(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20230206BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
F24C15/00 L
F24C3/00 L
(21)【出願番号】P 2018238132
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小澤 耕平
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-052840(JP,A)
【文献】特開2018-021691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0282237(US,A1)
【文献】特開2015-166650(JP,A)
【文献】特開2009-250591(JP,A)
【文献】特開2017-044385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部を備えた筐体と、前記筐体に組み付けられるグリル部と、を備え、前方側に向かって開放した枠部が自身の前部に形成されてなるコンロ本体と、
前記グリル部の左右方向一方側又は他方側において前記枠部内に嵌め込まれるフロント部材と、
を備え、
前記フロント部材は、上部構成体と、前記上部構成体の下側に配置される下部構成体と、を備え、前記上部構成体と前記下部構成体とに分割された構成をなし、
前記枠部の底面部には、
孔部が形成されており、
前記フロント部材の下面部には、
突起部が形成され、
前記フロント部材が前記枠部内に組み込まれる際に、前記
突起部が前記
孔部の上方側から落とし込まれることにより前記
孔部と嵌まり合
い、
前記フロント部材に対して変位可能に取り付けられ、前記フロント部材の前側に突出した前方位置と前記前方位置のときよりも後方側に退避した退避位置とに変位する操作パネルを備え、
前記上部構成体は、前記枠部の内部を前方から覆う前面部と、前記前面部から後方に延びる一対の側面部と、を有し、
前記下部構成体は、前記操作パネルを下側から支持する底部と、前記底部から立ち上がる一対のガイド壁と、を有し、
一対の前記ガイド壁は、前記操作パネルの左右方向の移動を規制しながら前記操作パネルの前後方向の移動を案内し、
一対の前記ガイド壁が、一対の前記側面部にそれぞれ連結され、
前記筐体の前記底壁部が前記枠部の前記底面部をなし、
前記下部構成体は、前記操作パネルの下方側に配置されるとともに前記操作パネルをスライド可能に支持し、
前記下部構成体の下面部が前記フロント部材の下面部の少なくとも一部をなし、前記下部構成体の下面部に前記突起部が形成されており、
前記底壁部は、前記下部構成体が載置される部分であり、前記底壁部において上下に貫通した構成で複数の前記孔部が形成され、
前記下部構成体の下面部には、下方側に突出するとともに前記フロント部材が前記枠部内に嵌め込まれたときに複数の前記孔部内にそれぞれ嵌まり落ちるように複数の前記突起部が形成されている
コンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示されるビルトインコンロ1は、コンロ本体2と、コンロ本体2に組み付けられる装置ユニット20とを備えており、装置ユニット20は、前後方向に出退する操作パネル25を備える一体的なユニットとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されるビルトインコンロ1は、コンロ本体2に形成された取付開口3内に装置ユニット20が挿入される形で組み付けられるが、その際に、操作ユニット25に形成された爪部55,56をコンロ本体2の底面4に点接触させて取り付ける構成となっている。この構成では、爪部55,56を底面4上に載置することによってある程度の支持がなされるが、このような載置だけでは、装置ユニット20をコンロ本体2に確実に固定できないため、ねじ止め等によって別途固定する必要がある。この場合、装置ユニット20の前面部を確実にコンロ本体2に固定するために前面側からねじ止めを行い、更に、装置ユニット20における取付開口3内に挿入された部分の位置ずれを防ぐために、底面側からもねじ止めを行うものと考えられる。しかし、このようにねじ止めを行う部位が増えると、ねじ止め工程が複雑化し、組み付け作業の困難化を招いてしまうことになる。
【0005】
本発明は上述した課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、コンロ本体の枠部にフロント部材を組み付ける作業の容易化を図り得るコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のコンロは、
底壁部を備えた筐体と、前記筐体に組み付けられるグリル部と、を備え、前方側に向かって開放した枠部が自身の前部に形成されてなるコンロ本体と、
前記グリル部の左右方向一方側又は他方側において前記枠部内に嵌め込まれるフロント部材と、
を備え、
前記枠部の底面部には、凹部又は凸部を有する嵌合部が形成されており、
前記フロント部材の下面部には、凸部又は凹部を有するとともに前記嵌合部と嵌まり合う被嵌合部が形成され、
前記フロント部材が前記枠部内に組み込まれる際に、前記被嵌合部が前記嵌合部の上方側から落とし込まれることにより前記嵌合部と嵌まり合う。
【発明の効果】
【0007】
上記一態様のコンロは、枠部の底面部に凹部又は凸部を有する嵌合部が形成され、フロント部材の下面部には、凸部又は凹部を有するとともに嵌合部と嵌まり合う被嵌合部が形成されている。そして、フロント部材が枠部内に組み込まれる際に、被嵌合部が嵌合部の上方側から落とし込まれることにより嵌合部と嵌まり合う構成となっている。このような構成であるため、作業者がフロント部材を枠部内に組み込む作業を行う際には、フロント部材を前方側から枠部内に挿入した後、被嵌合部を嵌合部の上方から落とすように変位させることで、フロント部材の下面部と枠部の底面部とを容易に組み付けることができる。つまり、フロント部材の下面部が前後及び左右に移動することを規制した状態でフロント部材を枠部内に組み込む作業を容易に行うことができ、筐体の下側から多数のねじ止め等を行わずとも、フロント部材の下面部を容易に位置決め及び位置保持することができる。よって、コンロ本体の枠部にフロント部材を組み付ける作業の容易化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1のガスコンロを概略的に例示する正面図である。
【
図2】
図2は、
図1のガスコンロの一部を分解した構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のガスコンロの一部をなすフロント部材と操作パネルとが互いに組み付けられた構造体を斜め前方から見た構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の構造体を分解した構成を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3の構造体を構成するフロント部材の一部をなす下部構成体を下方側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、
図3の構造体のうち、下部構成体に操作パネルが載置された部分を示す背面図である。
【
図8】
図8は、下部構成体に操作パネルが載置された部分を示す右側面図であり、(A)は、操作パネルが退避位置にあるときの状態を示す図であり、(B)は、操作パネルが前方位置にあるときの状態を示す図である。
【
図9】
図9は、コンロ本体からフロント部材等を取り外した構成を下方側からみた斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9の構成に対し、フロント部材及び操作パネルが組み付けられた構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本発明の望ましい一例を示す。
本発明の一態様のコンロは、フロント部材に対して変位可能に取り付けられ、フロント部材の前側に突出した前方位置と前方位置のときよりも後方側に退避した退避位置とに変位する操作パネルを備えていてもよい。フロント部材は、操作パネルの下方側に配置されるとともに操作パネルをスライド可能に支持する支持部を有していてもよい。支持部の下面部がフロント部材の下面部の少なくとも一部をなし、支持部の下面部に被嵌合部が形成されていてもよい。
このようにすれば、進退可能な操作パネルをフロント部材に設けた構成において、コンロ本体の枠部にフロント部材を組み付ける作業の容易化が図られる。具体的には、操作パネルを支持する支持部を枠部の底面部に組み付ける部位として利用することができる。
【0010】
本発明の一態様のコンロは、フロント部材には電池を収容する電池収容部が形成されていてもよい。電池収容部の下面部がフロント部材の下面部の少なくとも一部をなし、電池収容部の下面部に被嵌合部が形成されていてもよい。
このようにすれば、電池を収容する電池収容部をフロント部材に設けた構成において、コンロ本体の枠部にフロント部材を組み付ける作業の容易化が図られる。具体的には、電池収容部の下面部を枠部の底面部に組み付ける部位として利用することができる。
【0011】
本発明の一態様のコンロは、嵌合部が、孔部からなり、被嵌合部が、突起部からなり、枠部の底面部に、複数の孔部が形成され、フロント部材の下面部に、下方側に突出するとともにフロント部材が枠部内に嵌め込まれたときに複数の孔部内にそれぞれ嵌まり落ちる複数の突起部が形成されていてもよい。
このようにすれば、孔部及び突起部という簡易な構成によりフロント部材の下面部側の組み付け構造を実現することができ、突起部を孔部に落とし込むという簡易な作業によりフロント部材の下面部と枠部の底面部とを組み付けることができるようになる。よって、構成の簡易化、作業の容易化が一層図られる。
【0012】
本発明の一態様のコンロは、筐体の底壁部が枠部の底面部をなしていてもよく、筐体の底壁部において上下に貫通した構成で複数の孔部が形成されていてもよい。
このようにすれば、枠部の底面部を筐体の底壁部によって兼用することができ、構成の一層の簡易化が図られる。そして、フロント部材を筐体の底壁部に直接位置決めすることができるようになる。
【0013】
<実施例1>
以下、実施例1について、図面を参照して説明する。
図1、
図2のように、コンロ1は、ガスバーナ4,5,6、ガスバーナ4,5,6を収容するコンロ本体1Aなどを有するガスコンロとして構成されおり、図示しないキャビネットに組み込まれるビルトインコンロとして構成されている。
【0014】
以下の説明では、コンロ1において、板状に構成された天板3の板面方向のうち、短手方向を前後方向とし、前後方向と直交する方向である天板3の長手方向を左右方向とする。更に、前後方向及び左右方向と直交する方向である天板3の板厚方向を上下方向として説明する。
図1では、左右方向がコンロ1の左右方向であり、上下方向がコンロ1の上下方向である。コンロ1の上下方向は、例えば、コンロ1が水平面(鉛直方向と直交する平坦面)に載置されたときに鉛直方向に沿った方向となる。以下の説明では、
図2において、左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、それぞれ、コンロ1の前方、後方、右方、左方とする。
【0015】
図2のように、コンロ1はコンロ本体1Aによって外殻(ケース体)が構成されており、このコンロ本体1Aの内部にガスバーナ4,5,6などの各種部品が収容された構成をなす。コンロ本体1Aは、ガスバーナ4,5,6などの各種部品を収容する筐体2と、筐体2の上端部に固定される天板3と、グリル部8とを備える。このコンロ本体1Aには、筐体2の前部(前側の部分)に固定されるフロント部材20、フロント部材20の前側に装着される化粧パネル90、操作パネル60、操作パネル60の前側に装着される化粧パネル92、などが組み付けられている。具体的には、フロント部材20、化粧パネル90、操作パネル60、化粧パネル92が一体的に組み付けられた構成でユニット95が構成され、このユニット95が、後述する枠部10内に一部を挿入させた形でコンロ本体1Aの前側に組み付けられている。なお、
図2、
図9では、ねじ部材80(
図10)が組み付けられた状態を図示しているが、実際は、フロント部材20が嵌め込まれた後にねじ部材80が挿入されることになる。
【0016】
筐体2は、公知の金属材料を主体として上方側が開放した箱状に構成されている。左右に一対の側壁部(
図2では、一方の側壁部2Cのみを図示)を備えるとともに、これら側壁部の後端部に連結される形で後壁部(図示略)が設けられる。また、筐体2の前面部(図示略)はフレーム状又は壁状に構成されており、これら前面部、側壁部、後壁部によって筐体2の内部空間の前後左右を囲む構成をなし、これら前面部、側壁部、後壁部の下部には底壁部2Dが連結されている。筐体2は、これらの壁部によって上部が開口した箱状形態をなしており、筐体2の上端部には、天板3が取り付けられている。
【0017】
図1、
図2のように、天板3は、板状に構成されると共にガスバーナ4,5,6を露出させるための開口部(貫通孔)が複数個形成された構成をなす。天板3は、例えばカウンタトップ(図示略)の上側に配置される。
図2のように、天板3において右手前(右端寄りかつ前端寄りの位置)にはガスバーナ(右バーナ)4、左手前(左端寄りかつ前端寄りの位置)にはガスバーナ(左バーナ)5、中央奥側にはガスバーナ(奥バーナ)6が夫々設けられている。
【0018】
図1のように、筐体2の左右方向中央寄りには、グリル部8が組み付けられている。グリル部8は、箱状に構成されたグリル庫、グリル庫を開閉するグリル扉8B、ガスバーナとして構成されるとともにグリル庫内に配置されるグリルバーナ(図示略)、グリル扉8Bの後方側においてグリル扉8Bと一体的に設けられる受け皿、受け皿の上に載置される焼き網などを備える。天板3において後端寄りの位置には、グリル庫と連通する排気口が設けられ、この排気口を覆う構成で、多数の開口部を備えた排気口カバー9が配置されている。
【0019】
図1のように、筐体2の前面の右寄りには2つの点火ボタン11,14(点火操作部)が、左寄りにはもう2つの点火ボタン12,13が設けられている。点火ボタン11は、ガスバーナ4の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンであり、点火ボタン12は、ガスバーナ5の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンであり、点火ボタン13は、ガスバーナ6の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。点火ボタン14は、グリル部8のガスバーナの点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。各点火ボタン11,12,13,14は、フロント部材20の前面よりも前方へ突出して設けられ、筐体2の内部に設けられた図示しない制御回路と関連して動作する構成をなしており、使用者が押し込み操作すると、制御回路による制御により、その操作されたボタンに対応するガスバーナの点火又は消火が行われるようになっている。
図1のように、筐体2の前面の右寄りには2つのレバー16A,16D(火力調整操作部)が、左寄りにはもう2つのレバー16B,16Cが設けられている。レバー16A,16B,16C,16Dはそれぞれ、対応するガスバーナ4,5,6又はグリル部8のグリルバーナにおける火力の調整操作を行うための火力調整レバーである。点火ボタン12,13の下側には、コンロ1に電力を供給するための電池を収容する電池収容部160(電池ボックス)が設けられている。
【0020】
図2で示されるフロント部材20は、例えば、金属材料又は樹脂材料を主体として構成されている。上述した筐体2には、前方に向かって開口し、後方側に向かって凹んだ構成をなす枠部10(収容凹部)が形成されている。フロント部材20は、グリル部8の左右方向一方側(本実施例では右側)において、この枠部10の内部を前方から覆うように配置され、筐体2の前部に固定される。具体的には、筐体2の前面部(前面を構成する部分)の一部を覆うように筐体2に対して直接又は他部材を介して間接的に固定される構成をなしている。
【0021】
図3、
図4には、フロント部材20に操作パネル60を組付けた組付状態の様子が示されており、
図5には、上部構成体22と下部構成体24とが分解された状態が示されている。
図5のように、フロント部材20は、上部構成体22と下部構成体24とを有し、上部構成体22及び下部構成体24の各々は、全体が一体成形されている。上部構成体22は、正面視において略矩形状をなしており、枠部10の内部を前方から覆うように枠部10の開口部分に配置される(
図10参照)。上部構成体22は、前面側に第1開口部32,33と、第2開口部34,35と、を有する。第1開口部32,33は、前後方向に貫通した開口形状をなしており、自身の内部に上述した点火ボタン11,14が嵌り込むように配置される。第2開口部34,35はそれぞれ、第1開口部32,33の上方に配置され、正面視において所定方向(本実施例では左右方向)に長い形態をなしている。上述したレバー16A,16Dは、枠部10の内部から前方に向かって突出した形態をなしている。第2開口部34,35は、これらのレバー16A,16Dが後方から挿し通されるとともに、自身の内部領域がレバー16A,16Dの移動経路として構成されている。即ち、レバー16A,16Dは、第2開口部34,35を介して前方に突出した状態で配置され、突出した部分が操作されることで第2開口部34,35を左右方向に移動し得るようになっている。レバー16A,16Dが左右方向に操作されることで、対応するガスバーナ4又はグリル部8のグリルバーナにおける火力が調整される。これらの第1開口部32,33と第2開口部34,35とは一体成形されている。また、化粧パネル90は、第1開口部32,33及び第2開口部34,35を塞がないように、第1開口部32,33及び第2開口部34,35に対応する部分が前後方向に貫通した開口形状をなしている。
【0022】
上部構成体22は、枠部10の内部を前方から覆う前面部26と、前面部26の下側部分の左右両端部から後方に延びる一対の側面部28,28とを有する。各側面部28の下側部分には、少なくとも1つ(本実施例では4つ)の連結孔28Aが前後方向に等間隔で形成されている。
【0023】
下部構成体24は、
図3のように、上部構成体22の下側に配置されるとともに上部構成体22と共に前方側に開口した孔部30を構成する部材である。下部構成体24は、支持部として機能し、
図5のように操作パネル60の下方に配置されるとともに自身の一部によって操作パネル60を下方側から支持する構成をなす。この下部構成体24には、操作パネル60がスライド可能に載置され、下部構成体24は、自身の外面(具体的には、底部36の上面等)によって操作パネル60の下面を下から支えるように支持する。下部構成体24は、平面視において左右方向に長い略矩形状をなしており、
図6のように、底部36と、一対のガイド壁38,38と、を備えており、底部36によって操作パネル60を所定高さに支持しつつ、一対のガイド壁38,38によって左右方向の移動を規制しながら操作パネル60の前後方向の移動を案内するように機能する。
【0024】
下部構成体24の底部36は、平面視において左右方向に長い略矩形状をなしており、上下方向に厚みを有する。一対のガイド壁38,38の各々は、板状をなしており、底部36の左右両端部からそれぞれ立ち上がった形態をなし、前後方向に沿って延びている。一対のガイド壁38,38の各々の外側面には、上部構成体22に設けられた各連結孔28Aの位置に対応して連結孔28Aと同数(本実施例では4つ)の連結部38Aが形成されている。各連結部38Aは、左右方向外方に突出した形状をなしており、ガイド壁38,38が弾性的に撓み変形することで各連結孔28Aに嵌まり込む構成をなしている。このような構成により、下部構成体24が上部構成体22に連結される(
図3、
図4参照)。また、
図7のように、ガイド壁38,38の各々の内壁面をそれぞれ含む構成で、前後方向に沿って延びるガイド溝38B,38Bが形成されている。
【0025】
被係合部44は、後述する操作パネル60の係合部70と係合する部分である。被係合部44は、係合部70とともに、押圧操作が行われるごとに係合状態とこの係合状態が解除された係合解除状態とに交互に切り替わるプッシュラッチ機構を構成する。被係合部44は、底部36の左右方向中央部の後端部から上方に立ち上がって構成されている。
【0026】
操作パネル60は、コンロ1による調理の加熱温度、加熱時間等を設定するための操作に用いられるものである。操作パネル60は、フロント部材20に対して変位可能に取り付けられる。具体的には、操作パネル60は、フロント部材20に組み付けられた組付状態において孔部30内に配置され、フロント部材20の前側に突出した前方位置と、前方位置のときよりも後方側に退避した退避位置とに変位する。なお、
図8(A)は、退避位置のときの下部構成体24と操作パネル60との関係を示しており、
図5、
図8(B)は、前方位置のときの下部構成体24と操作パネル60との関係を示している。
図5、
図8(B)のように、操作パネル60の「前方位置」は、退避位置のときよりも操作パネル60の前方への突出量が大きくなる所定位置であり、具体的には、操作パネル60における操作部64A(外部操作可能に構成された操作ボタンや表示装置などが設けられた部分であり、パネル本体64の上面部の過半領域を構成する部分)が露出する位置であり、且つ、後述する延設部66,66が露出しない位置である。なお、
図5では、操作部64Aの上面部を構成する装飾カバー(上面カバー)を省略して示しており、装飾カバーの下方に配置された表示装置64Bや操作ボタン64Cなどを露出させて例示している。操作パネル60の「退避位置」は、操作パネル60の大部分又は全部が化粧パネル90(
図1)の前面よりも後方に配置される位置である。
図1等の構成では、操作パネル60が「退避位置」のときにフロント部材20に取り付けられる化粧パネル90の前面と操作パネル60に取り付けられる化粧パネル92の前面とが前後方向において同位置又は略同位置に揃うようになっている。
【0027】
操作パネル60は、前後方向に長く上下方向に厚みを有するベース部62と、一対の被ガイド部68,68と、係合部70とを有している。
【0028】
ベース部62は、パネル本体64と、一対の延設部66,66と、を有する。パネル本体64は、ベース部62の前側部分を構成し、左右方向に長い平面視略矩形状をなしている。パネル本体64は、上面側に上記操作部64Aが設けられている。一対の延設部66,66は、パネル本体64と一体的に構成されるとともに、パネル本体64から後方側に延びている。より具体的には、延設部66,66は、第1延設部66Aと、第2延設部66Bとを有する。第1延設部66Aは、パネル本体64と一体的に構成されるとともに、パネル本体64の左右方向一端側(本実施例では右側)においてパネル本体64から後方側に延びている。第2延設部66Bは、パネル本体64と一体的に構成されるとともに、パネル本体64の左右方向他端側(本実施例では左側)においてパネル本体64から後方側に延びている。第1延設部66Aと第2延設部66Bとは、左右方向に離間して配置されており、第1延設部66Aと第2延設部66Bとの間には、後方に開口した空間が形成されている。
【0029】
係合部70は、上述した被係合部44と係合する部分である。係合部70は、パネル本体64の後面から後方に突出した形状をなしており、第1延設部66Aと第2延設部66Bとの間に形成された空間に配置される。
【0030】
一対の被ガイド部68,68は、上述した一対のガイド壁38,38(フロント部材20)によってガイドされる部分である。一対の被ガイド部68,68は、操作パネル60の左右両側面の下端部から左右方向外方に向けてリブ状に突出し、前後方向に延びる形状をなしている。
【0031】
図5、
図7のように、操作パネル60は、自身の被ガイド部68,68が下部構成体24(フロント部材20)のガイド壁38,38に形成されたガイド溝38B,38Bにそれぞれ嵌り込むように下部構成体24に組み付けられる。操作パネル60が下部構成体24に組み付けられた組付状態では、ガイド壁38,38が、被ガイド部68,68に対向して配置され、操作パネル60はガイド壁38,38に沿って前後方向に移動し得るように保持される。
【0032】
次に、フロント部材20をコンロ本体1Aに組み付けるための構成について説明する。
図9のように、コンロ本体1Aは、筐体2にグリル部8が組み付けられてなる部分である。コンロ本体1Aは、筐体2とグリル部8とによって前方側に向かって開放した構成をなす枠部10が形成されている。この枠部10は、コンロ本体1A自身の前部(前側の部分)に形成されており、正面視矩形状の開口部を備えた形で、後方側に向かって凹む構成をなしている。
【0033】
図2、
図9のように、コンロ本体1Aにおいて枠部10の底壁部(底面部)には、底壁部の上面(底面)から凹むような凹部を有する孔部52,52が複数(
図9の例では2つ)形成されている。これら孔部52,52は、嵌合部の一例に相当する。コンロ本体1Aでは、筐体2の底壁部2Dが枠部10の底壁部(底面部)をなしており、この底壁部2Dにおいて上下に貫通した構成で複数の孔部52,52が形成されている。底壁部2Dは、少なくともフロント部材20が載置される部分であり、具体的には、下部構成体24が載置される部分である。底壁部2Dにおいて、フロント部材20が載置される部分には、第1底板2Xと第2底板2Yとが重なって設けられており、第1底板2Xに形成された貫通孔52Aと第2底板2Yに形成された貫通孔52Bとが上下に連通して設けられ、これら貫通孔52A,52Bが孔部52を構成している。孔部52,52は、枠部10の開口部寄り(前端部寄り)に形成されている。
【0034】
図6のようにフロント部材20の下面部24Aには、下方側に突出するような凸部を有する複数の突起部54,54が形成されている。これら突起部54,54は、被嵌合部の一例に相当する。下面部24Aは、フロント部材20が枠部10内に配置されたときに上述した底壁部2D上に載置される部分である。具体的には、上述した下部構成体(支持部)24の下面部がフロント部材20の下面部24Aをなしており、下部構成体24の下面部において下方に向かって突出するようにリブ状の突起部54,54が形成されている。突起部54,54はフロント部材20の下面部24Aにおける前端寄りの位置において左右に間隔をあけて形成されている。
図6の構成では、底部36は、板状に構成されるとともに上下方向を板厚方向とするように配置される底板部36Aと、この底板部36Aから上側又は下側に突出する複数のリブを備えている。これら複数のリブのうちの一部は、底板部36Aから下方に突出するとともに前後方向に沿って延びる第1補強リブ36B及び第2補強リブ36Cを有している。突起部54,54はいずれも、左右に延びるリブ状の形態をなしており、互いに間隔をあけて配置されている。突起部54,54のうちの一方側の突起部54は、第1補強リブ36Bに連結されつつ第1補強リブ36Bよりも底板部36Aからの突出量(下方側への突出量)が大きくなるように下方に突出し、第1補強リブ36Bと交差するように配置されている。突起部54,54のうちの他方側の突起部54は、第2補強リブ36Cに連結されつつ第2補強リブ36Cよりも底板部36Aからの突出量(下方側への突出量)が大きくなるように下方に突出し、第2補強リブ36Cと交差するように配置されている。このような構成で、軽量化と強度の両立が図られている。
【0035】
そして、
図9のように構成されたコンロ本体1Aに対し、
図10のようにフロント部材20が組み付けられるようになっている。具体的には、フロント部材20は、グリル部8の左右方向一方側において枠部10内に嵌め込まれるように組み付けられる。フロント部材20が枠部10内に挿入されるように嵌め込まれる際には、突起部54,54のそれぞれが、孔部52,52のそれぞれの上方側から落とし込まれることにより、複数の孔部52,52内にそれぞれ嵌まり落ちるように組み付けられる。このように組み付けられた後、フロント部材20の前面部の一部とコンロ本体1Aの一部(枠部10の開口部近傍の一部)とが前側から挿入される複数のねじ部材80によって連結されることにより、フロント部材20がコンロ本体1Aに固定される。なお、枠部10の底壁部(底面部)とフロント部材20の下面部との間では、ねじ部材による締結がなされていてもよいが、ねじ部材による締結が省略されていることが望ましい。
【0036】
このような構成であるため、作業者がフロント部材20を枠部10内に組み込む作業を行う際には、作業者は、フロント部材20を前方側から枠部10内に挿入させ、下部構成体24の下面部を底壁部2Dと対向させつつ上部構成体22及び下部構成体24の前面部付近が枠部10の開口部付近に位置するようにフロント部材20を枠部10内の奥まった位置に入り込ませた後(より具体的には、突起部54,54(被嵌合部)が孔部52,52(嵌合部)の真上付近に位置するように入り込ませた後)、突起部54,54を孔部52,52の上方から落とすように変位させることで、フロント部材20の下面部と枠部10の底壁部2D(底面部)とを容易に組み付けることができる。
【0037】
なお、上記説明では、グリル部8の左右方向一方側に形成された枠部10内にフロント部材20を組み付ける例を示したが、グリル部8の左右方向他方側にも、類似した構成で、フロント部材120が組み付けられる。具体的には、コンロ本体1Aは、グリル部8の左右方向他方側(正面視左側)にも、枠部10と同様の枠部110が形成されており、この枠部110に対して、フロント部材120と化粧パネル190とが組み合わされてなるユニット195が組み付けられている。具体的には、フロント部材120、化粧パネル190、化粧パネル192が一体的に組み付けられた構成でユニット195が構成され、このユニット195が、後述する枠部110内に一部を挿入させた形でコンロ本体1Aの前側に組み付けられている。
【0038】
図10では、グリル部8の左右方向他方側(正面視したときの左側)に形成された枠部110内にフロント部材120を組み付けた例を示しており、このフロント部材120は、フロント部材20を左右対称にした構造において下部構成体24及び操作パネル60の部分を電池収容部160に変更した構成となっている。なお、枠部110は、フロント部材120の挿入し得る凹状の開口構造であればよく、枠部10と左右対称の開口構造としてもよく、左右対称の開口構造から若干変形させた形状であってもよい。
【0039】
フロント部材120の下部側の所定位置には、電池を収容する電池収容部160が形成されている。そして、電池収容部160の下面部160Aがフロント部材120の下面部の一部をなし、電池収容部160の下面部160Aに突起部154(被嵌合部)が形成されている。
【0040】
コンロ本体1Aは、底壁部2Dにおいてフロント部材120が載置される部分でも、底壁部2Dの上面(底面)から凹むような凹部を有する孔部152,152が複数(
図10の例では2つ)形成されている。これら孔部152,152は、嵌合部の一例に相当する。コンロ本体1Aでは、筐体2の底壁部2Dが枠部110の底壁部(底面部)をなしており、この底壁部2Dにおいて上下に貫通した構成で複数の孔部152,152が形成されている。
【0041】
このような構成において、フロント部材120は、グリル部8の左右方向他方側(正面視左側)において枠部110内に嵌め込まれるように組み付けられる。フロント部材120が枠部110内に組み込まれる際には(即ち、フロント部材120が枠部110内に挿入されるように嵌め込まれる際には)、突起部154,154がそれぞれ孔部152,152の上方側から落とし込まれることにより、複数の孔部152,152内にそれぞれ嵌まり落ちるように組み付けられる。
【0042】
次に、本構成の効果を例示する。
本構成のコンロ1は、枠部10の底壁部(底面部)に凹部を有する孔部52,52(嵌合部)が形成され、フロント部材20の下面部には、凸部を有するとともに孔部52,52(嵌合部)と嵌まり合う突起部54,54(被嵌合部)が形成されている。そして、フロント部材20が枠部10内に組み込まれる際に、突起部54,54(被嵌合部)が孔部52,52(嵌合部)の上方側から落とし込まれることにより孔部52,52(嵌合部)と嵌まり合う構成となっている。このような構成であるため、作業者がフロント部材20を枠部10内に組み込む作業を行う際には、フロント部材20を前方側から枠部10内に挿入した後、突起部54,54(被嵌合部)を孔部52,52(嵌合部)の上方から落とすように変位させることで、フロント部材20の下面部と枠部10の底壁部(底面部)とを容易に組み付けることができる。つまり、フロント部材20の下面部が前後及び左右に移動することを規制した状態でフロント部材20を枠部10内に組み込む作業を容易に行うことができ、筐体2の下側から多数のねじ止め等を行わずとも、フロント部材20の下面部を容易に位置決め及び位置保持することができる。よって、コンロ本体の枠部10にフロント部材20を組み付ける作業の容易化が図られる。
【0043】
本構成のコンロ1は、操作パネル60を備え、この操作パネル60は、フロント部材20に対して変位可能に取り付けられ、フロント部材20の前側に突出した前方位置(
図8(B))と前方位置のときよりも後方側に退避した退避位置(
図8(A))とに変位し得る。そして、フロント部材20は、操作パネル60の下方側に配置されるとともに操作パネル60をスライド可能に支持する下部構成体(支持部)24を有する。下部構成体(支持部)24の下面部24Aがフロント部材20の下面部の少なくとも一部をなし、下部構成体(支持部)24の下面部24Aに突起部54,54(被嵌合部)が形成されている。このようにすれば、進退可能な操作パネル60をフロント部材20に設けた構成において、コンロ本体1Aの枠部10にフロント部材20を組み付ける作業の容易化が図られる。具体的には、操作パネル60を支持する下部構成体(支持部)24を枠部10の底壁部2D(底面部)に組み付ける部位として利用することができる。
【0044】
また、コンロ1において、フロント部材120には電池を収容する電池収容部160が形成されている。そして、電池収容部160の下面部がフロント部材120の下面部の少なくとも一部をなし、電池収容部160の下面部に突起部154(被嵌合部)が形成されている。このようにすれば、電池を収容する電池収容部160をフロント部材120に設けた構成において、コンロ本体1Aの枠部110にフロント部材120を組み付ける作業の容易化が図られる。具体的には、電池収容部160の下面部を枠部110の底壁部(底面部)に組み付ける部位として利用することができる。
【0045】
また、コンロ1は、嵌合部が孔部52,52からなり、被嵌合部が突起部54,54からなり、枠部10の底壁部(底面部)に複数の孔部52,52が形成され、フロント部材20の下面部には、下方側に突出するとともにフロント部材20が枠部10内に嵌め込まれたときに複数の孔部52,52内にそれぞれ嵌まり落ちる複数の突起部54,54が形成されている。このようにすれば、孔部52,52及び突起部54,54という簡易な構成によりフロント部材20の下面部側の組み付け構造を実現することができ、突起部54,54を孔部52,52に落とし込むという簡易な作業によりフロント部材20の下面部と枠部10の底壁部(底面部)とを組み付けることができるようになる。よって、構成の簡易化、作業の容易化が一層図られる。
【0046】
コンロ1は、筐体2の底壁部2Dが枠部10の底壁部(底面部)をなしている。そして、筐体2の底壁部2Dにおいて上下に貫通した構成で複数の孔部52,52が形成されている。このようにすれば、枠部10の底壁部(底面部)を筐体2の底壁部2Dによって兼用することができ、構成の一層の簡易化が図られる。そして、フロント部材20を筐体2の底壁部2Dに直接位置決めすることができるようになる。
【0047】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0048】
上述した実施例1では、コンロ本体1Aにおいて枠部10の底壁部(底面部)に、凹部を有する孔部52,52(嵌合部)が形成され、フロント部材20の下面部には、凸部を有する突起部54,54(被嵌合部)が形成されていたが、凹凸を逆にしてもよい。例えば、孔部52,52の代わりに、底壁部2Dにおいて上方側に凸となるような凸部を嵌合部として設け、フロント部材20の下面部において上方側に向かって凹むような凹部を被嵌合部として形成してもよい。底壁部2Dにおいて嵌合部となる凸部を形成する場合、例えば、底壁部2Dの一部を金属片(凹部に挿入可能な位置、サイズの金属片)として構成するとともに、この金属片が上方に向かって立ち上がるように折り曲げられる加工(切り起こし加工等)によって凸部を形成するとよい。そして、フロント部材20が枠部10内に組み込まれる際に、凸部(嵌合部)が凹部(被嵌合部)の上方側から落とし込まれることにより嵌まり合うようになっていてもよい。
【0049】
実施例1では、下部構成体24においてスライド可能に支持されるように操作パネル60を設けた構成を例示したが、下部構成体24と操作パネル60とが設けられた領域を、箱状の電池収容部に変更してもよい。例えば、化粧パネル92の部分を前側に傾倒可能な開閉扉として構成し、開閉扉を傾倒させたときに電池収容部が前側に向かって開放した形で露出するように構成されていてもよい。或いは、実施例1のコンロ1において操作パネル60の部分を、箱状且つ前後にスライド可能な電池収容部に変更してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…ガスコンロ(コンロ)
2…筐体
2D…底壁部(底面部)
8…グリル部
10,110…枠部
20,120…フロント部材
24…下部構成体(支持部)
52,152…孔部(嵌合部)
54,154…突起部(被嵌合部)
60…操作パネル
160…電池収容部