(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230203BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20230203BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
H01L21/30 572B
H01L21/306 R
H01L21/304 648K
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648F
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
(21)【出願番号】P 2018176394
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 賢士
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亨
(72)【発明者】
【氏名】谷川 紘太
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-095144(JP,A)
【文献】特開2013-021198(JP,A)
【文献】特開2010-010422(JP,A)
【文献】特開2013-074090(JP,A)
【文献】特開2016-072613(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135064(WO,A1)
【文献】特開2018-056293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMで基板からレジストを除去する基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持ユニットと、
吐出口を有し、前記基板保持ユニットに保持されている基板に向けて前記吐出口からSPMを吐出するノズルと、
前記吐出口に連通する混合部と、
前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収し、回収した液体に基づいて硫酸含有液を作成し、作成後の硫酸含有液を前記混合部に供給するための硫酸含有液供給装置と、
過酸化水素水を前記混合部に供給するための過酸化水素水供給ユニットと、
前記硫酸含有液供給装置および前記過酸化水素水供給ユニットを制御する制御装置とを含み、
前記硫酸含有液供給装置が、第1の貯液部と、第2の貯液部とを含み、
前記第1の貯液部が、
回収した液体を貯留する第1のタンクと、
回収した液体とは別の硫酸を、前記第1のタンクに補充するための硫酸補充ユニットとを含み、
前記第2の貯液部が、
前記第1のタンクから送られた液体を貯留する第2のタンクと、
前記第2のタンクに両端が接続され、前記第2のタンクに貯留されている液体が循環する第1の配管と、
前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している液体を加熱するための第1のヒータとを含み、
前記制御装置が、
前記基板に供給され当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、
作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給して前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合することによりSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程とを実行
し、
前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、
前記基板から排出されたSPMを回収して、硫酸含有液として前記第1のタンクに貯留する第1の貯留工程と、
回収したSPMとは別の硫酸を、前記硫酸補充ユニットによって前記第1のタンクに補充する硫酸補充工程と、
前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を前記第2のタンクに貯留する第2の貯留工程と、
前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記第1のヒータによって加熱する第1の加熱工程とを実行し、
前記制御装置が、前記SPM吐出工程において、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記混合部に供給する工程を実行する、基板処理装置。
【請求項2】
硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMで基板からレジストを除去する基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持ユニットと、
吐出口を有し、前記基板保持ユニットに保持されている基板に向けて前記吐出口からSPMを吐出するノズルと、
前記吐出口に連通する混合部と、
前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収し、回収した液体に基づいて硫酸含有液を作成し、作成後の硫酸含有液を前記混合部に供給するための硫酸含有液供給装置と、
過酸化水素水を前記混合部に供給するための過酸化水素水供給ユニットと、
前記硫酸含有液供給装置および前記過酸化水素水供給ユニットを制御する制御装置とを含み、
前記硫酸含有液供給装置が、第1の貯液部と、第2の貯液部と
、第3の貯液部とを含み、
前記第1の貯液部が、
回収した液体を貯留する第1のタンクと、
前記第1のタンクに硫酸を補充するための硫酸補充ユニットとを含み、
前記第2の貯液部が、
第2のタンクと、
前記第2のタンクに両端が接続され、前記第2のタンクに貯留されている液体が循環する第1の配管と、
前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している液体を加熱するための第1のヒータとを含み、
前記第3の貯液部が、
前記第1のタンクから送られる液体を貯留する第3のタンクと、
前記第3のタンクに両端が接続され、前記第3のタンクに貯留されている液体が循環する第3の配管と、
前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している液体を加熱するための第2のヒータとを含み、
前記第1の貯液部には、前記第1のタンクおよび前記第1のタンクに両端が接続された第2の配管を循環している硫酸含有液を加熱するためのユニットが設けられておらず、
前記制御装置が、
前記基板に供給され当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、
作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給して前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合することによりSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程とを実行し、
前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、
前記基板から排出されたSPMを回収して、硫酸含有液として前記第1のタンクに貯留する第1の貯留工程と、
前記硫酸補充ユニットによって前記第1のタンクに硫酸を補充する硫酸補充工程と、
前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を前記第3のタンクに貯留する工程と、
前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している硫酸含有液を前記第2のヒータによって加熱する工程と、
前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している硫酸含有液を、前記第2のタンクに送り、前記第2のタンクに貯留する第2の貯留工程と、
前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記第1のヒータによって加熱する第1の加熱工程と実行し、
前記制御装置が、前記SPM吐出工程において、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記混合部に供給する工程とを実行する
、基板処理装置。
【請求項3】
硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMで基板からレジストを除去する基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持ユニットと、
吐出口を有し、前記基板保持ユニットに保持されている基板に向けて前記吐出口からSPMを吐出するノズルと、
前記吐出口に連通する混合部と、
前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収し、回収した液体に基づいて硫酸含有液を作成し、作成後の硫酸含有液を前記混合部に供給するための硫酸含有液供給装置と、
過酸化水素水を前記混合部に供給するための過酸化水素水供給ユニットと、
前記硫酸含有液供給装置および前記過酸化水素水供給ユニットを制御する制御装置と、を含み、
前記硫酸含有液供給装置が、第1の貯液部と、第2の貯液部とを含み、
前記第1の貯液部が、
回収した液体を貯留する第1のタンクと、
前記第1のタンクに硫酸を補充するための硫酸補充ユニットとを含み、
前記第2の貯液部が、
前記第1のタンクから送られた液体を貯留する第2のタンクと、
前記第2のタンクに両端が接続され、前記第2のタンクに貯留されている液体が循環する第1の配管と、
前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している液体を加熱するための第1のヒータとを含み、
前記第1の貯液部が、
前記第1のタンクに両端が接続され、前記第1のタンクに貯留されている硫酸含有液が循環する第2の配管と、
前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を加熱する第2のヒータとをさらに含み、
前記制御装置が、
前記基板に供給され当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、
作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給して前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合することによりSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程とを実行し、
前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、
前記基板から排出されたSPMを回収して、硫酸含有液として前記第1のタンクに貯留する第1の貯留工程と、
前記硫酸補充ユニットによって前記第1のタンクに硫酸を補充する硫酸補充工程と、
前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を前記第2のタンクに貯留する第2の貯留工程と、
前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記第1のヒータによって加熱する第1の加熱工程とを実行し、
前記制御装置が、前記SPM吐出工程において、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記混合部に供給する工程を実行し、
前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を前記第2のヒータによって加熱する第2の加熱工程をさらに実行する、基板処理装置。
【請求項4】
前記第2の貯液部が、
前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液の硫酸濃度を計測する硫酸濃度計をさらに含み、
前記制御装置が、前記硫酸濃度計による計測値が所定の判定値未満である場合に、前記硫酸補充工程を実行する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の貯液部が、
前記第1のタンクに両端が接続され、前記第1のタンクに貯留されている硫酸含有液が循環する第2の配管と、
前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を加熱する第2のヒータとをさらに含み、
前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を
前記第2のヒータによって加熱する第2の加熱工程をさらに実行する、請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の貯液部が、
前記第1のタンクに両端が接続され、前記第1のタンクに貯留されている硫酸含有液が循環する第2の配管をさらに含み、
前記第1の貯液部には、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を加熱するためのユニットが設けられていない、請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の貯液部が、
前記第2の配管に介装され、当該前記第2の配管を流通する硫酸含有液に含まれる異物を捕獲するフィルタをさらに含む、請求項
2または6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記硫酸含有液供給装置が、第3の貯液部をさらに含み、
前記第3の貯液部が、
前記第1のタンクから送られる液体を貯留する第3のタンクと、
前記第3のタンクに両端が接続され、前記第3のタンクに貯留されている液体が循環する第3の配管と、
前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している液体を加熱するための第2のヒータとを含み、
前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、
前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を前記第3のタンクに貯留する第3の貯留工程と、
前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している硫酸含有液を前記第2のヒータによって加熱する第2の加熱工程と
、
前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している硫酸含有液を前記第2のタンクに送る工程
とをさらに実行する、請求
項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1の貯液部が、
前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を冷却するためのクーラーをさらに含み、
前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を前記クーラーによって冷却する冷却工程をさらに実行する、請求項
2および6~
8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液が自然冷却のみによって冷却される、請求項
2および6~
8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第1のヒータによる加熱温度である第1の加熱温度が、前記第2のヒータによる加熱温度である第2の加熱温度よりも高い、請求項
2、5および8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第2のタンクまたは前記第1の配管と前記混合部とを接続する硫酸含有液供給配管と、
前記硫酸含有液供給配管を流通している硫酸含有液を加熱するための第3のヒータとをさらに含み、
前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記硫酸含有液供給配管を流通している硫酸含有液を前記第3のヒータによって加熱する第3の加熱工程をさらに実行する、請求項
1~
11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMで基板からレジストを除去する基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持ユニットと、
吐出口を有し、前記基板保持ユニットに保持されている基板に向けて前記吐出口からSPMを吐出するノズルと、
前記吐出口に連通する混合部と、
前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収し、回収した液体に基づいて硫酸含有液を作成し、作成後の硫酸含有液を前記混合部に供給するための硫酸含有液供給装置と、
過酸化水素水を前記混合部に供給するための過酸化水素水供給ユニットと、
前記混合部における過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を変更する混合比変更ユニットと、
前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収して前記硫酸含有液供給装置に送るための回収配管と、
前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体が流入する排液配管と、
前記基板保持ユニットに保持されている基板から排出された液体が流入する配管を、前記排液配管および前記回収配管の間で切り換える切り換えユニットと
、
前記硫酸含有液供給装置、前記過酸化水素水供給ユニット、前記混合比変更ユニットおよび前記切り換えユニットを制御する制御装置とを含み、
前記制御装置が、
前記基板に供給され当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、
作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給して前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合することによりSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程と、
前記混合比変更ユニットを制御することにより、過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を表す第1の混合比で硫酸含有液および過酸化水素水を混合して第1のSPMを作成し、作成された前記第1のSPMを、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給する第1のSPM供給工程と、
前記混合比変更ユニットを制御することにより、過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を表し、前記第1の混合比よりも大きい第2の混合比で硫酸
含有液および過酸化水素水を混合して第2のSPMを作成し、作成された前記第2のSPMを、前記第1のSPM供給工程において前記第1のSPMの供給が停止された後に、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給する第2のSPM供給工程と、
前記切り換えユニットを制御することにより、前記第1のSPM供給工程において前記基板に供給され前記基板から排出された前記第1のSPMを、前記排液配管に流入させる排液工程と、
前記切り換えユニットを制御することにより、前記第2のSPM供給工程において前記基板に供給され前記基板から排出された前記第2のSPMを、前記回収配管に流入させる回収工程と
を実行する
、基板処理装置。
【請求項14】
前記排液配管に接続されて、前記基板保持ユニットに保持されている基板を取り囲む第1のガードと、
前記回収配管に接続されて、前記基板保持ユニットに保持されている基板を取り囲む第2のガードとをさらに含み、
前記切り換えユニットが、前記第1のガードおよび前記第2のガードの状態を、前記基板から排出された液体を前記第1のガードが受け止める第1状態と、前記基板から排出された液体を前記第2のガードが受け止める第2状態との間で切り換えるガード切り換えユニッ
トを含み、
前記制御装置が、
前記ガード切り換えユニットを制御することにより、前記第1のSPM供給工程において前記基板から排出された前記第1のSPMを、前記第1のガードに受け止めさせる第1のSPM捕獲工程と、
前記ガード切り換えユニットを制御することにより、前記第2のSPM供給工程において前記基板から排出された前記第2のSPMを、前記第2のガードに受け止めさせる第2のSPM捕獲工程とをさらに実行する、請求項
13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
基板保持ユニットに保持されている基板に向けて吐出口から、硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMを吐出するノズルと、前記吐出口に連通する混合部と
、第1のタンクを有する第1の貯液部と、前記第1のタンクとは異なる第2のタンクを有する第2の貯液部とを含む基板処理装置において実行される基板処理方法であって、
前記基板保持ユニットに保持されている、少なくとも一部がレジストで覆われた基板に供給され、当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、
作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給することにより、前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合してSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程とを含
み、
前記硫酸含有液作成工程が、
前記基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液として前記第1の貯液部の前記第1のタンクに貯留する工程と、
回収したSPMとは別の硫酸を前記第1のタンクに補充する硫酸補充工程と、
前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を、前記第2の貯液部の前記第2のタンクに貯留する工程と、
前記第2のタンク、および前記第2のタンクに両端が接続された第1の配管を循環している硫酸含有液を、前記第2の貯液部の第1のヒータによって加熱する加熱工程とを含み、
前記SPM吐出工程が、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記混合部に供給する工程を含む、基板処理方法。
【請求項16】
基板保持ユニットに保持されている基板に向けて吐出口から、硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMを吐出するノズルと、前記吐出口に連通する混合部と、第1のタンクを有する第1の貯液部と、前記第1のタンクとは異なる第2のタンクと第1のヒータとを有する第2の貯液部と、前記第1のタンクおよび前記第2のタンクとは異なる第3のタンクと第2のヒータとを有する第3の貯液部とを含む基板処理装置において実行される基板処理方法であって、
前記基板保持ユニットに保持されている、少なくとも一部がレジストで覆われた基板に供給され、当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、
作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給することにより、前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合してSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程とを含み、
前記硫酸含有液作成工程が、
前記基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液として
前記第1の貯液部の
前記第1のタンクに貯留する工程と、
前記第1
のタンクに硫酸を補充する硫酸補充工程と、
前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を、前記第3の貯液部の前記第3のタンクに貯留する工程と、
前記第3のタンクおよび前記第3のタンクに両端が接続された第3の配管を循環している硫酸含有液を、前記第3の貯液部の前記第2のヒータによって加熱する工程と、
前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している硫酸含有液を、前記第2の貯液部の前記第2のタンクに送り、前
記第2の貯液部の
前記第2のタンクに貯留する工程と、
前記第2のタンク、および前記第2のタンクに両端が接続された第1の配管を循環している硫酸含有液を、
前記第2の貯液部の
前記第1のヒータによって加熱する加熱工程とを含み、
前記第1の貯液部において、前記第1のタンクおよび前記第1のタンクに両端が接続された第2の配管を循環している硫酸含有液を加熱しておらず、
前記SPM吐出工程が、
前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記混合部に供給する工程を含む
、基板処理方法。
【請求項17】
基板保持ユニットに保持されている基板に向けて吐出口から、硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMを吐出するノズルと、前記吐出口に連通する混合部とを含む基板処理装置において実行される基板処理方法であって、
前記基板保持ユニットに保持されている、少なくとも一部がレジストで覆われた基板に供給され、当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、
作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給することにより、前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合してSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程と、
前記混合部における過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を変更することにより、過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を表す第1の混合比で硫酸含有液および過酸化水素水を混合して第1のSPMを作成し、作成された前記第1のSPMを、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給する第1のSPM供給工程と、
前記混合部における過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を変更することにより、過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を表し、前記第1の混合比よりも大きい第2の混合比で硫酸
含有液および過酸化水素水を混合して第2のSPMを作成し、作成された前記第2のSPMを、前記第1のSPM供給工程において前記第1のSPMの供給が停止された後に、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給する第2のSPM供給工程と、
前記第1のSPM供給工程において前記基板に供給され前記基板から排出された前記第1のSPMを、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収
するための回収配管とは異なる配管である排液配管に流入させる排液工程と、
前記第2のSPM供給工程において前記基板に供給され前記基板から排出された前記第2のSPMを、前記回収配管に流入させる回収工程と
を含む
、基板処理方法。
【請求項18】
前記第1のSPM供給工程において前記基板から排出された前記第1のSPMを、前記基板を取り囲んでおり、前記排液配管に接続された第1のガードに受け止めさせる第1のSPM捕獲工程と、
前記第2のSPM供給工程において前記基板から排出された前記第2のSPMを、前記基板を取り囲んでおり、前記回収配管に接続された第2のガードに受け止めさせる第2のSPM捕獲工程とをさらに含む、請求項
17に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板の例には、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス
基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられる。
下記特許文献1には、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が開示されている。この基板処理装置は、基板を水平に保持しながら回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持されている基板に向けてSPM(硫酸と過酸化水素水との混合液)を吐出するノズルとを備えている。特許文献1には、基板の処理に用いた後のSPMを回収して、その回収したSPMを以降の処理に再使用する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、スピンチャックが収容された処理室から回収されたSPMは回収ラインを通して回収タンクに回収される。回収タンクには、この回収タンクに貯められたSPMは、フィルタによってSPM中に含まれる異物が除去された後、循環タンクに供給される。循環タンクには、SPMノズルに向けて延びたSPM供給配管が接続されている。このSPM供給配管の途中部には、ポンプが介装されている。また、SPM供給配管の途中部には、ポンプの下流側に、フィルタ、ヒータおよび吐出バルブが介装されている。SPM供給配管には、ヒータと吐出バルブとの間において、SPM帰還配管が分岐して接続されている。SPM帰還配管の先端は、循環タンクへ延びている。
【0005】
基板処理装置の運転中は、ポンプおよび温度調節器が常に駆動されていて、吐出バルブが閉じられている間は、帰還バルブが開かれることにより、循環タンクから汲み出されるSPMが、SPM供給配管をSPM帰還配管の分岐点まで流れ、その分岐点からSPM帰還配管を通して循環タンクに戻される。つまり、SPMノズルからSPMを吐出しない期間は、循環タンク、SPM供給配管およびSPM帰還配管をSPMが循環している。SPMを循環させることにより、一定温度に温度調節されたSPMが循環タンクに貯留される。そして、SPMノズルからSPMを吐出するタイミングになると、一定温度に温度調節されたSPMが循環タンクから汲み出され、SPM供給配管を通してSPMノズルに供給される。そして、SPMノズルから吐出されたSPMが基板に供給される。
【0006】
しかしながら、特許文献1において、SPMの回収および再利用を繰り返すと、SPMに含まれる硫酸および過酸化水素水のそれぞれの濃度が、再利用に適さない値まで低下してしまう。
とくに、過酸化水素濃度の減少が著しい。すなわち、SPMの温度が高くなるに従って、SPMの除去能力(SPMがレジストを除去する能力)が高まるので、SPMは高温で使用されることが望ましい。しかしながら、過酸化水素は高温状態では水と酸素とに分解し易い。そのため、SPMの回収および再利用を繰り返すと、比較的早期に、過酸化水素濃度が再利用に適さない値まで低下するおそれがある。
【0007】
いずれにしても、特許文献1に記載の手法では、SPMに含まれる硫酸および過酸化水素水のそれぞれの濃度が低下するから、基板からレジストを効率良く除去することができない。
そこで、この発明の目的の一つは、回収された硫酸含有液に基づいて作成されたSPMを用いて基板からレジストを効率良く除去できる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態は、硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMで基板からレジストを除去する基板処理装置を提供する。前記基板処理装置は、基板を保持する基板保持ユニットと、吐出口を有し、前記基板保持ユニットに保持されている基板に向けて前記吐出口からSPMを吐出するノズルと、前記吐出口に連通する混合部と、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収し、回収した液体に基づいて硫酸含有液を作成し、作成後の硫酸含有液を前記混合部に供給するための硫酸含有液供給装置と、過酸化水素水を前記混合部に供給するための過酸化水素水供給ユニットと、前記硫酸含有液供給装置および前記過酸化水素水供給ユニットを制御する制御装置とを含む。そして、前記制御装置が、前記基板に供給され当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給して前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合することによりSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程とを実行する。
【0009】
硫酸含有液とは、硫酸を含む液体であって、硫酸以外の成分を含んでいてもよいが、硫酸を半分以上の割合で含む液体である。
この構成によれば、基板から排出され回収されたSPMに基づいて、SPMそのものではなく硫酸含有液が作成される。作成された硫酸含有液は、過酸化水素水と混合されることによりSPMとして再利用される。
【0010】
SPMの除去能力を高める観点から、作成される硫酸含有液の硫酸濃度は、所定の濃度範囲であることが求められる。そして、同様の観点から、作成される硫酸含有液の温度は所定の温度範囲であることが求められる。
回収されたSPMに含まれる硫酸に着目し、過酸化水素と切り離した形で硫酸含有液の硫酸濃度および温度を調整するので、求められる濃度範囲および温度範囲の双方を満たす硫酸含有液を良好に作成できる。そして、作成された硫酸含有液を過酸化水素水と混合することにより、回収された硫酸含有液に基づいて作成されたSPMを用いて基板からレジストを効率良く除去できる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記硫酸含有液供給装置が、第1の貯液部と、第2の貯液部とを含む。そして、前記第1の貯液部が、回収した液体を貯留する第1のタンクと、前記第1のタンクに硫酸を補充するための硫酸補充ユニットとを含む。そして、前記第2の貯液部が、前記第1のタンクから送られた液体を貯留する第2のタンクと、前記第2のタンクに両端が接続され、前記第2のタンクに貯留されている液体が循環する第1の配管と、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している液体を加熱するための第1のヒータとを含む。そして、前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記基板から排出されたSPMを回収して、硫酸含有液として前記第1のタンクに貯留する第1の貯留工程と、前記硫酸補充ユニットによって前記第1のタンクに硫酸を補充する硫酸補充工程と、前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を前記第2のタンクに貯留する第2の貯留工程と、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記第1のヒータによって加熱する第1の加熱工程とを実行する。そして、前記制御装置が、前記SPM吐出工程において、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記混合部に供給する工程を実行する。前記硫酸補充ユニットが、回収した液体とは別の硫酸であってもよい。
【0012】
この構成によれば、第1の貯液部において、基板から排出され回収されたSPMが硫酸含有液として第1のタンクに貯留される。また、硫酸補充ユニットからの硫酸が第1のタンクに補充される。これにより、第1のタンクに貯留されている硫酸含有液の硫酸濃度を、求められる濃度範囲に精度良く調整することが可能である。
また、第2の貯液部において、第1の貯液部から送られた硫酸含有液が、第2のタンクおよび第1の配管を循環する。第2のタンクおよび第1の配管を循環する硫酸含有液が第1のヒータによって加熱される。これにより、第2のタンクおよび第1の配管を循環する硫酸含有液の温度を、求められる温度範囲に精度良く調整することが可能である。
【0013】
硫酸含有液の温度調整が行われる第2の貯液部を、硫酸含有液に硫酸を補充可能(硫酸含有液の硫酸濃度を調整可能)な第1の貯液部と別に設けている。補充される硫酸の温度が室温であることから、仮に、硫酸含有液の温度調整を行うための貯液部において、硫酸の補充を行いながら硫酸含有液を温度調整すると、貯液部における硫酸含有液の温度が安定しない。硫酸含有液の温度調整が行われる第2の貯液部と、硫酸含有液に硫酸を補充可能な第1の貯液部とをそれぞれ別に設けているので、第2の貯液部における硫酸含有液の温度が安定する。これにより、混合部に送られる硫酸含有液を所望の温度範囲に調整できる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記第2の貯液部が、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液の硫酸濃度を計測する硫酸濃度計をさらに含む。そして、前記制御装置が、前記硫酸濃度計による計測値が所定の判定値未満である場合に、前記硫酸補充工程を実行する。
この構成によれば、第2のタンクおよび第1の配管を循環している硫酸含有液の硫酸濃度が濃度計によって計測されるので、第2のタンクおよび第1の配管を循環している硫酸含有液の硫酸濃度を正確に求めることができる。これにより、混合部に送られる硫酸含有液の硫酸濃度を所望の濃度範囲に精度良く調整できる。
【0015】
この発明の一実施形態では、前記第1の貯液部が、前記第1のタンクに両端が接続され、前記第1のタンクに貯留されている硫酸含有液が循環する第2の配管と、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を加熱する第2のヒータとをさらに含む。そして、前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を前記第2のヒータによって加熱する第2の加熱工程をさらに実行する。
【0016】
この構成によれば、第1の貯液部において、第1のタンクおよび第2の配管を硫酸含有液が循環する。第1のタンクおよび第2の配管を循環する硫酸含有液が第2のヒータによって加熱される。第1および第2の貯液部においてそれぞれ第2および第1のヒータによって硫酸含有液が加熱される。そのため、硫酸含有液により多くの熱量を与えることができる。そのため、第2の貯液部において、硫酸含有液をより高温に昇温させることが可能である。
【0017】
また、第1および第2のヒータの双方を用いて硫酸含有液を加熱するので、一方のヒータ(すなわち、第1のヒータ)に加わる負担を低減できる。
この発明の一実施形態では、前記第1の貯液部が、前記第1のタンクに両端が接続され、前記第1のタンクに貯留されている硫酸含有液が循環する第2の配管をさらに含む。そして、前記第1の貯液部には、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を加熱するためのユニットが設けられていない。
【0018】
この構成によれば、第1の貯液部には、第1のタンクおよび第2の配管を循環している硫酸含有液を加熱するためのユニットが設けられていない。すなわち、第1の貯液部において硫酸含有液の加熱が行われない。そのため、第1のタンクおよび第2の配管を循環している硫酸含有液は、比較的低温を有している。
この発明の一実施形態では、前記第1の貯液部が、前記第2の配管に介装され、当該前記第2の配管を流通する硫酸含有液に含まれる異物を捕獲するフィルタをさらに含む。
【0019】
この構成によれば、そのため、フィルタを通過する硫酸含有液が比較的低温である。
第1のタンクおよび第2の配管を、仮に高温の硫酸含有液が流通する場合には、フィルタを高温の硫酸含有液が継続的に流通することに伴ってフィルタが膨張し、フィルタの各孔の径が広がるおそれがある。フィルタの各孔の径が広がると、フィルタによって捕獲可能な異物の径が大きくなる。そのため、フィルタのフィルタリング性能が低下し、第1の貯液部において硫酸含有液に含まれる異物を良好に捕獲できないおそれがある。
【0020】
フィルタを通過する硫酸含有液が比較的低温であるので、フィルタのフィルタリング性能の低下を抑制できる。そのため、第1の貯液部において硫酸含有液に含まれる異物を良好に捕獲できる。これにより、清浄な硫酸含有液を混合部に供給することが可能である。
この発明の一実施形態では、前記硫酸含有液供給装置が、第3の貯液部をさらに含む。そして、前記第3の貯液部が、前記第1のタンクから送られる液体を貯留する第3のタンクと、前記第3のタンクに両端が接続され、前記第3のタンクに貯留されている液体が循環する第3の配管と、前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している液体を加熱するための第2のヒータとを含む。そして、前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を前記第3のタンクに貯留する工程(第3の貯留工程)と、前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している硫酸含有液を前記第2のヒータによって加熱する工程(第2の加熱工程)とをさらに実行する。そして、前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記第3のタンクおよび前記第3の配管を循環している硫酸含有液を前記第2のタンクに送る工程をさらに実行する。
【0021】
この構成によれば、第1の貯液部から送られた硫酸含有液が、第3のタンクおよび第3の配管を循環する。第3のタンクおよび第3の配管を循環する硫酸含有液が第2のヒータによって加熱される。第3および第2の貯液部においてそれぞれ第2および第1のヒータによって硫酸含有液が加熱される。硫酸含有液により多くの熱量を与えることができる。そのため、第2の貯液部において、硫酸含有液をより高温に昇温させることが可能である。
【0022】
また、第1および第2のヒータの双方を用いて硫酸含有液を加熱するので、第1のヒータに加わる負担を低減できる。
この発明の一実施形態では、前記第1の貯液部が、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を冷却するためのクーラーをさらに含む。そして、前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液を前記クーラーによって冷却する冷却工程をさらに実行する。
【0023】
この構成によれば、第1のタンクおよび第2の配管を循環している硫酸含有液をクーラーによって冷却できる。そのため、第1のタンクおよび第2の配管を循環している硫酸含有液の温度を室温または室温未満まで下げることが可能である。
この場合、前記第1の貯液部が、前記フィルタをさらに含んでいることが好ましい。
この構成によれば、フィルタを通過する硫酸含有液の温度を、室温または室温未満まで下げることができるから、フィルタリング性能の低下をより一層効果的に抑制できる。そのため、第1の貯液部において硫酸含有液に含まれる異物を、より一層良好に捕獲できる。これにより、より一層清浄な硫酸含有液を混合部に供給することが可能である。
【0024】
この発明の一実施形態では、前記第1のタンクおよび前記第2の配管を循環している硫酸含有液が自然冷却のみによって冷却される。
この構成によれば、コストアップを招くことなく、硫酸含有液を冷却できる。
この発明の一実施形態では、前記第1のヒータによる加熱温度である第1の加熱温度が、前記第2のヒータによる加熱温度である第2の加熱温度よりも高い。
【0025】
この構成によれば、第1の貯液部(第3の貯液部)において第2の加熱温度にまで昇温された後の硫酸含有液が第2の貯液部に供給される。そして、第2の貯液部において硫酸含有液が加熱されて、第1の加熱温度まで昇温される。つまり、硫酸含有液が段階的に加熱される。そのため、第2の貯液部において、硫酸含有液をより高温まで昇温させることが可能である。これにより、混合部に送られるべき硫酸含有液の温度(第1の加熱温度)を極めて高温に設ける場合であっても、そのような高温の硫酸含有液を良好に作成できる。
【0026】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記第2のタンクまたは前記第1の配管と前記混合部とを接続する硫酸含有液供給配管と、前記硫酸含有液供給配管を流通している硫酸含有液を加熱するための第3のヒータとをさらに含む。そして、前記制御装置が、前記硫酸含有液作成工程において、前記硫酸含有液供給配管を流通している硫酸含有液を前記第3のヒータによって加熱する第3の加熱工程をさらに実行する。
【0027】
この構成によれば、第2のタンクおよび第1の配管を循環している硫酸含有液が、硫酸含有液供給配管に導かれる。そして、硫酸含有液供給配管を流通している硫酸含有液が第3のヒータによって加熱される。第3のヒータによる加熱によって、硫酸含有液を、第2のタンクおよび第1の配管を循環していたときよりもさらに昇温させることが可能である。
【0028】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記混合部における過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を変更する混合比変更ユニットと、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収して前記硫酸含有液供給装置に送るための回収配管と、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体が流入する排液配管と、前記基板保持ユニットに保持されている基板から排出された液体が流入する配管を、前記排液配管および前記回収配管の間で切り換える切り換えユニットとをさらに含む。そして、前記制御装置が、前記混合比変更ユニットを制御することにより、過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を表す第1の混合比で硫酸含有液および過酸化水素水を混合して第1のSPMを作成し、作成された前記第1のSPMを、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給する第1のSPM供給工程と、前記混合比変更ユニットを制御することにより、過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を表し、前記第1の混合比よりも大きい第2の混合比で硫酸含有液および過酸化水素水を混合して第2のSPMを作成し、作成された前記第2のSPMを、前記第1のSPM供給工程において前記第1のSPMの供給が停止された後に、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給する第2のSPM供給工程と、前記切り換えユニットを制御することにより、前記第1のSPM供給工程において前記基板に供給され前記基板から排出された前記第1のSPMを、前記排液配管に流入させる排液工程と、前記切り換えユニットを制御することにより、前記第2のSPM供給工程において前記基板に供給され前記基板から排出された前記第2のSPMを、前記回収配管に流入させる回収工程とをさらに実行する。
【0029】
この構成によれば、第1のSPMを作成するときは、硫酸含有液および過酸化水素水が第1の混合比で混合される。第2のSPMを作成するときは、硫酸含有液および過酸化水素水が第2の混合比で混合される。第1の混合比および第2の混合比は、いずれも、混合前の過酸化水素水の体積に対する混合前の硫酸含有液の体積の比を表す。第1の混合比は、第2の混合比よりも小さい。したがって、第1のSPMに含まれる過酸化水素濃度は、第2のSPMに含まれる過酸化水素の濃度よりも高い。
【0030】
過酸化水素濃度が相対的に高いので、第1のSPMは、第2のSPMよりも高い除去能力を有している。したがって、レジストを効率的に基板から除去できる。そして、第1のSPMが基板に供給された後、第2のSPMが基板に供給される。第2のSPMは除去能力が第1のSPMより劣るものの、第1のSPMの供給によって殆ど全てのレジストが基板から除去されているので、比較的除去し易いレジストしか基板に残っていない。そのため、除去能力が劣る第2のSPMであっても、レジストを基板から確実に除去できる。
【0031】
基板に供給され基板から排出された第1のSPMは、回収配管ではなく、排液配管に流入する。基板から排出された第1のSPMは、過酸化水素濃度が相対的に高く、硫酸濃度が相対的に低い。それだけでなく、基板から排出された第1のSPMは、第1のSPMとレジストとの反応によって生じた多くの汚染物質(レジストの炭化物など)を含んでいる。したがって、基板から排出された第1のSPMは、回収に適さない。
【0032】
その一方で、基板から排出された第2のSPMは、硫酸濃度が相対的に高い。さらに、基板から排出された第2のSPMに含まれる汚染物質の量は、基板から排出された第1のSPMに含まれる汚染物質の量よりも少ない。したがって、硫酸濃度が相対的に高く、汚染物質の含有量が少ない第2のSPMが、回収配管に導かれ硫酸含有液が作成される。作成された硫酸含有液は、過酸化水素水と混合される。これにより、この硫酸含有液に含まれる硫酸が過酸化水素と反応し、新たなSPMが作成される。そのため、SPMの廃棄量を減らすことができる。
【0033】
このように、硫酸濃度、つまり、混合前の硫酸および過酸化水素水の体積に対する混合前の硫酸の体積の割合が大きいときに、SPMを回収するので、硫酸濃度が高いSPMを回収することができる。さらに、硫酸濃度が大きい状態を維持するのではなく、SPMの回収を開始する前に、過酸化水素濃度が高く、十分な除去能力を有するSPMを基板に供給するので、レジストを効率的に基板から除去できる。したがって、基板から効率良くレジストを除去しながら、硫酸濃度が高いSPMを回収することができる。
【0034】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記排液配管に接続されて、前記基板保持ユニットに保持されている基板を取り囲む第1のガードと、前記回収配管に接続されて、前記基板保持ユニットに保持されている基板を取り囲む第2のガードとをさらに含む。そして、前記切り換えユニットが、前記第1のガードおよび前記第2のガードの状態を、前記基板から排出された液体を前記第1のガードが受け止める第1状態と、前記基板から排出された液体を前記第2のガードが受け止める第2状態との間で切り換えるガード切り換えユニットを含む。そして、前記制御装置が、前記ガード切り換えユニットを制御することにより、前記第1のSPM供給工程において前記基板から排出された前記第1のSPMを、前記第1のガードに受け止めさせる第1のSPM捕獲工程と、前記ガード切り換えユニットを制御することにより、前記第2のSPM供給工程において前記基板から排出された前記第2のSPMを、前記第2のガードに受け止めさせる第2のSPM捕獲工程とをさらに実行する。
【0035】
この構成によれば、基板から排出された第1のSPMが、基板を取り囲む第1のガードに受け止められる。基板から排出された第2のSPMは、基板を取り囲む第2のガードに受け止められる。第1のガードに受け止められた第1のSPMは、第1のガードに接続された排液配管に流入する。第2のガードに受け止められた第2のSPMは、第2のガードに接続された回収配管に流入する。
【0036】
基板から排出された第1のSPMは、多くの汚染物質を含んでいる。したがって、第1のガードが第1のSPMを受け止め後は、汚染物質が第1のガードの内壁に残留している場合がある。基板から排出された第2のSPMを第1のガードで受け止めて回収すると、第1のガードに付着している汚染物質が、第2のSPMに混入する場合がある。したがって、第1のガードとは異なる第2のガードに第2のSPMを受け止めさせることにより、回収されたSPMに含まれる汚染物質の量を減らすことができる。
【0037】
この発明の一実施形態は、基板保持ユニットに保持されている基板に向けて吐出口から、硫酸および過酸化水素水の混合液であるSPMを吐出するノズルと、前記吐出口に連通する混合部とを含む基板処理装置において実行される基板処理方法を提供する。前記基板処理方法は、前記基板保持ユニットに保持されている、少なくとも一部がレジストで覆われた基板に供給され、当該基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液を作成する硫酸含有液作成工程と、作成後の硫酸含有液および過酸化水素水を前記混合部に供給することにより、前記混合部において硫酸含有液および過酸化水素水を混合してSPMを生成し、生成されたSPMを前記吐出口から吐出するSPM吐出工程とを含む。
【0038】
この方法によれば、基板から排出され回収されたSPMに基づいて、SPMそのものではなく硫酸含有液が作成される。作成された硫酸含有液は、過酸化水素水と混合されることによりSPMとして再利用される。
SPMの除去能力を高める観点から、作成される硫酸含有液の硫酸濃度は、所定の濃度範囲であることが求められる。そして、同様の観点から、作成される硫酸含有液の温度は所定の温度範囲であることが求められる。
【0039】
回収されたSPMに含まれる硫酸に着目し、過酸化水素と切り離した形で硫酸含有液の硫酸濃度および温度を調整するので、求められる濃度範囲および温度範囲の双方を満たす硫酸含有液を良好に作成できる。そして、作成された硫酸含有液を過酸化水素水と混合することにより、回収された硫酸含有液に基づいて作成されたSPMを用いて基板からレジストを効率良く除去できる。
【0040】
この発明の一実施形態では、前記硫酸含有液作成工程が、前記基板から排出されたSPMを回収して硫酸含有液として第1の貯液部の第1のタンクに貯留する工程と、前記第1タンクに硫酸を補充する硫酸補充工程と、前記第1のタンクから送られた硫酸含有液を、前記第1のタンクとは異なる、第2の貯液部の第2のタンクに貯留する工程と、前記第2のタンク、および前記第2のタンクに両端が接続された第1の配管を循環している硫酸含有液を、第2の貯液部の第1のヒータによって加熱する加熱工程とを含む。そして、前記SPM吐出工程が、前記第2のタンクおよび前記第1の配管を循環している硫酸含有液を前記混合部に供給する工程を含む。前記硫酸補充工程が、回収した液体とは別の硫酸を前記第1のタンクに補充する工程を含んでいてもよい。
【0041】
この方法によれば、第1の貯液部において、基板から排出され回収されたSPMが硫酸含有液として第1のタンクに貯留される。また、硫酸補充ユニットからの硫酸が第1のタンクに補充される。これにより、第1のタンクに貯留されている硫酸含有液の硫酸濃度を、求められる濃度範囲に精度良く調整することが可能である。
また、第2の貯液部において、第1の貯液部から送られた硫酸含有液が、第2のタンクおよび第1の配管を循環する。第2のタンクおよび第1の配管を循環する硫酸含有液が第1のヒータによって加熱される。これにより、第2のタンクおよび第1の配管を循環する硫酸含有液の温度を、求められる温度範囲に精度良く調整することが可能である。
【0042】
硫酸含有液の温度調整が行われる第2の貯液部を、硫酸含有液に硫酸を補充可能(硫酸含有液の硫酸濃度を調整可能)な第1の貯液部と別に設けている。補充される硫酸の温度が室温であることから、仮に、硫酸含有液の温度調整を行うための貯液部において、硫酸の補充を行いながら硫酸含有液を温度調整すると、貯液部における硫酸含有液の温度が安定しない。硫酸含有液の温度調整が行われる第2の貯液部と、硫酸含有液に硫酸を補充可能な第1の貯液部とをそれぞれ別に設けているので、第2の貯液部における硫酸含有液の温度が安定する。これにより、混合部に送られる硫酸含有液を所望の温度範囲に調整できる。
【0043】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記混合部における過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を変更することにより、過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を表す第1の混合比で硫酸含有液および過酸化水素水を混合して第1のSPMを作成し、作成された前記第1のSPMを、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給する第1のSPM供給工程と、前記混合部における過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を変更することにより、過酸化水素水に対する硫酸含有液の比を表し、前記第1の混合比よりも大きい第2の混合比で硫酸含有液および過酸化水素水を混合して第2のSPMを作成し、作成された前記第2のSPMを、前記第1のSPM供給工程において前記第1のSPMの供給が停止された後に、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給する第2のSPM供給工程と、前記第1のSPM供給工程において前記基板に供給され前記基板から排出された前記第1のSPMを、前記基板保持ユニットに保持されている基板に供給され当該基板から排出された液体を回収して前記硫酸含有液供給装置に送るための回収配管とは異なる配管である排液配管に流入させる排液工程と、前記第2のSPM供給工程において前記基板に供給され前記基板から排出された前記第2のSPMを、前記回収配管に流入させる回収工程とをさらに含む。
【0044】
この方法によれば、第1のSPMを作成するときは、硫酸含有液および過酸化水素水が第1の混合比で混合される。第2のSPMを作成するときは、硫酸含有液および過酸化水素水が第2の混合比で混合される。第1の混合比および第2の混合比は、いずれも、混合前の過酸化水素水の体積に対する混合前の硫酸含有液の体積の比を表す。第1の混合比は、第2の混合比よりも小さい。したがって、第1のSPMに含まれる過酸化水素濃度は、第2のSPMに含まれる過酸化水素の濃度よりも高い。
【0045】
過酸化水素濃度が相対的に高いので、第1のSPMは、第2のSPMよりも高い除去能力を有している。したがって、レジストを効率的に基板から除去できる。そして、第1のSPMが基板に供給された後、第2のSPMが基板に供給される。第2のSPMは除去能力が第1のSPMより劣るものの、第1のSPMの供給によって殆ど全てのレジストが基板から除去されているので、比較的除去し易いレジストしか基板に残っていない。そのため、除去能力が劣る第2のSPMであっても、レジストを基板から確実に除去できる。
【0046】
基板に供給され基板から排出された第1のSPMは、回収配管ではなく、排液配管に流入する。基板から排出された第1のSPMは、過酸化水素濃度が相対的に高く、硫酸濃度が相対的に低い。それだけでなく、基板から排出された第1のSPMは、第1のSPMとレジストとの反応によって生じた多くの汚染物質(レジストの炭化物など)を含んでいる。したがって、基板から排出された第1のSPMは、回収に適さない。
【0047】
その一方で、基板から排出された第2のSPMは、硫酸濃度が相対的に高い。さらに、基板から排出された第2のSPMに含まれる汚染物質の量は、基板から排出された第1のSPMに含まれる汚染物質の量よりも少ない。したがって、硫酸濃度が相対的に高く、汚染物質の含有量が少ない第2のSPMが、回収配管に導かれ硫酸含有液が作成される。作成された硫酸含有液は、過酸化水素水と混合される。これにより、この硫酸含有液に含まれる硫酸が過酸化水素と反応し、新たなSPMが作成される。そのため、SPMの廃棄量を減らすことができる。
【0048】
このように、硫酸濃度、つまり、混合前の硫酸および過酸化水素水の体積に対する混合前の硫酸の体積の割合が大きいときに、SPMを回収するので、硫酸濃度が高いSPMを回収することができる。さらに、硫酸濃度が大きい状態を維持するのではなく、SPMの回収を開始する前に、過酸化水素濃度が高く、十分な除去能力を有するSPMを基板に供給するので、レジストを効率的に基板から除去できる。したがって、基板から効率良くレジストを除去しながら、硫酸濃度が高いSPMを回収することができる。
【0049】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記第1のSPM供給工程において前記基板から排出された前記第1のSPMを、前記基板を取り囲んでおり、前記排液配管に接続された第1のガードに受け止めさせる第1のSPM捕獲工程と、前記第2のSPM供給工程において前記基板から排出された前記第2のSPMを、前記基板を取り囲んでおり、前記回収配管に接続された第2のガードに受け止めさせる第2のSPM捕獲工程とをさらに含む。
【0050】
この方法によれば、基板から排出された第1のSPMが、基板を取り囲む第1のガードに受け止められる。基板から排出された第2のSPMは、基板を取り囲む第2のガードに受け止められる。第1のガードに受け止められた第1のSPMは、第1のガードに接続された排液配管に流入する。第2のガードに受け止められた第2のSPMは、第2のガードに接続された回収配管に流入する。
【0051】
基板から排出された第1のSPMは、多くの汚染物質を含んでいる。したがって、第1のガードが第1のSPMを受け止め後は、汚染物質が第1のガードの内壁に残留している場合がある。基板から排出された第2のSPMを第1のガードで受け止めて回収すると、第1のガードに付着している汚染物質が、第2のSPMに混入する場合がある。したがって、第1のガードとは異なる第2のガードに第2のSPMを受け止めさせることにより、回収されたSPMに含まれる汚染物質の量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、この発明の第1の実施形態に係る基板処理装置を上から見た模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す第1の硫酸含有液供給装置および装置本体を、水平方向から見た図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す第3の捕獲フィルタの構成を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す第2の硫酸含有液供給装置および装置本体を、水平方向から見た図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
【
図6】
図6は、前記基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【
図7】
図7は、前記基板処理装置によって行われる基板の処理の一例について説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、SPM工程(
図7のS3)における、硫酸含有液および過酸化水素水の混合比の推移と、第1のガードおよび第2のガードの動作等を示すタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、SPMを作成するために硫酸含有液および過酸化水素水を混合し、基板から回収されたSPMを別の基板に供給するときの流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、回収された硫酸含有液の硫酸濃度の推移を示すグラフである。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る第1の硫酸含有液供給装置を、水平方向から見た図である。
【
図12】
図12は、本発明の第3の実施形態に係る第1の硫酸含有液供給装置を、水平方向から見た図である。
【
図13】
図13は、捕獲フィルタのフィルタリング性能の熱影響による変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1を上から見た模式図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、クリーンルーム内に配置された装置本体2と、装置本体2に結合されたインデクサユニット3と、処理液供給装置と、基板処理装置1を制御する制御装置4とを含む。
【0054】
インデクサユニット3は、基板Wを収容する複数のキャリアCをそれぞれ保持する複数のロードポートLPと、各キャリアCに対して基板Wを搬送するためのインデクサロボットIRとを含む。
装置本体2は、搬送室5と、複数のロードポートLPから搬送された基板Wを処理液や処理ガスなどの処理流体で処理する複数の処理ユニット6とを含む。複数の処理ユニット6は、水平に離れた6つの位置にそれぞれ配置された6つの塔を形成している。各塔は、上下に積層された複数(たとえば3つ)の処理ユニット6を含む。6つの塔は、搬送室5の両側に3つずつ配置されている。処理ユニット6は、装置本体2の外壁7の中に配置されており、すなわち外壁7に取り囲まれている。
【0055】
基板処理装置1は、搬送ロボットとして、インデクサロボットIRの他に、第1の基板搬送ロボットCR1と、第2の基板搬送ロボットCR2とを含む。第1の基板搬送ロボットCR1および第2の基板搬送ロボットCR2は、搬送室5内に配置されている。インデクサロボットIRは、ロードポートLPと第1の基板搬送ロボットCR1との間で基板Wを搬送する。インデクサロボットIRは、基板Wを支持するハンドを含む。第1の基板搬送ロボットCR1は、インデクサロボットIRと、ロードポートLP側の2つの塔に含まれる処理ユニット6との間で基板Wを搬送すると共に、インデクサロボットIRと第2の基板搬送ロボットCR2との間で基板Wを搬送する。第2の基板搬送ロボットCR2は、インデクサロボットIRと、ロードポートLP側とは反対側の4つの塔に含まれる処理ユニット6との間で基板Wを搬送する。第1の基板搬送ロボットCR1および第2の基板搬送ロボットCR2は、基板Wを支持するハンドを含む。
【0056】
処理液供給装置は、処理ユニット6に対して処理液(硫酸含有液(エッチング液や洗浄液))を供給する。処理液供給装置は、処理ユニット6に対して硫酸を含有する硫酸含有液を供給する硫酸含有液供給装置8を含む。硫酸含有液供給装置8は、処理ユニット6から排出された硫酸含有液を回収して硫酸含有液として調整し、調整後の硫酸含有液を処理ユニット6に供給する。硫酸含有液供給装置8は、クリーンルームの外に配置された第1の硫酸含有液供給装置9と、クリーンルームにおいて外壁7の外側に配置された第2の硫酸含有液供給装置10とを含む。
【0057】
この実施形態では、基板処理装置1は、第1の硫酸含有液供給装置9を2つ備えている。2つの第1の硫酸含有液供給装置9は、サブファブ(Sub-Fab)と呼ばれる、クリーンルームの階下スペースに配置されている。各第1の硫酸含有液供給装置9は、搬送室5の片側に配置された3つの塔に対応している。各第1の硫酸含有液供給装置9には、対応する3つの塔に含まれる処理ユニット6から排出されたSPMが供給される。第1の硫酸含有液供給装置9は、処理ユニット6から排出されたSPMを回収して硫酸含有液として貯留し、所定の状態に調整する第1の貯液部11を含む。
【0058】
第1の硫酸含有液供給装置9には、第2の硫酸含有液供給装置10が一対一対応で設けられている。すなわち、基板処理装置1は、第2の硫酸含有液供給装置10を2つ備えている。
第2の硫酸含有液供給装置10には、対応する第1の硫酸含有液供給装置9から硫酸含有液が送られる。第2の硫酸含有液供給装置10は、第1の貯液部11から送られる硫酸含有液を貯留し、所定の硫酸濃度および温度に調整する第2の貯液部12を含む。第2の貯液部12によって調整された硫酸含有液が、処理ユニット6のSPMノズル(ノズル)13(
図2および
図4参照)に供給される。SPMノズル13には、過酸化水素水供給ユニット122(
図4参照)から過酸化水素水が供給される。SPMノズル13に供給された硫酸含有液および過酸化水素水は、SPMノズル13の内部(混合部)で混合され、これによってSPMが生成される。そして、SPMノズル13の下部に形成されている吐出口13a(
図5参照)からSPMが吐出される。吐出口13aは、SPMノズル13の内部に連通している。そして、処理ユニット6において、吐出口13aから吐出されるSPMが基板Wに供給される。これにことにより、基板Wからレジストが除去される。
【0059】
硫酸含有液供給装置8では、基板Wから排出され回収されたSPMに基づいて、SPMそのものではなく硫酸含有液が作成される(硫酸含有液作成工程)。作成された硫酸含有液は、過酸化水素水と混合されることによりSPMとして再利用される。
SPMの除去能力を高める観点から、作成される硫酸含有液の硫酸濃度は、所定の濃度範囲であることが求められる。そして、同様の観点から、作成される硫酸含有液の温度は所定の温度範囲であることが求められる。
【0060】
硫酸含有液供給装置8では、回収されたSPMに含まれる硫酸に着目し、過酸化水素と切り離した形で硫酸含有液の硫酸濃度および温度を調整するので、求められる濃度範囲および温度範囲の双方を満たす硫酸含有液を良好に作成できる。
そして、作成後の硫酸含有液をSPMノズル13において過酸化水素水と混合することによりSPMを生成し、生成されたSPMをSPMノズル13から吐出して基板Wに供給する(SPM吐出工程)。これにより、回収された硫酸含有液に基づいて作成されたSPMによって基板Wからレジストを効率良く除去できる。
【0061】
図2は、
図1にそれぞれ示す第1の硫酸含有液供給装置9および装置本体2を、水平方向から見た図である。
図3は、
図2に示す第3の捕獲フィルタ37の構成を拡大して示す断面図である。
図2に示すように、第1の硫酸含有液供給装置9に含まれる第1の貯液部11は、リクレームタンク(reclaim tank)21と、第1の循環タンク(第1のタンク)22と、第1の循環配管(第2の配管)23と、第1の循環ヒータ(第2のヒータ)24と、硫酸補充ユニット25とを含む。
【0062】
図2に示すように、リクレームタンク21は、対応する3つのタワーに含まれる合計9つの処理ユニット6から回収されたSPMを、硫酸含有液として貯留する。具体的には、リクレームタンク21には、後述する回収配管156に接続された回収導出配管26の下流端が接続されている。各処理ユニット6の処理カップ111に回収されたSPMは、回収配管156および回収導出配管26を通ってリクレームタンク21に導かれ、硫酸含有液としてリクレームタンク21に貯留される。回収導出配管26の途中部には、回収導出配管26を流通するSPM中の異物を捕捉して除去する第1の捕獲フィルタ27が介装されている。第1の捕獲フィルタ27は、SPM中に含まれる比較的大きな異物を捕捉するためのフィルタである。第1の捕獲フィルタ27は、後述する第3の捕獲フィルタ37と同等の構成である。第1の捕獲フィルタ27は、次に述べる第2の捕獲フィルタ30や第3の捕獲フィルタ(フィルタ)37と比較して、後述する孔71(
図3参照)の径が大きい。回収導出配管26は上下に延びており、回収導出配管26を流通するSPMの自重によって、第1の捕獲フィルタ27にSPMが押し付けられる。これにより、第1の捕獲フィルタ27によって比較的大きな異物が捕捉される。そして、比較的大きな異物が除去された後のSPMが、硫酸含有液としてリクレームタンク21に貯留される。
【0063】
リクレームタンク21には、3つのタワーに対応する3つの回収導出配管26の下流端が接続されている。
図2では、1つのタワーについてのみ詳細に図示し、他の2つのタワーに関しては、「他のタワー」とのみ記載し、詳細な記載を省略している。
図2に示すように、リクレームタンク21には、第1の循環タンク22に下流端が接続された移送配管28の上流端が接続されている。移送配管28には、リクレームタンク21内の硫酸含有液を汲み出すためのポンプ等の第1の送液装置29、および移送配管28を流通する硫酸含有液中に含まれる比較的小さな異物を捕捉して除去するための第2の捕獲フィルタ30が介装されている。第2の捕獲フィルタ30は、次に述べる第3の捕獲フィルタ37と同等の構成である。第2の捕獲フィルタ30は、第3の捕獲フィルタ37と同等の孔71(
図3参照)の径を有する。
図2に示すように、第1の送液装置29および第2の捕獲フィルタ30は、リクレームタンク21側からこの順で並んでいる。そのため、第1の送液装置29による汲み出し力によって、移送配管28を流通する硫酸含有液が第2の捕獲フィルタ30に押し付けられる。これにより、第2の捕獲フィルタ30によって異物を捕捉できる。リクレームタンク21から第1の循環タンク22に移送配管28を介して硫酸含有液が送られ、この硫酸含有液が第1の循環タンク22に貯留される(第1の貯留工程)。
【0064】
図2に示すように、第1の循環タンク22には、第2の硫酸含有液供給装置10(第2の貯液部12)に向けて延びた第1の導液配管31が接続されている。第1の導液配管31の途中部には、第1の循環タンク22内の硫酸含有液を汲み出すためのポンプ等の第2の送液装置32が介装されている。第1の導液配管31の途中部には、第2の送液装置32の下流側に第3の捕獲フィルタ37および開閉バルブ38が介装されている。第3の捕獲フィルタ37は、第1の導液配管31を流通する硫酸含有液中に含まれる比較的小さな異物を捕捉して除去するためのフィルタである。第3の捕獲フィルタ37は、第2の捕獲フィルタ30で除去し切れなかった異物を除去する。
【0065】
図3に示すように、第3の捕獲フィルタ37は、たとえば、下流端側が閉塞された筒状であり、たとえば標準閉塞タイプのフィルタである。第3の捕獲フィルタ37の全域には、第3の捕獲フィルタ37の厚み方向に、第3の捕獲フィルタ37を貫通する複数の孔71が形成されている。第3の捕獲フィルタ37の孔71は、第3の捕獲フィルタ37の厚み方向から見て、たとえば正方形状であるが、当該方向から見て、正角形状以外の多角形状や円形状や楕円形状であってもよい。
【0066】
図3に示すように、第3の捕獲フィルタ37は、第3の捕獲フィルタ37を内部に保持するハウジング72に着脱可能に取り付けられている。ハウジング72は、第3の捕獲フィルタ37よりも上流側の配管(第1の導液配管31)の下流端が接続された流入部73と、第3の捕獲フィルタ37よりも下流側の配管(第1の導液配管31)の上流端が接続された流出部74とを備えている。
【0067】
図3に示すように、ハウジング72の内部は、第3の捕獲フィルタ37によって、ろ過すべき硫酸含有液が流通する第3の捕獲フィルタ37の上流側空間B1と、ろ過された硫酸含有液が流通する第3の捕獲フィルタ37の下流側空間B2とに仕切られている。第2の送液装置32による汲み出し力によって、第1の導液配管31を流通する硫酸含有液が第3の捕獲フィルタ37に押し付けられ、上流側空間B1から下流側空間B2に向かって硫酸含有液が流れて第3の捕獲フィルタ37の孔71を通過する。これにより、第3の捕獲フィルタ37によって硫酸含有液がろ過される。上流側空間B1に存在する硫酸含有液に含まれる異物は、孔71を区画する第3の捕獲フィルタ37の壁面によって吸着されることにより孔71内に捕捉される。これにより、第3の捕獲フィルタ37によって異物が除去される。
【0068】
図2に示すように、開閉バルブ38は、第1の導液配管31における硫酸含有液の流通およびその停止を制御するためのバルブである。
図2に示すように、第1の導液配管31には、開閉バルブ38と第3の捕獲フィルタ37との間において、リターン配管40が分岐接続されている。リターン配管40の下流端は第1の循環タンク22へ延びている。リターン配管40の途中部には、リターンバルブ41が介装されている。第1の導液配管31におけるリターン配管40の分岐位置42の
上流側部分と、リターン配管40とによって、第1の循環配管23が構成されている。
【0069】
図2に示すように、硫酸補充ユニット25は、新しい硫酸(基板Wの処理に未使用の硫酸)を第1の循環タンク22に供給するユニットである。硫酸補充ユニット25は、第1の循環タンク22に硫酸を補充する硫酸補充配管44と、硫酸補充配管44を開閉する硫酸補充バルブ45とを含む。補充される硫酸は、未使用の硫酸(たとえば濃硫酸)であり、その硫酸濃度は、第1の循環タンク22内の硫酸含有液における硫酸濃度よりも高い。補充される硫酸は、室温(約23℃~約25℃)である。
【0070】
基板処理装置1の運転中(基板Wの処理を停止している期間を含む)において、第2の送液装置32および第1の循環ヒータ24が常に駆動されている。そのため、開閉バルブ38が閉じられかつリターンバルブ41が開かれることにより、第1の循環タンク22から汲み出される硫酸含有液が、第1の導液配管31を分岐位置42まで流れ、その分岐位置42からリターン配管40を通して第1の循環タンク22に戻される。つまり、第2の貯液部12に硫酸含有液を送らない期間は、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を硫酸含有液が循環している。そして、第2の貯液部12に硫酸含有液を送るタイミングになると、開閉バルブ38が開かれかつリターンバルブ41が閉じられることによって、第1の循環タンク22から汲み出される硫酸含有液が、第1の導液配管31を通して第2の貯液部に供給される。
【0071】
図2に示すように、第1の循環ヒータ24は、第1の導液配管31の途中部において第
2の送液装置
32の上流側に介装されている。第1の循環ヒータ24は、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環する硫酸含有液を加熱する(第2の加熱工程)。第1の循環ヒータ24の加熱温度は、所定の第1の温度(第2の加熱温度。たとえば約120℃~約130℃)に設定されている。第1の循環タンク22および第1の循環配管23を硫酸含有液が循環することにより、硫酸含有液が第1の温度に調整される。第2の貯液部12に硫酸含有液を送らない期間、硫酸含有液を循環させておくことによって、第1の温度に調整された硫酸含有液を第1の循環タンク22に貯留しておくことができる。また、開閉バルブ38の開成後、第1の温度に調整された硫酸含有液を第2の貯液部12に送ることができる。
【0072】
図2に示すように、第1の貯液部11は、排液タンク50をさらに含む。第1の循環タンク22には、排液タンク50に向けて延びた排液配管46が接続されている。排液配管46の途中部には、排液配管46を開閉する排液バルブ47が介装されている。第1の循環タンク22に貯留されている硫酸含有液を、それ以上基板Wの処理のために使用しない場合には、排液バルブ47が開かれ、第1の循環タンク22に貯留されている硫酸含有液が、第1の循環タンク22から排出され排液タンク50に導かれ、排液タンク50に貯留される。
【0073】
図2に示すように、排液タンク50からは導出配管48が延び、その導出配管48の下流端が、冷却ユニット(図示しない)に接続されている。導出配管48には、ポンプ等の第3の送液装置49が介装されている。第3の送液装置49が駆動されると、排液タンク50に貯留されている硫酸含有液は導出配管48に汲み出され、冷却ユニットに与えられる。そして、その冷却ユニットによって冷却された硫酸含有液は、機外に設けられた廃液装置(図示しない)に案内され、その廃液装置において処理される。
【0074】
以上、第1の貯液部11について説明した。第1の貯液部11において、処理ユニット6から回収されたSPMが、硫酸含有液として第1の循環タンク22に貯留される。第1の循環タンク22に貯留されている硫酸含有液が、第1の循環配管23を循環する。また、硫酸補充ユニット25からの硫酸が第1の循環タンク22に補充される。硫酸補充ユニット25が設けられているため、第1の貯液部11を、硫酸濃度調整用の貯液部と捉えることができる。
【0075】
図4は、
図1にそれぞれ示す第2の硫酸含有液供給装置10および装置本体2を、水平方向から見た図である。
第2の硫酸含有液供給装置10に含まれる第2の貯液部12は、第2の循環タンク(第2のタンク)51と、第2の循環ヒータ(第1のヒータ)52と、第2の循環配管53と、ヒータ(第3のヒータ)54とを含む。
【0076】
第2の循環タンク51には、第1の導液配管31の下流端が接続されている。第2の循環タンク51には、第1の貯液部11において第1の温度(たとえば約120℃~約130℃)に温度調整された硫酸含有液が導かれる。そして、導かれた硫酸含有液が第2の循環タンク51に貯留される(第2の貯留工程)。
第2の循環タンク51には、高さの異なる複数の位置にそれぞれセンサ部を有する液量計65が取り付けられており、これらの液量計65によって、第2の循環タンク51に貯留されている硫酸含有液の液面高さが検出される。
【0077】
第2の循環タンク51には、共通配管51Aが接続されている。第2の循環ヒータ52が、共通配管51Aの途中部に介装されている。
第2の循環タンク51および共通配管51Aには、3つの硫酸含有液流通配管51Bが接続されている。具体的には、共通配管51Aの下流端に、対応するタワーにそれぞれ硫酸含有液を供給するための3つの硫酸含有液流通配管51Bの上流端が接続されている。第2の循環タンク51には、これら3つの硫酸含有液流通配管51Bの下流端が接続されている。共通配管51Aおよび硫酸含有液流通配管51Bによって第2の循環配管53が構成されている。硫酸含有液流通配管51Bの途中部には、共通配管51A内の硫酸含有液を汲み出すためのポンプ等の第4の送液装置56が介装されている。第4の送液装置56によって第2の循環配管53に汲み出された硫酸含有液は、硫酸含有液流通配管51Bを上流端から下流端まで流通し、第2の循環タンク51に戻る。これにより、硫酸含有液が、第2の循環タンク51ならびに第2の循環配管53(共通配管51Aおよび硫酸含有液流通配管51B)を循環する。
【0078】
図4では、1つのタワーについてのみ詳細に図示し、他の2つのタワーに関しては、「他のタワー」とのみ記載し、詳細な記載を省略している。
第2の循環ヒータ52は、第2の循環タンク51ならびに第2の循環配管53(共通配管51Aおよび硫酸含有液流通配管51B)を循環する硫酸含有液を加熱する(第1の加熱工程)。第2の循環ヒータ52の加熱温度は、所定の第2の温度(>第1の温度。第1の加熱温度。たとえば約160℃)に設定されている。第2の循環タンク51ならびに第2の循環配管53(共通配管51Aおよび硫酸含有液流通配管51B)を硫酸含有液が循環することにより、硫酸含有液が、それまでの第1の温度から第2の温度に調整される。
【0079】
第2の貯液部12は、第2の循環配管53から分岐して、対応するタワーに含まれる複数(3つの)の処理ユニット6に硫酸含有液を供給するための硫酸含有液供給配管57を、タワーに含まれる処理ユニット6の数と同数含む。
ヒータ(第3のヒータ)54が、各硫酸含有液供給配管57の途中部に介装されている。また、各硫酸含有液供給配管57の途中部には、ヒータ54の下流側において、ヒータ54側から順に、流量計58、硫酸含有液流量調整バルブ(混合比変更ユニット)59および硫酸含有液バルブ60が介装されている。
【0080】
流量計58は、各硫酸含有液供給配管57内を流れる硫酸含有液の流量を検出する流量計である。
硫酸含有液流量調整バルブ59は、硫酸含有液供給配管57の開度を調整して、SPMノズル13に供給される硫酸含有液の流量を調整するためのバルブである。硫酸含有液流量調整バルブ59は、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む構成であってもよい。
【0081】
硫酸含有液バルブ60は、SPMノズル13への硫酸含有液の供給およびその停止を制御するためのバルブである。
硫酸含有液供給配管57には、硫酸含有液バルブ60と硫酸含有液流量調整バルブ59との間において、リターン配管61が分岐接続されている。リターン配管61の下流端は硫酸含有液流通配管51Bに接続されている。硫酸含有液供給配管57における分岐位置63の上流側部分の圧力損失が、リターン配管61での圧力損失よりも大きい。
【0082】
SPMノズル13に硫酸含有液を供給するときは、制御装置4は、硫酸含有液バルブ60を開く。これにより、リターン配管61での圧力損失が、硫酸含有液供給配管57における分岐位置63の下流側部分の圧力損失よりも大きくなる。そのため、硫酸含有液供給配管57における分岐位置63の上流側部分内の硫酸含有液は、硫酸含有液供給配管57における分岐位置63の下流側部分に供給され、この下流側部分からSPMノズル13に供給される。
【0083】
SPMノズル13への硫酸含有液の供給を停止させるときは、制御装置4は、硫酸含有液バルブ60を閉じる。これにより、リターン配管61での圧力損失が、硫酸含有液供給配管57における分岐位置63の下流側部分の圧力損失よりも小さくなる。そのため、分岐位置63に到達した硫酸含有液は、硫酸含有液供給配管57における分岐位置63の上流側部分を逆流することなく、リターン配管61へと導かれる。リターン配管61に導かれた硫酸含有液は、硫酸含有液流通配管51Bに戻り、再び、第2の循環タンク51および第2の循環配管53(共通配管51Aおよび硫酸含有液流通配管51B)を循環する。
【0084】
ヒータ54は、硫酸含有液供給配管57を流通する硫酸含有液を加熱する。ヒータ54の加熱温度は、所定の第3の温度(>第2の温度。たとえば約165℃)に設定されている。硫酸含有液供給配管57を硫酸含有液が流通することにより、それまで、第2の温度に温度調整されていた硫酸含有液が、それまでの第2の温度から第3の温度に昇温する。
基板処理装置1の運転中(基板Wの処理を停止している期間を含む)において、第4の送液装置56および第2の循環ヒータ52が常に駆動されている。そのため、基板処理装置1の運転中は、第2の循環タンク51ならびに第2の循環配管53(共通配管51Aおよび硫酸含有液流通配管51B)を、第2の温度に温度調整された硫酸含有液が循環している。
【0085】
硫酸含有液バルブ60が閉じられた状態では、第2の循環配管53を流れる硫酸含有液は、第2の循環配管53から硫酸含有液供給配管57に流れ、分岐位置63を介してリターン配管61に流れて、硫酸含有液流通配管51Bに戻る。これにより、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環する。
一方で、硫酸含有液バルブ60が開かれた状態では、硫酸含有液流通配管51Bを流れる硫酸含有液は、第2の循環配管53から硫酸含有液供給配管57に流れ、SPMノズル13に供給される。つまり、第3の温度に調整された硫酸含有液がSPMノズル13に供給される。
【0086】
液量計65の出力の参照により、第2の循環タンク51に溜められている硫酸含有液の液量は、制御装置4によって常時監視されている。そして、第2の循環タンク51に溜められている硫酸含有液の液量が下限液量よりも少なくなると、開閉バルブ38が開かれ、第1の貯液部11から第1の導液配管31を通って硫酸含有液が供給される。
3つの硫酸含有液流通配管51Bのうち1つには、第4の送液装置56の下流側に、硫酸含有液流通配管51Bを流れる硫酸含有液(つまりは、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液)の硫酸濃度を計測する硫酸濃度計64が介装されている。3つの第2の循環配管53を流れる硫酸含有液の硫酸濃度は互いに同一であると考えられるため、硫酸濃度計64は、3つの第2の循環配管53のうち1つに介装すれば足りる。
【0087】
硫酸濃度計64の出力の参照により、すなわち、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液の硫酸濃度(第2の循環タンク51に溜められている硫酸含有液の硫酸濃度)は、制御装置4によって常時監視されている。そして、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液の硫酸濃度が下限濃度よりも低くなると、硫酸補充配管44を開閉する硫酸補充バルブ45が開かれ、第1の循環タンク22に硫酸が供給される(硫酸補充工程)。これにより、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環している硫酸含有液の硫酸濃度が高くなり、それに従い、その後しばらくの期間の経過後には、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液の硫酸濃度が高くなる。
【0088】
以上、第2の貯液部12について説明した。第2の貯液部12において、第1の貯液部11から送られた硫酸含有液が第2の循環タンク51に貯留される。第2の循環タンク51に貯留されている硫酸含有液が加熱される。これにより、第2の貯液部12における硫酸含有液の温度を処理に適した温度まで上昇できる。そのため、第2の貯液部12を、硫酸含有液の温度調整用の貯液部と捉えることができる。
【0089】
図5は、処理ユニット6の構成例を説明するための図解的な断面図である。
処理ユニット6は、内部空間を有する箱形のチャンバ107と、チャンバ107内で1枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック(基板保持ユニット)108と、SPMノズル13と、スピンチャック108に保持されている基板Wの上面にリンス液を供給するためのリンス液供給ユニット110と、スピンチャック108を取り囲む筒状の処理カップ111とを含む。
【0090】
チャンバ107は、箱状の隔壁112と、隔壁112の上部から隔壁112内(チャンバ107内に相当)に清浄空気を送る送風ユニットとしてのFFU(ファン・フィルタ・ユニット)114と、隔壁112の下部からチャンバ107内の気体を排出する排気装置(図示しない)とを含む。FFU114は隔壁112の上方に配置されており、隔壁112の天井に取り付けられている。FFU114は、隔壁112の天井からチャンバ107内に清浄空気を送る。排気装置(図示しない)は、処理カップ111に接続された排気ダクト113を介して処理カップ111の底部に接続されており、処理カップ111の底部から処理カップ111内の気体を吸引する。FFU114および排気装置(図示しない)により、チャンバ107内にダウンフロー(下降流)が形成される。
【0091】
スピンチャック108として、基板Wを水平方向に挟んで基板Wを水平に保持する挟持式のチャックが採用されている。具体的には、スピンチャック108は、スピンモータ(回転ユニット)Mと、このスピンモータMの駆動軸と一体化されたスピン軸115と、スピン軸115の上端に略水平に取り付けられた円板状のスピンベース116とを含む。
スピンベース116は、基板Wの外径よりも大きな外径を有する水平な円形の上面116aを含む。上面116aには、その周縁部に複数個(3個以上。たとえば6個)の挟持部材117が配置されている。複数個の挟持部材117は、スピンベース116の上面周縁部において、基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けて配置されている。
【0092】
SPMノズル13は、たとえば、連続流の状態でSPMを吐出するストレートノズルである。SPMノズル13は、ノズルアーム119の先端部に取り付けられている。SPMノズル13は、たとえば、基板Wの上面に垂直な方向に処理液(SPM)を吐出する垂直姿勢でノズルアーム119に取り付けられている。ノズルアーム119は水平方向に延びている。また、ノズルアーム119には、ノズルアーム119を移動させることにより、SPMノズル13を移動させるノズル移動ユニット120が結合されている。ノズル移動ユニット120は、電動モータを含む構成である。
【0093】
ノズル移動ユニット120は、処理カップ111のまわりに設定された鉛直な揺動軸線まわりにノズルアーム119を水平移動させることにより、SPMノズル13を水平に移動させる。ノズル移動ユニット120は、SPMノズル13から吐出されたSPMが基板Wの上面に着液する処理位置と、SPMノズル13が平面視でスピンチャック108の周囲に位置する退避位置との間で、SPMノズル13を水平に移動させる。この実施形態では、処理位置は、たとえば、SPMノズル13から吐出されたSPMが基板Wの上面中央部に着液する中央位置である。
【0094】
処理液供給装置は、SPMノズル13に過酸化水素水(H2O2)を供給する過酸化水素水供給ユニット122を含む。過酸化水素水供給ユニット122は、SPMノズル13に接続された過酸化水素水配管135と、過酸化水素水配管135を開閉するための過酸化水素水バルブ136と、過酸化水素水バルブ136の開度を調整して、過酸化水素水バルブ136を流通する過酸化水素水の流量を調整する過酸化水素水流量調整バルブ(混合比変更ユニット)137とを含む。過酸化水素水流量調整バルブ137は、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む構成であってもよい。過酸化水素水配管135には、過酸化水素水供給源(図示しない)から、温度調整されていない常温(20~40℃)程度の過酸化水素水が供給される。
【0095】
硫酸含有液バルブ60および過酸化水素水バルブ136が開かれると、硫酸含有液供給配管57からの高温(165℃)の硫酸含有液および過酸化水素水配管135からの過酸化水素水が、SPMノズル13のケーシング(図示しない)内へと供給され、ケーシング内において十分に混合(攪拌)される。この混合によって、硫酸含有液と過酸化水素水とが均一に混ざり合い、硫酸含有液に含まれる硫酸と過酸化水素水との反応によって硫酸および過酸化水素水の混合液(SPM)が生成される。SPMは、酸化力が強いペルオキソ一硫酸(Peroxymonosulfuric acid;H2SO5)を含み、混合前の硫酸含有液(たとえば約165℃)および過酸化水素水の温度よりも高い温度(たとえば約190℃~約220℃まで昇温させられる。生成された高温のSPMは、SPMノズル13のケーシングの先端(たとえば下端)に開口した吐出口から吐出される。
【0096】
SPMノズル13に供給される硫酸含有液の流量は、硫酸含有液流量調整バルブ59によって変更される。SPMノズル13に供給される過酸化水素水の流量は、過酸化水素水流量調整バルブ137によって変更される。したがって、硫酸含有液および過酸化水素水の混合比は、硫酸含有液流量調整バルブ59および過酸化水素水流量調整バルブ137によって変更される。硫酸含有液および過酸化水素水の混合比(硫酸含有液および過酸化水素水の流量比)は、たとえば、30:1(硫酸含有液:過酸化水素水)~2:1(硫酸含有液:過酸化水素水)の範囲内で調整される。
【0097】
リンス液供給ユニット110は、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル147を含む。リンス液ノズル147は、たとえば、連続流の状態で液を吐出するストレートノズルである。リンス液ノズル147は、チャンバ107の隔壁112に対して固定された固定ノズルである。リンス液ノズル147の吐出口は、基板Wの上面中央部に向けてられている。リンス液ノズル147は、チャンバ107内で移動可能なスキャンノズルであってもよい。すなわち、リンス液供給ユニット110は、リンス液ノズル147を移動させることにより、基板Wの上面に対するリンス液の着液位置を基板Wの上面内で移動させるノズル移動ユニットを備えていてもよい。
【0098】
リンス液ノズル147は、リンス液供給源からのリンス液を案内するリンス液配管148に接続されている。リンス液配管148の途中部には、リンス液ノズル147からのリンス液の供給/供給停止を切り換えるためのリンス液バルブ149が介装されている。リンス液バルブ149が開かれると、リンス液がリンス液配管148からリンス液ノズル147に供給され、リンス液ノズル147の下端に設けられた吐出口から吐出される。
【0099】
リンス液バルブ149が閉じられると、リンス液配管148からリンス液ノズル147へのリンス液の供給が停止される。リンス液は、たとえば脱イオン水(DIW(Deionized Water))であるが、DIWに限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、アンモニア水および希釈濃度(たとえば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。リンス液は、常温(20~40℃)であってもよいし、基板Wに供給される前に加熱されていてもよい。
【0100】
処理カップ111は、スピンチャック108に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。処理カップ111は、スピンベース116の側方を取り囲んでいる。スピンチャック108が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いた処理カップ111の上端部111aは、スピンベース116よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液や水などの処理液は、処理カップ111によって受け止められる。そして、処理カップ111に受け止められた処理液は、第1の貯液部11のリクレームタンク21に送られるか、または冷却ユニット(図示しない)を介して廃液装置(図示しない)に送られる。
【0101】
処理カップ111は、基板Wの周囲に飛散した処理液(薬液またはリンス)を受け止める複数の筒状のガード143~145(第1、第2および第3のガード143,144,145)と、複数のガード143~145によって案内された処理液を受け止める環状の複数のカップ141,142と、複数のガード143~145および複数のカップ141,142を取り囲む円筒部材140とを含む。
【0102】
処理カップ111は、さらに、個々のガード143~145を独立して昇降させるガード昇降ユニット146を含む。ガード昇降ユニット146は、たとえば、動力を発生する電動モータと、電動モータの動力をいずれかのガード143~145に伝達するボールねじ機構とを含む。ガード昇降ユニット146が3つのガード143~145のうちの少なくとも一つを昇降させると、処理カップ111の状態が切り換わる。
【0103】
後述するように、処理カップ111の状態は、全てのガード143~145の上端が基板Wよりも下方に配置された退避状態(
図5に示す状態)と、第1のガード143が基板Wの周端面に対向する第1の対向状態と、第2のガード144が基板Wの周端面に対向する第2の対向状態と、第3のガード145が基板Wの周端面に対向する第3の対向状態と、のうちのいずれかに切り換えられる。
【0104】
第1のカップ141は、円筒部材140の内側でスピンチャック108を取り囲んでいる。第1のカップ141は、基板Wの処理に使用された処理液が流入する環状の第1の溝150を区画している。第1の溝150の底部の最も低い箇所には、排液口151が開口しており、排液口151には、第1の排液配管152が接続されている。第1の排液配管152に導入される処理液は、排液装置に送られ、当該装置で処理される。
【0105】
第2のカップ142は、円筒部材140の内側で第1のカップ141を取り囲んでいる。第2のカップ142は、基板Wの処理に使用された処理液が流入する環状の第2の溝153を区画している。第2の溝153の底部の最も低い箇所には、排液/回収口154が開口しており、排液/回収口154には、共用配管155が接続されている。回収配管156および第2の排液配管157は、共用配管155から分岐している。回収配管156の上流端は、共用配管155に接続されており、回収配管156の下流端は、第1の貯液部11のリクレームタンク21に接続されている。
【0106】
回収配管156には回収バルブ158が介装されており、第2の排液配管157には排液バルブ159が介装されている。排液バルブ159が閉じられ、回収バルブ158が開かれると、共用配管155内を流れる液が回収配管156に導かれる。また、排液バルブ159が開かれ、回収バルブ158が閉じられると、共用配管155内を流れる液が第2の排液配管157に導かれる。回収バルブ158および排液バルブ159は、基板Wから排出された液が流入する配管を回収配管156と第2の排液配管157との間で切り換える回収排液切り換えユニットに含まれる。
【0107】
最も内側の第1のガード143は、円筒部材140の内側でスピンチャック108を取り囲んでいる。第1のガード143は、スピンチャック108の周囲を取り囲む円筒状の下端部163と、下端部163の上端から外方(基板Wの回転軸線A1から遠ざかる方向)に延びる筒状部164と、筒状部164の上端から鉛直上方に延びる円筒状の中段部165と、中段部165の上端から内方(基板Wの回転軸線A1に近づく方向)に向かって斜め上方に延びる円環状の上端部166とを含む。
【0108】
第1のガード143の下端部163は、第1のカップ141の第1の溝150上に位置している。第1のガード143の上端部166の内周端は、平面視で、スピンチャック108に保持される基板Wよりも大径の円形をなしている。
図5に示すように、第1のガード143の上端部166の断面形状は直線状である。上端部166の断面形状は、円弧などの直線状以外の形状であってもよい。
【0109】
内側から2番目の第2のガード144は、円筒部材140の内側で第1のガード143を取り囲んでいる。第2のガード144は、第1のガード143を取り囲む円筒部167と、円筒部167の上端から中心側(基板Wの回転軸線A1に近づく方向)に斜め上方に延びる円環状の上端部168とを有している。第2のガード144の円筒部167は、第2のカップ142の第2の溝153上に位置している。
【0110】
第2のガード144の上端部168の内周端は、平面視で、スピンチャック108に保持される基板Wよりも大径の円形をなしている。第2のガード144の上端部168の断面形状は直線状である。上端部168の断面形状は、円弧などの直線状以外の形状であってもよい。第2のガード144の上端部168は、第1のガード143の上端部166と上下方向に重なっている。第2のガード144の上端部168は、第1のガード143と第2のガード144とが最も近接した状態で第1のガード143の上端部166に対して微少な隙間を保って近接するように形成されている。
【0111】
内側から3番目の第3のガード145は、円筒部材140の内側で第2のガード144を取り囲んでいる。第3のガード145は、第2のガード144を取り囲む円筒部170と、円筒部170の上端から中心側(基板Wの回転軸線A1に近づく方向)に斜め上方に延びる円環状の上端部171とを有している。上端部171の内周端は、平面視で、スピンチャック108に保持される基板Wよりも大径の円形をなしている。上端部171の断面形状は直線状である。上端部171の断面形状は、円弧などの直線状以外の形状であってもよい。
【0112】
第1のカップ141の第1の溝150、第1のガード143の内壁143aおよびスピンチャック108のケーシングの外周は、基板Wの処理に用いられた薬液が導かれる第1の流通空間(換言すると、排液空間)SP1を区画している。第2のカップ142の第2の溝153、第1のガード143の外壁143bおよび第2のガード144の内壁144aは、基板Wの処理に用いられた薬液が導かれる第2の流通空間(換言すると、回収空間)SP2を区画している。第1の流通空間SP1と第2の流通空間SP2とは、第1のガード143によって互いに隔離されている。
【0113】
ガード昇降ユニット146は、ガード143~145の上端部が基板Wより上方に位置する上位置と、ガード143~145の上端部が基板Wより下方に位置する下位置との間で、各ガード143~145を昇降させる。ガード昇降ユニット146は、上位置と下位置との間の任意の位置で各ガード143~145を保持可能である。基板Wへの処理液の供給は、いずれかのガード143~145が基板Wの周端面に対向している状態で行われる。
【0114】
最も内側の第1のガード143を基板Wの周端面に対向させる、処理カップ111の第1の対向状態では、第1~第3のガード143~145の全てが上位置(処理高さ位置)に配置される。内側から2番目の第2のガード144を基板Wの周端面に対向させる、処理カップ111の第2の対向状態では、第2および第3のガード144,145が上位置に配置され、かつ第1のガード143が下位置に配置される。最も外側の第3のガード145を基板Wの周端面に対向させる、処理カップ111の第3の対向状態では、第3のガード145が上位置に配置され、かつ第1および第2のガード143,144が下位置に配置される。全てのガード143~145を、基板Wの周端面から退避させる退避状態(
図5参照)では、第1~第3のガード143~145の全てが下位置に配置される。
【0115】
後述するように、処理カップ111を第1の対向状態から第2の対向状態に切り換えるときに、第1のガード143は、第2および第3のガード144,145が上位置に配置されている状態で、上位置と下位置との間の洗浄高さ位置に配置される。この状態は、処理カップ111が第1の対向状態から第2の対向状態に切り換わる移行状態である。処理カップ111は、第1~第3の対向状態、退避状態、および移行状態を含む複数の状態のうちのいずれかに切り換わる。移行状態は、第1のガード143が基板Wの周端面に対向する状態である。
【0116】
図6は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
制御装置4は、たとえばコンピュータである。制御装置4は、CPU等の演算ユニットと、固定メモリデバイス、ハードディスクドライブ等の記憶ユニットと、情報の入力および出力が行われる入出力ユニットとを有している。記憶ユニットは、演算ユニットによって実行されるコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。記録媒体には、制御装置4に後述するレジスト除去処理を実行させるようにステップ群が組み込まれている。
【0117】
制御装置4は、予め定められたプログラムにしたがって、スピンモータM、ノズル移動ユニット120、ガード昇降ユニット146、第1の送液装置29、第2の送液装置32、第3の送液装置49、第4の送液装置56、第1の循環ヒータ24、第2の循環ヒータ52、ヒータ54等の動作を制御する。また、制御装置4は、予め定められたプログラムにしたがって、開閉バルブ38、リターンバルブ41、硫酸補充バルブ45、排液バルブ47、硫酸含有液バルブ60、過酸化水素水バルブ136、リンス液バルブ149、回収バルブ158、排液バルブ159等の開閉動作を制御する。また、制御装置4は、予め定められたプログラムにしたがって、硫酸含有液流量調整バルブ59、過酸化水素水流量調整バルブ137の開度を調整する。硫酸濃度計64および液量計65の計測値はそれぞれ制御装置4に入力される。
【0118】
図7は、基板処理装置1によって行われる基板Wの処理の一例について説明するためのフローチャートである。
以下では、
図1~
図7を参照しながら、基板Wの処理の一例について説明する。この基板Wの処理の一例は、基板Wの上面(主面)からレジストを除去するレジスト除去処理である。レジストは、たとえば、炭素を含む化合物によって形成されたフォトレジストである。
【0119】
基板処理装置1によって基板Wが処理されるとき、制御装置4は、全てのノズルがスピンチャック108の上方から退避しており、全てのガード143~145が下位置に位置している状態で、基板Wの表面(デバイス形成面)の少なくとも一部がレジストで覆われた基板Wを保持している基板搬送ロボットCR1,CR2(
図1参照)のハンドをチャンバ107の内部に進入させる。これにより、基板Wは、その表面が上に向けた状態でスピンチャック108に渡され、スピンチャック108に保持される。
【0120】
基板Wがスピンチャック108に保持された後、制御装置4は、スピンモータMに回転を開始させる。これにより、基板Wの回転が開始される(
図7のS2)。基板Wの回転速度は、予め定める液処理速度(300~1500rpmの範囲内で、たとえば500rpm)まで上昇させられ、その液処理速度に維持される。そして、基板Wの回転速度が液処理速度に達すると、制御装置4は、SPM工程S3を実行する。
【0121】
具体的には、制御装置4は、ノズル移動ユニット120を制御して、SPMノズル13を、退避位置から処理位置に移動させる。また、制御装置4は、硫酸含有液バルブ60および過酸化水素水バルブ136を同時に開く。これにより、硫酸含有液供給配管57を通って硫酸含有液がSPMノズル13に供給されると共に、過酸化水素水配管135を通って過酸化水素水がSPMノズル13に供給される。SPMノズル13の内部において硫酸含有液と過酸化水素水とが混合され、高温(たとえば、190~220℃)のSPMが生成される。そのSPMが、SPMノズル13の吐出口から吐出され、基板Wの上面中央部に着液する。
【0122】
SPMノズル13から吐出されたSPMは、基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、SPMが基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜が基板W上に形成される。これにより、レジストとSPMとが化学反応し、基板W上のレジストがSPMによって基板Wから除去される。基板Wの周縁部に移動したSPMは、基板Wの周縁部から基板Wの側方に向けて飛散する。
【0123】
なお、制御装置4は、SPM工程S3において、ノズル移動ユニット120を制御して、SPMノズル13を、基板Wの上面の周縁部に対向する周縁位置と、基板Wの上面の中央部に対向する中央位置との間で移動させてもよい。この場合、基板Wの上面におけるSPMの着液位置が、基板Wの上面の全域を通過するので、基板Wの上面の全域がSPMの着液位置で走査される。これにより、基板Wの上面全域が均一に処理される。
【0124】
SPMの吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置4は、硫酸含有液バルブ60および過酸化水素水バルブ136を閉じて、SPMノズル13からのSPMの吐出を停止する。これにより、SPM工程S3が終了する。その後、制御装置4がノズル移動ユニット120(
図6参照)を制御して、SPMノズル13を退避位置に戻させる。
次いで、リンス液を基板Wに供給するリンス工程(
図7のS4)が行われる。具体的には、制御装置4は、リンス液バルブ149を開いて、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル147にリンス液を吐出させる。リンス液ノズル147から吐出されたリンス液は、SPMによって覆われている基板Wの上面中央部に着液する。基板Wの上面中央部に着液したリンス液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面上を基板Wの周縁部に向けて流れる。これにより、基板W上のSPMが、リンス液によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。その結果、SPMおよびレジスト(レジスト残渣)が基板Wの上面の全域から洗い流される。リンス工程S4の開始から予め定める期間が経過すると、制御装置4は、リンス液バルブ149を閉じて、リンス液ノズル147にリンス液の吐出を停止させる。
【0125】
次いで、基板Wを乾燥させる乾燥工程(
図7のS5)が行われる。具体的には、制御装置4は、スピンモータMを制御することにより、SPM工程S3およびリンス工程S4までの回転速度よりも大きい乾燥回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液に加わり、基板Wに付着している液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置4は、スピンモータMを停止させ、スピンチャック108による基板Wの回転を停止させる(
図7のS6)。
【0126】
次いで、チャンバ107内から基板Wが搬出される(
図7のS7)。具体的には、制御装置4は、全てのガード143~145が下位置に位置している状態で、基板搬送ロボットCR1,CR2のハンドをチャンバ107の内部に進入させる。そして、制御装置4は、基板搬送ロボットCR1,CR2のハンドにスピンチャック108上の基板Wを保持させる。その後、制御装置4は、基板搬送ロボットCR1,CR2のハンドをチャンバ107内から退避させる。これにより、表面(デバイス形成面)からレジストが除去された基板Wがチャンバ107から搬出される。
【0127】
次に、SPM工程(
図7のS3)における、硫酸含有液および過酸化水素水の混合比の推移と、第1のガード143および第2のガード144の動作等について説明する。
図8は、SPM工程(
図7のS3)における、硫酸含有液および過酸化水素水の混合比の推移と、第1のガード143および第2のガード144の動作等を示すタイミングチャートである。
図8において、回収のONは、基板Wから排出されたSPMが第2のガード144を介して回収配管156に流入することを表し、回収のOFFは、回収配管156へのSPMの流入が停止されていることを表す。
図8において、排液のONは、基板Wから排出されたSPMが第1のガード143を介して第1の排液配管152に流入することを表し、排液のOFFは、第1の排液配管152へのSPMの流入が停止されていることを表す。以下では、
図5および
図8を参照する。以下の動作等は、制御装置4が基板処理装置1を制御することにより実行される。言い換えると、制御装置4は、以下の動作等を実行するようにプログラムされている。
【0128】
図8に示す時刻T1で硫酸含有液バルブ60および過酸化水素水バルブ136が開かれると、硫酸含有液が第1の硫酸含有液流量でSPMノズル13に供給され、過酸化水素水が第1のH
2O
2流量でSPMノズル13に供給される。そのため、硫酸含有液および過酸化水素水は、SPMノズル13内において第1の混合比(第1の硫酸含有液流量/第1のH
2O
2流量)で混合される。これにより、第1のSPMが、SPMノズル13内で作成され、SPMノズル13から基板Wの上面に向けて吐出される(第1のSPM供給工程)。その結果、基板Wの上面の全域を覆う第1のSPMの液膜が形成される。
【0129】
硫酸含有液バルブ60および過酸化水素水バルブ136が開かれてから所定時間が経過すると、
図8に示す時刻T2で硫酸含有液流量調整バルブ59および過酸化水素水流量調整バルブ137の少なくとも一方の開度が変更され、硫酸含有液および過酸化水素水が、第1の混合比よりも大きい第2の混合比(第2の硫酸含有液流量/第2のH
2O
2流量)でSPMノズル13内で混合される。
図8は、硫酸含有液流量調整バルブ59および過酸化水素水流量調整バルブ137の両方の開度が変更される例を示している。これにより、第2のSPMが、SPMノズル13内で作成され、SPMノズル13から基板Wの上面に向けて吐出される(第2のSPM供給工程)。その結果、基板Wの上面の全域を覆う第1のSPMの液膜が、基板Wの上面の全域を覆う第2のSPMの液膜に置換される。
【0130】
図8に示す例では、硫酸含有液が第1の硫酸含有液流量よりも大きい第2の硫酸含有液流量でSPMノズル13に供給され、過酸化水素水が第1のH
2O
2流量よりも小さい第2のH
2O
2流量でSPMノズル13に供給される。第2の硫酸含有液流量および第2のH
2O
2流量は、混合比(過酸化水素水に対する硫酸含有液の比)が変更されてもSPMノズル13から吐出されるSPMの流量が一定に保たれるように設定されてもよいし、SPMノズル13から吐出されるSPMの流量が増加または減少するように設定されてもよい。混合比は、第1の混合比から第2の混合比に連続的に変更される。したがって、基板Wの上面に供給されるSPMは、過酸化水素濃度が高い状態から硫酸含有液の濃度が高い状態に連続的に変化する。
【0131】
SPMの混合比が第2の混合比に変更されてから所定時間が経過すると、
図8に示す時刻T5で硫酸含有液バルブ60および過酸化水素水バルブ136が閉じられ、SPMノズル13からのSPMの吐出が停止される。
図8に示すように、処理カップ111は、SPMノズル13が第1のSPMの吐出を開始する前に(
図8に示す時刻T1の前に)、3つのガード143~145の中で最も内側の第1のガード143が基板Wの周端面に対向する第1の対向状態に設定されている。したがって、基板Wから排出された第1のSPMは、第1のガード143の内壁143aによって受け止められ、第1のカップ141に案内される(第1のSPM捕獲工程)。そして、第1のカップ141内の第1のSPMは、第1の排液配管152に排出される(
図8に示す排液のON。排液工程)。
【0132】
図8に示すように、SPMの混合比が第2の混合比に変更された時点では(
図8に示す時刻T2)、第1のガード143は、上位置に位置している。したがって、基板Wから排出された第2のSPMは、第1のガード143の内壁143aによって受け止められ、第1のカップ141に案内される。ガード昇降ユニット146は、SPMの混合比が第2の混合比に変更された後、
図8に示す時刻T3で第1のガード143を上位置と下位置との間の洗浄高さ位置まで下降させる。これにより、第2のSPMが第1のガード143の内壁143aに直接当たる位置が、第1のガード143に対して上方に移動する。
【0133】
ガード昇降ユニット146は、たとえば第1のガード143を洗浄高さ位置で所定時間静止させた後、
図8に示す時刻T4で第1のガード143を下位置まで下降させる。したがって、処理カップ111は、SPMノズル13が第2のSPMを吐出しており、基板Wの上面の全域が第2のSPMの液膜で覆われている状態で、第2のガード144が基板Wの周端面に対向する第2の対向状態に切り換わる。基板Wから排出された第2のSPMは、第2のガード144の内壁144aによって受け止められ、第2のカップ142に案内される(第2のSPM捕獲工程)。そして、第2のカップ142内の第2のSPMは、共用配管155および回収配管156を介して、第1の貯液部11のリクレームタンク21に送られる。これにより、基板Wに供給された第2のSPMが回収される(回収工程。
図8に示す回収のON)。
【0134】
図8に示す時刻T5でSPMノズル13からのSPMの吐出が停止されると、ガード昇降ユニット146は、
図8に示す時刻T6で第1のガード143を下位置から上位置まで上昇させる。これにより、処理カップ111は、SPMノズル13がSPMの吐出を停止しており、基板Wの上面の全域がSPMの液膜で覆われている状態で、第1のガード143が基板Wの周端面に対向する第1の対向状態に切り換わる。この状態で、リンス液を基板Wに供給するリンス工程(
図7のS4)が行われる。基板Wを乾燥させる乾燥工程(
図7のS5)は、第3のガード145が基板Wの周端面に対向する第3の対向状態に処理カップ111が設定された状態で行われる。
【0135】
図9は、SPMを作成するために硫酸含有液および過酸化水素水を混合し、基板Wから回収されたSPMを別の基板Wに供給するときの流れを示すフローチャートである。以下では、
図5および
図9を参照する。以下の動作等は、制御装置4が基板処理装置1を制御することにより実行される。言い換えると、制御装置4は、以下の動作等を実行するようにプログラムされている。
【0136】
前述のように、SPM工程(
図7のS3)を開始するときは、
図9に示すように、硫酸含有液および過酸化水素水を第1の混合比で混合して、第1のSPMを作成する(
図9のS11)。第1のSPMは、SPMノズル13から吐出され、基板Wに供給される(
図9のS12)。そして、基板Wから排出された第1のSPMは、第1のガード143および第1のカップ141を介して第1の排液配管152に導かれる。
【0137】
第1のSPMの吐出が開始されてから所定時間が経過すると、硫酸含有液および過酸化水素水の混合比(混合前の過酸化水素水の流量に対する混合前の硫酸含有液の流量の比)が、第1の混合比から第2の混合比に増加する(
図9のS13)。これにより、硫酸含有液および過酸化水素水が第2の混合比で混合され、第2のSPMが作成される。その後、第2のSPMは、基板Wに供給され(
図9のS14)、基板Wから排出される。基板Wから排出された第2のSPMは、第2のガード144、第2のカップ142、共用配管155、および回収配管156を介して、第1の貯液部11のリクレームタンク21に硫酸含有液として回収される(
図9のS15)。
【0138】
リクレームタンク21に回収された硫酸含有液は、第1の貯液部11の第1の循環タンク22を経て、第2の貯液部12の第2の循環タンク51に送られる。過酸化水素は高温状態において水と酸素とに分解し易いため、リクレームタンク21に回収された第2のSPM(硫酸含有液)は水を含む。しかしながら、第2のSPM(硫酸含有液)の成分の半分以上は硫酸である。リクレームタンク21に回収された第2のSPM(硫酸含有液)は、第1の循環タンク22内の硫酸含有液および第2の循環タンク51内の硫酸含有液と混合され、第2の循環タンク51ならびに第2の循環配管53(共通配管51Aおよび硫酸含有液流通配管51B)を循環する。こうして循環する硫酸含有液の硫酸濃度は、硫酸濃度計64によって計測される(
図9のS16)。制御装置4は、硫酸濃度計64の計測値に基づいて、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環する硫酸含有液の硫酸濃度を監視している(
図9のS17)。
【0139】
硫酸濃度計64によって計測された硫酸含有液の硫酸濃度が下限値以上であれば(
図9のS17でYES)、制御装置4は、硫酸含有液バルブ60を開く。これにより、硫酸含有液流通配管51Bを流れる硫酸含有液は、硫酸含有液供給配管57を流れて、SPMノズル13に供給される。これにより、基板Wから排出された第2のSPMに基づいて作成された硫酸含有液が過酸化水素水と混合され、新たなSPMが作成される。そして、この新たなSPMは、後続の基板Wに供給される。これにより、基板Wから排出されたSPMが再利用されるので、SPMの廃棄量を減らすことができる。
【0140】
その一方で、硫酸濃度計64によって計測された硫酸含有液の硫酸濃度が下限値を下回る場合(
図9のS17でNO)、制御装置4は、硫酸補充配管44に介装された硫酸補充バルブ45を開いて、第1の循環タンク22内に硫酸を補充する(
図9のS18)。未使用の硫酸が第1の循環タンク22内に補充されることにより、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環する硫酸含有液の硫酸濃度が上昇する。その後、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環する硫酸含有液が、第1の導液配管31を通って第2の循環タンク51に送られることにより、第2の循環タンク51ならびに第2の循環配管53(共通配管51Aおよび硫酸含有液流通配管51B)を循環する硫酸含有液の硫酸濃度が上昇する。これにより、こうして循環する硫酸含有液の硫酸濃度が高い状態が維持される。
【0141】
図7~
図9を用いて説明した基板処理例では、第1のSPMを作成するために硫酸含有液および過酸化水素水が混合され、作成された第1のSPMが基板Wに供給される。そして、第1のSPMの供給が停止された後、第2のSPMを作成するために硫酸含有液および過酸化水素水が混合され、作成された第2のSPMが基板Wに供給される。これにより、第1のSPMおよび第2のSPMが基板Wに供給され、レジストが基板Wから除去される。
【0142】
第1のSPMを作成するときは、硫酸含有液および過酸化水素水が第1の混合比で混合される。第2のSPMを作成するときは、硫酸含有液および過酸化水素水が第2の混合比で混合される。第1の混合比および第2の混合比は、いずれも、混合前の過酸化水素水の体積に対する混合前の硫酸含有液の体積の比を表す。第1の混合比は、第2の混合比よりも小さい。したがって、第1のSPMに含まれる過酸化水素濃度は、第2のSPMに含まれる過酸化水素濃度よりも高い。
【0143】
過酸化水素濃度が相対的に高いので、第1のSPMは、第2のSPMよりも高い除去能力を有している。したがって、レジストを効率的に基板Wから除去できる。そして、第1のSPMが基板Wに供給された後、第2のSPMが基板Wに供給される。第2のSPMは除去能力が第1のSPMより劣るものの、第1のSPMの供給によって殆ど全てのレジストが基板Wから除去されているので、比較的除去し易いレジストしか基板Wに残っていない。また、基板Wに供給されるSPM(第2のSPM)の温度が非常に高温(約190℃~約220℃)に調整されているため、第1のSPMより劣るものの高い除去能力を有している。これらにより、除去能力が劣る第2のSPMであっても、レジストを基板Wから確実に除去できる。
【0144】
基板Wから排出された第1のSPMは、回収配管156ではなく、第1の排液配管152に流入する。基板Wから排出された第1のSPMは、過酸化水素濃度が相対的に高く、硫酸濃度が相対的に低い。それだけでなく、基板Wから排出された第1のSPMは、第1のSPMとレジストとの反応によって生じた多くの汚染物質(レジストの炭化物など)を含んでいる。したがって、基板Wから排出された第1のSPMは、回収に適さない。
【0145】
その一方で、基板Wから排出された第2のSPMは、硫酸濃度が相対的に高い。さらに、基板Wから排出された第2のSPMに含まれる汚染物質の量は、基板Wから排出された第1のSPMに含まれる汚染物質の量よりも少ない。したがって、硫酸濃度が相対的に高く、汚染物質の含有量が少ない第2のSPMが、回収配管156に導かれ、過酸化水素水と再び混合される。これにより、第2のSPMに含まれる硫酸が過酸化水素水と反応し、新たなSPMが作成される。そのため、SPMの廃棄量を減らすことができる。
【0146】
このように、硫酸濃度、つまり、混合前の硫酸および過酸化水素水の体積に対する混合前の硫酸の体積の割合が大きいときに、SPMを回収するので、硫酸濃度が高いSPMを回収することができる。さらに、硫酸濃度が大きい状態を維持するのではなく、SPMの回収を開始する前に、過酸化水素濃度が高く、十分な除去能力を有するSPMを基板Wに供給するので、レジストを効率的に基板Wから除去できる。したがって、基板Wから効率良くレジストを除去しながら、硫酸濃度が高いSPMを回収することができる。
【0147】
この基板処理例では、基板Wから排出された第1のSPMが、基板Wを取り囲む第1のガード143に受け止められる。基板Wから排出された第2のSPMが、基板Wを取り囲む第2のガード144に受け止められる。第1のガード143に受け止められた第1のSPMは、第1のガード143に接続された第1の排液配管152に流入する。第2のガード144に受け止められた第2のSPMは、第2のガード144に接続された回収配管156に流入する。
【0148】
基板Wから排出された第1のSPMは、多くの汚染物質を含んでいる。したがって、第1のガード143が第1のSPMを受け止め後は、汚染物質が第1のガード143の内周面に残留している場合がある。基板Wから排出された第2のSPMを第1のガード143で受け止めて回収すると、第1のガード143に付着している汚染物質が、第2のSPMに混入する場合がある。したがって、第1のガード143とは異なる第2のガード144に第2のSPMを受け止めさせることにより、回収されたSPMに含まれる汚染物質の量を減らすことができる。
【0149】
この基板処理例では、第1のSPMの供給が停止されたときに基板Wから排出された第1のSPMは、第1のガード143に受け止められる。その後、第1のガード143および第2のガード144の状態が第1の対向状態から第2の対向状態に切り換えられ、基板Wから排出された第2のSPMが第2のガード144に受け止められる。つまり、汚染物質の含有量が多い第1のSPMの排出が終了した後に、第1のガード143が基板Wに直接対向した状態から第2のガード144が基板Wに直接対向した状態に切り換えられる。これにより、汚染物質の含有量が多い第1のSPMで第2のガード144が汚染されることを防止できる。
【0150】
図10は、回収された硫酸含有液の硫酸濃度の推移を示すグラフである。
図10中の縦軸は、回収された硫酸含有液の硫酸濃度を示している。
図10中の横軸は、基板処理装置1で処理された基板Wの枚数を示している。
図10中の比X、比Y、および比Zは、いずれも、過酸化水素水の流量を1とした場合の硫酸含有液の流量の比を示している。比Xは、比Yよりも大きく、比Yは、比Zよりも大きい(比X>比Y>比Z)。
【0151】
図10を見ると分かるように、硫酸含有液の比が比X、比Y、および比Zのいずれの場合も、硫酸含有液の硫酸濃度は、基板Wの処理枚数が増えるにしたがって減少する。硫酸の濃度の低下率は、硫酸含有液の比が小さいほど大きい。つまり、硫酸含有液の比が比Zのとき、硫酸含有液における硫酸濃度の低下率が最も大きく、硫酸含有液の比が比Yのとき、硫酸含有液における硫酸濃度の低下率が2番目に大きい。言い換えると、硫酸含有液の比が高いと、硫酸含有液における硫酸濃度が低下し難い。硫酸含有液の比が比Xのとき、基板Wに供給されたSPMを回収しながら100枚以上の基板Wを処理しても、硫酸含有液の硫酸濃度が90%程度までしか低下しないことが確認された。
【0152】
前述のように、本実施形態では、硫酸含有液の硫酸濃度が高いSPMを硫酸含有液供給装置8に回収し、回収されたSPMを硫酸含有液として再利用する。
図10を見ると分かるように、硫酸含有液の比が小さいほど、硫酸の濃度の低下率が大きいので、硫酸含有液供給装置8に回収する硫酸含有液の比が
大きければ、多数枚の基板Wを処理しても硫酸含有液における硫酸濃度が低下し難い。したがって、硫酸含有液供給装置8に回収される硫酸含有液の硫酸濃度を再利用に適した値に維持できる。これにより、第1および第2の循環タンク22,51内の硫酸含有液を新しい硫酸に交換する頻度や、第1の循環タンク22内に新しい硫酸を補充する頻度を減らすことができる。ゆえに、硫酸の消費量(すなわち、硫酸の廃棄量)を低減できる。
【0153】
以上によりこの実施形態によれば、硫酸含有液供給装置8において、硫酸濃度調整用の貯液部(第1の貯液部11)と、温度調整用の貯液部(第2の貯液部12)とを別に設けている。補充される硫酸の温度が室温であることから、仮に、温度調整用の第2の貯液部12において、硫酸の補充を行いながら硫酸含有液を温度調整すると、貯液部における硫酸含有液の温度が安定しない。この実施形態では、硫酸濃度調整用の第1の貯液部11と、温度調整用の第2の貯液部12とをそれぞれ別に設けるので、第2の貯液部12において硫酸含有液の温度が安定する。これにより、SPMノズル13に供給される硫酸含有液を所望の高温に調整できる。
【0154】
この実施形態では、第1および第2の貯液部11,12においてそれぞれ第2および第1の循環ヒータ52,24によって硫酸含有液が加熱される。そのため、硫酸含有液により多くの熱量を与えることができる。また、第1の貯液部11において第1の温度(約120℃~約130℃)に温度調整された硫酸含有液が第2の貯液部12に供給される。そして、第2の貯液部12において硫酸含有液が加熱されて、第2の温度(約160℃)まで昇温される。つまり、硫酸含有液が段階的に加熱される。そのため、第2の貯液部12において、硫酸含有液をより高温まで昇温させることが可能である。
【0155】
また、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液が、硫酸含有液供給配管57に導かれる。そして、硫酸含有液供給配管57を流通している硫酸含有液がヒータ54によって加熱される。ヒータ54による加熱によって、硫酸含有液を、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環していたときよりもさらに高温の第3の温度(約165℃)まで昇温させることが可能である。
【0156】
SPMの混合比が第2の混合比である第2のSPMは、除去能力が第1のSPMより劣る。しかしながら、SPMの除去能力は、過酸化水素濃度だけでなく、そのSPMの温度にも依存している。すなわち、SPMの除去能力は、そのSPMの温度が高くなるにつれて上昇する。そして、硫酸含有液の温度が高くなるにつれて、混合後のSPMの温度が高くなる。したがって、混合前の硫酸含有液の温度を高めることで、混合比が第2の混合比であっても、SPMの除去能力を高く保つことができる。これにより、混合比が第2の混合比であっても、基板Wからレジストを効率良く除去できる。
【0157】
この実施形態では、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液の硫酸濃度が硫酸濃度計64によって計測される。そのため、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液の硫酸濃度を正確に求めることができる。そして、硫酸濃度計64によって計測された硫酸濃度が下限値を下回ると、硫酸補充ユニット25によって、第1の循環タンク22に硫酸が供給される。これにより、SPMノズル13に供給される硫酸含有液の硫酸濃度を所望の高濃度に調整できる。
【0158】
この実施形態では、第1および第2の循環ヒータ24,52の双方を用いて硫酸含有液を加熱するので、第2の循環ヒータ52のみで硫酸含有液を加熱する場合と比較して、第2の循環ヒータ52に加わる負担を低減できる。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る第1の硫酸含有液供給装置209を、水平方向から見た図である。
図11において、前述の
図1~
図10に示された構成と同等の構成については、
図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0159】
第2の実施形態に係る第1の硫酸含有液供給装置209が、第1の実施形態に係る第1の硫酸含有液供給装置9と相違する点は、第1の貯液部に加えて第3の貯液部213をさらに設けた点である。第3の貯液部213には、第1の貯液部から硫酸含有液が送られ、第3の貯液部213に貯留されている硫酸含有液は、第2の貯液部12に送られる。
また、第1の貯液部211は、第1の循環ヒータ24が廃止されている点で、第1の実施形態に係る第1の貯液部11と相違している。また、第1の貯液部211は、排液タンク50を備えていない。すなわち、第1の貯液部211には、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環している硫酸含有液を加熱するためのユニットが設けられていない。
【0160】
リクレームタンク21に回収されるSPMは、硫酸含有液としてリクレームタンク21に貯留される。基板Wから排出されたSPMは、処理カップ111、回収配管156および回収導出配管26を流れる過程で冷却されながら、リクレームタンク21に回収される。そのため、リクレームタンク21に回収されるSPMは、基板Wに供給されるSPMの温度(約190℃~約220℃)よりもかなり低いが、それでも約80℃~約90℃という高い液温を有している。
【0161】
リクレームタンク21に貯留されている硫酸含有液は、第1の送液装置29の駆動によって、移送配管28を介して第1の循環タンク22に送られる。そして、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を硫酸含有液が循環する。移送配管28および第1の循環配管23を硫酸含有液が流れる過程で、移送配管28の管壁および第1の循環配管23の管壁によって熱を奪われるから、硫酸含有液の温度は降下する。第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環する硫酸含有液は、第1の循環配管23の管壁との熱平衡により、室温(約23℃~約25℃)よりも高いが、リクレームタンク21に貯留されている硫酸含有液よりも低い第4の温度(約40℃~約60℃)に保たれている。
【0162】
第1の硫酸含有液供給装置209に含まれる第3の貯液部213は、第3の循環タンク(第3のタンク)222と、第3の循環配管(第3の配管)223と、第3の循環ヒータ(第2のヒータ)224とを含む。
第3の循環タンク222には、第1の導液配管31の下流端が接続されている。第3の循環タンク222には、第1の貯液部211において第4の温度(たとえば約40℃~約60℃)の硫酸含有液が導かれる。そして、導かれた硫酸含有液が第3の循環タンク222に貯留される(第3の貯留工程)。
【0163】
第3の循環タンク222には、第2の硫酸含有液供給装置10(第2の貯液部12)に向けて延びた第2の導液配管231が接続されている。第2の導液配管231の下流端は、第2の貯液部12の第2の循環タンク51に接続されている。第2の導液配管231の途中部には、第3の循環タンク222内の硫酸含有液を汲み出すためのポンプ等の第5の送液装置232が介装されている。第2の導液配管231の途中部には、第5の送液装置232の下流側に第4の捕獲フィルタ237および開閉バルブ238が介装されている。第4の捕獲フィルタ237は、第2の導液配管231を流通する硫酸含有液中に含まれる比較的小さな異物を捕捉して除去するためのフィルタである。第4の捕獲フィルタ237は、第3の捕獲フィルタ37で除去し切れなかった異物を除去する。
【0164】
開閉バルブ238は、第2の導液配管231における硫酸含有液の流通およびその停止を制御するためのバルブである。
第2の導液配管231には、開閉バルブ238と第4の捕獲フィルタ237との間において、リターン配管240が分岐接続されている。リターン配管240の下流端は第3の循環タンク222へ延びている。リターン配管240の途中部には、リターンバルブ241が介装されている。第2の導液配管231におけるリターン配管240の分岐位置242の上流側部分と、リターン配管240とによって、第3の循環配管223が構成されている。
【0165】
基板処理装置の運転中(基板Wの処理を停止している期間を含む)において、第5の送液装置232および第3の循環ヒータ224が常に駆動されている。そのため、開閉バルブ238が閉じられかつリターンバルブ241が開かれることにより、第3の循環タンク222から汲み出される硫酸含有液が、第2の導液配管231を分岐位置242まで流れ、その分岐位置242からリターン配管240を通して第3の循環タンク222に戻される。つまり、第2の貯液部12に硫酸含有液を送らない期間は、第3の循環タンク222および第3の循環配管223を硫酸含有液が循環している。そして、第2の貯液部12に硫酸含有液を送るタイミングになると、開閉バルブ238が開かれかつリターンバルブ241が閉じられることによって、第3の循環タンク222から汲み出される硫酸含有液が、第2の導液配管231を通して第2の貯液部12に供給される。
【0166】
第3の循環ヒータ224は、第2の導液配管231の途中部において第5の送液装置232の上流側に介装されている。第3の循環ヒータ224は、第3の循環タンク222および第3の循環配管223を循環する硫酸含有液を加熱する(第3の加熱工程)。第3の循環ヒータ224の加熱温度は、所定の第1の温度(第2の加熱温度。たとえば約120℃~約130℃)に設定されている。第3の循環タンク222および第3の循環配管223を硫酸含有液が循環することにより、硫酸含有液が第1の温度に調整される。第2の貯液部12に硫酸含有液を送らない期間、硫酸含有液を循環させておくことによって、第1の温度に調整された硫酸含有液を第3の循環タンク222に貯留しておくことができる。また、開閉バルブ238の開成後、第1の温度に調整された硫酸含有液を第2の貯液部12に送ることができる。
【0167】
第3の貯液部213は、排液配管246、排液バルブ247、導出配管248、第6の送液装置249および排液タンク250を含む。排液配管246、排液バルブ247、導出配管248、第6の送液装置249および排液タンク250は、それぞれ、排液配管46、排液バルブ47、導出配管48、第3の送液装置49および排液タンク50と同等の構成および機能を有している。
【0168】
この第2の実施形態では、前述の第1の実施形態に加えて、以下の作用効果を奏する。
すなわち、第1の貯液部211には、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環している硫酸含有液を加熱するためのユニットが設けられていない。すなわち、第1の貯液部211において硫酸含有液の加熱が行われない。そのため、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環している硫酸含有液は、比較的低温(約40℃から約60℃)を有している。そのため、第3の捕獲フィルタ37を通過する硫酸含有液が比較的低温である。
【0169】
第1の実施形態のように、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を高温(約120℃~約130℃)の硫酸含有液が流通する場合には、第3の捕獲フィルタ37を高温(約120℃~約130℃)の硫酸含有液が継続的に流通することに伴ってフィルタが膨張し、各孔71(
図3参照)の径が広がるおそれがある。各孔71(
図3参照)の径が広がると、第3の捕獲フィルタ37によって捕獲可能な異物の径が大きくなる。そのため、第3の捕獲フィルタ37のフィルタリング性能が低下し、第1の貯液部において硫酸含有液に含まれる異物を良好に捕獲できないおそれがある。
【0170】
第2の実施形態では、第3の捕獲フィルタ37を通過する硫酸含有液が比較的低温(約40~約60℃)であるので、第3の捕獲フィルタ37のフィルタリング性能の低下を抑制できる。そのため、第1の貯液部211において硫酸含有液に含まれる異物を良好に捕獲できる。これにより、清浄な硫酸含有液をSPMノズル13に供給することが可能である。
【0171】
第2の実施形態では、第3の貯液部213において、第1の貯液部211から送られた硫酸含有液が、第3の循環タンク222および第3の循環配管223を循環する。第3の循環タンク222および第3の循環配管223を循環する硫酸含有液が第3の循環ヒータ224によって加熱される。第3および第2の貯液部213,12においてそれぞれ第3および第2の循環ヒータ224,52によって硫酸含有液が加熱される。硫酸含有液により多くの熱量を与えることができるので、第2の貯液部12において、硫酸含有液をより高温に昇温させることが可能である。
【0172】
また、第3の循環ヒータ224および第2の循環ヒータ52の双方を用いて硫酸含有液を加熱するので、一方のヒータ(すなわち、第2の循環ヒータ52)に加わる負担を低減できる。
図12は、本発明の第3の実施形態に係る第1の硫酸含有液供給装置309を、水平方向から見た図である。
図12において、前述の
図1~
図10に示された構成と同等の構成については、
図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0173】
第3の実施形態に係る第1の硫酸含有液供給装置309に係る第1の貯液部311が、第1の実施形態に係る第1の硫酸含有液供給装置9の第1の貯液部11と相違する点は、第1の循環ヒータ24を廃止した点である。その余において、第1の貯液部311は、第1の貯液部11と同等の構成である。
前述のように、リクレームタンク21に回収されるSPMは、基板Wに供給されるSPMの温度(約190℃~約220℃)よりもかなり低いが、それでも約80℃~約90℃という高い液温を有している。前述のように、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環する硫酸含有液は、第1の循環配管23の管壁との熱平衡により、室温(約23℃~約25℃)よりも高いが、リクレームタンク21に貯留されている硫酸含有液よりも低い第4の温度(約40℃~約60℃)に保たれている。そして、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環する第4の硫酸含有液が、第2の硫酸含有液供給装置10の第2の貯液部12に送られる。
【0174】
そして、第2の貯液部12において、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液を、第2の循環ヒータ52で加熱することにより、第2の温度まで昇温させる。
第3の実施形態では、第3の捕獲フィルタ37を通過する硫酸含有液が比較的低温(約40~約60℃)であるので、第3の捕獲フィルタ37のフィルタリング性能の低下を抑制できる。そのため、第1の貯液部311において硫酸含有液に含まれる異物を良好に捕獲できる。これにより、清浄な硫酸含有液をSPMノズル13に供給することが可能である。
【0175】
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の第2および第3の実施形態において、
図11および
図12に破線で示すように、第1の貯液部211,311が、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環している硫酸含有液を冷却するクーラー401をさらに備えていてもよい。クーラー401は、たとえば、第1の導液配管31の途中部において、第
2の送液装置
32の上流側に介装されている。この場合、第1の循環タンク22および第1の循環配管23のおける硫酸含有液の循環により、硫酸含有液が冷却される。クーラー401による冷却温度の設定次第で、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環している硫酸含有液を室温(約23℃~約25℃)や、室温未満の低温にまで下げることも可能である。
【0176】
図13は、捕獲フィルタ(第3の捕獲フィルタ37)のフィルタリング性能の熱影響による変化を説明するための図である。
図13に示すように、捕獲フィルタ(第3の捕獲フィルタ37)を通過する硫酸含有液の温度(循環温度)が低くなるにしたがって、捕獲フィルタのフィルタリング性能が向上する(すなわち、比較的小さい異物(微小パーティクル)を良好に捕捉できる)。捕獲フィルタを通過する硫酸含有液の温度をリクレームタンクに貯留されている硫酸含有液よりも低い温度(温度A)にした場合の微小パーティクルが通過する数を基準(100%)とすると、捕獲フィルタを通過する硫酸含有液の温度を常温(温度B)まで下げた場合、微小パーティクルが通過する数が40%になり、フィルタリング性能がさらによくなる。一方、図示はしないが、硫酸含有液の温度が80℃以上の場合、基準(100%)よりも微小パーティクルが通過する数が大幅に増え、フィルタリング性能が悪化する。そのため、第1の貯液部211,311において硫酸含有液に含まれる比較的小さな異物を、より一層良好に捕獲できる。これにより、より一層清浄な硫酸含有液をSPMノズル13に供給することが可能である。
【0177】
また、
図4に破線で示すように、第2の貯液部12が、第2の循環タンク51に新しい硫酸(基板Wの処理に未使用の硫酸)を供給する硫酸供給ユニット402を含んでいてもよい。硫酸供給ユニット402は、第2の循環タンク51に硫酸を補充する硫酸供給配管403と、硫酸供給配管403を開閉する硫酸補充バルブ404とを含む。硫酸供給配管403に供給される硫酸は、未使用の硫酸(たとえば濃硫酸)である。
【0178】
硫酸供給ユニット402からの硫酸の供給は、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環している硫酸含有液の硫酸濃度を上昇させるための硫酸の補充のためには用いることはない。基板処理装置1の起動開始時等に、第2の循環タンク51に硫酸含有液を溜めるために専ら用いられる。
また、硫酸含有液と過酸化水素水とをSPMノズル13の内部で混合させるノズル内混合方式を採用する場合について説明したが、硫酸含有液と過酸化水素水とを、ノズルに接続された処理液配管内、または当該処理液配管に連結された混合配管において混合させる配管内混合方式が採用されていてもよい。
【0179】
また、第1の貯液部11,211,311において、回収導出配管26から回収されたSPMをリクレームタンク21に一旦回収し、その後に第1の循環タンク22に貯留するとして説明したが、リクレームタンク21を経ることなく、第1の循環タンク22に直接貯留させるようにしてもよい。この場合には、リクレームタンク21を廃止してもよい。
また、硫酸濃度計64を、各タワーに対応する硫酸含有液流通配管51Bの1つのみではなく全てに配置するようにしてもよい。また、硫酸濃度計64を、硫酸含有液流通配管51Bではなく、第2の循環タンク51および/または共通配管51Aに配置するようにしてもよい。硫酸含有液供給装置8において作成された硫酸含有液の硫酸濃度を、第2の循環タンク51および第2の循環配管53を循環する硫酸含有液の硫酸濃度の計測に代えてまたは併せて、第1の循環タンク22および第1の循環配管23を循環している硫酸含有液の硫酸濃度を計測することによって行ってもよい。
【0180】
また、1つの第1の硫酸含有液供給装置9と、1つの第2の硫酸含有液供給装置10とによって構成される1つの硫酸含有液供給装置が、複数(3つ)の塔に含まれる処理ユニット6に硫酸含有液を供給するのではなく、1つの塔に含まれる処理ユニット6にのみ硫酸含有液を供給するようになっていてもよい。すなわち、第1の循環タンク22および第2の循環タンク51の対が、処理ユニット6に一対一対応で設けられていてもよい。この場合、共通配管51Aの構成を省略でき、硫酸含有液流通配管51Bの両端が第2の循環タンク51に接続される。すなわち、硫酸含有液流通配管51Bのみによって第2の循環配管53を構成することができる。
【0181】
この実施形態では、第1の貯液部11,211,311および/または第3の貯液部213を、第2の貯液部12と別フロアに配置するのではなく、クリーンルーム内(すなわち、第2の貯液部12と同じフロア)に共通して配置するようにしてもよい。この場合、第1の貯液部11,211,311および/または第3の貯液部213と第2の貯液部12を、それぞれ別々のフレームの中に収容配置するのではなく、共通するフレーム内に収容配置するようにしてもよい。
【0182】
また、前述の各実施形態において、基板処理装置1が半導体ウエハからなる基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置が、液晶表示装置用基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板を処理する装置であってもよい。
【0183】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。
【符号の説明】
【0184】
1 :基板処理装置
4 :制御装置
6 :処理ユニット
8 :硫酸含有液供給装置
11 :第1の貯液部
12 :第2の貯液部
13 :SPMノズル(ノズル)
13a :SPMノズルの内部(混合部)
22 :第1の循環タンク(第1のタンク)
23 :第1の循環配管(第2の配管)
24 :第1の循環ヒータ(第2のヒータ)
25 :硫酸補充ユニット
37 :第3の捕獲フィルタ(フィルタ)
51 :第2の循環タンク(第2のタンク)
52 :第2の循環ヒータ(第1のヒータ)
53 :第2の循環配管(第1の配管)
54 :ヒータ(第3のヒータ)
59 :硫酸含有液流量調整バルブ(混合比変更ユニット)
64 :硫酸濃度計
108 :スピンチャック(基板保持ユニット)
122 :過酸化水素水供給ユニット
137 :過酸化水素水流量調整バルブ(混合比変更ユニット)
143 :第1のガード
144 :第2のガード
146 :ガード昇降ユニット(ガード切り換えユニット)
156 :回収配管
157 :第2の排液配管(排液配管)
209 :第1の硫酸含有液供給装置
211 :第1の貯液部
213 :第3の貯液部
222 :第3の循環タンク(第3のタンク)
223 :第3の循環配管(第3の配管)
224 :第3の循環ヒータ(第2のヒータ)
248 :導出配管
309 :第1の硫酸含有液供給装置
311 :第1の貯液部
401 :クーラー
W :基板