(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】サポートウェア
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20230203BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20230203BHJP
A41D 27/10 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
A41D13/00 115
A41D27/00 C
A41D27/10 Z
(21)【出願番号】P 2018195157
(22)【出願日】2018-10-16
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板花 俊希
(72)【発明者】
【氏名】見邨 康平
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-250008(JP,A)
【文献】特開2006-291399(JP,A)
【文献】特開2012-115289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12、27/00-27/28
A41B9/06
A63B69/00、69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者のオーバーヘッド動作を補助するためのサポートウェアであって、
前記装着者の上半身に装着可能な本体部と、
前記本体部に取り付けられ、かつ前記本体部よりも難伸性を有する補助部材とを備え、
前記補助部材は、前記装着者の補助される腕側の肩および上腕の上に連続して配置される第1ストレッチ部材と、
前記第1ストレッチ部材に接続され、かつ前記装着者の一対の肩甲骨の上に連続して配置される第2ストレッチ部材とを含み、
前記第1ストレッチ部材は、前記上半身に前記本体部が装着されたときに、前記上半身に前記本体部が装着される前よりも伸びており、縮もうとすることにより前記肩に対して前記上腕を上げる力を作用させるように構成されており、
前記第2ストレッチ部材は、前記上半身に前記本体部が装着されたときに、前記上半身に前記本体部が装着される前よりも伸びており、縮もうとすることにより前記一対の肩甲骨を互いに寄せる力を作用させるように構成されて
おり、
前記補助部材は、前記第2ストレッチ部材に接続された第1アンカーを含み、
前記第1アンカーは、前記装着者の前記補助される腕側と反対側の腕の付け根に沿って前記腕の周方向に配置されており、
前記第1ストレッチ部材は、前記装着者の補助される腕側と反対側の腕の肩および上腕の上に配置されておらず、
前記補助部材は、前記第1ストレッチ部材に接続された第2アンカーを含み、
前記第2アンカーは、前記装着者の前記補助される腕に沿って前記補助される腕の周方向に配置されており、
前記第2アンカーは、肘より手首側に位置する、サポートウェア。
【請求項2】
前記第1ストレッチ部材および前記第2ストレッチ部材は、前記本体部に塗布された樹脂により構成されている、請求項1に記載のサポートウェア。
【請求項3】
前記第1アンカーは、前記本体部に塗布された樹脂により構成されている、請求項
1に記載のサポートウェア。
【請求項4】
前記第1ストレッチ部材は、前記装着者の前記補助される腕側の前記肩から肘にかけて螺旋状に配置されている、請求項
1に記載のサポートウェア。
【請求項5】
前記第2アンカーは、前記本体部に塗布された樹脂により構成されている、請求項
1に記載のサポートウェア。
【請求項6】
前記第2アンカーは、前記装着者の前記補助される腕の周方向の寸法を調整可能に構成されている、請求項
1に記載のサポートウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者のオーバーヘッド動作を補助するためのサポートウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーバーヘッド動作として、例えば、野球のピッチング、バレーボールのスパイク、バドミントンのスマッシュ、テニスのサーブ、水泳のクロール等の動作が挙げられる。オーバーヘッド動作では、動作者の手が肩よりも上側に上げられる。オーバーヘッド動作においては、動作者の肘の高さが不足すると、動作者の肘および肩を故障し易いことが知られている。
【0003】
例えば、特開2012-115289号公報(特許文献1)には、投球動作補助ウェアが記載されている。この公報に記載された投球動作補助ウェアでは、肘の位置が下がらないように投球フォームを矯正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載された投球動作補助ウェアでは、肘の位置が下がらないようにするため、オーバーヘッド動作前後も肘の位置が下がりにくい。したがって、オーバーヘッド動作前後の運動動作が妨げられるおそれがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、十分な肘の高さを確保しつつオーバーヘッド動作前後の運動動作を妨げ難くすることができるサポートウェアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサポートウェアは、装着者のオーバーヘッド動作を補助するためのサポートウェアである。サポートウェアは、装着者の上半身に装着可能な本体部と、本体部に取り付けられ、かつ本体部よりも難伸性を有する補助部材とを備えている。補助部材は、装着者の補助される腕側の肩および上腕の上に連続して配置される第1ストレッチ部材と、第1ストレッチ部材に接続され、かつ装着者の一対の肩甲骨の上に連続して配置される第2ストレッチ部材とを含んでいる。第1ストレッチ部材は、上半身に本体部が装着されたときに、上半身に本体部が装着される前よりも伸びており、縮もうとすることにより肩に対して上腕を上げる力を作用させるように構成されている。第2ストレッチ部材は、上半身に本体部が装着されたときに、上半身に本体部が装着される前よりも伸びており、縮もうとすることにより一対の肩甲骨を互いに寄せる力を作用させるように構成されている。補助部材は、第2ストレッチ部材に接続された第1アンカーを含んでいる。第1アンカーは、装着者の補助される腕側と反対側の腕の付け根に沿って腕の周方向に配置されている。第1ストレッチ部材は、装着者の補助される腕側と反対側の腕の肩および上腕の上に配置されていない。補助部材は、第1ストレッチ部材に接続された第2アンカーを含んでいる。第2アンカーは、装着者の補助される腕に沿って補助される腕の周方向に配置されている。第2アンカーは、肘より手首側に位置する。
【0008】
本発明のサポートウェアによれば、第1ストレッチ部材により肩に対して上腕を上げる力を作用させることができる。このため、肩に対して上腕を上げることが容易となる。また、第2ストレッチ部材により一対の肩甲骨を互いに寄せる力を作用させることができる。このため、一対の肩甲骨を互いに寄せることが容易となる。したがって、胸を反らして上腕を上げることが容易となるため、十分な肘の高さを確保することができる。さらに、オーバーヘッド動作前後の運動動作において肘の位置を下げることが容易である。このためオーバーヘッド動作前後の運動動作を妨げ難くすることができる。
【0009】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、第1ストレッチ部材および第2ストレッチ部材は、本体部に縫製または接着より取り付けられている。このため、第1ストレッチ部材および第2ストレッチ部材を本体部に取り付けることが容易である。
【0010】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、第1ストレッチ部材および第2ストレッチ部材は、本体部に塗布された樹脂により構成されている。このため、樹脂プリントにより第1ストレッチ部材および第2ストレッチ部材を本体部に取り付けることができる。
【0011】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、補助部材は、第2ストレッチ部材に接続された第1アンカーを含んでいる。第1アンカーは、装着者の補助される腕側と反対側の腕の付け根に沿って腕の周方向に配置されている。このため、第1アンカーにより補助部材を装着者の補助される腕側と反対側の腕の付け根に固定することができる。
【0012】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、第1アンカーは、本体部に縫製または接着より取り付けられている。このため、第1アンカーを本体部に取り付けることが容易である。
【0013】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、第1アンカーは、本体部に塗布された樹脂により構成されている。このため、樹脂プリントにより第1アンカーを本体部に取り付けることができる。
【0014】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、第1ストレッチ部材は、装着者の補助される腕側の肩から肘にかけて螺旋状に配置されている。このため、第1ストレッチ部材により装着者の肩関節の外旋可動域または内旋可動域を十分に確保することができる。
【0015】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、補助部材は、第1ストレッチ部材に接続された第2アンカーを含んでいる。第2アンカーは、装着者の補助される腕に沿って補助される腕の周方向に配置されている。このため、第2アンカーにより補助部材を装着者の補助される腕に固定することができる。
【0016】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、第2アンカーは、本体部に縫製または接着より取り付けられている。このため、第2アンカーを本体部に取り付けることが容易である。
【0017】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、第2アンカーは、本体部に塗布された樹脂により構成されている。このため、樹脂プリントにより第2アンカーを本体部に取り付けることができる。
【0018】
上記のサポートウェアにおいて、好ましくは、第2アンカーは、装着者の補助される腕の周方向の寸法を調整可能に構成されている。このため、装着者の腕のサイズにあわせて、第2アンカーの寸法を調整することができる。したがって、装着者の個人差にあわせて第2アンカーを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のサポートウェアによれば、十分な肘の高さを確保しつつオーバーヘッド動作前後の運動動作を妨げ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るサポートウェアの構成を概略的に示す正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係るサポートウェアの構成を概略的に示す背面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係るサポートウェアの第1ストレッチ部材および第2ストレッチ部材が本体部に取り付けられた構造を概略的に示す断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係るサポートウェアのオーバーヘッド動作時の構成を概略的に示す背面図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係るサポートウェアの構成を概略的に示す正面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係るサポートウェアの構成を概略的に示す背面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係るサポートウェアの第1アンカーが本体部に取り付けられた構造を概略的に示す断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2に係るサポートウェアのオーバーヘッド動作時の構成を概略的に示す背面図である。
【
図9】本発明の実施の形態3に係るサポートウェアの構成を概略的に示す正面図である。
【
図10】本発明の実施の形態3に係るサポートウェアの構成を概略的に示す背面図である。
【
図11】本発明の実施の形態3に係るサポートウェアのオーバーヘッド動作時の構成を概略的に示す背面図である。
【
図12】本発明の実施の形態3に係るサポートウェアの変形例の構成を概略的に示す正面図である。
【
図13】本発明の実施の形態3に係るサポートウェアの変形例の構成を概略的に示す背面図である。
【
図14】本発明の実施の形態4に係るサポートウェアの構成を概略的に示す正面図である。
【
図15】本発明の実施の形態4に係るサポートウェアの構成を概略的に示す背面図である。
【
図16】本発明の実施の形態4に係るサポートウェアのオーバーヘッド動作時の構成を概略的に示す背面図である。
【
図17】本発明の実施の形態5に係るサポートウェアの構成を概略的に示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0022】
(実施の形態1)
図1~
図4を参照して、本発明の実施の形態1に係るサポートウェア1の構成について説明する。
図1および
図2に示されるように、本実施の形態に係るサポートウェア1は、装着者のオーバーヘッド動作を補助するためのものである。オーバーヘッド動作とは、動作者の手が肩よりも上側に上げられる動作である。オーバーヘッド動作として、例えば、野球のピッチング、バレーボールのスパイク、バドミントンのスマッシュ、テニスのサーブ、水泳のクロール等の動作が挙げられる。本実施の形態に係るサポートウェア1は、本体部10と、補助部材20とを主に備えている。
【0023】
本体部10は、装着者の上半身に装着可能に構成されている。本実施の形態に係るサポートウェア1では、本体部10は、装着者の上半身に装着可能なウェアである。本体部10は、伸縮可能に構成されている。本体部10は、伸縮性を有する生地により構成されている。
【0024】
本体部10の生地は、一種類の伸縮性生地で構成されてもよいし、複数の種類の伸縮性生地を組み合わせて構成されてもよい。本体部10の生地としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタンなどから選ばれる繊維を組み合わせた編地もしくは織物などを用いることができる。
【0025】
本体部10は、例えば、トリコットで構成されている。このトリコットの組成は、例えば、ポリエステル85質量%およびポリウレタン15質量%である。このトリコットの目付けは、例えば、194g/m2である。このトリコットの17.6N伸長率(縦)は172%であり、17.6N伸長率(横)は130%である。ここで、17.6N伸長率(縦)とは、17.6Nの荷重を生地にかけたときの縦方向の伸長率であり、17.6伸長率(横)とは、17.6Nの荷重を生地にかけたときの横方向の伸長率である。
【0026】
本体部10は、装着者の一対の肩甲骨に配置される部分では、一対の肩甲骨を互いに寄せるように、周方向(横方向)の伸長率が小さくなるように生地が配置されている。また、本体部10は、装着者の腕周りでは補助部材20の長軸方向では強く引っ張るために伸長率を小さくし、周方向では伸びるように伸長率を大きくするように生地が配置されていてもよい。
【0027】
本体部10は、装着者の上半身に本体部10が装着されたときに、装着者の上半身に本体部10が装着される前の状態よりも伸びるように構成されている。本体部10は、装着者の上半身に本体部10が装着されたときに、装着者の上半身に対する位置が変化し難いように構成されている。つまり、本体部10は、装着者の上半身に装着された状態で、オーバーヘッド動作を含む運動動作が行われたときに、装着者の上半身に対してずれ難いように構成されている。
【0028】
本体部10は、ネック部11と、一対の袖部12と、一対の肩部13と、胴体部14とを含んでいる。ネック部11は、装着者の首を受け入れ可能に構成されている。一対の袖部12の各々は、装着者の両方の腕の各々をそれぞれ受け入れ可能に構成されている。一方の袖部12は、装着者の一方の腕を受け入れ可能に構成されており、他方の袖部12は、装着者の他方の腕を受け入れ可能に構成されている。一対の袖部12の各々は、上腕部12aと、前腕部12bとを含んでいる。上腕部12aは、装着者の上腕を受け入れ可能に構成されている。前腕部12bは、装着者の前腕を受け入れ可能に構成されている。
【0029】
一対の袖部12の各々は、一対の肩部13の各々にそれぞれ連続して設けられている。一対の肩部13の各々は、装着者の両方の肩の各々をそれぞれ受け入れ可能に構成されている。一方の肩部13は、装着者の一方の肩を受け入れ可能に構成されており、他方の肩部13は、装着者の他方の肩を受け入れ可能に構成されている。胴体部14は、装着者の胴体を受け入れ可能に構成されている。
【0030】
本体部10は、装着者の上半身に装着されたときに、袖部12が装着者の手首付近にまで達する長袖型の形状を有している。なお、本体部10の形状としては、長袖型以外の任意の形状を採用することが可能である。たとえば、装着時に袖部12が装着者の上腕までを覆う半袖型の構造を採用することが可能である。また、本体部10の形状としては、装着時に袖部12が装着者の前腕の中央付近にまで達する七部袖型の構造を採用することも可能である。本体部10の袖部12の長さは、装着者の肩から上腕までを覆う長さであればよい。また、本体部10のネック部11、胴体部14の形状も任意に選択可能である。
【0031】
本体部10が胴体部14を有することにより、装着時に投球動作などのオーバーヘッド動作が行なわれても、本来の装着すべき位置から本体部10が大きく上側および下側等にずれることを抑制することができる。このため、オーバーヘッド動作時においても、本来の装着位置から大きくずれることなく、安定した装着状態を維持することができる。
【0032】
図2および
図3に示されるように、補助部材20は、本体部10に取り付けられている。補助部材20は、本体部10に密着している。補助部材20は、本体部10の外面(表面)に取り付けられている。なお、補助部材20は、本体部10の内面(裏面)に取り付けられていてもよい。
【0033】
補助部材20は、伸縮可能に構成されている。補助部材20は、伸縮性を有する素材により構成されている。補助部材20は、本体部10よりも難伸性を有する。つまり、補助部材20は、本体部10よりも伸び難くなるように構成されている。
【0034】
補助部材20の素材は、一種類の伸縮性生地で構成されていてもよいし、複数の種類の伸縮性生地を組み合わせて構成されてもよい。補助部材20の生地としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロンなどから選ばれる繊維を組み合わせた編地もしくは織物などを用いることができる。
【0035】
補助部材20は、例えば、ストレッチ布帛、パワーメッシュで構成されている。このストレッチ布帛の組成は、例えば、ポリエステル82質量%およびポリウレタン18質量%である。このストレッチ布帛の目付けは、例えば、170g/m2である。このストレッチ布帛の17.6N伸長率(縦)は48%であり、17.6N伸長率(横)は33.6%である。また、このパワーメッシュの組成は、例えば、ナイロン83質量%およびポリウレタン17質量%である。このパワーメッシュの目付けは、例えば、180g/m2である。このパワーメッシュの17.6N伸長率(縦)は93%であり、17.6N伸長率(横)は37%である。
【0036】
図1および
図2に示されるように、補助部材20は、第1ストレッチ部材21と、第2ストレッチ部材22とを含んでいる。第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩および上腕の上に連続して配置される。第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩および上腕の少なくとも一部の上に配置される。第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩から上腕の肩側の部分まで連続して配置される。第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩および上腕の上側を覆うように配置される。第1ストレッチ部材21は、本体部10において装着者の補助される腕側の肩部13および上腕部12aの上に連続して配置される。
【0037】
第1ストレッチ部材21は、装着者の上半身に本体部10が装着されたときに、上半身に本体部10が装着される前よりも伸びており、縮もうとすることにより肩に対して上腕を上げる力を作用させるように構成されている。装着者の上半身に本体部10が装着されたときに、第1ストレッチ部材21は元の状態よりも伸びた状態となっており、第1ストレッチ部材21が元の状態に縮もうとすることにより、肩よりも上腕を上側に上げる力が作用する。
【0038】
図2および
図4に示されるように、第2ストレッチ部材22は、第1ストレッチ部材21に接続されている。なお、
図4では、説明の便宜のため装着者の一方の上腕骨30および肩甲骨40周辺の骨および筋肉が示されている。第2ストレッチ部材22は、第1ストレッチ部材21と連続的に設けられている。第2ストレッチ部材22は、第1ストレッチ部材21と一体的に構成されていてもよい。
【0039】
第2ストレッチ部材22は、装着者の背中の上に配置される。第2ストレッチ部材22は、装着者の一対の肩甲骨40の上に連続して配置される。第2ストレッチ部材22は、装着者の一対の肩甲骨40のそれぞれの上に配置されている。第2ストレッチ部材22の装着者の一対の肩甲骨40のそれぞれの上に配置された部分は互いに接続されている。第2ストレッチ部材22は、装着者の補助される腕側の肩甲骨40の上に配置された部分と、装着者の補助される腕と反対側の肩甲骨40の上に配置された部分と、これらの部分をつなぐ接続部とを含んでいる。
【0040】
第2ストレッチ部材22は、装着者の上半身に本体部10が装着されたときに、上半身に本体部10が装着される前よりも伸びており、縮もうとすることにより一対の肩甲骨を互いに寄せる力を作用させるように構成されている。装着者の上半身に本体部10が装着されたときに、第2ストレッチ部材22は元の状態よりも伸びた状態となっており、第2ストレッチ部材22が元の状態に縮もうとすることにより、一対の肩甲骨を互いに寄せる力が作用する。
【0041】
第2ストレッチ部材22は、装着者の肩甲骨40および棘上筋51の少なくとも一部の上に配置される。第2ストレッチ部材22は、本体部10において、装着者の肩甲骨40および棘上筋51に相当する部分の少なくとも一部に設けられている。このため、第2ストレッチ部材22は、肩甲骨40を背中の中心に寄せるように力を作用させることができる。これにより、装着者の胸を張らせることができる。なお、第2ストレッチ部材22は、装着者の肩甲骨40および棘上筋51に加えて、棘下筋52および小円筋53の上に配置されていてもよい。これにより、第2ストレッチ部材22が一対の肩甲骨40を互いに寄せる力を強化することができる。
【0042】
第2ストレッチ部材22は、第1部材22aと、第2部材22bとを含んでいる。第1部材22aは、第2部材22bよりもネック部11の近くに配置されている。第1部材22aと第2部材22bとの間には隙間GPが設けられている。この隙間GPにより一対の肩甲骨を互いに寄せるように移動させることが容易となる。このため、オーバーヘッド動作時に装着者の肘を上げ易くすることができる。
【0043】
図3および
図4に示されるように、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22は、本体部10に縫製または接着より取り付けられている。また、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22は、本体部10に塗布された樹脂により構成されていてもよい。
【0044】
次に、本実施の形態に係るサポートウェア1の作用効果について説明する。
肩関節は複雑な構造を有しているため、アライメントの影響が大きい。そのため、適切な動作フォームを習得することにより良好な動的アライメントを獲得する必要がある。オーバーヘッド動作では、動作者の肘および肩の故障を抑制するために、動作者の肘の高さを高くすることが重要である。動作者の肘の高さを高くすることにより、肩甲上腕関節面の適合がよくなる。これにより、動作者の肘および肩の故障に対する安全性を高めることが可能となる。また、動作者のパフォーマンスを向上させることも可能となる。
【0045】
本実施の形態に係るサポートウェア1によれば、装着者の上半身に本体部10が装着された状態で装着者が上腕を下げると、補助部材20が伸びるため、補助部材20が縮もうとすることで装着者の上腕を上げるように力が作用する。つまり、第1ストレッチ部材21により肩に対して上腕を上げる力を作用させることができる。このため、肩に対して上腕を上げることが容易となる。また、第2ストレッチ部材22により一対の肩甲骨を互いに寄せる力を作用させることができる。このため、一対の肩甲骨を互いに寄せることが容易となる。したがって、胸を反らして上腕を上げることが容易となるため、十分な肘の高さを確保することができる。さらに、オーバーヘッド動作前後の運動動作において肘の位置を下げることが容易である。このため、オーバーヘッド動作前後の運動動作を妨げ難くすることができる。
【0046】
例えば、野球の投球動作では、動作者の肘の高さを高くすることにより、肩甲上腕関節面の適合がよくなるため、いわゆる野球肘および野球肩の発症を抑制することが可能となる。
【0047】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22は、本体部10に縫製または接着より取り付けられている。このため、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22を本体部10に取り付けることが容易である。
【0048】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22は、本体部10に塗布された樹脂により構成されている。このため、樹脂プリントにより第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22を本体部10に取り付けることができる。
【0049】
(実施の形態2)
図5~
図8を参照して、本発明の実施の形態2に係るサポートウェア1の構成について説明する。
図5および
図6に示されるように、本実施の形態に係るサポートウェア1は、第1アンカー23を備えている点で実施の形態1に係るサポートウェア1と異なっている。
【0050】
本実施の形態では、補助部材20は、第1アンカー23を含んでいる。第1アンカー23は、補助部材20を装着者に固定するためのものである。第1アンカー23は、補助部材20のずれを抑制可能に構成されている。第1アンカー23は、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22と同じ材料で構成されていてもよい。また、第1アンカー23は、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22よりも難伸性を有していてもよい。
【0051】
第1アンカー23は、装着者の補助される腕側と反対側の腕の付け根に沿って腕の周方向に配置されている。第1アンカー23は、腕の周方向の全周にわたって配置されている。なお、第1アンカー23は、補助部材20のずれを抑制できればよく、腕の周方向の全周にわたって配置されていなくてもよい。
【0052】
図6および
図7に示されるように、第1アンカー23は、本体部10に取り付けられている。第1アンカー23は、本体部10に縫製または接着より取り付けられている。また、第1アンカー23は、本体部10に塗布された樹脂により構成されていてもよい。
【0053】
図6および
図8に示されるように、第1アンカー23は、装着者の補助される腕側と反対側の腕の付け根に沿って肩および胴体に配置されている。第1アンカー23は、本体部10において装着者の補助される腕側と反対側の袖部12の付け根に沿って肩部13および胴体部14に配置されている。つまり、第1アンカー23は、本体部10においてアームホールに沿って肩部13および胴体部14に配置されている。第1アンカー23が装着者の肩および胴体を締め付けることにより補助部材20のずれを抑制することができる。また、第1アンカー23は、装着者の補助される腕側と反対側の腕の運動動作を妨げにくくすることが可能である。
【0054】
さらに、第1アンカー23は、装着者の補助される腕の付け根に沿って肩および胴体にも配置されていてもよい。つまり、第1アンカー23は、装着者の補助される腕側と反対側の腕の付け根に沿って肩および胴体に配置されるとともに、装着者の補助される腕の付け根に沿って肩および胴体に配置されていてもよい。
【0055】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第1アンカー23は、装着者の補助される腕側と反対側の腕の付け根に沿って腕の周方向に配置されている。このため、第1アンカー23により補助部材20を装着者の補助される腕側と反対側の腕の付け根に固定することができる。したがって、第1アンカー23により補助部材20のずれを抑制することができる。
【0056】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第1アンカー23は、本体部10に縫製または接着より取り付けられている。このため、第1アンカー23を本体部10に取り付けることが容易である。
【0057】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第1アンカー23は、本体部10に塗布された樹脂により構成されている。このため、樹脂プリントにより第1アンカー23を本体部10に取り付けることができる。
【0058】
(実施の形態3)
図9~
図11を参照して、本発明の実施の形態3に係るサポートウェア1の構成について説明する。
図9および
図10に示されるように、本実施の形態に係るサポートウェア1では、補助部材20の構造が実施の形態1に係るサポートウェア1と異なっている。
【0059】
本実施の形態では、第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩から肘にかけて螺旋状に配置されている。第1ストレッチ部材21は、本体部10において装着者の補助される腕側の肩部13から上腕部12aを通って前腕部12bに至るように螺旋状に構成されている。
【0060】
図11に示されるように、第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩から上腕の正面側に延びてから螺旋状に背面側に延びており、背面側において肘を通っている。第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩から肘にかけて肩関節の内旋方向に螺旋状に延びている。このため、第1ストレッチ部材21により装着者の補助される腕側の肩関節を外旋させるように力が作用する。
【0061】
図9~
図11に示されるように、補助部材20は、第2アンカー24を含んでいる。第2アンカー24は、補助部材20を装着者に固定するためのものである。第2アンカー24は、補助部材20のずれを抑制可能に構成されている。第2アンカー24は、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22と同じ材料で構成されていてもよい。また、第2アンカー24は、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22よりも難伸性を有していてもよい。
【0062】
第2アンカー24は、第1ストレッチ部材21に接続されている。第2アンカー24は、装着者の補助される腕に沿って補助される腕の周方向に配置されている。第2アンカー24は、装着者の補助される腕に配置されている。本実施の形態では、第2アンカー24は、装着者の補助される腕の前腕に配置されている。第2アンカー24は、本体部10において装着者の補助される腕に沿って袖部12の前腕部12bの周方向に配置されている。
【0063】
第2アンカー24は、腕の周方向の全周にわたって配置されている。なお、第2アンカー24は、補助部材20のずれを抑制できればよく、腕の周方向の全周にわたって配置されていなくてもよい。第2アンカー24は、本体部10に縫製または接着より取り付けられている。また、第2アンカー24は、本体部10に塗布された樹脂により構成されていてもよい。
【0064】
続いて、
図12および
図13を参照して、本発明の実施の形態3に係るサポートウェアの変形例について説明する。
【0065】
図12および
図13に示されるように、本実施の形態に係るサポートウェア1の変形例では、第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩から上腕の背面側に延びてから正面側に螺旋状に延びており、正面側において肘を通っている。第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩から肘にかけて肩関節の外旋方向に螺旋状に延びている。このため、第1ストレッチ部材21により装着者の補助される腕側の肩関節を内旋させるように力が作用する。
【0066】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第1ストレッチ部材21は、装着者の補助される腕側の肩から肘にかけて螺旋状に配置されている。このため、第1ストレッチ部材21が装着者の補助される腕の肩から肘にかけて肩関節の内旋方向に配置されている場合には、第1ストレッチ部材21により装着者の補助される腕側の肩関節を外旋させるように力を作用させることができる。これにより、装着者の補助される腕側の肩関節の外旋稼働域を広げることが可能となる。また、第1ストレッチ部材21が装着者の補助される腕の肩から肘にかけて肩関節の外旋方向に配置されている場合には、第1ストレッチ部材21により装着者の補助される腕側の肩関節を内旋させるように力を作用させることができる。これにより、装着者の補助される腕側の肩関節の内旋稼働域を広げることが可能となる。したがって、第1ストレッチ部材21により装着者の肩関節の外旋可動域または内旋可動域を十分に確保することができる。
【0067】
例えば、野球の投球動作では、装着者の肩関節の外旋可動域を十分に確保することにより、肩関節内旋ROM(Range Of Motion:関節可動域)が増大するため、球速を向上させることが可能となる。
【0068】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第2アンカー24は、装着者の補助される腕に沿って補助される腕の周方向に配置されている。このため、第2アンカー24により補助部材20を装着者の補助される腕に固定することができる。したがって、第2アンカー24により補助部材20のずれを抑制することができる。
【0069】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第2アンカー24は、本体部10に縫製または接着より取り付けられている。このため、第2アンカー24を本体部10に取り付けることが容易である。
【0070】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第2アンカー24は、本体部10に塗布された樹脂により構成されている。このため、樹脂プリントにより第2アンカー24を本体部10に取り付けることができる。
【0071】
(実施の形態4)
図14~
図16を参照して、本発明の実施の形態4に係るサポートウェア1の構成について説明する。
図14および
図15に示されるように、本実施の形態に係るサポートウェア1では補助部材20の構造が実施の形態1に係るサポートウェア1と異なっている。本実施の形態に係るサポートウェア1は、実施の形態1に係るサポートウェア1の構成に加えて、実施の形態2に係るサポートウェア1の第1アンカー23と、実施の形態3に係るサポートウェア1の第1ストレッチ部材21の螺旋状構造および第2アンカー24とを備えている。
【0072】
図16に示されるように、本実施の形態に係るサポートウェア1では、第1アンカー23および第2アンカー24の両方により補助部材20を装着者の補助される腕に固定することができる。したがって、第1アンカー23および第2アンカー24の両方により補助部材20のずれを抑制することができるため、補助部材20のずれをさらに強固に抑制することができる。したがって、第1ストレッチ部材21および第2ストレッチ部材22により力を作用させることが容易となる。
【0073】
(実施の形態5)
図17を参照して、本発明の実施の形態5に係るサポートウェア1の構成について説明する。
図17に示されるように、本実施の形態に係るサポートウェア1では、第2アンカー24の構造が実施の形態4に係るサポートウェア1と異なっている。本実施の形態に係るサポートウェア1では、第2アンカー24は、装着者の補助される腕の周方向の寸法を調整可能に構成されている。
【0074】
具体的には、第2アンカー24は、面ファスナー24aを含んでいる。面ファスナー24aは、互いに係合可能なループ部材24a1およびフック部材24a2を含んでいる。ループ部材24a1とフック部材24a2との係合時にループ部材24a1とフック部材24a2との相対位置を変化させることにより、第2アンカー24は装着者の補助される腕の周方向の寸法を調整することが可能となる。
【0075】
なお、第2アンカー24の構造は、面ファスナー24aに限定されず、バックルなどであってもよい。
【0076】
本実施の形態に係るサポートウェア1においては、第2アンカー24は、装着者の補助される腕の周方向の寸法を調整可能に構成されている。このため、装着者の腕のサイズにあわせて、第2アンカー24の寸法を調整することができる。したがって、装着者の個人差にあわせて第2アンカーを取り付けることができる。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 サポートウェア、10 本体部、11 ネック部、12 袖部、13 肩部、14 胴体部、20 補助部材、21 第1ストレッチ部材、22 第2ストレッチ部材、23 第1アンカー、24 第2アンカー、24a 面ファスナー。