(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート、粘着剤、積層体、およびディスプレイ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20230206BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20230206BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230206BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230206BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20230206BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230206BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
C09J11/06
H05B33/14 A
H05B33/02
H01L27/32
(21)【出願番号】P 2022059091
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2022-06-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田邉 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】古野 寛之
(72)【発明者】
【氏名】早坂 努
(72)【発明者】
【氏名】福田 克哲
(72)【発明者】
【氏名】石 智文
(72)【発明者】
【氏名】柴田 寛
(72)【発明者】
【氏名】南方 克哉
(72)【発明者】
【氏名】入江 剛史
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-075978(JP,A)
【文献】特開2016-138221(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0121564(US,A1)
【文献】特開2016-160417(JP,A)
【文献】特開2011-175053(JP,A)
【文献】特開2014-196377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00ー201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)および紫外線吸収剤(C)を含む粘着剤層(X)を有する偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートであって、
前記アクリル系共重合体(A)は、モノマー混合物を共重合してなるアクリル系共重合体であり、
前記モノマー混合物が、ヒドロキシ基を有するモノマー、およびカルボキシ基を有するモノマーの両方を含有し、
前記モノマー混合物100質量%中、アルキル基の炭素数8~20のモノマーを50質量%以上含むことを特徴とし、
前記粘着剤層(X)の膜厚が50μmのときの波長405nmの光透過率が40%以下である、
偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項2】
前記粘着剤層(X)の膜厚が50μmのときの波長380nmの光透過率が6%以下である、請求項1記載の偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項3】
前記粘着剤層(X)の膜厚が50μmのときの波長420nmの光透過率が40%以上である、請求項1又は2記載の偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項4】
前記粘着剤層(X)に紫外線吸収剤(C)を0.5~5質量部含有する、請求項1~3いずれか1項記載の偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤(C)が、ベンゾトリアゾール系および/またはトリアジン系である、請求項1~4いずれか1項記載の偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項6】
アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)および紫外線吸収剤(C)を含み、
前記アクリル系共重合体(A)は、モノマー混合物を共重合してなるアクリル系共重合体であって、
前記モノマー混合物が、ヒドロキシ基を有するモノマー、およびカルボキシ基を有するモノマーの両方を含有し、
前記モノマー混合物100質量%中、アルキル基の炭素数8~20のモノマーを50質量%以上含み、
前記アクリル系共重合体(A)の質量平均分子量は、80万~180万であって、
紫外線吸収剤(C)を0.5~5質量部含有する、
偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着剤。
【請求項7】
前記紫外線吸収剤(C)が、ベンゾトリアゾール系および/またはトリアジン系である、請求項6記載の偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着剤。
【請求項8】
基材および請求項6
または7記載の粘着剤の硬化物である粘着剤層を備える、偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項9】
剥離性シートおよび請求項6
または7記載の粘着剤の硬化物である粘着剤層を備える、偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
【請求項10】
請求項1~5、および請求項
8、請求項
9のいずれか1項記載の偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートと被着体とを備える、積層体。
【請求項11】
請求項1
0記載の積層体を備える、ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板レス型フレキシブルディスプレイを形成するために用いられる粘着シート、および該粘着シートを形成するための粘着剤、該粘着シートを備える積層体およびディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ(OLED)等の画像表示装置とタッチパネルを組み合わせて用いる入力装置が普及している。タッチパネルに用いる透明導電性フィルムは、支持ガラス等の部材に粘着剤層を介して積層されている。また、画像表示装置に用いる偏光板フィルムは、液晶モジュールや有機ELモジュールに粘着剤層を介して貼付される。
【0003】
前記画像表示装置としては、ガラス基板を用いたフラットディスプレイが主流であったが、近年、プラスチック等の可撓性基板を用いたフォルダブルディスプレイ(Foldable display)やローラブルディスプレイ(Rollable display)等の、フレキシブルディスプレイが開発されている。このようなフレキシブルディスプレイは、従来のガラス基板を用いたフラットディスプレイと比較して、軽量性、薄さ、可撓性等に優れており、また意匠性にも優れている等の種々の利点を有する。
【0004】
前記偏光板フィルムは、フレキシブルディスプレイ分野で軽量性や薄さを追求する技術開発が進む中で、特段、必要な部材とは言えないものとなってきた。しかしながら偏光板フィルムを無くしただけでは、日光などの外部からの紫外線照射により画像表示装置内の有機EL素子が変質してしまい、高解像度での画像表示が困難なものとなる問題があった。
【0005】
前記粘着剤層には、従来から高温環境や高温高湿環境で発泡や剥がれが生じないための強い粘着力に加え、本分野ではフレキシブル性(繰り返し屈曲性)が必要とされるが、偏光板フィルムを使用しない構成においては、さらに紫外線吸収性を有することが求められている。もちろん、強い粘着力とフレキシブル性といった基本性能を担保しなければならないことは言うまでもない。
【0006】
これらの問題を解決すべく、特許文献1には、紫外線吸収剤を含む、折り曲げ型有機EL表示装置用粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の粘着剤は偏光板を有する表示装置を想定して作りこまれているため、波長405nmの光を吸収できない紫外線吸収剤を明細書中で列挙しており、また実施例でも使われている。このように、有機EL素子の変質を加速させる波長405nmに対し、効果的な対策はなされていないのが現状である。
【0009】
さらに近年、より進化したディスプレイとして、ローラブルディスプレイやストレッチャブルディスプレイが注目を集めている。これら次世代ディスプレイに使用される粘着シートとしては、これまでよりも厳しい屈曲性が要求され、特定の一箇所における屈曲性(フォルダブル屈曲性)に加え、ねじれのような動作に対応すべく、複数個所における屈曲性(ローラブル/ストレッチャブル屈曲性)にも耐えられる、ひずみ適性も求められている。
また、ローラブル/ストレッチャブルディスプレイをより薄いディスプレイとするべく、偏光板フィルムのない薄膜構成において有機EL素子を紫外線から守るため、粘着剤層に付与する紫外線吸収性の市場要求レベルが高水準にある。
加えて、粘着シートの量産国と使用国が異なる場合、ロールtoロールで巻き取ったあとの船による輸送の際、紫外線吸収剤と粘着剤層の相性によっては紫外線吸収剤のブリードアウトが発生し、使用国での貼り合わせ工程において浮きやハガレを起こさせないために必要な、強粘着力を発現できない場合がある。
【0010】
よって本発明は、従来よりも耐光性、ひずみ適性に優れ、さらに経時後粘着力の両立を達成可能な粘着シート、粘着剤および該積層体、さらにはディスプレイの提供を目的とする。
また、ひずみ適性に優れることから、ローラブル/ストレッチャブルディスプレイのような、より厳しい薄膜化が要求される用途にも適用することが可能な粘着シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の実施態様は、アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)および紫外線吸収剤(C)を含む粘着剤層(X)を有する偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートであって、
前記粘着剤層(X)の膜厚が50μmのときの波長405nmの光透過率が40%以下である、
偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートである。
【0012】
また、本発明の実施態様は、上記粘着剤層(X)の膜厚が50μmのときの波長380nmの光透過率が6%以下である偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートである。
【0013】
また、本発明の実施態様は、上記粘着剤層(X)の膜厚が50μmのときの波長420nmの光透過率が40%以上である偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートである。
【0014】
また、本発明の実施態様は、上記粘着剤層(X)に紫外線吸収剤(C)を0.5~5質量部含有する偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートである。
【0015】
また、本発明の実施態様は、上記紫外線吸収剤(C)が、ベンゾトリアゾール系および/またはトリアジン系である、偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートである。
【0016】
また、本発明の実施態様は、上記アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)および紫外線吸収剤(C)を含み、
上記アクリル系共重合体(A)は、モノマー混合物を共重合してなるアクリル系共重合体であって、
上記モノマー混合物100質量%中、アルキル基の炭素数8~20のモノマーを50質量%以上含み、
紫外線吸収剤(C)を0.5~5質量部含有する、偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着剤である。
【0017】
また、本発明の実施態様は、紫外線吸収剤(C)が、ベンゾトリアゾール系および/またはトリアジン系である、偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着剤である。
【0018】
また、本発明の実施態様は、上記アクリル系共重合体(A)の質量平均分子量は、80万~180万である、偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着剤である。
【0019】
また、本発明の実施態様は、基材および上記粘着剤の硬化物である粘着剤層を備える偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートである。
【0020】
また、本発明の実施態様は、剥離性シートおよび上記粘着剤の硬化物である粘着剤層を備える偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートである。
【0021】
また、本発明の実施態様は、上記偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートと被着体とを備える、積層体である。
【0022】
また、本発明の実施態様は、上記積層体を備える、ディスプレイである。
【発明の効果】
【0023】
上記の本発明により、従来よりも耐光性、ひずみ適性、経時後粘着力に優れた偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートおよび該粘着シートを形成するための粘着剤の提供が可能となる。
また、ローラブル/ストレッチャブルディスプレイのような、より厳しい薄膜化が要求される用途にも適用することが可能であり、本発明の粘着シートを用いることで、収納時には小さく、使用時には大画面で視認性に優れるフレキシブルディスプレイの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートを示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の詳細を説明する。なお、本明細書では、「アクリル系共重合体(A)」を「共重合体(A)」、「偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シート」を「粘着シート」、「炭素数8~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a-1)」を「モノマー(a-1)」、「炭素数1~7のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a-2)」を「モノマー(a-2)」、「ヒドロキシ基を有するモノマー、またはカルボキシ基を有するモノマー(a-3)」を「モノマー(a-3)」、「モノマー(a-1)~(a-3)と共重合可能なその他モノマー(a-4)」を「モノマー(a-4)」と称することがある。
なお、本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
また、「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
【0026】
「粘着シート」
本発明の粘着シートは、偏光板を有しないフレキシブルディスプレイを形成するために用いられる。しかし、偏光板を有するフレキシブルディスプレイに対し、薄膜化や省材化の点で貢献できるのであればこの限りではない。
粘着シートは剥離フィルムの剥離層上に、もしくは基材フィルム上に、粘着剤を公知の方法で塗工することにより形成することができる。
【0027】
<粘着剤層>
本発明の粘着剤層は、膜厚が50μmのときの波長405nmの光透過率が40%以下である。好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。波長405nmの光透過率が40%以下であることにより十分な耐光性を発現できる。
粘着剤層は、アクリル系共重合体(A)と、必要に応じて硬化剤、および紫外線吸収剤等を含んだアクリル系粘着剤を、公知の方法で剥離フィルムまたは基材フィルムの上に薄膜形成させたシートである。
【0028】
さらに、本発明の粘着剤層は、膜厚が50μmのときの波長380nmの光透過率が6%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%未満である。波長380nmの光透過率が6%以下であることにより、さらに良好な耐光性を発現できる。
【0029】
さらに、本発明の粘着剤層は、膜厚が50μmのときの波長420nmの光透過率が40%以上であることが好ましく、より好ましくは55%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。波長420nmの光透過率が40%以上であることにより十分な視認性を確保できる。
【0030】
また、粘着剤層の膜厚が50μm以外の場合は、各波長の光透過率が、膜厚が50μmのときにどのような値となるか、換算により求めることが出来る。換算方法としては、ランベルト・ベールの法則に従い、膜厚X(μm)における透過率がT(X)のとき、膜厚50μmでの光透過率T(50)は、T(50)=T(X)
(50/X)となる。
例えば膜厚が100μmのときの波長420nmの光透過率が16%の場合、膜厚が50μmのときの光透過率T(50)は、T(50)=0.16(100)
(50/100)=0.16(1/2)=0.4、つまり40%となり、本発明の上限値となる。
【0031】
(アクリル系共重合体(A))
アクリル系共重合体(A)は、モノマー混合物の共重合体である。
アクリル系共重合体(A)を構成するモノマーとしては、下記モノマー(a-1)~(a-4)に分類できる。
(a-1)炭素数8~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-2)炭素数1~7のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-3)ヒドロキシ基を有するモノマー、またはカルボキシ基を有するモノマー
(a-4)モノマー(a-1)~(a-3)と共重合可能なその他モノマー
【0032】
[モノマー(a-1)]
モノマー(a-1)は、炭素数8~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、具体的には、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、などが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸リノール、(メタ)アクリル酸アラキドルおよび/またはこれらの分岐アルキル等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシルが屈曲性の観点より好ましい。
【0033】
アクリル系共重合体(A)は、モノマー(a-1)を含むモノマー混合物の共重合体であることで、側鎖に凝集力を生み出す置換基を有することになる。これにより、屈曲性に優れる粘着シートにすることができるために好ましい。
【0034】
モノマー(a-1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、50~99.9質量%であることが好ましく、60~99質量%がより好ましく、70~98質量%がさらに好ましい。含有率が99.9質量%以下であることで(a-3)を十分に含み、硬化剤との架橋により凝集力を得やすい。また、含有量が50質量%以上であることで凝集力と屈曲のための緩和性を両立しやすくなるために好ましい。
【0035】
[モノマー(a-2)]
モノマー(a-2)は、炭素数1~7のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチルおよび/またはこれらの分岐アルキル等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸メチルが、粘着力の観点より好ましい。
【0036】
モノマー(a-2)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、1~69質量%であることが好ましく、2~49質量%がより好ましく、3~39質量%がさらに好ましい。含有率が69質量%以下であることで(a-1)を十分に含み、凝集力と屈曲のための緩和性を両立しやすくなる。また、含有量が1質量%以上であることで凝集力を付与し強い粘着力を発現しやすくなるために好ましい。
【0037】
[モノマー(a-3)]
モノマー(a-3)は、ヒドロキシ基を有するモノマー、またはカルボキシ基を有するモノマーである。
【0038】
ヒドロキシ基を有するモノマーは、分子内にヒドロキシ基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、などが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルが凝集力および粘着力の観点より好ましい。
【0039】
カルボキシ基含有モノマーは、分子内にカルボキシ基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸、アクリル酸p-カルボキシベンジル、アクリル酸β-カルボキシエチル、マレイン酸、モノエチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸が凝集力および粘着力の観点より好ましい。
【0040】
アクリル系共重合体(A)は、モノマー(a-3)を含有することで、粘着剤の凝集力が向上し、強靭な粘着剤層が得られ、粘着力を向上することができるためにより好ましい。
【0041】
モノマー(a-3)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、0.2~5質量%がより好ましく、0.3~3質量%がさらに好ましい。ヒドロキシ基を有するモノマー、およびカルボキシ基を有するモノマーの両方を含有する場合には、合計量が、モノマー混合物100質量%中、0.1~10質量%含まれることが好ましく、0.2~5質量%がより好ましく、0.3~3質量%がさらに好ましい。
含有率が0.1質量%以上であることで十分な凝集力を得やすくなり、10質量%以下であることで凝集力と緩和性を両立しやすくなるために好ましい。
ヒドロキシ基を有するモノマー、およびカルボキシ基を有するモノマーの両方を含有することが、それぞれを単独で含有する場合よりも、凝集力と緩和性を両立しやすくなる観点で好ましい。
【0042】
[モノマー(a-4)]
モノマー(a-4)は、モノマー(a-1)~(a-3)と共重合可能な、その他モノマーであり、本発明のアクリル系共重合体(A)は、モノマー(a-1)~(a-3)に加えて、さらにモノマー(a-4)を含んでもよい。
モノマー(a-4)は、モノマー(a-1)~(a-3)以外のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸モノマー、アミノ基を有する(メタ)アクリル酸モノマー、アルキレンオキシ基を有するモノマー、その他ビニルモノマー等が挙げられる。
【0043】
エポキシ基を有するモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0044】
アミノ基を有するモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステル等が挙げられる。
【0045】
アルキレンオキシ基を有するモノマーは、例えば、下記一般式(1)で示すモノマー、または一般式(2)で示すモノマーが挙げられる。
【0046】
【0047】
【0048】
一般式(1)および一般式(2)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基、n、mは、繰り返し単位を表す整数であり、1≦n≦25、1≦m≦25であり、1≦n≦13、1≦m≦5が好ましい。
【0049】
一般式(1)で示すモノマーの市販品は、例えば、メトキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=1)、メトキシジエチレングリコールアクリレート(大阪有機化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=2)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(大阪有機化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=3)、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=9)、メトキシポリエチレングリコール#600アクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=13)、メトキシポリエチレングリコール#1000アクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=23)、メトキシジエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1がメチル基、n=2)、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1がメチル基、n=3)、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1がメチル基、n=4)、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=9)、メトキシポリエチレングリコール#600メタクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=13)、メトキシポリエチレングリコール#1000メタクリレート(新中村化学工業社製:上記式(1)において、R1が水素原子、n=23)が挙げられる。
【0050】
一般式(2)で示すモノマーの市販品は、例えば、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート(新中村化学工業社製:上記式(2)において、R2が水素原子、m=3)、メトキシトリプロピレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製:上記式(2)において、R2がメチル基、m=3)
【0051】
ビニルモノマーは、例えば酢酸ビニル、クロトン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルな等が挙げられる。
【0052】
モノマー(a-4)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、1~50質量%であることが好ましい。モノマー(a-1)~(a-3)による性能発現を妨げないためである。
【0053】
[アクリル系共重合体(A)の製造]
アクリル系共重合体(A)は、モノマー混合物を重合し、製造することができる。重合は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合など公知の重合方法が可能であるが、溶液重合が好ましい。溶液重合で使用する溶媒は、例えば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アニソール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが好ましい。重合温度は、60~120℃の沸点反応が好ましい。重合時間は、5~12時間程度が好ましい。
【0054】
重合に使用する重合開始剤は、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤は、過酸化物およびアゾ化合物が一般的である。過酸化物は、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3などのジアルキルパーオキサイド;t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル;シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート、などのパーオキシケタール;クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルシクロヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ビス(t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0055】
アゾ化合物は、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(略称:AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などの2,2’-アゾビスブチロニトリル;2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などの2,2’-アゾビスバレロニトリル;2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などの2,2’-アゾビスプロピオニトリル;1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)などの1,1’-アゾビス-1-アルカンニトリル等が挙げられる。
【0056】
重合開始剤は、前記モノマー混合物100質量部に対して、0.01~10質量部を使用することが好ましく、0.02~2質量部がより好ましい。
【0057】
[質量平均分子量(Mw)]
共重合体(A)の質量平均分子量は、80万~180万が好ましく、90万~170万がより好ましく、100万~150万がさらに好ましい。80万~180万の範囲にあると凝集力がより向上し、ひずみ適性等の屈曲性、および経時後粘着力がより向上する。なお、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定するポリスチレン換算の値である。
【0058】
(硬化剤(B))
硬化剤は、共重合体(A)が有するヒドロキシ基および/または、カルボキシ基と反応することで、粘着剤層の凝集力が向上し、屈曲性や粘着力が向上する。
【0059】
硬化剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、または金属キレート等が挙げられる。これらのうち、硬化剤として、イソシアネート化合物を使用することで、屈曲性が向上できるために好ましい。
【0060】
イソシアネート化合物は、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネートである。イソシアネート化合物は、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等のイソシアネートモノマー、ならびにこれらのビュレット体、ヌレート体、およびアダクト体が好ましい。
【0061】
芳香族ポリイソシアネートは、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
【0062】
脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0063】
芳香脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0064】
脂環族ポリイソシアネートは、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI、イソホロンジイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0065】
前記ビュレット体は、イソシアネートモノマーが自己縮合したビュレット結合を有する自己縮合物である。ビュレット体は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体が挙げられる。
【0066】
前記ヌレート体は、イソシアネートモノマーの3量体である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、イソホロンジイソシアネートの3量体、トリレンジイソシアネートの3量体などが挙げられる。
【0067】
前記アダクト体は、イソシアネートモノマーと2官能以上の低分子活性水素含有化合物が反応した2官能以上のイソシアネート化合物である。アダクト体は、例えば、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、1,6-ヘキサンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物等が挙げられる。
【0068】
イソシアネート化合物は、十分な架橋構造を形成する観点から、3官能のイソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物は、イソシアネートモノマーと3官能の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体、及びヌレート体がより好ましい。イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのヌレート体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのヌレート体が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体がより好ましい。
【0069】
エポキシ化合物は、例えばグリセリンジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1、3-ビス(N、N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン等が挙げられる。
【0070】
アジリジン化合物は、例えばN,N’-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1、3、5-トリアジン、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
【0071】
カルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネート化合物を脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドが好ましい。前記高分子量ポリカルボジイミドの市販品は、日清紡績社のカルボジライトシリーズが好ましい。その中でもカルボジライトV-03、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
【0072】
金属キレートは、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロムおよびジルコニウムなどの多価金属と、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルとの配位化合物が好ましい。金属キレートは、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレートが挙げられる。
【0073】
硬化剤は、共重合体(A)100質量部に対して0.01~1質量部含むことが好ましく、0.05~0.5質量部含むことがより好ましく、0.1~0.3質量部含むことがより好ましい。含有量が0.01質量部以上になると凝集力がより向上し、1質量部以下になると凝集力と屈曲性を両立しやすくなるために好ましい。
【0074】
(紫外線吸収剤(C))
本発明の粘着シートは、特定波長の光透過率を制御するべく、紫外線吸収剤を含有する。偏光板のない構成において、紫外線吸収剤を使用することにより紫外線の影響で劣化しやすい有機EL素子の保護が可能となる。
【0075】
前記紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がより好ましい態様である。
【0076】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、BASF社製であれば、チヌビン 928、チヌビンPS、チヌビン384-2、チヌビン900、チヌビン970、チヌビン928、チヌビン1130、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン326 FL、チヌビン328、チヌビン329、チヌビン213、チヌビン571、住友化学社製であればスミソーブ250等が挙げられる。これらのうち波長405nmの光を吸収する材料を使用することができ、好ましくは、チヌビン970等が挙げられる。
【0077】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、BASF社製であれば、チノソーブS、チヌビン460、チヌビン400、チニビン405、チヌビン477、チヌビン479、チヌビン1577等が挙げられ、ADEKA社製であれば、アデカスタブLA46、アデカスタブLA-F70等が挙げられる。これらのうち波長405nmの光を吸収する材料を使用することができ、好ましくは、チヌビン477、アデカスタブLA-F70等が挙げられる。
【0078】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸(無水及び三水塩)、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2´,4,4´-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2´-ジヒドロキシ-4,4-ジメトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。これらのうち波長405nmの光を吸収する材料を使用することができる。
【0079】
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニル-2-アクリロイルオキシベンゾエ-ト、フェニル-2-アクロリイルオキシ-3-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-4-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-5-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-3-メトキシベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-3-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-4メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンゾエ-ト、フェニル2-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエ-ト等を挙げることができる。これらのうち波長405nmの光を吸収する材料を使用することができる。
【0080】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、アルキル-2-シアノアクリレート、シクロアルキル-2-シアノアクリレート、アルコキシアルキル-2-シアノアクリレート、アルケニル-2-シアノアクリレート、アルキニル-2-シアノアクリレート等を挙げることができる。これらのうち波長405nmの光を吸収する材料を使用することができる。
【0081】
紫外線吸収剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、前記紫外線吸収剤の全体としての含有量は、前記アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.3~5質量部であることがより好ましく、0.5~3重量部であることが更に好ましく、0.7~3重量部であることが特に好ましく、1~3重量部であることが最も好ましい。紫外線吸収剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、粘着剤層の紫外線吸収機能を十分に発現することでき、紫外線吸収剤の含有量を5質量部以下とすることで、経時後においても紫外線吸収剤がブリードアウトを抑え強力な粘着力を発現できるため好ましい。
【0082】
本発明の粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、所望により各種樹脂や添加剤を添加することができる。例えば、タッキファイヤ、シランカップリング剤、熱または光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、抗菌剤、保湿剤、ビタミン類、顔料、染料、香料などを挙げることができる。これらは、必要に応じて有効量を配合する。
【0083】
(基材)
基材としては、特に制限されないが、透明プラスチック基材を好適に用いることができる。透明プラスチック基材の素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリシクロオレフィン等のプラスチック材料などが挙げられる。なお、プラスチック材料は単独で又は2 種以上組み合わせて使用することができる。
【0084】
前述のような透明プラスチック基材のなかでも、耐熱性が優れた透明プラスチック基材、すなわち、高温、高温高湿などの苛酷な条件下において、変形が抑制または防止されている透明プラスチック基材を好適に用いることができる。透明プラスチック基材としては、特に、PETやPENフィルム又はシートが好適である。
【0085】
透明プラスチック基材の厚さは、特に限定されず、例えば、10~200μmが好ましく、25~150μmがより好ましい。
【0086】
本発明において粘着剤の塗工方法は、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ-ター、スピンコーター等が挙げられる。乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては粘着剤の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通常60~130℃程度の熱風加熱でよい。
【0087】
本発明の粘着シートは、(ア)剥離処理されたフィルムの剥離処理面に粘着剤を塗工、乾燥し、基材を粘着剤層の表面に積層したり、(イ)基材に粘着剤を直接塗工、乾燥し、粘着層の表面に剥離処理されたフィルムの剥離処理面を積層したりすることによって得ることができる。
【0088】
粘着剤層の厚さは、0.1~300μmであることが好ましく、1~200μmであることがより好ましく、3~150μmであることが更に好ましい。0.1μm以上で十分な粘着力、紫外線吸収機能が得られ、300μm以下であれば粘着剤層が着色しても視認性を確保できる。粘着剤層の厚さは0.1~300μmであることで、十分な粘着力と紫外線吸収機能を両立できる
【0089】
「積層体」
積層体は、被着体とアクリル系粘着剤層を備え、前記粘着剤層は、本発明の粘着シートを用いて形成される。
具体的には、例えば、本発明の偏光板レスフレキシブルディスプレイ用粘着シートから剥離フィルムを剥離し、基材(カバーパネル)、タッチセンサー(透明導電層、屈折率調整層、保護層が最外層の場合を含む)、補強金属板、光学素子等の被着体に粘着剤層を貼り付けて積層体を形成することができる。
【0090】
図1に、本発明の粘着シートの使用例である、粘着シートを示す概略断面図の例を示す。
図1において1は粘着剤層、2は剥離フィルムである。
【0091】
図2に、本発明の粘着シートの使用例である、積層体を部分的に示す概略断面図の例を示す。
図2において3は基材、1は粘着剤層1、4はタッチセンサーである。
【0092】
図2で示される積層体では、基材が、本発明の粘着剤からなる粘着剤層を介して、タッチセンサーに貼付されている。このように、本発明の粘着シートは、アクリル系粘着剤から形成されたアクリル系粘着剤層が、基材(カバーパネル)およびタッチセンサーに貼付される形態で用いることができる。
【0093】
基材(カバーパネル)としては、特に制限されないが、透明プラスチック基材や極薄ガラス(UTG)基材を好適に用いることができる。透明プラスチック基材の素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリイミド等のプラスチック材料などが挙げられる。なお、プラスチック材料やガラス材料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0094】
基材(カバーパネル)としては、前述のような透明プラスチック基材の場合には、耐熱性が優れた透明プラスチック基材、すなわち、高温、高温高湿などの苛酷な条件下において、変形が抑制または防止されている透明プラスチック基材を好適に用いることができる。透明プラスチック基材としては、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロオレフィン、ポリイミドが好適である。
【0095】
基材(カバーパネル)の厚さは、特に限定されず、例えば、100~2000μmが好ましく、200~1000μmがより好ましい。
【0096】
「フレキシブルディスプレイ」
フレキシブルディスプレイは、光学素子とアクリル系粘着剤層を備え、前記粘着剤層は、本発明の粘着シートを用いて形成される。
フレキシブルディスプレイは、柔軟性があるために折り曲げたり捻じったりしても破損しない耐性を有し、光学素子としては特に限定されず、例えば、液晶素子、有機EL素子等が挙げられる。
【0097】
光学素子は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子層(以下、OLED層)、液晶素子層等の変形可能な画像表示部であり、湾曲、折り曲げ等平面状態から何らかのひずみ変形が可能な部材である。前記変形は一時的または恒久的な変形を問わない。
OLED層は、例えば、フィルム基材上に陽極、正孔注入/輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極、封止材、無機バリア層が順次積層された構成が挙げられる。OLED層を構成する各種材料や層構成、製造方式は既知のものを用いることができる。
【0098】
フレキシブルディスプレイは、本発明の粘着シートを用いて形成された粘着剤層を有する。
具体的には、例えば、本発明のフレキシブルディスプレイ用粘着シートから帯電防止処理剥離フィルムを剥離し、露出したアクリル系粘着剤層を、フィルム基材、または偏光板等の被着体に貼り付けて積層体を形成し、他の粘着剤層を介して光学素子に貼り付け、フレキシブルディスプレイとすることができる。
【0099】
図3に、本発明の粘着シートの使用例である、ディスプレイを部分的に示す概略断面図の例を示す。
図3において、3は基材(カバーパネル)、1は粘着剤層1、4はタッチセンサー、5は粘着剤層2、6は窒化ケイ素等のバリア層、7は有機EL層、8はポリイミド等の支持体、9は有機ELセルである。なお、ディスプレイの構成が
図3に限定されることはない。
【0100】
図3で示されるディスプレイでは、基材(カバーパネル)が、本発明の粘着シートにより形成されてなる粘着剤層1を含む粘着シートを介して、タッチセンサーに貼付され、さらにタッチセンサー用粘着剤層(粘着剤層2)を介して有機ELセルに貼付され、フレキシブルディスプレイとすることができる。
【0101】
また、
図3で示されるタッチセンサー用粘着剤層(粘着剤層2)を形成するために用いることもでき、その場合、具体的には、例えば、本発明のフレキシブルディスプレイ用粘着シートから剥離フィルムを剥離し、露出したアクリル系粘着剤層を光学素子に貼り付けて積層体を形成し、次に他方の剥離フィルムを剥離し、タッチセンサー等を備えた積層体に貼り付けて、フレキシブルディスプレイとすることができる。
すなわち、例えば、
図3において、本発明の粘着剤は、粘着剤層1、および粘着剤層2のいずれにも用いることができる。
【0102】
ディスプレイの使用用途としては、特に制限はないが、有機ELテレビをはじめ、有機ELスマートフォン、有機ELタブレット、有機ELスマートウォッチ等が挙げられる。
【実施例】
【0103】
次に、実施例を示して更に詳細を説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。例中、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示し、「RH」は相対湿度を意味する。また、表中の配合量は、質量部である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。
なお、アクリル系共重合体の質量平均分子量は、下記に示す通りである。
【0104】
<アクリル系共重合体の質量平均分子量の測定>
質量平均分子量(Mw)の測定は、島津製作所社製GPC「LC-GPCシステム」を用いた。質量平均分子量(Mw)の決定は、分子量既知のポリスチレンを標準物質とした換算で行うことができる。
装置名:島津製作所社製、LC-GPCシステム「Prominence」
カラム:東ソー社製GMHXL 4本、東ソー社製HXL-H 1本を連結した。
移動相溶媒: テトラヒドロフラン
流量: 1.0ml/分
カラム温度: 40℃
【0105】
<アクリル系共重合体の製造例>
(アクリル系共重合体(A-1))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に、酢酸エチル100部、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)90部、アクリル酸ブチル(BA)9部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)0.5部、アクリル酸(AA)0.5部、開始剤として、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(以下、単に「AIBN」と記述する。)0.05部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、68℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を68℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈して不揮発分30%のアクリル系共重合体(A-1)溶液を得た。得られたアクリル系共重合体(A-1)の質量平均分子量は120万であった。
【0106】
(アクリル系共重合体(A-2~A-6)
表1記載の組成および配合量(質量部)に変更した以外は、アクリル系共重合体(A-1)の製造と同様の方法でアクリル系共重合体(A-2~A-6)を製造した。
【0107】
得られた粘着剤(A-1~A-6)の質量平均分子量(Mw)を表1に示す。
【0108】
【0109】
表中の略号は以下の通りである。
(モノマー(a-1))
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル(アルキル基の炭素数8)
LMA:メタクリル酸ラウリル(アルキル基の炭素数12)
(モノマー(a-2))
BA:アクリル酸ブチル
MA:アクリル酸メチル
(モノマー(a-3))
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
AA:アクリル酸
【0110】
(実施例1)
<粘着剤の調製>
アクリル系共重合体(A-1)不揮発分100部に対して、硬化剤としてトリレンジイソシアネート-トリメチロールプロパンアダクト体0.2部、紫外線吸収剤としてチヌビン970を1部、さらに不揮発分が20%となるように酢酸エチルを配合し撹拌してアクリル系粘着剤を得た。
【0111】
<粘着シートの製造>
重剥離フィルムの剥離剤層上に、得られたアクリル系粘着剤を、乾燥後の厚さが50μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥することで粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に、軽剥離フィルムの剥離剤層を貼り合せ、温度25℃相対湿度55%の条件で1週間熟成させて、粘着シートを得た。
【0112】
(実施例2~11、比較例1)
表2に示す通りに、アクリル系共重合体、硬化剤、紫外線吸収剤の種類と配合量(質量部)を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~11、比較例1のアクリル系粘着剤を得た。その後、実施例1と同様にして、実施例2~11、比較例1の粘着シートを製造した。
【0113】
《粘着シートの評価》
得られた粘着シートを用いて、紫外線(UV)透過性、耐光性、視認性、ひずみ適性、および経時後粘着力を評価した。結果を表2に示す。
【0114】
<紫外線(UV)透過率>
得られた粘着シートから両剥離フィルムを剥離し、分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ株式会社製)を使用して波長380nm、405nm、420nmの紫外線透過率を測定した。
【0115】
<耐光性>
上記の粘着シートについて、紫外線フェードメーターU48(スガ試験機株式会社製)を使用してカーボンアークランプにより48時間の耐光性試験を行い、波長360~440nmの分光透過率を積算した値の試験前後の差分(%)の評価を行った。評価基準は下記の通りである。
[評価基準]
◎:積算値の差分が2%以下、優良。
〇:積算値の差分が2%超~5%以下、良好。
△:積算値の差分が5%超~10%以下、実用上問題なし。
×:積算値の差分が10%超、実用上問題あり。
【0116】
<視認性>
上記の試料(経時試験前)について色差計を用いてb*値の評価を行った。評価基準は下記の通りである。
[評価基準]
◎:b*値が3以下、優良。
〇:b*値が3超えて5以下、良好。
△:b*値が5超えて7以下、実用上問題なし。
×:b*値が7超える、実用上問題あり。
【0117】
<ひずみ適性>
得られた粘着シートから軽剥離フィルムを粘着剤層から剥がし、露出した粘着剤層をポリイミドフィルムにラミネートした。次いで重剥離フィルムを粘着剤層から剥がし、露出した粘着剤層を易接着PETフィルムにラミネートした。ラミネート物をオートクレーブに投入し50℃20分間保持した。次に、ラミネート物を取り出し23℃-50%RHで30分間静置した後、幅70mm・長さ100mmの大きさに準備して、易接着PETフィルム/粘着剤層/ポリイミドからなる試験用積層体を得た。次いで試験用積層体を、25℃、50%RH雰囲気において面状体無負荷捻回試験機(ユアサシステム機器社製)にて左右に捻じ曲げた後、捻じ曲げる前の状態に戻るまでを1サイクルとして20万サイクルを繰り返し行った。試験はN=5で行い、試験後の外観を評価した。評価基準は以下の通り。
[評価基準]
◎:5回とも気泡の発生、浮き・ハガレが全く認められず、優良。
〇:1回のみ気泡の発生、浮き・ハガレがわずかに認められる、良好。
△:2または3回の頻度で気泡の発生、浮き・ハガレがわずかに認められる、実用上問題なし。
×:1回でも気泡の発生、浮き・ハガレが顕著に認められる、実用上問題あり。
【0118】
<経時後粘着力>
得られた粘着シートから軽剥離フィルムを粘着剤層から剥がし、露出した粘着剤層を易接着PETフィルムにラミネートした。次いで重剥離フィルムを粘着剤層から剥がし、露出した粘着剤層をポリイミドフィルムにラミネートした。得られた易接着PETフィルム/粘着剤層/ポリイミドを幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃-50%RHの雰囲気下で、2kgロールを1往復して圧着した。その後、40℃条件下のオーブンに240時間静置し、オーブンから取り出した後空冷した。引張試験機を用いて、23℃環境下、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着剤層とポリイミド間の粘着力を測定した。評価基準は以下の通りである。
[評価基準]
◎:20N/25mm以上、優良。
〇:15N/25mm以上、20N/25mm未満、良好。
△:10N/25mm以上、15N/25mm未満、実用上問題なし。
×:10N/25mm未満、実用上問題あり。
【0119】
【0120】
表中の略号は以下の通りである。
<硬化剤>
TDI-TMP:トリレンジイソシアネート-トリメチロールプロパンアダクト体
<紫外線吸収剤>
C-1:BASF社製 チヌビン970(ベンゾトリアゾール系)
C-2:BASF社製 チヌビン477(トリアジン系)
C-3:ADEKA社製 アデカスタブLA-F70(トリアジン系)
【0121】
表2の結果から実施例1~11の粘着シートは、耐光性およびひずみ適性に加えて、経時後粘着力のすべてが良好であることが確認できた。これにより、本発明の粘着シートを使用した積層体および、ディスプレイは、耐光性、ひずみ適性、経時後粘着力に優れている。さらには、本発明のディスプレイは、利便性と同時に視認性も優れていた。一方、比較例1の粘着シートは、前記特性の全てを満たすことはできなかった。
【符号の説明】
【0122】
1 粘着剤層1
2 剥離フィルム
3 フィルム基材(カバーパネル)
4 タッチセンサー
5 粘着剤層2
6 バリア層
7 有機EL層
8 支持体
9 有機ELセル
【要約】
【課題】
従来よりも耐光性、ひずみ適性に優れ、さらに経時後粘着力の両立を達成可能な粘着シート、粘着剤および該積層体、さらにはディスプレイの提供。
【解決手段】
アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)および紫外線吸収剤(C)を含む粘着剤層(X)を有する偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートであって、
前記粘着剤層(X)の膜厚が50μmのときの波長405nmの光透過率が40%以下である、
偏光板レス型フレキシブルディスプレイ用粘着シートにより解決される。
【選択図】
図1