判定期間P1と存在判定期間P2とは、位置L2~L10で重複している。
【0029】
本実施形態では、存在判定値は、存在判定期間において、発信機40の位置が存在判定領域R10内にあるかどうかを判定した回数に対する、発信機40の位置が存在判定領域R10内にあると判定した回数の比率に基づく値である。つまり、存在判定値は、存在判定期間に発信機の位置が存在判定領域R10内にある確率である。一例として、存在判定値は、百分率で表される。
図4では、存在判定期間P1~P10では、発信機40の位置が存在判定領域R10内にあるかどうかを判定した回数は、10である。存在判定期間P1では、発信機40の位置が存在判定領域R10内にあると判定した回数は、7である。よって、存在判定期間P1での存在判定値は、70%である。同様に、存在判定期間P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11での存在判定値は、70%,80%,80%,80%,80%,80%,90%,90%,90%,90%である。
【0030】
更に、算出部F12は、不在判定値を算出する。不在判定値は、不在判定期間に発信機40の位置が対象エリア(エリアA10)に対応する不在判定領域R20内にない回数に基づく値である。
【0031】
不在判定値の算出方法について、
図3及び
図5を参照して説明する。不在判定領域R20は、対象エリアに発信機40がないことを判定するために設定される領域である。本実施形態では、不在判定領域R20は、対象エリア(エリアA10)の全てを含む領域であり、対象エリア(エリアA10)よりも大きい。よって、存在判定領域R10と不在判定領域R20とは、対象エリアに対する大きさが異なる。特に、不在判定領域R20は、対象エリア(エリアA10)に一致する基準領域R21と、対象エリアに含まれない拡張領域R22とを含む。拡張領域R22は、矩形枠状の領域であって、基準領域R21の全周を囲っている。
図5では、D2は、決定部F11で決定された発信機40の位置の時系列データを示し、20の位置L21~L40を含む。
図5では、位置L21~L40の各々について、決定部F11で決定された発信機40の位置が不在判定領域R20内にあるかどうかの判定結果を示している。ここで、「OK」は、決定部F11で決定された発信機40の位置が不在判定領域R20内にあることを意味する。「NG」は、決定部F11で決定された発信機40の位置が不在判定領域R20内にない(つまり、不在判定領域R20外にある)ことを意味する。
【0032】
不在判定期間は、存在判定期間と同様に、決定部F11により発信機40の位置を目標数得るのに必要な長さを有する。不在判定期間は、発信機40の位置の目標数、発信機40の無線信号W10の送信周期、及び受信機30の無線信号W10の受信周期を考慮して適宜設定される。
図5に示す例では、P21~P31は、不在判定期間を示しており、発信機40の位置の目標数は10である。一例として、発信機40の送信周期が1秒であり、受信機30の受信周期が発信機40からの無線信号W10を毎回受信できるように設定されていれば、不在判定期間は10秒に設定され得る。本実施形態では、不在判定期間は、直前の不在判定期間と一部重複するように設定される。一例として、不在判定期間P21は、10の位置L21~L30に対応する。不在判定期間P21の次の不在判定期間P22は、10の位置L22~L31に対応している。よって、不在判定期間P21と不在判定期間P22とは、位置L22~L30で重複している。
【0033】
本実施形態では、不在判定値は、不在判定期間において、発信機40の位置が不在判定領域R20外にあるかどうかを判定した回数に対する、発信機40の位置が不在判定領域R20内にないと判定した回数の比率に基づく値である。つまり、不在判定値は、不在判定期間に発信機の位置が不在判定領域R20内にある確率である。一例として、不在判定値は、百分率で表される。
図5では、不在判定期間P21~P30では、発信機40の位置が不在判定領域R20外にあるかどうかを判定した回数は、10である。不在判定期間P21では、発信機40の位置が不在判定領域R20外にあると判定した回数は、8である。よって、不在判定期間P21での不在判定値は、80%である。同様に、不在判定期間P22,P23,P24,P25,P26,P27,P28,P29,P30,P31での存在判定値は、80%,80%,80%,80%,80%,80%,70%,70%,70%,70%である。
【0034】
このように、算出部F12は、決定部F11で算出された発信機40の位置の時系列データから、存在判定値及び不在判定値を算出する。存在判定値及び不在判定値は、判定部F13での判定に使用される。
【0035】
判定部F13は、存在条件が成立すると、発信機40が対象エリア内にあると判定する。存在条件は、存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという条件である。存在閾値及び存在判定時間は、発信機40が実際に対象エリア内に存在するかどうかを決定するための値である。一例として、存在閾値は70%である。本実施形態では、存在判定時間は、10秒である。
図4の例では、存在判定期間P1において、存在判定値は70%であり、存在閾値以上である。以後の存在判定期間P2~P11においても、存在判定値は70%以上であって、存在閾値以上である。存在判定期間P1から10秒後の存在判定期間P11まで、存在判定値は存在閾値以上のままであるから、判定部F13は、存在条件が成立したと判断し、発信機40が対象エリア内にあると判定する。判定部F13は、存在条件が成立しなかった場合、発信機40が対象エリア内にあるかどうかは現時点では判定できない(判定不能)とする。
【0036】
判定部F13は、不在条件が成立すると、発信機40が対象エリア内にないと判定する。不在条件は、不在判定値が不在閾値以上である状態が不在在判定時間継続するという条件である。不在閾値及び不在判定時間は、発信機40が実際に対象エリア外に存在するかどうかを決定するための値である。一例として、不在閾値は70%である。本実施形態では、不在判定時間は、10秒である。
図5の例では、不在判定期間P21において、存在判定値は80%であり、不在閾値以上である。以後の不在判定期間P22~P31においても、不在判定値は70%以上であって、不在閾値以上である。不在判定期間P21から10秒後の不在判定期間P31まで、不在判定値は不在閾値以上のままであるから、判定部F13は、不在条件が成立したと判断し、発信機40が対象エリア外にあると判定する。判定部F13は、不在条件が成立しなかった場合、発信機40が対象エリア内にあるかどうかは現時点では判定できない(判定不能)とする。
【0037】
調整部F14は、発信機40の位置に基づいて、存在判定期間と存在判定時間との組み合わせと存在判定領域R10とのいずれか一方を調整する。本実施形態では、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布に基づいて、存在判定期間と存在判定時間との組み合わせと存在判定領域R10とのいずれか一方を調整する。一例として、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布の分散(又は標準偏差)が閾値以上の場合には、存在判定期間と存在判定時間と少なくとも一方を長くしてよい。つまり、調整部F14は、存在判定値の算出に用いる発信機40の位置の数や、判定部F13での判定に用いる存在判定値の数を増やすことで、判定部F13での判定の精度の向上を図ってよい。逆に、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布の分散(又は標準偏差)が閾値未満の場合には、存在判定期間と存在判定時間と少なくとも一方を短くしてよい。つまり、調整部F14は、決定部F11により発信機40の位置が精度よく得られている場合には、存在判定値の算出に用いる発信機40の位置の数を減らすことで、判定にかかる時間を短縮化可能である。また、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布が対象エリアの端に偏っている場合には、存在判定期間と存在判定時間と少なくとも一方を長くしてよい。逆に、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布が対象エリアの中央に偏っている場合には、存在判定期間と存在判定時間と少なくとも一方を短くしてよい。一例として、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布の分散(又は標準偏差)が閾値以上の場合、存在判定領域R10を大きくしてよい。一例として、存在判定領域R10を対象エリアより大きくしてよい。これによって、決定部F11での発信機40の位置の決定の精度が良好でない場合に判定部F13での判定の精度を高めることができる。また、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布が対象エリアの端に偏っている場合には、対象エリアの端より外側に存在判定領域R10を拡張してよい。これによって、発信機40が対象エリアの端にある可能性が高い場合でも判定部F13での判定の精度を高めることができる。
【0038】
更に、調整部F14は、発信機40の位置に基づいて、不在判定期間と不在判定時間との組み合わせと不在判定領域R20とのいずれか一方を調整する。本実施形態では、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布に基づいて、不在判定期間と不在判定時間との組み合わせと不在判定領域R20とのいずれか一方を調整する。一例として、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布の分散(又は標準偏差)が閾値以上の場合には、不在判定期間と不在判定時間と少なくとも一方を長くしてよい。つまり、調整部F14は、不在判定値の算出に用いる発信機40の位置の数や、判定部F13での判定に用いる不在判定値の数を増やすことで、判定部F13での判定の精度の向上を図ってよい。逆に、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布の分散(又は標準偏差)が閾値未満の場合には、不在判定期間と不在判定時間と少なくとも一方を短くしてよい。つまり、調整部F14は、決定部F11により発信機40の位置が精度よく得られている場合には、不在判定値の算出に用いる発信機40の位置の数を減らすことで、判定にかかる時間を短縮化可能である。また、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布が対象エリアの端に偏っている場合には、不在判定期間と不在判定時間と少なくとも一方を長くしてよい。逆に、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布が対象エリアの中央に偏っている場合には、不在判定期間と不在判定時間と少なくとも一方を短くしてよい。一例として、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布の分散(又は標準偏差)が閾値以上の場合、不在判定領域R20を大きくしてよい。つまり、不在判定領域R20の拡張領域R22を更に拡張してよい。これによって、決定部F11での発信機40の位置の決定の精度が良好でない場合に判定部F13での判定の精度を高めることができる。また、調整部F14は、決定部F11で決定された発信機40の位置の分布が対象エリアの端に偏っている場合には、不在判定領域R20を対象エリアの端側に縮小してよい。これによって、発信機40が対象エリアの端にある可能性が高い場合でも判定部F13での判定の精度を高めることができる。
【0039】
1.3 動作
次に、エリア判定システム10の動作の一例について
図6のフローチャートを参照して簡単に説明する。
図6のフローチャートでは、説明を簡単にするために、調整部F14での処理を省略している。調整部F14での処理は、
図6の処理の実行中、又は、
図6の処理の実行前又は後に適宜実行されてよい。
【0040】
まず、エリア判定システム10は、発信機40の位置を決定する(S10)。次に、エリア判定システム10は存在判定値を算出する(S11)。次に、エリア判定システム10は、存在判定値が存在閾値以上であるかどうかを確認する(S12)。存在判定値が存在閾値以上である場合(S12:Yes)、エリア判定システム10は存在条件が成立するかどうかを確認する(S13)。存在条件が成立すれば(S13:Yes)、エリア判定システム10は、発信機40が対象エリア内にあると判定する(S14)。
【0041】
ステップS12で、存在判定値が閾値未満である場合(S12:No)、エリア判定システム10は、不在判定値を算出する(S15)。次に、エリア判定システム10は、不在判定値が不在閾値以上であるかどうかを確認する(S16)。不在判定値が不在閾値以上である場合(S16:Yes)、エリア判定システム10は不在条件が成立するかどうかを確認する(S17)。不在条件が成立すれば(S17:Yes)、エリア判定システム10は、発信機40が対象エリア外にあると判定する(S18)。
【0042】
なお、ステップS13で存在条件が成立しなかった場合(S13:No)、エリア判定システム10は、発信機40が対象エリア内にあるかどうかは現時点では判定できない(判定不能)とする(S19)。ステップS16で不在判定値が不在閾値未満であった場合(S16:No)、又は、ステップS17で不在条件が成立しなかった場合(S17:No)、エリア判定システム10は、発信機40が対象エリア内にあるかどうかは現時点では判定できない(判定不能)とする(S19)。
【0043】
1.4 まとめ
以上述べたエリア判定システム10は、
図2に示すように、決定部F11と、算出部F12と、判定部F13とを備える。決定部F11は、
図1に示すように、受信機30で受信した発信機40からの無線信号W10の強度に基づいて発信機40の位置を決定するように構成される。算出部F12は、
図3に示すように、存在判定期間に発信機40の位置が対象エリアに対応する存在判定領域R10内にある回数に基づく存在判定値を算出するように構成される。判定部F13は、存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、発信機40が対象エリア内にあると判定するように構成される。このようなエリア判定システム10によれば、発信機40が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0044】
換言すれば、エリア判定システム10は、次の方法(エリア判定方法)を実行しているといえる。エリア判定方法は、決定ステップ(S10)と、算出ステップ(S11)と、判定ステップ(S13,S14)とを含む。決定ステップ(S10)は、受信機30で受信した発信機40からの無線信号W10の強度に基づいて発信機40の位置を決定するステップである。算出ステップ(S11)は、存在判定期間に発信機40の位置が対象エリアに対応する存在判定領域R10内にある回数に基づく存在判定値を算出するステップである。判定ステップ(S13,S14)は、存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、発信機40が対象エリア内にあると判定するステップである。このようなエリア判定方法によれば、エリア判定システム10と同様に、発信機40が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0045】
エリア判定システム10は、1以上のプロセッサにより実現されている。つまり、エリア判定システム10は、1以上のプロセッサがプログラム(エリア判定プログラム)を実行することにより実現される。このプログラムは、1以上のプロセッサに、エリア判定方法を実行させるためのプログラム(コンピュータプログラム)である。このようなプログラムによれば、エリア判定方法と同様に、発信機40が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0046】
2.変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
【0047】
一変形例では、判定部F13は、存在判定値が存在閾値以上である回数が存在回数以上である場合に、存在条件が成立したと判断してよい。存在回数は、発信機40が実際に対象エリア内に存在するかどうかを決定するための値である。一例として、存在閾値は、70%であり、存在回数は、10回である。
図4の例では、存在判定期間P1において、存在判定値は70%であり、存在閾値以上である。以後の存在判定期間P2~P11においても、存在判定値は70%以上であって、存在閾値以上である。そして、存在判定期間P11において、存在判定値が存在閾値以上である回数が存在回数に一致する。よって、判定部F13は、存在条件が成立したと判断し、発信機40が対象エリア内にあると判定する。
【0048】
一変形例では、判定部F13は、不在判定値が不在閾値以上である回数が不在回数以上である場合に、不在条件が成立したと判断してよい。不在回数は、発信機40が実際に対象エリア外に存在するかどうかを決定するための値である。一例として、不在閾値は、70%であり、不在回数は、10回である。
図5の例では、不在判定期間P21において、不在判定値は80%であり、不在閾値以上である。以後の不在判定期間P22~P31においても、不在判定値は70%以上であって、不在閾値以上である。そして、不在判定期間P31において、不在判定値が不在閾値以上である回数が不在回数に一致する。よって、判定部F13は、不在条件が成立したと判断し、発信機40が対象エリア外にあると判定する。
【0049】
一変形例では、判定部F13は、存在判定時間における存在判定値の代表値が存在閾値以上である場合に、存在条件が成立したと判断してよい。存在判定値の代表値は、存在判定時間における存在判定値の平均値である。一例として、存在閾値は70%であり、存在判定時間は10秒である。
図4の例では、10秒に相当する存在判定期間P1~P10の存在判定値は、70%,70%,80%,80%,80%,80%,80%,90%,90%,90%である。そのため、存在判定値の代表値(平均値)は、81%であり、存在閾値以上である。よって、判定部F13は、存在条件が成立したと判断し、発信機40が対象エリア外にあると判定する。なお、存在判定値の代表値は、平均値に限らず、中央値、最頻値、最小値、最大値等であってもよい。
【0050】
一変形例では、判定部F13は、不在判定時間における不在判定値の代表値が不在閾値以上である場合に、不在条件が成立したと判断してよい。不在判定値の代表値は、不在判定時間における不在判定値の平均値である。一例として、不在閾値は70%であり、不在判定時間は10秒である。
図5の例では、10秒に相当する不在判定期間P21~P30の不在判定値は、80%,80%,80%,80%,80%,80%,80%,70%,70%,70%である。そのため、不在判定値の代表値(平均値)は、77%であり、不在閾値以上である。よって、判定部F13は、不在条件が成立したと判断し、発信機40が対象エリア外にあると判定する。なお、不在判定値の代表値は、平均値に限らず、中央値、最頻値、最小値、最大値等であってもよい。
【0051】
一変形例では、判定部F13は、前回の判定の結果に応じて、存在条件と不在条件とのどちらを先に確認するかを決めてよい。つまり、判定部F13が、発信機40が対象エリア内にあると判定した次は、不在条件を優先的に判断してよい。判定部F13が、発信機40が対象エリア外にあると判定した次は、存在条件を優先的に判断してよい。
【0052】
一変形例では、存在判定期間と不在判定期間とは異なる期間であってもよいし、同じ期間であってもよい。また、存在閾値と不在閾値とは同じであってもよいし、異なってもよい。また、存在判定時間と不在判定時間とは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0053】
一変形例では、拡張領域R22は、必ずしも、基準領域R21の全周を囲う必要はない。
図7に示すように、拡張領域R22は、基準領域R21の一辺にのみ存在してもよい。あるいは、
図8及び
図9に示すように、拡張領域R22は、基準領域R21の二辺にのみ存在してもよい。また、拡張領域R22は、
図8のように連続した一個の領域ではなく、
図9のように分離した複数の領域で構成されていてもよい。特に、拡張領域R22は、対象エリアと対象エリアに隣接する外部エリアとの境界であって、人物200が対象エリアと外部エリアとの間の行き来をする可能性が高い場所を含むように設定されるとよい。また、不在判定領域R20は、拡張領域R22を含んでいなくてもよい。
【0054】
一変形例では、存在判定期間は、直前の存在判定期間と重複しないように設定されてもよい。一例として、
図10に示すように、存在判定期間P1は、五つの位置L1~L5に対応する。存在判定期間P1の次の存在判定期間P2は、五つの位置L6~L10に対応している。よって、存在判定期間P1と存在判定期間P2とは、重複していない。なお、この点は、不在判定期間にも同様に当てはまる。
【0055】
一変形例では、算出部F12は、不在判定値を必ずしも算出する必要はない。つまり、判定部F13は、不在条件が成立するかどうかを判定しなくてよい。
【0056】
一変形例では、調整部F14は、発信機40の位置(発信機40の位置の分布)と、存在判定期間と存在判定時間との組み合わせと存在判定領域R10とのいずれか一方との関係を学習した学習済みモデルを利用してよい。これによって、調整部F14は、発信機40の位置の分布に対して、存在判定期間、存在判定時間、及び存在判定領域R10の少なくとも一つの調整が可能となる。これによって、判定部F13での判定の精度の向上が期待できる。なお、このような学習済みモデルは、一例としては、発信機40の位置と、存在判定期間と存在判定時間との組み合わせと存在判定領域R10とのいずれか一方とを含む学習用データセットにより、人工知能のプログラムに、これらの関係を学習させることで、生成され得る。人工知能のプログラム(アルゴリズム)は、機械学習のモデルであって、例えば、階層モデルの一種であるニューラルネットワークが用いられる。つまり、ニューラルネットワークに学習用データセットで機械学習(例えば、深層学習)を行わせることで、学習済みモデルが生成される。
【0057】
一変形例では、調整部F14は、発信機40の位置(発信機40の位置の分布)と、不在判定期間と不在判定時間との組み合わせと不在判定領域R20とのいずれか一方との関係を学習した学習済みモデルを利用してよい。これによって、調整部F14は、発信機40の位置の分布に対して、不在判定期間、不在判定時間、及び不在判定領域R20の少なくとも一つの調整が可能となる。これによって、判定部F13での判定の精度の向上が期待できる。なお、このような学習済みモデルは、一例としては、発信機40の位置と、不在判定期間と不在判定時間との組み合わせと不在判定領域R20とのいずれか一方とを含む学習用データセットにより、人工知能のプログラムに、これらの関係を学習させることで、生成され得る。人工知能のプログラム(アルゴリズム)は、機械学習のモデルであって、例えば、階層モデルの一種であるニューラルネットワークが用いられる。つまり、ニューラルネットワークに学習用データセットで機械学習(例えば、深層学習)を行わせることで、学習済みモデルが生成される。
【0058】
一変形例では、調整部F14は、存在判定期間と存在判定時間との組み合わせと存在判定領域R10とのいずれか一方を調整する機能を有していなくてもよい。また、調整部F14は、不在判定期間と不在判定時間との組み合わせと不在判定領域R20とのいずれか一方を調整する機能を有していなくてもよい。更に、エリア判定システム10は、調整部F14を有していなくてもよい。
【0059】
一変形例では、エリア判定システム10は、施設100の複数のエリアA10~A17の2以上の各々を対象エリアとしてよい。つまり、エリア判定システム10は、複数の対象エリアについて、発信機40が存在するかどうかを判定してよい。あるいは、対象エリアは、複数のエリアA10~A17で構成されていてよい。
図3に示す施設100では、エリアA16,A17をまとめて一つの対象エリアとしてよい。更に、
図3に示す施設100では、エリアA10,A11,A12をまとめて一つの対象エリアとしてよい。つまり、対象エリアは、一つの分離した空間ではなく、複数の分離した空間を含んでよい。このように、対象エリアは、施設100の性質や形状に応じて適宜設定されてよい。
【0060】
一変形例では、サーバ20は、必ずしも第2通信部22を備えている必要はない。サーバ20は、第2通信部22に加えて、あるいは代えて、発信機40が対象エリアに存在するかどうかの判定の結果を出力する出力部を有していてよい。出力部は、聴覚と視覚との少なくとも一方により、判定の結果を提示する機能を有していればよい。出力部の例としては、スピーカ、及びディスプレイが挙げられる。
【0061】
一変形例では、エリア判定システム10は、1以上の受信機30及び1以上の発信機40を有していてよい。ただし、1以上の発信機40は必須ではない。また、1以上の受信機30も必須ではない。要するに、エリア判定システム10は、受信機30及び発信機40を備えていなくてもよい。つまり、エリア判定システム10は、サーバ20を有していればよく、より詳しくは、エリア判定システム10は、決定部F11、算出部F12、及び判定部F13を備えていればよい。
【0062】
一変形例では、エリア判定システム10(サーバ20)は、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。例えば、エリア判定システム10(サーバ20)の機能(特に、決定部F11、算出部F12、判定部F13、及び調整部F14)は、複数の装置に分散されていてもよい。更に、エリア判定システム10(サーバ20)の機能の少なくとも一部が、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されていてもよい。
【0063】
以上述べたエリア判定システム10(サーバ20)の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるエリア判定システム10(サーバ20)の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FGPA)、ASIC(application specific integrated circuit)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0064】
3.態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0065】
第1の態様は、エリア判定システム(10)であって、決定部(F11)と、算出部(F12)と、判定部(F13)とを備える。前記決定部(F11)は、受信機(30)で受信した発信機(40)からの無線信号(W10)の強度に基づいて前記発信機(40)の位置(L1~L40)を決定するように構成される。前記算出部(F12)は、存在判定期間(P1~P11)に前記発信機(40)の位置(L1~L40)が対象エリア(A10)に対応する存在判定領域(R10)内にある回数に基づく存在判定値を算出するように構成される。前記判定部(F13)は、前記存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、前記発信機(40)が前記対象エリア(A10)内にあると判定するように構成される。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0066】
第2の態様は、第1の態様のエリア判定システム(10)に基づく。第2の態様では、前記存在判定値は、前記発信機(40)の位置(L1~L40)が前記存在判定領域(R10)内にあるかどうかを判定した回数に対する、前記発信機(40)の位置(L1~L40)が前記存在判定領域(R10)内にあると判定した回数の比率に基づく値である。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0067】
第3の態様は、第1又は第2の態様のエリア判定システム(10)に基づく。第3の態様では、前記存在判定値は、前記存在判定期間(P1~P11)に前記発信機(40)の位置(L1~L40)が前記存在判定領域(R10)内にある確率である。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0068】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第4の態様では、前記判定部(F13)は、前記存在判定値が前記存在閾値以上である回数が存在回数以上である場合に、前記存在条件が成立したと判断する。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0069】
第5の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第5の態様では、前記判定部(F13)は、前記存在判定時間における前記存在判定値の代表値が前記存在閾値以上である場合に、前記存在条件が成立したと判断する。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0070】
第6の態様は、第5の態様のエリア判定システム(10)に基づく。第6の態様では、前記存在判定値の代表値は、前記存在判定時間における前記存在判定値の平均値である。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0071】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第7の態様では、存在判定期間(P1~P11)は、直前の存在判定期間(P1~P11)と一部重複するように設定される。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0072】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第8の態様では、前記発信機(40)の位置(L1~L40)に基づいて、前記存在判定期間(P1~P11)と前記存在判定時間との組み合わせと前記存在判定領域(R10)とのいずれか一方を調整する、調整部(F14)を更に備える。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0073】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第9の態様では、前記算出部(F12)は、不在判定期間(P21~P31)に前記発信機(40)の位置(L1~L40)が前記対象エリア(A10)に対応する不在判定領域内(R20)にない回数に基づいて不在判定値を算出する。前記判定部(F13)は、前記不在判定値が不在閾値以上である状態が不在判定時間継続するという不在条件が成立すると、前記発信機(40)が前記対象エリア(A10)内にないと判定する。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0074】
第10の態様は、第9の態様のエリア判定システム(10)に基づく。第10の態様では、前記存在判定領域(R10)と前記不在判定領域(R20)とは、前記対象エリア(A10)に対する大きさが異なる。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0075】
第11の態様は、第9又は第10の態様のエリア判定システム(10)に基づく。第11の態様では、前記不在判定領域(R20)は、前記対象エリア(A10)に含まれない拡張領域(R22)を含む。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0076】
第12の態様は、第9~第11の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第12の態様では、前記不在判定値は、前記発信機(40)の位置(L1~L40)が前記不在判定領域(R20)外にあるかどうかを判定した回数に対する、前記発信機(40)の位置(L1~L40)が前記不在判定領域(R20)外にあると判定した回数の比率に基づく値である。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0077】
第13の態様は、第9~第12の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第13の態様では、前記不在判定値は、前記不在判定期間(P21~P31)に前記発信機(40)の位置(L1~L40)が前記不在判定領域(R20)外にある確率である。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0078】
第14の態様は、第9~第13の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第14の態様では、前記判定部(F13)は、前記不在判定値が前記不在閾値以上である回数が不在回数以上である場合に、前記不在条件が成立したと判断する。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0079】
第15の態様は、第9~第13の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第15の態様では、前記判定部(F13)は、前記不在判定時間における前記不在判定値の代表値が前記不在閾値以上である場合に、前記不在条件が成立したと判断する。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0080】
第16の態様は、第15の態様のエリア判定システム(10)に基づく。第16の態様では、前記不在判定値の代表値は、前記不在判定時間における前記不在判定値の平均値である。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0081】
第17の態様は、第9~第16の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第17の態様では、不在判定期間(P21~P31)は、直前の不在判定期間(P21~P31)と一部重複するように設定される。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0082】
第18の態様は、第9~第17の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第18の態様では、前記発信機(40)の位置(L1~L40)に基づいて、前記不在判定期間(P21~P31)と前記不在判定時間との組み合わせと前記不在判定領域(R20)とのいずれか一方を調整する、調整部(F14)を更に備える。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0083】
第19の態様は、第1~第18の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第19の態様では、前記エリア判定システム(10)は、前記受信機(30)を更に備える。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0084】
第20の態様は、第1~第19の態様のいずれか一つのエリア判定システム(10)に基づく。第20の態様では、前記エリア判定システム(10)は、前記発信機(40)を更に備える。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0085】
第21の態様は、エリア判定方法であって、決定ステップ(S10)と、算出ステップ(S11)と、判定ステップ(S13,S14)とを含む。前記決定ステップ(S10)は、受信機(30)で受信した発信機(40)からの無線信号(W10)の強度に基づいて前記発信機(40)の位置(L1~L40)を決定するステップである。前記算出ステップ(S11)は、存在判定期間(P1~P11)に前記発信機(40)の位置(L1~L40)が対象エリア(A10)に対応する存在判定領域(R10)内にある回数に基づいて存在判定値を算出するステップである。前記判定ステップ(S13,S14)は、前記存在判定値が存在閾値以上である状態が存在判定時間継続するという存在条件が成立すると、前記発信機(40)が前記対象エリア(A10)内にあると判定するステップである。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【0086】
第22の態様は、1以上のプロセッサに、第21の態様のエリア判定方法を実行させるための、プログラムである。この態様によれば、発信機(40)が対象エリアに存在するかどうかの判定の精度を向上できる。
【符号の説明】
【0087】
10 エリア判定システム
F11 決定部
F12 算出部
F13 判定部
F14 調整部
30 受信機
40 発信機
W10 無線信号
L1~L40 位置
A10 対象エリア
R10 存在判定領域
R20 不在判定領域
R22 拡張領域
P1~P11 存在判定期間
P21~P31 不在判定期間