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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】ホルダおよびソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20230203BHJP
   H01L 23/32 20060101ALI20230203BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20230203BHJP
【FI】
H01R33/76 Z
H01L23/32 A
G01R31/26 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019046188
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020149856
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 久男
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶紀
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-156192(JP,U)
【文献】実開平6-45289(JP,U)
【文献】実開平7-25594(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/76
H01R 31/06
H01L 23/32
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並び、かつ、前記第1方向と直交する第2方向に撓む第1端部および第2端部を有する複数のコンタクトピンを保持し、電気部品を収容するソケット本体に取り付けられるホルダであって、
前記ソケット本体に固定され、かつ、前記コンタクトピンの中間部が配置される平面部が前記第1方向に延在して設けられた本体と、
前記本体に固定され、かつ、前記第1端部を挟む複数の第1リブが前記第1方向に並んで設けられた第1リブ部材と、
前記本体に固定され、かつ、前記第2端部を挟む複数の第2リブが前記第1方向に並んで設けられた第2リブ部材と、を備える、
ホルダ。
【請求項2】
前記本体は、樹脂成形品であり、
前記第1リブ部材および前記第2リブ部材は、光造形品である、
請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記本体は、前記平面部に開口し、前記中間部に設けられた位置決め突起が挿入される穴を有する、
請求項1または2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記第2リブ部材は、前記穴に挿入され、かつ、前記第1方向に並んで設けられて前記位置決め突起を挟む複数の第3リブを有する、
請求項3に記載のホルダ。
【請求項5】
前記本体は、前記平面部から突出し、前記中間部に設けられた位置決め凹部と係合する凸部を有する、
請求項1または2に記載のホルダ。
【請求項6】
前記ソケット本体と、
請求項1~5のいずれか一項に記載のホルダと、を備える、
ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気部品の電気的特性を検査する際に用いられるソケットに取り付けられ、複数のコンタクトピンを保持するホルダ、および、当該ホルダが取り付けられたソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICパッケージなどの電気部品の検査(例えば、バーンイン試験)を行う際、電気部品と配線部品とを電気的に接続するために、ソケットが用いられている。
【0003】
特許文献1には、合成樹脂によって複数のリブを含んで一体成形された絶縁部材をソケット本体と別体に設け、当該リブを隣接するコンタクトピンの間に挿入することで、コンタクトピンを相互に電気的に絶縁するように構成されたソケットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平6-45289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のソケットは、絶縁部品が合成樹脂によって成形されたものであるため、リブを高精度に形成することが困難であり、コンタクトピンを高精度に位置決めすることができないという問題があった。また、種類の異なる電気部品に対応してコンタクトピンの数を変更するたびに新たな成形金型が必要になるという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、コンタクトピンを高精度に位置決めすることができ、コンタクトピンの数の変更にも柔軟に対応することができるホルダおよびソケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るホルダは、第1方向に並び、かつ、前記第1方向と直交する第2方向に撓む第1端部および第2端部を有する複数のコンタクトピンを保持し、電気部品を収容するソケット本体に取り付けられるホルダであって、前記ソケット本体に固定され、かつ、前記コンタクトピンの中間部が配置される平面部が前記第1方向に延在して設けられた本体と、前記本体に固定され、かつ、前記第1端部を挟む複数の第1リブが前記第1方向に並んで設けられた第1リブ部材と、前記本体に固定され、かつ、前記第2端部を挟む複数の第2リブが前記第1方向に並んで設けられた第2リブ部材と、を備える、ホルダである。
【0008】
本開示の一態様に係るソケットは、上記ソケット本体と、上記ホルダと、を備えるソケットである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、リブを高精度に形成することができ、コンタクトピンの数の変更にも柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るソケットを示す正面からの部分断面図である。
図2図2は、ホルダの分解斜視図である。
図3図3は、ホルダの平面図である。
図4A図4Aは、図3の4A-4A断面を示す図である。
図4B図4Bは、図3の4B-4B断面を示す図である。
図5図5は、第1変形例に係るホルダの図4Aと同じ位置における断面を示す図である。
図6図6は、第2変形例に係るホルダの図4Aと同じ位置における断面を示す図である。
図7A図7Aは、第3変形例に係るホルダの図4Aと同じ位置における断面を示す図である。
図7B図7Bは、第3変形例に係るホルダの図4Bと同じ位置における断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は一例であり、本開示はこの実施形態により限定されるものではない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0012】
各図には、説明の便宜上、X軸、Y軸およびZ軸からなる3次元直交座標系が描かれている。X軸の正方向を+X方向、Y軸の正方向を+Y方向、Z軸の正方向を+Z方向(上方向)とそれぞれ定義する。
【0013】
なお、以下の実施形態では、便宜的に、各図における上方向(すなわち、+Z方向)をソケットにおける上方向として説明を行う。ただし、ソケットの配置がそのような配置に限られないことはいうまでもない。
【0014】
まず、図1を参照して、実施形態に係るソケット1の全体構成について説明する。図1は、実施形態に係るソケット1を示す正面からの部分断面図である。ソケット1は、電気部品2を収容し、収容した電気部品2と、ソケット1の下側に取り付けられた配線基板(不図示)とを電気的に接続するための装置である。電気部品2は、例えば、ICパッケージなどの電子部品である。なお、図1は、ソケット1に電気部品2が収容されていない状態を示しており、電気部品2は想像線(破線)で示されている。
【0015】
ソケット1に収容され、配線基板に電気的に接続された電気部品2に対して、各種検査が行われる。例えば、電気部品2の実際の使用環境と同じ環境、または、実際の使用環境よりも負荷のかかる環境において、電気部品2が適正に動作するか否かが検査される。ソケット1は、このような試験を行うために、電気部品2と配線基板とを接続する装置である。
【0016】
ソケット1は、ソケット本体10と、カバー20と、を有する。
【0017】
(ソケット本体10)
ソケット本体10は、下部ソケット本体30と、上部ソケット本体40と、ガイド50と、ホルダ60と、を有する。
【0018】
下部ソケット本体30は、配線基板(不図示)の上面に載置される部品である。下部ソケット本体30は、XY方向に延在する略方形状を呈する。下部ソケット本体30の上面には、リード31が配置される凹部が設けられている。この凹部を塞ぐように、押さえ板32が設けられている。押さえ板32は、リード31を上から押さえている。
【0019】
下部ソケット本体30には、上下方向に貫通する複数の穴が設けられている。この穴には、リード31の脚部がそれぞれ挿通される。下部ソケット本体30の中央部には、+Z方向に突出する突出部33が設けられている。電気部品2は、突出部33の上面に載置される。
【0020】
上部ソケット本体40は、XY方向に延在する略方形状を呈する。上部ソケット本体40は、下部ソケット本体30の上側に配置され、下部ソケット本体30に対してボルト等の固定手段によって固定される。
【0021】
上部ソケット本体40の下面には、凹部が設けられている。この凹部と下部ソケット本体30の押さえ板32との間に形成される空間には、ホルダ60が配置される。また、上部ソケット本体40の中央部には、上下方向に貫通する穴41が設けられている。穴41には、ガイド50の脚部52が挿通される。
【0022】
ガイド50は、枠体51と、枠体51から-Z方向に突出する脚部52とを有する。枠体51は、上部ソケット本体40の上側に配置され、上部ソケット本体40に対してボルト等の固定手段によって固定される。
【0023】
脚部52の内側壁は、-Z方向へ向かうにつれて対向する壁間の距離が小さくなるテーパ形状を呈する。脚部52の外側壁は、-Z方向へ延在している。電気部品2は、脚部52の内側壁に案内されながら、脚部52の内側壁に囲まれた空間に配置される。
【0024】
ホルダ60は、上述のとおり、下部ソケット本体30の押さえ板32と上部ソケット本体40の凹部とによって形成される空間に配置される。ホルダ60は、下部ソケット本体30の突出部33の-X側、+X側、-Y側および+Y側にそれぞれ1つ、合計で4つ設けられている。なお、図1では、突出部33の-X側に配置されたホルダ60が示されている。ホルダ60の詳細については後述する。
【0025】
(カバー20)
カバー20は、下部カバー70と、上部カバー80と、ラッチ90と、プッシャ100と、を有する。
【0026】
下部カバー70は、ソケット本体10の上側に配置され、ソケット本体10に対してボルト等の固定手段によって固定される。下部カバー70は、X方向に延在する一対の横枠部、および、Y方向に延在し、横枠部の端部同士を連結する縦枠部からなる枠体71を有する。
【0027】
枠体71の+X方向の端部から、軸受部72が+Z方向へ突出している。軸受部72には、Y方向に貫通する穴が設けられている。この穴には、軸73が挿通される。枠体71の-X方向の端部から、爪部74が+Z方向へ突出している。爪部74には、ラッチ90の爪部93が係合する。
【0028】
上部カバー80は、XY方向に延在する略矩形状の本体部81と、本体部81から+X方向へ突出する軸受部82と、本体部81から-X方向へ突出する軸受部83と、を有する。本体部81の下面から、円筒部85が-Z方向へ突出している。円筒部85を取り囲むように形成された凹部には、バネ86が配置される。
【0029】
軸受部82には、Y方向に貫通する穴が設けられている。この穴には、軸73が挿通される。上部カバー80は、軸73を中心に、下部カバー70に対して回動可能である。軸受部83には、Y方向に貫通する穴が設けられている。この穴には、軸84が挿通される。
【0030】
ラッチ90は、Y方向に延在する軸受部91と、軸受部91から+X方向へ延在する操作部92と、軸受部91から-Z方向へ延在する爪部93と、を有する。軸受部91には、Y方向に貫通する穴が設けられている。この穴には、軸84が挿通される。
【0031】
ラッチ90は、軸84を中心に、上部カバー80に対して回動可能である。また、ラッチ90は、不図示のバネによって図1において反時計回りに付勢されている。爪部93は、下部カバー70の爪部74と係合する。
【0032】
プッシャ100は、本体部101と、本体部101から+Z方向へ延在する内側円筒部102および外側円筒部103と、本体部101から-Z方向へ延在する円筒部104と、を有する。プッシャ100は、上部カバー80に対して図1において上下方向に移動可能である。
【0033】
内側円筒部102の内周面は、上部カバー80の円筒部85の外周面に案内される。内側円筒部102と外側円筒部103との間には、上述のバネ86が配置される。バネ86は、プッシャ100を上部カバー80から離れる方向(すなわち、図1において下方向)に付勢している。
【0034】
電気部品2が下部ソケット本体30の突出部33の上面に載置された状態で、上部カバー80が閉じられると、電気部品2は、プッシャ100によって下方向に押圧される。この状態で、電気部品2に対して各種検査が行われる。
【0035】
(ホルダ60)
次に、図2図4Bを参照して、ホルダ60の構成について説明する。図2は、ホルダの分解斜視図である。図3は、ホルダの平面図である。図4Aは、図3の4A-4A断面を示す図である。図4Bは、図3の4B-4B断面を示す図である。
【0036】
上述のとおり、ホルダ60は、下部ソケット本体30の押さえ板32と上部ソケット本体40の凹部とによって形成される空間に配置される。ソケット1は、突出部33の-X側、+X側、-Y側および+Y側にそれぞれ1つ、合計で4つのホルダ60を有している。図2図4Bには、4つのホルダ60のうち、突出部33の-X側に配置されるホルダ60が示されている。以下、突出部33の-X側に配置されるホルダ60の構造について詳細に説明するが、以下の説明は、突出部33の+X側、-Y側および+Y側に配置されるホルダ60の構造についても同様に当てはまる。
【0037】
ホルダ60は、本体110と、上部リブ120(「第1リブ部材」の一例)と、下部リブ130(「第2リブ部材」の一例)と、を有する。
【0038】
本体110は、例えば射出成形法等の成形法により形成された、合成樹脂の成形品である。本体110は、-X方向側に位置する上側本体部111および+X方向側に位置する下側本体部112を有する段付きの本体部113と、上側本体部111から+Y方向および-Y方向に突出する固定部114と、を備えている。本体110は、ボルト等の固定手段を用いて、固定部114を介して下部ソケット本体30に固定される。
【0039】
上側本体部111には、Z方向に貫通する穴115が設けられている。穴115には、コンタクトピン140の脚部141(後述する)が嵌入される。上側本体部111の上面111aは、凹凸のない平面部とされている。
【0040】
上部リブ120は、例えば光造形法等の造形法により形成された、合成樹脂からなる造形品である。上部リブ120は、略直方体形状をなす。上部リブ120には、+Z方向に突出し、かつ、X方向に延在する複数のリブ121が、Y方向に並んで設けられている。各リブ121の幅(Y方向寸法)および間隔、ならびに、隣接するリブ121によって形成される溝122の幅(Y方向寸法)は、それぞれ等しい。
【0041】
溝122の幅は、コンタクトピン140の板厚(Y方向寸法)よりもわずかに大きい。コンタクトピン140の第1端部142(後述する)は、溝122の中で上下方向に自由に撓むことができる。
【0042】
下部リブ130は、上部リブ120と同様、例えば光造形法等の造形法により形成された、合成樹脂からなる造形品である。下部リブ130は、略直方体形状をなす。下部リブ130には、-Z方向に突出し、かつ、X方向に延在する複数のリブ131が、Y方向に並んで設けられている。各リブ131の幅(Y方向寸法)および間隔、ならびに、隣接するリブ131によって形成される溝132の幅(Y方向寸法)は、それぞれ等しい。
【0043】
溝132の幅は、コンタクトピン140の板厚(Y方向寸法)よりもわずかに大きい。コンタクトピン140の第2端部143(後述する)は、溝132の中で上下方向に自由に撓むことができる。
【0044】
リブ121の幅は、リブ131の幅と等しい。各リブ121のY方向位置と、各リブ131のY方向位置とは、互いに一致している。各リブ121同士の間隔は、各リブ131同士の間隔と等しい。溝122の幅は、溝132の幅と等しい。
【0045】
上部リブ120および下部リブ130は、例えば3Dプリンタを用いて製造することができる。3Dプリンタの方式としては、光造形方式が好ましい。光造形方式の3Dプリンタは、CAD(Computer Aided Design)により作成された3次元形状データに基づいて、3次元形状モデルを作成する。光造形方式では、液状の光硬化樹脂に光(紫外線)が照射されて硬化層が形成され、当該硬化層が複数積層されることで光造形物が形成される。
【0046】
図4Aおよび図4Bに示すように、下側本体部112の上面に上部リブ120が固定され、上側本体部111の下面に下部リブ130が固定されることで、ホルダ60が構成される。このようにして構成されたホルダ60に、コンタクトピン140が固定される。
【0047】
コンタクトピン140は、電気部品2とリード31とを電気的に接続する板状の部品である。コンタクトピン140は、導電性および弾力性を有する板材から形成されている。コンタクトピン140は、電気部品2と接触する第1端部142と、リード31と接触する第2端部143と、第1端部142と第2端部143との間に位置する中間部144と、第1端部142から枝分かれした第3端部145と、を有する。
【0048】
中間部144は、X方向へ延在している。中間部144は、-Z方向へ突出する脚部141を有する。中間部144は、上側本体部111の上面111aに接触するように配置される。
【0049】
第1端部142は、中間部144から+X方向へ延在し、さらに先端側が+Z方向へ屈曲している。第1端部142は、上部リブ120の溝122にそれぞれ挿通される。第1端部142は、上下方向に撓むことができる。
【0050】
第2端部143は、中間部144から-Z方向へ延在し、さらに+X方向へ延在し、さらに先端側が-Z方向へ屈曲している。第2端部143は、下部リブ130の溝132にそれぞれ挿通される。第2端部143は、上下方向に撓むことができる。
【0051】
第3端部145は、第1端部142から-Z方向へ延在し、さらに先端側が-X方向へ屈曲している。第3端部145は、上部リブ120の溝122にそれぞれ挿通される。第3端部145の先端側は、さらに、下側本体部112の下側まで延びている。
【0052】
コンタクトピン140がホルダ60に固定されることで、第1端部142は、上部リブ120によってY方向に関して位置決めされる。また、第2端部143は、下部リブ130によってY方向に関して位置決めされる。一方、コンタクトピン140の中間部144は、本体110によってX方向に関して位置決めされるが、Y方向に関しては位置決めされない。
【0053】
上述のとおり、上部リブ120は造形品である。そのため、リブ121を高精度に形成することができ、もって、各リブ121の幅および間隔、ならびに、溝122の幅を高精度に均一化することができる。これにより、コンタクトピン140の第1端部142同士の間隔を高精度に均一化することができる。
【0054】
また、上述のとおり、下部リブ130は造形品である。そのため、リブ131を高精度に形成することができ、もって、各リブ131の幅および間隔、ならびに、溝132の幅を高精度に均一化することができる。これにより、コンタクトピン140の第2端部143同士の間隔を高精度に均一化することができる。
【0055】
本体110は成形品である。そのため、上部リブ120および下部リブ130の寸法精度と、本体110の寸法精度とは、異なったものとなる。ここで、比較例として、本体110に、上部リブ120および下部リブ130同様、コンタクトピン140の中間部144をY方向に関して位置決めするリブを形成することを考える。
【0056】
この場合、寸法精度の違いに起因して、リブ121およびリブ131のY方向位置と、本体110に形成されたリブのY方向位置との間にズレが生じる可能性がある。
【0057】
当該ズレが生じていると、第1端部142がリブ121に強く押し付けられて第1端部142の上下方向への移動に大きなヒステリシスが生じる、または、第2端部143がリブ131に強く押し付けられて第2端部143の上下方向への移動に大きなヒステリシスが生じるといった、好ましくない状況が発生する可能性がある。
【0058】
これに対して、本実施形態では、コンタクトピン140の中間部144が配置される上側本体部111の上面111aは、凹凸のない平面部とされている。換言すると、本体110には、コンタクトピン140の中間部144が配置される上面111aがY方向に延在して設けられている。そのため、コンタクトピン140の中間部144はY方向に自由に移動することができる。
【0059】
また、上部リブ120および下部リブ130は共に造形品のため、寸法精度が高く、かつ、寸法精度が互いに略等しい。そのため、リブ121およびリブ131のY方向位置を略等しくすることができる。
【0060】
本実施形態では、リブ121およびリブ131のY方向位置を略等しくすることができるため、第1端部142および第2端部143は、溝122および溝132内を上下方向に自由に撓むことが可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、コンタクトピン140のY方向の位置決めを行うリブが、上部リブ120および下部リブ130に設けられており、本体110には設けられていない。そのため、ホルダ60に設けられるコンタクトピン140の数が変更された場合に、成形品である本体110を流用し、造形品である上部リブ120および下部リブ130を新たに作成することで対応することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係るホルダ60は、Y方向に並び、かつ、Z方向に撓む第1端部142および第2端部143を有する複数のコンタクトピン140を保持し、電気部品2を収容するソケット本体10に取り付けられるホルダ60であって、ソケット本体10に固定され、かつ、コンタクトピン140の中間部144が配置される上面111aがY方向に延在して設けられた本体110と、本体110に固定され、かつ、第1端部142を挟む複数の第1リブ121がY方向に並んで設けられた上部リブ120と、本体110に固定され、かつ、第2端部143を挟む複数の第2リブ131がY方向に並んで設けられた下部リブ130と、を備える。
【0063】
これにより、コンタクトピン140の第1端部142および第2端部143をホルダ60の上部リブ120および下部リブ130で高精度にY方向に位置決めすることができる。そのため、コンタクトピンを高精度に位置決めすることができる。
【0064】
また、ホルダ60に設けられるコンタクトピン140の数が変更された場合に、成形品である本体110を流用し、造形品である上部リブ120および下部リブ130を新たに作成することで対応することができる。そのため、コンタクトピンの数の変更に柔軟に対応することができる。
【0065】
なお、上述の実施形態では、ホルダ60の穴115にコンタクトピン140の脚部141を嵌合させることでコンタクトピン140のX方向への位置決めを行うものを例に説明を行ったが、これに限定されない。例えば、ホルダ60の穴115にコンタクトピン140の脚部141を圧入してもよい。
【0066】
また、例えば、図5に示す第1変形例のように、上側本体部111の上面111aに凹部115aを設け、脚部141と凹部115aとを嵌合させてもよい。
【0067】
さらに、例えば、図6に示す第2変形例のように、上側本体部111の上面111aに+Z方向へ突出する凸部115bを設けるとともに、コンタクトピン140に凹部141aを設け、凸部115bと凹部141aとを嵌合させてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では、上部リブ120によって第1端部142をY方向に位置決めし、かつ、下部リブ130によって第2端部143をY方向に位置決めするものを例に説明を行ったが、これに限定されない。
【0069】
例えば、図7Aおよび図7Bに示す第3変形例のように、下部リブ130に、+Z方向に突出する複数のリブ133をY方向に並べて設け、隣接するリブ133によって形成される溝134に脚部141をそれぞれ挿通させてもよい。
【0070】
なお、リブ133の幅はリブ131の幅と等しく、リブ133のY方向位置は各リブ131のY方向位置と互いに一致しており、各リブ133同士の間隔は各リブ131同士の間隔と等しく、溝134の幅は溝132の幅と等しい。
【0071】
第3変形例によれば、コンタクトピン140の中間部144を、第1端部142および第2端部143と同水準でY方向に位置決めすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示は、ICパッケージと配線基板とを電気的に接続するように構成されたソケットに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 ソケット
2 電気部品(ICパッケージ)
10 ソケット本体
20 カバー
30 下部ソケット本体
31 リード
32 押さえ板
33 突出部
40 上部ソケット本体
41 穴
50 ガイド
51 枠体
52 脚部
60 ホルダ
70 下部カバー
71 枠体
72 軸受部
73 軸
74 爪部
80 上部カバー
81 本体部
82 軸受部
83 軸受部
84 軸
85 円筒部
86 バネ
90 ラッチ
91 軸受部
92 操作部
93 爪部
100 プッシャ
101 本体部
102 内側円筒部
103 外側円筒部
104 円筒部
110 本体
111 上側本体部
111a 上面
112 下側本体部
113 本体部
114 固定部
115 穴
115a 凹部
115b 凸部
120 上部リブ
121 リブ
122 溝
130 下部リブ
131 リブ
132 溝
133 リブ
134 溝
140 コンタクトピン
141 脚部
141a 凹部
142 第1端部
143 第2端部
144 中間部
145 第3端部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B