(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】刃物シャープナー
(51)【国際特許分類】
B24B 3/36 20060101AFI20230203BHJP
B24B 3/54 20060101ALI20230203BHJP
B23D 63/12 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
B24B3/36 N
B24B3/54
B23D63/12 Z
(21)【出願番号】P 2019019454
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】514142245
【氏名又は名称】近藤 朋之
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 朋之
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3021591(JP,U)
【文献】特表2005-519777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/36
B24B 3/54
B23D 63/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃物を使用可能な切れ味まで回復させるようにした刃物シャープナーであって、
片手で把持し得る長さ及び太さのグリップ部と、
該グリップ部の先端に設けられ、厚みが先端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、先端部に先端縁で幅6mmのV字状の溝が形成された両刃研ぎ部と、
該両刃研ぎ部の溝の両傾斜辺部に固定され、両方の
刃先が相互に45°又は60°のV字状の角度をなす超硬合金製の両刃研ぎ刃と、
上記グリップ部の後端に設けられ、厚みが後端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、後端部に後端縁で幅6mmのV字状の溝が形成された片刃研ぎ部と、
該片刃研ぎ部の溝の一方の傾斜辺部に固定され、
刃先が他方の傾斜辺部に対して30°の角度をなす超硬合金製の片刃研ぎ刃と、
を備えたことを特徴とする刃物シャープナー。
【請求項2】
刃物を使用可能な切れ味まで回復させるようにした刃物シャープナーであって、
片手で把持し得る長さ及び太さのグリップ部と、
該グリップ部の先端に設けられ、厚みが先端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、先端部に先端縁で幅6mmのV字状の溝が形成された両刃研ぎ部と、
該両刃研ぎ部の溝の両傾斜辺部に固定され、両方の
刃先が相互に45°又は60°のV字状の角度をなす超硬合金製の両刃研ぎ刃と、
を備えたことを特徴とする刃物シャープナー。
【請求項3】
刃物を使用可能な切れ味まで回復させるようにした刃物シャープナーであって、片手で把持し得る長さ及び太さのグリップ部と、
該グリップ部の後端に設けられ、厚みが後端側に向けて薄くなっいた側面三角形状をなし、後端部に後端縁で幅6mmのV字状の溝が形成された片刃研ぎ部と、
該片刃研ぎ部の溝の一方の傾斜辺部に固定され、
刃先が他方の傾斜辺部に対して30°の角度をなす超硬合金製の片刃研ぎ刃と、
を備えたことを特徴とする刃物シャープナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は刃物シャープナーに関し、特に刃物を使用している際に切れ味が鈍った時に作業現場で切れ味を使用可能な程度にまで応急的に回復できるよにうしたシャープナーに関する。
【背景技術】
【0002】
刃物、例えばナイフを使用している場合、使用に伴って切れ味が鈍くなる。かかる場合、研ぎ具によって刃を研磨し、元の切れ味を復元させることが行われる(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
例えば、超硬合金製の一対の角柱をV字状に交叉させ、これをプラスチック製の円柱に埋め込み、円柱には溝を形成し、溝内に超硬合金製の角柱を臨ませるようにした刃物研ぎ具が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、器台にW字状の溝を設け、溝内面に砥石を設けるようにした刃物研ぎ具も提案されている(特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-125951号公報
【文献】実開昭58-8854号公報
【文献】実開昭61-109672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3記載の刃物研ぎ具は刃物の切れ味が鈍くなった時に切断作業を中断して刃2を新品の切れ味に再生させようとしたものであるので、その都度作業を中断し、良品の刃物と交換して作業を再開される必要があるなど、煩わしいという問題があった。
そこで、作業現場においては刃物の切れ味を新品の切れ味に再生するのではなく,使用可能な程度に回復できれば、作業をそのまま継続でき、刃物の交換などの煩わしさを解消できる。
【0007】
本発明はかかる点に鑑み、現場にて切れ味を使用できる程度にまで応急的に回復させることができるようにした刃物シャープナーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る刃物シャープナーは、刃物を使用可能な切れ味まで回復させるようにした刃物シャープナーであって、片手で把持し得る長さ及び太さのグリップ部と、該グリップ部の先端に設けられ、厚みが先端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、先端部に先端縁で幅6mmのV字状の溝が形成された両刃研ぎ部と、該両刃研ぎ部の溝の両傾斜辺部に固定され、両方の刃先が相互に45°又は60°のV字状の角度をなす超硬合金製の両刃研ぎ刃と、上記グリップ部の後端に設けられ、厚みが後端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、後端部に後端縁で幅6mmのV字状の溝が形成された片刃研ぎ部と、該片刃研ぎ部の溝の一方の傾斜辺部に固定され、刃先が他方の傾斜辺部に対して30°の角度をなす超硬合金製の片刃研ぎ刃と、を備えたことをを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つはグリップ部の両端に側面三角形状で端縁で6mm幅のV字状の溝を有する研ぎ部を形成し、一方の研ぎ部には両刃研ぎ刃を相互に45°又は60°の角度でもって設け、他方の研ぎ部に片刃研ぎ刃を他方の溝傾斜辺部に対して30°の角度でもって設けるようにした点にある。
【0010】
例えば、両刃のナイフの切れ味が鈍くなった場合、グリップ部を片手で把持し、他方の手でナイフの柄を把持し、両刃研ぎ部の溝にナイフの刃先を合わせ、刃先が溝奥方に来るように嵌め込み、グリップ部及び/又は柄を操作して両刃研ぎ刃でナイフの刃先を何回かこすると、ナイフ両刃の刃先を使用可能な程度まで回復させることができる。
【0011】
このとき、研ぎ部の溝が幅6mmのV字状をなし、両刃研ぎ刃が相互に45°又は60°となっているので、ナイフの刃胴部の途中が溝内の両刃研ぎ刃につかえることなく、ナイフの刃先は溝の奥方に達することができるので、刃先を使用できる程度の切れ味に迅速に戻すことができる。
【0012】
片刃ナイフの切れ味が鈍くなった場合には片刃研ぎ部の刃で刃先をこすればよい。
【0013】
また、両刃研ぎ部及び片刃研ぎ部は両方設けるようにしてもよいが、いずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0014】
本発明に係る刃物シャープナーは、刃物を使用可能な切れ味まで回復させるようにした刃物シャープナーであって、片手で把持し得る長さ及び太さのグリップ部と、該グリップ部の先端に設けられ、厚みが先端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、先端部に先端縁で幅6mmのV字状の溝が形成された両刃研ぎ部と、該両刃研ぎ部の溝の両傾斜辺部に固定され、両方の刃先が相互に45°又は60°のV字状の角度をなす超硬合金製の両刃研ぎ刃と、を備えたことをを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る刃物シャープナーは、刃物を使用可能な切れ味まで回復させるようにした刃物シャープナーであって、片手で把持し得る長さ及び太さのグリップ部と、該グリップ部の後端に設けられ、厚みが後端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、後端部に後端縁で幅6mmのV字状の溝が形成された片刃研ぎ部と、該片刃研ぎ部の溝の一方の傾斜辺部に固定され、刃先が他方の傾斜辺部に対して30°の角度をなす超硬合金製の片刃研ぎ刃と、を備えたことをを特徴とする。
【0016】
ところで、鋸では各鋸歯が上刃、上目及び裏刃からなり、左右にあさり分けされた形態をなしているが、上目の目底は切断時の喰付き抵抗となる。そこで、目底の山を両刃にすると、喰付き抵抗が少なくなり、鋸の引抜きが軽く、しかも切断面が美しくなることから、上述の刃物シャープナーのグリップ部に目底の山を両刃にする鋸歯研ぎ部を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る刃物シャープナーの好ましい実施形態を示す平面図である。
【
図5】第3の実施形態における底面(a)及び断面側面(b)を示す図である。
【
図6】鋸歯(a)(b)及びその研ぎ作業(c)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1ないし
図3は本発明に係る刃物シャープナーの好ましい実施形態を示す。図において、グリップ部10は長さ作業者が片手で把持し得る長さ及び太さ、例えば150mm、横幅18mm、厚さ8mmの概略断面長方形の棒状をなし、アルミ合金のダイキャストで製造されている。
【0019】
このグリップ部10の上面両端部には指を当てる凹部10Aが形成され、上面中央部には紐やチェーンを引っ掛ける引っ掛け部10Bが形成されている。
【0020】
グリップ部10の先端部には両刃研ぎ部11が一体的に形成されている。この両刃研ぎ部11は長さ25mmで、厚みが先端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、先端部に先端縁で幅aが6mmのV字状の溝11Aが形成され、両刃研ぎ部11の溝11Aの両傾斜辺部には両刃研ぎ刃13が固定され、溝11Aの両傾斜辺部には超硬合金製両刃研ぎ刃13が構成され、両刃研ぎ刃13の刃先は相互に45°のV字状の角度に設定されている。
【0021】
他方、グリップ部10の後端部には片刃研ぎ部12が形成されている。片刃研ぎ部12は長さ25mmで、厚みが先端側に向けて薄くなった側面三角形状をなし、先端部には先端縁で幅aが6mmのV字状の溝12Aが形成され、片刃研ぎ部12の溝12Aの一方の斜辺部には超硬合金製の片刃研ぎ刃14が固定され、片刃研ぎ刃14は他方の傾斜辺部に対して30°の角度に設定されている。
【0022】
例えば、両刃のナイフの切れ味が鈍くなった場合、グリップ部10を片手で把持し、他方の手でナイフの柄を把持し、両刃研ぎ部11の溝11Aにナイフの刃先を合わせ、刃先が溝11A奥方に来るように嵌め込み、グリップ部10とナイフの柄を操作して両刃研ぎ刃13でナイフの刃先を何回かこすると、ナイフ両刃の刃先を使用可能な程度まで回復させることができる。
【0023】
このとき、両刃研ぎ部11の溝11Aが幅6mmのV字状をなし、両刃研ぎ刃13が相互に45°となっているので、ナイフの刃胴部の途中が溝11A内の両刃研ぎ刃13につかえることなく、ナイフの刃先は溝11Aの奥方に達することができるので、刃先を使用できる程度の切れ味に迅速に戻すことができる。
【0024】
片刃ナイフの切れ味が鈍くなった場合には片刃研ぎ部12の刃14で刃先をこすればよい。
【0025】
図4は第2の実施形態を示し、図において
図1ないし
図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では両刃研ぎ刃13の相互の角度が60°に設定されている。
【0026】
図5ないし
図6は第3の実施形態を示し、図において
図1ないし
図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例ではグリップ部10の下面両端部にV字状をなす鋸歯研ぎ部16が横幅方向に伸びて形成されている。
【0027】
横引き鋸では
図6(a)(b)に示されるように、各鋸歯が上刃20、上目21及び裏刃22からなり、各歯が左右にあさり分けされている。上目21の目底は切断時の喰付き抵抗となる。そこで、
図6(c)に示されるように、上目21の目底の山をグリップ部10下面の鋸歯研ぎ部16で研ぎ、両刃21、23にすると、喰付き抵抗が少なくなり、鋸の引抜きが軽く、しかも切断面を美しくできる。
【符号の説明】
【0028】
10 グリップ部
11 両刃研ぎ部
11A 溝
12 片刃研ぎ部
12A 溝
13 両刃研ぎ刃
14 片刃研ぎ刃