(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】pH中和処理装置およびpH中和処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/66 20230101AFI20230206BHJP
【FI】
C02F1/66 530P
C02F1/66 510S
C02F1/66 522A
C02F1/66 530B
C02F1/66 530C
C02F1/66 530D
C02F1/66 530G
C02F1/66 530K
C02F1/66 530L
C02F1/66 530Q
(21)【出願番号】P 2018092331
(22)【出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-04-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500518131
【氏名又は名称】近畿基礎工事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505136790
【氏名又は名称】株式会社エイエスイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋本 佳央
(72)【発明者】
【氏名】伊達 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】坂 裕介
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-113853(JP,A)
【文献】特開2008-161782(JP,A)
【文献】特開昭62-269796(JP,A)
【文献】特開2001-170653(JP,A)
【文献】特開2008-194657(JP,A)
【文献】特開2006-084386(JP,A)
【文献】特開平5-96285(JP,A)
【文献】特開平6-343979(JP,A)
【文献】特開2004-243277(JP,A)
【文献】特開平5-23674(JP,A)
【文献】登録実用新案第3118487(JP,U)
【文献】米国特許第5183562(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/66 - 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH中和剤を収容するためのpH中和剤槽と、原水をpH中和処理するとともにそれにより得られるpH中和処理水を収容するためのpH中和処理水槽と、前記原水を前記pH中和処理水槽に供給する原水供給通路と、前記pH中和剤槽から前記pH中和剤を供給するpH中和剤供給通路と、前記pH中和剤供給通路から供給された前記pH中和剤を前記pH中和処理水槽から取り出した前記pH中和処理水と混合することにより希釈して前記pH中和処理水槽に供給するpH中和剤希釈通路と、前記原水のpHおよび流量から前記原水のpH中和処理に必要な前記pH中和剤の流量を演算して前記pH中和処理水槽に供給する1次機構ならびに前記pH中和処理水のpHおよび水量に基づいて前記pH中和処理水のさらなるpH中和処理に必要な前記pH中和剤の流量を演算して前記pH中和処理水槽に供給する2次機構を有するpH中和剤供給制御装置と、を備え、
前記pH中和剤供給通路は前記pH中和剤希釈通路に接続しており、
前記pH中和剤は、強酸である硫酸の1種類の中和剤のみを用い、
前記pH中和処理水槽は1槽であり、
前記pH中和剤供給制御装置は、前記pH中和剤の最大の流量に対して0.001倍以下の流量の割合で段階的に流量制御ができるpH中和処理装置。
【請求項2】
前記原水を収容するための原水槽と、前記pH中和処理水槽から流出する前記pH中和処理水を放流水として収容するための放流水槽と、をさらに備える請求項1に記載のpH中和処理装置。
【請求項3】
前記放流水を前記放流水槽から取り出して前記原水槽に戻すことにより還流するための放流水還流通路、をさらに備える請求項2に記載のpH中和処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のpH中和処理装置を用いる前記原水のpH中和処理方法であって、
前記pH中和剤を前記pH中和剤供給通路および前記pH中和剤希釈通路を通じて前記pH中和処理水槽に供給する際に、
前記pH中和剤供給制御装置を用いて、前記原水のpHおよび流量から前記原水のpH中和処理に必要な前記pH中和剤の流量を演算して前記pH中和処理水槽に供給することにより前記原水のpH中和処理を行う1次pH中和処理工程と、
前記pH中和剤供給制御装置を用いて、前記pH中和処理水のpHおよび水量に基づいて前記pH中和処理水のさらなるpH中和処理に必要な前記pH中和剤の流量を演算して前記pH中和処理水槽に供給することにより前記pH中和処理水のさらなるpH中和処理を行う2次pH中和処理工程と、を備え
、
前記pH中和剤は、強酸である硫酸の1種類の中和剤のみを用い、
前記pH中和処理水槽は1槽であり、
前記pH中和剤供給制御装置は、前記pH中和剤の最大の流量に対して0.001倍以下の流量の割合で段階的に流量制御するpH中和処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pH中和処理装置およびpH中和処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高濃度の酸またはアルカリ(塩基)の排水をpH中和処理、たとえば、建設現場などにおける高濃度アルカリ排水のpH中和処理においては、排水の原水のpHおよび流量が大きく変動し、また、排水の原水中に含まれるコンクリート粒子からのアルカリ分の溶出があるため、従来のpH中和処理におけるpH調整は、1段階で行うことが困難であることから、以下の2段階で行われている。すなわち、第1段階において硫酸などを用いてpHを11程度に調整し、第2段階において炭酸ガスを用いてpHを5.8~8.6(河川に放流する場合)または5.0~9.0(下水に放流する場合)の中性領域に調整している。このため、従来のpH中和処理においては、pH中和処理後の放流水のpH変動を抑制確実なpH中和を行うのに、大型の処理装置が必要である。
【0003】
特開2008-194657号公報(特許文献1)は、小さな水槽で短時間に高アルカリ排水を効率よく中和することを目的として、下部で連通するように仕切壁で仕切られ、第1・第2処理水槽となる高アルカリ処理用水槽と、高アルカリ処理用水槽の第1処理水槽に高アルカリ排水を供給する高アルカリ排水供給装置と、高アルカリ処理用水槽の第2処理水槽から第1処理水槽への高アルカリ排水を循環させる高アルカリ排水循環通路と、高アルカリ排水循環通路に介装された高アルカリ排水に塩酸や硫酸を混合して第1の中和をする第1のラインミキサーと、高アルカリ処理用水槽の第2処理水槽と上部で連通し、下部で連通するように仕切壁で仕切られ、第1・第2処理水槽となる炭酸ガス処理用水槽と、炭酸ガス処理用水槽の第2処理水槽から第1処理水槽へ炭酸ガス処理を行う第1の中和処理された排水を循環させる炭酸ガス処理排水循環通路と、炭酸ガス処理排水循環通路に介装された第1の中和処理された排水に炭酸ガスを混合して中和を完了させる第2のラインミキサーと、炭酸ガス処理用水槽の第2処理水槽より外部へ処理された排水を排出する排出装置とからなるpH中和処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2008-194657号公報(特許文献1)に開示のpH中和処理装置は、pH中和処理のための水槽の構造を工夫することにより水槽の小型化を図ることを目的とするが、pH中和処理に際して強酸である塩酸や硫酸と過剰に剤投入をしても問題の少ない弱酸である炭酸ガスとの2種類のpH中和剤を用いること、および、強酸を用いる高アルカリ処理用水槽と弱酸を用いる炭酸ガス処理用水槽と(すなわち2つの水槽)を含むことから、pH中和処理時間の短縮化が難しいため、pH処理装置の小型化が難しいという問題点がある。
【0006】
そこで、上記の問題点を解決するため、小型の装置で確実なpH中和処理が可能なpH中和処理装置およびpH中和処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様にかかるpH中和処理装置は、pH中和剤を収容するためのpH中和剤槽と、原水をpH中和処理するとともにそれにより得られるpH中和処理水を収容するためのpH中和処理水槽と、原水をpH中和処理水槽に供給する原水供給通路と、pH中和剤槽からpH中和剤を供給するpH中和剤供給通路と、pH中和剤供給通路から供給されたpH中和剤をpH中和処理水槽から取り出したpH中和処理水と混合することにより希釈してpH中和処理水槽に供給するpH中和剤希釈通路と、原水のpHおよび流量から原水のpH中和処理に必要なpH中和剤の流量を演算してpH中和処理水槽に供給する1次機構ならびにpH中和処理水のpHおよび水量に基づいてpH中和処理水のさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤の流量を演算してpH中和処理水槽に供給する2次機構を有するpH中和剤供給制御装置と、を備え、pH中和剤供給通路はpH中和剤希釈通路に接続している。本態様のpH中和処理装置は、上記1次機構および2次機構を有するpH中和剤供給制御装置を備え、pH中和剤供給通路がpH中和剤希釈通路に接続していることから、pH中和剤供給通路から供給されたpH中和剤がpH中和剤希釈通路においてpH中和処理水槽から取り出したpH中和処理水と混合されることにより希釈されてpH中和処理水槽に供給されるため、小型の装置で確実なpH中和処理が可能である。
【0008】
本態様のpH中和処理装置において、pH中和剤供給制御装置は、pH中和剤の最大の流量に対して0.001倍以下の流量の割合で段階的に流量制御ができる。かかるpH中和処理装置は、pH中和剤の精密な流量制御ができるため、小型の装置でより確実なpH中和処理が可能である。
【0009】
本態様のpH中和処理装置において、原水を収容するための原水槽と、pH中和処理水槽から流出するpH中和処理水を放流水として収容するための放流水槽と、をさらに備えることができる。かかるpH中和処理装置は、上記原水槽、放流水槽および放流水還流通路を備えているため、小型の装置でより確実なpH中和処理が可能である。
【0010】
本発明の別の態様にかかるpH中和処理方法は、上記態様のpH中和処理装置を用いる原水のpH中和処理方法であって、pH中和剤をpH中和剤供給通路およびpH中和剤希釈通路を通じてpH中和処理水槽に供給する際に、pH中和剤供給制御装置を用いて、原水のpHおよび流量から原水のpH中和処理に必要なpH中和剤の流量を演算してpH中和処理水槽に供給することにより原水のpH中和処理を行う1次pH中和処理工程と、pH中和剤供給制御装置を用いて、pH中和処理水のpHおよび水量に基づいてpH中和処理水のさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤の流量を演算してpH中和処理水槽に供給することによりpH中和処理水のさらなるpH中和処理を行う2次pH中和処理工程と、を備える。本態様のpH中和処理方法は、pH中和剤をpH中和剤供給通路およびpH中和剤希釈通路を通じてpH中和処理水槽に供給する際に、上記1次pH中和処理工程および2次pH中和処理工程を備えるため、小型のpH中和処理装置を用いて確実なpH中和処理が可能である。
【発明の効果】
【0011】
上記によれば、小型の装置で確実なpH中和処理が可能なpH中和処理装置およびpH中和処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明のある態様にかかるpH中和処理装置の一例を示す概略説明図である。
【
図2】
図2は、本発明のある態様にかかるpH中和処理装置を用いたpH中和処理における原水、pH中和処理水および放流水のpHの変動の一例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、本発明のある態様にかかるpH中和処理装置を用いたpH中和処理における原水および放流水の流量の変動の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1:pH中和処理装置>
図1を参照して、本実施形態のpH中和処理装置1は、pH中和剤20Wを収容するためのpH中和剤槽20と、原水10WをpH中和処理するとともにそれにより得られるpH中和処理水30Wを収容するためのpH中和処理水槽30と、原水10WをpH中和処理水槽30に供給する原水供給通路13Lと、pH中和剤槽20からpH中和剤20Wを供給するpH中和剤供給通路23Lと、pH中和剤供給通路23Lから供給されたpH中和剤20WをpH中和処理水槽30から取り出したpH中和処理水30Wと混合することにより希釈してpH中和処理水槽30に供給するpH中和剤希釈通路33Lと、原水10WのpHおよび流量から原水10WのpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給する1次機構ならびにpH中和処理水30WのpHおよび水量に基づいてpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給する2次機構を有するpH中和剤供給制御装置50と、を備え、pH中和剤供給通路23LはpH中和剤希釈通路33Lに接続している。
【0014】
本実施形態のpH中和処理装置1は、上記1次機構および2次機構を有するpH中和剤供給制御装置50を備え、pH中和剤供給通路23LがpH中和剤希釈通路33Lに接続していることから、pH中和剤供給通路から供給されたpH中和剤がpH中和剤希釈通路においてpH中和処理水槽から取り出したpH中和処理水と混合されることにより希釈されてpH中和処理水槽に供給されるため、pH中和処理に要する時間(pH中和処理時間ともいう、以下同じ)が短縮されて、小型の装置で確実なpH中和処理が可能である。詳しくは、以下のとおりである。
【0015】
本実施形態のpH中和処理装置1は、pH中和剤供給制御装置50の1次機構によって、pH中和処理水30WのpHの測定を持つことなく、pH中和処理水槽30への原水10WのpHおよび流量から原水10WのpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することにより、原水10WのpHおよび水量の変動にかかわらず、迅速かつほぼ確実に原水10WのpH中和処理(1次PH中和処理または粗pH中和処理ともいう。以下同じ。)をすることができ、pH中和のために必要なpH中和処理水槽30内におけるpH中和処理水の滞留時間を短くすることができ、pH中和処理水槽30を小さくすることができる。ここで、原水10WのpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量とは、原水のpHを所望の中性領域(たとえば、河川放流の場合にはpHが5.8以上8.6以下、下水放流の場合はpHが5.0以上9.0以下)とするのに必要なpH中和剤20Wの流量をいう。
【0016】
また、本実施形態のpH中和処理装置1は、pH中和剤供給制御装置50の2次機構によって、pH中和処理水30WのpHおよび水量に基づいてpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することにより、確実にpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理(2次pH中和処理または精密pH中和処理ともいう。以下同じ。)をすることができ、pH中和処理水30Wの精密で確実なpH中和処理ができる。ここで、pH中和処理水30WのさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量とは、pH中和処理水のpHを所望の中性領域(たとえば、河川放流の場合にはpHが5.8以上8.6以下、下水放流の場合はpHが5.0以上9.0以下)とするのに必要なpH中和剤20Wの流量をいう。なお、pH中和処理水30Wの水量とは、pH中和処理水槽30内およびpH中和剤希釈通路33L内に存在するpH中和処理水30Wの水量をいう。
【0017】
また、本実施形態のpH中和処理装置1は、pH中和剤供給通路23LがpH中和剤希釈通路33Lに接続しているため、pH中和剤供給通路23Lを通るpH中和剤20WがpH中和剤希釈通路33Lを通るpH中和処理水30Wと混合して、pH中和処理水30W内に残存する不溶成分を溶解することができる。たとえば、pH中和剤である硫酸水溶液を用いて、原水であるコンクリート粒子を含むアルカリ水溶液のpH中和処理を行う場合は、pH中和剤(硫酸水溶液)により原水(コンクリート粒子を含むアルカリ水溶液)内に残存する不溶成分(コンクリート粒子)を溶解することができる。これにより、不溶成分からの流出成分(アルカリ成分)によるpH中和処理水のpH変動を抑制することができ、安定した確実なpH中和処理ができる。また、本実施形態のpH中和処理装置1は、pH中和剤供給通路23LがpH中和剤希釈通路33Lに接続しているため、pH中和剤20WはpH中和剤希釈通路33L内のpH中和処理水によってpH中和剤の濃度が希釈されて、pH中和処理水槽30内のpH中和処理水30Wに供給される。このため、pH中和処理水30WのpH中和反応の効率が高くなりpH中和処理時間が短縮されるため、pH中和処理水槽30内のpH中和処理水30WのpHの変動が抑制され、安定した確実なpH中和処理ができる。
【0018】
また、本実施形態のpH中和処理装置1は、従来のpH中和処理装置において必要とした2種類の中和剤(硫酸などの強酸と炭酸ガスなどの弱酸)を必要とせず、1種類の中和剤(硫酸などの強酸)のみを用いてpH中和処理ができるため、pH中和処理水槽を従来の少なくとも2槽から1槽に削減することが可能となり、装置の小型化を図ることができる。また、弱酸である炭酸ガスなどのpH中和剤を使用しないことにより処理コストを低減できる。
【0019】
本実施形態のpH中和処理装置1において、pH中和剤供給制御装置50は、pH中和剤20Wの最大の流量に対して0.001倍以下の流量の割合で段階的に流量制御ができることが好ましい。かかるpH中和処理装置1は、pH中和剤20Wの精密な流量制御ができるため、小型の装置でより精密で確実なpH中和処理が可能である。詳しくは、本実施形態のpH中和処理装置1は、pH中和剤供給制御装置50がpH中和剤20Wの最大の流量に対して、好ましくは0.001倍以下の流量の割合、より好ましくは0.0001倍以下の流量の割合で段階的に流量制御することにより、小型のpH中和処理水槽30で、原水10WのpHおよび流量ならびにpH中和処理水30WのpHの変動に対して、より精密で確実なpH中和調整ができる。また、pH中和処理水30WのpHの変動を抑制する観点から、pH中和剤20Wの供給流量の脈動は、その時の供給流量に対して、25%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
【0020】
本実施形態のpH中和処理装置1において、原水10Wを収容するための原水槽10と、pH中和処理水槽30から流出するpH中和処理水30Wを放流水40Wとして収容するための放流水槽40と、をさらに備えることができる。かかるpH中和処理装置1は、上記原水槽10および放流水槽40をさらに備えているため、小型の装置でより確実なpH中和処理が可能である。詳しくは、かかるpH中和処理装置1は、原水槽10に原水10Wを少なくとも一時的に収容することにより、pH中和処理水槽30への原水10Wの流量の変動を抑制することができるため、小型のpH中和処理水槽でより確実なpH中和調整ができる。また、かかるpH中和処理装置1は、放流水槽40にpH中和処理完了後のpH中和処理水30Wを放流水40Wとして少なくとも一時的に収容することにより、放流水40WのpHおよび流量の変動を抑制することができるため、小型のpH中和処理装置でより安定なpH中和調整ができる。
【0021】
本実施形態のpH中和処理装置1において、上記の原水槽10および放流水槽40に加えて、さらに放流水40Wを放流水槽40から取り出して原水槽10に戻す放流水還流通路41Lと、をさらに備えることができる。かかるpH中和処理装置1は、上記の原水槽10および放流水槽40に加えて、さらに放流水還流通路41Lを備えているため、小型の装置でさらに確実なpH中和処理が可能である。詳しくは、かかるpH中和処理装置1は、放流水40WのpHが放水基準の中性領域の範囲外である場合などに、放流水還流通路41Lを用いて放流水40Wを放流水槽40から取り出して原水槽10に戻すことができるため、小型のpH中和処理装置でより確実なpH中和調整ができる。
【0022】
図1を参照して、本実施形態のpH中和処理装置1をより具体的に説明する。本実施形態のpH中和処理装置1は、上記のようにpH中和剤槽20と、pH中和処理水槽30と、原水供給通路13Lと、pH中和剤供給通路23Lと、pH中和剤希釈通路33Lと、pH中和剤供給制御装置50と、好ましくは原水槽10と、好ましくは放流水槽40と、好ましくは放流水還流通路41Lとを備え、pH中和剤供給通路23LはpH中和剤希釈通路33Lに接続している。
【0023】
(原水槽)
原水槽10は、原水10Wを収容する。原水槽10は、原水10WのpHを測定するための原水pH計10ph、原水10Wの量を検知するための原水レベルスイッチ10c、ならびに原水10Wを原水供給通路13Lを経由してpH中和処理水槽30に供給するための原水供給ポンプ13pを備えることが好適である。
【0024】
(pH中和剤槽)
pH中和剤槽20は、pH中和剤20Wを収容する。pH中和剤槽20は、pH中和剤20Wの量を検出するためのpH中和剤レベルスイッチ20c、ならびにpH中和剤20WをpH中和剤供給通路23LおよびpH中和剤希釈通路33Lを経由してpH中和処理水槽30に供給するためのpH中和剤供給ポンプ23pを備えることが好適である。
【0025】
(pH中和処理水槽)
pH中和処理水槽30は、原水10Wを中和処理するとともにそれにより得られるpH中和処理水30Wを収容する。pH中和処理水槽30は、pH中和処理水30WのpHを測定するためのpH中和処理水pH計30ph、pH中和処理水30Wを撹拌するための攪拌機30m、ならびにpH中和処理水30WをpH中和処理水槽30からpH中和剤希釈通路33Lを経由してpH中和処理水槽30に循環させるためのpH中和処理水循環ポンプ33pを備えることが好適である。攪拌機30mは、pH中和処理水槽30内のpH中和処理水30Wを撹拌することによりそのpHを均一化できるものであれば特に制限はなく、プロペラ攪拌、ポンプ循環撹拌、超音波撹拌などが挙げられる。
【0026】
(原水供給通路)
原水供給通路13Lは、原水10WをpH中和処理水槽30に供給するための通路である。原水供給通路13Lは、原水10Wの流量を測定するための原水流量計13f、ならびに通路の開閉および流量調節のためのバルブを備えることが好適である。
【0027】
(pH中和剤供給通路)
pH中和剤供給通路23Lは、pH中和剤20WをpH中和剤槽20からpH中和処理水槽30に供給するための通路である。pH中和剤供給通路23Lは、後述するpH中和剤希釈通路33Lに接続している。pH中和剤供給通路23Lは、pH中和剤20Wの逆流を防止するための逆止弁を備えることが好適である。
【0028】
(pH中和剤希釈通路)
pH中和剤希釈通路33Lは、pH中和剤供給通路23Lから供給されたpH中和剤20WをpH中和処理水槽30から取り出したpH中和処理水30Wと混合することにより希釈してpH中和処理水槽30に供給する通路である。そのために、pH中和剤希釈通路33Lは、その始端および終端がpH中和処理水槽30に接続し、かつ、その中間部がpH中和剤供給通路23Lに接続していることが好ましい。すなわち、pH中和処理水槽30からから取り出したpH中和処理水30Wに、pH中和剤供給通路23Lから供給されたpH中和剤20Wを混合することによりpH中和剤20Wを希釈して、希釈されたpH中和剤20Wを含むpH中和処理水30WをpH中和処理水槽30に戻すことにより、pH中和処理水30Wを循環させながらpH中和剤20Wを希釈してpH中和処理水槽30に供給することができる。pH中和剤希釈通路33Lは、その通路を循環するpH中和処理水30WとpH中和剤供給通路23Lから流入するpH中和剤20Wとを混合するための混合容器33m、ならびに通路の開閉および流量調節のためのバルブを備えることが好適である。ここで、pH中和剤供給通路23LからpH中和剤希釈通路33LへのpH中和剤20Wの流入により、pH中和剤20WとpH中和剤希釈通路33Lを循環するpH中和処理水30Wとの混合が可能であるが、両者の混合性を高める観点から、混合容器33mは、たとえば、仕切壁、攪拌機、混合機などを備えていてもよい。
【0029】
(pH中和剤供給制御装置)
pH中和剤供給制御装置50は、原水10WのpHおよび流量から原水10WのpH中和処理(1次pH中和処理または粗pH中和処理)に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給する1次機構ならびにpH中和処理水30WのpHおよび水量に基づいてpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理(2次pH中和処理または精密pH中和処理)に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給する2次機構を有する。pH中和剤供給制御装置50は、上記の1次機構によって、pH中和処理水30WのpHの測定を持つことなく、pH中和処理水槽30への原水10WのpHおよび流量から原水10WのpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することにより、原水10WのpH値の大小および水量の変動にかかわらず、迅速かつほぼ確実に原水10WのpH中和処理をすることができ、pH中和のために必要なpH中和処理水槽30内におけるpH中和処理水30Wの滞留時間を短くすることができ、pH中和処理水槽30を小さくすることができる。また、pH中和剤供給制御装置50は、上記の2次機構によって、pH中和処理水30WのpHおよび水量に基づいてpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することにより、確実にpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理をすることができ、pH中和処理水30Wの精密で確実なpH中和処理ができる。
【0030】
(放流水槽)
放流水槽40は、pH中和処理水槽30から流出するpH中和処理水30Wを放流水40Wとして収容する。放流水槽40は、放流水40WのpHを測定するための放流水pH計40ph、放流水40Wの量を検知するための放流水レベルスイッチ40c、ならびに放流水40Wを後述する放流水還流通路41Lを経由して原水槽10に還流する放流水還流ポンプ41pを備えることが好適である。また、放流水40Wを放流水槽40から自然放流する場合は、放流水槽40は自然放流水通路44Lを備え、自然放流水通路44Lは自然放流水流量計44fを備えることが好適である。また、放流水40Wを放流水槽40から強制放流(たとえば放流水槽40より標高が高い場所に強制的に放流)する場合は、放流水40Wを強制放流するための強制放流ポンプ45pおよび強制放流水通路45Lを備え、強制放流水通路45Lは強制放流水流量計45fを備えることが好適である。
【0031】
(放流水還流通路)
放流水還流通路41Lは、放流水40Wを放流水槽40から取り出して原水槽10に戻すことにより還流するための通路である。放流水還流通路41Lは、通路の開閉および流量調節のためのバルブを備えることが好適である。
【0032】
<実施形態2:pH中和処理方法>
図1を参照して、本実施形態のpH中和処理方法は、実施形態1のpH中和処理装置1を用いる原水10WのpH中和処理方法であって、pH中和剤希釈通路33Lを循環するpH中和処理水30Wに、pH中和剤供給通路23Lを通じてpH中和剤20Wを供給する際に、pH中和剤供給制御装置50を用いて、原水10WのpHおよび流量から原水10WのpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することにより原水10WのpH中和処理を行う1次pH中和処理工程と、pH中和剤供給制御装置50を用いて、pH中和処理水30WのpHおよび水量に基づいてpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することによりpH中和処理水のさらなるpH中和処理を行う2次pH中和処理工程と、を備える。
【0033】
本実施形態のpH中和処理方法は、pH中和剤希釈通路33Lを循環するpH中和処理水30Wに、pH中和剤供給通路23Lを通じてpH中和剤20Wを供給する際に、pH中和剤をpH中和処理水に混合して希釈することにより撹拌効率を上げて中和反応時間を短縮するとともに、上記1次pH中和処理工程および2次pH中和処理工程を備えるため、小型のpH中和処理装置を用いて確実なpH中和処理が可能である。詳しくは、以下のとおりである。
【0034】
本実施形態のpH中和処理方法は、pH中和剤希釈通路33Lを循環するpH中和処理水30Wに、pH中和剤供給通路23Lを通じてpH中和剤20Wを供給することから、pH中和剤20WがpH中和剤希釈通路33Lを通るpH中和処理水30W(たとえばコンクリート粒子を含むアルカリ水溶液のpH中和処理水)と混合して、pH中和処理水30W内に残存する難溶解成分(たとえばコンクリート粒子)を溶解することができるため、難溶解成分からの流出成分(たとえばアルカリ成分)によるpH中和処理水のpH変動を抑制することができ、安定した確実なpH中和処理ができる。また、pH中和剤20WはpH中和剤希釈通路33L内のpH中和処理水30WによってpH中和剤20Wの濃度が希釈されて、pH中和処理水槽30内のpH中和処理水30Wに大量供給されるため、pH中和処理水槽30内のpH中和処理水30WのpH中和反応の速度が高くなり、中和の際のpHの変動が抑制され、安定した確実なpH中和処理ができる。
【0035】
本実施形態のpH中和処理方法は、1次pH中和処理工程において、原水10WのpHおよび流量から原水10WのpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することにより原水10WのpH中和処理(1次pH中和処理または粗pH中和処理)を行うため、原水10WのpHおよび水量の変動にかかわらず、迅速にかつほぼ確実に原水10WのpH中和処理(1次pH中和処理または粗pH中和処理)をすることができ、pH中和のために必要なpH中和処理水槽30内におけるpH中和処理水の滞留時間を短くすることができ、pH中和処理水槽30を小さくすることができる。ここで、原水10WのpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量とは、原水のpHを所望の中性領域(たとえば、河川放流の場合にはpHが5.8以上8.6以下、下水放流の場合はpHが5.0以上9.0以下)とするのに必要なpH中和剤20Wの流量をいう。
【0036】
本実施形態のpH中和処理方法は、2次pH中和処理工程において、pH中和処理水30WのpHおよび水量に基づいてpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することによりpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理(2次pH中和処理または精密pH中和処理とこいう。以下同じ。)を行うため、確実にpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理をすることができ、pH中和処理水30Wの精密で確実なpH中和ができる。ここで、pH中和処理水30WのさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量とは、pH中和処理水のpHを所望の中性領域(たとえば、河川放流の場合にはpHが5.8以上8.6以下、下水放流の場合はpHが5.0以上9.0以下)とするのに必要なpH中和剤20Wの流量をいう。なお、pH中和処理水30Wの水量とは、pH中和処理水槽30内およびpH中和剤希釈通路33L内に存在するpH中和処理水30Wの水量をいう。
【0037】
本実施形態のpH中和処理方法において、1次pH中和処理工程および2次pH中和処理工程は、確実で安定した精密なpH中和調整をする観点から、連続的にまたは間欠(歇)的に繰り返し行うことが好ましい。たとえば、所定時間毎に1次pH中和処理工程と2次pH中和処理工程とを繰り返し行うことが好ましい。
【0038】
本実施形態のpH中和処理方法において用いられる実施形態1のpH中和処理装置は、上述のように、pH中和剤供給制御装置50がpH中和剤20Wの最大の流量に対して0.001倍以下の流量の割合で段階的に流量制御ができることが好ましく、原水10Wを収容するための原水槽10と、pH中和処理水槽30から流出するpH中和処理水30Wを放流水40Wとして収容するための放流水槽40と、放流水40Wを放流水槽40から取り出して原水槽10に戻す放流水還流通路41Lと、をさらに備えることが好ましい。
【0039】
図1を参照して、本実施形態のpH中和処理方法をより具体的に説明する。
図1に示す実施形態1のpH中和処理装置1を用いて、たとえば、原水10Wであるコンクリート粒子を含むアルカリ水溶液をpH中和剤である硫酸水溶液によりpH中和処理をする。
【0040】
原水供給ポンプを13pを用いて原水槽10から原水10WをpH中和処理水槽30に供給する。pH中和剤供給制御装置50を用いて、原水10WのpHおよび流量から原水10WのpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することにより原水10WのpH中和処理を行う(1次pH中和処理工程)。また、pH中和剤供給制御装置50を用いて、pH中和処理水30WのpHおよび水量に基づいてpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理に必要なpH中和剤20Wの流量を演算してpH中和処理水槽30に供給することによりpH中和処理水30WのさらなるpH中和処理を行う(2次pH中和処理工程)。ここで、1次pH中和処理工程および2次pH中和処理工程は、それぞれ所定の工程時間で互いに交互に繰り返し行う。また、1次pH中和処理工程および2次pH中和処理工程におけるpH中和剤20Wの供給は、pH中和剤希釈通路33Lを循環するpH中和処理水30Wに、pH中和剤供給通路23Lを通じてpH中和剤20Wを供給することにより行う。
【0041】
本明細書において、上記実施形態のpH中和処理装置およびpH中和処理方法について、原水であるアルカリ性水溶液をpH中和剤である酸性溶液を用いてpH中和処理する例を取り上げて説明しているが、原水である酸性水溶液をpH中和剤であるアルカリ性水溶液を用いてpH中和処理する例においても同様に適用できる。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
コンクリート瓦礫が地下に大量に埋まってい新規ビルの建設現場における地下排水のpH中和処理に関して、
図1を参照して、容量2m
3の原水槽10、容量1m
3の中和剤槽20、容量2m
3のpH中和処理水槽30、および容量2m
3の放流水槽40を備えるpH中和処理装置1を用いて、原水10Wであるコンクリート粒子を含むアルカリ水溶液のpH中和処理を行った。原水10WのpHは10.5~13.5の間で大きく変動した。原水の流量は1m
3/時~20m
3/時の間で大きく変動した。原水の平均pHは11.2であり、原水の平均流量は1.5m
3/時であった。pH中和剤20Wとして63質量%の硫酸水溶液を用いた。pH中和処理水流量(pH中和処理水槽30から流出するpH中和処理水30Wの流量を意味する。以下同じ。)は20m
3/時とした。1次pH中和処理工程(工程時間:1秒)と2次pH中和処理工程(工程時間:1秒)とを交互に繰り返し行った。pH中和剤20Wの流量制御は、原水のpHおよび流量に比例させて、最大流量の0.001倍の流量で段階的に行った。また、pH中和剤20Wの供給流量の脈動は、その時の供給流量に対して10%以下であった。ここで、pH中和処理後の放流水40WのpH中和処理水槽30から放流水槽40への移動および放流水槽40からの放流はいずれも水槽からのオーバーフローによって行った。また、放流水40Wの放流水槽40から原水槽10への還流の必要はなかった。放流水の1時間当たりの平均放流水量は1日の間でも1m
3/時~20m
3/時と変動が大きかった。
【0043】
上記のpH中和処理における原水10WのpHおよび流量の変動が最も大きかったある一日の原水10WのpH、pH中和処理水30WのpH、および放流水40WのpHの変動を
図2に示した。また、同じ日の原水10Wの流量および放流水40Wの流量の変動を
図3に示した。
図2および
図3に示すように、原水10WのpHおよび流量の変動が大きかったにもかかわらず、確実に安定して精密なpH中和処理ができた。具体的には、
図2に示すpH中和処理水30WのpHは、全ての測定点において5.0~9.0(下水放流の場合の中性領域)の範囲内にあり、ほとんどの測定点において5.8~8.6(河川放流の場合の中性領域)の範囲内にあった。また、
図2に示す放流水40WのpHは、全ての測定点で5.8~8.6(河川放流の場合の中性領域)の範囲内にあった。
【0044】
また、硫酸水溶液と炭酸ガスとを用いて上記と同じ原水10W(すなわちpHが10.5~13.5の間で大きく変動し平均が11.2、流量が1m3/時~20m3/時の間で大きく変動し平均が1.5m3/時の原水)を同じ条件(すなわちpH中和処理水流量20m3/時)でpH中和処理するのに必要な従来のpH中和処理装置は、容量20m3以上の原水槽、容量1m3以上の硫酸水溶液槽、容量20m3以上の硫酸pH中和処理水槽、質量800kg以上の液体炭酸ガスボンベ、容量20m3以上の炭酸ガスpH中和処理水槽、および容量20m3以上の放流水槽を備え、これらを設置するのに必要な面積(必要設置面積)は、160m2(8m×20m)以上であった。これに加えて、従来のpH中和処理装置を用いた場合は、pH中和処理水が放流基準を超える状況がしばしば発生した。
【0045】
これに対して、本実施例で用いたpH中和処理装置1を設置するのに必要な面積(必要設置面積)は9.72m2(1.8m×5.4m)であった。すなわち、本実施例のpH中和処理装置は、従来のpH中和処理装置に比べて、pH中和処理水槽を従来の装置において少なくとも必要とされた2槽から1槽に削減し、pH中和処理水槽(本実施例のpH中和処理装置においてはpH中和処理水槽30であり、従来のpH中和処理装置においては硫酸pH中和処理水槽および炭酸ガスpH中和処理水槽である)の全容積において0.0833倍(1/12)以下で、必要設置面積において0.0625倍(1/16)以下に小型化できた。
【0046】
すなわち、本実施例のpH中和処理装置を用いたpH中和処理方法によれば、小型のpH中和処理装置を用いて確実的なpH中和処理が可能となった。
【0047】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 pH中和処理装置、10 原水槽、10W 原水、10c 原水レベルスイッチ、10ph 原水pH計、13L 原水供給通路、13f 原水流量計、13p 原水供給ポンプ、20 pH中和剤槽、20W pH中和剤、20c pH中和剤レベルスイッチ、23L pH中和剤供給通路、23p pH中和剤供給ポンプ、30 pH中和処理水槽、30W pH中和処理水、30m 撹拌機、30ph pH中和処理水pH計、33L pH中和剤希釈通路、33m 混合容器、33p pH中和処理水循環ポンプ、40 放流水槽、40W 放流水、40c 放流水レベルスイッチ、40ph 放流水pH計、41L 放流水還流通路、41p 放流水還流ポンプ、44L 自然放流水通路、44f 自然放流水流量計、45L 強制放流水通路、45f 強制放流水流量計、45p 強制放流ポンプ、50 pH中和剤供給制御装置。