(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】袋分離装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/18 20060101AFI20230203BHJP
【FI】
B65B43/18
(21)【出願番号】P 2020012531
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 広衛
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144826(JP,A)
【文献】実開昭59-127042(JP,U)
【文献】実開昭53-009910(JP,U)
【文献】特開2004-331202(JP,A)
【文献】米国特許第04798042(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00 - 43/62
B65H 1/00 - 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の袋体が積層され、各袋体のピン孔に挿通されたピンにより一体化されてなる袋積層体から一袋体を順次分離させる袋分離装置であって、
前記袋積層体のピンを保持して
、前記袋積層体を位置決めする位置決め手段と、
前記位置決め手段により位置決めされた前記袋積層体の最外層の一袋体を吸着して移動させる吸着手段と、
該吸着手段により前記袋積層体から最外層の一袋体を吸着して移動させる際に、当該一袋体だけを前記ピンから取り外す分離手段と、
を備えることを特徴とする袋分離装置。
【請求項2】
前記分離手段は、前記一袋体のピン孔から端部に至る範囲を切断する切断手段にて構成されることを特徴とする請求項1に記載の袋分離装置。
【請求項3】
前記切断手段は、前記位置決め手段により位置決めされた前記袋積層体に対して、進退自在の切断カッタを有し、
該切断カッタを、前記吸着手段により前記一袋体を吸着して移動させる直前に前進させて、前記一袋体の移動に伴って前記一袋体のピン孔から端部に至る範囲を切断後に、初期位置に後退するように制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の袋分離装置。
【請求項4】
前記吸着手段は、前記袋積層体の最外層の一袋体であって、前記ピン周辺の複数の部位を吸着する複数の吸着パッドを有することを特徴とする請求項1~3いずれかに記載の袋分離装置。
【請求項5】
前記袋積層体のピン付近の部位を下方から支持する支持台を備えることを特徴とする請求項1~4いずれかに記載の袋分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紙おむつ等を包装するための袋体が多数積層されてなる袋積層体から一袋体を順次に分離させるための袋分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば、紙おむつ等を包装するための袋体は、それが多数積層されてなる袋積層体として供給される。その後、この袋積層体から一袋体ずつ分離させて、各袋体内に紙おむつ等を包装する工程に進む。
【0003】
ところで、袋体は、その底部側端部(袋口側とは反対側端部)付近に幅方向に間隔を置いて一対のピン孔が形成される。ピン孔に挿通されるピンは、合成樹脂製であって、ピン孔に挿通される円筒状の軸部と、該軸部の軸方向一端部から延び、軸方向他端に着脱自在に装着される係止片とからなる。そして、当該袋体が多数積層された状態で、各袋体の各ピン孔にピンの軸部を挿通すると共に、ピンの係止片をその軸部の軸方向一端から各袋体の底部側端部の外方に取り回して、その軸部の軸方向他端に装着することで、積層された多数の袋体を一体化して袋積層体として構成される。
【0004】
そこで、作業者により、上述した袋積層体から一袋体を順次分離させる作業は、各袋体がポリエチレンやビニールなどの極薄の樹脂製であり、静電気等により互いに張り付いているために大変な労力を必要とする。そのために、従来から、袋積層体から一袋体を順次分離させる装置が採用されている。従来の袋分離装置は、概略、袋積層体の一対のピン孔にそれぞれ挿通される位置決めピンと、昇降自在であって、各位置決めピンにより位置決めされた袋積層体から最上層の一袋体を吸着して上昇させる吸着手段と、を備えている。吸着手段は、概略、一袋体をエア吸引により吸着する吸着パッドと、該吸着パッドを昇降させる駆動装置と、を備えている。
【0005】
そして、まず、作業者によって、袋積層体の一対のピンにおいて、その軸部の軸方向一端から延びる係止片をその軸部の軸方向他端から取り外す。続いて、一対のピンの軸部を袋分離装置の各位置決めピンにそれぞれ嵌合させる。続いて、袋積層体の各袋体を押し下げ、袋積層体を横向きに寝かせた状態で位置決めする。続いて、一対のピンの軸部を袋分離装置の各位置決めピンから抜脱する。その結果、袋積層体の一対のピン孔に袋分離装置の各位置決めピンがそれぞれ挿通された状態で袋積層体が位置決めされる。
次に、袋分離装置の駆動装置を作動させて、吸着パッドを昇降させることで、袋積層体の最上層の一袋体を吸着して上昇させて、当該一袋体を袋積層体から分離させる。そして、この吸着パッドの動作を繰り返すことにより、袋積層体から各袋体を順次分離させている。
【0006】
しかしながら、従来の袋分離装置では、まず、作業者による、袋積層体の一対のピンにおいて、係止片をその軸部の軸方向他端から取り外して、一対のピンの軸部を袋分離装置の各位置決めピンにそれぞれ嵌合させる作業があり、引き続き、袋積層体の各袋体を押し下げ、袋積層体を横向きに寝かせた状態で位置決めして、一対のピンの軸部を袋分離装置の各位置決めピンから抜脱する作業も必要であり、これらの作業が作業者にとって非常に手間であり、作業効率を非常に悪化させていた。
【0007】
また、従来の袋分離装置では、吸着パッドにより袋分離装置の最上層の袋体を吸着して上昇させる際、当該袋体の下層にある次の袋体も一緒に持ち上がる現象が発生することがある。そのため、従来の袋分離装置では、分離作業中、このような現象が発生するたびに、当該装置を停止させる必要がある。この問題を解決するために、吸着パッドによる、袋積層体から一袋体を上昇させる速度を落とすなどの対策が必要になるが、これも作業効率が低下することになり、根本的な解決には至らない。
【0008】
そこで、特許文献1には、袋口の一側面のフィルムが延出した延出部を備えた袋を、積層した上方から順次分離して取り出す積層袋の取出し装置であって、袋口を横向きにして寝た姿勢で下面のフィルムから延出部が連続する袋が積層される積層手段と、袋の収容部と延出部との上面を吸着して袋を取り上げる吸着手段と、該吸着手段で袋を取り上げる際に、上で重なる袋の幅方向の側縁部を持ち上げて下に重なる袋と離間する分離手段とを備えた積層袋の取出し装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された積層袋の取出し装置においても、袋体が多数積層されてなる袋積層体の一対のピン孔に挿通される一対のピンが備えられていることから、上述した、作業者による、袋積層体の一対のピンにおいて、係止片をその軸部の軸方向他端から取り外して、一対のピンの軸部を袋分離装置の各位置決めピンにそれぞれ嵌合させる作業と、引き続き、袋積層体の各袋体を押し下げ、袋積層体を横向きに寝かせた状態で位置決めして、一対のピンの軸部を袋分離装置の各位置決めピンから抜脱する作業とが必要であり、作業効率の低下を改善することはできない。また、特許文献1に記載された積層袋の取出し装置では、吸着手段で袋を取り上げる際に、上で重なる袋の幅方向の側縁部を持ち上げて下に重なる袋と離間する分離手段を備えているが、その構造が非常に複雑であり、コストアップに繋がり、採用することはできない。
【0011】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その構造を複雑化することなく、袋積層体から各袋体を分離させるための作業効率を向上させる袋分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、多数の袋体が積層され、各袋体のピン孔に挿通されたピンにより一体化されてなる袋積層体から一袋体を順次分離させる袋分離装置であって、前記袋積層体のピンを保持して、前記袋積層体を位置決めする位置決め手段と、前記位置決め手段により位置決めされた前記袋積層体の最外層の一袋体を吸着して移動させる吸着手段と、該吸着手段により前記袋積層体から最外層の一袋体を吸着して移動させる際に、当該一袋体だけを前記ピンから取り外す分離手段と、を備えることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、まず、位置決め手段により、袋積層体のピンを保持して位置決めすることができる。続いて、吸着手段により袋積層体の最外層の一袋体を吸着して移動させることができる。続いて、分離手段により、吸着手段により袋積層体の最外層の一袋体を吸着して移動させる際、当該一袋体だけをピンから取り外すことができる。これにより、作業者による、袋積層体のピンにおいて、係止片をその軸部の軸方向他端から取り外して、ピンの軸部を袋分離装置の位置決めピンに嵌合させる作業と、引き続き、袋積層体の各袋体を押し下げ、袋積層体を横向きに寝かせた状態で位置決めして、ピンの軸部を袋分離装置の位置決めピンから抜脱する作業とが必要ないので、作業効率を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記分離手段は、前記一袋体のピン孔から端部に至る範囲を切断する切断手段にて構成されることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、吸着手段により一袋体を吸着して移動させる際に、切断手段により一袋体のピン孔から端部に至る範囲を切断することができる。これにより、袋分離装置の構造を複雑化することなく、容易に当該一袋体だけをピンから取り外すことができる。
【0014】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した発明において、前記切断手段は、前記位置決め手段により位置決めされた前記袋積層体に対して、進退自在の切断カッタを有し、該切断カッタを、前記吸着手段により前記一袋体を吸着して移動させる直前に前進させて、前記一袋体の移動に伴って前記一袋体のピン孔から端部に至る範囲を切断後に、初期位置に後退するように制御する制御手段を備えることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、制御手段により、切断手段の切断カッタを、吸着手段により一袋体を吸着して移動させる直前に前進させて、当該切断カッタにより、一袋体の移動に伴って一袋体のピン孔から端部に至る範囲を切断することができ、その切断後、切断カッタを初期位置に後退させる。これにより、吸着手段により、袋積層体の最外層の一袋体と共にその内側にある次の袋体が一緒に移動した場合でも、当該次の袋体に、切断カッタが触れることはあっても切断まで至ることはなく、ピンに保持された状態が維持される。その結果、袋積層体から確実に一袋体だけを分離させることができる。これにより、吸着手段による、袋積層体から一袋体を吸着して移動させる速度を落とす必要がないので、さらに、作業効率を向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載した発明は、請求項1~3いずれかに記載した発明において、前記吸着手段は、前記袋積層体の最外層の一袋体であって、前記ピン周辺の複数の部位を吸着する複数の吸着パッドを有することを特徴とするものである。
請求項4の発明では、各吸着パッドにより、一袋体のピン周辺の複数箇所を吸着して移動させることができ、一袋体のピン周辺の部位を移動させる際に、容易に、分離手段(切断手段)により、一袋体だけをピンから取り外すことができる。
【0016】
請求項5に記載した発明は、請求項1~4いずれかに記載した発明において、前記袋積層体のピン付近の部位を下方から支持する支持台を備えることを特徴とするものである。
請求項5の発明では、支持台により、袋積層体をそのピン付近から垂れ下がるように支持できるので、占有スペースを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る袋分離装置では、その構造を複雑化することなく、袋積層体から各袋体を分離させるための作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る袋分離装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る袋分離装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る袋分離装置に採用された支持台の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る袋分離装置に採用された位置決め手段である一対のピン保持手段の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る袋分離装置に採用された吸着手段の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る袋分離装置に採用された分離手段である一対の切断手段の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る袋分離装置に採用された間隔調整手段の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る袋分離装置に採用された支持台上に袋積層体の一対のピン付近が支持された状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る袋分離装置の作用を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を
図1~
図9に基づいて詳細に説明する。本発明の実施形態に係る袋分離装置1は、
図1及び
図2に示すように、紙おむつ等を包装するための袋体2、2が多数積層されてなる袋積層体3から一袋体2を順次に分離させるためのものである。袋体2は、ポリエチレンやビニール等の樹脂にて構成される。袋体2は、正面視略矩形状に形成される。
図8に示すように、袋体2の底部側端部付近には、幅方向に間隔を置いて一対のピン孔5、5が形成される。各ピン孔5、5に、ピン8、8がそれぞれ挿通される。
【0020】
図8に示すように、ピン8は、合成樹脂製であって、ピン孔5に挿通される円筒状の軸部8Aと、該軸部8Aの軸方向一端部から延び、軸方向他端に着脱自在に装着される係止片8Bとからなる。そして、当該袋体2、2が多数積層された状態で、各袋体2の一対のピン孔5、5にピン8、8の軸部8A、8Aをそれぞれ挿通すると共に、各ピン8、8の係止片8B、8Bを、その軸部8A、8Aの軸方向一端から各袋体2の底部側端部の外方に取り回して、その軸部8A、8Aの軸方向他端に装着することで、積層された多数の袋体2、2を一体化して袋積層体3として構成される。
【0021】
そして、本発明の実施形態に係る袋分離装置1を詳しく説明する。本実施形態に係る袋分離装置1は、
図1及び
図2に示すように、袋積層体3の底部側端部付近、すなわち一対のピン8、8付近を横向きで寝かせた状態(
図8参照)で、袋積層体3の一対のピン8、8を保持して
、袋積層体3を位置決めする位置決め手段10と、袋積層体3の底部側端部付近、すなわち一対のピン8、8付近の部位を下方から支持する支持台11と、位置決め手段10により位置決めされた袋積層体3から最上層(最外層)の一袋体2を吸着して上昇させる吸着手段12と、該吸着手段12により袋積層体3から最上層の一袋体2を吸着して上昇させる際に、当該一袋体2だけを袋積層体3の各ピン8、8から取り外す分離手段13と、位置決め手段10、吸着手段12及び分離手段13等と電気的に接続され、これら位置決め手段10、吸着手段12及び分離手段13等の作動を制御する制御手段14と、を備えている。
【0022】
支持台11は、袋積層体3の、各袋体2の底部側端部付近、すなわち一対のピン8、8付近の部位を下方から支持するものである。該支持台11は、図示しない案内経路に沿って循環するように移動するものである。支持台11は、前記案内経路に沿って間隔を置いて複数備えられている。当該支持台11は、本袋分離装置1による袋積層体3からの各袋体2の分離作業が完了すると、本袋分離装置1から案内経路に沿って離れるように移動すると共に、袋積層体3が支持された次の支持台11が案内経路に沿って移動して、本袋分離装置1の所定位置にセットされる。なお、
図1及び
図2は、当該支持台11が、本実施形態に係る袋分離装置1の一構成として所定位置にセットされた状態を示している。
【0023】
支持台11は、
図1~
図3に示すように、袋積層体3の各袋体2の幅方向に沿って延びている。支持台11は、袋積層体3の、各袋体2の底部側端部付近、すなわち一対のピン8、8付近の部位を下方から支持する支持本体18と、該支持本体18に一体的に連結され、袋積層体3の袋口側端部(底部側端部と反対側)が垂れ下がる方向を案内する案内体19と、を備えている。
【0024】
図3を参照して、支持本体18は、断面コ字状に形成される。支持本体18は、所定長さを有し、平面視略矩形状のベース板状部22と、該ベース板状部22の幅方向端部にそれぞれ一体的に接続され、対向する一対の対向板状部23A、23Bとからなる。支持本体18のベース板状部22には、長手方向に延びる長孔25、25が長手方向に沿って間隔を置いて一対形成されている。各長孔25、25は、一対の対向板状部23A、23Bのうち、一方の対向板状部23Aに近接する位置に形成されている。長孔25、25には、スライド板27、27がスライド自在にそれぞれ支持されている。該スライド板27は、平面視矩形状に形成される。該スライド板27は、長孔25に沿ってスライド自在であり、且つ任意の位置に固定可能に構成される。
【0025】
スライド板27には、略中央部に支持ピン29が上方に向かって突設される。この支持ピン29に、袋積層体3のピン8の円筒状の軸部8Aが嵌合される。スライド板27には、支持ピン29から一方の対向板状部23A側に2本の挟持ピン30、30が互いに近接して上方に向かって突設されている。各挟持ピン30、30は、支持ピン29に対して支持本体18の長手方向において内側(中央側)に配置されている。これら挟持ピン30、30は、袋積層体3の各ピン8が各支持ピン29に嵌合された際に、袋積層体3の各ピン8の係止片8Bを間に挟持するものである。これにより、各ピン8の係止片8Bの位置が所定位置に定まるので、各ピン8の係止片8Bが、後述する一対の切断手段65の切断カッタ66の進退運動による各袋体2のピン孔5から底部側端部に至る範囲の切断動作を妨げることはない。支持本体18の他方の対向板状部23Bに、案内体19が連結される。案内体19は、支持本体18のベース板状部22の長手方向に沿って細長い正面視略矩形状の固定板状部33と、該固定板状部33の上端全域から一体的に延びる案内板状部34と、から構成される。
【0026】
案内板状部34は、その断面形状において、中心角度が略45°の円弧状に形成される。なお、案内体19の長さは、支持本体18の長さよりも若干短く、各袋体2の幅長よりも長く設定される。そして、案内体19の固定板状部33が、支持本体18の他方の対向板状部23Bに連結される。このとき、案内体19の固定板状部33の上端面が、支持本体18のベース板状部22の上面と略同一に位置するように連結する。また、案内体19の長手方向中央と、支持本体18の長手方向中央とが略一致するように連結する。
【0027】
図1、
図2及び
図4に示すように、位置決め手段10は、一対のピン保持手段38、38で構成される。一対のピン保持手段38、38は、支持台11の案内体19側とは反対側に配置される。一対のピン保持手段38、38は、後述する間隔調整手段75にそれぞれ支持される。
図4を参照して、ピン保持手段38は、シリンダ40と、該シリンダ40から伸縮自在に支持台11に向かって略水平方向に延びる複数のピストンロッド41に連結されるアームユニット42と、該アームユニット42の先端に連結されるピン押圧部43と、を備えている。シリンダ40は、後述する間隔調整手段75にブラケット45を介して支持されている。シリンダ40は、制御手段14からの信号により作動される。なお、本実施形態では、シリンダ40が採用されているが、サーボモータを採用してもよい。シリンダ40の上面には、ピストンロッド41の軸方向に沿って延びる、平面視略コ字状のアーム材47の一端が連結されている。
【0028】
アームユニット42は、各ピストンロッド41の先端とピン押圧部43とを連結するものである。アームユニット42は、ピストンロッド41の軸方向に沿って延びる回動バー49を備えている。該回動バー49の先端にピン押圧部43が連結される。当該回動バー49は、アーム材47に対して軸部50を中心に回動自在に支持される。そして、回動バー49は、シリンダ40が駆動されて各ピストンロッド41が最大限前進すると、軸部50を中心に下方に向かって回動する一方、各ピストンロッド41が後退し始めた時点で、軸部50を中心に上方に向かって回動して初期位置に戻る構成である。ピン押圧部43は、回動バー49の回動により、袋積層体3のピン8を上方から押圧するものである。ピン押圧部43は、板状に形成される。該ピン押圧部43の下面には、袋積層体3のピン8の軸部8A内に嵌合される嵌合部46、46が突設されている。
【0029】
吸着手段12は、基礎本体(図示略)に支持されている。なお、基礎本体は、本実施形態に係る袋分離装置1を所定位置(スペース)に設置するためのものである。そして、
図1、
図2及び
図5に示すように、吸着手段12は、袋積層体3から最上層の一袋体2をエア吸引により吸着する複数の吸着パッド53を備えるパッドユニット54、54と、該パッドユニット54、54を支持する支持バー55と、該支持バー55を介してパッドユニット54、54を昇降させるシリンダ56と、を備えている。支持バー55は、支持台11が延びる方向と同方向に延びている。支持バー55は、支持台11の支持本体18の案内体19側とは反対側の位置であって、支持台11よりも上方に配置されている。
【0030】
図5を参照して、支持バー55は、長孔60、60が長手方向に沿って間隔を置いて一対形成される。パッドユニット54、54は、袋積層体3の一対のピン孔5、5(支持バー55の一対の長孔60、60)に対応して一対備えられている。パッドユニット54は、複数の吸着パッド53と、各吸着パッド53を支持する支持板材62と、を備えている。支持板材62は、支持バー55の長孔60にその長手方向に沿ってスライド自在に支持され、任意の位置に固定可能に構成される。支持板材62は、支持バー55から支持台11に向かって横向きで突設される。
【0031】
各吸着パッド53は、支持板材62を上下方向に貫通するように固定され、その下面が吸着面として作用する。本実施形態では、一パッドユニット54に対して吸着パッド53が3本設けられる。各吸着パッド53は、その径方向中心を結ぶ形状が略三角形状を呈するように支持板材62に対して配置される。各吸着パッド53が袋積層体3の最上層の袋体2であって、そのピン8周辺の複数の部位(3箇所)を吸着できるように、パッドユニット54が支持バー55の長孔60に対して位置決めされる。詳しくは、各吸着パッド53が、ピン8に近接して支持台11の案内体19側の1箇所、及びピン8に近接してその両側(袋積層体3の幅方向両側)の2箇所を吸着できるように位置決めされる。
【0032】
各吸着パッド53の上端には、ホース(図示略)が接続される。該ホースにはエア吸引装置(図示略)が接続される。エア吸引装置は制御手段14に電気的に接続される。制御手段14からの信号によりエア吸引装置が作動される。支持バー55の上方にシリンダ56が配置される。該シリンダ56から伸縮自在にピストンロッド58Aと、該ピストンロッド58Aの両側に位置するガイドロッド58B、58Bとが延びる。これらピストンロッド58A及び各ガイドロッド58B、58Bは、支持台11に向かって上下方向に延びる。ピストンロッド58A及び各ガイドロッド58B、58Bの先端が、支持バー55の長手方向中央部であって、その上面に連結される。
図1を参照して、シリンダ56は、ブラケット57を介して基礎本体に支持されている。シリンダ56は、制御手段14からの信号により作動される。なお、本実施形態では、シリンダ56が採用されているが、サーボモータを採用してもよい。
【0033】
図1、
図2及び
図6に示すように、分離手段13は、一袋体2のピン孔5から底部側端部に至る範囲を切断する切断手段65にて構成される。切断手段65、65は、袋積層体3の一対のピン孔5、5に対応して一対備えられている。一対の切断手段65、65は、支持台11の案内体19側とは反対側に配置される。一対の切断手段65、65は、後述する間隔調整手段75に支持されている。
図6を参照して、切断手段65は、切断カッタ66と、切断カッタ66を位置決め手段10により位置決めされた袋積層体3に対して進退自在に支持するシリンダ67と、を備えている。シリンダ67は、後述する間隔調整手段75にブラケット69を介して支持されている。シリンダ67から伸縮自在に複数のピストンロッド71、71が延びる(
図1参照)。各ピストンロッド71、71は、支持台11に向かって略水平方向に延びる。各ピストンロッド71、71の先端に、複数の連結部材からなる連結材ユニット72が連結される。シリンダ67は、制御手段14からの信号により作動される。なお、本実施形態では、シリンダ67が採用されているが、サーボモータを採用してもよい。
【0034】
切断カッタ66は、熱を加えて被切断物(本実施形態では袋体2)を切断する熱カッタが採用される。なお、本実施形態では、熱を加えて被切断物を切断する熱カッタが採用されているが、超音波振動を利用して被切断物を切断する超音波カッタを採用してもよく、熱カッタに限定されることはない。切断カッタ66は、連結材ユニット72から支持台11に向かって突設されている。切断カッタ66は、その刃部が下方を向くように連結材ユニット72に支持されている。これにより、切断カッタ66は、シリンダ67の駆動により、支持台11上の袋積層体3の上方であって、袋積層体3のピン8に近接する位置まで進退移動することができる。
【0035】
図1、
図2及び
図7に示すように、間隔調整手段75は、一対の切断手段65、65、及び一対のピン保持手段38、38を支持するものである。間隔調整手段75は、基礎本体に支持される。間隔調整手段75は、支持台11の案内体19側とは反対側であって、支持台11よりも下方に配置される。
図7を参照して、間隔調整手段75は、一対のリニアガイド77、77と、一対のリニアガイド77、77に連結され、互いに近接・遠退自在に移動する一対のスライド板78、78と、該一対のスライド板78、78に無端状のベルト84を介して連結されるサーボモータ79と、を備えている。リニアガイド77、77は、略矩形状のベース板82上であって、その長手方向に沿って配置される。リニアガイド77、77は、ベース板82上であって、その幅方向に間隔を置いて平行に一対配置される。ベース板82は基礎本体に支持される。
【0036】
リニアガイド77は、ベース板82上にその長手方向に沿って配置されるガイドレール86と、該ガイドレール86に沿ってスライド自在にそれぞれ連結され、互いに間隔を置いて配置される一対のスライドコマ87、87と、を備えている。一対のリニアガイド77、77であって、対応するスライドコマ87、87にスライド板78、78を架設される。これにより、一対のスライド板78、78が、一対のリニアガイド77、77のガイドレール86、86に沿って互いに近接・遠退自在に移動可能になる。
【0037】
一対のスライド板78、78には、無端状のベルト84がそれぞれ連結されている。詳しくは、ベルト84の回転により、一対のスライド板78、78が同じ距離近接・遠退するように、一対のスライド板78、78にベルト84が連結されている。ベルト84は、サーボモータ79の回転軸(図示略)に固着された駆動プーリ89と、該駆動プーリ89からガイドレール86の延びる方向に間隔を置いて配置される従動プーリ90とに巻回されている。サーボモータ79は、制御手段14からの信号により作動される。そして、
図7を参照して、制御手段14からの信号によりサーボモータ79が回転されると、ベルト84の回転に伴って、一対のスライド板78、78が同じ距離、互い近接・遠退することができる。
【0038】
図1及び
図2に示すように、上述した、一対のピン保持手段38、38のシリンダ40、40が、間隔調整手段75の一対のスライド板78、78に各ブラケット45、45を介してそれぞれ連結される。また、一対の切断手段65、65のシリンダ67、67が、間隔調整手段75の一対のスライド板78、78に各ブラケット69、69を介してそれぞれ連結される。なお、一対のピン保持手段38、38のシリンダ40、40は、一対の切断手段65、65のシリンダ67、67よりの内側にそれぞれ配置される。また、ピン保持手段38のピン押圧部43の嵌合部46(
図4参照)と、切断手段65の切断カッタ66(
図6参照)とは、支持台11の長手方向において互いに限りなく近接する位置に配置される。
【0039】
このように、一対のピン保持手段38、38が、間隔調整手段75の一対のスライド板78、78にそれぞれ連結され、一対の切断手段65、65も、間隔調整手段75の一対のスライド板78、78にそれぞれ連結されるので、袋体2の種類が変わって、袋積層体3の一対のピン8、8間の距離が変わっても、常に、ピン保持手段38のピン押圧部43の嵌合部46と、切断手段65の切断カッタ66とは、支持台11の長手方向において互いに限りなく近接する位置に配置されることになる。また、切断カッタ66は、常に、ピン押圧部43の嵌合部46と支持台11の長手方向において限りなく近接する位置を進退移動するので、吸着手段12により、袋積層体3の最上層の袋体2を吸着して上昇させる際に、切断カッタ66により、一袋体2のピン孔5から底部側端部に至る範囲の最短距離を切断することが可能になる。
【0040】
図1に示す制御手段14は、上述したように、位置決め手段10の一対のピン保持手段38、38のシリンダ40、40と、吸着手段12のシリンダ56及びエア吸引装置と、一対の切断手段65、65のシリンダ67、67と、間隔調整手段75のサーボモータ79とに電気的にそれぞれ接続されている。そして、制御手段14からの信号により、位置決め手段10の一対のピン保持手段38、38のシリンダ40、40と、吸着手段12のシリンダ56及びエア吸引装置と、一対の切断手段65、65のシリンダ67、67と、間隔調整手段75のサーボモータ79とが作動される。
【0041】
また、本袋分離装置1には、図示は省略するが、上述した、一対のピン保持手段38、38、吸着手段12及び一対の切断手段65、65の進退運動等を検出するシリンダセンサー等の検出センサーが多数配置されており、制御手段14では、各検出センサーからの検出信号に基づいて、上述した吸着手段12のシリンダ56及びエア吸引装置や、切断手段65のシリンダ67に信号を送信する。なお、制御手段14による具体的な制御方法は、以下、袋分離装置1の作用にて説明する。
【0042】
次に、本発明の実施形態に係る袋分離装置1の作用(制御手段14の制御方法)を詳しく説明する。
まず、作業者により、袋積層体3の様態に対応するように、袋分離装置1に対して初期設定を行う。具体的には、支持台11の一対のスライド板27、27の支持ピン29、29間の距離を、袋積層体3の一対のピン8、8間の距離に一致させるように、各スライド板27、27を、支持本体18のベース板状部22の各長孔25、25の長手方向に沿って適宜スライドさせてそれぞれ固定する。このとき、一方のスライド板27と支持本体18の長手方向中央との間の距離が、他方のスライド板27と支持本体18の長手方向中央との間の距離と一致するようにする。
【0043】
次に、作業者により、吸着手段12の一対のパッドユニット54、54を、支持バー55の各長孔60、60に対して適宜位置にスライドさせて固定する。このとき、パッドユニット54の各吸着パッド53が、支持台11上に支持される袋積層体3の最上層の一袋体2であって、そのピン8周辺の複数の部位(3箇所)を吸着できるように、パッドユニット54を支持バー55の長孔60に対してその位置を決定する。さらに、作業者がスイッチ等を操作して、制御手段14からの信号に基づいてサーボモータ79を駆動させることで、間隔調整手段75の一対のスライド板78、78を、一対のピン保持手段38、38のピン押圧部43、43の嵌合部46、46間の距離が、支持台11の一対のスライド板27、27の支持ピン29、29間の距離(袋積層体3の一対のピン8、8間の距離)に一致するように、互いに近接または遠退させる。
【0044】
次に、作業者により、袋積層体3の底部側端部付近、すなわち一対のピン8、8付近の部位を支持台11の支持本体18上に横向きに寝かせた状態として、袋積層体3の一対のピン8、8を、支持台11の支持本体18(一対のスライド板27、27)上の一対の支持ピン29、29に嵌合する。続いて、一対のピン8、8の係止片8B、8Bを支持本体18(一対のスライド板27、27)上の挟持ピン30、30間にそれぞれ挟持させる。すると、袋積層体3がその底部側端部付近から、支持台11の案内体19(案内板状部34)に沿って支持本体18から若干離れるようにして垂れ下がる。なお、この袋積層体3を支持台11に支持させる作業は、本実施形態に係る袋分離装置1の設置場所とは別の場所で行われる。
【0045】
そして、上述したように袋積層体3が支持された支持台11が案内経路に沿って移動して、本実施形態に係る袋分離装置1の所定位置にセットされると、制御手段14からの信号により、
図9に示すように、ピン保持ステップS1が動作される。すなわち、ピン保持ステップS1では、制御手段14からの信号により、一対のピン保持手段38、38のシリンダ40、40がそれぞれ駆動される。その結果、各シリンダ40、40からのピストンロッド41、41が最大限前進しつつ各アームユニット42、42が最大限前進する。その段階で、各アームユニット42、42の回動バー49、49が、軸部50、50を中心に下方に向かって回動する。その結果、各回動バー49、49に連結されたピン押圧部43、43の嵌合部46、46が、袋積層体3の一対のピン8、8の軸方向上端部の内部にそれぞれ嵌合しつつ、各ピン8、8を押圧して袋積層体3を位置決めする。
【0046】
次に、
図9に示すように、吸着ステップS2が動作される。すなわち、吸着ステップS2では、制御手段14からの信号により吸着手段12のシリンダ56が駆動され、一対のパッドユニット54、54が初期位置から、各吸着パッド53の吸着面が袋積層体3の最上層の一袋体2を押圧するまで下降する。すると、制御手段14からの信号によりエア吸引装置が駆動されて、各吸着パッド53の下面に袋積層体3の最上層の一袋体2が吸着される。このとき、各吸着パッド53により、袋積層体3の最上層の一袋体2であって、その一対のピン8、8周辺の複数の部位(一ピン8に対して3箇所)が吸着される。
【0047】
図9に示すように、吸着ステップS2の直後にカッタ前進ステップS3が動作される。すなわち、カッタ前進ステップS3では、各吸着パッド53により、袋積層体3の最上層の一袋体2が吸着された直後、制御手段14からの信号により、一対の切断手段65、65のシリンダ67、67が駆動され、一対の切断カッタ66、66がそれぞれ前進して、袋積層体3の最上層の一袋体2の上方であって、袋積層体3の一対のピン8、8に近接する位置まで前進する。
【0048】
図9に示すように、カッタ前進ステップS3の直後に切断ステップS4が動作される。すなわち、切断ステップS4では、一対のパッドユニット54、54が、各吸着パッド53により袋積層体3の最上層の一袋体2を吸着して上昇すると、前進していた一対の切断カッタ66、66により、袋体2の一対のピン孔5、5から底部側端部に至る範囲がそれぞれ切断されつつ、当該一袋体2が、袋積層体3の一対のピン8、8から分離される。
【0049】
図9に示すように、切断ステップS4の直後にカッタ後退ステップS5が動作される。すなわち、カッタ後退ステップS5では、制御手段14からの信号によりシリンダ67、67が駆動されて、一対の切断カッタ66、66が初期位置まで後退する。このように、一対の切断カッタ66、66は、袋積層体3の最上層の一袋体2のピン孔5、5から底部側端部に至る範囲をそれぞれ切断した直後に初期位置に後退するので、吸着手段12の各吸着パッド53により、袋積層体3の最上層の一袋体2と共にその下層にある次の袋体2が一緒に上昇した場合でも、当該次の袋体2に一対の切断カッタ66、66が触れることはあっても切断には至らず、袋積層体3の一対のピン8、8に保持された状態が維持される。
【0050】
次に、
図9に示すように、吸着解除ステップS6が動作される。すなわち、吸着解除ステップS6では、吸着手段12の一対のパッドユニット54、54が初期位置まで上昇すると、制御手段14からの信号により、エア吸引装置の駆動が停止されて、各吸着パッド53から一袋体2が離脱する。そして、上述したステップS2~S6の動作が繰り返し行われることで、袋積層体3から一袋体2が順次分離される。なお、分離された各袋体2は次工程(図示略)に移動される。
【0051】
最後に、袋積層体3から全ての袋体3が分離された段階で、
図9に示すように、ピン保持解除ステップS7が動作される。すなわち、ピン保持解除ステップS7では、制御手段14からの信号により、一対のピン保持手段38、38のシリンダ40、40がそれぞれ駆動される。そして、各シリンダ40、40からのピストンロッド41、41が各アームユニット42、42と共に後退し始めると、各アームユニット42、42の回動バー49、49が、軸部50、50を中心に上方に向かって若干回動する。その結果、各ピン押圧部43、43の嵌合部46、46が、一対のピン8、8の軸方向端部から抜脱されて、一対のピン保持手段38、38のアームユニット42、42が初期位置まで後退する。
【0052】
その後、支持台11は、その支持本体18上に一対のピン8、8が残存された状態で、本実施形態に係る袋分離装置1から案内経路に沿って離れるように移動する。続いて、適宜タイミングにて、作業者により、支持本体18上の一対のピン8、8を、一対の支持ピン29、29から取り外す。
【0053】
なお、本発明の実施形態に係る袋分離装置1では、吸着手段12は、昇降自在(上下方向に沿って進退自在)に構成されているが、設置スペース等の関係から、袋積層体3が立った状態で、その最外層の表面が水平方向を指向するように支持された場合等、吸着手段12を、水平方向に沿って進退自在に構成してもよい。この実施形態の場合には、ピン保持手段38のピン押圧部43及び切断手段38の切断カッタ66の進退方向が上下方向に設定される。
【0054】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る袋分離装置1は、袋積層体3の底部側端部付近、すなわち袋積層体3の一対のピン8、8付近を横向きに寝かせた状態で、一対のピン8、8をその軸方向上端部から押圧するように保持して、袋積層体3を位置決めする位置決め手段10(一対のピン保持手段38、38)と、一対のピン保持手段38、38により位置決めされた袋積層体3から最上層の一袋体2を吸着して上昇させる吸着手段12と、該吸着手段12により袋積層体3から最上層の一袋体2を吸着して上昇させる際に、当該一袋体2だけを袋積層体3の一対のピン8、8から取り外す分離手段13(一対の切断手段65、65)と、を備えている。これにより、作業者による、袋積層体3の一対のピン8、8において、係止片8Bをその軸部8Aの軸方向他端から取り外して、一対のピン8、8の軸部8Aを袋分離装置の各位置決めピンにそれぞれ嵌合させる作業と、引き続き、袋積層体3の各袋体2、2を押し下げ、袋積層体3を横向きに寝かせた状態で位置決めして、一対のピン8、8の軸部8A、8Aを袋分離装置の各位置決めピンから抜脱する作業とが必要ないので、作業効率を向上させることができる。
【0055】
また、本発明の実施形態に係る袋分離装置1では、分離手段13は、一袋体2のピン孔5から底部側端部に至る範囲を切断する切断手段65にて構成される。そして、吸着手段12により一袋体2を吸着して上昇させる際に、切断手段65により一袋体2のピン孔5から底部側端部に至る範囲を切断することができる。これにより、本袋分離装置1の構造を複雑化することなく、容易に当該一袋体2だけをピン8から取り外すことができる。
【0056】
さらに、本発明の実施形態に係る袋分離装置1では、制御手段14により、切断手段65の切断カッタ66を、吸着手段12により袋積層体3の最上層の一袋体2を吸着して上昇させる直前に前進させて、一袋体2の上昇に伴って一袋体2のピン孔5から底部側端部に至る範囲を切断後に、初期位置に後退させる。その結果、吸着手段12により、袋積層体3の最上層の一袋体2と共にその下層にある次の袋体2が一緒に上昇した場合でも、当該次の袋体2に切断手段65の切断カッタ66が触れることはあっても切断まで至ることはなく、ピン8に保持された状態が維持される。これにより、袋積層体3から確実に一袋体2だけを分離させることができる。そして、吸着手段12による、袋積層体3から一袋体2を吸着して移動させる速度を低下させる必要がないので、さらに、作業効率を向上させることができる。
【0057】
さらにまた、本発明の実施形態に係る袋分離装置1では、吸着手段12は、袋積層体3の最上層の一袋体2であって、ピン8周辺の複数の部位を吸着する複数の吸着パッド53を有している。そして、当該吸着手段12により、一袋体2のピン8周辺の複数の部位を吸着して上昇させることができるので、切断手段65により、容易に一袋体2のピン孔5から底部側端部に至る範囲を切断することができる。
【0058】
さらにまた、本発明の実施形態に係る袋分離装置1では、袋積層体3の底部側端部付近、すなわち一対のピン8、8付近の部位を下方から支持する支持台11を備えている。そして、当該支持台11により、袋積層体3がその底部側端部付近から垂れ下がるように支持される。その結果、袋分離装置1の設置スペースを小さくすることができる。
【0059】
さらにまた、本発明の実施形態に係る袋分離装置1では、一対のピン保持手段38、38及び一対の切断手段65、65が支持される、互いに近接・遠退自在の一対のスライド板78、78を有する間隔調整手段75を備えている。これにより、袋体2の種類が変わって、袋積層体3の一対のピン8、8間の距離が変わっても、常に、切断手段65の切断カッタ66が、ピン保持部38のピン押圧部43の嵌合部46に対して、支持台11の長手方向において限りなく近接する位置を進退移動するので、吸着手段12により、袋積層体3の最上層の袋体2を吸着して上昇させる際に、切断カッタ66により、一袋体2のピン孔5から底部側端部に至る範囲(最短距離)を容易に切断することが可能になる。
【符号の説明】
【0060】
1 袋分離装置,2 袋体,3 袋積層体,5 ピン孔,8 ピン,10 位置決め手段,11 支持台,12 吸着手段,13 分離手段,14 制御手段,38 ピン保持手段,53 吸着パッド,65 切断手段,66 切断カッタ