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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】内部弁トランスミッタフランジ
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/02 20060101AFI20230203BHJP
【FI】
F16K27/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021512238
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019037938
(87)【国際公開番号】W WO2020068197
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】16/145,291
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】エザリッジ,マシュー リー
(72)【発明者】
【氏名】ストロス,トレバー トーマス
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第01630785(US,A)
【文献】特表2010-506192(JP,A)
【文献】特開平03-009178(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0132839(US,A1)
【文献】特開昭54-118282(JP,A)
【文献】実開昭55-026124(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座および雌ねじを有する弁開口部をその中に有するフランジボディと、
前記弁開口部に保持されるように構成される内部弁であって、前記内部弁は、前記弁開口部に前記内部弁を保持するために、前記雌ねじにねじ込まれるように構成される雄ねじを有する内部弁と、
前記内部弁を前記弁開口部により深く保持するために、前記弁開口部にねじ込まれるように構成される保持リングと、を備え、
前記保持リングは、前記保持リングがフランジ開口部にねじ込まれたときに前記内部弁保持するためのリップが形成された内部弁開口部を含む
トランスミッタフランジ。
【請求項2】
前記弁開口部はフランジボディの側面にある請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項3】
前記内部弁は弁着座面を有し、前記弁着座面および前記弁座は金属製で、その間に、前記内部弁が前記弁開口部に保持されるときに金属同士のシールを形成する請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項4】
前記内部弁は、前記フランジボディの面に埋め込まれてその中に保持される請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項5】
前記フランジボディはコプレーナ型フランジである請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項6】
前記内部弁はその中にドレン穴が機械加工されている請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項7】
前記フランジボディは、その中の、前記弁開口部と前記フランジボディの外面との間にドレン穴が機械加工されている請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項8】
前記内部弁の弁棒は、
前記弁座に係合するように構成される着座面を有し、前記弁開口部に摺動して係合される非回転弁棒部と、
前記非回転弁棒部に回転可能に連結されて、ねじ付き弁開口部に保持するためにねじ切りされている回転弁棒継手と、
を備える請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項9】
前記弁開口部は前記フランジボディの中心を通る請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項10】
前記内部弁は、前記フランジボディがプロセスに連結されているとき、弁棒上のプロセス流体によって圧力付勢される弁棒を有するように構成される請求項9のトランスミッタフランジ。
【請求項11】
前記内部弁は、前記内部弁を前記弁開口部にねじ込みやすくするように構成される六角開口部を有する請求項1のトランスミッタフランジ。
【請求項12】
弁座を有する弁開口部をその中に有するフランジボディと、
前記弁開口部に保持されるように構成される内部弁と、
前記内部弁を前記弁開口部により深く保持するために、前記弁開口部にねじ込まれるように構成される保持リングと、を備え、
前記保持リングは、前記保持リングがフランジ開口部にねじ込まれたときに前記内部弁保持するためのリップが形成された内部弁開口部を含む
トランスミッタフランジ。
【請求項13】
前記保持リングは、前記保持リングを前記弁開口部にねじ込みやすくするように構成される六角開口部を備える請求項12のトランスミッタフランジ。
【請求項14】
前記弁開口部は前記フランジボディの側面にある請求項12のトランスミッタフランジ。
【請求項15】
前記内部弁は弁着座面を有し、前記弁着座面および前記弁座は金属製で、その間に、前記内部弁が前記弁開口部に保持されるときに金属同士のシールを形成する請求項12のトランスミッタフランジ。
【請求項16】
前記内部弁は、前記フランジボディの面に埋め込まれてその中に保持される請求項12のトランスミッタフランジ。
【請求項17】
前記フランジボディはコプレーナ型フランジである請求項12のトランスミッタフランジ。
【請求項18】
前記内部弁はその中にドレン穴が機械加工されている請求項12のトランスミッタフランジ。
【請求項19】
前記フランジボディは、その中の、前記弁開口部と前記フランジボディの外面との間にドレン穴が機械加工されている請求項12のトランスミッタフランジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内部ドレン弁構成を有する圧力トランスミッタフランジに関する。より具体的には、本開示は、従来の外部弁よりも損傷を受けにくい、作動圧力を高くした弁を提供することに関わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
圧力トランスミッタの従来のコプレーナ型フランジの既存設計は外部ドレンベント弁を使用するが、プロセス漏洩のおそれがあり、溶接した弁座で約21,000ポンド毎平方インチ(PSI)までの破壊圧力の能力しかない。プロセス圧力が高くなり続けたため、より高い圧力定格が求められている。また、既存の弁構成はフランジに溶接されており、特に繰り返し使用後に、破裂故障する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、トランスミッタフランジは、弁座と雌ねじとを有する弁開口部をその中に有するフランジボディを含む。内部弁は、弁開口部に保持されるように構成される。内部弁は、弁開口部に内部弁を保持するために、雌ねじにねじ込むように構成される雄ねじを有する。
【0004】
別の実施形態において、トランスミッタフランジは、弁座を有する弁開口部をその中に有するフランジボディと、弁開口部に保持されるように構成される内部弁とを含む。保持リングは、内部弁を開口部内により深く保持するために、弁開口部にねじ込むように構成される。
【0005】
本概要および要約は、以下の詳細な説明で詳しく説明する概念の抜粋を簡潔な形で紹介するために提供される。本概要および要約は、請求項に係る発明の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものでも、請求項に係る発明の範囲を決定する一助として使用されることを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】外部ドレン弁フランジ構成の断面図である。
図2A】外部ドレン弁構成の損傷したボールの図である。
図2B】外部ドレン弁構成の無傷なボールの図である。
図3】圧力トランスミッタの所定の位置にある外部ドレン弁のフランジの斜視図である。
図4A】外部ドレン弁フランジの溶接部のより詳細な図である。
図4B】損傷した外部ドレン弁の図である。
図5A】本開示の実施形態による内部ドレン弁およびフランジの断面図である。
図5B】本開示の実施形態による内部ドレン弁、フランジ、および保持リングの分解斜視図である。
図6】本開示の実施形態による保持リングの断面図である。
図7】本開示の実施形態による2つの異なるベント/ドレン穴を示す断面図である。
図8A】本開示の実施形態による内部弁を有するフランジの上面図である。
図8B】外部弁を有するフランジの上面図である。
図9】本開示の実施形態による内部弁を有するコプレーナ型フランジの斜視図である。
図10A】本開示の実施形態による内部圧力付勢弁構成を備えるフランジの側断面図である。
図10B図10Aのフランジの斜視図である。
図10C図10Aの実施形態で使用される弁棒の側断面図である。
図11】本開示の別の実施形態による内部弁の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、既存の弁棒および弁座アセンブリ100の断面図である。アセンブリ100は、フランジ104に外部弁102を備える。外部弁102は、弁座106と弁棒ボディ108とを備える。弁102は、弁座106と弁棒ボディ108との間の位置に圧着される弁ボール110(通例、316SSTなどのステンレススチール)を有する。弁棒ボディ108が締め付けられるとき、弁ボール110は弁座106を塑性変形させて、丸い形のシールを形成する。弁ボール110が弁座106を変形させると、特に弁ボール110に接触する弁棒ボディ108の部分109にバリまたは他の尖った箇所が存在する場合、弁ボール110に押し当たる弁棒ボディ108の部分109が弁ボール110に切り込む可能性がある。弁棒ボディ108を十分に締め付けていても、切り込みまたは引っ掻き傷がプロセス漏洩をもたらす可能性がある。また、使用とともに、特にたくさん使用した後は、弁ボール110がすり減ることがあり、やはり潜在的なプロセス漏洩につながる可能性がある。弁ボール110の切り込みまたは引っ掻き傷200を、図2Aにより詳細に図示する。無傷の弁ボール110を、図2Bに図示する。
【0008】
図3は、圧力トランスミッタ300の所定の位置に外部弁102を有するフランジ104を示す。弁102などの外部弁は、弁102とフランジ104との間の溶接継手304の溶接部302でフランジ104に溶接されている(図1も参照)。代表的な溶接部302の拡大図を、図4Aにより詳細に示している。溶接されたベントドレン弁102を備えるフランジ104を有するトランスミッタ300は、弁102、フランジ104、およびトランスミッタ300の結合における弱連結部である溶接継手によって、作動圧力が制限される。静水圧試験中、溶接された弁102の継手304は、システム100の中で最初に破損する構成要素となる。典型的な弁溶接部302は、約21,000ポンド毎平方インチ(PSI)の圧力で溶接継手が破損する。溶接部302のこのような破損が生じると、その結果生じる圧力解放が弁棒ボディ108またはその一部、および溶接材料の飛び出しを引き起こす可能性がある。この種の破損は高速飛翔体になり、非常に危険な場合がある。弁102の飛翔体部400を、図4Bに図示する。溶接破損が402に生じている。
【0009】
最近のプロセス圧力は、24,000PSIまたはそれ以上に達することがある。典型的な溶接ソリューションでは、この圧力において安全および信頼性を提供することはできない。
【0010】
本開示の実施形態による内部弁フランジ500を、図5Aおよび図5Bに示す。フランジ500は、圧力トランスミッタフランジで使用される内部ドレン弁に向けられている。本開示の実施形態による内部弁ソリューションは、弁の信頼性を改善させ、圧力定格を向上させる。内部弁フランジの実施形態は、溶接を使用せず、シールを施すために使用される部品の量を減らし、追加の安全機能を提供し、標準的な六角アレンレンチを用いて設置しやすい。
【0011】
フランジ500は、フランジボディ502と、フランジボディ502の内部にある内部弁棒504と、内部弁棒504をフランジボディ502内に保持するように構成される保持リング506とを備える。フランジボディ502は、内部弁棒504を収容する大きさに形成された開口部508を有し、開口部内に弁座510を有する。フランジボディ502および内部弁棒504はそれぞれ金属製で、フランジボディ502と内部弁棒504との間の境界面は、内部弁棒504の着座面511と弁座510との間の金属同士のシールである。このようなシールは、開口部508のプロセス圧力保持エリア520に、ボール110などのボールがなく、漏洩を生じさせるほどの著しい塑性変形がなく、図1に図示するボール弁よりも高い圧力を含む幅広い圧力範囲で漏れのない緊密シールを提供する。
【0012】
一実施形態において、フランジボディ開口部508は、内部弁棒504を螺合して収容するために、雌ねじがねじ切られている。この実施形態では、内部弁棒504は、内部弁棒504を開口部508内に固定するために、雌ねじにねじ込む雄ねじを有する。一実施形態における内部弁棒504は、内部弁棒を開口部508にねじ込むために標準的な六角アレンレンチも使用できるように、六角開口部を含む。一実施形態において、開口部508は、内部弁棒504が弁座510に着座するときにフランジ開口部508に埋め込まれるような大きさに形成される。埋め込まれた内部弁棒は、弁が作動中に意図せず動くことを防止する。
【0013】
一実施形態において、フランジ開口部508は、弁棒504を所定の位置で保持するための保持リング506を螺合して収容するために、さらに深くねじ切りされる。この実施形態では、弁棒504は開口部508にねじ込むことはできないが、保持リング506で保持される。あるいは、弁棒504は開口部508にねじ込むことができ、ねじ切りされた保持リング506によってより深く保持される。
【0014】
保持リング506のさらなる詳細を図6に示す。一実施形態において、保持リング506は、開口部508の雌ねじ512と合致する雄ねじ514と、六角開口部516と、内部弁棒開口部518とを有する。内部弁棒開口部518は、開口部518に、保持リング506がフランジ開口部508にねじ込まれるときに内部弁棒504が押し当てられて保持されるリップ522を有する。一実施形態では、保持リング506をフランジ開口部508内に締め付けるために標準的な六角アレンレンチを使用できるように、六角開口部516が構成される。本開示の範囲から逸脱することなく、他の締付け形状を使用できることが理解されるべきである。内部弁棒504がねじ切りされる場合、弁は保持リング506が所定の位置になくても作動させることができる。
【0015】
内部弁棒504は、弁座510でフランジ502と密着する。フランジ500のプロセス圧力保持エリアは、シールのエリア520に依存する。プロセス圧力を保持する弁の表面積は、図1の弁のものから著しく減少し、そのため、プロセス圧力によって弁にかかる力も減少する。図1に戻ると、そこに図示される外部弁ソリューションは、120で示されるプロセス圧力保持エリアを有する。このプロセス圧力保持エリア120は、フランジ500で示されるプロセス圧力保持エリアよりも著しく大きい。
【0016】
図1に図示するものなどの典型的な外部弁対図5Aおよび図5Bに図示する内部弁の圧力および面積を表1に示す。外部弁の場合、圧力保持エリア120は約0.423inである。プロセス圧力が20,000PSIだと、その圧力による力はほぼ8.500ポンド・フィート(lbf)である。この圧力は、0.127inの溶接面積にわたり溶接部に直接応力を加える結果、溶接部に66,600PSIがかかる。典型的な強度の溶接部はこのような圧力を保持するのに十分ではなく、破損しやすい。
【0017】
【表1】
【0018】
対して、圧力保持エリア520は約0.028inである。20,000PSIの同じプロセス圧力では、圧力による力は約560lbfである。図5Aおよび図5Bの実施形態において、内部弁棒504もしくは保持リング506のねじ、またはその組み合わせがこの圧力を受ける面積である。ねじの面積が約0.058inでは、ねじにかかる応力は約9,700PSIに減少する。
【0019】
一実施形態において、フランジ500の材料は316SSTから作られ、部品の降伏強さは約65,000PSIとなる。圧力計算に基づくと、20,000PSIのプロセス圧力で、外部弁の設計は降伏し始める(66,600PSI>65,000PSI)。フランジ内部弁の実施形態は、降伏点をはるかに下回ったままである(9,700PSI<65,000PSI)。本開示の実施形態は、外部の溶接弁およびフランジよりも高い作動圧力限界をもちながら、部品数、複雑さも減じ、より単純な設備を提供する。
【0020】
一実施形態において、内部弁フランジ500には、図5に図示されるフランジボディ502内に、および図7の左側の弁に、ベント/ドレン穴530が設けられている。あるいは、ベント/ドレン穴540が、図7の右側の弁704に図示される内部弁棒504に設けられる。
【0021】
フランジ500などのフランジの上面図を、図8Aに示す。図1の典型的な外部弁フランジの上面図を、図8Bに示す。図8Aのフランジの方が平滑で、落下等による損傷を受けるおそれのある外部部品がない。
【0022】
図9に図示するように、本開示の実施形態は、コプレーナ型フランジ900とともに使用することができる。この実施形態では、コプレーナ型フランジとともに使用される雄ねじ付きベント/ドレン弁を、本明細書で説明する雌ねじ付き弁と取り替えてもよい。
【0023】
図10Aおよび図10Bにそれぞれ側断面図および斜視図で図示するように、本明細書で説明するもののような内部弁は、従来のフランジの底部から排出するために使用することができる。フランジ1000は、フランジボディ1002の開口部1008に内部弁棒1004を有し、保持リング1006で保持される。この実施形態は、フランジ1000でそのままプロセス接続が利用できる。この実施形態の弁は、図10Cに図示するように、プロセス圧力1050に曝される比較的大量の表面積1020を有する。棒に外側/下側の力を及ぼすプロセス圧力がかかり、棒1004を着座面1011で弁座1010に押圧する。
【0024】
非回転弁棒部1105および回転弁棒継手1107を備える弁棒1104の別の実施形態を、図11に示す。非回転弁棒部1105は、本明細書で述べる弁座510、1010などの弁座に当接する着座面1111を有する。非回転弁棒1105は、軸1150に対して回転しない。回転弁棒継手1107は、継目1113で非回転弁棒部1105に回転可能に連結されている。回転弁棒継手1107は、弁棒1104を本明細書で述べる開口部508,1008などの開口部にねじ込むためにねじ切りされている。設置中、非回転弁棒部1105は軸1150に沿って移動するが、軸1150に対して回転しない。これにより着座面1111の潜在的な摩耗が減る。
【0025】
本発明を好適な実施形態を参照して説明してきたが、当該技術分野における当業者は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0026】
500 フランジ
502 フランジボディ
504 内部弁棒(内部弁)
506 保持リング
508 開口部(弁開口部)
510 弁座
511 着座面
520 圧力保持エリア
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11