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  • 特許-セル隔離スリーブ及び電池モジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】セル隔離スリーブ及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20230203BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230203BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20230203BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/204 201
H01M50/271 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020563705
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2020083298
(87)【国際公開番号】W WO2021196200
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】202010255002.0
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520434178
【氏名又は名称】欣旺達電動汽車電池有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sunwoda Electric Vehicle Battery Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.18 Tangjia South Road, Gongming street, Guangming Sub-district, Shenzhen, Guangdong 518000(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】程志剛
(72)【発明者】
【氏名】王天付
(72)【発明者】
【氏名】花黄偉
(72)【発明者】
【氏名】魏瑞洪
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-118773(JP,A)
【文献】中国実用新案第204885244(CN,U)
【文献】特開2019-012652(JP,A)
【文献】特開2017-216114(JP,A)
【文献】特開2012-109077(JP,A)
【文献】特開昭62-080978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのセルの間に設けられ、第1縦方向長孔が設けられる左接続エッジと、第2縦方向長孔が設けられる右接続エッジとを有
左端が前記左接続エッジの下端に接続されて、右端が前記右接続エッジの下端に接続される下接続エッジを有し、前記下接続エッジの左端と前記左接続エッジの下端との接続部に左コーナーが形成され、前記下接続エッジの右端と前記右接続エッジの下端との接続部に右コーナーが形成され、前記左コーナーに第1貫通孔が設けられ、前記右コーナーに第2貫通孔が設けられる、ことを特徴とするセル隔離スリーブ。
【請求項2】
前記下接続エッジには第3貫通孔が設けられる、ことを特徴とする請求項に記載のセル隔離スリーブ。
【請求項3】
上接続エッジを有し、前記上接続エッジの左端が前記左接続エッジの上端に接続され、前記下接続エッジの右端が前記右接続エッジの上端に接続され、前記上接続エッジの下側壁には、前記セル隔離スリーブの中空空間をセル取付空間とセル積層空間に分割するための上仕切板が設けられる、ことを特徴とする請求項に記載のセル隔離スリーブ。
【請求項4】
前記第1縦方向長孔は、それぞれ前記セル取付空間及び前記セル積層空間に連通し、前記第2縦方向長孔は、それぞれ前記セル取付空間及び前記セル積層空間に連通する、ことを特徴とする請求項に記載のセル隔離スリーブ。
【請求項5】
前記下接続エッジの上側壁には、前記上仕切板に上下に対応する下仕切板が設けられる、ことを特徴とする請求項に記載のセル隔離スリーブ。
【請求項6】
前記上仕切板の内外側壁ともにシールストリップが設けられる、ことを特徴とする請求項に記載のセル隔離スリーブ。
【請求項7】
前記左コーナーには、前記第1貫通孔に位置する第1バンプが設けられ、前記右コーナーには、前記第2貫通孔に位置する第2バンプが設けられる、ことを特徴とする請求項に記載のセル隔離スリーブ。
【請求項8】
2つずつの間に請求項1~のいずれか1項に記載のセル隔離スリーブが設けられる少なくとも2つのセルを備える、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項9】
前記少なくとも2つのセルに設けられる上カバーをさらに備え、前記上カバーの下側壁に左右に並んでいる2列の補強リブが設けられ、各列の補強リブが複数本の補強リブを備え、2本ずつの補強リブの間にフォームが設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の電池モジュール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパワーバッテリーの技術分野に関し、特にセル隔離スリーブ及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池モジュールが低温環境にある場合、空気中の水分はセルの側面に凝縮し、毛細管現象から分かるように、結露した水はセル側面に沿って徐々に上向きに広がり、水滴はますます大きくなり、セル隔離スリーブを通って電池モジュール内に流れ込んで、電池モジュールの漏れ、短絡、火災、爆発など、危険な現象を引き起こす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の欠陥に対して、本発明は、セル側面の水滴がセル隔離スリーブを通って電池モジュール内に流れ込んで、電池モジュールの漏れ、短絡、火災、爆発など、危険な現象を引き起こす恐れがあるという問題を解決することを目的とするセル隔離スリーブ及び電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る技術案は、以下のとおりである。
【0005】
セル隔離スリーブであって、前記セル隔離スリーブは、2つのセルの間に設けられ、第1縦方向長孔が設けられる左接続エッジと、第2縦方向長孔が設けられる右接続エッジとを有する。
【0006】
さらに、前記セル隔離スリーブは、左端が前記左接続エッジの下端に接続されて、右端が前記右接続エッジの下端に接続される下接続エッジを有し、前記下接続エッジの左端と前記左接続エッジの下端との接続部に左コーナーが形成され、前記下接続エッジの右端と前記右接続エッジの下端との接続部に右コーナーが形成され、前記左コーナーに第1貫通孔が設けられ、前記右コーナーに第2貫通孔が設けられる。
【0007】
さらに、前記下接続エッジには第3貫通孔が設けられる。
【0008】
さらに、前記セル隔離スリーブは上接続エッジを有し、前記上接続エッジの左端が前記左接続エッジの上端に接続され、前記下接続エッジの右端が前記右接続エッジの上端に接続され、前記上接続エッジの下側壁には、前記セル隔離スリーブの中空空間をセル取付空間とセル積層空間に分割するための上仕切板が設けられる。
【0009】
さらに、前記第1縦方向長孔は、それぞれ前記セル取付空間及び前記セル積層空間に連通し、前記第2縦方向長孔は、それぞれ前記セル取付空間及び前記セル積層空間に連通する。
【0010】
さらに、前記下接続エッジの上側壁には、前記上仕切板に上下に対応するする下仕切板が設けられる。
【0011】
さらに、前記上仕切板の内外側壁ともにシールストリップが設けられる。
【0012】
さらに、前記左コーナーには、前記第1貫通孔に位置する第1バンプが設けられ、前記右コーナーには、前記第2貫通孔に位置する第2バンプが設けられる。
【0013】
本発明は、2つずつの間に上記セル隔離スリーブが設けられる少なくとも2つのセルを備える電池モジュールをさらに提供する。
【0014】
さらに、前記電池モジュールは、前記少なくとも2つのセルに設けられる上カバーをさらに備え、前記上カバーの下側壁に左右に並んでいる2列の補強リブが設けられ、各列の補強リブが複数本の補強リブを備え、2本ずつの補強リブの間にフォームが設けられる。
【発明の効果】
【0015】
上記技術案によれば、本発明は以下の有益な効果を有する。セル隔離スリーブの左接続エッジ及び右接続エッジには、それぞれ第1縦方向長孔及び第2縦方向長孔が設けられ、セル側面の水滴は左接続エッジ及び右接続エッジに広がり、第1縦方向長孔と第2縦方向長孔に集まり、このようにして、水滴が広がり続けることを防止し、且つ重力の作用により、水滴が一定の大きさに集まると落下し、それにより、セル側面の水滴がセル隔離スリーブを通って電池モジュール内に流れ込んで、電池モジュールの漏れ、短絡、火災、爆発など、危険な現象を引き起こす恐れがあるという問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の実施例に係るセル隔離スリーブの構造模式図である。
図2図2は本発明の別の実施例に係るセル隔離スリーブの構造模式図である。
図3図3は本発明の別の実施例に係るセル隔離スリーブの構造模式図である。
図4図4は本発明の実施例に係る電池モジュールの構造模式図である。
図5図5は本発明の実施例に係る上カバーの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。ただし、ここで述べた具体的な実施例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施例はセル隔離スリーブを提供し、セル隔離スリーブは、2つのセルの間に設けられ、第1縦方向長孔11が設けられる左接続エッジ1と、第2縦方向長孔21が設けられる右接続エッジ2とを有する。
【0019】
セル隔離スリーブの左接続エッジ1及び右接続エッジ2には、それぞれ第1縦方向長孔11及び第2縦方向長孔21が設けられ、セル側面の水滴は左接続エッジ1及び右接続エッジ2に広がり、第1縦方向長孔11と第2縦方向長孔21に集まり、このようにして、水滴が広がり続けることを防止し、且つ重力の作用により、水滴が一定の大きさに集まると落下し、それにより、セル側面の水滴がセル隔離スリーブを通って電池モジュール内に流れ込んで、電池モジュールの漏れ、短絡、火災、爆発など、危険な現象を引き起こす恐れがあるという問題を解決する。
【0020】
いくつかの実施例では、第1縦方向長孔11と第2縦方向長孔21はいずれも複数であり、つまり、左接続エッジ1に複数の第1縦方向長孔11が設けられ、右接続エッジ2に複数の第2縦方向長孔21が設けられる。これにより、水滴が第1縦方向長孔11と第2縦方向長孔21に集まる可能性が高まり、電池モジュールの安全性が高まる。
【0021】
本実施例では、左接続エッジ1の左側壁と右接続エッジ2の右側壁は、いずれも、側板との接続に使用されて、接着剤が設けられ、左接続エッジ1の左側壁と右接続エッジ2の右側壁は、それぞれ接着剤により側板に貼り付けられる。
【0022】
本実施例では、セル隔離スリーブは、左端が左接続エッジ1の下端に接続されて、右端が右接続エッジ2の下端に接続される下接続エッジ3を有し、下接続エッジ3の左端と左接続エッジ1の下端との接続部に左コーナー4が形成され、下接続エッジ3の右端と右接続エッジ2の下端との接続部に右コーナー5が形成され、左コーナー4に第1貫通孔41が設けられ、右コーナー5に第2貫通孔51が設けられる。左接続エッジ1の左側壁と右接続エッジ2の右側壁の接着剤は、下へ流れて、それぞれ左コーナー4と右コーナー5まで流れ、それにより、第1貫通孔41及び第2貫通孔51に入って、セルを左コーナー4、右コーナー5に粘着し、且つ左コーナー4、右コーナー5にシール構造が形成され、以下の効果を有する。1、水滴の広がり経路をブロックする。2、電池モジュールの後続の動作において、セルの底部コーナーの青いフィルムがセル隔離スリーブと摩擦することを回避し、それによりセルの底部コーナーでの青いフィルムの破裂の可能性を低減させる。3、セルの底部コーナーが破裂した場合、漏れの状況の発生を防止することができる。
【0023】
本実施例では、下接続エッジ3には第3貫通孔31が設けられる。第3貫通孔31はセルの底部の水滴を排出することができる。第3貫通孔31はセルの底部に結露した水滴の広がりをブロックし、結露した水滴がセル隔離スリーブの底部の第3貫通孔31に集まった場合、結露した水滴は第3貫通孔31に落下し、それにより電池モジュールから排出する。
【0024】
本実施例では、セル隔離スリーブは上接続エッジ6を有し、上接続エッジ6の左端が左接続エッジ1の上端に接続され、下接続エッジ3の右端が右接続エッジ2の上端に接続され、上接続エッジ6の下側壁には、セル隔離スリーブの中空空間をセル取付空間とセル積層空間に分割するための上仕切板61が設けられる。セル取付空間は1つのセルを取り付けるために用いられ、セル積層空間は積層するときに別のセルに当接するために用いられる。
【0025】
本実施例では、第1縦方向長孔11は、それぞれセル取付空間及びセル積層空間に連通し、第2縦方向長孔21は、それぞれセル取付空間及びセル積層空間に連通する。第1縦方向長孔11はセル取付空間に連通するとともに、セル積層空間に連通し、第2縦方向長孔21はセル取付空間に連通するとともに、セル積層空間に連通し、セル取付空間に取り付けられるセルとセル積層空間に積層されたセルは、いずれも第1縦方向長孔11又は/及び第2縦方向長孔21を介して水滴を集めることができる。
【0026】
本実施例では、セル取付空間とセル積層空間をさらに隔離するために、下接続エッジ3の上側壁には、上仕切板61に上下に対応する下仕切板が設けられる。
【0027】
本実施例では、上仕切板61の内外側壁ともにシールストリップ7が設けられる。上仕切板61の内外側壁ともに両面テープ又は接着剤が設けられ、上仕切板61の内外側壁に両面テープ又は接着剤によってシールストリップ7が貼り付けられる。セル隔離スリーブ内に取り付けられるセルは、シールストリップ7を境界として、導電領域と絶縁領域に分割される。シールストリップ7と上接続エッジ6との距離は0.5mm~15mmである。
【0028】
シールストリップ7は、厚さが0.5mm~5mmであるものであり、その裏面に両面テープが貼り付けられ、両面の粘着性によりセル隔離スリーブに固定され、そして、シールストリップ7に圧縮性があるので、セル隔離スリーブの正面のシールストリップ7は、セルとセル隔離スリーブを固定する際の圧力により圧縮され、セルに接近してシーリングし、セル隔離スリーブの裏面のシールストリップ7は、セルとセル隔離スリーブを積層するときの圧力により圧縮され、セルに接近してシーリングする。これにより、グループとして積層された電池モジュールはシールストリップ7を境界として導電領域と絶縁領域に分割され、シールストリップ7より上方は導電領域であり、シールストリップ7より下方は絶縁領域である。
【0029】
本実施例では、シールストリップ7は絶縁の圧縮性材料で形成され、ゴムストリップであってもよいし、フォームであってもよい。
【0030】
いくつかの実施例では、上仕切板61の内外側壁ともに凹溝が設けられ、凹溝内にシールストリップ7が設けられる。シールストリップ7が凹溝に貼り付けられ、凹溝はシールストリップ7に対して一定の固定作用を奏する。
【0031】
図2に示すように、いくつかの実施例では、左接続エッジ1と右接続エッジ2のいずれにも、シールストリップ7を位置決めして固定するための切り欠き9が設けられる。
【0032】
図3に示すように、いくつかの実施例では、上仕切板61の内外側壁ともにシールストリップ7が設けられ、シールストリップ7の両端に折畳みブロック71が設けられる。一方の折畳みブロックは左接続エッジ1の右側壁に接続され、他方の折畳みブロック71は右接続エッジ2の左側壁に接続され、接続方式としては、両面テープ又は接着剤による貼り付けとしてもよい。
【0033】
図3に示すように、いくつかの実施例では、上仕切板61の内外側壁ともにシールストリップ7が設けられ、上仕切板61の内外側壁ともに位置決め孔611が設けられ、シールストリップ7の一側壁に位置決め孔611と一致する突起が設けられる。
【0034】
いくつかの実施例では、シールストリップ7はセル隔離スリーブと一体成形される。
【0035】
いくつかの実施例では、シールストリップ7は、環状の長尺のものである。シールストリップ7は、弾性変形によってセル隔離スリーブに外嵌され、且つ上仕切板61に位置する。
【0036】
本実施例では、左コーナー4には、第1貫通孔41に位置する第1バンプが設けられ、右コーナー5には、第2貫通孔51に位置する第2バンプ52が設けられる。第1バンプ及び第2バンプ52は接着剤をブロックする作用を奏し、接着剤を第1貫通孔41及び第2貫通孔51に保持する。
【0037】
本発明は、2つずつの間に上記セル隔離スリーブが設けられる少なくとも2つのセルを備える電池モジュールをさらに提供する。
【0038】
図4及び図5に示すように、本実施例では、電池モジュールは、少なくとも2つのセルに設けられる上カバー8をさらに備え、上カバー8の下側壁に左右に並んでいる2列の補強リブが設けられ、各列の補強リブが複数本の補強リブ81を備え、2本ずつの補強リブ81の間にフォーム82が設けられる。フォーム82は毛細管現象の発生を防止し、結露した水滴を上カバー8によって側板、端板等の金属部材に広げることができる。
【0039】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原則内に行ったあらゆる修正、同等置換や改良等は、すべて本発明の特許範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5