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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】眼球排水用分流支持枠
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20230203BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020155419
(22)【出願日】2020-09-16
(62)【分割の表示】P 2019067186の分割
【原出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020195911
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】510019037
【氏名又は名称】巨晰光纖股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】曾效參
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】ルー,エミリー
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276332(US,A1)
【文献】特表2018-525107(JP,A)
【文献】特表2018-501010(JP,A)
【文献】特表2018-529460(JP,A)
【文献】特開2014-240022(JP,A)
【文献】特表2008-500878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0116626(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0057055(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0245505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持枠本体を備え、前記支持枠本体は、生体活性ガラス繊維を編織してコラーゲンと混合して構成されるチューブであり、嵌め込み構造と、導液管と、を有し、前記嵌め込み構造と前記導液管は一体に成形され、
前記嵌め込み構造の外壁には、固定構造が少なくとも一つ設けられていることを特徴とする眼球排水用分流支持枠。
【請求項2】
前記生体活性ガラス層の内側には、生体活性ガラス(Bioactive glass)、又は生体不活性ガラス(Bioinert glass)の生体用ガラス層が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の眼球排水用分流支持枠。
【請求項3】
前記嵌め込み構造と前記導液部により、前記支持枠本体がL字形を呈し、前記嵌め込み構造の底部に溝通路が設けられており、前記溝通路は前記導液管と連通し、前記溝通路と前記導液管はL字形を呈し、前記嵌め込み構造の自由端が鋭い先端であり、前記先端の底部は、前記溝通路と連通し、円弧状欠口を有し、前記嵌め込み構造の外壁の側辺には、棘状を呈する固定構造が複数設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の眼球排水用分流支持枠。
【請求項4】
前記嵌め込み構造と前記導液部により、前記支持枠本体がI字形を呈し、前記嵌め込み構造の外壁には、棘状を呈する固定構造が少なくとも一つ設けられており、又は前記嵌め込み構造には、更に、第2溝通路が少なくとも一つ設けられており、前記第2溝通路は、両端が前記嵌め込み構造および前記導液部を貫通し、前記導液管の外周に分布され、その軸方向が前記導液管と平行であり、前記嵌め込み構造と前記導液部との連接箇所に凹部が環設されており、前記導液部の側辺に押付縁が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の眼球排水用分流支持枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分流支持枠に関し、特に、眼球の内壁の側辺に支持枠本体を設けることにより、眼球内の眼房水を排出して、眼圧を降下する目的を達成することが可能な眼球排水用分流支持枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、緑内障を治療するための分流支持枠は、金属、シリコーン、又は樹脂で作製される。しかし、分流支持枠の体積は小さいが、異物感が強く、創傷に傷跡が生じるため、目が快適ではない。一方、分流支持枠を取り出そうとする場合には、もう一回の手術を行うことが必要であるが、毎回の手術に危険性がある。このため、本発明の提案者は、当該技術分野の数十年に累積した経験と、数多くの実験とにより、代替材料と改良された構造とを開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、異なる繊維の編織により、前房の内部の眼房水の流速を制御して、眼圧を降下する効果を有する眼球排水用分流支持枠を提供することにある。
【0004】
本発明の次の目的は、支持枠本体が、生物体に吸収されることが可能な生体活性ガラス層を採用するため、生物体に対する親和性が良く、組み付けるときに異物感がなく、手術後にある期間を過ごしたと、支持枠本体の生体活性ガラス層が人体に吸収される眼球排水用分流支持枠を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、内層の異なる材質により、支持枠本体の強度と支持枠本体が生物体に完全に吸収される時間とを制御することが可能な眼球排水用分流支持枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の眼球排水用分流支持枠によると、支持枠本体を備え、支持枠本体は、少なくとも一つの生体活性ガラス層で構成され、嵌め込み構造と、導液管と、を有し、嵌め込み構造と導液管は一体に成形され、
嵌め込み構造の外壁には、固定構造が少なくとも一つ設けられており、
導液管の内壁は中空であり、導液管は嵌め込み構造と連接することを特徴とする。
【0007】
本発明の眼球排水用分流支持枠によると、生体活性ガラス層の内層には、シリコン含有量が高密度である生体活性ガラス(Bioactive glass)、又は生体不活性ガラス(Bioinert glass)の生体用ガラス層が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の眼球排水用分流支持枠によると、導液部は嵌め込み構造から伸び、嵌め込み構造と導液部により、支持枠本体がL字形を呈し、導液部には、導液部を貫通する導液管が設けられており、嵌め込み構造の底部に溝通路が設けられており、溝通路は導液管と連通し、溝通路と導液管はL字形を呈し、嵌め込み構造の自由端が鋭い先端であり、先端の底部は、溝通路と連通し、円弧状欠口を有し、嵌め込み構造の外壁の側辺には、棘状を呈する固定構造が複数設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の眼球排水用分流支持枠によると、導液部は嵌め込み構造から伸び、嵌め込み構造と導液部により、支持枠本体がI字形を呈し、導液部には、嵌め込み構造を貫通する導液管が設けられており、嵌め込み構造の外壁には、棘状を呈する固定構造が少なくとも一つ設けられており、又は嵌め込み構造には、更に、第2溝通路が少なくとも一つ設けられており、第2溝通路は、両端が嵌め込み構造および導液部を貫通し、導液管の外周に分布され、その軸方向が導液管と平行であり、嵌め込み構造と導液部との連接箇所に凹部が環設されており、導液部の側辺に押付縁が形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の眼球排水用分流支持枠によると、導液管は、内壁が中空であり、両側の壁面が空洞であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の眼球排水用分流支持枠によれば、次のような効果がある。
(1)異なる繊維の編織により、前房の内部の眼房水の流速を制御して、眼圧を降下する効果を有する。
【0012】
(2)支持枠本体が、生物体に吸収されることが可能な生体活性ガラス層を採用するため、生物体に対する親和性が良く、組み付けるときに異物感がなく、手術後にある期間を過ごしたと、支持枠本体の生体活性ガラス層が人体に吸収される。
【0013】
(3)内層の異なる材質により、支持枠本体の強度と支持枠本体が生物体に完全に吸収される時間とを制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の生体活性ガラス繊維を編織してコラーゲンを混合して構成される支持枠本体を示す斜視図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る支持枠本体を正面から見た斜視図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る支持枠本体を下面から見た斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態の生体活性ガラス層を有する剖面を示す図である。
図4A】本発明の第2の実施形態の生体活性ガラス層および生体用ガラス層を有する剖面を示す図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る支持枠本体を正面から見た斜視図である。
図6】本発明の第3の実施形態の生体活性ガラス層を有する剖面を示す図である。
図6A】本発明の第3の実施形態の生体活性ガラス層および生体用ガラス層を有する剖面を示す図である。
図7】本発明第4の実施形態に係る支持枠本体を示す斜視図である。
図7A】本発明の第4の実施形態に係る支持枠本体の生体活性ガラス層および生体用ガラス層を有する剖面を示す図である。
図8】本発明第5の実施形態に係る支持枠本体を示す斜視図である。
図8A】本発明の第5の実施形態に係る支持枠本体を示す側面図である。
図9】本発明の植え込み器により、第1の実施形態に係る支持枠本体が前房を挿通して眼球の内壁の側辺に嵌め込まれた状態を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る支持枠本体により眼房水を導流する状態を示す図である。
図11図10の一部を示す拡大図である。
図12】第3の実施形態に係る支持枠本体が眼球の内壁の側面に嵌められている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1を参照する。本実施形態に係る眼球排水用分流支持枠は、支持枠本体10を備える。支持枠本体10は、生体活性ガラス繊維を編織してコラーゲンと混合して構成されるチューブである。支持枠本体10は、少なくとも一つの嵌め込み構造12と、導液管141と、を有する。導液管141の内壁は中空である。嵌め込み構造12と導液管141は一体に成形される。異なる繊維の編織により、前房の内部の眼房水の流速を制御して、眼圧を降下する効果を得ることができる。一方、図1から分かるように、支持枠本体10は、方向性を有せず、その両端の何れかを嵌め込み構造12とすることが可能である。
【0017】
(第2の実施形態)
図2から図4を参照する。本実施形態に係る眼球排水用分流支持枠は、少なくとも一つの生体活性ガラス層111で支持枠本体10を構成する。支持枠本体10は、嵌め込み構造12と、導液管141と、を有する。導液部14は嵌め込み構造12から伸びる。嵌め込み構造12と導液部14とにより、支持枠本体10がL字形を呈する。導液部14には、導液部14を貫通する導液管141が設けられている。嵌め込み構造12の底部に溝通路121が設けられており、溝通路121は、導液管141と連通する。溝通路121と導液管141はL字形を呈する。嵌め込み構造12の自由端は、鋭い先端123である。先端123の底部は、溝通路121と連通し、円弧状欠口124が設けられている。嵌め込み構造12の外壁の側辺に、棘状を呈する固定構造122が複数設けられている。導液管141は、内壁が中空であり、開口が楕円形を呈するが、導液管141の開口の形状は、楕円形に限定されず、円形、六辺形または多辺形でもよい。導液管141の外壁面は平滑な平面である。導液管141は、内軸に沿う長さが0.25mmより小さく、内徑が0.2mmより小さい。上記の構成により、支持枠本体10は数週間内に生物体内に溶けることが可能である。
【0018】
図4Aを参照する。本実施形態に係る支持枠本体10は、二層構造を有する。生体活性ガラス層111は支持枠本体10の外層に位置する。生体活性ガラス層111の内層に生体用ガラス層112が設けられている。生体用ガラス層112はシリコン含有量が高密度である生体活性ガラス(Bioactive glass)である場合には、生物体内に溶けるまで、数か月が掛かる。生体用ガラス層112は生体不活性ガラス(Bioinert glass)でもよい。生体用ガラス層112が生体不活性ガラスである場合には、生体用ガラス層112が溶けず、ずっと生物体内に存在する。
【0019】
(第3の実施形態)
図5及び図6を参照する。本実施形態に係る眼球排水用分流支持枠は、少なくとも一つの生体活性ガラス層111で構成される支持枠本体10を備える。支持枠本体10は、嵌め込み構造12と、導液管141と、を有する。嵌め込み構造12から導液部14が伸びる。嵌め込み構造12と導液部14とにより、支持枠本体はI字形を呈する。導液部14には、嵌め込み構造12を貫通する導液管141が設けられている。嵌め込み構造12の外壁には、棘状を呈する固定構造122が少なくとも一つ設けられており、又は嵌め込み構造12には、更に、第2溝通路1212が少なくとも一つ設けられている。第2溝通路1212は、両端が嵌め込み構造12と導液部14とを貫通し、導液管141の外周に環設されており、その軸方向が導液管141と平行である。嵌め込み構造12と導液部14の連接箇所に凹部13が環設されている。これにより、導液部14の側辺に押付縁16が形成される。一方、同図から分かるように、導液管141の開口が円形を呈するが、導液管141の開口の形状は、円形に限定されず、楕円形、六辺形または多辺形でもよい。
【0020】
図6Aを参照する。本実施形態に係る支持枠本体10は複数層を有する構造である。生体活性ガラス層111は支持枠本体10の外層に位置する。生体活性ガラス層111の内層に生体用ガラス層112が設けられている。生体用ガラス層112は、シリコン含有量が高密度である生体活性ガラス(Bioactive glass)、又は生体不活性ガラス(Bioinert glass)である。生体用ガラス層112はシリコン含有量が高密度である生体活性ガラスである場合には、生物体内に溶けるまで、数か月が掛かる。生体用ガラス層112は生体不活性ガラスである場合には、生体用ガラス層112が溶けず、ずっと生物体内に存在する。
【0021】
(第4の実施形態)
図7及び図7Aを参照する。本実施形態に係る支持枠本体10は、少なくとも一つの生体活性ガラス層111と生体用ガラス層112を備えて構成される。生体活性ガラス層111は生体用ガラス層112の外層に位置する。生体用ガラス層112は、シリコン含有量が高密度である生体活性ガラス(Bioactive glass)であり、又は生体不活性ガラス(Bioinert glass)である。生体用ガラス層112はシリコン含有量が高密度である生体活性ガラスである場合には、生物体内に溶けるまで、数か月が掛かる。生体用ガラス層112は生体不活性ガラスである場合には、生体用ガラス層112が溶けず、ずっと生物体内に存在する。支持枠本体10は、嵌め込み構造12と、導液管141と、を有する。嵌め込み構造12と導液管141は一体に成形される。嵌め込み構造12の外壁に固定構造122が複数設けられている。これらの固定構造122はボール状を呈する。導液管141の内壁は中空である。導液管141は嵌め込み構造12と連接する。
【0022】
(第5の実施形態)
図8及び図8Aを参照する。本実施形態に係る支持枠本体10は、少なくとも一つの生体活性ガラス層111で構成される。支持枠本体10は、嵌め込み構造12と、導液管141と、を有する。嵌め込み構造12と導液管141は一体に成形される。嵌め込み構造12の外壁に固定構造122が複数設けられている。これらの固定構造122は棘状を呈する。導液管141は、内壁が中空であり、両側の壁面が空洞である。導液管141は嵌め込み構造12と連接する。支持枠本体10は、生体親和性を有する生体活性ガラス層111を採用するため、数週間のうちに生物体内で溶けることが可能である。
【0023】
上記の構成によれば、眼球の内壁面に支持枠本体10を嵌め込むことにより、眼房水が導液管141を経由して流出する。これにより、眼圧を降下する効果を得ることが可能である。支持枠本体10は、生物体に吸収され可能なガラス材料を採用するため、生体親和性を有する。眼球の内壁面に支持枠本体10を植え込んだ後、異物感を減少することが可能であり、支持枠本体10は、時間の過ごしに従って、生物体に吸収されることが可能なため、もう一回の手術により、眼球の内側壁から支持枠本体10を取り出すことが必要なくなる。
【0024】
図9から図12を参照する。これらは、支持枠本体10の使用状態を示す。
【0025】
図9から図11及び図2から図4Aを参照する。まず、植え込み器20に支持枠本体10を組付けて、眼球の前房31に植え込み器20を挿通して、先端123により、支持枠本体10は眼球の内壁に容易に進入することが可能である。眼球の内壁の側辺に支持枠本体10を嵌めた後、植え込み器20の角度を少し調整することにより、嵌め込み構造12は、できる限り眼球の内側の壁面に水平に貼り付けることができる。
【0026】
また、第2の実施形態に係る支持枠本体10の嵌め込み構造12は眼球の内側の壁面に嵌められており、導液管141が前房31と連通するため、前房31の内部の眼房水は、導液管141を経由して前房31から排出されて、眼圧を降下することが可能である。
【0027】
図12及び図5から図6Aを参照する。第3の実施形態に係る支持枠本体10の嵌め込み構造12は眼球の内側の壁面に嵌められており、導液管141が前房31と連通するため、前房31の内部の眼房水は、導液管141または第2溝通路1212を経由して、前房31から排出されて、眼圧を降下することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8
図8A
図9
図10
図11
図12