(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】超音波を効率的に付与するための超音波装置
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20230203BHJP
A61N 7/00 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
A61H23/02 386
A61N7/00
(21)【出願番号】P 2020543787
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(86)【国際出願番号】 IL2019050185
(87)【国際公開番号】W WO2019159175
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-08-24
(32)【優先日】2018-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520305052
【氏名又は名称】ソネクスト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カメンコ ヴャチェスラフ
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2003-0080507(KR,A)
【文献】特開平08-187265(JP,A)
【文献】特表2011-522625(JP,A)
【文献】米国特許第04517985(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサを機械的に動かすことにより、治療領域に超音波を効率的に付与するための超音波装置であって、
超音波を分散させるための、配線で接続された超音波トランスデューサと、
前記トランスデューサを保持するシャフトと、
クランクを回転させる電動アクチュエータと、ここで、前記シャフトは前記トランスデューサを円形回転可能に旋回させるように前記クランクに偏心して取り付けられている、
前記シャフト内に取り付けられる、スタビライザと、
ここで、前記スタビライザは、前記アクチュエータが前記トランスデューサを旋回させるときに、前記超音波トランスデューサの前記配線のねじれを低減するために、第1リニアベアリングを介して上下にスライドする際に、前記シャフトを、前記第1リニアベアリングに対し垂直に調整し、
ここで、前記第1リニアベアリングは、前記スタビライザの下部が上下にスライドする間、該スタビライザの前記下部をガイドする、
前記電動アクチュエータに論理的に接続され、ユーザから指示を受け取ることができ、前記指示を実行するために前記電動アクチュエータを制御することによって前記超音波トランスデューサの旋回を制御する制御装置と、
を含む超音波装置。
【請求項2】
更に、前記アクチュエータが前記トランスデューサを旋回させる際に、前記配線を保護し、該配線を整流機構を介してガイドするための、摩擦低減装置および第2リニアベアリングを備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ケーブルにダメージを与えることなく多数の旋回を行うために、単一のケーブルが、前記装置の入力コネクタから動作中の超音波トランスデューサへの連続的な電気的接続を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電動アクチュエータは、前記超音波トランスデューサを、円運動、直線運動、角運動、スピン運動、振
動の少なくとも1つの運動タイプ、少なくとも1つの方向、または前記方向と運動タイプのパターンとの組合せで旋回させるために、電子回路または直接印加される電力によって駆動される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
更に、前記超音波装置に接続するための少なくとも1つのBNCコネクタを有するコネクタであって、非BNCタイプの接点を含むコネクタ組立体全体が、BNCロック機構を利用することによって所定の位置に保持されるコネクタを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
更に、前記超音波トランスデューサの動作の速度、パターン、トルクまたは振幅を変更するために実装されたカプラを備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記治療領域の同じスポットに必要以上の時間に亘って付与される高出力超音波によって引き起こされる火傷を回避するために使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前
記超音波トランスデューサは、それ自体の低周波数を発生する特定の種類の動きで移動し、メインの超音波搬送周波数が、低周波数との干渉において、単一の周波数源によっては生成できない、より効果的で、より浸透性の高いパルスを生成する、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前
記超音波トランスデューサは、治療処置中における手動動作の困難性を軽減する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容処置装置に関するものである。より詳細には、様々な治療用途に使用される超音波装置である。
【背景技術】
【0002】
現在、超音波は、医療、美容、体の整形、創傷治療、痛みの緩和、血流刺激、皮膚治療及び温泉療法に広く使用されている。超音波は、人体の治療領域に直接接触する携帯型装置または固定配置装置を介して人体に付与される。必要とされているのは、超音波を効率的に付与するための便利で使いやすい快適な手段である。
【0003】
米国特許出願公開公報第2015297182号は、機械的に回転する血管内超音波プローブを開示している。本公報は、小容積、高画像解像度および良好な画像安定性を有し、機械的に回転する前方視血管内超音波プローブを開示している。血管内超音波プローブは、カテーテルと、カテーテルのキャビティ前端に配置された超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサを機械的に回転させる駆動装置と、を含む。駆動装置は、カテーテルのキャビティ内に配置されたマイクロモータあり、ロータとステータとを含む。超音波トランスデューサは、ロータ上に設置され、該ロータに電気的に接続され、該ロータもステータに電気的に接続されている。カテーテルは、磁性金属管であり、その先端は、先端が球状で、超音波トランスデューサの超音波を通過させる音響窓で囲まれている。音響窓には、超音波カップリング剤の機能を有するイオン性液体が充填されている。超音波プローブは、カテーテルが高度の狭窄や湾曲血管部を有する病変を通過する際の画像の回転ねじれの問題を解消し、血管壁の前方スキャンイメージングおよび側方スキャンイメージングを実現する。しかしながら、前記プローブは、その軸周りの回転に限定されている。同様に、第2の導電体の役割を果たすイオン性液体は、前述のトランスデューサの電力スペックおよび適用タイプを制限している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
治療用超音波は、診断用超音波の最大1000倍のパワースペックを必要とするので、これらの欠点のないシステムを提案することが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、超音波を効率的に付与するための超音波装置を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、超音波を容易、自動的、かつ安全に患者に付与する非外科用超音波装置を提供することである。
【0007】
本発明の更に他の目的は、美容治療のための自動超音波装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的および利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、超音波トランスデューサを機械的に動かすことにより、治療領域に超音波を効率的に付与するための超音波装置であって(a)超音波を分散させるための、配線で接続された超音波トランスデューサと、(b)前記トランスデューサを保持するシャフトと、(c)クランクを回転させる電動アクチュエータと、ここで、前記シャフトは前記トランスデューサを円形回転可能に旋回させるように前記クランクに偏心して取り付けられている、(d)前記アクチュエータが前記トランスデューサを旋回させるときに、前記超音波トランスデューサの配線を導き、前記超音波トランスデューサの前記配線のねじれを低減する角度で前記シャフトを保持するためのスタビライザと、(e)前記スタビライザの下部が上下にスライドする間、該スタビライザの前記下部をガイドするための第1リニアベアリングと、(f)前記電動アクチュエータに論理的に接続され、ユーザから指示を受け取ることができ、前記指示を実行するために前記電動アクチュエータを制御することによって前記超音波トランスデューサの旋回を制御する制御装置と、を含む超音波装置。
【0010】
好ましくは、前記装置は、前記アクチュエータが前記トランスデューサを旋回させる際に、整流機構を介してガイドするための摩擦低減装置および第2のリニアベアリングを備える。
【0011】
好ましくは、単一のケーブルが、該ケーブルに損傷を与えることなく、多数の旋回を行うために、前記装置の入力コネクタから作動中の超音波トランスデューサへの連続的な電気接続を提供する。
【0012】
好ましくは、当該電動アクチュエータは、前記超音波トランスデューサを、円運動、直線運動、角運動、スピン運動、振動等の少なくとも1つの運動タイプ、少なくとも1つの方向、またはこのような方向と運動タイプパターンとの組合せで旋回させるために、電子回路または直接印可される電力によって駆動される。
【0013】
好ましくは、当該装置は、更に、前記超音波装置に接続するための少なくとも1つのBNCコネクタを有するコネクタを備え、非BNCタイプの接点を含むコネクタアセンブリ全体が、BNCロック機構を利用することによって所定の位置に保持される。
【0014】
好ましくは、当該装置は、スタンドアロンの装置で具現化されてもよく、またはより大規模でより包括的な機械に組み込まれても良い。
【0015】
一つの実施形態において、当該装置は、更に、前記超音波トランスデューサの動作の速度、パターン、トルク、または振幅を変更するためのカプラを備える。
【0016】
一つの実施形態において、前記超音波トランスデューサは、前記電動アクチュエータに直接取り付けられている。
【0017】
一つの実施形態において、当該装置は、前記治療領域の同じスポットに必要以上の時間付与される高出力超音波によって引き起こされる火傷を回避するために使用される。
【0018】
一つの実施形態において、当該電動超音波トランスデューサは、手動では実行できない速度、振幅およびパターンで動作を実行することができるため、前記治療領域の血流を増加させるために使用される。
【0019】
一つの実施形態において、当該電動超音波トランスデューサは、それ自体の低周波数を発生する特定の種類の動きで移動し、メインの超音波搬送周波数が、低周波数との干渉において、単一の周波数源によっては生成できないより効果的でより浸透性の高いパルスを生成する。
【0020】
一つの実施形態において、当該電動超音波トランスデューサは、前記治療処置中の手動動作の困難を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付図面およびそれらの詳細の具体的な参照は、本明細書において、単なる実施例として本発明の実施形態のいくつかを例示的に説明するために使用される。
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る、超音波を効率的に付与するための携帯型超音波装置を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る超音波装置のいくつかの内側部品を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る超音波装置のいくつかの内側部品を示す等角図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る超音波装置用のコネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
「前」、「後」、「下」、「上」、「下部」、「上部」、「水平」、「垂直」、「右」、「左」または側面あるいは方向に関する用語は、簡潔にするためだけに本明細書全体にわたって使用しており、相対的な用語にすぎず、特定の構成要素の向きを要求することを意図するものではない。
【0024】
当技術分野で知られているように、超音波は、創傷治療、潰瘍治療、疼痛緩和、血流促進、体の成形、脂肪減少、セルライト減少、皮膚治療、および美容または医療治療のための他の用途で使用することができる。超音波は、身体の治療領域の皮膚に直接触れる携帯型装置または固定装置を介して患者に付与される。しかし、超音波トランスデューサの有効放射領域(ERA)は非常に狭い。したがって、超音波トランスデューサのERAよりも大きい領域に等量のエネルギーを加えるためには、トランスデューサは、治療領域全体に亘って定速度内で動かす必要がある。更に、超音波ビームの円錐形状により、超音波ビームの焦点ゾーンは、通常、処置領域がかなり小さい場合でさえ、効果的であるためにトランスデューサに対して大きな動きを必要とするトランスデューサのERAよりも狭い。言うまでもなく、高出力超音波が規定時間を超えて同じ領域に付与されると、波の吸収によりその体の部分が熱くなり、火傷する可能性がある。本発明は、超音波トランスデューサを旋回させる電動アクチュエータによって駆動することによって、超音波トランスデューサのERAよりも大きい領域に超音波を効率的に付与し、より大きい面積にわたって超音波を分散させる超音波装置を提供し、クライアントを危害から保護するものである。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る、超音波を効率的に付与するための携帯型超音波装置を示す図である。この装置100は、旋回させることができるトランスデューサ40を有する携帯型超音波装置であっても良い。例えば、トランスデューサ40は、
図2で説明するように、電動アクチュエータによって旋回されても良い。オペレータがハンドル30を握ることによって超音波装置を保持し、トランスデューサ40を患者の身体に向けると、超音波トランスデューサは、超音波を付与しながら円形に旋回させることができる。したがって、トランスデューサ40は、トランスデューサの初期ERAよりも大きい領域にわたって超音波を効率的に分散できる。
【0026】
記載された装置の特徴の1つは、超音波トランスデューサ40への連続的な電気的接続性を提供する一方で、電気導体の過度の歪みなしに円形パターンで無限数の回転を可能にすることである。超音波振動に変換される前に、超音波トランスデューサによって治療用超音波が付与されるのに最大数十ワットを必要とする場合があるため、駆動用電気信号は、通常、高出力のRF信号として形成される。従って、このような信号の導通は、内部の導体の乱されない同軸性を必要とするRFケーブルの性質によって引き起こされる追加の問題を提起する。スライド接点を用いると、コスト及び信頼性の点で工学的課題を提起する可能性がある。
【0027】
最も簡単で最も信頼性の高い方法は、追加接点なしで基本ケーブルを利用することである。以下に述べる機構の説明は、例えば、
図1における接続点99などの固定入力端部と、例えばトランスデューサ40などの移動端との間の単一ケーブル接続を可能にするもので、必要に応じてケーブルの歪みのパラメータを計算し、調整することができる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る超音波装置の幾つかの内側部品を示す図である。超音波トランスデューサ40は、
図1を参照して説明したように、PZT807圧電結晶を有するステンレススチールカバー、または超音波を人の治療のために使える他の任意の超音波トランスデューサを有していても良い。超音波トランスデューサ40は、配線で接続されても良い。配線は、高周波ケーブルまたは電気信号をトランスデューサ40に伝達することができる他の任意の配線であっても良い。超音波トランスデューサ40は、電動アクチュエータ10によって旋回されても良い。アクチュエータ10は、例えば、ブラシまたはブラシレス電気モータ、ステッパモータ、サーボモータ、電磁石、角度アクチュエータ、またはリニア(例えばNema17ステッパモータなど)、またはトランスデューサを旋回させることができる任意の他のアクチュエータとすることができる。一実施形態において、アクチュエータ10は、トランスデューサ40を任意の方向または任意の他の角度パターンで円形パターンに旋回しても良い。一つの実施形態において、アクチュエータ10は、トランスデューサ40を一方向に旋回し、次いで、円全体を完成させる前に、アクチュエータ10の回転方向を切り替えても良い。他の実施形態において、アクチュエータ10は、アクチュエータの回転方向を急速に変化させて、トランスデューサ40を振動させても良い。他の実施形態では、振動と回転とを組み合わせることも可能である。
【0029】
一つの実施形態において、
図2に示すように、アクチュエータ10は、クランク60を回転させても良く、該クランク60は、トランスデューサ40を旋回回転させるために偏心状に取り付けられたシャフト62を有する。トランスデューサ40は、シャフト62に取り付けても良い。したがって、アクチュエータ10が回転すると、クランク60においてその偏心して配置されたシャフト62が円形の動きをして回転し、それにより、トランスデューサ40が円形に旋回する。アクチュエータのシャフト62が回転すると、アクチュエータ10の中心軸を中心に円運動が発生し、同じ円形のパターンでトランスデューサを旋回させる。これにより、トランスデューサ40を、円全体を完成させる前にアクチュエータ10の回転方向を切り換えることによって、任意の方向または任意の他の角度パターンで円形パターンに旋回させること、またはアクチュエータ10の回転方向を急速に変化させることによって振動させることが可能になる。1つの実施形態において、振動と旋回とを組み合わせても良い。一実施形態において、シャフト62の軸およびアクチュエータ10の軸が適切にずれて配置されていると、超音波ビームの焦点ゾーンに重なることなく円形のパターンでトランスデューサを動かすことが可能であり、したがって、治療領域全体に付与されるエネルギーの均等性が増大する。
【0030】
また、
図2の装置100は、アクチュエータ10が回転してトランスデューサを旋回させる際にトランスデューサ40の角度を安定させるために使用され得るスタビライザ50を有していても良い。スタビライザ50は、超音波トランスデューサ40の配線を導くために、金属または他の任意の剛性材料で作られた中空管であっても良い。一実施形態において、スタビライザ50の上部がシャフト62内に挿入され、シャフト62内に取り付けられている。シャフト62がトランスデューサ40を動かす時、スタビライザ50は、シャフトおよび下部のスタビライザ50をガイドする第1リニアベアリング90に垂直な位置にあるトランスデューサ40を保持できることにより、超音波トランスデューサ40に取り付けられた配線のねじれを低減することができる。第1リニアベアリング90は、その軸91によって装置カバー内に保持されているため、このベアリングは、軸91の周りで角運動を行うことができる。スタビライザ50が、その上部側において、シャフト62による円形運動を繰り返す間、スタビライザ50の下部側を保持するベアリング91の角運動は、振幅がはるかに小さくなる可能性がある。
【0031】
一実施形態では、
図2に示されるような摩擦低減器70が、配線80の動きを保護するために使用されても良い。当該摩擦低減器70、すなわちリニアガイドは、超音波トランスデューサ40の配線を導くための、金属または他の任意の剛性材料で作られた中空管であっても良い。一実施形態では、摩擦低減装置70は、第2リニアベアリング73によって移動可能に保持されても良い。これにより、摩擦低減装置70がトランスデューサ40の動作に伴って第2リニアベアリング73の内側を上下にスライドしながら、摩擦低減装置70内で配線80を保護する。
【0032】
図3は、本発明の実施形態に係る、超音波装置の幾つかの内側部品の等角図である。
図2で説明したように、トランスデューサケーブル80は、スタビライザ50を通り、更にトランスデューサが取り付けられた中空シャフト62を通り抜けても良い。スタビライザ50は、装置カバー内でその軸91を中心に回転することができる第1リニアベアリング90内に挿入しても良い。第1リニアベアリング90は、スタビライザ50のガイドとして機能し、ケーブル歪みの第1段階整流器の目的を果たすことができる。
図3に示されるように、ケーブルの最大歪み角dは、式tan(d)=シャフト62の移動半径(MR)/アクチュエータの軸と第1リニアベアリングの軸91との間の長さ(LF)で定義される。MRとLFの調整により、所望の最大ケーブル歪み角度を達成することができる。第1リニアベアリング90は、X及びYの移動経路によって生じるX方向へのケーブルの左右の動きを減少させるが、第2リニアベアリング73は、ケーブルの上下の動きをY方向のみに制限する。第2段階では、Y方向へのケーブルの動きが整流される。摩擦低減装置70は、第2リニアベアリング73との接触面でケーブルを囲み、それにより摩擦を最小限に抑えケーブルを保護する。2つのリニアベアリング90と73の間の距離は、ケーブル歪み半径87に影響を与える可能性があり、距離を大きくすると半径も大きくなる。
【0033】
摩擦低減装置70を超えて、ケーブル80は、
図2に示すように、実施形態の装置内の固定点までの所望の半径で、180度の円弧状に自由に折り畳むことができる。ケーブルがY方向に移動すると、円弧はその半径を維持することができる一方、その中心変位はケーブルのY方向の動きの振幅の半分に等しい。
【0034】
図1に戻って、装置100は、ユーザーインターフェース20等によって指示を受信することができる制御装置を有しても良い。ユーザーインターフェース20は、ボタン、レバー、スクリーン、タッチスクリーン、または他の任意のユーザーインターフェース構成部品を有するものであっても良い。電動アクチュエータに論理的に接続することもできる制御装置は、電動アクチュエータを制御することによって、ユーザから受け取った指示を実行するために超音波トランスデューサの回転を制御することができる。また、制御装置は、異なるマッサージ動作タイプを生成するために、異なる方法で、トランスデューサ40の速度および角度振幅を制御することができるものであっても良い。1つの実施形態において、軸の適切な変位を可能にするために、制御装置は、超音波ビームの焦点ゾーンに重なることなく円形パターンで動くようにトランスデューサを制御しても良く、したがって、治療領域全体に付与されるエネルギーの均等性を高めることができる。
【0035】
一実施形態では、超音波装置は、ユーザがトランスデューサの超音波の動作速度、振幅及び/又はパターンを制御することを可能にする電子回路を備えるものであっても良い。一つの実施形態において、アクチュエータは、電動アクチュエータに通電することによって直接駆動されても良い。
【0036】
記載された超音波装置は、現在使用されている治療処置中の手動運動の困難さを低減するのに役立ち得る。上述したように、超音波装置の使用は、現在使用されている手動トランスデューサと比較して、治療領域全体に、より均一なエネルギー分散を提供することができる。
【0037】
一実施形態では、超音波装置は、速度、振幅およびパターンでの動作が可能なため、治療領域内の血流を増加させるために使用することができる。ある実施形態では、超音波装置は、振動またはその他の特定のタイプの動作で超音波トランスデューサを旋回させ、そしてそれは、メインの超音波搬送波周波数と干渉し、単一の周波数源では生成できない、より効果的で、より浸透性のあるパルスを生成することができる、それ自体の低周波を生成しても良い。
【0038】
一実施形態では、超音波装置は、アクチュエータによって旋回させられる超音波トランスデューサの速度、パターン、トルク、または動作振幅を変化させるために使用されるギアボックス、レバー、カムシャフト、または任意の他の機構等のカプラまたはカプラ機構などを有しても良い。あるいは、超音波トランスデューサは、電動アクチュエータに直接取り付けられても良い。
【0039】
一実施形態において、超音波装置の電動アクチュエータは、超音波トランスデューサを、円運動、直線運動、角運動、回転運動、振動、または他の運動タイプ等の少なくとも1つの動きのタイプで、少なくとも1つの方向または異なる方向および運動タイプの組合せで旋回させるために、電子回路または直接印加される電力によって駆動されても良い。
【0040】
図4は、本発明の実施形態に係る超音波装置のコネクタの図である。一実施形態では、2つのBNCコネクタ91~93を有するコネクタ200を超音波装置に接続するために使用することができる。例えば、第1BNCコネクタ91は、RF信号の給電点を超音波トランスデューサに接続するために使用されても良く、第2BNCコネクタ92は、コントローラーおよび電動アクチュエータに給電するために使用されても良い。またコネクタは、他の信号を超音波装置に伝送するための他の接点93を備えても良い。超音波装置は、コネクタ200を受け入れるために、
図1に示される接点99のようなその底部に適切なコネクタを有していても良い。一実施形態では、レバー94のようなレバーを各BNCコネクタに取り付けて、コネクタを超音波装置に容易にロックすることができるようにしても良い。したがって、コネクタ200を超音波装置100の底部に取り付け、超音波装置100に供給しているケーブルを固定するためにレバーを回動させるようにしても良い。したがって、コネクタ組立体200全体は、効果的なBNCロック機構を利用して確実に取り付けられ固定される。
【0041】
上述の記載は、本発明の多くの実施形態および仕様を開示しているが、これらは例示として説明されており、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。記載された発明は、添付特許請求の範囲内にある多くの変形例で実施することができる。