(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】食品包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20230203BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20230203BHJP
B65D 75/66 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
B65D81/38 D
B65D81/34 U
B65D75/66
(21)【出願番号】P 2019221967
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390003148
【氏名又は名称】エフピコチュ-パ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】田士 剛史
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-129770(JP,U)
【文献】特開2005-132397(JP,A)
【文献】特開2017-222393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 81/34
B65D 75/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両側縁によって接続されて前後に配した前側片、後側片を底部片にて連続すると共に、上縁の開口部が閉塞される容器本体を備えた袋状の食品包装容器であって、底部片は容器本体内に折り込み可能なガゼット状に形成し、底部片の外側面及び前側片、後側片の下部の外側面には層状の断熱手段を被装してあり
、
断熱手段は、非熱溶融性の耐熱性ある不織布材であって、容器本体に収納した食品の外部からの透視を妨げない程度の高さに設定し、
容器本体の上部には、容器本体を破断開封させる開封手段が設けられていて、この開封手段は、前側片、後側片それぞれの外側面に左右方向に沿って破断案内片を貼着して成り、破断案内片は、容器本体の左右方向に沿って切裂方向が合致する易裂容易性を備え、
容器本体は、手指を広げた手掌上で支持できる程度の大きさにしてある、
ことを特徴とする食品包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種惣菜、食材等の食品が包装されてコンビニエンスストア、スーパーマーケット等で陳列販売され、購買者において例えば電子レンジ機器等によって加熱、調理されることで喫食されるとき、食器代用としてそのまま喫食でき、また開封、喫食後で不要となったときには容易に処分でき、減容化も実現できるようにした食品包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種の惣菜、食材、チャーハン、丼物等の食品類が例えばコンビニエンスストア、スーパーマーケット等で販売されるとき、これらは適当な剛性の容器あるいは軟質性の包装袋等の包装資材によって包装、陳列されており、購買者等は例えば電子レンジ機器等で加熱、調理し、喫食している。喫食に際し、購買した食品内容、包装資材によっては、その包装資材を食器代用としてそのまま使用したり、あるいは適宜な食器に移し替えたりするのが一般的である。また、喫食後の容器等の包装資材は、通常はその容体が保持されたままで廃棄されている。
【0003】
こうした食品包装容器、包装資材として例えば特許文献1に示される食品包装パック及び包装済み食品、特許文献2に示される電子レンジ用調理器具、特許文献3に示される食品容器及びその製造方法等がある。特許文献1の食品パックはボックス状の食品収納部内に油分吸収性シートを配し、この油分吸収性シートは食品の雰囲気に接触する羽毛微粉末と紙とを含有して成る。特許文献2の調理器具は軟質合成樹脂で構成した容器本体と蓋体との内部に配した板状部材の一方の面に、マイクロ波加熱により発熱する金属製の発熱シートを貼着して成る。特許文献3の食品容器は熱可塑性長繊維からなる不織布と熱可塑性樹脂シートとを設け、不織布とシートとが接触しない空隙部が底部に設けられて成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-104537号公報
【文献】登録実用新案第3165081号公報
【文献】特開2017-202833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような従来の食品容器類は、収納する食品類の油分、水分等の吸収素材を容器内部に形成することで食品の鮮度を維持するようにしており、また容器自体はある程度の剛性を備えることで一定形状を維持する保形性を備えたものとして構成されており、例えば電子レンジ機器等によって収納食品を直接に加熱調理できるようにしている。ところがこのような包装資材であると、収納食品を加熱調理し、喫食後では、そのまま廃棄しているも、容器自体はその外形状は容積的にも嵩張るものとなっているから、その廃棄処理は面倒である。
【0006】
また、軟質材製の包装袋形態である場合、食品から滲出する水分、油脂分等を包装袋の内側面に配した吸収性ある不織布によって吸収するとしているが、食品を収納してある状態で例えば電子レンジ機器で加熱調理したとき、加熱された状態の包装袋を直接に把持するのは危険であり、他の容器に移し替えるにしても十分な注意が必要である。
【0007】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、軟質製のシート材によって形成することで喫食後の廃棄に際し極めてコンパクトに減容化でき、加熱後であっても断熱処理がなされていることで直接に把持しての喫食も可能にし、しかも自立可能にしてあることで食器代用として直接に喫食できるようにした食品包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、左右両側縁によって接続されて前後に配した前側片2、後側片3を底部片4にて連続すると共に、上縁の開口部が閉塞される容器本体1を備えた袋状の食品包装容器であって、底部片4は容器本体1内に折り込み可能なガゼット状に形成し、底部片4の外側面及び前側片2、後側片3の下部の外側面には層状の断熱手段5を被装してあることを特徴とする。
断熱手段5は、非熱溶融性の耐熱性ある不織布材として構成することができる。
容器本体1の上部には、容器本体1を破断開封させる開封手段10が設けられていて、この開封手段10は、前側片2、後側片3それぞれの外側面に左右方向に沿って破断案内片11を貼着して成り、破断案内片11は、容器本体1の左右方向に沿って切裂方向が合致する易裂容易性を備えて構成することができる。
【0009】
以上のように構成された本発明に係る食品包装容器にあって、前側片2、後側片3、内方に折り込み可能な底部片4を備えた容器本体1は、展開し、広げられた底部片4によって開放状態で自立可能となり、投入された所定の食品Fを包装し、更には食器代用として容器本体1のままで喫食可能にさせる。
底部片4及び前側片2、後側片3の下部の外側面に施された層状の断熱手段5は、例えば電子レンジ機器によって加熱調理された後の加熱された食品Fの熱を容器本体1外に伝達させず、手掌上に載せられても火傷その他を生じさせない。
容器本体1の上部に設けた開封手段10は、貼着された易裂容易性の破断案内片11の切裂方向が容器本体1の左右方向に合致していることで、破断案内片11の切裂は容器本体1の前側片2、後側片3をも同時に切裂させ、容器本体1を速やかに開封させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上説明したように構成されているため、食品Fが収納された容器本体1を電子レンジ機器等によって加熱調理後で喫食するに際し、容器本体1内で加熱された食品Fの熱は容器本体1外に伝熱されず、食器代用としてそのまま把持して喫食可能であり、喫食後では容器本体1は扁平状となり、廃棄も容易である等の利点が得られる。
【0011】
すなわちこれは本発明において、前側片2、後側片3を底部片4にて連続して成る容器本体1において、底部片4を容器本体1内に折り込み可能なガゼット状に形成し、底部片4の外側面及び前側片2、後側片3の下部の外側面には層状の断熱手段5を被装してあるからである。これによって、自立可能な容器本体1の底部の断熱化で、開封後で食器代用としてそのまま把持でき、しかも安全に食品Fを喫食可能にする。
【0012】
また、断熱手段5は層状にして容器本体1の外側面に被装されていることで、喫食後ではガゼット状の底部片4が容器本体1の内容に折り込み可能であることと相俟ち、従来の剛性の嵩張る食品容器とは異なり、廃棄時の容積は全体を扁平状のコンパクトに折りたたむことができ、減容化に大きく貢献する。
【0013】
容器本体1を開封させる開封手段10は、容器本体1における前側片2、後側片3それぞれの外側面に左右方向に沿って貼着した破断案内片11が、容器本体1の左右方向に沿って切裂方向が合致する易裂容易性を備えていることで、破断案内片11の切裂は、同時に前側片2、後側片3をも切裂させ、容器本体1を極めて容易に、またきっちりと開封させることができる。
【0014】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す食品を包装収納したときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は軟質性の所定肉厚を有する透視可能な合成樹脂製シートにて形成された袋状の容器本体であり、例えば電子レンジ機器等による加熱調理で喫食される調理済みチャーハン食材等の食品F等が収納包装されるようになっている。
【0017】
この容器本体1は、所定の容積となるよう幅員、高さが設定されていて、左右の両側縁相互が例えば重ね合わせて加熱溶融によって接続されたり、あるいは折曲されたりしている前側片2、後側片3の底部縁相互を、底部片4によって連続させており、底部片4自体は容器本体1の内方に折りたたまれるガゼット式に形成してある。
【0018】
また、底部片4を展開し広げて、半ば平坦状にすることで容器本体1を自立させることができるようにしてあり、好ましくは例えば手指を広げた手掌上で支持できる程度の大きさにしてある(
図5参照)。もとより、容器本体1の大きさはこれに限らないことは勿論である。
【0019】
底部片4及び前側片2、後側片3の下部の外側面には、層状に形成した断熱手段5が施されており、この断熱手段5は、例えば非熱溶融性の不織布材によって被装されることで形成されており、電子レンジ機器等による加熱、調理時の加熱温度によっては溶融されない耐熱性を備えたものとしてある。すなわち、一般的な電子レンジ機器等の加熱による例えば140~160℃程度では溶融しない耐熱性を備え、また、いわゆる毛羽たちが生じない不織布材としてある。また、耐熱性ある不織布材による層状の断熱手段5によって、底部片4及び前側片2、後側片3の下部を半ば剛性化でき、こうすることで底部片4を広げたときの容器本体1の自立性を向上させるにも役立つ。
【0020】
前側片2、後側片3の下部においての断熱手段5の高さは、広げた状態の底部片4によって本発明容器が例えば手掌上に載せられたとき、把持する手指を含め容器本体1内の加熱済みの食品Fによる熱が手指等に伝わらない程度にして設定されており、例えば30~40mm程度とされている。また、この前側片2、後側片3における断熱手段5の高さは、容器本体1に収納した食品の外部からの透視を妨げない程度の高さに設定される。
【0021】
容器本体1における前側片2、後側片3の上端縁相互は、例えば所定の食品Fの投入、収納後で、例えば加熱によってシール閉塞される。この閉塞部分の下方部位に位置させて、容器本体1を破断開封させる開封手段10が設けられている。この開封手段10は、前側片2、後側片3の左右方向に沿って前側片2、後側片3自体を切裂状に破断するのであり、前側片2、後側片3それぞれの外側面に貼着された破断案内片11によって容器本体1が破断されたとき、容器本体1を上下に分割し、分割された上部分を破棄することで下部分が開封された有底筒状・ボックス状を呈する容器を構成できるようにしている。
【0022】
開封手段10における破断案内片11は、容器本体1の左右方向に沿ったものとさせるよう切裂方向が一方向である易裂容易性の破断案内片11が、前側片2、後側片3それぞれの外側面に貼着されたもので、破断案内片11に沿って切裂することで容器本体1が所定位置に沿って上下に分割されるようにしている。破断案内片11の端縁部には、例えばV字状の切込12を形成してあって、この切込12端から順次に切断することで、破断案内片11内で容器本体1を破断できるようにしてある。
【0023】
破断案内片11自体は、例えばその高さ(上下方向に沿う幅員)を約10mm程度で形成し、切り込みから付与される破断作用による破断線は、この破断案内片11に沿っているものとされ、破断線自体は、テープ状の破断案内片11における上下の外方には案内されずに、破断案内片11の上下幅員内で案内されるものとしてある。すなわち、破断案内片11内で形成される切裂作用時の破断線が、破断案内片11が貼着されている前側片2、後側片3それぞれをも同時に破断させるものとなっている。
【0024】
次にこれの使用の一例を説明すると、開放されている容器本体1内に、例えば調理済みのチャーハン食材等の食品Fを投入するのであり、投入するに際し、底部片4によって前後に広げた自立状態となし、投入収納後では容器本体1の上縁の開口部を閉塞すればよく、この状態で店頭にて陳列販売される。購入者は、例えば電子レンジ機器等にて、必要があれば開封した状態にして所定時間で加熱調理し、開封された容器本体1内から所定の食品Fを喫食すればよい。
【0025】
購入後の容器本体1の開封は、開封手段10の切込12部位を始端として容器本体1の左右方向に設けられている破断案内片11に沿って行えばよく、破断は破断案内片11の幅員内で切裂されることで容器本体1を上下で分割し、断熱手段5にて被装されている容器本体1を例えば手掌上で支持して容器本体1内の食品Fを喫食すればよい。
【符号の説明】
【0026】
F…食品
1…容器本体
2…前側片
3…後側片
4…底部片
5…断熱手段
10…開封手段
11…破断案内片
12…切込