(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】発電システム、発電制御装置、及び発電制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 9/00 20060101AFI20230203BHJP
H02J 3/18 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
H02P9/00 A
H02J3/18
(21)【出願番号】P 2019021587
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506000128
【氏名又は名称】日鉄環境エネルギーソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠祐
(72)【発明者】
【氏名】南里 和成
(72)【発明者】
【氏名】宮田 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】尾方 洋一
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-167954(JP,A)
【文献】特開2006-311686(JP,A)
【文献】実開平05-012920(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/00-9/48
H02J 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の需要家設備に設置される発電装置と、
前記需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御する第一発電制御部と、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備え
、
前記第二発電制御部は、前記オン・オフ制御部が前記進相コンデンサを前記オフ状態から前記オン状態に切り替える前に、当該進相コンデンサの前記オフ状態用の前記制御目標値を当該進相コンデンサの前記オン状態用の前記制御目標値に変更するように構成されている、発電システム。
【請求項2】
電力系統の需要家設備に設置される発電装置と、
前記需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御する第一発電制御部と、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備え、
前記第二発電制御部は、前記オン・オフ制御部が前記進相コンデンサを前記オン状態から前記オフ状態に切り替えた後に、当該進相コンデンサの前記オン状態用の前記制御目標値を当該進相コンデンサの前記オフ状態用の前記制御目標値に変更するように構成されている、発電システム。
【請求項3】
電力系統の需要家設備に設置される発電装置と、
前記需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御する第一発電制御部と、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備え、
前記オン・オフ制御部は、前記進相コンデンサが供給できる遅れ無効電力の大きさに所定のマージンを加算した第一閾値を前記無効電力指標値が超えるのに応じて前記進相コンデンサを前記オフ状態から前記オン状態に切り替え、当該マージンより小さい第二閾値を前記無効電力指標値が下回るのに応じて前記進相コンデンサを前記オン状態から前記オフ状態に切り替える、発電システム。
【請求項4】
電力系統の需要家設備に設置される発電装置と、
前記需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御する第一発電制御部と、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備え、
前記オン・オフ制御部は、
前記無効電力指標値に基づいて前記オン状態の前記進相コンデンサの数を変更し、
前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに際して、複数の前記進相コンデンサのそれぞれの静電容量に基づいて、前記オン状態及び前記オフ状態を切り替えるべき前記進相コンデンサを選択し、
前記オン状態から前記オフ状態への切り替えに際して、前記無効電力指標値の変化速度と、複数の前記進相コンデンサのそれぞれの静電容量とに基づいて、前記オン状態及び前記オフ状態を切り替えるべき前記進相コンデンサを選択する、
ように構成されている、発電システム。
【請求項5】
需要家設備に設けられた発電装置を制御対象とし、前記需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御する第一発電制御部と、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備え
、
前記第二発電制御部は、前記オン・オフ制御部が前記進相コンデンサを前記オフ状態から前記オン状態に切り替える前に、当該進相コンデンサの前記オフ状態用の前記制御目標値を当該進相コンデンサの前記オン状態用の前記制御目標値に変更するように構成されている、発電制御装置。
【請求項6】
需要家設備に設けられた発電装置を制御対象とし、前記需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御する第一発電制御部と、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備え、
前記第二発電制御部は、前記オン・オフ制御部が前記進相コンデンサを前記オン状態から前記オフ状態に切り替えた後に、当該進相コンデンサの前記オン状態用の前記制御目標値を当該進相コンデンサの前記オフ状態用の前記制御目標値に変更するように構成されている、発電制御装置。
【請求項7】
需要家設備に設けられた発電装置を制御対象とし、前記需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御する第一発電制御部と、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備え、
前記オン・オフ制御部は、前記進相コンデンサが供給できる遅れ無効電力の大きさに所定のマージンを加算した第一閾値を前記無効電力指標値が超えるのに応じて前記進相コンデンサを前記オフ状態から前記オン状態に切り替え、当該マージンより小さい第二閾値を前記無効電力指標値が下回るのに応じて前記進相コンデンサを前記オン状態から前記オフ状態に切り替える、発電制御装置。
【請求項8】
需要家設備に設けられた発電装置を制御対象とし、前記需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御する第一発電制御部と、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備え、
前記オン・オフ制御部は、
前記無効電力指標値に基づいて前記オン状態の前記進相コンデンサの数を変更し、
前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに際して、複数の前記進相コンデンサのそれぞれの静電容量に基づいて、前記オン状態及び前記オフ状態を切り替えるべき前記進相コンデンサを選択し、
前記オン状態から前記オフ状態への切り替えに際して、前記無効電力指標値の変化速度と、複数の前記進相コンデンサのそれぞれの静電容量とに基づいて、前記オン状態及び前記オフ状態を切り替えるべき前記進相コンデンサを選択する、
ように構成されている、発電制御装置。
【請求項9】
発電装置、進相コンデンサ、及び負荷を有する需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように前記発電装置を制御することと、
前記発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、前記需要家設備が有する進相コンデンサの状態を前記発電装置に接続されるオン状態又は前記発電装置に接続されないオフ状態にすることと、
前記進相コンデンサが前記オン状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサが前記オフ状態である場合に前記発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサの前記オン状態及び前記オフ状態の切り替えに応じて前記発電装置の制御目標値を変更することと、を含
み、
前記進相コンデンサを前記オフ状態から前記オン状態に切り替える前に、当該進相コンデンサの前記オフ状態用の前記制御目標値を当該進相コンデンサの前記オン状態用の前記制御目標値に変更する、発電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電システム、発電制御装置、及び発電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受電点における無効電力を検出する無効電力検出手段と、各発電機が発電する有効電力を検出する有効電力検出手段と、各発電機が発電すべき無効電力の総和が受電点における無効電力に一致し、各発電機の損失コストの総和が最小になる各発電機の無効電力を算出する力率演算手段と、を備える自動力率制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、需要家設備の受電点力率の改善と、需要家設備における発電効率の更なる向上との両立を図るのに有効な発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る発電システムは、電力系統の需要家設備に設置される発電装置と、需要家設備が消費する遅れ無効電力(以下、「受電点無効電力」という。)を縮小するように発電装置を制御する第一発電制御部と、発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、需要家設備が有する進相コンデンサの状態を発電装置に接続されるオン状態又は発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、進相コンデンサがオン状態である場合に発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサがオフ状態である場合に発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサのオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備える。
【0006】
この発電システムによれば、発電装置の制御により、受電点無効電力を微調節することができる。また、受電点無効電力の調節に進相コンデンサの状態(オン状態又はオフ状態)の切り替えを併用することで、発電装置が供給する遅れ無効電力を削減し、発電装置の発電効率を向上させることができる。進相コンデンサのオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて、発電装置の制御目標値を切り替えることで、系統側に遅れ無効電力を供給してしまう状態(以下、「無効電力の逆潮状態」という。)の発生を抑制することができる。従って、需要家設備の受電点力率の改善と、需要家設備における発電効率向上との両立を図るのに有効である。
【0007】
第二発電制御部は、オン・オフ制御部が進相コンデンサをオフ状態からオン状態に切り替える前に、当該進相コンデンサのオフ状態用の制御目標値を当該進相コンデンサのオン状態用の制御目標値に変更するように構成されていてもよい。この場合、進相コンデンサのオン状態用の制御目標値による発電装置の制御と、当該進相コンデンサのオフ状態からオン状態への切り替えとが重なることに起因して無効電力の逆潮状態が発生することを回避することができる。
【0008】
第二発電制御部は、オン・オフ制御部が進相コンデンサをオン状態からオフ状態に切り替えた後に、当該進相コンデンサのオン状態用の制御目標値を当該進相コンデンサのオフ状態用の制御目標値に変更するように構成されていてもよい。この場合、進相コンデンサのオン状態と、当該進相コンデンサのオフ状態用の制御目標値から当該進相コンデンサのオン状態用の制御目標値への切り替えとが重なることに起因して無効電力の逆潮状態が発生することを回避することができる。
【0009】
オン・オフ制御部は、進相コンデンサが供給できる遅れ無効電力の大きさに所定のマージンを加算した第一閾値を無効電力指標値が超えるのに応じて進相コンデンサをオフ状態からオン状態に切り替え、当該マージンより小さい第二閾値を無効電力指標値が下回るのに応じて進相コンデンサをオン状態からオフ状態に切り替えるように構成されていてもよい。この場合、第一閾値と第二閾値との間に不感帯を設けることにより、進相コンデンサのオン状態及びオフ状態の切り替え頻度を抑制し、過剰な切替に起因する受電点力率の頻繁な変化を抑制することができる。
【0010】
オン・オフ制御部は、無効電力指標値に基づいてオン状態の進相コンデンサの数を変更するように構成されていてもよい。この場合、進相コンデンサが供給する遅れ無効電力を多段階で調節可能にすることで、進相コンデンサの状態の切り替えに伴う発電装置11の制御目標値の変更量を抑制することができる。
【0011】
オン・オフ制御部は、オン状態及びオフ状態の切り替えに際して、複数の進相コンデンサのそれぞれの静電容量に基づいて、オン状態及びオフ状態を切り替えるべき進相コンデンサを選択するように構成されていてもよい。この場合、必要とされる無効電力の大きさに応じて、静電容量の異なる複数の進相コンデンサを使い分けることで、発電効率の更なる向上を図ることができる。
【0012】
オン・オフ制御部は、オン状態からオフ状態への切り替えに際して、無効電力指標値の変化速度と、複数の進相コンデンサのそれぞれの静電容量とに基づいて、オン状態及びオフ状態を切り替えるべき進相コンデンサを選択するように構成されていてもよい。この場合、オン状態からオフ状態への切り替え頻度を抑制することができる。
【0013】
本開示の他の側面に係る発電制御装置は、需要家設備に設置された発電装置を制御対象とし、需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように発電装置を制御する第一発電制御部と、発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、需要家設備が有する進相コンデンサの状態を発電装置に接続されるオン状態又は発電装置に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部と、進相コンデンサがオン状態である場合に発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサがオフ状態である場合に発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサのオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて発電装置の制御目標値を変更する第二発電制御部と、を備える。
【0014】
本開示の更に他の側面に係る発電制御方法は、発電装置、進相コンデンサ、及び負荷を有する需要家設備が消費する遅れ無効電力を縮小するように発電装置を制御することと、発電装置が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、需要家設備が有する進相コンデンサの状態を発電装置に接続されるオン状態又は発電装置に接続されないオフ状態にすることと、進相コンデンサがオン状態である場合に発電装置により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサがオフ状態である場合に発電装置により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサのオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて発電装置の制御目標値を変更することと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、需要家設備の受電点力率の改善と、需要家設備における発電効率の更なる向上との両立を図るのに有効な発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】力率調節手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
〔発電システム〕
図1に示すように、本実施形態に係る発電システム10は、電力系統PSの需要家設備1に設置されるシステムである。需要家設備1は、変圧器2と、電力検出部4と、負荷5と、進相コンデンサ6と、切替スイッチ7と、発電システム10とを備える。
【0019】
変圧器2は、電力系統PSの電圧を需要家設備1の構内用の電圧に変換する。電力検出部4は、需要家設備1の受電点3における電力を計測する。受電点3は、需要家設備1が電力系統PSから電力供給を受ける点であり、具体的には電力系統PSと変圧器2の一次側(電力系統PS側)との接続点である。電力検出部4は、交流電圧計及び交流電流計を含み、交流電圧及び交流電流の計測結果に基づいて受電点3における有効電力及び無効電力を導出する。
【0020】
負荷5は、変圧器2の二次側(需要家設備1の構内側)からの構内電線9に接続されており、構内において電力を消費する。負荷5の具体例としては、モータ、ヒータ、クーラ又は照明等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、上記供給電力を消費する限りいかなるものであってもよい。需要家設備1は、複数の負荷5を備えていてもよい。図においては二つの負荷5を示しているが、負荷5の数に特に制限はない。
【0021】
進相コンデンサ6は、負荷5が消費する遅れ無効電力を進み無効電力の消費によって相殺し、受電点3の力率を向上させるためのコンデンサである。なお、進み無効電力を消費することは、遅れ無効電力を供給することと等価である。切替スイッチ7は、進相コンデンサ6と構内電線9との間に介在し、進相コンデンサ6の状態を構内電線9に接続される状態(以下、「オン状態」という。)又は構内電線9に接続されない状態(以下、「オフ状態」という。)に切り替える。切替スイッチ7は、例えば電磁接触器であり、制御信号の入力によって電気的に操作可能である。需要家設備1は、複数組の進相コンデンサ6及び切替スイッチ7を備えていてもよい。図においては、二組の進相コンデンサ6及び切替スイッチ7を示しているが、進相コンデンサ6及び切替スイッチ7の数に特に制限はない。需要家設備1が複数の進相コンデンサ6を備えている場合に、当該複数の進相コンデンサ6は、互いに静電容量が異なる複数の進相コンデンサ6を含んでいてもよい。
【0022】
発電システム10は、発電装置11と、自動電圧調整器12及び自動力率調整器13と、電力検出部14と、発電制御装置100とを備える。
【0023】
発電装置11は、需要家設備1の構内に設置され、構内電線9に接続される。発電装置11は、動力の入力に応じて交流電力を発生させ、発生した交流電力を構内電線9に出力する。発電装置11は、無効電力を制御可能な交流発電機であればいかなるものであってもよい。図においては、一つの発電装置11を示しているが、発電装置11の数に制限はなく、発電システム10は複数の発電装置11を備えていてもよい。
【0024】
自動力率調整器13は、自動電圧調整器12を介して発電装置11の力率を目標値に近付ける。自動電圧調整器12は、自動力率調整器13からの指令に応じて発電装置11の界磁電流の調節等を行う。
【0025】
電力検出部14は、発電装置11が発生する電力を計測する。例えば電力検出部14は、発電装置11と構内電線9との間における交流電圧及び交流電流を計測し、計測結果に基づいて有効電力及び無効電力を導出する。
【0026】
発電制御装置100は、例えば発電装置11及び切替スイッチ7等を制御対象とするプログラマブルロジックコントローラであり、需要家設備1が消費する遅れ無効電力を縮小するように発電装置11を制御することと、発電装置11が供給する遅れ無効電力(発電装置11が消費する進み無効電力)の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、進相コンデンサ6の状態を発電装置11に接続されるオン状態又は発電装置11に接続されないオフ状態に切り替えることと、進相コンデンサ6がオン状態である場合に発電装置11により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサ6がオフ状態である場合に発電装置11により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサ6のオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて発電装置11の制御目標値を変更することと、を実行するように構成されている。
【0027】
例えば発電制御装置100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、第一発電制御部112と、オン・オフ制御部111と、第二発電制御部113とを有する。
【0028】
第一発電制御部112は、需要家設備1が消費する遅れ無効電力(以下、「受電点無効電力」という。)を縮小するように発電装置11を制御する。例えば第一発電制御部112は、受電点無効電力を縮小するように、発電装置11が供給する遅れ無効電力(以下、「調整用無効電力」という。)を調節する。
【0029】
より具体的に、第一発電制御部112は、受電点無効電力の情報を電力検出部4から取得し、これを縮小するための制御目標値を導出する。例えば第一発電制御部112は、受電点無効電力をゼロにする(受電点力率を1にする)ために発電装置11が供給すべき遅れ無効電力(以下、「無効電力目標値」という。)を制御目標値として導出する。また、第一発電制御部112は、発電装置11が発生する有効電力の情報を電力検出部14から取得し、当該有効電力と上記無効電力目標値とに基づいて、発電装置11の力率目標値を導出する。そして第一発電制御部112は、導出した力率目標値を自動力率調整器13に出力する。これにより、発電装置11が供給する遅れ無効電力が上記無効電力目標値に近付けられる。
【0030】
オン・オフ制御部111は、上記無効電力指標値に基づいて、切替スイッチ7により進相コンデンサ6をオン状態又はオフ状態に切り替える。例えば無効電力指標値は、発電装置11が供給する遅れ無効電力の大きさを実質的に示す値である。なお、発電システム10が複数の発電装置11を備える場合、無効電力指標値は全ての発電装置11が供給する遅れ無効電力の総和を実質的に示す値である。例えばオン・オフ制御部111は、上記無効電力目標値を無効電力指標値として用いてもよい。
【0031】
オン・オフ制御部111は、進相コンデンサ6が供給できる遅れ無効電力の大きさ(以下、「進相コンデンサ6の進相レベル」という。)に所定のマージンα1を加算した第一閾値を無効電力指標値が超えるのに応じて進相コンデンサ6をオフ状態からオン状態に切り替え、マージンα1より小さいマージンα2と同じ値の第二閾値を無効電力指標値が下回るのに応じて進相コンデンサ6をオン状態からオフ状態に切り替えてもよい。
【0032】
マージンα1及びマージンα2は、発電機が最低限供給しなければならない無効電力の大きさよりも大きい値に設定されていてもよい。発電機が最低限供給しなければならない無効電力の大きさは、例えば発電機が供給する無効電力の可変範囲の最小値であり、発電機ごとの仕様によって定まる。
【0033】
オン・オフ制御部111は、無効電力指標値に基づいてオン状態の進相コンデンサ6の数を変更するように構成されていてもよい。複数の進相コンデンサ6が互いに静電容量の異なる複数の進相コンデンサ6を含んでいる場合、オン・オフ制御部111は、オン状態及びオフ状態の切り替え対象とする進相コンデンサ6を静電容量に基づいて選択するように構成されていてもよい。また、オン・オフ制御部111は、無効電力指標値の変化速度と、複数の進相コンデンサ6のそれぞれの静電容量とに基づいて、オン状態からオフ状態に切り替えるべき進相コンデンサ6を選択するように構成されていてもよい。より具体的に、オン・オフ制御部111は、無効電力指標値の変化速度が高くなるのに応じて、静電容量の大きな進相コンデンサ6をオン状態からオフ状態に切り替えるように構成されていてもよい。
【0034】
第二発電制御部113は、進相コンデンサ6がオン状態である場合に発電装置11により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサ6がオフ状態である場合に発電装置11により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサ6のオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて発電装置11の制御目標値(第一発電制御部112による発電装置11の制御における制御目標値)を変更する。例えば第二発電制御部113は、進相コンデンサ6がオフ状態からオン状態に切り替わるのに応じ、オフ状態における無効電力目標値から当該進相コンデンサ6の進相レベル(進相コンデンサ6が供給する遅れ無効電力の大きさ)を減算する。また、第二発電制御部113は、進相コンデンサ6がオン状態からオフ状態に切り替わるのに応じ、オフ状態における無効電力目標値に当該進相コンデンサ6の進相レベルを加算する。
【0035】
第二発電制御部113は、オン・オフ制御部111が進相コンデンサ6をオフ状態からオン状態に切り替える前に、当該進相コンデンサ6のオフ状態用の無効電力目標値を当該進相コンデンサ6のオン状態用の無効電力目標値に変更するように構成されていてもよい。この場合、オン・オフ制御部111は、第二発電制御部113が進相コンデンサ6のオフ状態用の無効電力目標値を進相コンデンサ6のオン状態用の無効電力目標値に変更した後、進相コンデンサ6をオフ状態からオン状態に切り替える前に所定時間待機するように構成されていてもよい。
【0036】
また、第二発電制御部113は、オン・オフ制御部111が進相コンデンサ6をオン状態からオフ状態に切り替えた後に、当該進相コンデンサ6のオン状態用の無効電力目標値を当該進相コンデンサ6のオフ状態用の無効電力目標値に変更するように構成されていてもよい。この場合、第二発電制御部113は、オン・オフ制御部111が進相コンデンサ6をオン状態からオフ状態に切り替えた後、進相コンデンサ6のオン状態用の制御目標値を進相コンデンサ6のオフ状態用の制御目標値に変更する前に、所定時間待機するように構成されていてもよい。
【0037】
続いて、発電制御装置100のハードウェア構成を例示する。
図2に示すように、発電制御装置100は、回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124とを含む。ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の発電制御手順を発電制御装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121からの指令に従って、電力検出部4,14、自動力率調整器13、切替スイッチ7,7との間で電気信号の入出力を行う。
【0038】
〔発電制御手順〕
続いて、発電制御方法の一例として、発電制御装置100が実行する発電制御手順を説明する。この手順は、上記受電点無効電力を縮小するように発電装置11を制御することと、発電装置11が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、進相コンデンサ6の状態を発電装置11に接続されるオン状態又は発電装置11に接続されないオフ状態に切り替えることと、進相コンデンサ6がオン状態である場合に発電装置11により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサ6がオフ状態である場合に発電装置11により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサ6のオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて発電装置11の制御目標値を変更することと、を含む。
【0039】
図3に示すように、発電制御装置100は、まずステップS01,S02,S03を順に実行する。ステップS01では、第一発電制御部112が、上記受電点無効電力の情報を電力検出部4から取得する。ステップS02では、第一発電制御部112が、受電点無効電力を縮小する(例えばゼロにする)ために発電装置11が供給すべき遅れ無効電力(上記無効電力目標値)を導出する。ステップS03では、オン・オフ制御部111が上記無効電力目標値を無効電力指標値として用い、当該無効電力指標値が上記第一閾値を上回っているか否かを確認する。
【0040】
ステップS03において、無効電力指標値が第一閾値を上回っていると判定した場合、発電制御装置100はステップS04を実行する。ステップS04では、オフ状態となっている進相コンデンサ6が存在するか否かをオン・オフ制御部111が確認する。
【0041】
ステップS04において、オフ状態となっている進相コンデンサ6が存在すると判定した場合、発電制御装置100はステップS06,S07を順に実行する。ステップS06では、第二発電制御部113が、現在の無効電力目標値を、オフ状態の進相コンデンサ6がオン状態となった場合の無効電力目標値に変更する。例えば第二発電制御部113は、現在の無効電力目標値から、オフ状態の進相コンデンサ6の進相レベルを減算する。ステップS07では、オン・オフ制御部111が、オフ状態の進相コンデンサ6のいずれかを切替スイッチ7によりオン状態に切り替える。なお、オン・オフ制御部111は、ステップS06が実行された後、ステップS07を実行する前に所定時間待機してもよい。
【0042】
ステップS03において、無効電力指標値は第一指標値以下であると判定した場合、発電制御装置100はステップS11を実行する。ステップS11では、無効電力指標値が上記第二閾値を下回っているか否かをオン・オフ制御部111が確認する。
【0043】
ステップS11において、無効電力指標値が第二閾値を下回っていると判定した場合、発電制御装置100はステップS12を実行する。ステップS12では、オン状態となっている進相コンデンサ6が存在するか否かをオン・オフ制御部111が確認する。
【0044】
ステップS12において、オン状態となっている進相コンデンサ6が存在すると判定した場合、発電制御装置100はステップS14,S15を順に実行する。ステップS14では、オン・オフ制御部111が、オン状態の進相コンデンサ6のいずれかを切替スイッチ7によりオフ状態に切り替える。ステップS15では、第二発電制御部113が、現在の無効電力目標値を、オン状態の進相コンデンサ6がオフ状態となった場合の無効電力目標値に変更する。例えば第二発電制御部113は、現在の無効電力目標値にオン状態の進相コンデンサ6の進相レベルを加算する。なお、第二発電制御部113は、ステップS14が実行された後、ステップS15を実行する前に所定時間待機してもよい。
【0045】
ステップS07,S15を実行した後、発電制御装置100はステップS21,S22,S23を実行する。ステップS04において、オフ状態となっている進相コンデンサ6は存在しないと判定した場合、発電制御装置100はステップS06,S07を実行することなくステップS21,S22,S23を実行する。ステップS12において、オン状態となっている進相コンデンサ6は存在しないと判定した場合、発電制御装置100はステップS14,S15を実行することなくステップS21,S22,S23を実行する。ステップS11において、無効電力指標値が第二閾値以上であると判定した場合、発電制御装置100はステップS12を実行することなくステップS21,S22,S23を実行する。
【0046】
ステップS21では、発電装置11が発生する有効電力の情報を第一発電制御部112が電力検出部14から取得する。ステップS22では、第一発電制御部112が、当該有効電力と上記無効電力目標値とに基づいて、発電装置11の力率目標値を導出する。ステップS23では、第一発電制御部112が力率目標値を自動力率調整器13に出力する。以上で1サイクルの発電制御手順が完了する。発電制御装置100は以上の手順を繰り返し実行する。
【0047】
なお、ステップS01~S22の実行順序は適宜変更可能である。例えば発電制御装置100はステップS21をステップS01以前に実行してもよい。また、発電制御装置100は、ステップS03に先立ってステップS11を実行し、ステップS11において無効電力指標値が第二閾値以上であると判定した場合にステップS03を実行し、ステップS03において無効電力指標値が第一閾値以下であると判定した場合にはステップS04を実行することなくステップS21を実行してもよい。
【0048】
複数の進相コンデンサ6が互いに静電容量の異なる複数の進相コンデンサ6を含んでいる場合、発電制御装置100は、
図4に示すようにステップS06に先立ってステップS05を実行し、ステップS14に先立ってステップS13を実行してもよい。
【0049】
ステップS05では、オン・オフ制御部111が、無効電力指標値の大きさと、複数の進相コンデンサ6のそれぞれの静電容量とに基づいて、オフ状態からオン状態に切り替えるべき進相コンデンサ6を選択する。ステップS06では、第二発電制御部113が、ステップS05で選択された進相コンデンサ6の進相レベルを現在の無効電力目標値から減算する。ステップS07では、オン・オフ制御部111が、ステップS05で選択された進相コンデンサ6を切替スイッチ7によりオン状態に切り替える。
【0050】
ステップS13では、オン・オフ制御部111が、無効電力指標値の大きさと、複数の進相コンデンサ6のそれぞれの静電容量とに基づいて、オン状態からオフ状態に切り替えるべき進相コンデンサ6を選択する。ステップS13においては、無効電力指標値の下降速度と、複数の進相コンデンサ6のそれぞれの静電容量とに基づいて、オン状態からオフ状態に切り替えるべき進相コンデンサ6を選択してもよい。ステップS14では、オン・オフ制御部111が、ステップS13で選択された進相コンデンサ6を切替スイッチ7によりオフ状態に切り替える。ステップS15では、第二発電制御部113が、ステップS13で選択された進相コンデンサ6の進相レベルを現在の無効電力目標値に加算する。
【0051】
なお、ステップS13において、切り替え対象とされる進相コンデンサ6の静電容量が所定の容量よりも大きい場合には、ステップS15の後に所定の待機時間を設けてもよい。静電容量の大きい進相コンデンサ6がオフ状態に切り替わると、無効電力指標値の縮小幅も大きくなる。このため、次回のステップS05において他の進相コンデンサ6をオン状態に切り替えることが必要と判断され、結果的にオン状態及びオフ状態の切り替え頻度が高くなってしまう可能性がある。これに対し、ステップS15の後に待機時間を設けることによって、切り替え頻度を抑制することができる。
【0052】
ステップS05~S07では、いずれかの進相コンデンサ6をオフ状態からオン状態に切り替えつつ、他の進相コンデンサ6をオン状態からオフ状態に切り替えて、オン状態となる進相コンデンサ6を変更してもよい。例えばステップS05では、無効電力指標値の大きさと、現在オン状態である進相コンデンサ6の静電容量と、現在オフ状態である進相コンデンサ6の静電容量とに基づいて、オフ状態からオン状態に切り替えるべき進相コンデンサ6と(以下、「オフ―オン切り替え対象の進相コンデンサ6」という。)と、オン状態からオフ状態に切り替えるべき進相コンデンサ6(以下、「オン-オフ切り替え対象の進相コンデンサ6」という。)とを決定する。具体的には、進相コンデンサ6が供給する無効電力の増加量を最適化し得るように、オフ-オン切り替え対象及びオン-オフ切り替え対象の進相コンデンサ6を決定する。
【0053】
ステップS06では、現在の無効電力目標値を、オフ-オン切り替え対象の進相コンデンサ6がオン状態となり、オン-オフ切り替え対象の進相コンデンサ6がオフ状態となった場合の無効電力目標値に変更する。ステップS07では、オフ-オン切り替え対象の進相コンデンサ6を切替スイッチ7によりオン状態に切り替え、オン-オフ切り替え対象の進相コンデンサ6を切替スイッチ7によりオフ状態に切り替える。
【0054】
同様に、ステップS13~S15でも、いずれかの進相コンデンサ6をオン状態からオフ状態に切り替えつつ、他の進相コンデンサ6をオフ状態からオン状態に切り替えて、オフ状態となる進相コンデンサ6を変更してもよい。例えばステップS13では、無効電力指標値の大きさと、現在オン状態である進相コンデンサ6の静電容量と、現在オフ状態である進相コンデンサ6の静電容量とに基づいて、オフ―オン切り替え対象の進相コンデンサ6と、オン-オフ切り替え対象の進相コンデンサ6とを決定する。具体的には、進相コンデンサ6が供給する無効電力の減少量を最適化し得るように、オフ-オン切り替え対象及びオン-オフ切り替え対象の進相コンデンサ6を決定する。
【0055】
ステップS14では、オフ-オン切り替え対象の進相コンデンサ6を切替スイッチ7によりオン状態に切り替え、オン-オフ切り替え対象の進相コンデンサ6を切替スイッチ7によりオフ状態に切り替える。現在の無効電力目標値を、オフ-オン切り替え対象の進相コンデンサ6がオン状態となり、オン-オフ切り替え対象の進相コンデンサ6がオフ状態となった後の無効電力目標値に変更する。
【0056】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、発電システム10は、電力系統PSの需要家設備1に設置される発電装置11と、上記受電点無効電力(需要家設備1が消費する遅れ無効電力)を縮小するように発電装置11を制御する第一発電制御部112と、発電装置11が供給する遅れ無効電力の大きさに関する無効電力指標値に基づいて、需要家設備1が有する進相コンデンサ6の状態を発電装置11に接続されるオン状態又は発電装置11に接続されないオフ状態にするオン・オフ制御部111と、進相コンデンサ6がオン状態である場合に発電装置11により供給される遅れ無効電力が、当該進相コンデンサ6がオフ状態である場合に発電装置11により供給される遅れ無効電力に比較して小さくなるように、当該進相コンデンサ6のオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて発電装置11の制御目標値を変更する第二発電制御部113と、を備える。
【0057】
発電システム10によれば、発電装置11の制御により、受電点無効電力を微調節することができる。また、受電点無効電力の調節に進相コンデンサ6のオン状態及びオフ状態の切り替えを併用することで、発電装置11が供給する遅れ無効電力を削減し、発電装置11の発電効率を向上させることができる。進相コンデンサ6のオン状態及びオフ状態の切り替えに応じて、発電装置11の制御目標値を切り替えることで、系統側に遅れ無効電力を供給してしまう状態(以下、「無効電力の逆潮状態」という。)の発生を抑制することができる。従って、需要家設備1の受電点力率の改善と、需要家設備1における発電効率向上との両立を図るのに有効である。
【0058】
第二発電制御部113は、オン・オフ制御部111が進相コンデンサ6をオフ状態からオン状態に切り替える前に、当該進相コンデンサ6のオフ状態用の制御目標値を当該進相コンデンサ6のオン状態用の制御目標値に変更するように構成されていてもよい。この場合、進相コンデンサ6のオン状態用の制御目標値による発電装置11の制御と、当該進相コンデンサ6のオフ状態からオン状態への切り替えとが重なることに起因して無効電力の逆潮状態が発生することを回避することができる。
【0059】
第二発電制御部113は、オン・オフ制御部111が進相コンデンサ6をオン状態からオフ状態に切り替えた後に、当該進相コンデンサ6のオン状態用の制御目標値を当該進相コンデンサ6のオフ状態用の制御目標値に変更するように構成されていてもよい。この場合、進相コンデンサ6のオン状態と、当該進相コンデンサ6のオフ状態用の制御目標値から当該進相コンデンサ6のオン状態用の制御目標値への切り替えとが重なることに起因して無効電力の逆潮状態が発生することを回避することができる。
【0060】
オン・オフ制御部111は、進相コンデンサ6が供給できる遅れ無効電力の大きさに所定のマージンα1を加算した第一閾値を無効電力指標値が超えるのに応じて進相コンデンサ6をオフ状態からオン状態に切り替え、マージンα1より小さいマージンα2と同じ値の第二閾値を無効電力指標値が下回るのに応じて進相コンデンサをオン状態からオフ状態に切り替えるように構成されていてもよい。この場合、第一閾値と第二閾値との間に不感帯を設けることにより、進相コンデンサ6のオン状態及びオフ状態の切り替え頻度を抑制し、過剰な切替に起因する受電点力率の頻繁な変化を抑制することができる。
【0061】
マージンα1及びマージンα2は、発電機が最低限供給しなければならない無効電力の大きさよりも大きい値に設定されていてもよい。この場合、無効電力の逆潮状態の発生をより確実に抑制することができる。
【0062】
オン・オフ制御部111は、無効電力指標値に基づいてオン状態の進相コンデンサ6の数を変更するように構成されていてもよい。この場合、進相コンデンサ6が供給する遅れ無効電力を多段階で調節可能にすることで、進相コンデンサ6の状態の切り替えに伴う発電装置11の制御目標値の変更量を抑制することができる。
【0063】
オン・オフ制御部111は、オン状態及びオフ状態の切り替えに際して、複数の進相コンデンサ6のそれぞれの静電容量に基づいて、オン状態及びオフ状態を切り替えるべき進相コンデンサを選択するように構成されていてもよい。この場合、必要とされる無効電力の大きさに応じて、静電容量の異なる複数の進相コンデンサ6を使い分けることで、発電効率の更なる向上を図ることができる。
【0064】
オン・オフ制御部111は、オン状態からオフ状態への切り替えに際して、無効電力指標値の変化速度と、複数の進相コンデンサ6のそれぞれの静電容量とに基づいて、オン状態及びオフ状態を切り替えるべき進相コンデンサを選択するように構成されていてもよい。この場合、オン状態からオフ状態への切り替え頻度を抑制することができる。
【0065】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…需要家設備、5…負荷、6…進相コンデンサ、7…切替スイッチ、9…構内電線、PS…電力系統、10…発電システム、11…発電装置、100…発電制御装置、112…第一発電制御部、111…オフ制御部、113…第二発電制御部。