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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】浴室用リモコン
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230203BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20230203BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
H04Q9/00 371A
F24H1/00
H05K7/00 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018228943
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020092345
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢祐
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-329300(JP,A)
【文献】特開2001-283968(JP,A)
【文献】特開2017-118202(JP,A)
【文献】特開2014-050003(JP,A)
【文献】特開2003-347767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
F24H 1/00
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に設置される浴室用リモコンであって、
電子部品が実装される基板と、
前記基板の背面と対向する背面部を有するとともに、前記背面部において前後に貫通した第1開口部が形成されてなるケースと、
前記第1開口部に嵌め込まれ、前記ケースの外側から内側に通じる孔部を有するシール部材と、
前記孔部に挿し通される1以上の電線部を有し、一端側が前記基板に電気的に接続されるハーネス部と、
を備え、
前記基板には、前後に貫通した第2開口部が形成され、
前記シール部材の前側に前記第2開口部の開口領域が位置し、前記電線部の一部が前記孔部から前記第2開口部内に入り込むように配置され、
前記基板の前面に、前記ハーネス部が接続される接続部が設けられており、
前記ハーネス部は、前記電線部の一端側に設けられるとともに前記接続部に接続される被接続部を有し、
前記電線部は、前記被接続部から下方に延びるとともに前記基板の下側で折り返され、前記基板と前記背面部との間において前記基板の下側から前記第2開口部側に延びつつ一部が前記第2開口部に入り込むように配置される
浴室用リモコン。
【請求項2】
前記接続部は、前記基板の前面において前記第2開口部の下方側に設けられ、
前記孔部の下方側且つ前記接続部の上方側において前記接続部の上方を覆うように配置される庇部を備える
請求項1に記載の浴室用リモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用リモコンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浴室に設置される浴室用リモコン(風呂リモコン1)が開示されている。この浴室用リモコンは、基板(プリント基板7)と、基板を収容するケース(背面ケース2及び前面ケース3)とを備えており、ケースの背面部には、前後に貫通した開口部(配線用穴4)が形成されている。この開口部を介して、ケースの外部からハーネス部が挿入され、基板に設けられた接続部にハーネス部の先端部が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-315671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような浴室用リモコンでは、一般的に、ハーネス部が挿入される開口部を介してケース内に水が浸入しないように、開口部にシール部材が嵌め込まれ、そのシール部材に形成した孔部を通じてハーネス部がケース内に水密状態で挿入される。しかし、この構成では、装置全体の薄型化を図るべく、基板とケースの背面部との間隔を小さくしようとすると、シール部材の孔部を通じてケース内に入り込んだハーネス部の電線部が基板と背面部との間に挟まれたり、電線部の負荷が大きくなりすぎたりして、電線部が劣化又は損傷するおそれがある。
【0005】
本発明は上述した課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、装置全体の薄型化を図りつつ、ハーネス部の電線部の劣化や損傷を抑制し得る浴室用リモコンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の浴室用リモコンは、
浴室に設置される浴室用リモコンであって、
電子部品が実装される基板と、
前記基板の背面と対向する背面部を有するとともに、前記背面部において前後に貫通した第1開口部が形成されてなるケースと、
前記第1開口部に嵌め込まれ、前記ケースの外側から内側に通じる孔部を有するシール部材と、
前記孔部に挿し通される1以上の電線部を有し、一端側が前記基板に電気的に接続されるハーネス部と、
を備え、
前記基板には、前後に貫通した第2開口部が形成され、
前記シール部材の前側に前記第2開口部の開口領域が位置し、前記電線部の一部が前記孔部から前記第2開口部内に入り込むように配置される。
【発明の効果】
【0007】
上記一態様の浴室用リモコンは、前後に貫通した第1開口部がケースの背面部に形成されており、第1開口部にシール部材が嵌め込まれる。シール部材は、ケースの外側から内側に通じるように貫通する孔部を有しており、この孔部にハーネス部の電線部が挿し通される。このように構成することで、ケースの内外に跨るようにハーネス部を配置し得る構成を、防水性を高めつつ実現できる。
更に、基板には、前後に貫通した第2開口部が形成されており、シール部材の前側に第2開口部の開口領域が位置し、電線部の一部が孔部から第2開口部に入り込むように配置される。このようにシール部材の前側に開口領域が存在すれば、電線部において孔部から前方に延びる部位(孔部近傍の部位)の一部又は全部を基板と背面部との間に挟み込ませることなく配置することができる。従って、この部位の一部又は全部を基板と干渉させずに配置することができ、その分、基板と背面部とを近づけて配置することができる。ゆえに、装置全体の薄型化を図りやすくなる。しかも、上記部位(電線部において孔部から前方に延びる部位)の一部又は全部が基板と背面部との間に挟まれにくくなるため、当該部位の劣化や損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の浴室用リモコンを前方から見た分解斜視図である。
図2図2は、実施例1の浴室用リモコンを後方から見た分解斜視図である。
図3図3は、第1ケース部材の裏側に基板を嵌め込んだ状態を示す背面図である。
図4図4は、実施例1の浴室用リモコンの背面図である。
図5図5は、実施例1の浴室リモコンを図4に示すA-A線で切断した切断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本発明の望ましい一例を示す。
本発明の一態様の浴室用リモコンは、基板の前面に、ハーネス部が接続される接続部が設けられていてもよい。ハーネス部は、前記電線部の一端側に設けられるとともに前記接続部に接続される被接続部を有していてもよい。
このように、基板上で嵩張る懸念のある接続部及び被接続部を基板の前面側に配置した上で、第2開口部及びこれに関連した上記特徴を採用すれば、基板と背面部とをより一層近づけて配置することができ、装置全体の薄型化をより一層図りやすくなる。
【0010】
本発明の一態様の浴室用リモコンにおいて、電線部は、被接続部から下方に延びるとともに基板の下側で折り返され、基板と背面部との間において基板の下側から第2開口部側に延びつつ一部が第2開口部に入り込むように配置されていてもよい。
この構成では、仮にシール部材と電線部との間に存在する微小な隙間を介してケース内に水が浸入したとしても、その水は、基板の裏面側(基板と背面部との間)を通るように電線部を伝って流れやすく、その後、電線部が折り返された部分(基板の下側)の付近から落下しやすくなる。つまり、孔部付近から電線部を伝って流れようとする水が基板の前面側に流れ込みにくくなるため、この水が基板の前面に実装される部品に大きな影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0011】
本発明の一態様の浴室用リモコンにおいて、接続部は、基板の前面において第2開口部の下方側に設けられていてもよい。そして、孔部の下方側且つ接続部の上方側において接続部の上方を覆うように配置される庇部を備えるようにしてもよい。
この構成によれば、万が一、何らかの理由によって庇部の上方側(例えば孔部付近)から接続部側へと水が流下又は落下したとしても、その水が接続部にかかることを庇部によって防ぐことができる。
【0012】
<実施例1>
以下、実施例1について、図面を参照して説明する。
実施例1の浴室用リモコン1は、浴室に設置されるリモコンであり、例えば給湯器等を遠隔操作するために用いられる。この浴室用リモコン1は、図1に示すように、基板3と、ケース5と、枠部材7と、シール部材8と、ハーネス部9とを備える。
【0013】
なお、以下では、基板3の厚さ方向を前後方向とし、浴室用リモコン1が浴室に設置されたときに上下方向(鉛直方向)となる方向を上下方向とし、浴室用リモコン1が浴室に設置されたときに前方から見て左右方向(鉛直方向と直交する平面方向(水平方向)において前後方向と直交する方向)となる方向を左右方向として説明する。また、浴室用リモコン1が設置される設置面側を後方側とし、その反対側を前方側として説明する。具体的には、浴室用リモコン1を正面視したとき(前方から見たとき)の長手方向が左右方向であり、短手方向が上下方向となる例を挙げて説明する。
【0014】
基板3は、例えば公知のプリント基板として構成されており、左右方向に長い板状に形成されている。基板3は、基板3の板面のうち厚さ方向一方側の面が前面であり、厚さ方向他方側の面が背面となっている。基板3の前後両面のうち、少なくとも前面には電子部品(例えばマイクロコントローラ、スイッチング素子、発光素子など)が実装されている。なお、基板3の背面においては、前面よりも実装される電子部品の数が少ないことが好ましく、全く実装されていないことがより好ましい。また、以下では、基板3の背面を裏面又は後面ともいう。
【0015】
基板3の板面方向の略中央には、前後に貫通した第2開口部10が形成されている。第2開口部10は、上下方向に長い矩形状をなしている。基板3には、前後に貫通した第1挿通孔部12が少なくとも1つ(図1等に示す例では2つ)形成されている。第1挿通孔部12は、第2開口部10を挟んだ左右両側に1つずつ形成されており、各々が基板3において上下方向の略中央に形成されている。基板3には、前後に貫通した第2挿通孔部14が少なくとも1つ(図1等に示す例では2つ)形成されている。第2挿通孔部14は、第2開口部10を挟んで左右両側に1つずつ形成されており、一方(図1等に示す例では左側)の第2挿通孔部14は基板3の上端部寄りに配置され、他方(図1等に示す例では右側)の第2挿通孔部14は基板3の下端部寄りに配置されている。
【0016】
基板3は、接続部15を備えている。接続部15は、後述するハーネス部9の被接続部72が接続される部位である。接続部15は、複数の端子を備えたコネクタとして構成されており、それらの端子が基板3の表面又は内部に設けられた配線(図示は省略)に電気的に接続されている。接続部15の複数の端子は、接続部15と被接続部72とが接続されたときに被接続部72に設けられた複数の端子の各々と接触して電気的に接続される。接続部15は、基板3がケース5内に収容されたときに基板3の前面において孔部64よりも下方側の位置に配置される。接続部15は、第2開口部10よりも下方側(正面視において真下)に配置されている。接続部15の下面部には下方に向かって開放した接続口が形成されており、接続部15に対して下側から被接続部72を挿し込むように連結することが可能とされている。
【0017】
基板3の下端部には、前後方向及び下方に向かって開放した凹部16が形成されている。凹部16は、基板3の下端部から上端部側に向かって凹み、前後方向に貫通した切欠き形状をなしている。凹部16は、第2開口部10及び接続部15の下方側(図1等に示す例では真下)に配置されている。凹部16の幅寸法(左右方向の開口寸法)は、後述するハーネス部9の電線部70の径寸法よりも大きく、凹部16には、電線部70を挿し通すことが可能となっている。基板3の周縁部には切欠部18が形成されている。基板3は、自身がケース5内に収容されたときに、切欠部18の切り欠かれた部分に後述のスピーカ固定部36が納まるように配置されることで、スピーカ固定部36と干渉しないようになっている。
【0018】
ケース5は、基板3を収容する部材であり、例えば樹脂材料で形成されている。ケース5は、基板3の全体を覆う箱状をなしており、正面視において左右方向に長い矩形状をなしている。このケース5は、第1ケース部材5Aと、第2ケース部材5Bとを備える。第1ケース部材5Aは、図1図3図5に示すように、ケース5の前側部分を構成する部材であり、前面部20と、周壁部22と、係止部24と、外側規制部26と、少なくとも1つの第1前方側規制部28と、少なくとも1つの第2前方側規制部30と、内側規制部32と、第1被取付部34と、スピーカ固定部36と、庇部38とを備える。
【0019】
前面部20は、板状をなしており、正面視において左右方向に長い矩形状をなしている。前面部20には、少なくとも1つの操作部20Aと、表示部20Bと、第2孔部20Cとが形成されている。操作部20Aは、前後方向に弾性変形可能となっており、ユーザの操作を受けて弾性変形することで、操作部20Aの背面側に配置されるスイッチング素子に操作力を伝達する機能を有する。表示部20Bは、前面部20の左右方向の略中央で且つ上端部寄りに形成されており、前面部20の前後方向に貫通して、開口部分の形状が所定の形状をなしている。表示部20Bは、自身の背面側に配置される発光素子の光を通すことで、自身の開口部分の形状に応じた内容を表示する。第2孔部20Cは、前面部20の左端部寄り且つ下端部寄りに形成されており、前面部20の前後方向に貫通している。第2孔部20Cの背面側には、スピーカ90が配置され、この第2孔部20Cを通じて浴室用リモコン1の前方側にスピーカ90の音声が出力される。
【0020】
周壁部22は、前面部20の周縁部から後方に延びる形状をなしており、前後左右を囲む枠状をなしている。周壁部22は、基板3の周縁部よりも一回り大きく形成されており、内側に基板3が納まるようになっている。周壁部22の左右両側には、左右方向外方に張り出し、前後方向を厚さ方向とする板状の張出部22Aが形成されている。この張出部22Aには、前後方向に貫通した第1貫通孔部22Bが形成されている。
【0021】
係止部24は、後述する枠部材7の被係止部54に引っ掛かる部位であり、周壁部22の上下両側に、少なくとも1対(図3に示す例では2対)設けられている。外側規制部26は、係止部24が被係止部54に引っ掛かって、第1ケース部材5Aが枠部材7の内側に収容されたときに、第1ケース部材5Aの枠部材7に対する相対変位を規制する部位である。外側規制部26は、周壁部22の左右両側に、少なくとも1対(図3に示す例では2対)設けられており、枠部材7の内周面に当接することで、第1ケース部材5Aの枠部材7に対する左右方向への相対変位を規制する機能を有する。
【0022】
第1前方側規制部28は、前面部20の背面から後方に向かって突出した構成をなしており、基板3の前方側への変位を規制する機能を有する。第2前方側規制部30は、前面部20の背面から後方に向かって突出した構成をなしており、軸部30Aと、張出部30Bとを有する。軸部30Aは、前面部20の背面から後方に向かって突出した構成をなしており、第1前方側規制部28の突出端部よりも後方に突出している。張出部30Bは、軸部30Aの外周部から四方に張り出した構成をなしており、前端部が前面部20の背面に連結されている。張出部30Bの後端部は、前後方向において、軸部30Aの後端部よりも前方側に配置されるとともに第1前方側規制部28の後端部と揃っている。軸部30Aは、基板3の第1挿通孔部12と対応する位置に配置されており、軸部30Aの径は、基板3の第1挿通孔部12の内径よりも僅かに小さい。張出部30B全体(張出部30Bを含む部分の第2前方側規制部30)の軸部30Aと直交する方向と平行な方向の幅寸法は、基板3の第1挿通孔部12の内径よりも大きい。軸部30Aの各々には、各々の第1挿通孔部12が挿し通され、基板3の前面が張出部30Bの後端部に当接することで、基板3の前方側への変位が規制される。第2前方側規制部30は、前面部20の上下方向の略中央において、前面部20の左右両側に1つずつ設けられている。
【0023】
内側規制部32は、周壁部22の内周面(図2,3に示す例では、左側の壁部の内側面)から内方(図2,3に示す例では右方)に張り出した形状をなしており、前端部が前面部20の背面に連結され、後端部が前後方向において第1前方側規制部28の後端部及び第2前方側規制部30の張出部30Bの後端部よりも後方まで延びている。この内側規制部32は、周壁部22の内側に配置された基板3の周壁部22側(図2,3に示す例では左方)への変位を規制する機能を有する。
【0024】
第1被取付部34は、ねじ部材(図示省略)を用いて基板3が取り付けられる部位である。第1被取付部34は、少なくとも1つ(図2等で示す例では2つ)設けられている。第1被取付部34は、前面部20の背面から後方に突出しており、前後方向を軸方向とする筒状(図2,3で示す例では円筒状)をなしている。第1被取付部34の後方側の端面には、雌ねじ状のねじ孔部34Aが形成されている。第1被取付部34は、前面部20の左右両側に1つずつ配置されており、一方の第1被取付部34が前面部20の上端部寄りに配置され、他方の第1被取付部34が前面部20の下端部寄りに配置される。
【0025】
スピーカ固定部36は、前面部20の背面側に配置されるスピーカ90を固定する部位であり、前面部20の背面における左側且つ下側の隅部に形成されている。
【0026】
庇部38は、孔部64とハーネス部9の電線部70との隙間からケース5内に浸入した水が、接続部15にかかるのを防止する部位である。庇部38は、前面部20の背面から後方に突出した形態をなしており、基板3の第2開口部10の開口領域における下側部分と対応する位置に配置されている。第2開口部10の開口領域は、第2開口部10の内壁面の内側の空間の領域であり、第2開口部10の内壁面によって囲まれた領域である。庇部38は、左右方向において、幅寸法が第2開口部10の開口領域の幅寸法よりも小さく、基板3が第1ケース部材5Aの背面側に設置されたときに第2開口部10の開口領域内に入り込むようになっている。庇部38は、底面部38Aと、側面部38Bとを有する。底面部38Aは、上下方向を厚さ方向とする板状をなしている。側面部38Bは、底面部38Aの左右両側から上方に立ち上がった形態をなしている。庇部38には、底面部38Aの上面及び側面部38Bの内側面によって、溝部38Cが形成されている。溝部38Cは、前後方向に沿って延び、上方及び後方に開放した形態をなしている。
【0027】
第2ケース部材5Bは、ケース5の後ろ側部分を構成する部材であり、第1ケース部材5Aとともにケース5を構成する。第2ケース部材5Bは、図1,2,4,5に示すように、背面部40と、第1開口部42Eと、収容溝部44と、少なくとも1つの後方側規制部46と、第2貫通孔部48とを有する。
【0028】
背面部40は、ケース5の背面(後面)を構成する部分であり、前後方向を厚さ方向とする板状をなしており、正面視において左右方向に長い略矩形状をなしている。第1開口部42Eは、背面部40の板面方向における略中央に形成されており、背面部40において前後に貫通している。第1開口部42Eは、前後方向と直交する方向と平行な平面方向に切断した切断面の形状が円形となっている。
【0029】
背面部40は、前後方向を厚さ方向とする板状の背面壁部41と、背面壁部41を前後方向に貫通するようにして設けられる第2被取付部42とを有する。第2被取付部42は、前後方向を軸方向とする筒状をなしており、外周部は背面壁部41に連結され、内側には上述した第1開口部42Eが形成されている。第2被取付部42の前端部は、背面壁部41の前端部よりも前方に突出している。第2被取付部42は、図5に示すように、外側筒部42Aと、内側筒部42Bと、連結部42Cと、把持部42Dと、第1開口部42Eと、収容凹部42Fとを有する。
【0030】
外側筒部42A及び内側筒部42Bは、各々が筒状(図1,2,4に示す例では円筒状)をなしている。外側筒部42Aは、内側筒部42Bと径方向に間隔をあけて、内側筒部42Bの外側に配置されている。外側筒部42A及び内側筒部42Bは、各々の前端部同士が連結部42Cによって連結されている。把持部42Dは、内側筒部42Bの内周面から径方向内方に環状に張り出している。この把持部42Dの内側に、上述した第1開口部42Eが形成されている。収容凹部42Fは、第1開口部42Eにシール部材8が嵌め込まれたときに、後述するシール部材8のフランジ部66が収容される部分であり、シール部材8の前面に形成されている。第2被取付部42(外側筒部42A)の外周部の前端部には、全周に亘って面取りした面取り部42Gが形成されている。
【0031】
収容溝部44は、図1,5に示すように、背面部40の前面において、第1開口部42Eの周囲を囲むように環状に形成されている。収容溝部44は、第1ケース部材5Aの周壁部22と対応する位置に形成されており、周壁部22が収容されるようになっている。
【0032】
後方側規制部46は、基板3の後方への変位を規制する部位である。後方側規制部46は、第1開口部42Eと収容溝部44との間に配置され、背面部40の前面から前方に向かって突出した形態をなしている。
【0033】
第2貫通孔部48は、背面部40において前後に貫通した形態をなしており、収容溝部44の外方側(図1等に示す例では収容溝部44の左右方向外方側に1つずつ)に形成されている。第2貫通孔部48は、第1ケース部材5Aの第1貫通孔部22Bと対応する位置に配置されている。第1ケース部材5Aと第2ケース部材5Bは、第1貫通孔部22B及び第2貫通孔部48に挿し通されたねじ部材が壁面に形成されたねじ孔部にねじ込まれることで、互いに連結された状態で壁面に固定される。
【0034】
枠部材7は、図1~5に示すように、ケース5の前側の周縁部を覆う枠状の部材であり、第1枠部50と、第2枠部52と、被係止部54とを有する。第1枠部50は、正面視において左右方向に長い枠状をなし、前後方向を厚さ方向とする板状をなしている。第2枠部52は、第1枠部50の外側の周縁部から後方に向かって張り出した枠状をなしている。第2枠部52は、第1ケース部材5Aの周壁部22よりも一回り大きく形成されており、内側に第1ケース部材5Aが収容される。被係止部54は、第2枠部52の内周面において、第1ケース部材5Aの係止部24と対応する位置に設けられている。
【0035】
シール部材8は、図1,2,4,5に示すように、略円盤状をなしており、第1開口部42Eに嵌め込まれることで、第2ケース部材5Bに対し水密状態で取り付けられる。シール部材8は、筒部60と、円盤部62と、孔部64と、フランジ部66とを有する。筒部60は、筒状(図1等に示す例では円筒状)をなしている。円盤部62は、円盤状をなしており、筒部60の内側に配置され、自身の外周部が筒部60の内周部に連結されている。孔部64は、円盤部62(シール部材8)を前後方向に沿った方向(例えば前後方向に平行な方向)に貫通した形状をなしており、少なくとも1つ(図1,2,4で示す例では2つ)形成されている。孔部64には、後述するハーネス部9の電線部70が挿し通され、シール部材8に対し水密状態で取り付けられる。フランジ部66は、筒部60の前端側の外周部から筒部60の径方向外方に張り出して環状をなしている。筒部60の外周面のうちフランジ部66の背面に連結される部分の外径は、第1開口部42Eの内径よりも僅かに大きく形成されている。フランジ部66の外径は、把持部42Dの前面に引っ掛かるように、第1開口部42Eの内径(筒部60の外径)よりも大きく形成されている。
【0036】
また、筒部60の外周面には、後端部から前方に向かって外径が大きくなるテーパ状の拡径部60Aが形成されている。拡径部60A(筒部60)の後端部の外径は、第1開口部42Eの内径よりも小さく形成されており、拡径部60Aの前端部の外径は、第1開口部42Eの内径よりも大きく形成されている。
【0037】
ハーネス部9は、1以上(図5に示す例では2つ)の電線部70を有しており、一端側が基板3に電気的に接続される部位である。電線部70は、例えば、導線の周囲に樹脂被覆が配置されてなる電線を複数本備えた構成をなしている。更に、ハーネス部9は、電線部70の一端側に設けられるとともに接続部15に接続される被接続部72を有している。被接続部72は、複数の端子を備えたコネクタとして構成され、上述した接続部15と嵌め合わされる形で連結されるようになっている。
【0038】
次に浴室用リモコン1の組み立て方法の一例について説明する。
浴室用リモコン1の組立では、まず、図3に示すように、第1ケース部材5Aに基板3が組み付けられる。なお、図3では、第1ケース部材5Aに対して、基板3だけでなく枠部材7も組み付けられた状態が示されているが、後述する組み立て方法の例では、枠部材7の組み付けはケース5が壁面に固定された後に行われる。
【0039】
基板3は、以下のようにして第1ケース部材5Aに固定される。まず、基板3の前面を第1ケース部材5Aの背面と前後方向に対向させた状態で、基板3を第1ケース部材5Aの背面側の収容部に配置する。このとき、基板3の第1挿通孔部12を、第2前方側規制部30の軸部30Aに挿し通す。これにより、基板3は、前後方向と直交する方向への変位が規制される。更に、基板3は、前方側への変位が第1前方側規制部28、第2前方側規制部30の張出部30B及び第1被取付部34によって規制される。更に、基板3は、内側規制部32によって左方への変位が規制される。更に、ねじ部材を第2挿通孔部14に挿し通してねじ孔部34Aに嵌め込むことで、基板3が第1被取付部34の背面とねじ部材の頭部との間に挟まれた状態となって、基板3が第1ケース部材5Aに固定される。
【0040】
このように第1ケース部材5Aに基板3が固定された状態(ケース5に基板3が収容された状態)では、庇部38は、前方側から第2開口部10の開口領域に入り込んで自身の先端部(後端部)が基板3の背面よりも後方まで延び、開口領域の下端部寄りに配置される(図5参照)。更に、図3に示すように、庇部38の左端部は接続部15の左端部と左右方向に揃っているか或いは接続部15の左端部よりも左方まで延びており、庇部38の右端部は接続部15の右端部と左右方向に揃っているか或いは接続部15の右端部よりも右方まで延びている。換言すると、接続部15の左端部は、庇部38の左端部と左右方向に揃っているか或いは庇部38の左端部よりも右方に配置されており、接続部15の右端部は、庇部38の右端部と左右方向に揃っているか或いは庇部38の右端部よりも左方に配置されている。即ち、接続部15は、平面視において庇部38によって全体が覆われている。また、基板3は、自身の切欠部18の切り欠かれた部分にスピーカ固定部36が納まるので、スピーカ固定部36と干渉しない。
【0041】
こうして第1ケース部材5Aに基板3を固定した後、第2ケース部材5Bを第1ケース部材5Aに組み付ける。なお、シール部材8は、第2ケース部材5Bを第1ケース部材5Aに組み付ける前の段階で、第2ケース部材5Bの第1開口部42E内に取り付けておくことは好ましいが、第2ケース部材5Bを第1ケース部材5Aに組み付けた後に取り付けてもよい。シール部材8は、自身のフランジ部66が前方側に配置された姿勢で、第2ケース部材5Bの前方側から後方へ移動して、筒部60が第1開口部42Eに嵌め込まれる。そして、フランジ部66が収容凹部42Fの奥端面(把持部42D)に当接すると、シール部材8の後方への移動が規制される。これにより、シール部材8は、第2ケース部材5Bに取り付けられた状態となる。
【0042】
第2ケース部材5Bを第1ケース部材5Aに組み付ける工程では、第2ケース部材5Bの収容溝部44内に、第1ケース部材5Aの周壁部22を収容させる。また、収容溝部44内には、環状の第2シール部材92が収容溝部44の全周に亘って入り込み、収容溝部44(第2ケース部材5B)と周壁部22(第1ケース部材5A)との間に介在する。この状態において、周壁部22(第1ケース部材5A)を第2ケース部材5B側に押し付けながら、周壁部22の外周面を全周に亘って第2ケース部材5Bの前面に接着する。接着の方法は限定されないが、例えば、熱溶着による溶着等が望ましい。これにより、第1ケース部材5Aと第2ケース部材5Bは、周壁部22と収容溝部44との間が水密となった状態で連結され、ケース5が完成する。また、周壁部22が収容溝部44内に入り込んだ状態では、第1ケース部材5Aの第1貫通孔部22Bと第2ケース部材5Bの第2貫通孔部48とが前後方向に連通した状態となる。この状態において、互いに連通する第1貫通孔部22B及び第2貫通孔部48に対して前方側からねじ部材を挿し通して、壁面(取付面)に予め開けておいたねじ孔部にねじ込む。これにより、ケース5が壁面(取付面)に固定された状態となる。
【0043】
このように壁面(取付面)に固定されたケース5の第1ケース部材5Aに対して、枠部材7が組み付けられる。より具体的には、枠部材7の背面を第1ケース部材5Aの前面に対して前後方向に対向させた状態から、枠部材7を第1ケース部材5A側に押し込むと、枠部材7の被係止部54が第1ケース部材5Aの係止部24に押されて弾性変形し、弾性力によって元の形状に復帰した被係止部54が係止部24に引っ掛かる(図3参照)。これにより、枠部材7が第1ケース部材5A(ケース5)に組み付けられた状態となる。枠部材7が第1ケース部材5A(ケース5)に組み付けられた状態では、第1貫通孔部22B及び第2貫通孔部48に挿し通されるねじ部材(図示省略)が枠部材7によって覆われる。更に、枠部材7が第1ケース部材5A(ケース5)に組み付けられた状態では、枠部材7の内周面が第1ケース部材5Aの外側規制部26に当接することで、枠部材7が第1ケース部材5A(ケース5)に対して左右方向に相対変位することが規制される(図3参照)。
【0044】
このようにして、基板3を収容したケース5に枠部材7が組み付けられてなる構造体が完成し、この構造体が壁面に固定された状態となる。このようにケース5内に基板3が収容された状態では、図5に示すように、基板3の背面(裏面)がケース5の背面部40における表面(前面)と前後方向に対向し、背面部40の第1開口部42Eに嵌め込まれたシール部材8の前側に、第2開口部10の開口領域(具体的には、第2開口部10の内壁面の内側の空間)が位置する。より具体的には、図4図5に示すように、孔部64の前方に第2開口部10の開口領域が位置する。換言すると、背面視(正面視)において、孔部64が、第2開口部10の開口領域内に納まるように配置される(図4参照)。また、接続部15は、基板3の前面において孔部64の下側の位置に配置される。庇部38は、孔部64よりも下方側且つ接続部15よりも上方側において接続部15の上方を覆うように配置される。具体的には、庇部38の真下に接続部15の少なくとも一部が位置しており、より詳しくは、庇部38の真下に接続部15の全体が位置し、接続部15は、平面視において全体が庇部38によって覆われる構成となっている。また、第2被取付部42の前端部は、庇部38の後端部よりも後方側に位置し、第2被取付部42の下端部は、庇部38の底面部38Aの上端部よりも上方側に位置する。これにより、第2被取付部42と庇部38の底面部38Aとの間には、電線部70が通過可能な隙間が形成されている。更に、第2被取付部42の外周部の前端部には面取り部42Gが形成されているので、第2被取付部42と庇部38の底面部38Aとの隙間が拡張されている。
【0045】
手順が前後するが、第1ケース部材5Aと第2ケース部材5Bとが互いに連結される前の段階で、ハーネス部9がシール部材8及び基板3に対して以下のように取り付けられる。
【0046】
ハーネス部9は、シール部材8が第2ケース部材5Bに取り付けられる前、又は取り付けられた後に、自身の電線部70がケース5の外側から内側に通じる孔部64に挿し通されることで、シール部材8に取り付けられる。そして、ハーネス部9は、電線部70の一部が孔部64から第2開口部10内に入り込むように配置される。また、ハーネス部9の被接続部72は、接続部15に接続される。即ち、電線部70は、図5に示すように、第2開口部10内に入り込む第1電線部74と、第1電線部74と被接続部72との間に配置される第2電線部76とを具備する。
【0047】
更に、ハーネス部9は、第2開口部10を通じて基板3の後ろ側から前側に進入して上方から接続部15に接続されるのではなく、一旦第2開口部10内に入り込んだ後、第2被取付部42と庇部38の底面部38Aとの隙間を通って基板3の後方側に進入し、基板3の下側を迂回して基板3の前方側に回り込み、下方から接続部15に接続されるようになっている。即ち、第2電線部76は、後方側配置部78と、折り返し部80と、前方側配置部82とを含んでいる。
【0048】
後方側配置部78は、第1電線部74から続くとともに第2開口部10の下方側において基板3と背面部40との間を通るように配置される部分である。折り返し部80は、後方側配置部78から続くとともに基板3の下方側端部(凹部16が形成された部分においては凹部16の上縁部)の下側で折り返されるように配置される部分である。前方側配置部82は、折り返し部80から続くとともに基板3の前側において折り返し部80と被接続部72との間に配置される部分である。なお、折り返し部80は、凹部16内に入り込んでもよいし、凹部16に入り込まずに、凹部16の下方側を通過するようにしてもよい。図5の例では、折り返し部80の一部が凹部16内に入り込んでおり、ハーネス部9の下端が基板3の下端よりも上方に位置している。具体的には、ハーネス部9の下端(電線部70の下端)が上下方向において凹部16の下端と上端との間の範囲に位置し、凹部16が形成された基板3の下端部(下縁部)よりも上位置に配置されている。このような構成により、電線部70が下側に嵩張りすぎることを抑えつつ、電線部70の左右のずれを防いでいる。
【0049】
この構成では、ハーネス部9の電線部70が、孔部64を通じてケース5内に入り込んだ後、下方に進入している。このため、仮にシール部材8と電線部70との間に存在する隙間を介してケース5内に水が浸入したとしても、電線部70を通って下方に流れやすい。しかも、電線部70は、第2開口部10内に入り込んだ後、第2被取付部42と庇部38の底面部38Aとの隙間を通って基板3の後方側に進入し、基板3の後方側から下方側に進入している。このため、ケース5内に浸入した水は、電線部70を伝って、基板3の後方側から下方側に流れやすくなっている。しかも、電線部70は、基板3の下方側で折り返して基板3の前方側に回り込み、上方側に進入している。このため、電線部70を伝って下方側に流れた水は、折り返し部80まで到達したところで滞留するか、折り返し部80から落下しやすくなっている。つまり、孔部64付近から電線部70を伝って流れようとする水が基板3の前面側に流れ込みにくくなるため、この水が基板3の前面に実装される部品に大きな影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0050】
更に、孔部64の下方側で且つ接続部15の上方側には、接続部15の上方を覆う庇部38が設けられている。この庇部38は、前面部20の背面から後方側に突出して、第2開口部10の開口領域内まで入り込んで、基板3の背面よりも後方側まで延びている。更に、庇部38の左端部は接続部15の左端部と左右方向に揃っているか或いは接続部15の左端部よりも左方まで延びており、庇部38の右端部は接続部15の右端部と左右方向に揃っているか或いは接続部15の右端部よりも右方まで延びている。即ち、接続部15は、平面視において庇部38によって全体が覆われる。このため、万が一、何らかの理由によって接続部15の上方側から接続部15側へと水が流下又は落下したとしても、その水が接続部15にかかることを庇部38によって防ぐことができる。しかも、庇部38の上側には、底面部38A及び側面部38Bによって上方及び後方に開放した溝部38Cが構成されているので、庇部38の溝部38C内に落下した水は、溝部38Cの後端部から基板3の後方側に流れる。このため、庇部38の上面に落下した水が、基板3の前方側に零れることを防ぐことができる。
【0051】
次に、本構成の効果を例示する。
本構成の浴室用リモコン1は、浴室に設置されるリモコンであって、基板3と、ケース5と、シール部材8と、ハーネス部9とを備える。ケース5は、基板3の背面と前後方向に対向する背面部40を有するとともに、背面部40において前後に貫通した第1開口部42Eが形成されてなる。シール部材8は、第1開口部42Eに嵌め込まれ、ケース5の外側から内側に通じる孔部64を有する。ハーネス部9は、孔部64に挿し通される1以上の電線部70を有し、一端側が基板3に電気的に接続される。基板3には、前後に貫通した第2開口部10が形成される。シール部材8の前側に第2開口部10の開口領域が位置し、電線部70の一部が孔部64から第2開口部10内に入り込むように配置される。
【0052】
本構成の浴室用リモコン1は、前後に貫通した第1開口部42Eがケース5の背面部40に形成されており、第1開口部42Eにシール部材8が嵌め込まれる。シール部材8は、ケース5の外側から内側に通じるように貫通する孔部64を有しており、この孔部64にハーネス部9の電線部70が挿し通される。このように構成することで、ケース5の内外に跨るようにハーネス部9を配置し得る構成を、防水性を高めつつ実現できる。更に、基板3には、前後に貫通した第2開口部10が形成されており、シール部材8の前側に第2開口部10の開口領域が位置し、電線部70の一部が孔部64から第2開口部10に入り込むように配置される。このようにシール部材8の前側に開口領域が存在すれば、電線部70において孔部64から前方に延びる部位(孔部64近傍の部位)の一部又は全部を基板3と背面部40との間に挟み込ませることなく配置することができる。従って、この部位の一部又は全部を基板3と干渉させずに配置することができ、その分、基板3と背面部40とを近づけて配置することができる。ゆえに、装置全体の薄型化を図りやすくなる。しかも、上記部位(電線部70において孔部64から前方に延びる部位)の一部又は全部が基板3と背面部40との間に挟まれにくくなるため、当該部位の劣化や損傷を抑制することができる。
【0053】
本構成の浴室用リモコン1は、基板3の前面に、ハーネス部9が接続される接続部15が設けられている。ハーネス部9は、接続部15に接続される被接続部72を有しており、この被接続部72は、電線部70の一端側に設けられている。このように、基板3上で嵩張る懸念のある接続部15及び被接続部72を基板3の前面側に配置した上で、第2開口部10及びこれに関連した上記特徴を採用すれば、基板3と背面部40とをより一層近づけて配置することができ、装置全体の薄型化をより一層図りやすくなる。
【0054】
本構成の浴室用リモコン1は、基板3の前面において孔部64の下側の位置に接続部15が設けられていてもよい。電線部70は、被接続部72から下方に延びるとともに基板3の下方側端部の下側で折り返され、基板3と背面部40との間において基板3の下方側端部の下側から第2開口部10側に延びて一部が第2開口部10に入り込むように配置されている。
この構成では、仮にシール部材8と電線部70との間に存在する隙間を介してケース5内に水が浸入し、その水は、基板3の裏面側(基板3と背面部40との間)を通るように電線部70を伝って流れやすく、その後、電線部70が折り返された部分(基板3の下方側端部の下側)の付近から落下しやすくなる。つまり、孔部64付近から電線部70を伝って流れようとする水が基板3の前面側に流れ込みにくくなるため、この水が基板3の前面に実装される部品に大きな影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0055】
具体的には、電線部70は、第2開口部10内に入り込む第1電線部74と、第1電線部74と被接続部72との間に配置される第2電線部76と、を具備する。第2電線部76は、後方側配置部78と、折り返し部80と、前方側配置部82とを含んでいる。後方側配置部78は、第1電線部74から続くとともに第2開口部10の下方側において基板3と背面部40との間を通るように配置される部分である。折り返し部80は、後方側配置部78から続くとともに基板3の下方側端部の下側で折り返されるように配置される部分である。前方側配置部82は、折り返し部80から続くとともに基板3の前側において折り返し部80と被接続部72との間に配置される部分である。
【0056】
更に、浴室用リモコン1は、孔部64の下方側且つ接続部15の上方側において接続部15の上方を覆うように配置される庇部38を備える。
この構成によれば、万が一、何らかの理由によって庇部38の上方側から(例えば、孔部64付近から)接続部15側へと水が流下又は落下したとしても、その水が接続部15にかかることを庇部38によって防ぐことができる。
【0057】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0058】
上述した実施例では、庇部38を設けたが、庇部38はなくてもよい。
【0059】
上述した実施例では、ハーネス部9を基板3の下側を迂回させるようにしたが、第2開口部10を介して基板3の前方に入り込んだハーネス部9の被接続部72をそのまま接続部15に接続するようにしてもよい。
【0060】
上述した実施例では、浴室用リモコン1が壁面に固定されるようにしたが、浴室に設置されていればよく、壁面に固定されていなくてもよい。また、壁面に固定される場合についても、壁面に直接固定されるのではなく、別の部材(例えば取付部材)を介して間接的に固定されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…浴室用リモコン
3…基板
5…ケース
8…シール部材
9…ハーネス部
10…第2開口部
15…接続部
40…背面部
42E…第1開口部
64…孔部
70…電線部
72…被接続部
図1
図2
図3
図4
図5