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特許7220661物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法およびキット
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  • 特許-物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法およびキット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法およびキット
(51)【国際特許分類】
   B65B 19/28 20060101AFI20230203BHJP
   A24C 5/32 20060101ALI20230203BHJP
   B65G 47/84 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
B65B19/28
A24C5/32
B65G47/84 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019542476
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 IB2018051052
(87)【国際公開番号】W WO2018158655
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】102017000022610
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】392003937
【氏名又は名称】ジー.デー ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】G.D SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】ガンベリーニ,ジュリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァデオ,ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ダニ,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】サルトーニ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ,フェデリーチ
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/130401(WO,A1)
【文献】特開平07-025526(JP,A)
【文献】特表2014-524030(JP,A)
【文献】特開2005-145716(JP,A)
【文献】特開2005-027670(JP,A)
【文献】特開平06-321212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 19/28
A24C 5/32
B65G 47/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法であって、前記機械は、電気モータと動作可能に関連する少なくとも1つのコンベヤまたはローラを備え、機械動作状態において、前記電気モータが前記コンベヤまたはローラをその回転軸まわりに回転駆動するよう構成され、
前記方法は、
前記コンベヤまたはローラ(R)をある角度位置で前記コンベヤまたはローラ(R)自体と一体の基準(32)と関連付けるステップと、
前記基準(32)を通る半径方向直線(31)と重力(G)との間の角度を測定することによって、前記重力(G)に対する前記コンベヤまたはローラ(R)の角度位置(γ)を検出するステップと、
前記電気モータ自体の角度位置変換器に関連するゼロ基準に対する前記電気モータの軸の角度位置(α)を検出するステップと、
前記ゼロ基準と前記重力(G)との間の角度変位に対応する前記コンベヤまたはローラ(R)の前記角度位置(γ)と前記電気モータの前記角度位置(α)との間の角度変位(δ)を計算して記憶するステップと、
前記半径方向直線(31)と前記重力(G)との間の前記角度を測定するように構成および/またはプログラムされた少なくとも1つの傾斜センサ(30)を提供するステップと、
前記傾斜センサ(30)によって前記コンベヤまたはローラ(R)の前記角度位置(γ)を検出するステップと、
前記傾斜センサ(30)を前記コンベヤまたはローラ(R)に結合して前記コンベヤまたはローラ(R)の前記角度位置を検出し、前記電気モータの始動前に前記傾斜センサ(30)を前記コンベヤまたはローラ(R)から取り外すステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記傾斜センサ(30)を前記コンベヤまたはローラ(R)に結合することは、前記傾斜センサ(30)の基準を前記コンベヤまたはローラ(R)の前記半径方向直線(31)と関連付けることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記傾斜センサ(30)を前記コンベヤまたはローラ(R)に結合することは、前記傾斜センサ(30)を前記コンベヤまたはローラ(R)上に、前記基準(32)に一意的に位置決めすることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記機械が複数の電気モータを含み、各電気モータが1つまたは複数のコンベヤまたはローラと動作可能に関連付けられており、前記方法は、同じ傾斜センサ(30)を使用して、前記重力(G)に対する前記コンベヤまたはローラ(R)の前記角度位置(γ)を検出し、前記傾斜センサ(30)を一度に1つのコンベヤまたはローラ(R)に結合して取り外す前記ステップを繰り返す、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各コンベヤまたはローラ(R)に傾斜センサ(30)を提供し、各傾斜センサ(30)が対応するそれぞれのコンベヤまたはローラ(R)に常時結合される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記傾斜センサ(30)と前記機械の制御ユニット(33)との間に有線または無線接続を提供し、前記有線または無線接続を介して前記制御ユニット(33)に前記重力に対する前記コンベヤまたはローラ(R)の前記検出された角度位置(γ)を送信する、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
微小電気機械システム(MEMS)に従って動作する少なくとも1つの傾斜センサ(30)を提供する、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記機械が複数の電気モータを含み、各電気モータが1つまたは複数のコンベヤまたはローラと動作可能に関連付けられており、前記複数のモータは、前記複数のローラが同相になるように、各コンベヤまたはローラ(R)のゼロ角度位置(β)から始まる互いに関連する一連の角度位置に従って電気的結合されることによって駆動されるように構成され、
前記方法は、前記検出された角度位置(γ)が前記ゼロ角度位置(β)と異なる場合に、対応するコンベヤまたはローラ(R)を前記ゼロ角度位置(β)に戻す、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法およびキットに関する。
【0002】
その可能な実施形態によれば、本発明は、本明細書が明示的に言及するが一般性を失わない棒状喫煙物品をラッピングまたはパッキングするための機械の分野に関する。
【0003】
「棒状喫煙物品」という用語は、例えばシガレット、葉巻、シガリロ、電子タバコなどの複数の製品または喫煙物品、ならびにそれらを構成する構成要素を指すのに使用される。
【背景技術】
【0004】
これらの機械は一般に、喫煙物品に対して1つまたは複数の作業を実行するためにそれぞれの回転軸の周りを回転するように構成された複数のコンベヤまたはローラを備える。
【0005】
ラッピング機械またはパッキング機械のローラのいくつかは、喫煙物品を機械自体に沿って一のラッピングまたはパッキングステーションから他のラッピングまたはパッキングステーションへ移送するように構成された移送ローラである。移送の他に、移送ローラは喫煙物品に1つまたは複数のラッピングまたはパッキング作業を実行するように構成されてもよい。例えば、各移送ローラは、その半径方向外面に、棒状喫煙物品を受け取るように構成された複数の溝を備える。好ましくは、各溝は、ローラの回転軸と平行に配置された喫煙物品を受け取るように、移送ローラの軸方向に細長い。また、各溝は円周方向に分布しており、通常は移送ローラの半径方向外面に沿って等間隔に配置されている。さらにより好ましくは、各溝は吸引タイプのものであり、すなわち、それらは喫煙物品を所定の位置に保持するように構成された吸引システムと連通している。
【0006】
ラッピング機械またはパッキング機械のローラのいくつかは、喫煙物品および/または喫煙物品の構成要素に対して1つまたは複数のラッピングまたはパッキング作業を実行するように構成された作業ローラである。例えば、喫煙物品の分野では、切断用のローラ、プラグラップを付けるためのローラなどがあり得る。
【0007】
喫煙物品をラッピングまたはパッキングするための現在の機械では、電気モータが各ローラとまたは互いに機械的に連結された複数のローラと関連付けられて、それらをそれらの回転軸を中心に回転駆動する。ローラに関連するモータは、互いに連結された一連の角度位置に従って電気的結合によって駆動される。
【0008】
この種の駆動は、全てのローラが同相である初期構成を得るために機械を始動する前にローラの相対角度位置を調整する必要性を生じさせ、それにより喫煙物品が安定した信頼できる態様で取り扱われおよび/または移送されることを保証する。
【0009】
今までのところ、この必要性はテンプレートやフレームを使って満たされてきた。各テンプレートは、2つ以上の機械ローラを受け入れ、それらのローラを初期(またはゼロ)角度位置に対応する相互角度位置に設定するように形作られた輪郭を有する。この目的のために、各ローラは、2つ以上のローラの相互角度位置を決定するためにテンプレート輪郭内に正しく位置決めされなければならない基準要素、例えば基準ピンを有する。機械ローラは、全てのローラの相互角度位置が調整されるまで複数のテンプレートを使用してグループ毎に手動で調整される。
【0010】
したがって、各機械は複数のテンプレートを必要とする。これらのテンプレートは適切に保管され、機械が始動される前に各ローラに配置される必要がある。したがって、これらのテンプレートが使用される場合には、保管スペースと熟練した労働力が必要になる。この欠点は、各機械が一般に当該機械自身の特定のテンプレートのセットを有し、それが他の機械のそれとは異なるが類似するという事実によってさらに悪化する。
【0011】
さらに、一般に、1つの電気モータが1つのロードに関連するあらゆる種類のラッピングまたはパッキング機械に関して、出願人は、(それぞれのエンコーダによって示されるように)モータの角度位置を、(たばこ産業用の機械の場合には実質的にローラで表される)ロードの角度位置に容易かつ確実に相関させる必要性が、未解決の問題のままであるということに気付いた。実際、そのような相関は、機械寿命の異なる時点で実行される必要があり得る。すなわち、初期設定中、各モータがそれぞれのロードに物理的に接続された場合、運用中に何らかの変更が行われた後、またはモータが交換された場合である。
【発明の概要】
【0012】
これに関連して、本発明の基礎を形成する技術的目的は、先行技術の上記の欠点の少なくともいくつかを克服し、上記の要件を満たすために、物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法およびキットを提案することである。
【0013】
より具体的には、本発明は、物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法およびキットを提供することを目的とし、機械を容易に迅速にそして確実に調整できるようにし、必要なツールの数およびサイズを最小にする。
【0014】
示された技術的目的および特定された目的は、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に記載された技術的特徴を含む、物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法およびキットによって実質的に達成される。従属請求項は本発明の可能な異なる実施形態に対応する。
【0015】
より具体的には、この目的は、モータの角度位置をそのコンベヤまたはローラの角度位置と相関させることによって達成され、したがって、モータ自体のエンコーダまたは角度位置変換器によって読み取られたそれぞれのモータの角度位置を知ることによって各コンベヤまたはローラの正確な角度位置を知ることができる。
【0016】
本発明のさらなる特徴およびその利点は、物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するための方法およびキットの好ましいが非排他的な実施形態を参照した以下の非限定的な説明においてより明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の説明は、本発明の範囲を限定することなく例示の目的のためだけに提供されている添付の図面を参照してなされる。
図1】本発明による方法およびキットが適用可能なフィルタ付きシガレット製造機の概略正面図を示す。
図2】本発明によるラッピングまたはパッキング機械の調整におけるステップを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、数字1は、全体として、1つの可能な実施形態による、フィルタチップ取り付け機械としても知られるフィルタ付きシガレットを製造するための機械を示す。
【0019】
この機械は、物品をラッピングまたはパッキングするための任意の種類の機械に適用することができる本発明の適用の一例である。以下の本明細書では、便宜上、「物品」、特に上記で定義した「棒状喫煙物品」の具体例としてのシガレットを参照する。
【0020】
機械1は、例えば互いに平行な軸、具体的には水平軸に取り付けられたローラである一連のコンベヤを含む。以下の本明細書におけるローラへの言及は、ベルト、チェーン、カルーセルなどを含むあらゆる種類のコンベヤを意味すると理解されるべきである。
【0021】
機械1の入口2は、第1のローラ7によって規定される、ビーム4から機械の入口2へ移送ユニット6によって連続的に移送される一連のダブルレングス(double-length)シガレットセグメント5を形成するための形成ビーム4の出口3に結合される。
【0022】
以下の説明では、便宜上、物品のコンベヤを構成するこれらのローラは、総称して参照符号「R」で示される。ローラ「R」のそれぞれは、その半径方向外面に、ローラの回転軸に平行な複数の吸引溝8を備える。
【0023】
第1のローラ7は、ビーム4の長手方向の延長軸と平行であるその軸まわりに、図1を見て時計回りに、一定の角速度で回転し、ダブルレングスセグメント5を受け取った後、そのダブルセグメント5をそれらの軸に対して横方向に送り、図1を見て反時計回りに回転する第2のローラ9の周囲に形成されたそれぞれの溝8に、それらを連続的に移送する。
【0024】
ローラ9は、ダブルセグメント5をそれらの軸に対して横方向に送り、各ダブルレングスセグメント5をシガレットの長さに等しい一対のシングルレングス(single-length)セグメント5aに分割する切断ユニット10を通り抜けて、互いに軸方向に並べられたシングルレングスセグメント5aを、時計回りに回転し、2つのセグメント5aを互いに軸方向に間隔をあける第3のローラ11の溝8内に移送する。
【0025】
間隔をあけられた後、2つのセグメント5aは、ダブルレングスフィルタ15を供給するための供給ローラ14をも含む組立ユニット13の一部を形成する第4のローラ12に移送される。図1に示されるように、ローラ14は、ローラ12に対して実質的に接線方向に取り付けられ、ローラ12とは反対の方向に同じ周速度でその軸まわりに回転し、各ダブルレングスフィルタ15をそれぞれの溝8の中央部分に供給するように構成される。このようにして、溝8に供給された後、各ダブルフィルタ15は、同じ溝8に供給された2つのセグメント5a間に並べられ、同じローラ12上にダブルフィルタ15によって分離された2つの同軸セグメント5aからなるグループ5bを形成する。グループ5bは、ローラ12によって仕上げユニット17への入口で第5のローラ16に連続して供給される。
【0026】
ローラ16に加えて、ユニット17は、切断ユニット21によって連続ウェブ20から得られ、各グループ5bのセグメント5aおよびダブルフィルタ15を互いに接合するために使用されるプラグラップ19を供給するためのローラ18を備える。仕上げユニット17はまた、ローラ23を含むローラユニット22を備え、ローラユニット22は、第5のローラ16からグループ5bおよび関連するプラグラップ19を連続して受け取り、各プラグラップ19をそれぞれのダブルフィルタ15および隣接する関連するセグメント5aの端部を取り巻いて丸めてダブルシガレット5cを得るように構成される。ローラ23は、ダブルシガレット5cを連続して仕上げユニット17の出口で第6のローラ24に供給する。
【0027】
ローラ24の溝8内にある間に、ダブルシガレット5cのダブルレングスフィルタ15は切断ユニット25と接触されて、ローラ24によってさらなるローラ27および28に供給される同軸対のシガレット26を得る。さらなるローラ27および28は次に、シガレット26を、フィルタチップ取り付け機械の一部を形成し、ブロック29として概略的に表されているさらなる作業ユニットに送る。さらなる作業ユニットでは、シガレット26は一列に配置されている。
【0028】
機械1は、ローラ「R」を回転駆動する複数の電気モータ(図示せず)を備える。より具体的には、電気モータは、それぞれの回転軸を中心に回転駆動するように1つまたは複数のローラ「R」と関連付けられる。各モータには角度位置変換器、例えばエンコーダが設けられており、これは電気モータ軸の角度位置αを知ることができるゼロ基準「A」を規定する。
【0029】
機械1の通常の動作中、上述の全てのローラは非常に高速で回転してシガレット(喫煙物品)および/またはシガレットの構成要素を移送および/または取り扱う。これらの動作を正しくかつ確実に実行するために、すべてのローラの角度位置は、調整段階で設定されるゼロ角度位置から始まる機械の全動作サイクルの間に制御されなければならない。
【0030】
使用時に、各ローラ「R」に関連するモータは、複数のローラが同相になるように、すなわち、喫煙物品および/または喫煙物品構成要素を正しく移送および/または取り扱うように相対的に配置されるように、各ローラのゼロ角度位置から出発して互いに関連する一連の角度位置に従って電気的結合によって駆動される。
【0031】
ローラの角度位置は、ローラと一体の半径方向直線31が、所与のゼロ角度βに等しい重力「G」の方向に対してある角度距離に位置する角度位置によって規定される。「半径方向直線」という用語は、ローラの回転軸に垂直でそれに入射する直線を意味するために使用される。以下では、重力への言及は、地球の中心に向いているその方向への言及として理解されるべきである。
【0032】
例えば図2に示されるように、半径方向直線31は、ローラの基準(reference)32を通る半径方向によって画定され得る。基準32は、例えば、キャビティまたはピンによって物理的に具体化されてもよく、または機械の制御ユニットに記憶されているデータ項目によって表されてもよい。あるいは、半径方向直線31は、それが基準32から所与の角度距離に配置された半径方向によって画定されるという点で認識可能であり得る。
【0033】
図2において、基準32が破線で示されているローラ「R」の位置は、ゼロ角度位置βに対応する。
【0034】
機械の初期設定中、すなわち、モータがそれぞれの負荷に物理的に接続されている場合、または例えばモータが交換された結果として生じる何らかの変化に続いて、ローラの角度位置γは、電気モータの角度位置αと相関関係がある。この目的のために、ローラ「R」は、その電気モータと動作可能に関連付けられており、ローラ自体の回転軸の周りの任意の角度位置に配置された基準32を用いて静止状態に保持される。
【0035】
次に、基準32を通る半径方向直線31と重力「G」との間の角度を測定することによって、重力「G」に対するコンベヤまたはローラ「R」の角度位置γが検出される。
【0036】
電気モータに関連するエンコーダは、ゼロ基準に対する電気モータ軸の角度位置αを提供する。
【0037】
電気モータの角度位置αとコンベヤまたはローラ「R」の角度位置γとの間の角度変位δを計算して記憶することによって、ゼロ基準「A」と重力「G」との間の角度変位を得ることも可能である。
【0038】
この動作は、機械が調整されている場合には各ローラに対して、または電気モータの角度位置αとコンベヤまたはローラ「R」の角度位置γとの間の相関が失われた場合には1つまたは複数のローラに対して実行され得る。
【0039】
角度変位δを知ることは、ローラ「R」を互いに同相に設定することを可能にする。言い換えれば、ローラがそれぞれの初期角度位置とは異なる角度位置に配置される場合、すなわち角度位置γが、図2のように、ゼロ角度位置βと異なる場合、ローラ「R」は、それがゼロ角度位置に戻るまでその軸まわりに回転され得る。
【0040】
1つの可能な実施形態では、機械を調整することは、傾斜センサ30、または電子レベルを各ローラ「R」、好ましくは一度に1つのローラ「R」上に一意に配置し、傾斜センサを使用してローラの角度位置γを検出することを含む。
【0041】
図1に概略的に示されているのは、セットアップ中に、すなわちすべてのローラ「R」が静止している場合に、機械1のローラ「R」のうちの1つと関連付けることができる傾斜センサ30である。
【0042】
傾斜センサ30は、半径方向直線31と重力「G」との間の角度距離を検出するように構成および/またはプログラムされている。
【0043】
好ましくは、傾斜センサ30はローラに結合されてローラの角度位置を検出し、傾斜センサはモータを始動する前にローラから切り離される。言い換えれば、通常の動作中は、機械1のローラに関連する傾斜センサ30は存在しない。したがって、傾斜センサ30は、機械1の外部付属品として供給され、セットアップ中にのみ使用される。
【0044】
傾斜センサ30をローラに結合する場合、傾斜センサの基準は、半径方向直線31と関連付けられ、好ましくは合わせられる。
【0045】
好ましくは、角度位置γを検出することは、同じ傾斜センサ30を使用して各ローラについて繰り返され、それを一度に1つのローラに結合し、そしてそれから分離する。言い換えれば、単一の傾斜センサを用いて全ての機械ローラの角度位置を検出することができる。
【0046】
あるいは、機械1は各ローラに対して傾斜センサ30を備えてもよく、好ましくは各傾斜センサは対応するそれぞれのローラに常に結合されている。
【0047】
角度位置γに関する測定データは、傾斜センサ30と制御ユニット33との間で適切に確立された有線または無線接続を介して機械の制御ユニット33に送信することができる。
【0048】
制御ユニット33は、電気モータに関連するエンコーダから角度位置αを取得し、それを重力に対して測定された、コンベヤまたはそれに関連するローラの角度位置γと相関させる。言い換えれば、傾斜センサ30は、各ローラの角度位置を制御ユニット33に送信して、制御ユニット33が角度変位δを算出してローラの実位置を検出することができる。
【0049】
上述の方法は、ラッピングまたはパッキング機械のすべてのローラ、具体的には移送ローラ、すなわちそれぞれの半径方向外面に棒状喫煙物品を受け取るように構成された複数の溝を備えたローラに適用することができる。上述の方法は、作業ローラ、すなわち喫煙物品および/または喫煙物品の構成要素に対して1つまたは複数のラッピングまたはパッキング作業を実行するように構成されたローラとして知られるものにも適用することができる。
【0050】
本発明は、物品、特に棒状喫煙物品のラッピングまたはパッキングのための機械を調整するための方法において、重力「G」に対するローラの角度位置を測定するように構成および/またはプログラムされた少なくとも1つの傾斜センサを使用することを特徴とする。
【0051】
好ましくは、傾斜センサは微小電気機械システム(MEMS)に従って動作する。さらに好ましくは、傾斜センサは、軸に対する傾斜を測定する単軸または多軸センサである。
【0052】
物品をラッピングまたはパッキングするための機械を調整するために、有利には、キットは、ローラの角度位置を測定するためにローラ上に一意的に配置することができるように、機械ローラと共に構成された少なくとも1つの傾斜センサを備えてもよい。例えば、基準32を使用して得られた形状適合が提供されてもよい。
【0053】
傾斜センサは、現在、上述したものとは異なる用途に使用されている。すなわち、例えば、クレーン用の横転防止システム、プラットホームまたは農業機械、あるいはプラットホームレベリングシステムに使用されている。
【0054】
本発明によるラッピングまたはパッキング機械では、傾斜センサは垂直(局所重力ベクトル)に対するまたは水平に対する傾斜を正確に測定することを可能にする。
【0055】
1つの可能な実施形態では、これらのセンサは、傾斜に比例した動作が光学的、容量的、誘導的または電子的手段によって検出され得る偏心地震質量(eccentric seismic mass)または振り子を備えてもよい。
【0056】
異なる実施形態では、これらのセンサは、互いにフィンガー結合された(finger-coupled)固定電極と可動電極との間の静電容量の変動を測定する微小電気機械システム(MEMS)または微小機械質量ばねシステムに従って動作してもよい。
【0057】
提案された解決策では、各ローラの角度位置は、各ローラに一意的に取り付け可能な(または予め取り付けられた)高精度電子装置(電子レベル)によって行われる測定に基づいて検出される。これは、現在テンプレートを使用して起こるように、2つ以上のローラを互いに接続する必要性を省く。
【0058】
したがって、固定された絶対位置にローラを固定する必要なしに、ローラに対する絶対基準を作成することができる簡単なガイド付き手順によって、簡単な器具のセットおよび限られた数の装置で調整を実行することができる。
【0059】
有線または無線接続を使用する可能性は手順をさらに単純化することができる。
【0060】
この方法は、例えば菓子産業(スウィーツ、チョコレートなど)、化学産業(石鹸、洗剤、油など)、製薬業界(カプセル、錠剤、ブリスター、バイアルなど)および食品業界全般(コーヒー、茶、パスタ、飲料など)の物品ような種々の物品をラッピングまたはパッキングするための機械においても使用できることに留意すべきである。
【0061】
従来技術のテンプレートと比較して、本発明の方法は、ローラの角度位置を検出し、それをモータの角度位置と相関させることを可能にする。さらに、本発明の方法は、ローラが全て完全に同期するようにローラの位置を補正することを可能にすることができる。機械を停止させた状態で手動で補正を行うこともできる。したがって、機械の始動前またはセットアップ中に、各ローラが正しい位置にあることを確認し、必要に応じてローラを移動または加速してその位置を補正できる。
図1
図2