IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チャンズ アセンディング エンタープライズ カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ チャン チュンチーの特許一覧

<図1>
  • 特許-バッテリモジュールシステム及び方法 図1
  • 特許-バッテリモジュールシステム及び方法 図2A
  • 特許-バッテリモジュールシステム及び方法 図2B
  • 特許-バッテリモジュールシステム及び方法 図2C
  • 特許-バッテリモジュールシステム及び方法 図3A
  • 特許-バッテリモジュールシステム及び方法 図3B
  • 特許-バッテリモジュールシステム及び方法 図4
  • 特許-バッテリモジュールシステム及び方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】バッテリモジュールシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230206BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230206BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/00 302D
H02J7/00 S
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020557127
(86)(22)【出願日】2019-01-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019012469
(87)【国際公開番号】W WO2019136336
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】15/865,049
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513244993
【氏名又は名称】チャンズ アセンディング エンタープライズ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】517025110
【氏名又は名称】チャン チュンチー
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】チャン チュン-チー
(72)【発明者】
【氏名】チャン ツン ユ
(72)【発明者】
【氏名】リー オリビア ペイ ホア
(72)【発明者】
【氏名】ツェン ユ-タ
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-151696(JP,A)
【文献】特開2002-058170(JP,A)
【文献】特開2003-087987(JP,A)
【文献】特開2000-069689(JP,A)
【文献】特開2008-054412(JP,A)
【文献】特開2012-210137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過充電回路部又は過放電回路部の1つ又は組合せを備えた制御回路部(150)と、
回路内で構成された複数のバッテリセルを備えたバッテリセット(140)と、
前記制御回路部からの信号に基づき、前記回路のシャットダウンが発生しないようにしながら、前記回路内の電流の流れを、前記バッテリセットへの及び前記バッテリセットからの双方向の流れから、前記バッテリセットへの又は前記バッテリセットからの一方向の流れへと切り替えるよう構成された制御システム(120)と、を備え、
前記制御システムは前記回路内で前記バッテリセットの正極及び負極側の両方に直接に接続されており、
前記両方に接続された前記制御システムの一方は、過充電状態に対応する前記信号に基づき、前記それぞれのバッテリセルの各電圧又は前記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、前記バッテリセットからの一方向の流れにより放電機能が可能となるよう構成され、その後、前記双方向の流れを可能とするよう構成されており、
前記両方に接続された前記制御システムの他方は、過放電状態に対応する前記信号に基づき、前記それぞれのバッテリセルの各電圧又は前記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、前記回路に接続された充電装置から前記バッテリセットへの一方向の流れにより充電機能が可能となるよう構成され、その後、前記双方向の流れを可能とするよう構成されており、
前記過充電回路部及び前記過放電回路部は、前記過充電状態又は前記過放電状態の監視を前記バッテリセットで行うリチウムイオン系バッテリシステム。
【請求項2】
前記複数のバッテリセルの各々はリチウムイオン系バッテリセルからなる請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項3】
前記回路に電気的に接続された外部負荷をさらに備える請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項4】
前記回路に接続された充電装置をさらに備える請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項5】
前記バッテリセルの各々は抵抗を備え、
過充電状態に対応する前記信号に基づき、前記バッテリセルの各々の抵抗は、前記それぞれのバッテリセルの各電圧が予め設定された電圧を超えたことに応じて、前記それぞれのバッテリセルの各電圧又は前記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで又は所定の期間が経過するまで、前記バッテリセットからの一方向の流れにより、放電機能が可能となるよう構成され、その後、前記制御システムは前記双方向の流れを可能とするよう構成された請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項6】
前記制御システムはダイオードと並列にリレーを備える請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項7】
前記制御システムは、複数組の並列配置された構成要素を備え、第1組は第1のダイオードと並列に第1のリレーを備え、少なくとも第2組は第2のダイオードと並列に第2のリレーを備え、前記第1のダイオードは前記第2のダイオードとは反対の方向に電流を流すことが可能である請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項8】
前記制御システムは、1つ以上のダイオードとそれぞれ並列に1つ以上のトランジスタを備える請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項9】
前記制御システムは、1つ以上の電力トランジスタを備える請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項10】
前記バッテリセットの正極側に配置された前記制御システムは、PチャネルのMOSFET又は電力MOSFETを備え、
前記バッテリセットの負極側に配置された前記制御システムは、NチャネルのMOSFET又は電力MOSFETを備える請求項1に記載のリチウムイオン系バッテリシステム。
【請求項11】
複数のバッテリセルを有するバッテリセットを備えたリチウムイオン系バッテリ回路の制御方法(500)であって、
過充電又は過放電状態の1つ又は組合せを前記バッテリセットで監視し(502)、
前記監視に基づき、前記回路のシャットダウンが発生しないようにしながら、前記回路内の電流の流れを、前記バッテリセットへの及び前記バッテリセットからの双方向の流れから、前記バッテリセットへの又は前記バッテリセットからの一方向の流れへと切り替え(504)、
前記切り替えは、前記バッテリセットの正極及び負極側の両方において実施され、
前記両方において実施される前記切り替えの一方は、過充電状態に基づき、前記それぞれのバッテリセルの各電圧又は前記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、前記バッテリセットからの一方向の流れにより、負荷への放電機能を可能とし、その後、前記双方向の流れを可能とし、
前記両方において実施される前記切り替えの他方は、過放電状態に基づき、前記それぞれのバッテリセルの各電圧又は前記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、充電装置から前記バッテリセットへの一方向の流れにより、充電機能を可能とし、その後、前記双方向の流れを可能とする制御方法。
【請求項12】
前記バッテリセルの各々は抵抗を備え、
過充電状態に基づき、前記バッテリセルの各々の抵抗は、前記それぞれのバッテリセルの各電圧が予め設定された電圧を超えたことに応じて、前記それぞれのバッテリセルの各電圧又は前記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで又は所定の期間が経過するまで、前記バッテリセットからの一方向の流れにより、放電機能が可能となるよう構成され、その後、前記双方向の流れを可能とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
回路内で構成された複数のバッテリセルを備えたバッテリセット(140)と、
過充電又は過放電状態に基づき、前記回路のシャットダウンが発生しないようにしながら、前記回路内の電流の流れを、前記バッテリセットへの及び前記バッテリセットからの双方向の流れから、前記バッテリセットへの又は前記バッテリセットからの一方向の流れへと切り替えるよう構成された制御システム(120)とを備え、
前記制御システムは前記回路内で前記バッテリセットの正極及び負極側の両方に直接に接続されており、
前記両方に接続された前記制御システムの一方は、過充電状態に基づき、前記それぞれのバッテリセルの各電圧又は前記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、前記バッテリセットからの一方向の流れにより放電機能が可能となるよう構成され、その後、前記双方向の流れを可能とするよう構成されており、
前記両方に接続された前記制御システムの他方は、過放電状態に基づき、前記それぞれのバッテリセルの各電圧又は前記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、前記回路に接続された充電装置から前記バッテリセットへの一方向の流れにより充電機能が可能となるよう構成され、その後、前記双方向の流れを可能とするよう構成されており、
前記過充電状態又は前記過放電状態の監視は前記バッテリセットで行うシステム。
【請求項14】
過充電回路部又は過放電回路部の1つ又は組合せを備えた制御回路部(150)と、
回路内で構成された複数のバッテリセルを備えたバッテリセット(140)と、
前記制御回路部からの信号に基づき、前記回路のシャットダウンが発生しないようにしながら、前記回路内の電流の流れを、前記バッテリセットへの及び前記バッテリセットからの双方向の流れから、前記バッテリセットへの又は前記バッテリセットからの一方向の流れへと切り替えるよう構成された制御システム(120)と、を備え、
前記過充電回路部及び前記過放電回路部は、過充電状態又は過放電状態について前記バッテリセットを監視するように構成され、
前記制御システムは前記バッテリセットの正極及び負極側の両方に直接に接続されているリチウムイオン系バッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してバッテリシステムに関し、特にリチウム系バッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力源としてバッテリエネルギーを必要とする電動自転車、電動二輪車、電気自動車、電動フォークリフト、エネルギー貯蔵システム(ESS)、及び無停電電源装置(UPS)がより注目されており、一層普及してきている。従来、鉛蓄電池が上記用途に使用されている。鉛蓄電池は長い歴史を持ち低コストだが、鉛の有害な性質、低いエネルギー密度、短いサイクル寿命により鉛蓄電池は今日の環境及び/又は用途要件を満足しないものとなっている。初期の躍進では、カソード材料としてのリチウム鉄リン酸化物(LFPO)を用いた材料(例えば、米国特許第7,494,744号、第7,585,593号、第7,629,084号、及び第7,718320号参照、いずれも全体を参照によりここに援用する)、バッテリ平衡化システム(例えば、米国特許第7,782,013号、第7,808,207号、及び第7,825,632号参照、いずれも全体を参照によりここに援用する)、及びバッテリシステム制御/動作(例えば、米国特許第7,777,451号、8,217,625号、7,821,231号、及び第8,159,191号参照、いずれも全体を参照によりここに援用する)において、既存の鉛蓄電池システムに対するLFPOバッテリシステムの優位性を実証することに成功している。しかしながら、既存の鉛蓄電池に置き換わることができるLFPOバッテリモジュール、さらにはそれによるバッテリシステムをどのように設計するかについては現在のところ依然として難題である。理想的には、各バッテリモジュールを直接置き換える(例えば、鉛蓄電池を取り出し、直接LFPOバッテリモジュールと取り換える)ことが望ましい。しかしながら、装置の制御インターフェイスとの通信及び/又は装置の制御に対する動作パラメータ(例えば、充電パラメータ、遮断パラメータ等)の調整が必要となる。UPS用途を一例としてとりあげると、ユーザが鉛蓄電池をLFPOバッテリにアップグレードさせたい場合、当該UPSのためのLFPOバッテリによる簡潔な解決策がない。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、回路内で構成された複数のバッテリセルを備えたバッテリセットと、過充電又は過放電状態に基づき、前記回路内の電流の流れを、前記バッテリセットへの及び前記バッテリセットからの双方向の流れから、前記バッテリセットへの又は前記バッテリセットからの一方向の流れへと切り替えるよう構成された制御システムとを備えるシステム。
【0004】
本発明の上記及びその他の特徴は、以下に記載する1又は複数の実施形態から明らかとなり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
バッテリモジュールシステムのいくつかの実施形態の多くの特徴が以下の図面に基づきよりよく理解可能である。図中の構成要素は必ずしも縮尺に従うものではなく、バッテリモジュールシステム及び方法の原理を明確に例示することに重点を置いている。また、図中、同様の参照符号はこれらの図面を通して対応する部分を示す。
【0006】
図1は、一例となるバッテリモジュールシステムの実施形態を示す模式図である。
【0007】
図2A~2Cは、図1のバッテリモジュールシステムの制御システムの各種例を示す模式図である。
【0008】
図3Aは、一例となるバッテリモジュールシステムの他の実施形態を示す模式図である。
【0009】
図3Bは、図3Aの制御システムの構成例を示す模式図である。
【0010】
図4は、図3Aの制御システムの構成例を示す模式図である。
【0011】
図5は、一例となるバッテリモジュール方法の実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
過充電又は過放電状態においてリチウムイオン系バッテリセット内へ又は当該バッテリセットから一方向に電流を流すことが可能な機構を含むバッテリモジュールシステム及び方法のいくつかの実施形態を開示する。一実施形態において、バッテリモジュールシステムは、複数の(例えば、直列接続された(但しこれに限定されない))バッテリセルを有するバッテリセットを備える回路と、過充電又は過放電状態の検出に基づき、電流の流れを、上記バッテリセットへの及び上記バッテリセットからの双方向の流れと上記バッテリセットへの又は上記バッテリセットからの一方向の流れとの間で切り替える制御システムと、を備える。このようにすることで、以下に記載する理由から、上記リチウムイオン系バッテリセル(例えば、特に、リチウム鉄リン酸化物(LFPO)バッテリセル)は鉛蓄電池に置き換わる上で適した構成となる。
【0013】
少し本題から逸れるが、例えばLFPOバッテリモジュールを用いる場合、米国特許第8,159,191号、実施例7及び8に開示されるように、動作するバッテリモジュールを作製する上で過充電(OC)、過放電(OD)の防止及びバッテリセルの平衡化が重要となる。本明細書で引用した各特許に開示されるようなシステムは上手く動作するが、(例えば、直列接続された)バッテリモジュールのいずれかがOC又はOD状態を引き起こすと、当該バッテリシステムは(開路状態により)シャットダウンする。しかしながら、これらのバッテリモジュールを時間とともに平衡化する際に充電器制御(on/off)に頼っているため、このような用途において使用される充電器の充電終了電圧及びフロート電圧の差異により、現在鉛蓄電池を用いているいずれの既存の装置においても、そこに実装されている各バッテリモジュールの互換性が制限されてしまう。これに対して、バッテリモジュールシステムのいくつかの実施形態は、上記LFPOバッテリモジュール(又はその他のリチウムイオン系バッテリモジュール)をいずれの既存の装置に対しても適したものにするだけでなく、既存の鉛蓄電池に置き換えられるようにするものである。
【0014】
本開示のバッテリモジュールシステムのいくつかの特徴をまとめたが、詳細についてはこれから各図に示すバッテリモジュールシステムの説明を参照する。これらの図面に基づきバッテリモジュールシステムを説明するが、ここに開示する1又は複数の実施形態に限定する意図ではない。例えば、LFPOバッテリセル技術に重点を置いているが、ここに記載するバッテリモジュールシステムは、当業者であれば理解されるように、特に、リン酸鉄リチウム電池(LFP)、ニッケルマンガンコバルト電池(NMC)、ニッケルコバルトアルミニウム電池(NCA)、及びコバルト酸リチウム電池(LCO)を含む他の全てのリチウムイオン系バッテリセルに適用及び/又は拡張可能である。簡潔にするために、且つ、バッテリモジュールシステムの様々な特徴を不明瞭にしないために、リチウムイオン系技術の一形態を示すものとしてここではLFPOバッテリ及びLFPOバッテリモジュール/セルを用いているが、LFPOバッテリのみの使用に限定するわけではない。また、明細書では、1つ以上の実施形態の詳細について特定又は記載しているが、このような詳細が必ずしも全ての実施形態の一部となるわけではなく、記載された様々な利点の全てが1つの実施形態に必然的に対応するわけでもない。それどころか、添付の特許請求の範囲により定義される本開示の範囲内に含まれる全ての代替手段、変形、及び均等物を含めることを意図している。さらに、本開示の文脈において、特許請求の範囲は明細書に記載の特定の実施形態に必ずしも限定されるわけではないことが理解されるべきである。
【0015】
以下に記載の通り、バッテリモジュールシステムのいくつかの実施形態は、OC/OD制御と、任意のバッテリセル平衡化器と、バッテリモジュールが過充電(OC)遮断動作を行った後に当該バッテリモジュールから一方向に電流を流すことを可能にする制御システムとを備えてもよい。上記制御システムは、一方向電流制御器ともいう。まず、図1を参照して、上記の3つの主要な機能を備えたバッテリモジュールシステム又はバッテリモジュール100を示す。なお、バッテリモジュールシステム及びバッテリモジュールという用語はここでは同じシステム100を指し、したがって互いに言い換え可能である。図示の実施形態においては、4つのバッテリセルがバッテリセルセット140として直列に接続されているが、当業者であれば、いくつかの実施形態において他の(複数の)数量のバッテリセルを用いてもよいことが理解され、図示した数量は単なる例示に過ぎないことが理解される。また、ここでは、主に直列に配置した複数のセルとして記載するが、当業者であれば、本開示の文脈において、当該バッテリセルセット140(又はここで記載する他のバッテリセルセット)は、米国特許第8,159,191(以下、‘191特許)(例えば、36頁、11欄、48~57行参照)に記載されるように、並列、直列、並列-直列、又は直列-並列に接続された複数のバッテリセルとして構成されてもよいことが理解される。当該‘191特許は、その全体を参照によりここに援用する。バッテリセルセット140は、図示する回路において、正極側ケーブル接続部160及び負極側ケーブル接続部170を介してバッテリモジュール上部110に接続される。バッテリセルセット140(例えば、その側部)には、OC/OD検出回路部及び/又はセル平衡回路部(各々又はまとめて制御回路部ともいう)を有するプリント配線基板(PCB)150が配置されている。上記OC/OD回路部に関して、‘191特許においてさらなる情報を見ることができる(例えば、36頁、12欄、22~51行参照)。例えば、上記OC/OD回路部は、1つ以上のチャネルを同時に制御するよう構成される。あるセルについて過充電状態となる(例えば、4.0V)と、当該セルの過充電を防止するために充電器からの電流入力を停止するリレー(通常、電磁ラッチ型リレー)にパルスが送られる。300V以上で動作するプラグインハイブリッド車等の高電圧用途の場合、充電動作の迅速な停止のためにリレーを用いるのではなく、過充電信号を車両のECU(電子制御装置)に送り、モータ又は発電セット等の搭載された他の電気機器の損傷を防止するため充電動作を停止する。過充電制御の重要な特徴は、リレーの「自動再開」機能である。典型的な例は、8つのチャネルを同時に制御するICである。上記セルのうちの1つにおいて過充電状態になると、当該セルの過充電を防止するために充電器からの電流入力を停止するリレー(通常、電磁ラッチ型リレー)にパルスが送られる。「全ての」セル電圧が予め設定された電圧に低下すると、充電が再開される。これは、「全ての」セル電圧が予め設定された電圧まで下がると充電動作が再開されることを意味する。この電圧の典型例として、リチウム鉄リン酸化物又は他のLiFePO型のセルの場合、3.4Vとなる。
【0016】
OC(又はOD)状態に達すると、制御システム120は接続ケーブル130を介してPCB150(例えば、上記OC/OD回路部)から送られる信号により始動される。一実施形態において、制御システム120は、リレー及び当該リレーに並列に接続されたダイオードを備える。上記制御システム120は、バッテリの正極側160、バッテリの負極側170、又はこれら両側に配置可能である。ダイオードの使用により、制御システム120はOC又はOD状態のみ別々に制御するため、OC状態用の制御システム120はOC装置120Aともいい、OD状態用の制御システム120はOD装置120Bともいう。
【0017】
図2Aは、上記バッテリモジュール100に使用されるOC装置120Aを示す。図2Bは、上記バッテリモジュール100に使用されるOD装置120Bを示しており、ダイオードの方向が反対であることを除いて、図2Aにおいて動作する構成要素と同じ構成要素が用いられている。図2Cは、OC装置及びOD装置の両方として構成された制御システム120(すなわち、両装置が同じバッテリモジュールに組み込まれる)を示しており、制御システム120Cと記載する。図1及び2Aを参照して、OC状態では、上記OC装置120Aのリレーが開くと、ダイオードの存在により、(例えば、図示しない充電装置からの)充電電流が停止する。このとき、バッテリモジュール100の放電機能は依然として有効であり、これにより、バッテリモジュール100において「シャットダウン」現象(すなわち、ゼロ電圧)が起きることが防止される。外部負荷が設けられている場合、OC状態の間、バッテリセルセット140が放電を開始し、当該放電電流は上記ダイオードを流れることができ、これにより、バッテリセルにおいて電圧降下が生じる。その結果、OC状態が終了すると(例えば、各セル電圧が、全体として若しくは個別に、又は組合せにおいて、通常又は所定の動作範囲に戻ると)、OC装置120Aのリレーが閉じ、バッテリ(バッテリセルセット140)が再び通常動作を行い、これにより、回路に電流を流し、OC装置120Aのリレーを介してバッテリセルセット140内へ及びバッテリセルセット140から(すなわち、双方向に)電流を流すことが可能になる。
【0018】
図2Aに基づいて上述したOC装置120Aの動作原理と同様に、OD状態になると、(図2Bに示す)OD装置120Bが動作する。図1及び2Bを参照して、OD状態では、OD装置120Bのリレーが開き、OD装置120Bのダイオードが放電電流ではなく充電電流のみの流通を可能にする。外部からの(例えば、図示しない充電装置からの)充電電流が利用可能な場合、当該電流はOD装置120Bのダイオードを流れ、これにより、バッテリセルセット140のバッテリセル電圧が上昇する。その結果、OD状態が終了すると(例えば、各セル電圧が、全体として若しくは個別に、又は組合せにおいて、通常又は所定の動作範囲に戻ると)、OD装置120Bのリレーが閉じ、バッテリ(バッテリセルセット140)が再び通常動作を行い、これにより、OD装置120Bのリレーを介してバッテリセルセット140内へ及びバッテリセルセット140から(例えば、双方向に)電流を流すことが可能になる。
【0019】
上記でも示したが、図2Cの制御システム120Cに示すように、OC装置及びOD装置は同じバッテリモジュールに統合可能である。OC状態では、OC装置のリレーは開き、OD装置のリレーは閉じる。同様に、OD状態では、OD装置のリレーは開き、OC装置のリレーは閉じる。
【0020】
再び図1及び2Aを参照して、OC状態では、OC装置120Aのリレーが開くと、ダイオードの存在により充電電流が停止する。このとき、バッテリモジュール100の放電機能は依然として有効であり、これにより、上述のようにバッテリモジュール100において「シャットダウン」現象(ゼロ電圧)が起きることが防止される。しかしながら、上述とは異なり、電圧低下を可能にする外部負荷が存在しない場合、それでもやはりバッテリセル電圧の低下を可能にする第2の機構があり、ここではそれを平衡化機能と呼ぶ。上記で引用し全体を参照により援用する米国特許第7,782,013号、7,808,207号、及び7,825,632号に開示されるように、直列に接続されたバッテリセルの各々についてセル平衡化が行われる。いずれかのバッテリセルの電圧が予め設定された電圧を超えると、(例えば、当該バッテリセルと並列に接続された抵抗を介して)バッテリセルの自己放電が行われ、当該自己放電動作は、予め設定された別の電圧に達するか所定の時間条件が満たされると停止する(例えば、上記‘191特許、12欄、22~51行参照、PCB150でのICにおける電圧監視及び時間計測の使用等により行う)。このように、OC状態では、電圧低下を可能にする外部負荷が存在しなければ、バッテリモジュールシステムのいくつかの実施形態における上記平衡化機能によりバッテリセルの各々の電圧が低下する。その結果、セル電圧が通常又は所定の動作範囲内に戻ると(したがって、OC状態が終了すると)、OC装置120Aのリレーが閉じ、バッテリモジュールが通常動作を行い、これにより、充電動作の再開が可能となる。充電動作の再開は上記のように行われ、ここではバッテリモジュール制御による断続充電動作ともいう。上記断続充電動作のいくつかの利点を以下に記載する。
【0021】
上記バッテリモジュール100の「シャットダウンしない」という特徴は電気自動車(EV)、軽電気自動車(LEV)、及びUPSの用途において重要である。EV用途を例としてとりあげると、回生遮断動作中にOC状態により気づかずにシャットダウンが起きると、車両が突然停止することがあり、安全性において問題となり得る。また、UPS用途では、再充電又はフロート状況下で引き起こされるOC状態により、バッテリモジュールの1つがシャットダウンすると、UPSが予期せずシャットダウンすることがあり、UPSの信頼性を損ねる可能性がある。ここで開示されるバッテリモジュールシステムのいくつかの実施形態において制御される断続充電は、直列接続されたバッテリモジュールが時間とともにより平衡化される点、バッテリモジュールの過充電が防止される点、それぞれ異なる充電終了電圧を示す異なる充電器が許容される点、及び/又はこのようなモジュールが、現在鉛蓄電池技術を用いている既存の装置のいずれに対しても適したものとなる点において有益である。
【0022】
上記「シャットダウンしない」という特徴の他に、上述のようなバッテリモジュール100に埋め込まれたバッテリセル平衡化器は、充電動作中に、いずれかのバッテリセル電圧が予め設定された電圧を超えると、各セルに対して独立に「自己放電」を行うことができる。これらバッテリセルの「自己放電」によりOC状態を(それが生じた場合)終了させることができ、OC状態の終了後に新たな充電動作を再開できる。当業者は、このように、ここで開示されるようなバッテリモジュールを備えたバッテリモジュールシステムのいくつかの実施形態によって示される断続充電動作を確認できる。上記バッテリモジュール制御による断続充電動作は、バッテリモジュールシステムの最大容量を発揮できるようバッテリセル平衡化状態を作り出す上で役立つだけでなく、バッテリモジュールが過充電となるのを防止し、これは、充電装置のための充電終了電圧の制御が重要ではなくなる、又は制御不要となることを意味する。そして、バッテリモジュールシステムのいくつかの実施形態におけるバッテリモジュール制御による断続充電機構により、上記バッテリモジュールが、現在鉛蓄電池を用いている既存の装置のいずれに対しても適したものとなる。
【0023】
いくつかの実施形態において、図1~2Cに示す制御システム120(例えば、120A、120B、120C)に用いられるリレーは、ラッチ型リレー、ソリッドステートリレー、又は電流遮断機能を実行可能な他のあらゆるタイプのリレーとして構成できる。図1~2Cに示すような制御システム120(例えば、120A、120B、120C)のダイオードは、一方向に電流を流すことができる既製品のダイオードとして構成できる。制御システム120のリレー及びダイオードは、OC/OD状態により遮断が行われた後に電流を一方向に流すために、並列に一体化することができる。
【0024】
しかしながら、図1~2Cに示す制御システム120はリレー及びダイオードによる構成に限定する必要はない。いくつかの実施形態において、ダイオード及びリレーの組合せと同様の機能を発揮する1つ以上の装置を用いてもよい。例えば、ダイオード及びトランジスタの並列配置を用いてもよいし、電力トランジスタを用いてもよい。図3Aでは、並列に一体化した金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)及びダイオードを用いて、制御システムにおけるラッチ型リレー及びダイオードの組合せを置き換えたものを示している。特に、図3Aは、一例となるバッテリモジュール300の実施形態を示しており、当該バッテリモジュール300は、バッテリモジュール上部305と、制御システム310(310A、310B)と、図1において上述したものと同様のOC/OD回路部及び平衡化回路部を備えるPCB340から制御システム310へとつながる接続ケーブル320A、320Bと、リチウムイオン系技術(例えば、LFPOバッテリ。ただし、上記の通り他のタイプのリチウムイオン系技術を用いてもよい)に基づくバッテリセルセット330と、を備える。図3Aの制御システム310では、図2A及び2Bに示すOC装置120A及びOD装置120Bにおいて用いられるそれぞれのリレーの代わりとして実装されたPチャネルMOSFET(310Aに対応)及びNチャネルMOSFET(310Bに対応)が示されている。図3Bは、制御システム310としての、PチャネルMOSFETとダイオード、及びNチャネルMOSFETとダイオード(例えば、310A、310B)を、バッテリセルセット330の正極側及び負極側にそれぞれ接続した様子を示す拡大模式図である。なお、いくつかの実施形態では、制御システム310A及び310Bは(OC及びOD機能の両方用として)同じシステム内にパッケージ化して示しているが、別のいくつかの実施形態では、各々個別に実装されてもよい(例えば、OC用のみ、OD用のみとしてバッテリに実装)。
【0025】
図4は、さらに別の例を示しており、図3Bに示すPチャネルMOSFETとダイオード及びNチャネルMOSFETとダイオードに代えて、Pチャネル電力MOSFETを用いた制御システム310A-1及びNチャネル電力MOSFETを用いた制御システム310B-1を用いている。ここでも、いくつかの実施形態において、構成要素310A-1、310B-1は同じパッケージに実装して示しているが、別のいくつかの実施形態において、例えば用途によって、個別に(例えば、一方を他方と別にして)実装することもできる。
【0026】
なお、図3A~4においてはMOSFET(及び電力MOSFET)が(単独で又はダイオードと組み合わせて)示されているが、当業者であれば、本開示の文脈において、同一又は同様の機能を発揮する他のトランジスタ及び/又は電子部品を単独で又は組み合わせて用いてもよいと理解し、したがって、それらが本開示の範囲内であると考えるだろう。
【0027】
上記より、ここに記載する一方向に電流の流れを制御する機能を提供する制御システム120(又は310)は、異なる構成要素(例えば、リレーとダイオード、MOSFETとダイオード、又は電力MOSFETのみ)を用いて任意の形態で構成可能であり、適宜、バッテリセルセットの正極端、バッテリセルセットの負極端、又はこれら両端に(例えば、OC及びOD監視機能用に)配置すればよく、このように、バッテリモジュールシステムが鉛蓄電池に置き換わる上で理想的なものとなる。
【0028】
制御システム120(又は310)の構成要素の選択の他、バッテリセルの各々に埋め込まれたセル平衡化器は、ここで全体を引用により援用する米国特許第7,777,451に開示されたように構成してもよいし、これらバッテリセルを均等化する上で用いられる他のいずれのタイプの平衡化器としてもよい。OC/ODの判定は、バッテリセルの各々に対して予め設定された電圧に基づいて行ってもよいし(例えば、4.2VでOC、2.0VでOD)、全体のバッテリモジュール電圧に基づいて行ってもよいし(例えば、4セル直列型LFPOバッテリモジュールの場合、14VでOC、10.5VでOD)、組み合わせた状態に基づき行ってもよい。当業者であれば、本開示の文脈において、上記で開示したOC及びOD状態は直列のバッテリセルの数に比例し得ることを理解するだろう。
【0029】
なお、本発明において示されるバッテリモジュールは、自由に直列又は並列に構成して、鉛蓄電池を備える既存のバッテリシステムに置き換わるバッテリシステムを形成できる。
【0030】
上記に鑑み、図5において方法500として示すバッテリモジュール方法の一実施形態(例えば、複数のバッテリセルを有するバッテリセットを備えたリチウムイオン系バッテリ回路の制御方法)は、過充電又は過放電状態の1つ又は組合せを監視し(502)、当該監視に基づき、回路内の電流の流れを、バッテリセットへの及びバッテリセットからの双方向の流れから、バッテリセットへの又はバッテリセットからの一方向の流れへと切り替える(504)ものとして理解される。上記監視は、上記段落で記載したOC/OD判定に基づいて行ってもよい。
【0031】
フロー図におけるいずれの処理の記載又はブロックも、バッテリモジュールシステムの一実施形態において実装される処理のステップの代表例として理解すべきである。代替となる実装案も実施形態の範囲として含まれ、図5において示した又はそれに関連して記載した機能に対して、関係する機能に応じて、実質同時に実行する場合も含め、機能を追加してもよいし、変更してもよいことが、本開示における当業者によって理解されるだろう。
【0032】
第1のシステム実施形態は、一請求項に係るリチウムイオン系バッテリシステムを開示するものであり、当該バッテリシステムは、過充電回路部又は過放電回路部の1つ又は組合せを備えた制御回路部と、回路内で構成された複数のバッテリセルを備えたバッテリセットと、上記制御回路部からの信号に基づき、上記回路内の電流の流れを、上記バッテリセットへの及び上記バッテリセットからの双方向の流れから、上記バッテリセットへの又は上記バッテリセットからの一方向の流れへと切り替えるよう構成された制御システムとを備えている。
【0033】
第2のシステム実施形態は、上記第1の請求項のバッテリシステムにおいて、上記制御システムが上記回路内において上記バッテリセットの正極側、上記バッテリセットの負極側、又は上記バッテリセットの正極及び負極側の両方に配置されている。
【0034】
第3のシステム実施形態は、上記請求項のいずれか1項のバッテリシステムにおいて、上記複数のバッテリセルの各々はリチウムイオン系バッテリセルを備えている。
【0035】
第4のシステム実施形態は、上記請求項のいずれか1項のバッテリシステムにおいて、上記回路に電気的に接続された外部負荷をさらに備え、上記制御システムは、過充電状態に対応する上記信号に基づき、上記それぞれのバッテリセルの各電圧又は上記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、上記バッテリセットからの一方向の流れにより放電機能が可能となるよう構成され、その後、上記制御システムは、上記双方向の流れを可能とするよう構成されている。
【0036】
第5のシステム実施形態は、上記請求項のいずれか1項のバッテリシステムにおいて、上記回路に接続された充電装置をさらに備え、上記制御システムは、過放電状態に対応する上記信号に基づき、上記それぞれのバッテリセルの各電圧又は上記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、上記充電装置から上記バッテリセットへの一方向の流れにより充電機能が可能となるよう構成され、その後、上記制御システムは、上記双方向の流れを可能とするよう構成されている。
【0037】
第6のシステム実施形態は、上記第1~第3及び第5の実施形態の請求項のいずれか1項に記載のバッテリシステムにおいて、上記バッテリセルの各々は抵抗を備え、過充電状態に対応する上記信号に基づき、上記バッテリセルの各々の抵抗は、上記それぞれのバッテリセルの各電圧が予め設定された電圧を超えたことに応じて、上記それぞれのバッテリセルの各電圧又は上記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで又は所定の期間が経過するまで、上記バッテリセットからの一方向の流れにより、放電機能が可能となるよう構成され、その後、上記制御システムは、上記双方向の流れを可能とするよう構成されている。
【0038】
第7のシステム実施形態は、上記請求項のいずれか1項のバッテリシステムにおいて、上記制御システムはダイオードと並列にリレーを備えている。
【0039】
第8のシステム実施形態は、上記第1~第6の実施形態の請求項のいずれか1項に記載のバッテリシステムにおいて、上記制御システムは複数組の並列配置された構成要素を備え、第1組は第1のダイオードと並列に第1のリレーを備え、少なくとも第2組は第2のダイオードと並列に第2のリレーを備え、上記第1のダイオードは上記第2のダイオードとは反対の方向に電流を流すことが可能である。
【0040】
第9のシステム実施形態は、上記第1~第6の実施形態の請求項のいずれか1項に記載のバッテリシステムにおいて、上記制御システムは、1つ以上のダイオードとそれぞれ並列に1つ以上のトランジスタを備えている。
【0041】
第10のシステム実施形態は、上記第1~第6の実施形態の請求項のいずれか1項に記載のバッテリシステムにおいて、上記制御システムは1つ以上の電力トランジスタを備えている。
【0042】
第1の方法実施形態は、一請求項に係る、複数のバッテリセルを有するバッテリセットを備えたリチウムイオン系バッテリ回路の制御方法を開示するものであり、当該方法は、過充電又は過放電状態の1つ又は組合せを監視し、当該監視に基づき、上記回路内の電流の流れを、上記バッテリセットへの及び上記バッテリセットからの双方向の流れから、上記バッテリセットへの又は上記バッテリセットからの一方向の流れへと切り替える。
【0043】
第2の方法実施形態は、上記方法請求項において、上記切り替えは、上記バッテリセットの正極側、上記バッテリセットの負極側、又は上記バッテリセットの正極及び負極側の両方において実施される。
【0044】
第3の方法実施形態は、上記方法請求項のいずれか1項において、上記バッテリセットの複数のバッテリセルの各々は、リチウムイオン系バッテリセルからなる。
【0045】
第4の方法実施形態は、上記方法請求項のいずれか1項において、過充電状態に基づき、上記それぞれのバッテリセルの各電圧又は上記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、上記バッテリセットからの一方向の流れにより、負荷への放電機能を可能とし、その後、上記双方向の流れを可能とする。
【0046】
第5の方法実施形態は、上記方法請求項のいずれか1項において、過放電状態に基づき、上記それぞれのバッテリセルの各電圧又は上記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで、充電装置から上記バッテリセットへの一方向の流れにより充電機能を可能とし、その後、上記双方向の流れを可能とする。
【0047】
第6の方法実施形態は、上記第1~第4及び第5の方法実施形態の方法請求項のいずれか1項において、上記バッテリセルの各々は抵抗を備え、過充電状態に基づき、上記バッテリセルの各々の抵抗は、上記それぞれのバッテリセルの各電圧が予め設定された電圧を超えたことに応じて、上記それぞれのバッテリセルの各電圧又は上記バッテリセルの総合電圧が所定の範囲内となるまで又は所定の期間が経過するまで、上記バッテリセットからの一方向の流れにより、放電機能が可能となるよう構成され、その後、上記双方向の流れを可能とする。
【0048】
第7の方法実施形態は、上記方法請求項のいずれか1項において、上記切り替えは、ダイオードと並列のリレーにより実施される。
【0049】
第8の方法実施形態は、上記第1~第6の方法実施形態の方法請求項のいずれか1項において、上記切り替えは複数組の並列配置された構成要素により実施され、第1組は第1のダイオードと並列に第1のリレーを備え、少なくとも第2組は第2のダイオードと並列に第2のリレーを備え、上記第1のダイオードは上記第2のダイオードとは反対の方向に電流を流すことが可能である。
【0050】
第9の方法実施形態は、上記第1~第6の方法実施形態の方法請求項のいずれか1項において、上記切り替えは1つ以上のダイオードとそれぞれ並列である1つ以上のトランジスタにより実施され、又は、1つ以上の電力トランジスタにより実施される。
【0051】
他のシステム実施形態では、一請求項に係るシステムは、回路内で構成された複数のバッテリセルを備えたバッテリセットと、過充電又は過放電状態に基づき、上記回路内の電流の流れを、上記バッテリセットへの及び上記バッテリセットからの双方向の流れから、上記バッテリセットへの又は上記バッテリセットからの一方向の流れへと切り替えるよう構成された制御システムとを備えている。
【0052】
本明細書中において、「一実施形態」、「実施形態」、又は「いくつかの実施形態」と言う場合、記載されている1又は複数の特徴が当該技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書中において、「一実施形態」、「実施形態」、又は「いくつかの実施形態」について別々に言及している場合、特に明記しない限り及び/又は記載内容から当業者にとって十分明らかである場合を除いて、必ずしも同じ実施形態について言及しているわけではなく、相互に排他的というわけでもない。例えば、一実施形態において記載される特徴、構成、動作等が他の実施形態においても含まれ得るが、必ずしも含まれるわけではない。このように、本技術は、ここに記載した実施形態を様々に組み合わせたもの及び/又は統合したものを含み得る。添付の図面に示した例示的な実施形態に基づき上記システム及び方法を説明してきたが、特許請求の範囲により保護される開示の範囲内において、均等物を採用してもよく、代替物を構成してもよい。特許請求の範囲における参照符号はいずれも当該範囲を限定するよう解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5