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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】加圧式液体貨物移送装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/00 20060101AFI20230203BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20230203BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20230203BHJP
   B67D 9/00 20100101ALN20230203BHJP
【FI】
F17C9/00 A
B63B25/16 M
F17C13/00 302F
B67D9/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020512583
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 KR2018010156
(87)【国際公開番号】W WO2019045523
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2017-0111823
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0111818
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514297305
【氏名又は名称】サムスン・ヘヴィー・インダストリーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジョン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】リ,キュン ウォン
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭47-019417(JP,A)
【文献】特公昭50-005477(JP,B1)
【文献】特開昭61-045837(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0074983(KR,A)
【文献】実開昭63-028998(JP,U)
【文献】国際公開第2016/114515(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
B63B 25/16
B67D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貨物貯蔵タンクに連結される液体貨物移送ラインと、
前記液体貨物移送ラインと連結され、液体貨物が貯蔵される空間を提供するドラムと、
前記液体貨物貯蔵タンクに貯蔵された前記液体貨物が前記液体貨物移送ラインを通じて前記ドラムに供給されるように前記液体貨物貯蔵タンクを加圧する加圧部と、を含み、
前記加圧部は、
前記ドラムから蒸発ガスが提供されて圧縮する圧縮器と、
前記圧縮器で圧縮された蒸発ガスを前記液体貨物貯蔵タンクに提供するガス移送ラインと、を含み、
前記加圧部は、
液体貨物貯蔵ターミナルから前記液体貨物貯蔵タンクに液体貨物を船積する時、前記液体貨物貯蔵ターミナルから提供される蒸発ガス、前記ドラム内で発生される蒸発ガス及び前記ドラム内に貯蔵された液体貨物を気化させたガスの中の少なくとも1つを前記ガス移送ラインを通じて前記液体貨物貯蔵タンクに供給して、前記液体貨物貯蔵タンクの圧力が低下することを防止する液体貨物移送装置。
【請求項2】
前記液体貨物移送ラインに連結され、外部から液体貨物が供給されるフィリングラインをさらに含む請求項1に記載の液体貨物移送装置。
【請求項3】
前記加圧部は、
前記圧縮器と連結され、液体貨物貯蔵ターミナルから蒸発ガスを提供するターミナルガスラインをさらに含む請求項1に記載の液体貨物移送装置。
【請求項4】
前記圧縮された蒸発ガスが前記液体貨物貯蔵タンクに供給される時、前記液体貨物貯蔵タンクの温度上昇を防止するクーリング部をさらに含む請求項1に記載の液体貨物移送装置。
【請求項5】
前記クーリング部は、
前記液体貨物貯蔵タンクの内部に設置されて前記液体貨物を噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルと前記ドラムを連結し、補助ポンプによって前記ドラムに貯蔵された前記液体貨物の一部を前記噴射ノズルに供給するために提供されるクーリング用供給ラインと、を含む請求項4に記載の液体貨物移送装置。
【請求項6】
前記加圧部は、
前記ガス移送ラインに前記圧縮器を迂回して連結される迂回ラインをさらに含み、
前記液体貨物貯蔵タンクで発生される蒸発ガスは、前記ガス移送ラインと前記迂回ラインを通じて前記圧縮器と前記ドラムとの間に供給されて前記圧縮器で圧縮された後、ガス需要先に供給される請求項1に記載の液体貨物移送装置。
【請求項7】
前記圧縮器で圧縮された蒸発ガスの中で前記ガス需要先に供給され、残った余剰蒸発ガスを前記ドラムに貯蔵するために提供される回収ラインと、
前記ガス移送ラインから分岐され、前記ドラムで発生される蒸発ガスを排気するための排気ラインと、をさらに含む請求項6に記載の液体貨物移送装置。
【請求項8】
前記ドラムに貯蔵された前記液体貨物を荷役するために前記ドラムの下部に連結される放出ラインと、
前記放出ラインに設置され、前記ドラムに貯蔵されている前記液体貨物に移送圧力を提供して前記液体貨物をポンピングするメーンポンプと、をさらに含む請求項1に記載の液体貨物移送装置。
【請求項9】
前記放出ラインを通じて排出される液体貨物の流量を一定に維持させるために前記ドラムの圧力を調節するドラム圧力調節部をさらに含む請求項8に記載の液体貨物移送装置。
【請求項10】
前記ドラム圧力調節部は、
前記ドラム内の液体貨物水位を測定する水位感知部材と、
前記ドラム内の蒸発ガス圧力を測定する圧力測定部材と、
前記水位感知部材及び前記圧力測定部材から測定値が提供されて前記ドラム内の蒸発ガス排出量を制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記ドラム内の蒸発ガスが排気されるガス移送ライン上に設置されたヴェイパーコントロールバルブ、及び前記メーンポンプと前記放出ラインに設置されたコントロールバルブを制御し、
前記制御部は、
前記ドラム内の液体貨物水位に対する前記ドラム内の蒸発ガス圧力が既設定された比率より低ければ、前記ガス移送ラインを通じて排気される蒸発ガス量が減少されるように前記ヴェイパーコントロールバルブを制御し、
前記ドラム内の液体貨物水位に対する前記ドラム内の前記蒸発ガス圧力が既設定された比率より高ければ、前記ガス移送ラインを通じて排気される前記蒸発ガス量が増加されるように前記ヴェイパーコントロールバルブを制御する請求項9に記載の液体貨物移送装置。
【請求項11】
液体貨物貯蔵タンクに貯蔵された液体貨物がドラムまで移送されるように蒸発ガスを利用して前記液体貨物貯蔵タンクを加圧する段階と、
前記ドラムに貯蔵される液体貨物をメーンポンプのポンピングを通じて液体貨物貯蔵ターミナルに放出する段階と、を含み、
前記液体貨物貯蔵タンクを加圧するのに使用される蒸発ガスは、前記ドラム内で発生される蒸発ガスを圧縮器で圧縮した圧縮蒸発ガスを使用し、
前記加圧する段階で、
前記液体貨物貯蔵タンクを加圧するために使用される蒸発ガスが不足する場合、前記液体貨物貯蔵ターミナルで発生することによって提供せれる蒸発ガスを使用し、
前記圧縮蒸発ガスを前記液体貨物貯蔵タンクの内部に注入して加圧すると同時に前記ドラムから提供受けた液体貨物を噴射して前記液体貨物貯蔵タンクの温度上昇を防止し、
前記液体貨物貯蔵タンクに液体貨物が荷役される時、液体貨物一部が前記ドラムに貯蔵され、
前記メーンポンプを使用する前に進行するポンプクールダウンは、前記ドラムに貯蔵されている液体貨物を利用して遂行し、前記ポンプクールダウンの過程で発生される蒸発ガスは、前記液体貨物貯蔵タンクに提供される液体貨物移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加圧式液体貨物移送装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメンブレン(Membrane)タイプの貨物倉を適用したLNG運搬船には、LNGを船積する、又は排出するために貨物倉の内部にパイプ(Pipe)構造物であるポンプタワー(Pump tower)が形成される。前記ポンプタワー(Pump tower)は各種配管類とLNGカーゴポンプ(Cargo Pump)を支持するとともに、パイプ(Pipe)を通じてLNGを排出する配管としても使用される。
【0003】
図1は従来の貨物倉に設置されるポンプタワーを示す図である。
【0004】
図1を参照すれば、従来、LNGを船積及び排出する場合、貨物倉の外部にある同一の輸送配管(Liquid line)を通じてLNGを運送するが、LNGは貨物倉内のフィリングパイプ(Filling Pipe)2を通じて船積され、放出パイプ(Discharge Pipe)4を通じて排出される。これは、LNGカーゴポンプ(Cargo Pump)5が水中(Submerged)タイプの放出パイプ4の最下端に取り付けられているので、放出パイプ4がフィリング(Filling)用として使用された場合、逆回転によってカーゴポンプ5が損傷するおそれがあり、構造支持用である放出パイプを通じて冷却されたLNGが流入すると、熱収縮によって構造物の全体に応力を発生する場合があるためである。
【0005】
特に、LNGカーゴポンプ(Cargo Pump)5は、故障した場合、直ちに修理することができない場合があるので、各貨物倉に2台ずつ構成する必要があり、非常用ポンプを設置するために別の追加ラインが要求されるため設備の構築にかかる多くの経済的費用が負担になる。
【0006】
また、別の分岐配管(branch line)を構成して前記問題を解決するためには遠隔操縦可能なバルブが必要である。しかし、極低温の環境で作動可能な作動装置(Actuator)の開発することが難しいため、この方法も不可能である。したがって、従来の船舶のタンク内のLNGの流入及び排出システムでは放出パイプ4とは別にフィリングパイプ2を形成することによってLNGを船積している。
【0007】
しかし、従来の船舶のタンク内における流体の流入及び排出構造物の場合、別のフィリングパイプ2が必要となるため、その構造が複雑であり、フィリングパイプ2の他にもフィリングパイプ2を支持するための部材が必要となるため、設備の構築にかかる多くの経済的費用が負担になる。したがって、液体ラインに関連する部品を最小限に抑え経済性を高めることができる流体の流入及び排出構造の開発が要求される。
【0008】
したがって、タンク内におけう流体の流入及び排出構造がこのような要求事項を満たすために、放出パイプ4を通じて流体のフィリング(Filling)ができる技術の開発が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一課題は、フィリングパイプ(Filling Pipe)と放出パイプ(Discharge Pipe)を一体化することによって、貨物倉内への液体貨物の流入及び排出構造を簡単にすることができる加圧式液体貨物移送装置及び方法を提供することにある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は上記に限定されず、言及されないその他の課題は下記から当業者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、液体貨物貯蔵タンクに連結される液体貨物移送ラインと、前記液体貨物移送ラインと連結され、液体貨物が貯蔵される空間を提供するドラムと、前記液体貨物貯蔵タンクに貯蔵された液体貨物が前記液体貨物移送ラインを通じて前記ドラムに供給されるように前記液体貨物貯蔵タンクを加圧する加圧部と、を含む液体貨物移送装置を提供することができる。
【0012】
前記液体貨物移送装置は、前記液体貨物移送ラインに連結され、外部から液体貨物が供給されるフィリングラインをさらに含むことができる。
【0013】
前記加圧部は、前記ドラムから蒸発ガスが提供されて圧縮する圧縮器と、前記圧縮器で圧縮された蒸発ガスを前記液体貨物貯蔵タンクに提供するガス移送ラインと、を含むことができる。
【0014】
前記加圧部は、前記圧縮器と連結され、液体貨物貯蔵ターミナルから蒸発ガスを提供するターミナルガスラインをさらに含むことができる。
【0015】
前記液体貨物移送装置は、前記圧縮された蒸発ガスが前記液体貨物貯蔵タンクに供給される時、前記液体貨物貯蔵タンクの温度上昇を防止するクーリング部をさらに含むことができる。
【0016】
前記クーリング部は、前記液体貨物貯蔵タンクの内部に設置されて前記液体貨物を噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルと前記ドラムを連結し、補助ポンプによって前記ドラムに貯蔵された液体貨物の一部を前記噴射ノズルに供給するために提供されるクーリング用供給ラインを含むことができる。
【0017】
前記加圧部は、前記ガス移送ラインに前記圧縮器を迂回して連結される迂回ラインをさらに含み、前記液体貨物貯蔵タンクで発生される蒸発ガスは、前記ガス移送ラインと前記迂回ラインを通じて前記圧縮器と前記ドラムとの間に供給されて前記圧縮器で圧縮された後、ガス需要先に供給されることができる。
【0018】
前記液体貨物移送装置は、前記圧縮器で圧縮された蒸発ガスの中で前記ガス需要先に供給され、残った余剰蒸発ガスを前記ドラムに貯蔵するために提供される回収ラインをさらに含むことができる。
【0019】
前記液体貨物移送装置は、前記ガス移送ラインから分岐され、前記ドラムで発生される蒸発ガスを排気するための排気ラインをさらに含むことができる。
【0020】
前記液体貨物移送装置は、前記ドラムに貯蔵された液体貨物を荷役するために前記ドラムの下部に連結される放出ラインと、前記放出ラインに設置され、前記ドラムに貯蔵されている液体貨物に移送圧力を提供して前記液体貨物をポンピングするメーンポンプをさらに含むことができる。
【0021】
前記液体貨物移送装置は、前記放出ラインを通じて排出される液体貨物の流量を一定に維持させるために前記ドラムの圧力を調節するドラム圧力調節部をさらに含むことができる。
【0022】
前記ドラム圧力調節部は、前記ドラム内の液体貨物水位を測定する水位感知部材と、前記ドラム内の蒸発ガス圧力を測定する圧力測定部材と、前記水位感知部材及び前記圧力測定部材から測定値が提供されて前記ドラム内の蒸発ガス排出量を制御する制御部と、を含むことができる。
【0023】
前記制御部は、前記ドラム内の蒸発ガスが排気されるガス移送ライン上に設置されたヴェイパーコントロールバルブと、前記メーンポンプと前記放出ラインに設置されたコントロールバルブを制御し、前記ドラム内の液体貨物水位に対する前記ドラム内の蒸発ガス圧力が既設定された比率より低ければ、前記ガス移送ラインを通じて排気される蒸発ガス量が減少されるように前記ヴェイパーコントロールバルブを制御し、前記ドラム内の液体貨物水位に対する前記ドラム内の蒸発ガス圧力が既設定された比率より高ければ、前記ガス移送ラインを通じて排気される蒸発ガス量が増加されるように前記ヴェイパーコントロールバルブを制御することができる。
【0024】
前記加圧部は、液体貨物貯蔵ターミナルから前記液体貨物貯蔵タンクに液体貨物を船積する時、前記液体貨物貯蔵ターミナルから提供される蒸発ガス、前記ドラム内で発生される蒸発ガス及び前記ドラム内に貯蔵された液体貨物を気化させたガスの中で少なくとも1つを前記ガス移送ラインを通じて前記液体貨物貯蔵タンクに供給して、前記液体貨物貯蔵タンクの圧力が低下することを防止することができる。
【0025】
本発明の他の側面によれば、液体貨物貯蔵タンクに貯蔵された液体貨物がドラムまで移送されるように蒸発ガスを利用して液体貨物貯蔵タンクを加圧する段階と、前記ドラムに貯蔵される液体貨物をメーンポンプのポンピングを通じて液体貨物貯蔵ターミナルに放出する段階と、を含み、前記液体貨物貯蔵タンクを加圧するのに使用される蒸発ガスは、前記ドラム内で発生される蒸発ガスを圧縮器で圧縮した圧縮蒸発ガスを使用する液体貨物移送方法を提供することができる。
【0026】
前記加圧する段階で、前記液体貨物貯蔵タンクを加圧するために使用される蒸発ガスが不足する場合、前記液体貨物貯蔵ターミナルで発生することによって提供される蒸気ガスを使用することができる。
【0027】
前記加圧する段階で、前記圧縮蒸発ガスを前記液体貨物貯蔵タンクの内部に注入して加圧すると同時に、前記ドラムから提供された液体貨物を噴射して前記液体貨物貯蔵タンクの温度上昇を防止することができる。
【0028】
前記液体貨物貯蔵タンクに液体貨物が荷役される時、液体貨物の一部が前記ドラムに貯蔵され、前記メーンポンプを使用する前に進行するポンプクールダウンは、前記ドラムに貯蔵されている液体貨物を利用して遂行し、前記ポンプクールダウンの過程で発生される蒸発ガスは前記液体貨物貯蔵タンクに提供されることができる。
【0029】
前記ドラムには一定量の液体貨物が貯蔵され、前記ドラムに貯蔵された液体貨物は選択的にガス需要先に提供され、前記液体貨物は液化天然ガス(LNG)を含むことができる。
【0030】
前記放出する段階は、前記ドラムから放出される液体貨物の流量を一定に維持させるために前記ドラムの圧力を調節し、前記ドラムの圧力調節は前記ドラム内の液体貨物水位に対する前記ドラム内の蒸発ガス圧力が既設定された比率より低ければ、前記ドラムから排気される蒸発ガス量を減少させ、前記ドラム内の液体貨物水位に対する前記ドラム内の蒸発ガス圧力が既設定された比率より高ければ、前記ドラムから排気される蒸発ガス量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態によれば、液体貨物移送ラインを通じて液体貨物の船積及び排出が可能することによって貯蔵タンクの内部に別のポンプタワー(Pump tower)を具現する必要がなく、構成が単純になり、価額競争力を高くすることがきる。
【0032】
本発明の実施形態によれば、ドラムに貯蔵されている液体貨物を多用途に活用することができる格別な効果を有する。
【0033】
本発明の実施形態によれば、ドラムの圧力調節を通じて排出される流量を常に一定に維持することができる。
【0034】
本発明の効果は、上述した効果によって制限されることはなく、言及されなかった効果は、本明細書及び添付された図面から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来の貨物倉に設置されるポンプタワーを示す図である。
図2】液体貨物移送装置が適用された浮遊式海洋構造物を示す図である。
図3】貯蔵タンクに液体貨物を船積(フィリング)する過程を説明するための図である。
図4】満船航海の場合の蒸発ガスの移動経路を示す図である。
図5】蒸発ガスのその他の移動経路を示す図である。
図6】メーンポンプのクールダウン過程を説明するための図である。
図7】貯蔵タンクから液体貨物を荷役する過程を説明するための図である。
図8】空船航海の場合の蒸発ガスの移動経路を示す図である。
図9】液体貨物移送装置におけるドラムの圧力調節のための構成を示す図である。
図10】ドラム内の水位と蒸発ガスの圧力曲線を示す表である。
図11】貯蔵タンクに液体貨物を船積する時に液体貨物貯蔵ターミナルから供給される蒸発ガスを利用して貯蔵タンクの急激な圧力低下を防止する過程を説明するための図である。
図12】貯蔵タンクに液体貨物を船積する時にドラム内に貯蔵された液体貨物を気化させて貯蔵タンク内に供給して貯蔵タンクの急激な圧力低下を防止する過程を説明するための図である。
図13】貯蔵タンクに液体貨物を船積する時にドラムの蒸発ガスを貯蔵タンク内に供給して貯蔵タンクの急激な圧力低下を防止する過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるので、特定の実施形態態を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物、乃至代替物を含むものとして理解されなければならない。本発明を説明するにあたり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0037】
以下の説明では、技術用語は単なる特定の例示的な実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定するものではない。単数形の用語は、逆に言及されない限り、複数形を含み得る。本出願における、“含む”又は“有する”等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらの組み合わせが存在することを指定することができ、1つ又はそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせの存在又は付加可能性が予め排除されないことが理解されなければならない。
【0038】
「第1」、「第2」等の用語は、本明細書において多様な構成要素を説明するために使用されるが、前記構成要素は前記用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0039】
以下、添付した図面を参照して本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、添付図面を参照して説明することにおいて、同一または対応する構成要素には同一の図面番号を付与し、それに対する重複する説明は省略する。
【0040】
図2は液体貨物移送装置が適用された浮遊式海洋構造物を示す図である。
【0041】
図2に示すように、浮遊式海上構造物10は液体貨物貯蔵タンク20を含む船体30を有する。液体貨物は、船体30に設置された液体貨物移送装置100(以下、液体貨物移送装置という)により、液体貨物貯蔵タンク20から荷下ろしされる。
【0042】
ここで、浮遊式海上構造物10は、天然ガスや原油の掘削が海上で為される場合、原油を一時的に貯蔵するか、又はその処理のための海洋浮遊構造物であるFPSO(Floating Production、Storage and Offloading)及び天然ガス生産貯蔵設備であるFLNG(Floating Liquefied Natural Gas)、又は浮遊式液貨物貯蔵船(FSRU;Floating Storage and Regasification Unit)である。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、浮遊式海洋構造物10は、液体貨物を貯蔵する貯蔵タンクが設置された構造であってもよい。
【0043】
本発明の液体貨物移送装置100は、フィリングパイプ(Filling Pipe)と放出パイプ(Discharge Pipe)を一体化して液体貨物の船積及び荷積を実施することができ、荷積作業の時には液体貨物に移送圧力を付与するための水中移送ポンプを構成することなく、ドラム120に貯蔵された蒸発ガスを利用して液体貨物貯蔵タンク(以下、貯蔵タンクとする)20に貯蔵された液体貨物を加圧することによって移送することができる装置である。
【0044】
本発明の液体貨物移送装置100は、小型LNGタンクや密度が著しく低い液体貨物(例えば、液化水素)の貯蔵タンクのような、油圧が低い場合に適切に適用することができる。
【0045】
液体貨物移送装置100は、液体貨物移送ライン110、ドラム120、フィリングライン130、加圧部200、クーリング部300、放出ライン140、及びメーンポンプ150を含むことができる。
【0046】
液体貨物移送ライン110は、貯蔵タンク20の下部から上部を経て、船体30のデッキ上に設置されるドラム120と連結される。液体貨物移送ライン110にはフィリングライン130が連結される。
【0047】
ドラム120は、液体貨物を貯蔵するための貯蔵空間を有し、貯蔵タンク20より少ない容量を有する。
【0048】
加圧部200は、貯蔵タンク20に貯蔵された液体貨物が液体貨物移送ライン110を通じてドラム120に供給されるように液体貨物貯蔵タンク20を加圧するために提供される。
【0049】
一例として、加圧部200は、圧縮器220、ガス移送ライン210、ターミナルガスライン230、ポンプガスライン240、及び迂回ライン250を含むことができる。圧縮器220はガス移送ライン210上に設置される。圧縮器220は、ドラム120から蒸発ガスが提供され、提供された蒸発ガスと圧縮器220で圧縮された蒸発ガス(以下、圧縮蒸発ガスとする)は、ガス移送ライン210を通じて貯蔵タンク20の各々に提供される。
【0050】
ガス移送ライン210は、貯蔵タンク20の上端に連結される。ガス移送ライン210は、圧縮蒸発ガスを貯蔵タンク20に供給するための経路、および貯蔵タンク20の蒸発ガスを排出させる経路として使用することができる。ガス移送ライン210には、需要先に蒸発ガスを供給するための需要先供給ライン212を連結することができる。需要先供給ライン212には、第1ドラムガスライン214を連結することができる。第1ドラムガスライン214は、圧縮器220とドラム120との間の区間に該当するガス移送ライン210から分岐されて需要先供給ライン212と連結される。第1ドラムガスライン214は、圧縮器220と貯蔵タンク20との間の区間に該当するガス移送ライン210上の第1地点P1と連結することができる。
【0051】
第2ドラムガスライン216は、第1ドラムガスライン214から分岐され得、第2ドラムガスライン216は、迂回ライン250とガス移送ライン210が合流する第2地点P2に連結することができる。
【0052】
迂回ライン250は、貯蔵タンク20で発生する蒸発ガスを圧縮するために圧縮器220を迂回するようにガス移送ライン210に連結することができる。迂回ライン250の一端は、圧縮器220と貯蔵タンク20との間の区間のガス移送ライン上の第2地点P2に連結され、他端は、圧縮器220とドラム120との間の区間に該当するガス移送ライン210の第3地点P3に連結することができる。一方、圧縮器220で圧縮された蒸発ガスの中でガス需要先に供給された後に残った余剰蒸発ガスは、第1ドラムガスライン214を通じて圧縮器220からドラム120に移動する場合がある。このように、第1ドラムガスライン214は、必要によって蒸発ガスを回収するための回収ラインとして使用されてもよい。
【0053】
排気ライン260は、迂回ライン250に連結される。排気ライン260は、蒸発ガスを必要とするその他の需要先(追加需要先)と連結することができる。
【0054】
圧縮器220には、液体貨物貯蔵ターミナル(図示せず)から蒸発ガスが提供されるターミナルガスライン230が連結される。加圧部200は、貯蔵タンク20に提供される圧縮蒸発ガスが不足する場合、ターミナルガスライン230を通じて液体貨物貯蔵ターミナルから蒸発ガスが供給されうる。また、圧縮器220には、メーンポンプ150から蒸発ガスが提供されるポンプガスライン240を連結することができる。
【0055】
放出ライン140は、ドラム120の下部に連結される。放出ライン140上にはメーンポンプ150が設置される。メーンポンプ150は、ドラム120に貯蔵されている液体貨物に移送圧力を付与するために提供される。
【0056】
クーリング部300は、圧縮蒸発ガスが貯蔵タンク20に供給される時、貯蔵タンク20の温度上昇を防止するために提供される。一例として、クーリング部300は、噴射ノズル310、クーリング用供給ライン320、及び補助ポンプ330を含むことができる。
【0057】
噴射ノズル310は、貯蔵タンク20の内部の上部に設置され、液体貨物を噴射する。
【0058】
クーリング用供給ライン320は、噴射ノズル310とドラム120とを連結する。補助ポンプ330は、ドラム120に貯蔵された液体貨物の一部を噴射ノズル310に供給するための移送圧力を付与する。
【0059】
図3は貯蔵タンクに液体貨物を船積(フィリング)する過程を説明するための図である。参考として、説明の便宜上、液体貨物の移送経路は点線で表示し、蒸発ガスの移送経路は太い実線で表示した。また、図3乃至図8図11乃至図13では、各ラインに設置されたバルブのうち内部が黒色で表示されたバルブは閉状態を示し、黒色で表示されていないバルブは開状態を示す。
【0060】
図3に示すように、液体貨物は、フィリングライン130を通じて液体貨物移送ライン110を経て貯蔵タンク20に貯蔵される。この時、液体貨物の一部はドラム120の貯蔵空間に貯蔵される。ドラム120の貯蔵空間に貯蔵された液体貨物は、メーンポンプ150のクールダウンに使用することができる。ドラム120の貯蔵空間で発生される蒸発ガス及び貯蔵タンク20で発生される蒸発ガスは、迂回ライン250と連結された排気ライン260を通じて追加需要先に提供されうる。
【0061】
ここで、追加需要先は、蒸発ガスを必要とし、蒸発ガスを原料として駆動されてもよい。一例として、追加需要先は、発電機(例えば、DFDG)、ガス燃焼装置GCU、ボイラー(例えば、スチームを生成するボイラー)であるが、これに限定されない。
【0062】
図4は満船航海の時の蒸発ガスの移動経路を示す図である。
【0063】
参考として、説明の便宜上、液体貨物の移送経路は点線で表示し、蒸発ガスの移送経路は太い実線で表示した。
【0064】
図4を参照すれば、貯蔵タンクに液体貨物が満載した満船航海(Laden Voyage)時に貯蔵タンク20で発生される蒸発ガスは、ガス移送ライン210と迂回ライン250を経て圧縮器220で圧縮された後、需要先供給ライン212を通じて需要先に供給されうる。また、貯蔵タンク20で発生される蒸発ガス量が不足する場合、ドラム120内の蒸発ガスが提供されうる。その他の方法としては、クーリング用供給ライン320に設置された補助ポンプ330を活用して液体貨物を需要先に供給することもできる。
【0065】
参考として、需要先は、圧縮器によって約200乃至400barに加圧されることによって気化する蒸発ガス(又は液化ガス)を使用することができ、約300bar程度の高圧蒸発ガスを使用する高圧用エンジンであってもよく、プロペラを駆動するために直接プロペラ軸を回転させるエンジン又はその他の動力を発生させるためのエンジンであってもよい。
【0066】
図5は蒸発ガスのその他の移動経路を示す図である。
【0067】
参考として、説明の便宜上、蒸発ガスの移送経路は太い実線で表示した。
【0068】
図5を参照すれば、徐行運航によって需要先で使用される蒸発ガス量が減少する場合、余剰蒸発ガスは、圧縮器220を通じて圧縮された後、第1地点P1で第1ドラムガスライン214を通じてドラム120に貯蔵されう。
【0069】
図6はメーンポンプのクールダウン過程を説明するための図面である。
【0070】
参考として、説明の便宜上、蒸発ガスの移送経路は太い実線で表示した。
【0071】
図6を参照すれば、メーンポンプ150は、既存に貯蔵タンク内に設置される水中ポンプとは異なり、外気中に露出されることによって、荷積作業を実施する前にクール-ダウンを遂行する必要がある。メーンポンプ150のクールダウンはドラム120内に貯蔵されている液体貨物を利用してあらかじめ遂行される。
【0072】
この過程で、メーンポンプ150で発生した蒸発ガスは、ポンプガスライン240を通じて圧縮器220に提供される。また、ドラム120及び右側の貯蔵タンク内の蒸発ガスも圧縮器220に提供されうる。圧縮器220で圧縮された蒸発ガス(以下、圧縮蒸発ガスとする)は、ガス移送ライン210を通じて2つの貯蔵タンクの中のうち左側の貯蔵タンクに供給される。左側の貯蔵タンクでは、圧縮蒸発ガスの加圧力によって液体貨物が液体貨物移送ライン110を通じてドラム120に移送される。したがって、ドラム120には、メーンポンプ150のクールダウンに使用される液体貨物が供給される。
【0073】
図7は貯蔵タンクから液体貨物を荷役する過程を説明するための図である。参考として、説明の便宜上、液体貨物の移送経路は点線で表示し、蒸発ガスの移送経路は太い実線で表示した。
【0074】
図7に示すように、荷役作業は加圧部200が2つの貯蔵タンク20を加圧し、圧縮蒸発ガスの加圧力によって貯蔵タンク20に貯蔵された液体貨物が液体貨物移送ライン110を通じてドラム120に移動する。
【0075】
このような加圧過程では、圧縮器220を通過する圧縮蒸発ガスは、貯蔵タンク20内の液体貨物よりも高い温度を有するので、貯蔵タンク20の内部温度を上昇させる原因になりうる。このような問題を最小限にするために、加圧過程ではクーリング部300を通じて貯蔵タンク20の内部温度の上昇を抑制させる。即ち、圧縮蒸発ガスを貯蔵タンク20の内部に注入して加圧すると同時に、液体貨物を貯蔵タンク20の内部で噴射すれば、低温の液体貨物が圧縮蒸発ガスを冷却させながら、貯蔵タンク20の温度上昇を防止し、圧縮器220を通じて排出される圧縮蒸発ガスの必要量を減少させることができる。そのため、圧縮器220の容量を減少させることができる。貯蔵タンク20の内部に噴射される液体貨物は、ドラム120から提供される。
【0076】
一方、貯蔵タンク20からドラム120に移動する液体貨物は、放出ライン140を通じて液体貨物貯蔵ターミナル(一例として、運搬船又は地上の貯蔵タンク)(図示せず)に移送され、この時、液体貨物の移送はメーンポンプ150によって為される。
【0077】
図8は空船航海の時の蒸発ガスの移動経路を示す図面である。
【0078】
参考として、説明の便宜上、蒸発ガスの移送経路は太い実線で表示した。
【0079】
図8を参照すれば、空船航海の時には貯蔵タンク20から発生される蒸発ガス発生量が減少するため、運航するために必要である蒸発ガスはドラム120に貯蔵された液体貨物から提供される。即ち、ドラム120の液体貨物は、クーリング用供給ライン320を通じて蒸発器(図示せず)に提供された後、需要先に提供されてもよい。
【0080】
図9は液体貨物移送装置におけるドラムの圧力調節のための構成を示す図面である。
【0081】
図9を参照すれば、液体貨物移送装置100はドラム圧力調節部122を有する。ドラム圧力調節部122は、放出ライン140を通じて排出される液体貨物の流量を一定に維持させるためにドラム120の圧力を調節する。
【0082】
一例として、ドラム圧力調節部122は、ドラム120内の液体貨物の水位を測定する水位感知部材124、ドラム120内の蒸発ガス圧力を測定する圧力測定部材126、及び水位感知部材124及び圧力測定部材126から測定値が提供されてドラム120内の蒸発ガス排出量を制御する制御部128を含むことができる。
【0083】
制御部128は、ドラム120内の蒸発ガスが排気されるガス移送ライン210上に設置されたヴェイパーコントロールバルブ211、メーンポンプ150、及び放出ライン140に設置されたコントロールバルブ142の各々を制御することができる。
【0084】
制御部128は、ドラム120内の液体貨物の水位が既設定された水位より上昇し、ドラム120内の蒸発ガス圧力が低い場合、ガス移送ライン210を通じて排気される蒸発ガス量が減少するようにヴェイパーコントロールバルブ211を制御する。また、制御部128は、ドラム120内の液体貨物の水位が既設定された水位より上昇し、ドラム120内の蒸発ガス圧力が高い場合、ガス移送ライン210を通じて排気される蒸発ガス量が増加するようにヴェイパーコントロールバルブ211を制御する。
【0085】
このように、ドラム120に流入される流量が放出ライン140に流出される流量より多い場合、ドラム120の水位が上昇するため、ドラム120の内圧力も上昇する。これは、貯蔵タンク20とドラム120との間の圧力差が減少するため、自然にドラム120に流入される流量が減少する。反対に、ドラム120の水位が下がると、ドラム120内の圧力が減少し、ドラム120に流入する流量が増加するため、ドラム120に流入される流量と流出される流量を常に調節することができる。但し、流入される熱によってドラム120内の液体貨物が気化するためドラム120内が加圧され、ここでいうドラム内の圧力は、図10に示す水位と蒸発ガスの圧力曲線Pを基準に制御することができる。
【0086】
図11は運送タンクに液体貨物を船積するの時に液体貨物運送ターミナルから供給される蒸発ガスを利用して運送タンクの急激な圧力低下を防止する過程を説明するための図である。
【0087】
運搬船又は液体貨物貯蔵ターミナル(一例として、地上の貯蔵タンク)等の外部タンクから貯蔵タンク20に液体貨物を船積する場合、貯蔵タンク20内に貯蔵されている液体貨物と貯蔵タンク20に供給される液体貨物の温度差によって、貯蔵タンク20内の残存ガスが急速に収縮して圧力が急激に低下することがある。
【0088】
メンブレンタンクである貯蔵タンク20内の圧力が陰圧に下がる場合、貯蔵タンク20の液体貨物と接触する1次防壁が破損する可能性が非常に高くなる。貯蔵タンク20への液体貨物の船積速度を遅くすると、貯蔵タンク20内ガスの急速な収縮を防止することができるが、船積時間が長くなることによって生産性が低下し、持続的なモニターリングが必要となるという短所がある。
【0089】
図11に示されるように、貯蔵タンク20に液体貨物を船積する時、ターミナル又はバンカー船等の外部タンクから、ターミナルガスライン230、迂回ライン250、排気ライン260、及びガス移送ライン210を通じて順次的に蒸発ガスが移送されて貯蔵タンク20内に供給されうる。このように、貯蔵タンク20に液体貨物を船積する時に、ターミナル又はバンカー船等の外部タンクから蒸発ガス(天然ガス)が供給されて貯蔵タンク20内に注入する場合、液体貨物の船積速度を緩めずに貯蔵タンク20内のガスの急速な収縮を防止して貯蔵タンク20のメンブレン防壁の損傷を防止することができる。
【0090】
図12は運送タンクに液体貨物を船積する時にドラム内に運送された液体貨物を気化させて運送タンク内に供給して運送タンクの急激な圧力低下を防止する過程を説明するための図である。
【0091】
図12に示される実施形態によれば、クーリング用供給ライン320には、液体貨物供給ライン410が連結される。ドラム120内に貯蔵された液体貨物は、クーリング用供給ライン320、液体貨物供給ライン410を通じて気化器420に供給され、気化器420で気化されてターミナルガスライン230と連結されたガス供給ライン430に供給される。気化器420で気化されたガスは、ガス供給ライン430、ターミナルガスライン230、迂回ライン250、排気ライン260、及びガス移送ライン210を通じて順次的に移送されて貯蔵タンク20内に供給されうる。
【0092】
このように、貯蔵タンク20に液体貨物を船積する時に、ドラム120から供給される液体貨物を気化させた後、貯蔵タンク20内に供給することによって、液体貨物の船積速度を緩めずに貯蔵タンク20内のガスの急速な収縮を防止して貯蔵タンク20のメンブレン防壁の損傷を防止することができる。また、図12に図示される実施形態によれば、ターミナル又はバンカーリング船舶のタンクから充分な量の蒸発ガスが供給されなくとも、貯蔵タンク20の急激な圧力減少を防止することができる。
【0093】
図13は運送タンクに液体貨物を船積する時にドラムの蒸発ガスを運送タンク内に供給して運送タンクの急激な圧力低下を防止する過程を説明するための図である。
【0094】
図13に図示されるように、貯蔵タンク20に液体貨物を船積する時、ドラム120の蒸発ガス(天然ガス)を第2ドラムガスライン216およびガス移送ライン210を通じて順次移送して貯蔵タンク20内に供給することによって、液体貨物の船積速度を緩めずに貯蔵タンク20内のガスの急速な収縮を防止して貯蔵タンク20のメンブレン防壁の損傷を防止することができる。また、図13に図示される実施形態によれば、ターミナル又はバンカーリング船舶のタンクから充分な量の蒸発ガスが供給されなくとも、貯蔵タンク20の急激な圧力減少を防止することができる。
【0095】
なお、図示していないが、ターミナル又はバンカー船等の外部タンクから供給される蒸発ガスを貯蔵タンク20内に供給する方法は、ドラム120の蒸発ガスを貯蔵タンク20内に供給する方法と、ドラム120から供給された液体貨物を気化させたガスを貯蔵タンク20内に供給する方法と、の中で2以上の方法を同時に使用して液体貨物を船積する時に、貯蔵タンク20の急激な圧力低下を防止することもできる。
【0096】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性で逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するものではなく、説明するものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されることではない。本発明の保護範囲は、下の請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内に含まれるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれることと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図13