(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】心電計
(51)【国際特許分類】
A61B 5/318 20210101AFI20230203BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20230203BHJP
【FI】
A61B5/318
G16H10/40
(21)【出願番号】P 2019060701
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】嶋井 洋介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和晃
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171239(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101413(WO,A1)
【文献】特表2011-501994(JP,A)
【文献】特開2013-208368(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0306894(US,A1)
【文献】特開2018-130588(JP,A)
【文献】特開2018-171238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者への心電図電極の装着を契機として、心電図の収集を開始する収集部と、
収集された心電図を収録する収録部と、
前記被検者の識別情報の取得を契機として、前記被検者の被検者情報及びオーダー情報を取得する取得部と、
収集又は収録された心電図に対し、取得された被検者情報及びオーダー情報に基づいて、所定の処理を実行する処理部と、
を有し、
前記収録部は、前記心電図電極の装着が前記識別情報の取得よりも前に行われた場合、前記心電図電極の装着を契機として、収集された心電図の収録を開始し、前記被検者情報の取得を契機として、心電図の収録を終了する、
心電計。
【請求項2】
前記心電図電極は、四肢用電極及び胸部用電極を含み、
前記収録部は、前記心電図電極のうち前記四肢用電極の装着を契機として、収集された心電図の収録を開始する、
請求項1に記載の心電計。
【請求項3】
操作者が操作可能な操作部をさらに有し、
前記収録部は、前記識別情報の取得が前記心電図電極の装着よりも前に行われた場合、前記心電図電極の装着後、前記操作部の1回目の操作を契機として、収集された心電図の収録を開始し、前記操作部の2回目の操作を契機として、又は、所定時間が経過したことを契機として、心電図の収録を終了する、
請求項1に記載の心電計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者の胸部や四肢の体表面に装着した電極を用いて心電図を測定する心電計が、広く用いられている。近年では、被検者に電極を装着すると自動的に、心電図の収集を開始する、いわゆるオートキャプチャ機能を備えた心電計が、提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、病院等の医療施設においては、受付端末と、検査室に設置された端末及び検査機器と、サーバーとを、通信ネットワーク上で互いに接続したシステムが、用いられることがある。このようなシステムが導入された医療施設では、受付端末にて例えばバーコード情報等の識別情報が入力されると、対応する被検者がその日に行う予定となっている検査に関する情報(心電図検査や超音波検査等の内容を指示するオーダー情報)が、被検者情報(氏名、年齢、性別、体重等)とともに、例えば、電子カルテサーバーから、該当する各検査室のサーバーへ送られる。
【0004】
その後、検査室では、被検者の特定のため、例えば、必要な検査を実施する検査機器に接続されたバーコードリーダーでのバーコード読み取りにより、識別情報の入力が行われる。検査機器で識別情報が入力されると、対応する被検者の被検者情報、及び、当該被検者に関連するオーダー情報が、検査機器に取得される。オーダー情報により指定された検査が実施されると、その検査結果は、対応する被検者情報とともに、例えば検査機器から検査室のサーバーへ送信されて保存され、さらに、検査終了の通知が検査室のサーバーから電子カルテサーバーへ送られる。
【0005】
これら一連の検査手順で検査を実施するシステムは、オーダーリングシステムと呼ばれることがあり、オーダーリングシステムにおいて、被検者に予め割り当てられた識別情報を入力するだけでその被検者の検査内容を検査機器に自動的に取り込むことが可能な機能は、オーダーリング機能と呼ばれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の技術では、オートキャプチャ機能やオーダーリング機能の導入により、心電図検査の効率の向上が図られてきた。
【0008】
しかしながら、心電図検査のさらなる効率化が求められている。
【0009】
本発明の目的は、オートキャプチャ機能とオーダーリング機能との連携を強化して、心電図検査の効率を一層向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の心電計は、
被検者への心電図電極の装着を契機として、心電図の収集を開始する収集部と、
収集された心電図を収録する収録部と、
前記被検者の識別情報の取得を契機として、前記被検者の被検者情報及びオーダー情報を取得する取得部と、
収集又は収録された心電図に対し、取得された被検者情報及びオーダー情報に基づいて、所定の処理を実行する処理部と、
を有し、
前記収録部は、前記心電図電極の装着が前記識別情報の取得よりも前に行われた場合、前記心電図電極の装着を契機として、収集された心電図の収録を開始し、前記被検者情報の取得を契機として、心電図の収録を終了する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オートキャプチャ機能とオーダーリング機能との連携を強化して、心電図検査の効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態の心電計を含む院内システムの構成を示す概略図
【
図2】本実施の形態の心電計の要部構成を示すブロック図
【
図3】本実施の形態の心電計による第1の心電図検査手順を説明するためのフロー図
【
図4】本実施の形態の心電計による第2の心電図検査手順を説明するためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の心電計を含む院内システムである医用ネットワークシステムの構成を概略的に示す図である。
【0014】
図1の医用ネットワークシステム100は、受付端末101と、電子カルテシステム110と、生理検査部門システム120とが、サーバー130を介してネットワーク接続されている。なお、例えば生理検査部門システム120が複数に分かれて設けられている場合、サーバー130は、個々の生理検査部門システム120に対応して一つずつ設けられても良いが、本実施の形態では、説明の便宜上、生理検査部門システム120を一つとし、それに対応するサーバー130も一つとする。
【0015】
電子カルテシステム110は、電子カルテサーバー111に、複数の院内電子カルテ端末112-1、112-2、……、112-nが接続されている。電子カルテサーバー111に格納された情報は、院内電子カルテ端末112-1、112-2、……、112-nから閲覧できるようになっている。また、電子カルテサーバー111の情報は、権限のある院内電子カルテ端末112-1、112-2、……、112-nによって書き換えることもできるようになっている。
【0016】
生理検査部門システム120は、心電計121、ホルタ心電図解析装置122、運動負荷装置123、肺機能検査装置124、血圧脈波検査装置125、プリンタ126、スキャナ127及びクライアント端末128がネットワーク接続されて構成されている。これらの装置は、生理検査室に設置されている。生理検査部門システム120には、脳波検査装置などの他の生理検査を行う検査装置が接続されてもよい。
【0017】
生理検査部門システム120の各検査装置121~125により得られた検査結果データは、サーバー130に格納される。つまり、サーバー130は、生理検査部門の生理検査結果データを収集し格納する部門データ格納部としての機能を有する。また、サーバー130は、各検査装置121~125により形成された検査結果レポートを格納する。各検査装置121~125は、所定の計算式に基づいて、検査結果の代表値や、最も悪い値などを求め、これらの値を所定のフォーマットとすることで検査結果レポートを形成し、このレポートを他の詳細な検査結果データと共にサーバー130に出力する。サーバー130に格納された検査結果データ及び検査結果レポートは、ユーザがクライアント端末128を用いて閲覧することができる。サーバー130に格納された検査結果レポートは、後述するようにサーバー130によって新たに医用レポートとされて電子カルテサーバー111に送られる。
【0018】
さらに、医用ネットワークシステム100においては、図に示したように、生理検査室外の病棟や救急室、救急車に設置された心電計141により得られた検査結果データ及び検査結果レポートを、CF(Compact Flash)カード142等を介してオフラインでクライアント端末128に入力し、この検査結果データを、クライアント端末128を介してサーバー130に格納することもできる。また、図に示したように、サーバー130は、生理検査室以外の例えば健診センターに配置された心電計151及び端末152と接続することもでき、これにより生理検査室以外の心電計151により得られた検査結果をサーバー130に格納することもできる。なお、当然、心電計141、151に代えて、ホルタ心電図解析装置や、運動負荷装置等の他の生理検査装置を用いても同様に、サーバー130にこれらの装置により得られた生理検査結果データ及び検査結果レポートを格納することができる。
【0019】
図2は、心電計121の要部構成を示すブロック図である。心電計121は、心電図電極部1211、収集部1212、処理部1213、収録部1214、バーコードリーダー1215、通信部1216、タッチパネル式表示部1217、及び操作部1218を有する。
【0020】
心電図電極部1211は、標準12誘導心電図の測定に好適に構成された四肢用電極及び胸部用電極を含む。心電図電極部1211は、収集部1212に接続される。心電図電極部1211は、本発明の心電図電極の一例である。
【0021】
収集部1212は、心電図を収集する。収集部1212は、オートキャプチャ機能を有する。すなわち、心電図電極部1211が被検者の四肢及び胸部の体表面に装着されると、それを契機として、収集部1212は、心電図電極部1211から入力される心電図の収集を開始する。具体的には、心電図電極部1211から収集部1212には、心筋の電気的活動を反映した微弱な電圧信号が入力され、収集部1212は、入力される電圧信号に対して増幅処理やアナログディジタル変換等の信号処理を施し、信号処理後のデータ(心電図データ)をバッファに保存することにより、心電図を収集する。また、収集部1212は、心電図データを処理部1213に出力する。ちなみに、バッファは、10分程度の心電図データを保持可能な容量を有する。また、オートキャプチャ機能では、心電図電極部1211のうち四肢用電極が装着されれば、たとえ胸部用電極が未装着であっても、心電図の収集を自動的に開始することができる。
【0022】
処理部1213は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置、並びに、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を含んで構成されており、所定のプログラムを実行することにより、心電図データの計測・解析を行ったり、心電計121内の各部の動作を制御したりする。
【0023】
処理部1213は、収集部1212から出力される心電図データに対して、計測処理及び解析処理を行う。計測処理は、例えば、R-R間隔の計測、R波の振幅の計測、QRS波形の計測、STレベルの計測等を含む。解析処理は、例えば、心電図データの計測結果を、被検者の年齢や性別等に応じた閾値に照らして不整脈等の有無を判定する処理や、心電図データに対するパターンマッチング或いはモフォロジ解析等を行う処理、また、これらの処理の結果を基に所見の内容を出力する処理等を含む。処理部1213は、収集部1212からの心電図データとともに、計測結果データ(つまり波形データ)及び解析結果データを、収録部1214へ出力することにより、収集された心電図を収録部1214に収録させる。
【0024】
処理部1213は、バーコードリーダー1215と接続される。処理部1213は、バーコードリーダー1215からバーコード情報が入力されると、これを契機として、処理部1213は、対応する被検者情報及びオーダー情報をサーバー130からネットワーク経由で取得するよう、通信部1216を制御する。
【0025】
バーコードリーダー1215としては、紙媒体に印刷されたバーコードを光学的に読み取ることで被検者の識別情報を認識する、従来のバーコードリーダーが使用可能である。なお、本実施の形態では、識別情報を認識する手段としてバーコードリーダー1215が使用されているが、識別情報がバーコードとは異なる種類のもの(例えばQRコード(登録商標))となる場合は、その読取手段がバーコードリーダー1215とは異なる種類のもの(例えばQRコード(登録商標)リーダー)とすればよい。
【0026】
被検者情報が取得されると、処理部1213は、収集された心電図データに対し、解析処理を行うことが可能となる。
【0027】
ここで、被検者情報(及びオーダー情報)が取得された後、心電図データの収集が開始される場合、処理部1213は、従来と同様、操作部1218(例えば心電計121の本体に設けられたスタートボタン)の操作を契機として、心電図データの計測及び解析を同時に進める。一方、被検者情報(及びオーダー情報)が取得される前から、心電図データの収集が開始されている場合、処理部1213は、収集された心電図データに対して、被検者情報が取得されるまでは、計測処理を行い、被検者情報が取得されてからは、解析処理を行う。すなわち、心電図データの収集開始(心電図電極部1211の装着)タイミングと被検者情報の取得タイミングとの前後関係によって、解析処理を計測処理と並行して実行させたり、解析処理を計測処理よりも遅延させて実行させたりすることができる。
【0028】
心電図の収録が終了すると、処理部1213は、心電図波形、計測結果及び解析結果を、検査結果として、タッチパネル式表示部1217に表示させる。そして、タッチパネル式表示部1217上で検査者による波形選択等の操作が行われると、処理部1213は、その操作により指定された検査結果を示す検査結果データを、対応する被検者情報とともに、ネットワーク経由でサーバー130へ送信するよう、通信部1216を制御する。
【0029】
なお、検査結果データは、心電計121からCFカード等のリムーバブルメディアへ書き込まれ、リムーバブルメディアからクライアント端末128に入力され、クライアント端末128からネットワーク経由でサーバー130に格納されてもよい。
【0030】
通信部1216は、心電計121とサーバー130とをネットワークを介して通信可能に接続する通信インタフェースである。通信部1216は、本発明における取得部の一例である。
【0031】
収録部1214は、収集された心電図(心電図データ、計測結果データ、及び解析結果データを含む)を収録する。
【0032】
収録部1214は、例えばRAMで構成されている。収録部1214は、心電図データ、計測結果データ及び解析結果データを、被検者情報に関連付けて収録する。
【0033】
以上、心電計121の要部構成について説明した。
【0034】
なお、オーダー情報では、複数種類の心電図検査が順番付きで指定されることがある(例えば、(1)標準12誘導心電図検査→(2)リズム波形検査→(3)マスター検査、等)。これら複数種類の心電図検査を1台の心電計121で行った場合、指定された全種類の検査が終了してからそれらの検査結果データを一括でサーバー130へ送信・保存してもよいし、個々の種類の検査が終了する度にそれぞれの検査結果データを順次サーバー130へ送信・保存してもよい。
【0035】
次いで、心電計121による心電図検査手順について説明する。ここでは、2つの例を挙げる。第1の心電図検査手順は、従来とは異なる新規の手順であり、識別情報の入力(バーコードの読取)よりも前に、心電図電極部1211の装着が行われる。第2の心電図検査手順は、従来の手順と同様であり、心電図電極部1211の装着よりも前に、識別情報の入力(バーコードの読取)が行われる。本実施の形態の心電計121は、第1の心電図検査手順及び第2の心電図検査手順のいずれも、実施することができる。
【0036】
最初に、
図3のフロー図を用いて、第1の心電図検査手順について説明する。
【0037】
第1の心電図検査手順は、被検者が病院に来て、病院内の受付端末101にて、被検者が所有するカードに印刷されたバーコードを読み取らせることでスタートする。受付端末101にてバーコードが読み取られることで、受付端末101は、読み取ったバーコードの情報を電子カルテサーバー111へ送信し、電子カルテサーバー111は、対応する被検者情報及びオーダー情報を、サーバー130へ送信する。サーバー130は、被検者情報及びオーダー情報を内部に保存して、被検者が検査室へ来るのを待機する。被検者は、受付でのガイダンスに従って、検査室へ移動する。
【0038】
被検者が検査室へ到着すると、第1の心電図検査手順では、まず、検査者が心電図電極部1211を被検者の四肢及び胸部の体表面へ装着する(ステップS11)。
【0039】
心電図電極部1211が装着されると、これを契機として、収集部1212が心電図の収集を開始し、収録部1214が心電図の収録を開始する(ステップS12)。なお、この時点では、処理部1213は、心電図データの計測処理を行い、収録部1214は、計測結果データを心電図データとともに収録する。また、心電図の収集は、心電図電極部1211を構成する四肢用電極及び胸部用電極のうち四肢用電極が装着されるだけでも開始可能であるため、収録部1214は、四肢用電極の装着を契機として、心電図の収録を開始することができる。
【0040】
その後、検査者がバーコードリーダー1215でバーコードを読み取る(ステップS13)。すると、これを契機として、通信部1216は、処理部1213の制御下で、サーバー130から、対応する被検者情報及びオーダー情報を取得する(ステップS14)。
【0041】
被検者情報及びオーダー情報が取得されると、これを契機として、収録部1214は、心電図の収録を停止する(ステップS15)。このとき、処理部1213では、心電図の解析処理が行われ、その解析結果が収録される。
【0042】
心電図の収録が停止されると、タッチパネル式表示部1217が、処理部1213の制御下で、検査結果を示す結果画面を表示する(ステップS16)。結果画面上で検査者が波形選択等の操作を行うと、通信部1216は、処理部1213の制御下で、検査結果データをサーバー130へ送信し保存する(ステップS17)。このとき検査終了の通知がサーバー130から電子カルテサーバー111へ送信される。
【0043】
第1の心電図検査手順では、典型的には、ステップS11からステップS13まで約60秒かかり、ステップS13からステップS16まで約20秒かかる。すなわち、開始から結果画面表示まで、合計約80秒を要する。
【0044】
続いて、
図4のフロー図を用いて、第2の心電図検査手順について説明する。
【0045】
第2の心電図検査手順では、被検者が検査室へ到着すると、まず、検査者がバーコードリーダー1215でバーコードを読み取る(ステップS21)。
【0046】
すると、これを契機として、通信部1216は、処理部1213の制御下で、サーバー130から、対応する被検者情報及びオーダー情報を取得する(ステップS22)。
【0047】
続いて、検査者は、心電図電極部1211を被検者の四肢及び胸部の体表面へ装着する(ステップS23)。
【0048】
心電図電極部1211が装着されると、これを契機として、収集部1212が心電図の収集を開始する(ステップS24)。その後、処理部1213は、操作部1218が操作されるのを待機する(ステップS25)。この例では、操作部1218の操作は、スタートボタンの押下とする。
【0049】
スタートボタンが押下されると、これを契機として、収録部1214は、心電図の収録を開始する(ステップS26)。このとき、処理部1213では、心電図の計測処理及び解析処理が行われ、その計測結果及び解析結果が収録される。
【0050】
収録開始後、処理部1213は、所定時間(例えば心電図の収録開始から10秒)の経過を待機する(ステップS27)。所定時間が経過すると(ステップS27)、これを契機として、収録部1214は、心電図の収録を停止する(ステップS28)。なお、心電図収録停止は、操作部1218の2回目の操作、つまりスタートボタンの2回目の押下を契機としてもよい。
【0051】
心電図の収録が停止されると、タッチパネル式表示部1217が、処理部1213の制御下で、検査結果を示す結果画面を表示する(ステップS29)。結果画面上で検査者が波形選択等の操作を行うと、通信部1216は、処理部1213の制御下で、検査結果データをサーバー130へ送信し保存する(ステップS30)。このとき検査終了の通知がサーバー130から電子カルテサーバー111へ送信される。
【0052】
第2の心電図検査手順では、典型的には、ステップS21からステップS22まで約20秒かかり、ステップS23からステップS25まで約75秒かかる。さらに、ステップS26からステップS29まで、約10秒かかる。すなわち、開始から結果画面表示まで、合計約105秒を要する。
【0053】
したがって、第1の心電図検査手順を実施することにより、従来に比べて、被検者一人につき約25秒、検査時間を短縮することができる。多数の被検者に対して心電図検査を順次実施する場合は、検査時間を全体で大幅に短縮することができる。
【0054】
従来、心電計においては、オートキャプチャ機能については心電図電極装着が、オーダーリング機能については被検者情報及びオーダー情報の取得が、それぞれ心電図検査開始の合図の意味をもっているため、それらを連携させるための別の操作が必要となっていた。具体的には、別の操作とは、スタートボタンの押下のような操作部1218の操作である。従来は、操作部1218の操作を待って、心電図の収録を開始していた。
【0055】
これに対し、本実施の形態、より具体的には第1の心電図検査手順では、心電図収集開始可能な心電図電極装着が被検者情報及びオーダー情報の取得よりも前である場合に限って、心電図収集と同時に心電図収録を開始させ、被検者情報が取得された際に心電図収録を停止させるようにした。つまり、被検者情報の取得に、心電図検査を停める合図の意味を持たせることにした。これにより、オートキャプチャ機能とオーダーリング機能との連携が強化され、心電図検査をより一層効率的に行うことができるようになった。
【0056】
すなわち、本実施の形態によれば、心電計121は、被検者への心電図電極部1211の装着を契機として、心電図の収集を開始する収集部1212と、収集された心電図を収録する収録部1214と、被検者の識別情報の取得を契機として、被検者の被検者情報及びオーダー情報を取得する通信部1216と、収集又は収録された心電図に対し、取得された被検者情報及びオーダー情報に基づいて、所定の処理を実行する処理部1213と、を有し、収録部1214は、心電図電極部1211の装着が識別情報の取得よりも前に行われた場合、心電図電極部1211の装着を契機として、収集された心電図の収録を開始し、被検者情報の取得を契機として、心電図の収録を終了する。この構成により、上述の通り、オートキャプチャ機能とオーダーリング機能との連携を強化し、心電図検査の効率を一層向上させることができる。
【0057】
また、従来では、識別情報の読取よりも前に心電図電極部を被検者に装着して心電図の収集を自動開始すると、被検者情報との関連付けができず、心電図データが保存されずに破棄されてしまうことがあった。これに対し、本実施の形態によれば、心電計121は、心電図電極部1211の装着が識別情報の読取よりも前に行われた場合でも、識別情報の読取が心電図電極部1211の装着よりも前に行われた場合でも、確実に、検査結果を被検者情報に関連付けて収録することができるため、保存されずに破棄されてしまうデータの発生を抑制することができる。また、検査者は心電図電極部1211の装着を先に行っても識別情報の読取を先に行っても心電図検査を行うことができるので、検査者の手作業の手順を拘束しないため、検査者にとっての利便性を向上させることができる。例えば、検査者が、識別情報の読取よりも前に心電図電極部1211の装着を行いがちな人から、心電図電極部1211の装着よりも前に識別情報の読取を行いがちな人へと交替しても、何ら不具合が生じることなく、多数の被検者に対して順次行う心電図検査を進めることができる。
【0058】
以上、本発明についてその好ましい実施の形態を、例を挙げて説明してきたが、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形が当業者によって可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の心電計は、オートキャプチャ機能とオーダーリング機能との連携を強化して、心電図検査の効率を一層向上させる心電計として有用である。
【符号の説明】
【0060】
100 医用ネットワークシステム
101 受付端末
111 電子カルテサーバー
120 生理検査部門システム
121 心電計
1211 心電図電極部(心電図電極)
1212 収集部
1213 処理部
1214 収録部
1215 バーコードリーダー
1216 通信部(取得部)
1217 タッチパネル式表示部
1218 操作部
130 サーバー