(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 17/10 20060101AFI20230203BHJP
A01D 23/04 20060101ALI20230203BHJP
A01D 45/28 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
A01D17/10
A01D23/04
A01D45/28
(21)【出願番号】P 2019038226
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2022-01-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター、「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】391052127
【氏名又は名称】株式会社ニシザワ
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】西澤 准一
(72)【発明者】
【氏名】西澤 英伸
(72)【発明者】
【氏名】三代 満
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-148387(JP,A)
【文献】特開2011-167108(JP,A)
【文献】特開2007-043964(JP,A)
【文献】特開2017-063708(JP,A)
【文献】特開2010-259343(JP,A)
【文献】特開2014-045749(JP,A)
【文献】実開昭59-193222(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00-33/14
A01D 43/00-51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に列状に植生している野菜(P)を、走行装置(1)上に設けた機体フレーム(2)の前部において順次搬送装置(4)の始端部で保持した後、該搬送装置(4)により上記機体フレーム(2)の前部下方から後部上方
に搬送し
、同後部上方において直下の収納部に順次収納
するようにした野菜収穫機であって、
上記搬送装置(4)は、
圃場における一畝当たりの野菜(P)の植生列数に応じ、該植生列ごとに収穫して上記機体フレーム(2)の前部下方から後部上方直下の収納部に搬送する複数基の搬送ユニット(5,5・・)により構成されていると共に、
該複数基の搬送ユニット(5,5・・)は、それぞれ上記各列の野菜(P)を搬送部始端において直立状態で左右から挟持して上記機体フレーム(2)の前部下方から後部上方に搬送する左右一対の挟持ベルト(51,51)を有した前搬送部(5A)と、上記機体フレーム(2)の後部上方において上記前搬送部(5A)の終端部に連続し、上記前搬送部(5A)から搬送される上記野菜(P)を順次後傾させながら直下の収納部に収納する左右一対の挟持ベルト(52,52)を有した後搬送部(5B)との2組の搬送部により構成されており、
上記機体フレーム(2)に設置された搬送ユニット搭載フレーム(3)の前後2本の支持部材(31,32)に対して、上記前搬送部(5A)と後搬送部(5B)を一体として、取り付け及び取り外し可能、かつ取り付け状態において左右両方向に相互に平行な状態でスライド及び固定できるように搭載することにより、
収穫圃場における一畝当たりの野菜(P)の植生列の列数に応じた任意の基数、同植生列の列間隔に応じた任意の間隔の搬送ユニット(5,5・・)による収穫を可能とした、
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】
請求項1において、
上記搬送ユニット搭載フレーム(3)の前部に、野菜(P)の植生面(G)に接地して上記搬送装置(4)の前端部を上記植生面(G)に対して一定高さを保持した状態で左右の平行度を維持するための接地ゲージ輪(71)を設け、
上記搬送ユニット搭載フレーム(3)と上記機体フレーム(2)との間に、上記搬送ユニット搭載フレーム(3)と上記機体フレーム(2)とを左右に相対揺動させ得る左右揺動ジョイント(26)と上記搬送ユニット搭載フレーム(3)と上記機体フレーム(2)とを前後に相対揺動させ得る前後揺動ジョイント(27)とを有したクロスジョイント(25)を介設していることにより、
上記走行装置(1)の走行路面(Ga)に応じて上記機体フレーム(2)の姿勢が左右又は前後に傾動しても、上記搬送ユニット搭載フレーム(3)の姿勢が上記植生面(G)に対して常に正常姿勢に維持されるようにしている、
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項3】
請求項2において、
上記接地ゲージ輪(71)を上記搬送ユニット搭載フレーム(3)に対して上下変位可能に取付け、
上記接地ゲージ輪(71)を位置調整レバー(72)で上下変位させることで、上記搬送装置(4)の前端部の支持高さを調整し得るようにしている、
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
上記搬送ユニット(5)に、上記両挟持ベルト(51,51)における対面走行部(51b,51b)を相互に接触する側に押圧するためのローラ(62)付きの押圧アーム(61,61・・)を設け、
上記各押圧アーム(61,61・・)を板バネ(63)により上記ローラ(62)が上記挟持ベルト(51)の対面走行部(51b)を対向する挟持ベルト(51)の対面走行部(51b)側に押圧するように付勢させている、
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、
上記
複数基の搬送ユニット(5,5・・)における各搬送ユニット
(5)は
、上記前搬送部(5A)の
左右一対の挟持ベルト(51,51)及び上記後搬送部(5B)の
左右一対の挟持ベルト(52,52)を
共通に駆動す
るモータ(53
)を備え
ており、
上記後搬送部(5B)におけ
る野菜(P)
の保持
を解除する位置の下方位置にモータ(53)の取付台となる左右に所定幅を持った台フレーム(56)を設置し、
該台フレーム(56)の幅方向中央部分に、上記後搬送部(5B)から保持
状態を解除されて落下する野菜(P)が下方に通過するのを許容するための台フレーム後端から前方に向けて切り欠いた空間部(57)を設け、
上記モータ(53)から、上記前搬送部(5A)の左右一対の挟持ベルト(51,51)及び上記後搬送部(5B)の左右一対の挟持ベルト(52,52)への動力伝達手段(54)を、上記台フレーム(56)
の上記空間部(57)を迂回した余剰部分に設置している、
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、
上記搬送装置(4)の前端部に、圃場に植生している野菜(P)の根元付近を切断する刈刃装置(8A)と、上記野菜(P)の根を地中から掘り出す掘出装置(8B)とを付け替え可能に装着し得るとともに、
上記搬送装置(4)の前端部に付け替えて装着される上記刈刃装置(8A)又は上記掘出装置(8B)を共通の駆動装置(9)で駆動するようにしている、
ことを特徴とする野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば葉ネギのような軟弱な野菜を圃場から収穫するための野菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の野菜収穫機として、本件出願人は一例として特許第5944276号公報(特許文献1)のものを既に特許取得している。この特許文献1の野菜収穫機は、例えばホーレン草や小松菜等の葉部面積の大きい野菜のほかに、葉ネギのような細長い野菜も収穫し得るものである。
【0003】
この特許文献1の野菜収穫機は、
図21及び
図22に示すように、走行装置1上に前部が下方で後部が上方に向けて傾斜する機体フレーム2を取付け、該機体フレーム2上に圃場に植生している野菜(図示例では葉ネギ)Pを保持して前部下方から後部上方に搬送する搬送装置4を設けている。尚、
図21~
図22の例では、収穫する野菜として葉ネギのような細長い野菜を採用しているので、以下の説明では、収穫する野菜を細長野菜Pということにする。
【0004】
搬送装置4には、
図22に示すように左右(
図22では上下)2列の搬送ライン4A,4Bが設けられている。この各搬送ライン4A,4Bには、それぞれ前側に位置する前搬送部5Aと該前搬送部5Aの後端部に連続する後搬送部5Bを有している。
【0005】
各搬送ライン4A,4Bの前搬送部5A及び後搬送部5Bには、それぞれ左右一対の挟持ベルト51,51、52,52が使用されていて、細長野菜(葉ネギ)Pをそれぞれ両挟持ベルトで挟持した状態で順次後送するようになっている。
【0006】
機体フレーム2の前部には、圃場に植生している細長野菜Pの根を掘り出す掘出装置8Bを設けている。
【0007】
そして、
図21~
図22の野菜収穫機は、走行装置1で前進走行させることで、圃場に植生している2条の条列
(2列)Q,Qの各細長野菜P,Pの根を掘出装置8Bで順次掘り出し、その掘り出した直後の細長野菜Pを前搬送部5Aで受け取って後送し、続いて後搬送部5Bで細長野菜Pを後傾させながらさらに後送し、その後傾させた細長野菜Pを後搬送部5Bの終端部から落下させて収納容器B内に順次自動で収納(堆積)させ得るように構成されている。
【0008】
ところで、
図21~
図22に示す公知(特許文献1)の野菜収穫機では、搬送装置4の各搬送ライン4A,4Bは、その収穫部分(先端部)の左右間隔Lを圃場に植え付けられる細長野菜Pの一般的な条間
(列間隔)W(
図22)に合わせた状態で、機体フレーム2に対して移動不能状態で固定しているのが現状である。即ち、圃場に植え付けられる細長野菜Pの一般的な条間
(列間隔)Wは20cm程度のものが多く、その一般的な条間
(列間隔)Wに適合するように両搬送ライン4A,4Bの収穫部分(先端部)の左右間隔Lを設定しているのが現状である。
【0009】
そして、この種の野菜収穫機を購入した農家は、細長野菜(葉ネギ)Pを栽培するのに、その購入した野菜収穫機における両搬送ライン4A,4Bの収穫部分の左右間隔L(L=20cm程度)に適合した条間(列間隔)W(W=20cm程度)で、圃場に細長野菜Pを植生するようにしている。
【0010】
このように、野菜収穫機の収穫部分の左右間隔Lに合わせて栽培する細長野菜Pの条間(列間隔)Wを決めれば、購入した野菜収穫機で2条(2列)の細長野菜P,Pを同時に且つ正確に収穫することができる。
【0011】
尚、この種の野菜収穫機は、圃場(畝)に植え付けられる細長野菜Pの条数(2~4条が多用されている)に対応した搬送ラインの本数(2~4本)をそれぞれ搭載したものを個別に製作することができるが、その場合でも、圃場にはそれぞれの機種(野菜収穫機)の搬送ラインの本数に適合した植付条数で細長野菜Pを栽培する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、
図21~
図22に示す公知(特許文献1)の野菜収穫機では、左右2列の各搬送ライン4A,4Bは、出荷段階において栽培が予定される一般的な条間
(列間隔)W(W=20cm程度)に適合する間隔Lを持って機体フレーム2に移動不能状態で固定されているので、次のような欠点があった。
【0014】
即ち、1つの機種(野菜収穫機)では、搬送ライン4A,4Bの本数が特定されている(例えば2条刈では2列)ので、使用する機種(野菜収穫機)に合わせて圃場(畝)に栽培する細長野菜Pの条数(例えば2条)及び条間(例えば20cm程度)が決まってしまうので、1つの機種(野菜収穫機)では、細長野菜Pを条数及び条間が特定された一定の条件でしか栽培できないという問題がある。従って、条数や条間等の栽培条件を変更したいという農家(栽培者)のニーズに対応できない。尚、細長野菜Pを栽培するのに条数や条間を変更したい場合には、その希望形態に適合した別機種の野菜収穫機を別途調達する必要があるので、設備コストが高くなる。
【0015】
そこで、本願発明は、栽培する野菜の植生列数(例えば2~4条)や列間隔(例えば20~30cm間隔)を変更する場合でも、1つの機種の野菜収穫機でそれぞれ適正に対応できるようにすることを主たる目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0017】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、圃場に植生している野菜を自動で(収穫機を走行させることで)収穫し得るようにした野菜収穫機を対象にしたものである。尚、本願の野菜収穫機で収穫できる野菜としては、ホーレン草や小松菜のような葉部面積が大きいものも収穫可能であるが、葉ネギのような細長野菜の収穫に適したものである。そして、以下の説明でも、本願の野菜収穫機で収穫する野菜として葉ネギのような細長野菜で説明する。
【0018】
この請求項1の発明の野菜収穫機は、添付図面(
図1~
図20)に例示するように、圃場に列状に植生している野菜Pを、走行装置1上に設けた機体フレーム2の前部において順次搬送装置4の始端部で保持した後、該搬送装置4により上記機体フレーム2の前部下方から後部上方
に搬送し
、同後部上方において直下の収納部に順次収納
するようにした野菜収穫機であって、上記搬送装置4は、
圃場における一畝当たりの野菜Pの植生列数に応じ、該植生列ごとに収穫して上記機体フレーム2の前部下方から後部上方直下の収納部に搬送する複数基の搬送ユニット5,5・・により構成されていると共に、該複数基の搬送ユニット5,5・・は、それぞれ上記各列の野菜Pを搬送部始端において直立状態で左右から挟持して上記機体フレーム2の前部下方から後部上方に搬送する左右一対の挟持ベルト51,51を有した前搬送部5Aと、上記機体フレーム2の後部上方において上記前搬送部5Aの終端部に連続し、上記前搬送部(5A)から搬送される上記野菜Pを順次後傾させながら直下の収納部に収納する左右一対の挟持ベルト52,52を有した後搬送部5Bとの2組の搬送部により構成されており、上記機体フレーム2に設置された搬送ユニット搭載フレーム3の前後2本の支持部材31,32に対して、上記前搬送部5Aと後搬送部5Bを一体として、取り付け及び取り外し可能、かつ取り付け状態において左右両方向に相互に平行な状態でスライド及び固定できるように搭載することにより、収穫圃場における一畝当たりの野菜Pの植生列の列数に応じた任意の基数、同植生列の列間隔に応じた任意の間隔の搬送ユニット5,5・・による収穫を可能としたことを特徴としている。
【0019】
細長野菜(葉ネギ)Pを栽培する農家(栽培者)によっては、圃場となる1列の畝に対して、希望する栽培条件(植付列数や列間隔)が異なっていたり、栽培野菜の種類によって栽培条件(植付列数や列間隔)を変更したい場合がある。実質的な栽培形態としては、1列の畝に対して一般に2~4列(2~4条)植えのものが多く、栽培する列間隔(条間隔)は20~30cm程度の範囲の間隔で実施するのものが多い。
【0020】
そこで、この請求項1の発明の野菜収穫機では、そのような栽培者が希望する栽培条件(植付列数や列間隔)に任意に適合させるために、圃場に列状に植生している野菜Pを、走行装置1上に設けた機体フレーム2の前部において順次搬送装置4の始端部で保持した後、該搬送装置4により上記機体フレーム2の前部下方から後部上方に搬送し、同後部上方において直下の収納部に順次収納するようにした野菜収穫機において、上記搬送装置4を、圃場における一畝当たりの野菜Pの植生列数に応じ、該植生列ごとに収穫して上記機体フレーム2の前部下方から後部上方直下の収納部に搬送する複数基の搬送ユニット5,5・・により構成すると共に、該複数基の搬送ユニット5,5・・を、それぞれ上記各列の野菜Pを搬送部始端において直立状態で左右から挟持して上記機体フレーム2の前部下方から後部上方に搬送する左右一対の挟持ベルト51,51を有した前搬送部5Aと、上記機体フレーム2の後部上方において上記前搬送部5Aの終端部に連続し、上記前搬送部(5A)から搬送される上記野菜Pを順次後傾させながら直下の収納部に収納する左右一対の挟持ベルト52,52を有した後搬送部5Bとの2組の搬送部により構成し、上記収穫機本体の機体フレーム2に設置した搬送ユニット搭載フレーム3の前後2本の支持部材31,32に対して、上記前搬送部5Aと後搬送部5Bを一体として、取り付け及び取り外し可能、かつ取り付け状態において左右両方向に相互に平行な状態でスライド及び固定することができるように搭載することにより、収穫圃場における一畝当たりの野菜Pの植生列の列数に応じた任意の基数、同植生列の列間隔に応じた任意の間隔の搬送ユニット5,5・・による適切な収穫を可能としている。
【0021】
このような構成によると、農家は(栽培者)は、搬送ユニット搭載フレーム3に取付ける搬送ユニット5の使用基数(植付列数に対応した基数)を適切に選定することができ、また、それら搬送ユニット5,5・・相互の左右方向の間隔(植生列の列間隔に対応した間隔)を正確に調整することができ、実際の圃場における植生状態に対応した適切な収穫が可能となる。
【0022】
しかも、この請求項1の発明の構成では、それら任意に使用される複数基の搬送ユニット5,5・・が、それぞれ上記各列の野菜Pを搬送部始端において直立状態で左右から挟持して上記機体フレーム2の前部下方から後部上方に搬送する左右一対の挟持ベルト51,51を有した前搬送部5Aと、上記機体フレーム2の後部上方において上記前搬送部5Aの終端部に連続し、上記前搬送部(5A)から搬送される上記野菜Pを順次後傾させながら直下の収納部に収納する左右一対の挟持ベルト52,52を有した後搬送部5Bとの2組の搬送部により構成されている。
【0023】
したがって、掘り取られた野菜P,P・・は、機体2の前端側から後端側まで適切な状態で、スムーズに搬送され、後端側では水平状態となって、収納部に適切に収納される。
【0024】
また、同複数基の搬送ユニット5,5・・は、機体フレーム2に設置された搬送ユニット搭載フレーム3の前後2本の支持部材31,32に対して、そのような適切な搬送作用を実現する前搬送部5Aと後搬送部5Bを一体として、取り付け及び取り外し可能、かつ取り付け状態において左右両方向に相互に平行な状態でスライド及び固定できる状態で搭載される。
【0025】
したがって、複数の隣り合う前搬送部5Aと後搬送部5Bのそれぞれは、野菜P,P・・の植生列の列間隔に応じた相互の間隔の調整状態及び取り付け完了後の状態のいずれの状態においても相互に平行であり、前端側での搬入がスムーズで、後端側での収納も整然としたものになる。
【0026】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の野菜収穫機において、搬送ユニット搭載フレーム3の前部に、細長野菜Pの植生面Gに接地して搬送装置4の前端部を植生面Gに対して一定高さに保持した状態で左右の平行度を維持するための接地ゲージ輪71を設け、搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2との間に、搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2とを左右に相対揺動させ得る左右揺動ジョイント26と、搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2とを前後に相対揺動させ得る前後揺動ジョイント27とを有したクロスジョイント25を介設していることにより、走行装置1の走行路面Gaに応じて機体フレーム2の姿勢が左右又は前後に傾動しても、接地ゲージ輪71が植生面Gに接地していることにより搬送ユニット搭載フレーム3の姿勢が植生面Gに対して常に正常姿勢に維持されるようにしていることを特徴としている。
【0027】
そして、この請求項2の野菜収穫機では、例えば
図12に例示するように、走行装置1の左右のクローラ11,11が走行する左右の走行路面Ga,Gaに段差があって機体フレーム2が左右に傾動したときでも、接地ゲージ輪71が植生面Gに接地していることで、クロスジョイント25の左右揺動ジョイント26を中心にして搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2とを自動で左右に相対揺動させることができる(搬送装置4が植生面Gに対して適正姿勢に維持される)。他方、例えば
図14に例示するように、走行装置1のクローラ11が走行する走行路面Gaが前後に傾斜していて機体フレーム2が前後に傾動したときでも、接地ゲージ輪71が植生面Gに接地していることで、クロスジョイント25の前後揺動ジョイント27を中心にして搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2とを自動で前後に相対揺動させることができる(搬送装置4が植生面Gに対して適正姿勢に維持される)。
【0028】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の野菜収穫機において、接地ゲージ輪71を搬送ユニット搭載フレーム3に対して上下変位可能に取付け、接地ゲージ輪71を位置調整レバー76で上下変位させることで、搬送装置4の前端部の支持高さを調整し得るようにしていることを特徴としている。
【0029】
本願発明の野菜収穫機は、接地ゲージ輪71を植生面Gに接地させることで、搬送装置4の前端部を植生面Gから所定高さ位置に維持させることができるが、この請求項3の発明では、支持高さ調整レバー72で接地ゲージ輪71を上下変位させることで、搬送装置4の前端部の支持高さを調整できる。
【0030】
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明は、上記請求項1から3のいずれか1項の野菜収穫機において、搬送ユニット5に、両挟持ベルト51,51における対面走行部51b,51bを相互に接触する側に押圧するためのローラ62付きの押圧アーム61,61・・を設け、各押圧アーム61,61・・を板バネ63によりローラ62が挟持ベルト51の対面走行部51bを対向する挟持ベルト51の対面走行部51b側に押圧するように付勢させていることを特徴としている。
【0031】
この請求項4の野菜収穫機では、搬送ユニット5の両挟持ベルト51,51における対面走行部51b,51bが相互に圧接する状態で運転する必要から、該対面走行部51b,51bはローラ62付きの押圧アーム61でそれぞれ対向する挟持ベルト51の対面走行部51b側に押圧するようにしているが、各押圧アーム61の付勢手段として板バネ63を使用すると、例えばコイルバネ使用の場合より設置スペースが少なくて済む。
【0032】
[本願請求項5の発明]
本願請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれか1項の野菜収穫機において、 上記複数基の搬送ユニット5,5・・における各搬送ユニット5は、上記前搬送部5Aの左右一対の挟持ベルト51,51及び上記後搬送部5Bの左右一対の挟持ベルト52,52を共通に駆動するモータ53を備えており、上記後搬送部5Bにおける野菜Pの保持を解除する位置の下方位置にモータ53の取付台となる左右に所定幅を持った台フレーム56を設置し、該台フレーム56の幅方向中央部分に、上記後搬送部5Bから保持状態を解除されて落下する野菜Pが下方に通過するのを許容するための台フレーム後端から前方に向けて切り欠いた空間部57を設け、上記モータ(53)から、上記前搬送部(5A)の左右一対の挟持ベルト(51,51)及び上記後搬送部(5B)の左右一対の挟持ベルト(52,52)への動力伝達手段(54)を、上記台フレーム(56)の上記空間部(57)を迂回した余剰部分に設置していることを特徴としている。
【0033】
この請求項5の発明の構成では、収穫される細長野菜Pは、各搬送ユニット5,5・・の前搬送部5Aを経て後搬送部5Bに受け継がれた後、該後搬送部5Bでの保持が解除されるとそこから自然落下するが、その落下する細長野菜Pの下方にはモータ53や該モータ53からの動力伝達手段(スプロケット及びチエン)54を設置するための台フレーム56が設置されている。
【0034】
そして、この台フレーム56には、幅方向中央部分に落下してくる細長野菜Pを通過させるための空間部57が設けられていて、落下する細長野菜Pは該空間部57を通って下方に通過するようになっている。
【0035】
一方、台フレーム56には、モータ53及び該モータ53から前搬送部5Aの左右一対の挟持ベルト51,51及び後搬送部5Bの左右一対の挟持ベルト52,52への動力伝達手段54が設置されるが、これらモータ53及び動力伝達手段54を上記のように台フレーム56の上記空間部57を迂回した余剰部分に設置するようにすると、それらモータ53及び動力伝達手段54が上記空間部57を塞ぐことのない状態で設置することができる。
【0036】
[本願請求項6の発明]
本願請求項6の発明は、上記請求項1から5のいずれか1項の野菜収穫機において、搬送装置4の前端部に、圃場に植生している細長野菜Pの根元付近Pbを切断する刈刃装置8Aと、細長野菜Pの根Paを地中から掘り出す掘出装置8Bとを付け替え可能に装着し得るとともに、搬送装置4の前端部に付け替えて装着される刈刃装置8A又は掘出し装置8Bを共通の駆動装置9で駆動するようにしていることを特徴としている。
【0037】
上記刈刃装置8Aにより根元付近で切断して収穫される根無しの細長野菜P(
図1参照)は、加工用(刻みネギ用)に使用されるものであり、上記掘出装置8Bにより根付き状態で収穫される根付きの細長野菜P(
図18参照)は、そのまま店頭販売されるものである。
【0038】
そして、この請求項6の野菜収穫機では、搬送装置4の前端部に、細長野菜Pの根元付近を切断する刈刃装置8Aと細長野菜Pの根Paを地中から掘り出す掘出装置8Bとを付け替え得るようにしているので、根無しの細長野菜Pと根付きの細長野菜Pとを選択して収穫できる。
【0039】
又、上記刈刃装置8Aと上記掘出装置8Bとの各駆動は、フレキシブルワイヤ92を用いた共通の駆動装置9で行うことで駆動源を共用できる。
【発明の効果】
【0040】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の野菜収穫機は、搬送装置4として、野菜Pを植生列ごとに搬送し得る個別の搬送ユニット5を植生列の列数に応じて複数基使用し、それら各搬送ユニット5,5・・を、機体フレーム2に設置している搬送ユニット搭載フレーム3の前後2本の支持部材31,32に対して、取り付け及び取り外し自在で、かつ取り付け状態において左右両方向に相互に平行な状態でスライド及び固定できるように搭載することによって、収穫圃場における一畝当たりの野菜Pの植生列の列数に応じた任意のユニット基数、同植生列の列間隔に応じた任意のユニット間隔の搬送ユニット5,5・・による収穫を可能としている。
【0041】
したがって、栽培者は、収穫に際して、当該圃場における野菜Pの植生列数に応じて搬送ユニット搭載フレーム3に取付ける搬送ユニット5の基数を選定するとともに、当該植生列の列間隔に応じて取付ける各搬送ユニット5,5・・の相互の間隔を調整することで、栽培者が希望する各種の栽培条件(植付列数や列間隔)に適正に対応できるようになる。
【0042】
すなわち、本願請求項1の野菜収穫機では、各種の栽培条件(植付列数や列間隔)に対応した所望の仕様に変更できるので、1台の収穫機で、栽培者が希望する各種の栽培条件(植付列数や列間隔)に適合させることができる。また、収穫した野菜の適切、かつスムーズな搬送、収納が可能となる。
【0043】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の野菜収穫機において、搬送ユニット搭載フレーム3に搬送装置4の前端部を位置保持するための接地ゲージ輪71を設ける一方、搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2との間に左右相対揺動用の左右揺動ジョイント26と前後相対揺動用の前後揺動ジョイント27とを有したクロスジョイント25を介設している。
【0044】
そして、この請求項2の野菜収穫機では、走行装置(左右のクローラ)1が走行する左右の走行路面Gaに段差があったり、該走行路面Gaが前後に傾斜していても、クロスジョイント25の左右揺動ジョイント26又は前後揺動ジョイント27を中心にして搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2とを自動で前後に相対揺動させることができる(搬送装置4が植生面Gに対して適正姿勢に維持される)。
【0045】
従って、この請求項2の野菜収穫機では、上記請求項1の効果に加えて、走行装置1が走行する走行路面Gaの状態に拘わらず搬送装置4の姿勢を常に収穫に適した適正姿勢に維持させることができるという効果がある。
【0046】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の野菜収穫機において、接地ゲージ輪71を上下変位させる位置調整レバー76を設けているので、該位置調整レバー76を操作することで搬送装置4の前端部の支持高さを調整できる。
【0047】
従って、この請求項3の野菜収穫機では、上記請求項2の効果に加えて、位置調整レバー76の操作という簡単な操作で搬送装置4の前端部の支持高さを調整できるという効果がある。
【0048】
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明は、上記請求項1から3のいずれか1項の野菜収穫機において、搬送ユニット5に両挟持ベルト51,51における対面走行部51b,51bを押圧するためのローラ62付きの押圧アーム61,61・・を付勢するのに板バネ63を使用しているが、このように各押圧アーム61の付勢手段として板バネ63を使用すると、例えばコイルバネ使用の場合より設置スペースが少なくて済む。
【0049】
従って、この請求項4の野菜収穫機では、上記請求項1~3の効果に加えて、挟持ベルト押圧用として設置される押圧アーム61の付勢手段(板バネ63)をコンパクトに設置できるという効果がある。
【0050】
尚、このように押圧アーム61の付勢手段をコンパクトに設置できると、搬送ユニット5を細幅に構成するのに役立つという機能もある。
【0051】
[本願請求項5の発明の効果]
本願請求項5の野菜収穫機では、細長野菜Pが搬送ユニット5で搬送され、その後搬送部5Bから保持解除された細長野菜Pが落下するが、その下方にはモータ53やその動力伝達手段54を取付けるための台フレーム56が設置されているが、この台フレーム56には後搬送部5Bから落下してくる細長野菜Pを通過させるための空間部57を設けている。
【0052】
従って、この請求項5の野菜収穫機では、上記請求項1~4の効果に加えて、後搬送部5Bの下方位置にモータ53等の取付台となる台フレーム56があっても、該台フレーム56が後搬送部5Bから落下してくる細長野菜Pの障害とならないという効果がある。
【0053】
又、台フレーム56には、モータ53及び該モータ53からの動力伝達手段54が設置されるが、これらのモータ53及び動力伝達手段54は上記空間部57を塞ぐことなく設置することができる。
【0054】
[本願請求項6の発明の効果]
本願請求項6の野菜収穫機では、搬送装置4の前端部に、細長野菜Pの根元付近を切断する刈刃装置8Aと、細長野菜Pの根Paを地中から掘り出す掘出装置8Bとを付け替え可能に装着し得るとともに、搬送装置4の前端部に付け替えて装着される刈刃装置8A又は掘出し装置8Bを共通の駆動装置9で駆動するようにしている。
【0055】
従って、この請求項6の野菜収穫機では、上記請求項1~5の効果に加えて、刈刃装置8Aの使用により根の無い加工用の細長野菜Pを収穫できる一方、掘出装置8Bの使用により根付きの細長野菜Pを収穫できるので、1台の野菜収穫機で両方の形態の細長野菜Pを収穫できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図2】
図1の平面視相当図(
図1のII矢視相当図)で、4条刈り仕様にしたもの。
【
図5】
図1の搬送装置を機体フレーム側の搬送ユニット搭載フレームから分離した状態の側面図。
【
図6】
図5のVI-VI矢視図で、搬送装置を取外した状態の平面図。
【
図7】
図2のVII部拡大図で、1基の搬送ユニットの平面図。
【
図9】
図8の搬送ユニットを搬送ユニット搭載フレームに組付けた状態の拡大図。
【
図10】
図8のX-X矢視図で、台フレームを平面から見た図。
【
図11】
図3のXI部拡大図で、搬送装置と機体フレームとが左右揺動ジョイント部分で左右に相対揺動できることの説明図。
【
図12】
図3の状態変化図で、機体フレームが左側に下降傾斜した状態の説明図。
【
図13】
図11のXIII矢視図で、搬送装置と機体フレームとが前後揺動ジョイント部分で前後に相対揺動できることの説明図。
【
図14】
図1の状態変化図で、機体フレームが前側に下降傾斜した状態の説明図。
【
図15】
図7のXV部拡大図で、押圧アームの付勢用に板バネを使用していることの説明図。
【
図16】
図2の変形例で、搬送装置を3条刈り仕様にしたもの。
【
図17】
図2の変形例で、搬送装置を2条刈り仕様にしたもの。
【
図18】
図1の変形例で、
図1で使用している刈刃装置を掘出装置に変更したもの。
【
図19】
図6の変形例で、
図6で使用している刈刃装置を掘出装置に変更したもの。
【
図20】収納部に
図1の収納容器に代えて包装ネットを使用した
図3相当図。
【
図21】公知(特許文献1)の野菜収穫機の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1~
図20を参照して本願実施例の野菜収穫機を説明する。尚、この実施例の野菜収穫機で収穫できる野菜としては、ホーレン草や小松菜のような葉部面積が大きいものも収穫可能であるが、葉ネギのような細長野菜の収穫に適したものである。そして、以下の説明では、この実施例の野菜収穫機で収穫する野菜として、葉ネギのような細長野菜で説明する。
【0058】
図1~
図6には、本願実施例の野菜収穫機の基本図を示している。この実施例の野菜収穫機の基本構成として、
図1~
図6に示すように、走行装置1上に機体フレーム2を取付け、該機体フレーム2の前部に圃場に植生している細長野菜Pの根元付近を切断する刈刃装置8Aを設け、機体フレーム2上に後述する搬送ユニット搭載フレーム3を介して搬送装置4を設け、該搬送装置4の終端部の直下に収穫される細長野菜Pの収納部となる収納台29を設けている。
【0059】
この実施例の野菜収穫機では、走行装置1や各種駆動部(刈刃装置8Aや搬送装置4等)の動力源として、
図6に示すように発電機10Aで充電されるバッテリ10を採用している。
【0060】
機体フレーム2の左右片側(後方から見て左側)には、運転用のハンドル14を設けている。このハンドル14の前部には、各種の操作を行う操作盤15を設置している。
【0061】
機体フレーム2には、左右の各側部フレーム21,21と該各側部フレーム21,21間に架設された連結フレーム22を有している。
【0062】
走行装置1には、左右一対のクローラ11,11を使用している。この各クローラ11,11は、
図6に示すように機体フレーム2の左右各側部フレーム21,21の外側に支持されている。そして、この各クローラ11,11は、走行用モータ12(バッテリ10から給電される)により各種動力伝達手段(軸、スプロケット、チエン等)を介して駆動されるようになっている。
【0063】
左右のクローラ11,11は、
図3に示すように圃場の畝Yを跨いで走行するもので、この実施例では畝Yの左右の各溝部分が各クローラ11,11の走行路面Ga,Gaとなる。
【0064】
機体フレーム2の連結フレーム22には、その左右中央位置においてクロスジョイント25を介して後述する各搬送ユニット5,5・・を搭載するための搬送ユニット搭載フレーム3が取付けられている。
【0065】
搬送ユニット搭載フレーム3は、
図6に示すように、それぞれ左右に所定長さを有した前パイプ31と後パイプ32とを左右の側部フレーム33,33で連結して矩形形状に形成したものである。そして、この搬送ユニット搭載フレーム3は、この実施例では、
図2に示すように後述する搬送ユニット5を左右に近接させた状態で4基搭載できる左右幅を有している。
【0066】
上記クロスジョイント25は、
図11及び
図13に拡大図示するように、前後に向く軸26aをもつ左右揺動ジョイント26と左右に向く軸27aをもつ前後揺動ジョイント27とを有している。このクロスジョイント25は、左右揺動ジョイント26の上に前後揺動ジョイント27が位置するように一体的に組付けられている。
【0067】
そして、このクロスジョイント25は、連結フレーム22の左右中央位置で上向きに立設固定された支柱23の上端部に左右揺動ジョイント26を取付ける一方、前後揺動ジョイント27を連結片34を介して搬送ユニット搭載フレーム3の後パイプ32に取付けることで、搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2の間に設置している。
【0068】
従って、この野菜収穫機では、
図11に拡大図示するように左右揺動ジョイント26の軸26aを中心にして搬送ユニット搭載フレーム3(後パイプ32部分)と機体フレーム2(支柱23部分)とを左右に相対揺動させ得るようになっている一方、
図13に拡大図示するように前後揺動ジョイント27の軸27aを中心にして搬送ユニット搭載フレーム3(後パイプ32部分)と機体フレーム2(支柱23部分)とを前後に相対揺動させ得るようになっている。
【0069】
搬送ユニット搭載フレーム3の前部左右位置には、この搬送ユニット搭載フレーム3を傾斜角度を調整するためのリフトシリンダ24,24が設置されている。この各リフトシリンダ24,24は、伸長させると搬送ユニット搭載フレーム3の傾斜角度が大きくなり、縮小させると該搬送ユニット搭載フレーム3の傾斜角度が小さくなる。尚、このリフトシリンダ24,24は、畝Yの有無や畝高さに応じて、搬送ユニット搭載フレーム3上に搭載される搬送装置4の先端部(細長野菜Pの収穫始端部)の高さを調整するもので、搬送ユニット搭載フレーム3の傾斜角度を30゜~50゜程度の範囲で調整可能としている。
【0070】
ところで、搬送ユニット搭載フレーム3の傾斜角度調整用の各リフトシリンダ24,24は、搬送ユニット搭載フレーム3の傾斜角度を初期設定するときのみに使用されるものであって、収穫作業中は搬送ユニット搭載フレーム3(搬送装置4を含む)を機体フレーム2に対して自由に前後揺動させ得るようにするために該リフトシリンダ24,24を伸縮フリー状態にしておく。
【0071】
搬送ユニット搭載フレーム3上には、搬送装置4が装着されるが、この搬送装置4は、
図2に示すように細長野菜Pを植生列ごとに搬送し得る個別の搬送ユニット5が複数基(この実施例では4基)使用されている。
【0072】
各搬送ユニット5,5・・は、
図7~
図10に詳細表示するように、1基の搬送ユニット5につき、左右一対の挟持ベルト51,51を有した前搬送部5Aと、該前搬送部5Aの終端部の上部位置に連続してさらに後方に延出し且つ左右一対の挟持ベルト52,52を有した後搬送部5Bと、前搬送部5Aの両挟持ベルト51,51及び後搬送部5Bの両挟持ベルト52,52を駆動する共通のモータ53とを備えている。尚、各挟持ベルト51,51(及び52,52)には、それぞれ弾力性のある厚手の帯状ベルトが採用されている。
【0073】
図2の設置例では、各搬送ユニット5,5・・は、左右の挟持ベルト51,51(及び52,52)を前後に若干長さだけずらしており、且つ隣接配置される各搬送ユニット5,5同士を反転させた形状で設置しているが、その他の基本構成は各搬送ユニット5,5・・ともに同じであるので、以下、
図7~
図10に示す1基の搬送ユニット5について説明する。
【0074】
図7~
図10に示す1基の搬送ユニット5は、全体として左右幅狭(
図7の外端幅Mが15cm程度)に製作されていて、
図2に示すように4基の搬送ユニット5,5・・を近接並置したときに、その4基の全幅が70~80cm程度に収まるようにしている(標準的な畝幅W0とほぼ同幅となる)。
【0075】
この搬送ユニット5において、前搬送部5Aの前後長さは130~140cm程度であり、後搬送部5Bの前後長さは40~50cm程度に設定している。そして、畝Y上の収穫作業では、前搬送部5Aの傾斜角度を30゜~40゜程度に設定する一方で、後搬送部5Bの傾斜角度を15゜~20゜程度に設定して行う。尚、これらの各数値は特に限定するものではなく、適宜に設計変更可能である。
【0076】
搬送ユニット5における前搬送部5Aと後搬送部5Bの各挟持ベルト51,51、52,52は、共通のモータ53で駆動するようにしている。即ち、前搬送部5Aの両挟持ベルト51,51の各終端部には、
図10に示すように共通のモータ53の動力で動力伝達手段54を介して駆動される各駆動軸51a,51aがある一方、
図8に示すように前搬送部5A側の上記駆動軸51a,51aと後搬送部5B側の始端部にある両駆動軸52a,52aとをそれぞれユニバーサルジョイントで連結して、共通のモータ53で前搬送部5A側の両挟持ベルト51,51と後搬送部5B側の両挟持ベルト52,52を同時に走行させるようになっている。
【0077】
又、後搬送部5B側の上記各駆動軸52a,52aに取付けているプーリの直径を、前搬送部5A側の上記各駆動軸51a,51aに取付けているプーリの直径を若干大きくすることで、後搬送部5Bの挟持ベルト52,52の走行スピードを前搬送部5Aの挟持ベルト51,51の走行スピードより若干速くし、それによって後送されている細長野菜Pが前搬送部5Aの終端部から後搬送部5Bの前端部に移乗する際に該細長野菜Pを後方傾斜させ得るようにしている。
【0078】
後搬送部5Bにおける細長野菜Pを保持解除する位置の下方位置には、
図8及び
図10に示すようにモータ53の取付台となる台フレーム56を設置している。
【0079】
この台フレーム56は、
図10に示すように搬送ユニット5の左右幅とほぼ同幅の左右幅を有している。この台フレーム56の幅方向中央部分には、後搬送部5Bから保持解除されて落下する細長野菜Pを下方に通過させるための空間部57を設けている。この空間部57は、台フレーム57後端から前方に向けて所定深さ切り欠いたものである。
【0080】
又、この台フレーム56には、上記空間部57を挟む片側の後端部にモータ53を取付けているいる一方、該モータ53からの動力伝達手段(スプロケット及びチエン)54を台フレーム56における空間部57を迂回した余剰部分に設置している。尚、モータ53からの動力伝達手段54は、左右の挟持ベルト51,51の対面走行部51b,51bがそれぞれ前方から後方に等速で走行するように設置されている。
【0081】
上記構成の各搬送ユニット5,5・・は、搬送ユニット搭載フレーム3の前後2本の前パイプ31及び後パイプ32に対して、それぞれ任意に取付け及び取外しできるようになっており、かつ取付け状態において、それら相互を相互に平行な状態で左右両方向にスライドできるようにしており、またスライド後、後述する止め具36により任意に固定できるようにしている。すなわち、搬送ユニット搭載フレーム3の前後2本の前パイプ31及び後パイプ32に対して、所望の基数の搬送ユニット5,5・・を所望に取り付け、同取り付け状態で、それら相互の間隔を相互に平行な状態で調整することができるようにしている。
【0082】
具体的には、上記各搬送ユニット5,5・・と搬送ユニット搭載フレーム3との前後位置決め用として、
たとえば図5及び
図8に示すように、
上記搬送ユニット5の下部フレーム58の下面に、
上記搬送ユニット搭載フレーム3の前パイプ31と後パイプ32にそれぞれ上方から嵌合する前後2つの凹部59,59を設けている。この搬送ユニット5側の各凹部59,59は、
上記搬送ユニット搭載フレーム3の前パイプ31と後パイプ32に対してそれぞれ上方から嵌合して
、上記搬送ユニット搭載フレーム3を前後に位置決めし得るものであるが、
同時に、同嵌合状態において、上記各搬送ユニット5は
上記搬送ユニット搭載フレーム3
の前パイプ31と後パイプ32に沿って、相互に平行な状態で左右にスライド可能となっており、それによって各々の左右両方向の位置、及び相互の間の間隔を調整するものである。
【0083】
そして、各搬送ユニット5は、搬送ユニット搭載フレーム3の左右所定位置に位置決めした状態で、
図9に示すように下部フレーム58を前パイプ31と後パイプ32にそれぞれ着脱自在な止め具36
,36で簡易に固定することでセットを完了できる。尚、各搬送ユニット5は、上記止め具36,36による固定を解除すれば、搬送ユニット搭載フレーム3に対して自由に取外すことができる。
【0084】
なお、以上の説明における前パイプ31及び後パイプ32が、請求項1の記載における前後2本の支持部材(31,32)に該当する。
【0085】
搬送ユニット搭載フレーム3の前部には、細長野菜Pの植生面Gに接地して搬送装置4の前端部を植生面Gに対して一定高さを保持した状態で左右の平行度を維持するための接地ゲージ輪71を設けている。
【0086】
この接地ゲージ輪71は、畝幅方向に向く1本のシャフト72に所定間隔をもって複数個取付けている。この接地ゲージ輪71は、
図3に示すように畝Y上に植生される細長野菜Pの条列
(植生列)Q,Q,Q間に位置させる関係で、
図1~
図6の実施例の4条植え
(4列植え)の場合は3個使用される。尚、この各接地ゲージ輪71,71,71は、シャフト72に対して取外し及びスライド自在に取付け得るようになっていて、細長野菜Pの植生列数
(条数)によって使用個数及び間隔を調整し得る。
【0087】
各接地ゲージ輪71,71,71を取付けているシャフト72は、中間部を支点部74とした揺動片73の下端部に取付けている。
【0088】
車体の側部には、揺動片73を前後に揺動させて接地ゲージ輪71を上下変位させるための位置調整レバー76が設けられている。この位置調整レバー76と上記揺動片73の上端部とは、連結ロッド75で連結されている。
【0089】
そして、位置調整レバー76を前後に操作することで、連結ロッド75を介して揺動片73
を前後に揺動させることができ、それによって接地ゲージ輪71を上下に変位(
図1の実線図示状態や鎖線図示状態に変位)させて、搬送装置4の前端部の支持高さを調整し得るようにしている。
【0090】
各搬送ユニット5,5・・
の前搬送部5Aには、
図7及び
図15に示すように、左右の両挟持ベルト51,51における対面走行部51b,51bを相互に接触する側に押圧するためのローラ62付きの押圧アーム61,61・・を設けている。
【0091】
この各押圧アーム61は、
図15に拡大図示するように、アーム64の一端を軸支部65とし、該軸支部65を中心にしてアーム他端部に設けたローラ62を揺動自在に支持している。又、この押圧アーム61は、アーム64の中間部に設けたピン66を板バネ63で押圧することで、ローラ62が挟持ベルト51の対面走行部51bを外側(相手側の挟持ベルト51の対面走行部51b側)に押圧するように付勢している。
【0092】
この実施例の野菜収穫機では、収穫する細長野菜Pを圃場から採取するのに、
図1~
図6に示すように圃場(畝Y)に植生している細長野菜Pの根元付近Pbを切断する刈刃装置8Aと、
図18~
図19に示すように圃場(畝Y)に植生している細長野菜Pの根Paを地中から掘り出す掘出装置8Bとを、搬送装置4の前端部に付け替え可能に装着し得るようにしている。尚、刈刃装置8A(
図1~
図6)は、上下の刃物がバリカン式にスライドして根元付近Pbを切断するものであり、掘出装置8B(
図18~
図19)は、掘り起こし爪が地中で前後に揺動して細長野菜Pの根Paを地中から掘り出すものである。
【0093】
又、搬送装置4の前端部に付け替えて装着される刈刃装置8A又は掘出装置8Bは、共通の駆動装置9で駆動するようにしている。この駆動装置9は、
図4及び
図18に示すように、機体フレーム2上に設置したモータ91からの動力をフレキシブルワイヤ92により搬送装置4の前端部まで供給することで、刈刃装置8A(
図4)と掘出装置8B(
図18)の両方を駆動できるようにしている。
【0094】
機体後部に設けられている収納台29には、収納部として、
図1~
図6に示すように収納容器Bを載せる場合と、
図20に示すように被包ネットCを載せる場合とがある。
【0095】
ところで、
図1~
図6に示すように収納部として収納容器Bを使用する場合は、多数個の収納容器Bを圃場に準備しておく必要があるが、
図20に示すように収納部として被包ネットCを使用すると、多数枚の被包ネットCを収納台29上に展張状態で積層させておくことでさほど場所をとらないという利点がある。尚、被包ネットCを複数枚収納台29上に積層して使用する場合は、最上部の被包ネットCの上に所定量の細長野菜P群を収容した後、その1枚の被包ネットCで細長野菜P群を被包することでコンパクトに収納できる。
【0096】
この実施例の野菜収穫機は、次の各機能を有している。
【0097】
まず、
図1~
図6の使用例では、搬送装置4の前端部に刈刃装置8Aを設けて、細長野菜Pの根元付近Pbを切断して葉部Pcのみを収穫するようにしたものである。尚、この切断した葉部Pcについても、細長野菜Pという表現で説明する。
【0098】
又、この
図1~
図6の使用例では、4条刈り用(畝Y上に植生される細長野菜Pの条列Qが4列)に適用させたもので、搬送装置4として、合計4基の搬送ユニット5,5・・を使用している。尚、この場合、畝上に植生している細長野菜Pの条間W1(
図2)は、例えば20cm程度である。
【0099】
そして、各搬送ユニット5,5・・は、
図2に示すように、畝Y上に植生された細長野菜Pを各条列Q,Q,・・に合わせて、各搬送ユニット5の始端挟持部(両挟持ベルト51,51の接合部の先端部)をそれぞれ位置決めした状態で、それぞれ搬送ユニット搭載フレーム3に止め具36で固定する(
図3、
図9参照)。
【0100】
この状態で、左右のクローラ11,11が畝Yを跨ぎ(
図1~
図3)、各搬送ユニット5,5・・の始端挟持部を各条列Q,Q・・に位置合わせした状態で、各搬送ユニット5,5・・を作動させながら野菜収穫機を前進走行させる。このとき、各接地ゲージ輪71,71,71は、畝Yの上面に接触した状態で進行するので、搬送ユニット搭載フレーム3及び搬送装置4(各搬送ユニット5,5・・)が畝上面と左右方向に平行状態を維持している。
【0101】
野菜収穫機を前進させると、各条列Q,Q・・の細長野菜Pの根元付近Pbが順次刈刃装置8Aで切断されて、上部の細長野菜Pが各前搬送部5A,5A・・で挟持されて後送され、該細長野菜Pが前搬送部5Aの終端部から後搬送部5Bに受け渡されるときに後傾され、該後搬送部5Bによる保持が解除されると細長野菜Pが自然落下して収納容器B内に前後横向き姿勢で貯留される。そして、収納容器B内に細長野菜Pが一杯になると、空の収容容器Bを収納台29上に載せ替えて、収穫作業を続行する。
【0102】
後搬送部5Bから保持解除されて落下する細長野菜Pの直下位置には、モータ取付用の台フレーム56があるが、該台フレーム56の幅方向中央部分に細長野菜Pを通過させるための空間部57が設けられているので、該台フレーム56が落下してくる細長野菜Pの邪魔にならない(落下する細長野菜Pが台フレーム56部分で詰まらない)。
【0103】
ところで、
図12に示すように、収穫作業中に左右のクローラ11,11が走行する走行路面Ga,Gaに凹凸による段差(Ha、Hb)があると、走行装置1及び機体フレーム2が左右に傾斜(例えば傾斜角度α)するが、そのとき、接地ゲージ輪71が畝上面に接地していることにより、
図11に示すようにクロスジョイント25の左右揺動ジョイント26部分で搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2とを左右に相対揺動させるので、搬送ユニット搭載フレーム3(搬送装置4も含む)を畝上面に対して常に平行姿勢に維持するようになる。従って、機体側が左右に揺動しても、搬送装置4の前端部にある刈刃装置8Aの左右姿勢が変化しないので、全部の条数Q,Q・・の細長野菜Pについて同高さで切断できる(品質が揃う)。
【0104】
他方、
図14に示すように、収穫作業中にクローラ11が走行する走行路面Gaに前後に傾斜する凹凸部分Hcがあると、走行装置1及び機体フレーム2が前後に傾斜(例えば傾斜角度β)するが、そのとき、接地ゲージ輪71が畝上面に接地していることにより、
図13に示すようにクロスジョイント25の前後揺動ジョイント27部分で搬送ユニット搭載フレーム3と機体フレーム2とを前後に相対揺動させるので、搬送装置4の前部にある刈刃装置8Aによる切断高さを常に一定に維持させるようになる。尚、
図14の例では、走行装置1が前側に下降傾斜しているが、走行装置1が後側に下降傾斜する場合も同様に刈刃装置8Aによる切断高さを一定に維持できる。
【0105】
尚、上記のように、走行装置1が左右又は前後に傾斜したときの、クロスジョイント25による刈刃装置8Aの姿勢維持機能は、本願請求項2についての機能である。
【0106】
又、この実施例の野菜収穫機では、搬送ユニット搭載フレーム3に対して各搬送ユニット5,5・・がそれぞれ
取付け及び取外し自在で
、かつ
それら相互の左右
の間隔を
相互に平行な状態で調整自在に取付け得るようにしているので、栽培者が3条刈りで使用したい場合は、
図16に示すように、搬送ユニット搭載フレーム3上に3基の搬送ユニット5,5,5を使用し、その取付間隔を植生している条間W2(例えばW2=25cm)に合わせ、栽培者が2条刈りで使用したい場合は、
図17に示すように、搬送ユニット搭載フレーム3上に2基の搬送ユニット5,5を使用し、その取付間隔を植生している条間W3(例えばW3=30cm)に合わせる。
【0107】
このように、この実施例の野菜収穫機では、栽培者が希望する任意の条数(2~4条)で細長野菜Pを植生していても、それらに一台の野菜収穫機で対応することができるという利点がある。尚、このことは、本願請求項1についての機能である。
【0108】
その他、この実施例の野菜収穫機では、本願請求項3~6の各機能として次のものがある。
【0109】
請求項3のものでは、接地ゲージ輪71を上下変位させる位置調整レバー76を設けているので、該位置調整レバー76を操作することで搬送装置4の前端部の支持高さを調整できるという機能がある。
【0110】
請求項4のものでは、挟持ベルト押圧用として設置される押圧アーム61の付勢用として、板バネ63を使用しているので、コンパクトにできるという機能がある。
【0111】
請求項5のものでは、搬送ユニット5の後搬送部5Bの下方位置にモータ53等の取付台となる台フレーム56があっても、該台フレーム56に落下してくる細長野菜Pの通過を許容する空間部57を設けているので、が後搬送部5Bから落下してくる細長野菜Pの障害とならないという機能がある。
【0112】
請求項6のものでは、搬送装置4の前端部に、刈刃装置8Aと掘出装置8Bとを付け替え可能に装着し得るとともに、搬送装置4の前端部に付け替えて装着される刈刃装置8A又は掘出し装置8Bを共通の駆動装置9で駆動するようにしているので、1台の野菜収穫機で根切りのものと根付きのものの両方の形態の細長野菜Pを収穫できるという機能がある。
【符号の説明】
【0113】
1は走行装置、2は機体フレーム、3は搬送ユニット搭載フレーム、4は搬送装置、5は搬送ユニット、5Aは前搬送部、5Bは後搬送部、8Aは刈刃装置、8Bは掘出装置、9は駆動装置、11はクローラ、21は側部フレーム、22は連結フレーム、25はクロスジョイント、26は左右揺動ジョイント、27は前後揺動ジョイント、29は収納台、31は前パイプ、32は後パイプ、36は止め具、51は前搬送部の挟持ベルト、51bは対面走行部、52は後搬送部の挟持ベルト、53はモータ、54は動力伝達手段、56は台フレーム、57は空間部、61は押圧アーム、62はローラ、63は板バネ、71は接地ゲージ輪、76は位置調整レバー、Gは植生面、Gaは走行路面、Pは細長野菜、Paは根、Pbは根元付近、Qは細長野菜の植生条列、Yは畝である。