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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】ヘアードライヤー
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/12 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
A45D20/12 J
A45D20/12 K
A45D20/12 C
A45D20/12 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018217256
(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公開番号】P2020081140
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】512269546
【氏名又は名称】株式会社カドー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 宣行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-026006(JP,A)
【文献】実公昭45-018511(JP,Y1)
【文献】実開昭57-032603(JP,U)
【文献】実開平06-024607(JP,U)
【文献】米国特許第05727331(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターとファンとを含み、背面側に円弧形状部分を持つ本体部と、
前記本体部の側に形成され、前記本体部の前記円弧形状部分の反対側である正面側に向かって開口しており前記モーターと前記ファンとによって発生された風を吐出する開口部を持ち、前記風を加熱するためのヒーターを含む吐出部と、
前記本体部の前記上側の反対側である下側に形成されるグリップ部と、
を具備し、
前記本体部と前記吐出部とは、前記モーターと前記ファンとによって発生された前記風を、前記円弧形状部分の内面側を経由して前記開口部へ導く風洞を持ち、渦巻き状の形状を持ち
前記開口部の正面、前記本体部の正面、前記グリップ部の正面は、互いに水平であり、突出していない、ヘアードライヤー。
【請求項2】
前記開口部から吐出される前記風の吐出方向における前記グリップ部の端部の位置と前記開口部の端部の位置との差である第1の突出値は、前記吐出方向と逆の方向における前記グリップ部の端部の位置と前記円弧形状部分の端部の位置との差である第2の突出値よりも小さい、請求項1のヘアードライヤー。
【請求項3】
前記円弧形状部分と前記グリップ部との境界部分に凹部を形成した、請求項1または請求項2のヘアードライヤー。
【請求項4】
前記グリップ部に備えられている操作部をさらに具備する、請求項1ないし請求項3のいずれか1項のヘアードライヤー。
【請求項5】
前記本体部の外壁面のうち互いに対向する位置のそれぞれに形成された吸気口をさらに具備する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項のヘアードライヤー。
【請求項6】
前記吸気口が形成される前記本体部の前記外壁面は、前記モーターの回転軸と垂直な面である、請求項5のヘアードライヤー。
【請求項7】
前記本体部と前記吐出部と前記グリップ部との外壁を形成する少なくとも1つのハウジングを具備する、請求項1ないし請求項6のいずれか1項のヘアードライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアードライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なヘアードライヤーは、例えば、モーター、ファン、ヒーターを内包する筒状の本体部とグリップ部とを備える形状を持つ。モーターおよびファンによって発生された風は、ヒーターで温められ、その後、本体部の端部の吐出口、または、本体部から突出しているノズル部の吐出口から吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-196365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアードライヤーの吐出口の位置がグリップ部の位置より突出していると、少し角度を変えたのみでユーザの意思よりも吐出口の位置が大きく動く場合があり、ヘアードライヤーから吐出される風がユーザの意図した位置からずれる場合があった。
また、ヘアードライヤーのユーザにとって、吐出口が突き出ている場合、この突出している部分が邪魔になる場合があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ユーザが意図した位置に風を当てることを容易にし、ユーザにとって使いやすいヘアードライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例に係るヘアードライヤーは、本体部と吐出部とグリップ部とを含む。本体部は、モーターとファンとを含み、背面側に円弧形状部分を持つ。吐出部は、本体部の側に形成され、本体部の円弧形状部分の反対側である正面側に向かって開口しておりモーターとファンとによって発生された風を吐出する開口部を持ち、風を加熱するためのヒーターを含む。グリップ部は本体部の上側の反対側である下側に形成される。本体部と吐出部とは、モーターとファンとによって発生された風を、円弧形状部分の内面側を経由して開口部へ導く風洞を持ち、渦巻き状の形状を持つ。開口部の正面、本体部の正面、グリップ部の正面は、互いに水平であり、突出していない
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが意図した位置に風を当てることを容易にし、ユーザにとって使いやすいヘアードライヤーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るヘアードライヤーの第1の例を示す斜視図。
図2】本発明の実施形態に係るヘアードライヤーの第2の例を示す斜視図。
図3】本発明の実施形態に係るヘアードライヤーの一例を示す正面図。
図4】本発明の実施形態に係るヘアードライヤーの一例を示す上面図。
図5】本発明の実施形態に係るヘアードライヤーの一例を示す底面図。
図6】本発明の実施形態に係るヘアードライヤーの一例を示す背面図。
図7】本発明の実施形態に係るヘアードライヤーの一例を示す側面図。
図8】本発明の実施形態に係るヘアードライヤーの一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図面において、同一の機能および構成要素については、同一符号を付して説明を省略するか、または、簡単に説明を行う。
【0010】
本実施形態のヘアードライヤーは、風を吐出する開口部が突出することを抑制した形状を持つ。
【0011】
図1は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の第1の例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の第2の例を示す斜視図である。
【0012】
ヘアードライヤー1は、本体部2、吐出部(風排出部)3、グリップ部4を備える。
【0013】
本実施形態では、便宜上、ヘアードライヤー1を、本体部2、吐出部3、グリップ部4に分けて説明するが、この本体部2、吐出部3、グリップ部4は一体的に形成されてもよい。ヘアードライヤー1は、本体部2と吐出部3とグリップ部4との外壁を形成する少なくとも1つのハウジング1aを備えるとしてもよい。例えば、本体部2および吐出部3は、一体的に形成されてもよい。
【0014】
本実施形態において、本体部2と吐出部3とは、例えば渦巻き状の形状を持つ。
本体部2は、例えば、モーターとファンとを含む。本体部2は、円弧形状部分2aを持つ。本実施形態において、円弧形状部分2aは、モーターの回転軸をほぼ中心とする円弧形状を持つ。本体部2が円弧形状部分2aを持つことで、開口部3aが風の吐出先の方向へ突き出ていなくても、本体部2の内部で発生される風を適切に整流可能である。なお、本体部2は、円弧形状部分2aに代えて、他の形状の部分を持つとしてもよい。
【0015】
吐出部3は、本体部2の一端側に形成される。本実施形態において、本体部2の一端側(換言すれば、本体部2に対して吐出部3が形成されている側)を「上側」と表記する。
【0016】
吐出部3は、モーターとファンとによって発生された風を加熱するためのヒーターを含む。吐出部3は、開口部3aを持つ。開口部3aは、本体部2の円弧形状部分2aの反対側に向かって開口しており、モーターとファンとによって発生された風を吐出する。開口部3aからは、温風またはヒーターによって加熱されていない風が吹き出される。
【0017】
グリップ部4は、ユーザがヘアードライヤー1を使用する場合に保持する部分である。
【0018】
グリップ部4は、本体部2の一端側の反対側に位置する本体部2の他端側に形成される。本実施形態において、本体部2の他端側(換言すれば、本体部2に対してグリップ部4が形成されている側)を「下側」と表記する。
【0019】
グリップ部4は、操作部4aを備える。操作部4aは、温風/冷風切り替えボタン41、電源のオン/オフを切り替えるスライドスイッチ42を含む。グリップ部4の上側は本体部2の下側と連結されており、グリップ部4の下側からは、電源コードが引き出される。
【0020】
開口部3aから吐出される風の吐出方向におけるグリップ部4の端部の位置と開口部3aの端部の位置との差である第1の突出値は、吐出方向と逆の方向におけるグリップ部4の端部の位置と円弧形状部分2aの端部の位置との差である第2の突出値よりも小さい。この第1の突出値と第2の突出値との関係は、後で図7を用いて説明する。
【0021】
なお、本実施形態において、突出値は、例えば、風の吐出方向または逆の方向における2つの位置の差を表すとする。
【0022】
本実施形態に係るヘアードライヤー1において、開口部3aが開口している側を「正面」と表記する。したがって、図1は、ヘアードライヤー1を正面側から見た斜視図である。
【0023】
これに対して、ヘアードライヤー1において、円弧形状部分2aが形成されている側を「背面」と表記する。したがって、図2は、ヘアードライヤー1を背面側から見た斜視図である。
【0024】
本体部2の互いに対向する側面には、それぞれ、吸気口21と、吸気口21のフタ22とが形成される。具体的に説明すると、2つの吸気口21およびフタ22は、本体部2の外壁面のうち互いに対向する側面にそれぞれ形成されている。吸気口21およびフタ22が形成されている2つの面は、のそれぞれ、例えば、モーターの回転軸と垂直な面としてもよい。
【0025】
図3は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の一例を示す正面図である。
【0026】
ヘアードライヤー1の正面には、開口部3aと操作部4aとが形成されている。
【0027】
操作部4aは、グリップ部4に形成されてもよく、グリップ部4と本体部2とにわたって形成されてもよい。
【0028】
図4は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の一例を示す上面図である。この図4では、開口部3a(正面)が左側に配置され、円弧形状部分2a(背面)が右側に配置されるように描かれている。
【0029】
図5は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の一例を示す底面図である。この図5では、ヘアードライヤー1の正面が左側に配置され、ヘアードライヤー1の背面が右側に配置されるように描かれている。
【0030】
この図4および図5から、開口部3aの正面、本体部2の正面、グリップ部4の正面は互いにほぼ水平であり、突出していないことが理解される。また、円弧形状部分2aの背面の端部は、グリップ部4の背面の端部から突出していることが理解される。
【0031】
図6は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の一例を示す背面図である。
【0032】
ヘアードライヤー1の背面からは、円弧形状部分2aとグリップ部4とが観察される。
【0033】
図7は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の一例を示す側面図である。この図7では、ヘアードライヤー1の正面が左側に配置され、ヘアードライヤー1の背面が右側に配置されるように描かれている。この図7において、ヘアードライヤー1の本体部2の背面側(円弧状部分2a)の面は、カーブしている。本体部2は、例えば、モーターの回転軸と平行であり、風の吐出方向A,吐出方向Aに対して逆の方向B,グリップ部4の軸方向Cと垂直な軸を持つ円柱形状としてもよい。
【0034】
本実施形態では、本体部2の外壁面のうち、開口部3aからの風の吐出方向Aと平行であり、グリップ部4の軸方向Cとも平行な面を「側面」とする。
【0035】
本体部2の互いに対向する側面であり、本体部2の正面と、吐出部3と、円弧形状部分2aと、グリップ部4とに囲まれる位置に、環状の吸気口21は配置されており、環状の吸気口21の内径部に、吸気口21のフタ22が配置されている。
【0036】
本体部2の円弧形状部分2aの下側と、グリップ部4の上側との境界部分に凹部2bが形成されている。この凹部2bを形成することで、ユーザがグリップ部4を保持しやすく、また、操作部4aを操作しやすくしている。
【0037】
図8は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の一例を示す断面図である。この図8は、上記図3の正面図を垂直方向に切断した場合の断面図であり、上記の図7の側面図を水平方向に切断した場合の断面図である。
【0038】
上述したように、本体部2は、モーター5とファン6とを備える。モーター5の回転軸は、グリップ部4の軸方向Cと垂直であり、さらに、風の吐出方向Aとも垂直である。吸気口21およびフタ22の形成されている本体部2の外壁面と、モーター5の回転軸とは、垂直な関係を持つ。
【0039】
本体部2および吐出部3は、ファン6の回転により発生した風を、円弧形状部分2aの内面側を経由して開口部3aへ導く風洞8を持つ。
【0040】
ファン6が反時計回りに回転すると、このファン6の回転により発生した風は、まず、円弧形状部分2aの内面側(すなわち背面側)に流れ、風洞8経由で、開口部3a(すなわち正面側)から吐出される。風洞8は、円弧形状部分2aの内面側にそって曲がっており、内部を流れる風の方向を調整しながら変えることができる。換言すると、本体部2内でファン6の回転により発生した風は、例えば、一旦方向Bへ向かい、風洞8により曲げられ、方向Aへ向かい、その後開口部3aから吐出される。
【0041】
吐出部3は、ヒーター7を備える。ヒーター7は、開口部3aの手前で風洞8を通る風を温める。
【0042】
グリップ部4は、先で説明した操作部4aと、電子回路部9とを備える。電子回路部9は、温風/冷風切り替えボタン41のオン/オフしにたがって、ヒーター7の加熱/非加熱を制御する。また、電子回路部9は、スライドスイッチ42のオン/オフしにたがって、モーター5の回転/停止を制御する。
【0043】
以上説明した本実施形態においては、吐出部3の開口部3aの正面位置が本体部2の正面の端部およびグリップ部4の正面の端部から大きく突出しない。このため、ユーザは希望する位置に開口部3aを接近させることが容易である。また、ヘアードライヤー1のユーザにとって開口部3aが邪魔にならない。したがって、ヘアードライヤー1のユーザの利便性および操作性を向上させることができる。
【0044】
また、本体部2とグリップ部4との背面側の接続位置に凹部2bが形成されており、これによりヘアードライヤー1を保持するユーザの手の位置と開口部3aとの距離を近くすることができ、ユーザはヘアードライヤー1を持ちやすく、操作部4aを操作しやすくなる。
【0045】
本実施形態においては、本体部2の内部から開口部3aまでの距離が短いため、本体部2の内部で生成された赤外線および/またはイオンの劣化を防止することができる。
【0046】
本実施形態においては、本体部2内でファン6の回転により発生した風が、まず円弧形状部分2aの内面(背面)側に導かれ、円弧形状部分2aの内面側の曲面にそって吐出部3へ導かれ、円弧形状部分2aと逆側にある吐出部3の開口部3aから吐出される。これにより、開口部3aがヘアードライヤー1の正面から大きく突出しない構成でも、良好な風の整流効果を得ることができる。
【0047】
本実施形態においては、グリップ部4の正面側の端部および本体部2の正面側の端部からの開口部3aの第1の突出値V1はほぼゼロの場合を例示している。しかしながら、第1の突出値V1は、グリップ部4の背面側の端部からの円弧形状部分2aの背面側の端部の第2の突出値V2より小さければよい。第1の突出値は、例えば、マイナスの値でもよく、例えば3cm以下などとしてもよい。
【0048】
なお、本願発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削減してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…ヘアードライヤー、2…本体部、2a…円弧形状部分、21…吸気口、22…フタ、3…吐出部、3a…開口部、4…グリップ部、4a…操作部、5…モーター、6…ファン、7…ヒーター、8…風洞、V1…第1の突出値、V2…第2の突出値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8