(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】資料洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 11/00 20060101AFI20230206BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
B08B11/00 Z
B08B3/04 Z
(21)【出願番号】P 2018216292
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】318015002
【氏名又は名称】株式会社修護
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】君嶋 隆幸
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-180206(JP,A)
【文献】特開2006-342453(JP,A)
【文献】実開昭48-064585(JP,U)
【文献】実公昭31-017994(JP,Y1)
【文献】特開2010-053166(JP,A)
【文献】実開平04-098488(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 11/00
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
資料を載置する傾斜面と、
前記傾斜面の上部に配置され、前記傾斜面上に載置された前記資料に洗浄水を放水する放水部と、
少なくとも透水性を有して前記資料を支持する支持層を備える、前記資料から
汚損物を溶出させる養生部材と
を有し、
前記放水部により前記資料に放水された前記洗浄水は、前記資料を洗浄しながら前記傾斜面に沿って流れ落ちることを特徴とする資料洗浄装置。
【請求項2】
前記放水部は、
長手方向が前記傾斜面上の前記資料の幅方向に沿って配置された筒状体を有し、
前記筒状体は、前記長手方向に沿って複数の放水穴を有し、
前記筒状体の長手方向の一端部は閉塞され、他端部から洗浄水が供給されることを特徴とする請求項1に記載の資料洗浄装置。
【請求項3】
前記資料は、前記養生部材により挟持されて、破損防止の手当てがなされ、
前記養生部材は、さらに
前記傾斜面と前記支持との間に設けられる保水層と、
前記支持層上に載置された前記資料上に設けられる保護層と、
を有し、
前記保護層、前記保水層は、透水性を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の資料洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄水は、イオン交換水であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の資料洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、博物館等に保管される絵画や古文書、図書、印刷物、図面類等の文化財史料等の資料を洗浄する資料洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
文化財史料等の資料には、酸性物質等の汚損物が付着しているため洗浄が行われる。従来は、シンク等の容器内で、資料を水に浸けて汚損物を溶出させる洗浄を行なっていた。しかしながら、この方法では、資料から溶出した汚損物が容器内に残っているため汚損物が資料に再付着する場合があった。このため汚損物の除去が十分できない場合や、効率的かつ安全な除去が困難であった。
【0003】
特許文献1には、本の自動クリーニング装置が提案されている。このような装置では、本表面に対してブラシをかけているため重要文化財史料等の資料の洗浄には適用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文化財史料等の資料を保護しつつ汚損物の除去が十分にできる資料洗浄装置が望まれていた。
【0006】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、資料を保護しつつ汚損物の除去が十分にできる資料洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明に係る資料洗浄装置の代表的な構成は、資料を載置する傾斜面と、前記傾斜面の上部に配置され、前記傾斜面上に載置された前記資料に洗浄水を放水する放水部と、少なくとも透水性を有して前記資料を支持する支持層によって構成される、前記資料から汚損物を溶出させる養生部材と、を有し、前記放水部により前記資料に放水された前記洗浄水は、前記資料を洗浄しながら前記傾斜面に沿って流れ落ちることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、資料を保護しつつ汚損物の除去が十分にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る資料洗浄装置の構成を示す平面図である。
【
図2】(a)は、
図1のA-A断面図である。(b)は、(a)の部分拡大図である。
【
図3】傾斜面上を流れる洗浄水で洗浄される資料を保護する養生部材の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図により本発明に係る資料洗浄装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0011】
<資料洗浄装置>
図1及び
図2に示す資料洗浄装置1は、被洗浄物としての博物館等に保管される絵画や古文書、図書、印刷物、図面類等の文化財史料等の資料2を載置する傾斜面3を有しており、傾斜面3上に載置された資料2は、傾斜面3上を流れる洗浄水4により洗浄される。資料洗浄装置1は、資料2を載置する傾斜面3を有する台座5と、傾斜面3の上部に配置され、傾斜面3上に載置された資料2に洗浄水4を放水する放水部6と、を有して構成されている。
【0012】
台座5の傾斜面3の勾配角度θは、床面21(水平面)に対して10°程度が好ましい。床面21に対する台座5の傾斜面3の勾配角度θは、傾斜面3上を洗浄水4が流れる角度で、且つ養生部材10により挟まれている資料2が傾斜面3上を洗浄水4と共に押し流されない角度に適宜設定される。
【0013】
台座5は、床面21上に置かれたテーブル14上に設けられた傾斜角度調整部材15a,15bにより傾斜面3の勾配角度θが調整される。傾斜角度調整部材15a,15bは、ネジ式高さ調整機構等の公知の高さ調整機構により高さを変更することにより傾斜面3の勾配角度θを適宜調整することができる。
【0014】
台座5の傾斜面3上には、
図3に示して後述する養生部材10により挟持されて破損防止の手当てがなされた資料2が載置される。傾斜面3上を流れる洗浄水4の流れる方向(
図2の右から左に向かう方向)において、放水パイプ7の放水穴7aから放水されて傾斜面3上に落ちる洗浄水4の落下点4aよりも上流側で、且つ養生部材10の資料2の上端部よりも上流側には、長手方向に直交する方向で切ったときの断面が逆T字形状の押え部材16が設けられている。
【0015】
押え部材16の押圧部16aが養生部材10の資料2が挟まれていない箇所に当接され、クリップ部材17により押圧部16aの上面と、台座5の下面とを挟持する。これにより傾斜面3上に載置された養生部材10が傾斜面3上を流れる洗浄水4により押し流されることを防止することができる。
【0016】
台座5と傾斜角度調整部材15a,15bとは、公知の結合手段により着脱可能な構成とすることができる。放水パイプ7や押え部材16や台座5が資料洗浄装置1から着脱可能に設けられているため資料洗浄装置1の組み立てや分解が容易にでき、資料洗浄装置1を設置する場所を容易に移動することができる。
【0017】
傾斜面3上を流れることにより養生部材10により挟持されて破損防止の手当てがなされた資料2を洗浄した洗浄水4は、廃液容器19内に回収される。尚、傾斜面3上を流れた洗浄水4を直接排水する排水設備を設けた場合には、廃液容器19を省略できる。台座5の洗浄水4の流れる方向の下流側両端部には、台座5の傾斜面3の下端部から廃液容器19内に流れ落ちる洗浄水4を廃液容器19内に導く一対のガイド部材20が設けられている。ガイド部材20は、ガイド部材20を長手方向に直交する方向で切ったときの断面がL字形状で構成されている。これにより台座5の傾斜面3の下端部から廃液容器19内に勢いよく流れ落ちる洗浄水4を廃液容器19内に確実に受けることができ、資料洗浄装置1の周辺に洗浄水4が飛び散って床面21等を濡らすことがない。
【0018】
文化財等の資料2には、経年変化により酸性物質等の汚損物が付着する。傾斜面3上を流れる洗浄水4は、養生部材10を透過して資料2に到達し、資料2の下面に設けられた
図3に示す保水層11により洗浄水4が保水された状態で資料2に付着していた酸性物質等の汚損物が溶出し、資料2から溶出した酸性物質等の汚損物が傾斜面3上を流れる洗浄水4と共に押し流されて廃液容器19内に回収される。傾斜面3上を流れる洗浄水4による資料2の洗浄時間は、15分程度である。資料2の洗浄時間は、蛍光X線定量分析、pH測定、各種力学試験等による予備実験を実施して適宜設定される。蛍光X線分析は、固体試料にX線を照射し、試料中の各元素が放出する固有の波長のX線(これを蛍光X線という)を測定することで試料の元素組成を分析するものである。傾斜面3上を流れる洗浄水4による資料2の洗浄時間として、十分な流水時間を確保しているため資料2は均一に洗浄水4に浸かっている状態である。
【0019】
廃液容器19内に回収された酸性物質等の汚損物が溶出した洗浄水4は、微量の酸化物を含んだイオン交換水であるため後処理等の必要が無く、直接、下水に排水することができる。
【0020】
<放水部>
本実施形態の放水部6は、
図1の上下方向で示す長手方向が傾斜面3上に載置された資料2の幅方向(
図1の上下方向)に沿って配置された筒状体としての放水パイプ7を有している。放水パイプ7には、放水パイプ7の長手方向(
図1の上下方向)に沿って所定ピッチで複数の放水穴7aが設けられている。本実施形態の台座5は、ポリスチレンフォーム製で作成されている。ポリスチレンフォームは、吸水性が無く、
図3に示して後述する資料2が挟まれる養生部材10に対して適度の摩擦抵抗を発揮するため養生部材10の傾斜面3からの滑り落ちを抑制することができる。
【0021】
本実施形態の放水パイプ7は、外径が18mmの透明クリア樹脂を採用している。放水パイプ7の材質は、アクリル樹脂や塩化ビニル樹脂が適用できる。放水穴7aの口径は、2mmであり、複数の放水穴7aのピッチは、15mm程度である。
【0022】
放水パイプ7の長手方向の一端部(
図1の上端部)は、閉塞部材8により閉塞され、放水パイプ7の長手方向の他端部(
図1の下端部)には、給水管9が接続されている。給水管9の上流側には、少なくともイオン交換膜が設けられた図示しない濾過装置が設けられており、濾過装置により濾過されたイオン交換水からなる洗浄水4が給水管9から放水パイプ7内に供給される。濾過装置の一例としては、中空糸膜フィルタと、イオン交換樹脂と、残留塩素除去用活性炭フィルタを組み合わせた濾過装置を用いることができる。尚、イオン交換水以外の洗浄水4の一例として、中空糸膜フィルタと残留塩素除去用活性炭フィルタとを組み合わせた濾過装置等により生成される濾過水等も洗浄水4として適用できる。洗浄水4としては、上記装置による濾過水以外にも超純水、純水、精製水、ウルトラファインバブル水、マイクロナノバブル水などのフィルタで濾過した水であれば、洗浄水4として利用できる。また、水道水の利用も考えられる。ここで、文化財等の資料2に付着させたくない鉄分や塩素などの物質については、濾過フィルタでキャッチさせて洗浄水4から除去することができる。しかし、イオン化して水に溶け込んでいる鉄イオン等の金属イオンについては、上記の濾過フィルタで除去することができない。このためイオン交換樹脂フィルタを通したイオン交換水を洗浄水4として用いることで、それらの金属イオンも洗浄水4から除去することができ、より精製度の高い洗浄水4により資料2を洗浄することができる。放水パイプ7に設けられた放水穴7aから資料2の幅方向に均一に洗浄水4が放水される。放水部6により資料2に放水された洗浄水4は、資料2を洗浄しながら傾斜面3に沿って流れ落ちる。
【0023】
放水穴7aから放水された直後の洗浄水4のpHは、pH試験機により測定した値でpH6~pH6.9程度であり、中性域にある。傾斜面3上を流れる洗浄水4により資料2を洗浄した後の洗浄水4のpHが放水穴7aから放水された直後の洗浄水4のpHと同じ程度になれば洗浄終了とすることができる。
【0024】
尚、放水部6は、放水パイプ7以外にも図示しない樋(とい)の長手方向を傾斜面3上に載置された資料2の幅方向に沿って配置し、樋(とい)の長手方向の一端部(
図1の上端部)は、閉塞部材により閉塞され、樋(とい)の長手方向の他端部(
図1の下端部)に給水管9を接続し、樋(とい)の開口上端部の全長に亘って資料2の幅方向に均一に洗浄水4が放水される構成でも良い。また、放水部6は、図示しない水槽の長手方向を傾斜面3上に載置された資料2の幅方向に沿って配置し、水槽に給水管9を接続し、水槽の底面や側面に水槽の長手方向(
図1の上下方向)に沿って所定ピッチで複数の放水穴を設け、これらの放水穴から資料2の幅方向に均一に洗浄水4を放水する構成でも良い。
【0025】
押え部材16の起立部16bの傾斜面3上を流れる洗浄水4の流れる方向の下流側の面で、少なくとも傾斜面3上に載置された資料2の幅サイズよりも外側には、放水パイプ7を周方向に回転可能に支持する一対の円弧部18a,18bを有する支持部18が設けられている。放水パイプ7は、一対の円弧部18a,18bの開口側(
図2(b)の左側)から挿入され、一対の円弧部18a,18bが弾性変形して広がり、放水パイプ7が一対の円弧部18a,18b内に嵌合されると、一対の円弧部18a,18bが復元して放水パイプ7を支持する。放水パイプ7は、一対の円弧部18a,18b内に嵌合された状態で放水パイプ7の周方向に回転させることにより放水パイプ7の放水穴7aから放水されて傾斜面3上に落ちる洗浄水4の落下点4aの位置を調整することができる。放水パイプ7の放水穴7aから放水されて傾斜面3上に落ちる洗浄水4の落下点4aは、傾斜面3上を流れる洗浄水4の流れる方向(
図2(b)の右から左に向かう方向)において、押え部材16の押圧部16aの下流側端部よりも下流側で、且つ養生部材10の資料2が挟まれていない箇所の上流側であれば、好ましい。尚、
図1では台座5の長手方向に洗浄水4が流れる場合の一例を示すが、台座5の短手方向に洗浄水4が流れる構成とすることもできる。この場合は、台座5の長手方向に配置される長尺状の放水パイプ7の放水穴7aから洗浄水4が均一に流れるようにするため水圧調整を行う。
【0026】
<養生部材>
傾斜面3上を流れる洗浄水4で洗浄される資料2は、
図3に示す養生部材10により挟持されて破損防止の手当てがなされる。養生部材10は、傾斜面3上に設けられる保水層11と、保水層11上に設けられ、資料2を支持する支持層12と、支持層12上に載置された資料2上に設けられる保護層13とを有して構成されている。養生部材10を構成する保護層13、支持層12、保水層11は、何れも透水性を有する。
【0027】
本実施形態の保水層11は、8層のポリエステル紙11aと、2層のサンモア紙11bとにより構成されている。ポリエステル紙11a自体は、水を吸水しないが8層に重ねることで各層の間に流水層ができる。これにより傾斜面3上を流れる洗浄水4の流れを助ける流水補助層として機能する。また、ポリエステル紙11aは、表裏の表面粗さが小さく平滑である。このためポリエステル紙11a上を流れる洗浄水4の摩擦抵抗も少ない。ポリエステル紙11aは、透水性を有する。サンモア紙11bは、パルプとポリプロピレンが主体の湿式不織布で、縦横の強度差を少なくし、水に濡れても高い強度を有する。尚、8層のポリエステル紙11aの代わりにスポンジを使用することもできる。保水層11は、保水機能の他に傾斜面3上を流れる洗浄水4の流れを良くするための流水補助層としての機能を兼ねている。支持層12は、1層のレーヨン紙を使用している。レーヨン紙は、木材パルプなどから化学合成して作られた繊維をベースとした不織布である。保護層13は、1層のポリエステル紙を使用している。ポリエステル紙は透水性を有する。ポリエステル紙からなる保護層13は、資料2の表面の保護と、傾斜面3上を流れる洗浄水4の流れを良くするための流水補助層の機能を兼ねている。ポリエステル紙からなる保護層13と資料2の表面との隙間からも傾斜面3上を流れる洗浄水4が流入する。レーヨン紙からなる支持層12は、資料2を支持する機能を有する。サンモア紙11bは、保水機能を有する。ポリエステル紙11aは、保水機能と傾斜面3上を流れる洗浄水4の流れを良くするための流水補助機能を有する。養生部材10により挟持される資料2の方向は、資料2の破損状況等に応じて、傾斜面3上を流れる洗浄水4により資料2の破損が拡大しない最も安全な方向を適宜選択する。
【0028】
<資料洗浄装置1の組み立て>
先ず、資料洗浄装置1を組み立てる際には、
図2(a)に示す床面21上にテーブル14を乗せ、テーブル14上に傾斜角度調整部材15a,15bを取り付ける。各傾斜角度調整部材15a,15bの上端部に台座5の下面を取り付け、各傾斜角度調整部材15a,15bの高さを調整して傾斜面3の勾配角度θを10°程度に設定する。その後、傾斜面3上にポリエステル紙11aを8層重ねた後、更に、サンモア紙11bを2層重ねて保水層11を形成する。その後、保水層11上に1層のレーヨン紙からなる支持層12を重ねて支持層12上に資料2を載置する。資料2上に1層のポリエステル紙からなる保護層13を載置する。保水層11、支持層12及び保護層13からなる養生部材10の外形は、資料2の外形よりも大きいものを使用する。
【0029】
養生部材10の上端部(
図2(a)の右端部)で、資料2が挟まれていない箇所に押え部材16の押圧部16aを当接し、押圧部16aの上面と台座5の下面とをクリップ部材17により挟持して固定する。その後、押え部材16に設けられた支持部18の円弧部18a,18bの開口側(
図2(b)の左側)から放水パイプ7を押し込んで円弧部18a,18bの復元力により放水パイプ7を挟持する。放水パイプ7を周方向に回転させて放水パイプ7の放水穴7aを傾斜面3に対向させる。尚、放水穴7aの向きは、傾斜面3に対して直交する方向に着水しても良いが、放水穴7aから放水される洗浄水4が放物線を描いて傾斜面3に着水するような構成でも良い。尚、放水パイプ7の長手方向の一端部(
図1の上端部)は、予め閉塞部材8により閉塞され、放水パイプ7の長手方向の他端部(
図1の下端部)には、予め給水管9が接続されている。また、給水管9の上流には、予め図示しない濾過装置が接続されている。上記資料洗浄装置1の組み立て工程とは逆の工程を辿ることにより資料洗浄装置1の解体ができる。
【0030】
上記資料洗浄装置1によれば、資料2を保護しつつ資料2に付着した酸性物質等の汚損物の除去が十分にできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の活用例として、博物館等に保管される絵画や古文書、図書、印刷物、図面類等の文化財史料等の資料を洗浄する資料洗浄装置に適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1…資料洗浄装置
2…資料
3…傾斜面
4…洗浄水(イオン交換水)
4a…落下点
5…台座
6…放水部
7…放水パイプ(筒状体)
7a…放水穴
8…閉塞部材
9…給水管
10…養生部材
11…保水層
11a…ポリエステル紙
11b…サンモア紙
12…支持層
13…保護層
14…テーブル
15a,15b…傾斜角度調整部材
16…押え部材
16a…押圧部
16b…起立部
17…クリップ部材
18…支持部
18a,18b…円弧部
19…廃液容器
20…ガイド部材
21…床面
θ…勾配角度