(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】画面作成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0483 20130101AFI20230203BHJP
【FI】
G06F3/0483
(21)【出願番号】P 2018137566
(22)【出願日】2018-07-23
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】317014747
【氏名又は名称】シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】浦川 賢治
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-223146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0047434(US,A1)
【文献】特開平07-044541(JP,A)
【文献】特開2015-055953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0483
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオブジェクトを含む画面を作成するために編集操作に応じて前記オブジェクトを編集する画面作成装置であって、
前記オブジェクトに対する編集操作の履歴に基づいて、すでに行われた編集操作を取り消す取り消し処理部と、
前記取り消し処理部によって取り消された編集操作をやり直すやり直し処理部と、
前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトが他の前記オブジェクトと識別可能となる視覚的効果を前記画面上に生じさせるように前記画面の表示を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトが、前記画面において、前記画面が表示される表示領域外に存在するときに、当該オブジェクトが存在する位置を指示する指示マークを表示することを特徴とする画面作成装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記画面の全体を縮小した縮小画面を前記画面に表示させることを特徴とする請求項
1に記載の画面作成装置。
【請求項3】
複数のオブジェクトを含む画面を作成するために編集操作に応じて前記オブジェクトを編集する画面作成装置であって、
前記オブジェクトに対する編集操作の履歴に基づいて、すでに行われた編集操作を取り消す取り消し処理部と、
前記取り消し処理部によって取り消された編集操作をやり直すやり直し処理部と、
前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトが他の前記オブジェクトと識別可能となる視覚的効果を前記画面上に生じさせるように前記画面の表示を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトが、前記画面において、前記画面が表示される表示領域外に存在するときに、前記画面がすべて前記表示領域内に表示されるように前記画面を縮小することを特徴とする画面作成装置。
【請求項4】
複数のオブジェクトを含む画面を作成するために編集操作に応じて前記オブジェクトを編集する画面作成装置であって、
前記オブジェクトに対する編集操作の履歴に基づいて、すでに行われた編集操作を取り消す取り消し処理部と、
前記取り消し処理部によって取り消された編集操作をやり直すやり直し処理部と、
前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトが他の前記オブジェクトと識別可能となる視覚的効果を前記画面上に生じさせるように前記画面の表示を制御する表示制御部と、を備え、
前記取り消し処理部または前記やり直し処理部は、取り消しを指示する操作またはやり直しを指示する操作と併せて他の操作が行われたときのみ、それぞれ取り消しの対象となる前記オブジェクトまたはやり直しの対象となる前記オブジェクトを前記表示制御部に通知し、
前記表示制御部は、前記取り消し処理部により通知された取り消しの対象となる前記オブジェクトまたは前記やり直し処理部により通知されたやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して視覚的効果を前記画面上に生じさせるとともに、前記取り消し処理部により通知されなかった取り消しの対象となる前記オブジェクトまたは前記やり直し処理部により通知されなかったやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して視覚的効果を前記画面上に生じさせないことを特徴とする画面作成装置。
【請求項5】
複数のオブジェクトを含む画面を作成するために編集操作に応じて前記オブジェクトを編集する画面作成装置であって、
前記オブジェクトに対する編集操作の履歴に基づいて、すでに行われた編集操作を取り消す取り消し処理部と、
前記取り消し処理部によって取り消された編集操作をやり直すやり直し処理部と、
前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトが他の前記オブジェクトと識別可能となる視覚的効果を前記画面上に生じさせるように前記画面の表示を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、同じ前記オブジェクトに対して前記取り消し処理部による編集操作の取り消しが複数回行われるとき、または同じ前記オブジェクトに対して前記やり直し処理部による編集操作のやり直しが複数回行われるときに、各回の取り消しまたはやり直しについて異なる視覚的効果を前記画面上に生じさせることを特徴とする画面作成装置。
【請求項6】
複数のオブジェクトを含む画面を作成するために編集操作に応じて前記オブジェクトを編集する画面作成装置であって、
前記オブジェクトに対する編集操作の履歴に基づいて、すでに行われた編集操作を取り消す取り消し処理部と、
前記取り消し処理部によって取り消された編集操作をやり直すやり直し処理部と、
前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトが他の前記オブジェクトと識別可能となる視覚的効果を前記画面上に生じさせるように前記画面の表示を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記取り消し処理部による編集操作の取り消しが繰り返して行われるとき、または前記やり直し処理部による編集操作のやり直しが繰り返して行われるとき、取り消しまたはやり直しの間隔が所定時間以上であるときのみ、視覚的効果を前記画面上に生じさせることを特徴とする画面作成装置。
【請求項7】
複数のオブジェクトを含む画面を作成するために編集操作に応じて前記オブジェクトを編集する画面作成装置であって、
前記オブジェクトに対する編集操作の履歴に基づいて、指定された前記オブジェクトに行われた編集を取り消す取り消し処理部と、
指定された前記オブジェクトに対して前記取り消し処理部によって取り消された編集操作をやり直すやり直し処理部と、
実行された編集操作の履歴を編集の対象となる前記オブジェクトと対応付けて時系列で記録した編集履歴を管理する編集履歴管理部と、を備え、
前記編集履歴管理部は、前記編集履歴において指定された前記オブジェクトに対して行われた編集操作について、前記取り消し処理部によって取り消しが実行されたものとして前記編集履歴に記録しておき、
前記取り消し処理部は、前記編集履歴に記録された編集操作について、時系列にしたがった取り消しを行うときに取り消しを実行しないことを特徴とする画面作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトを含む画面を作成するためにオブジェクトを編集する画面作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ機器において実行されるプログラムには、行った操作を取り消す取り消し機能(アンドゥ)が設けられていることが多い。また、取り消し機能を有するプログラムには、取り消した操作をやり直すやり直し機能(リドゥ)が併せて設けられていることが多い。
【0003】
特許文献1には、電子商店街の利用において、登録されたユーザのお気に入り(商品)の一覧において消去した商品の位置に、お気に入り削除操作をアンドゥするためのボタンを設けることが開示されている。
【0004】
特許文献2には、画面に表示されるタイムライン上でユーザとの対話が行われたインジケータを表示し、タイムライン上でカーソルを移動させることにより、タイムライン上でのカーソルの位置に応じたプログラムの状態を表示することが開示されている。タイムライン上で時間を遡る方向(左方向)にカーソルを移動させることにより、アンドゥされる対話を表示させることができ、タイムライン上で時間を追う方向(右方向)にカーソルを移動させることにより、リドゥされる対話を表示することができる。
【0005】
ところで、プログラマブル表示器などのHMI(Human Machine Interface)機器は、制御対象の動作状態の表示、タッチパネルを利用した画面上での入力操作などを行うユーザインターフェースの画面を表示する機能を有する。このような画面は、専用のプログラムが動作するコンピュータを用いて作成される。
【0006】
通常、画面は、各種の画像化された部品、図形、文字列などのオブジェクトを含んでいる。部品としては、メータ、ランプ、数値表示器、グラフなどの表示のための部品、およびスイッチ、キーボードなどの操作のための部品が用いられる。
【0007】
上記のプログラムは、ユーザがこのようなオブジェクトを独自に作成したり、予め用意された部品としてユーザに提供したりといった機能を備えている。また、上記のプログラムは、オブジェクトを移動、切り取り/貼り付け、コピー、削除、拡大/縮小、属性変更などの編集機能も備えている。ユーザは、このような機能を利用して、画面上に所望のオブジェクトを配置していくことにより、画面を作成する。
【0008】
画面作成においても、画面上のオブジェクトを編集する操作を取り消す取り消し操作(アンドゥ)や、取り消した操作を再度行うやり直し操作(リドゥ)を行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2014-232519号公報(2014年12月11日公開)
【文献】特開2013-235590号公報(2013年11月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
少数のオブジェクトを含む単純な画面においては、それぞれのオブジェクトに対してどのような編集が行われたかが把握しやすい。このため、編集の取り消しまたはやり直しが行われることによって、どのオブジェクトがどのように変化したのかを比較的容易に気付くことができる。しかしながら、多数のオブジェクトを含むような複雑な画面においては、それぞれのオブジェクトに対してどのような編集が行われたかを把握することが困難である。このため、取り消しまたはやり直しが行われることによって、どのオブジェクトがどのように変化したのかを気付くことは難しい。
【0011】
特許文献1に開示された技術では、各商品が整列表示された一覧において、お気に入りが削除された操作に対してアンドゥするためのボタンが表示される。このようなボタンを用いたアンドゥ操作は、上記のような複雑な画面に対する編集には向かない。
【0012】
特許文献2に開示された技術では、タイムライン上でカーソルを移動させることでアンドゥまたはリドゥさせたいプログラムの状態を表示させることができるが、アンドゥまたはリドゥがどの編集対象について実行されたかを表示することはできない。このため、当該技術は、上記のような複雑な画面において、いずれのオブジェクトに対してアンドゥまたはリドゥが実行されたかを示すことができない。
【0013】
本発明の一態様は、複雑な画面において取り消しまたはやり直しの対象となるオブジェクトを容易に認識することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画面作成装置は、複数のオブジェクトを含む画面を作成するために編集操作に応じて前記オブジェクトを編集する画面作成装置であって、前記オブジェクトに対する編集操作の履歴に基づいて、すでに行われた編集操作を取り消す取り消し処理部と、前記取り消し処理部によって取り消された編集操作をやり直すやり直し処理部と、前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトが他の前記オブジェクトと識別可能となる視覚的効果を前記画面上に生じさせるように前記画面の表示を制御する表示制御部と、を備えている。
【0015】
上記の構成によれば、視覚的効果によって取り消しまたはやり直しの対象となるオブジェクトを他のオブジェクトと識別することができる。これにより、オブジェクトが多数含まれるような画面において、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクトを容易に認識することができる。
【0016】
前記画面作成装置において、前記表示制御部は、前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトが、前記画面において、前記画面が表示される表示領域外に存在するときに、当該オブジェクトが存在する位置を指示する指示マークを表示してもよい。
【0017】
上記の構成によれば、指示マークによりオブジェクトが存在する位置が指示されるので、取り消しまたはやり直しの対象となるオブジェクトの存在位置を概ね認識することができる。
【0018】
前記画面作成装置において、前記表示制御部は、前記画面の全体を縮小した縮小画面を前記画面上に表示させてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、取り消しまたはやり直しの対象となるオブジェクトが画面のどの位置に存在しているかを容易に認識することができる。
【0020】
前記画面作成装置において、前記表示制御部は、前記取り消し処理部による編集操作の取り消しまたは前記やり直し処理部による編集操作のやり直しの対象となる前記オブジェクトが、前記画面において、前記画面が表示される表示領域外に存在するときに、前記画面がすべて前記表示領域内に表示されるように前記画面を縮小してもよい。
【0021】
上記の構成によれば、ユーザが画面をスクロールすることなく、該当するオブジェクトを容易に認識することができる。
【0022】
前記画面作成装置において、前記取り消し処理部または前記やり直し処理部は、取り消しを指示する操作またはやり直しを指示する操作と併せて他の操作が行われたときのみ、それぞれ取り消しの対象となる前記オブジェクトまたはやり直しの対象となる前記オブジェクトを前記表示制御部に通知し、前記表示制御部は、前記取り消し処理部により通知された取り消しの対象となる前記オブジェクトまたは前記やり直し処理部により通知されたやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して視覚的効果を前記画面上に生じさせるとともに、前記取り消し処理部により通知されなかった取り消しの対象となる前記オブジェクトまたは前記やり直し処理部により通知されなかったやり直しの対象となる前記オブジェクトに対して視覚的効果を前記画面上に生じさせなくてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、ユーザが所望するときのみ、取り消しを指示する操作またはやり直しを指示する操作と併せて他の操作を行うことで、オブジェクトに対して視覚的効果を生じさせることができる。
【0024】
前記画面作成装置において、前記表示制御部は、同じ前記オブジェクトに対して前記取り消し処理部による編集操作の取り消しが複数回行われるとき、または同じ前記オブジェクトに対して前記やり直し処理部による編集操作のやり直しが複数回行われるときに、各回の取り消しまたはやり直しについて異なる視覚的効果を前記画面上に生じさせてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、各回の取り消しまたはやり直しについて編集が変わっていることを容易に認識することができる。
【0026】
前記画面作成装置において、前記表示制御部は、前記取り消し処理部による編集操作の取り消しが繰り返して行われるとき、または前記やり直し処理部による編集操作のやり直しが繰り返して行われるとき、取り消しまたはやり直しの間隔が所定時間以上であるときのみ、視覚的効果を前記画面上に生じさせてもよい。
【0027】
取り消しまたはやり直しが短時間のうちに繰り返して行われる場合、取り消しまたはやり直しが行われるごとに視覚的効果を生じさせると、視覚的効果が連続する。このため、画面上にチラツキが生じたり、視覚的効果が連続する間の待ち時間が長引いたりしてしまう。上記の構成によれば、チラツキをなくすことができるとともに、上記の待ち時間を短縮することができる。
【0028】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画面作成装置は、複数のオブジェクトを含む画面を作成するために編集操作に応じて前記オブジェクトを編集する画面作成装置であって、前記オブジェクトに対する編集操作の履歴に基づいて、指定された前記オブジェクトに行われた編集を取り消す取り消し処理部と、指定された前記オブジェクトに対して前記取り消し処理部によって取り消された編集操作をやり直すやり直し処理部と、を備えている。
【0029】
上記の構成によれば、指定したオブジェクトに対して取り消しまたはやり直しを実行することができる。これにより、オブジェクトが多数含まれるような画面において、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクトを容易に認識することができる。
【0030】
前記画面作成装置において、実行された編集操作の履歴を編集の対象となる前記オブジェクトと対応付けて時系列で記録した編集履歴を管理する編集履歴管理部をさらに備え、前記編集履歴管理部が、前記編集履歴において指定された前記オブジェクトに対して行われた編集操作について、前記取り消し処理部によって取り消しが実行されたものとして前記編集履歴に記録しておき、前記取り消し処理部が、前記編集履歴に記録された編集操作について、時系列にしたがった取り消しを行うときに取り消しを実行しなくてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、オブジェクトを指定して取り消しまたはやり直しを行う場合と、オブジェクトを指定せずに編集操作が行われた時系列で取り消しまたはやり直しを行う場合とで編集履歴の整合をとることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一態様によれば、複雑な画面において取り消しまたはやり直しの対象となるオブジェクトを容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態1および2に係るパーソナルコンピュータの構成を示すブロック図である。
【
図2】上記パーソナルコンピュータのモニタに表示される画面編集のためのメインウインドウを示す図である。
【
図3】実施形態1に係るパーソナルコンピュータにおいて上記メインウインドウの編集領域に表示される作成中の画面を示す図である。
【
図4】実施形態2に係るパーソナルコンピュータにおいて上記編集領域に表示される作成中の画面を示す図である。
【
図5】実施形態2に係るパーソナルコンピュータにおいて上記編集領域に表示される作成中の他の画面を示す図である。
【
図6】(a)は実施形態2に係るパーソナルコンピュータにおいて上記編集領域に表示される作成中のさらに他の画面を示す図であり、(b)は当該画面に含まれる縮小画面を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態3に係るパーソナルコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態を
図1~
図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0035】
図1は、実施形態1に係るパーソナルコンピュータ1の構成を示すブロック図である。
図2は、パーソナルコンピュータ1のモニタ50に表示される画面編集のためのメインウインドウ201を示す図である。
【0036】
図1に示すように、パーソナルコンピュータ(以降、単に「PC」と称する)1は、プログラマブル表示器2と接続されている。PC1は、画面作成のアプリケーションプログラムを実行することにより、プログラマブル表示器2が表示する画面を作成する装置(画面作成装置)として機能する。プログラマブル表示器2には、外部機器としてPLC(プログラマブルロジックコントローラ)3が接続されている。プログラマブル表示器2は、通信ケーブルを介してPLC3と接続されることにより、PLC3との間で通信を行う。
【0037】
まず、プログラマブル表示器2について説明する。
【0038】
プログラマブル表示器2は、操作および表示のための画面を表示することにより、プログラマブル表示器特有の操作機能および表示機能を実現する専用コンピュータであり、HMI(Human Machine Interface)機器として好適に使用される。プログラマブル表示器2の表示パネル22には、ユーザが作成した画面ファイル(ファイル形式の画面データ)に基づいて画面が表示される。
【0039】
画面ファイルは、表示および操作に関する各種の処理を規定する処理規定情報が設定されたオブジェクトや、そのような処理規定情報が設定されていないオブジェクトが複数組み合わせて作成されており、ユーザメモリ26に保存される。プログラマブル表示器2の制御部21は、このような画面ファイルに基づいて、デバイス4(センサ、スイッチなどの出力型デバイス)の状態を表示する動作や、タッチパネル23への操作に応じてデバイス4(アクチュエータ、リレー、電磁弁などの入力型デバイス)の状態を制御する動作を特定する。
【0040】
プログラマブル表示器2は、インターフェース部(図中「I/F」にて示す)24による通信機能によりPC1と通信し、PC1との間で画面ファイルなどを送受信する。
【0041】
プログラマブル表示器2は、インターフェース部(図中「I/F」にて示す)25による通信機能によりPLC3と通信し、PLC3のデバイスメモリに記憶されているデバイス4の状態をサンプリングデータとして取得して、表示パネル22にデバイス4の状態を表示させる。また、プログラマブル表示器2は、当該通信機能によって、タッチパネル23への操作に応じ、PLC3へデバイス4の状態を変更するように制御指示などを送信する。
【0042】
続いてPLC3について説明する。
【0043】
PLC3は、ユーザが作成したシーケンスプログラムにしたがって、予め定められたスキャンタイム毎に、デバイス4の状態を読み出したり、デバイス4に制御指示を与えたりする制御装置である。
【0044】
PLC3に設けられるデータ格納用のメモリ(デバイスメモリ)は、デバイス4の状態(出力値、設定値など)を示すデータ(ワードデータやビットデータ)を、デバイスアドレスで特定されるメモリ領域に格納している。
【0045】
上記メモリにおいて、ワードデバイスとビットデバイスとが設定される。ワードデバイスは、入出力されるデータが数値のようなワードデータを格納するメモリ領域として設定され、ワードアドレスで指定される。また、ビットデバイスは、オン・オフ状態のようなビットデータを格納する領域として設定され、ビットアドレスで設定される。このような設定により、メモリ内の任意のワードデバイスまたはビットデバイスをデバイスアドレスとして指定してアクセスするだけで、デバイス4の状態に関する情報を個別に取り出すとともに、デバイス4を制御することができる。
【0046】
引き続きPC1について説明する。
【0047】
PC1は、編集部10と、作業メモリ20と、記憶部30と、インターフェース部(図中「I/F」で示す)40と、モニタ50と、キーボード60と、マウス70とを備えている。
【0048】
作業メモリ20は、PC1においてメインメモリとして設けられているRAM(Random Access Memory)である。記憶部30は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される記憶装置である。
【0049】
インターフェース部40は、プログラマブル表示器2との通信を行うための通信制御部である。PC1は、プログラマブル表示器2との間で画面ファイルを送受信するために、USBケーブルなどの通信ケーブルを介して相互に通信を行う。通常、PC1は、プログラマブル表示器2との間で画面ファイルを送受信するときのみ、プログラマブル表示器2と通信ケーブルで接続され、その以外の状態ではプログラマブル表示器2と切り離される。
【0050】
編集部10は、ベース画面上に設けられた各種のオブジェクトを編集するユーザの作業を支援するための機能を備えている。編集部10は、この機能を実現するために、ファイル処理部11と、オブジェクト作成部12と、属性設定部13と、編集履歴管理部14と、アンドゥ・リドゥ処理部15(取り消し処理部,やり直し処理部)と、表示制御部16と、データ送受信部17とを有している。
【0051】
ファイル処理部11は、新規の画面ファイルの作成、画面ファイルの記憶部30への保存、記憶部30に保存された画面ファイルの読み出し、画面ファイルのコピーなどを行う。また、ファイル処理部11は、オブジェクト作成部12によって作成されたオブジェクトと、属性設定部13によって設定された設定データとを画面ファイルに取り込む。
【0052】
ファイル処理部11は、
図2に示すようなメインウインドウ201をユーザインターフェースとして提供する。ファイル処理部11は、画面ファイルが開かれている状態で、モニタ50にメインウインドウ201を表示させるように、メインウインドウ201の表示データを表示制御部16に与える。
【0053】
メインウインドウ201は、メニュー/アイコン表示領域202と、編集領域203(表示領域)と、ウインドウ表示領域204とを含んでいる。
【0054】
メニュー/アイコン表示領域202は、メインウインドウ201の上部に設けられている。このメニュー/アイコン表示領域202には、操作のための各種のメニューを含むメニューバーと、アイコンで表された各種のコマンドや部品などを含むツールバーとが表示されている。
【0055】
編集領域203は、作成する画面のベースとなるベース画面を表示する領域である。編集領域203は、メニュー/アイコン表示領域202の下側に設けられている。
【0056】
ウインドウ表示領域204は、各種の情報を表示するウインドウを表示するための領域であり、メニュー/アイコン表示領域202の下側かつ編集領域203の右側に設けられている。ウインドウ表示領域204は、編集領域203の左側あるいは両側に設けられていても良い。
【0057】
ウインドウ表示領域204には、画像一覧ウインドウ、部品ウインドウ、属性ウインドウ、アドレス設定ウインドウ、カラー設定ウインドウなどが、それぞれのウインドウを表示する操作に応じて表示される。
【0058】
画像一覧ウインドウは、すでに作成済で記憶部30に保存された画像をサムネイル画像で表示する後述する図形や部品の属性を表示するウインドウである。
【0059】
部品ウインドウは、予め登録されている部品の一覧を表示するウインドウである。部品はデザイン化された部品を表す画像である。
【0060】
アドレス設定ウインドウは、属性設定部13の後述するアドレス設定部131によって設定されるアドレスの設定状態を表示するウインドウである。アドレス設定ウインドウは、使用されているアドレスと未使用のアドレスとを色分けして表示する。
【0061】
カラー設定ウインドウは、多数のカラーを表す正方形状のカラーブロックが配列されたパレットを含んでいる。パレットとしては、カラーブロックが色コード順に配列されたパレットと、カラーブロックが色相順に配列されたパレットとが用意されており、いずれかのパレットを選択可能に提供される。
【0062】
オブジェクト作成部12は、各種のオブジェクトを作成するために、部品作成部121と、図形作成部122と、テキスト作成部123と、オブジェクト編集部124とを有している。
【0063】
部品作成部121は、オブジェクトとしての特定の機能を有する部品を特定する操作によって、選択された部品を上記のベース画面上に配置する。部品を特定する操作としては、メニュー/アイコン表示領域202に表示される各部品を表すアイコンを指示する操作や、ウインドウ表示領域204に表示される上述の部品ウインドウに示されている複数の部品から1つをドラッグアンドドロップする操作などが挙げられる。部品作成部121は、メニュー/アイコン表示領域202に表示される各部品を表すアイコンを指示する操作が行われると、設定ダイアログボックスを編集領域203上に表示させ、設定ダイアログボックスにおいて設定された形状、機能、カラーなどを有する部品をベース画面上に配置する。
【0064】
部品としては、スイッチのような操作部品、テンキー、キーパッドのような入力部品、ランプ、各種表示部品のような表示部品などが予め用意されている。スイッチとしては、ON/OFFスイッチ、切替スイッチ、押しボタンスイッチなどが用意されている。各種表示部品としては、数値表示部品、メータ表示部品、グラフ表示部品、アラーム表示部品などが用意されている。
【0065】
また、各部品には、それぞれの機能に応じた処理規定情報(オブジェクトに対する手続き)が予め付与されている。これにより、操作に応じてスイッチの表示状態を変化させたり、PLC3に与えるための設定値をテンキーで入力したり、テキストをキーパッドで入力したり、データに応じてランプの表示状態を変化させたりすることが可能になる。
【0066】
図形作成部122は、ドット、直線、四角形に代表される各種多角形、円などの、オブジェクトとしての図形を作成する。図形作成部122は、図形を特定する操作によって、選択された図形をベース画面上の所望の位置に配置するとともに、図形内を指定された色で塗りつぶしたり、図形内に模様を描いたりする。図形を特定する操作としては、メニュー/アイコン表示領域202に表示される図形を表すアイコンをクリックする操作や、メニュー/アイコン表示領域202に表示されるメニューから図形を選択する操作や、図形の特徴点(例えば頂点)を指示する操作などが挙げられる。
【0067】
図形作成部122は、各図形の表示状態を変化させる変化形態を設定する。変化形態としては、上述のビットアドレスの値のON/OFFで図形の色などを切り替えるON/OFF表示や、上述のワードアドレスのデータに応じて図形を切り替えて表示するステート表示や、ワードアドレスの座標データに応じて図形を移動させる移動表示などがある。
【0068】
テキスト作成部123は、ベース画面にテキスト入力枠を配置し、当該テキスト入力枠に入力された、オブジェクトとしてのテキストを描画する機能である。テキスト作成部123は、ベース画面上に表示されるキーバッドによるテキスト入力後にEnterキーが操作されるとテキストを確定する。
【0069】
オブジェクト編集部124は、部品作成部121、図形作成部122およびテキスト作成部123によって作成されたそれぞれのオブジェクトの編集を行う。オブジェクト編集部124が行う編集としては、オブジェクトの移動、切り取り/貼り付け、コピー、削除、拡大/縮小、属性変更などが挙げられる。オブジェクト編集部124は、上記の編集を特定する操作によって、上記の編集を実行する。編集を特定する操作としては、オブジェクトをドラッグアンドドロップする操作や、編集に対応して設けられたアイコンのクリック操作など、編集に応じた操作がある。
【0070】
属性設定部13は、オブジェクトに属性を設定するために、アドレス設定部131と、カラー設定部132とを有している。
【0071】
アドレス設定部131は、部品作成部121によって作成された部品、および図形作成部122によって変化形態が設定された図形にアドレスを設定する。アドレス設定部131は、例えば、部品または図形に対してユーザによるマウス70の右クリック操作が行われると、アドレス設定ウインドウ(図示せず)を編集領域203上に表示させる。アドレス設定部131は、アドレス設定ウインドウに対して、アドレスの入力と、入力されたアドレスの決定の操作とがするユーザによって行われると、部品または図形にアドレスを設定する。
【0072】
なお、メニュー/アイコン表示領域202に表示される各部品を表すアイコンを指示する操作が行われるときには、部品作成部121が提供する上述の設定ダイアログボックスにおいてアドレスを設定することもできる。この場合は、部品作成部121がアドレス設定部131の機能を兼ね備えていると言える。また、部品および図形に設定されたアドレスは、上述のアドレス設定ウインドウによって確認することができる。
【0073】
カラー設定部132は、部品作成部121によって作成された部品、および図形作成部122によって作成された図形のカラー設定を変更する。カラー設定部132は、上述のカラー設定ウインドウが表示された状態で、カラー設定ウインドウのカラーブロックを部品または図形にドラッグアンドドロップする操作が行われると、部品または図形に設定されたカラーを当該カラーブロックのカラーに変更する。
【0074】
編集履歴管理部14は、ユーザが、キーボード60またはマウス70を用いてオブジェクト作成部12によって行った編集操作の履歴を管理する。編集履歴管理部14は、行われた順に作業メモリ20に格納された編集履歴に、行われた編集操作と、編集対象のオブジェクト(オブジェクトを表すコード)とを対応付けて記録していく。編集履歴は、実行された編集操作を編集操作の対象となるオブジェクトと対応付けて時系列で記録した履歴である。
【0075】
編集履歴管理部14は、アンドゥ・リドゥ処理部15から編集操作のアンドゥ(取り消し)の通知を受けると、編集履歴を参照して、オブジェクト作成部12または属性設定部13に、直前に行われた編集操作の取り消しを指示する。
【0076】
編集履歴管理部14は、アンドゥ・リドゥ処理部15からリドゥ(やり直し)の通知を受けると、編集履歴を参照して、オブジェクト作成部12または属性設定部13に、アンドゥで取り消された編集操作のやり直しを指示する。編集履歴管理部14は、編集履歴管理部14から指示を受けたアンドゥまたはリドゥに応じて編集履歴を書き替える。
【0077】
アンドゥ・リドゥ処理部15は、ユーザによるアンドゥまたはリドゥの操作を受けて、編集履歴管理部14にアンドゥまたはリドゥが指示されたことを通知する。また、アンドゥ・リドゥ処理部15は、編集履歴を参照して、アンドゥまたはリドゥの対象となる直前の編集操作が行われたオブジェクトのコードを取得して、当該コードを表示制御部16に与える。
【0078】
ユーザによるアンドゥの操作は、例えば、キーボード60のCtrlキーとZキーとの同時の押下であったり、メニューからマウス70の操作による選択であったりする。また、ユーザによるリドゥの操作は、例えば、キーボード60のCtrlキーとYキーとの同時の押下であったり、メニューからマウス70の操作による選択であったりする。
【0079】
表示制御部16は、ファイル処理部11から受けたメインウインドウ201のデータに基づいてモニタ50の表示面にメインウインドウ201を表示させる。また、表示制御部16は、視覚効果処理部161を有している。
【0080】
視覚効果処理部161は、アンドゥ・リドゥ処理部15から受けたオブジェクトのコードに基づいて、当該オブジェクトを他のオブジェクトと識別可能となる視覚的効果を所定時間の間、画面上に生じさせるように画面の表示を制御する。
【0081】
視覚的効果としては、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクトの近傍へのアイコンの表示、当該オブジェクトの周囲への枠線の表示、当該オブジェクトへのズームインといった対象のオブジェクトに焦点を当てた視覚的効果が挙げられる。また、他の視覚的効果としては、対象のオブジェクト以外のオブジェクトを消去したり限りなく消去に近い状態にしたりといった、他のオブジェクトに焦点を当てた視覚的効果が挙げられる。視覚効果処理部161は、このような視覚的効果を(所定の時間)実施する。
【0082】
データ送受信部17は、ユーザの指示にしたがって、記憶部30に保存されている画面ファイルをプログラマブル表示器2に送信する。また、データ送受信部17は、ユーザの指示にしたがって、プログラマブル表示器2のユーザメモリ26に保存されている画面ファイルを受信して記憶部30に保存する。
【0083】
上記のように構成されるPC1によるアンドゥおよびリドゥの動作について説明する。
【0084】
図3は、編集領域203に表示される作成中の画面301を示す図である。
【0085】
図3に示す例では、編集領域203に画面301が表示されている。編集領域203は、縦スクロールバー203aおよび横スクロールバー203bを有している。縦スクロールバー203aは、編集領域203における右端の全体にわたって配置されており、縦方向のスクロール操作を行うために設けられている。横スクロールバー203bは、編集領域203における下端の全体にわたって配置されており、横方向のスクロール操作を行うために設けられている。
【0086】
画面301は、複数種の多数のオブジェクト302が配置されている。このような画面301に対してユーザによるアンドゥまたはリドゥの操作が行われると、アンドゥ・リドゥ処理部15は、アンドゥまたはリドゥを行うことを編集履歴管理部14に通知する。
【0087】
編集履歴管理部14は、アンドゥの通知を受けると、編集履歴を参照することによって、直前に行われた編集操作および編集操作が行われたオブジェクトを特定する。編集履歴管理部14は、オブジェクト作成部12または属性設定部13に対して、特定した編集操作およびオブジェクトを通知して、当該オブジェクトに対する直前の編集操作の取り消しを指示する。オブジェクト作成部12または属性設定部13は、その指示を受けて、当該編集操作が行われる前の状態に戻す。
【0088】
編集履歴管理部14は、リドゥの通知を受けると、編集履歴を参照することによって、直前に取り消された編集操作および編集操作が取り消されたオブジェクトを特定する。編集履歴管理部14は、オブジェクト作成部12または属性設定部13に対して、特定した編集操作およびオブジェクトを通知して、当該オブジェクトに対して取り消された編集操作のやり直しを指示する。オブジェクト作成部12または属性設定部13は、その指示を受けて、取り消された編集操作を再び行う。
【0089】
また、アンドゥ・リドゥ処理部15は、表示制御部16の視覚効果処理部161にアンドゥまたはリドゥの対象となったオブジェクトのコードを通知する。視覚効果処理部161は、画面301上の当該コードのオブジェクトに対して視覚的効果を生じさせる。例えば、視覚効果処理部161は、
図3に示すように、コードで指定されたオブジェクトの近傍にアイコン303を表示するとともに、当該オブジェクトの周囲に枠304を表示するための表示データをモニタ50に出力する。
【0090】
あるいは、視覚効果処理部161は、アイコン303に代えて、コードで指定されたオブジェクトの近傍に操作可能なボタンを表示するための表示データをモニタ50に出力してもよい。この場合、編集履歴管理部14は、アンドゥ・リドゥ処理部15からアンドゥまたはリドゥの通知を受けると、直前に行われた編集操作(取り消し操作またはやり直し操作)が行われたオブジェクトを特定して、視覚効果処理部161に通知する。視覚効果処理部161は、この通知を受けて上記のボタンをモニタ50に表示させる。編集履歴管理部14は、ユーザがそのボタンを操作すると、オブジェクト作成部12または属性設定部13にアンドゥまたはリドゥを実行させる。また、ボタンには、アンドゥまたはリドゥによって実行される処理(オブジェクトの生成、削除、カラー変更、形状変更、アドレス変更など)が表示されてもよい。これにより、ユーザは、アンドゥまたはリドゥによって実行される処理を確認することができる。
【0091】
このようにして、画面301上では、アンドゥまたはリドゥが行われるオブジェクトに対して、他のオブジェクトと識別可能となる視覚的効果が生じる。これにより、ユーザは、アンドゥまたはリドゥが行われたオブジェクトを認識することができる。
【0092】
ここで、アンドゥまたはリドゥの操作と同時に他の操作(修飾キーを押すなど)が行われたときのみ視覚的効果を生じさせてもよい。具体的には、アンドゥ・リドゥ処理部15は、アンドゥまたはリドゥの通常の操作と併せて修飾キー(キーボード60のShiftキーなど)が操作されたときのみ、視覚効果処理部161にアンドゥまたはリドゥの対象となったオブジェクトのコードを通知する。視覚効果処理部161は、通知されたコードのオブジェクトに対して視覚的効果を生じさせる。これにより、所望するときのみ視覚的効果を生じさせることができる。
【0093】
なお、アンドゥまたはリドゥの通常の操作と併せて修飾キーが操作されないときには、アンドゥ・リドゥ処理部15は、アンドゥまたはリドゥの対象となったオブジェクトのコードを視覚効果処理部161に通知しない。したがって、このときには、上記のオブジェクトに対してアンドゥまたはリドゥが実行されるが、視覚効果処理部161は、アンドゥまたはリドゥの対象となった上記のオブジェクトに対して視覚的効果を生じさせない。
【0094】
また、アンドゥの直後にリドゥが行われてから再びアンドゥが行われる場合、リドゥの直後にアンドゥが行われてから再びリドゥが行われる場合、これらが行われるのは対象となる1つのオブジェクトに限られる。このため、画面301における1箇所でアンドゥまたはリドゥが行われるごとに視覚的効果が生じると、画面のチラツキが生じるだけでなく、視覚的効果が生じている間の待ち時間が長引いてしまう。
【0095】
そこで、アンドゥ・リドゥ処理部15は、アンドゥとリドゥとの間隔が所定の時間より短ければ、最後に行われたアンドゥまたはリドゥについてのみ視覚的効果を生じさせてもよい。これにより、上記の画面のチラツキを回避することができるとともに、上記の待ち時間を短縮することができる。
【0096】
また、アンドゥまたはリドゥが短時間のうちに繰り返して行われる場合、アンドゥまたはリドゥが行われるごとに視覚的効果を生じさせると、視覚的効果が連続する。このため、画面にチラツキが生じたり、視覚的効果が連続する間の待ち時間が長引いたりしてしまう。
【0097】
そこで、アンドゥ・リドゥ処理部15は、アンドゥおよびリドゥの操作の間隔が一定時間(例えば人が変化を知覚できる最短時間とされる0.1秒)以上となったときに、視覚的効果を生じさせてもよい。これにより、上記の場合におけるチラツキの発生をなくすことができるとともに、上記の場合における待ち時間を短縮することができる。なお、一定時間は、任意時間に設定できる。
【0098】
また、アンドゥまたはリドゥが同じオブジェクトに対して複数回行われると、同じオブジェクトでアンドゥで変更される編集が変わっていくのに対して、生じる視覚的効果が同じであるので、編集が変わっていることがわかりにくい。そこで、アンドゥが複数回行われる場合、各回のアンドゥにおいて視覚的効果を異ならせるようにしてもよい。例えば、アンドゥまたはリドゥの回数が進むごとに視覚的効果を高めるようにしてもよい。
【0099】
具体的には、視覚効果処理部161は、同じオブジェクトのコードがアンドゥ・リドゥ処理部15から通知されるごとに、当該オブジェクトの視覚的効果(色合い、形など)や、視覚的効果が生じる時間の長さを変化させる。また、アンドゥが連続して行われる場合と、アンドゥ、リドゥ、アンドゥがこの順で行われる場合とで意味合いが異なる。後者の場合では、リドゥが行われたときにアンドゥおよびリドゥのいずれが行われたかがわからなくなることがある。このような不都合を解消するために、アンドゥが再度行われたときに、1回目のアンドゥと2回目のアンドゥとで視覚的効果を異ならせる。例えば、視覚効果処理部161は、回数が進むごとに強調(強調度合いを高める)したり、1回目はアイコンを表示し2回目はズームし3回は色を変えたりする。
【0100】
以上、述べたように、本実施形態のPC1は、視覚効果処理部161を備えている。これにより、オブジェクトが多数含まれるような画面(例えば画面301)において、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクトを容易に認識することができる。
【0101】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について
図4~
図6に基づいて説明すると、以下の通りである。なお、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0102】
図4は、編集領域203に表示される作成中の画面401を示す図である。
図5は編集領域203に表示される作成中の他の画面401を示す図である。
図6の(a)は、編集領域203に表示される作成中のさらに他の画面401を示す図であり、(b)は画面401に含まれる縮小画面411を示す図である。
【0103】
本実施形態に係るPC1は、
図1に示すように実施形態1におけるPC1と同様に構成されている。本実施形態に係るPC1は、画面の編集領域203外に隠れた部分に存在するオブジェクトに対しても視覚的効果を生じさせるように構成されている。
【0104】
図4に示す例では、編集領域203に画面401の一部が表示されている。画面401は、複数のオブジェクト402を含んでいる。これらのオブジェクト402のうち、右端の下端部分に一部が編集領域203外に隠れた扇形のオブジェクト402がアンドゥまたはリドゥの対象となっている。
【0105】
視覚効果処理部161は、このようなオブジェクト402に対して
図3に示す例と同様にして、オブジェクト402の近傍にアイコン403を表示するとともに、当該オブジェクトの周囲に枠404を表示するための表示データをモニタ50に出力する。また、視覚効果処理部161は、指示マーク405を表示するための表示データをモニタ50に出力する。
【0106】
指示マーク405は、編集領域203外に隠れているオブジェクト402が存在する位置を左右および上下の矢印で表している。具体的には、右方向の矢印および下方向の矢印は、扇形のオブジェクト402が画面401の右方向かつ下方向に存在することを表している。
【0107】
このようにして、画面401上に表示されたアイコン403および枠404によって、ユーザは、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクト402を容易に認識することができる。
【0108】
図5に示す画面401では、上記の扇形のオブジェクト402が編集領域203外に完全に隠れている。この場合、視覚効果処理部161は、画面401における編集領域203内の、隠れたオブジェクト402に近い位置に指示マーク405を視覚的効果としてモニタ50に表示させる。
【0109】
このようにして、画面401上に表示された指示マーク405が示す方向によって、ユーザは、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクト402が隠れている位置を概ね認識することができる。
【0110】
図6の(a)に示す画面401でも、扇形のオブジェクト402が編集領域203外に完全に隠れている。この場合も、視覚効果処理部161は、画面401における編集領域203内の、隠れたオブジェクト402に近い位置に指示マーク405を視覚的効果として表示させる。
【0111】
これに加えて、視覚効果処理部161は、編集領域203外に隠れた部分を含む画面401の全体を縮小した縮小画面411を、所定時間の間(例えば1秒間)、画面401上に重畳するようにモニタ50に表示させる。縮小画面411において二点鎖線で示す部分が、画面401において編集領域203内に表示されている部分表示領域412を表している。
図6の(b)に示すように、縮小画面411においては、
図4に示す画面401と同様、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクト402に対してアイコン413および枠414が表示される。
【0112】
ここで、
図6の(a)に示す例では、縮小画面411が画面401における右上の部分に配置されている。これに限らず、縮小画面411の配置位置は、メインウインドウ201内の任意の位置であってもよい。また、縮小画面411の配置位置は、画面401においては、オブジェクト402の表示を妨げないように、かつ縮小画面411を見やすくするように、オブジェクト402が配置されていない余白の領域に制限されてもよい。
【0113】
上記のようにして、画面401上に、指示マーク405だけでなく、縮小画面411が表示される。これにより、ユーザは、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクト402の位置をより確実に認識することができる。
【0114】
なお、視覚効果処理部161は、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクト402に対してアイコン403,413、枠404,414および指示マーク405のいずれかも表示させない代わりに、画面401をスクロール表示させてもよい。具体的には、視覚効果処理部161は、アンドゥ・リドゥ処理部15から扇形のオブジェクト402のコードが通知されると、このオブジェクト402を含む、
図4または
図5に示す画面401の二点鎖線で示される部分を、編集領域203内に位置するように移動させる。
【0115】
このようにして、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクト402が編集領域203内に表示されるように、画面401がスクロールされる。これにより、ユーザが画面401をスクロールすることなく、該当するオブジェクト402を容易に認識することができる。
【0116】
また、視覚効果処理部161は、上記のように画面401をスクロール表示させる代わりに、画面401の全体が編集領域203内に表示されるように画面401を縮小してもよい。具体的には、視覚効果処理部161は、
図6の(a)に示す縮小画面411のように画面401を小さく縮小するのではなく、画面401の全体が編集領域203内に表示される最小の縮小率で画面401を縮小することが好ましい。
【0117】
これにより、ユーザが画面401をスクロールすることなく、該当するオブジェクト402を容易に認識することができる。
【0118】
なお、本実施形態は、実施形態1のPC1に適用することが可能である。
【0119】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について
図7に基づいて説明すると、以下の通りである。なお、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0120】
図7は、本実施形態に係るパーソナルコンピュータ1Aの構成を示すブロック図である。
【0121】
図7に示すように、本実施形態に係るPC1Aは、実施形態1におけるPC1における編集部10に代えて編集部10Aを備えている。編集部10Aは、表示制御部16が視覚効果処理部161を有していないことが編集部10と異なっている。
【0122】
本実施形態に係るPC1Aは、実施形態1および2に係るPC1と異なり、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクトが識別できる視覚的効果を画面に生じさせるようには構成されていない。PC1Aは、視覚的効果を用いる代わりに、ユーザが指定したオブジェクトに対してアンドゥまたはリドゥを実行するように構成されている。
【0123】
具体的には、アンドゥ・リドゥ処理部15は、例えば、ユーザが画面上でアンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクト上でマウス70の右クリックを操作すると、アンドゥまたはリドゥを選択するためのドロップダウンメニューを表示するように表示制御部16に指示する。
【0124】
編集履歴管理部14は、対象のオブジェクトと、ユーザによって選択されたアンドゥまたはリドゥとがアンドゥ・リドゥ処理部15より通知されると、当該オブジェクトに対して行われた編集操作を編集履歴において検索することにより特定する。編集履歴管理部14は、オブジェクト作成部12または属性設定部13に対して、特定した編集操作および対象のオブジェクトを通知して、当該オブジェクトに対する直前の編集操作の取り消し、取り消された編集操作のやり直しを指示する。
【0125】
オブジェクト作成部12または属性設定部13は、その指示を受けて、当該編集操作が行われる前の状態に戻したり、取り消された編集操作を再び行ったりする。
【0126】
なお、該当するオブジェクトに編集履歴がなければ、上記の処理は実行されない。
【0127】
また、編集履歴管理部14は、上記のような処理に伴って、通常のアンドゥまたはリドゥも実行できるように、編集履歴を管理する。
【0128】
編集履歴では、実行された編集操作が時系列で管理されている。その編集履歴において、特定のオブジェクトに対する編集履歴が飛び飛びにある場合、当該オブジェクトに対するアンドゥまたはリドゥはその履歴にしたがって行われる。例えば、当該オブジェクトに3つの編集が行われた場合、アンドゥは3つの編集操作が遡って取り消される。
【0129】
また、時系列にしたがって行われる通常のアンドゥまたはリドゥでは、アンドゥを行った後に別の編集を行うと、当該アンドゥをリドゥできなくなる。したがって、特定のオブジェクトに対して行われるアンドゥまたはリドゥでも、アンドゥを行った後に別の編集を行ったときには、当該アンドゥをリドゥできなくするように、時系列で管理される編集履歴と同様に編集履歴を管理する必要がある。
【0130】
具体的には、編集履歴管理部14は、編集履歴をフラグで管理する。例えば、編集履歴管理部14は、アンドゥの場合、編集履歴において対象のオブジェクトに対して行われた編集操作について、キューから抜くのではなく、実行したものとしてフラグをオンしておく。このようにして、対象のオブジェクトに対して行われた編集操作を編集履歴に記録しておく。そして、アンドゥ・リドゥ処理部15は、通常の時系列にしたがったアンドゥを行うときには、フラグがオンされた(編集履歴に記録された)編集操作についてアンドゥを実行しないようにする。このように、オブジェクトを選択する場合と、通常の場合とで、それぞれ編集履歴を管理できるようにする。
【0131】
ここで、3つのオブジェクトA,B,Cに対してそれぞれ編集が行われた場合、オブジェクトAを指定してアンドゥすると、オブジェクトB,Cについては、編集履歴に編集操作を残しておいて、オブジェクトAについては、編集履歴のアンドゥを実行していく。具体的には、オブジェクトAを指定してアンドゥを実行すると、アンドゥが実行された編集履歴が抜かれるが、リドゥが実行されると、編集操作を編集履歴の最後に追加する方法と、編集操作が抜かれた位置に編集操作を戻す方法とがある。
【0132】
以上のように本実施形態に係るPC1Aは、ユーザによって指定されたオブジェクトに対してアンドゥまたはリドゥを実行するように構成されている。
【0133】
これにより、オブジェクトが多数含まれるような画面において、アンドゥまたはリドゥの対象となるオブジェクトを容易に認識することができる。
【0134】
〔ソフトウェアによる実現例〕
PC1,PC1Aの制御ブロック(特に編集部10,10A)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0135】
後者の場合、PC1,PC1Aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えているとともに、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
【0136】
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。
【0137】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0138】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0139】
1,1A PC(画面作成装置)
14 編集履歴管理部
15 アンドゥ・リドゥ処理部(取り消し処理部,やり直し処理部)
16 表示制御部
161 視覚効果処理部
203 編集領域(表示領域)
405 指示マーク